戦艦デファイアント号の反乱
1962年、ルイス・ギルバート監督作品。イギリス映画。

今日、英国密林から届いたDVDの一枚♪
一応大昔にTV放映で見たものだけど、ちょっと映してみたら止まらなくなってしまった。
さすがですデファイアント号。買ってよかった…

ナポレオン戦争時代の帆船=英国海軍ドラマ。このジャンルは英国では小説がたくさん出ているのだけれど、映画として骨のある出来の作品は限られている。代表格のホーンブロワー・シリーズも、ハリウッド製作分は(グレゴリー・ペックの「艦長ホレーショ」)華やかで楽しい出来ではあるのだが、リアルな英国っぽさという点は僅かに不満が残った。
日本でホーンブロワー・シリーズを映画好きに知らしめたのは、むしろ1998年スタートのBBCのTVドラマだろう。また、2003年の「マスター・アンド・コマンダー」も、リアルな帆船時代の再現が感涙ものであった(こちらはオーブリー・シリーズが原作)。

つまり10年前までは、リアルな英国帆船海軍の描写が味わえる映画というのは、この「デファイアント号の反乱」しかなかったと言っても過言ではない。
今見直しても、改めてこの映画の格調と、こまやかな描写にはシビれる(リアリズム勝負では「マスター・アンド・コマンダー」には一歩譲るだろうが、時代が違う。技術力が違う!)。


18世紀後半の帆走軍艦。海に出て、しかも艦隊から外れて独立航行となれば、全くの孤独な存在だ。陸地や他の艦と連絡を取るすべなどない、数百人の大所帯からなる密室。
それゆえに、階級制度の国イギリスならずとも、鉄の軍規と命令系統が要求される。だが、権威をふりかざし下を圧迫しすぎれば内部崩壊が起こるのも当然。

デファイアント号の艦長(アレック・ギネス)は人間的な、立派な人物だ。新しい副長(ダーク・ボガード)に悪評があると知っても、「自分で判断したいので」とあえて聞こうとしない。が、この副長(コネをかさにきて独断専行と鞭打ちが大好き)は、艦長と衝突し退けられると、なんと部下を使って、士官候補生として乗り組んでいた艦長の息子(まだローティーン)をいじめ抜くのである。息子を特別扱いするわけにはいかない。しかし、これでは下手すると息子は殺されかねない、と悟る場面が怖い…。さすがの艦長も一旦副長に対する手を緩める(勿論反撃のチャンスを待ちながらだが)。組織・集団のなかで「指導」と偽装したイジメの恐ろしさが胸に迫ります。

一方、この時期英国では実際に、劣悪な待遇改善を求める水夫たちの大規模な反乱が起こるのだが、それと同調してデファイアント号の水夫たちも、水面下で動いていた。副長の横暴は水夫たちの恨みを必要以上にかきたてて、慎重に確実に待遇改善要求を通してもらいたいリーダー(アンソニー・クェィル)はむしろ暴発寸前の仲間たちに苦慮するほど。
そして当然、フランス艦との戦闘も控えている。

戦時下、独航中の帆船という特殊事情のなか、二転三転する集団の力学が重奏的におりなすサスペンス。
そして、相容れない筈の、だがどちらも悪くない、艦長と反乱水夫たちの運命は…。

このジャンル独自の「お約束」をきちんと踏まえているからこそ、帆船小説に縁のない人には逆に、わかりにくい部分もあることでしょう。しかし帆船小説好きには宝物。
ありがとうルイス・ギルバート監督。
007なんかどうでもいいけど、この映画は宝物だよ~。
ちなみに、プロデューサーがジョン・ブラボーンなのにも気づいてびっくり。「オリエント急行殺人事件」や「ピーターラビットと仲間たち/ザ・バレエ」の人じゃないか。さすがだな~。

親サイト内にも以前書いた感想文があります。興味のあるかたはどうぞ。
(http://homepage3.nifty.com/Boatswain/door/defiant.html)


英国Amazonの商品ページは、

http://www.amazon.co.uk/H-M-S-Defiant-Alec-Guinness/dp/B00005U0JV/ref=pd_bxgy_d_h__img_a

えー、念のため。基本的に、海外盤DVDはリージョンフリー機がないと見れませんので。ただし、英国などヨーロッパ盤(リージョン2)はTVに映すのは無理でもPCでならそのまま見れます。コレは英国盤♪

ロイ・ビーン

2008年10月16日 映画
1972年、ジョン・ヒューストン監督作品。

ポール・ニューマン追悼し直し、といいますか(笑)
気になっていながらずっと未見だった「ロイ・ビーン」を借りてきました。

原題が、“The Life and Times of Judge Roy Bean ”。心のままにそこらへんのアウトローたちを吊るしまくった実在の“無法判事”ロイ・ビーンの半生。結構思い切った構成で、様々な登場人物(死人含む)による「語り」やセピア色の静止画像をはさみつつ、断片的なエピソードをつなげてゆく。

テキサスの辺鄙な町(最初は町と呼ぶすらおこがましいところ)で、「正義」と「法」を体現するのだ、と、銃を片手に胸を張る、どうみてもかなりヘンな奴なロイ・ビーン。もちろん自称判事、なんちゃって判事である(でも読み書きは達者らしい。実は見かけより学があるのかも?)。ついでに何故かリリー・ラングトリーという当時の有名女優(これも実在)に夢中で、裁判所兼酒場の名前は彼女にちなみ、壁にはポスターが何枚も。ファンレターも何通も出していたらしい…。直接見たこともないくせに(笑)

最初は突き放したようなタッチに驚くが、まるでホラ話のような、口アングリ系のエピソードが続く前半(白子の無法者なんか、まるでヘビメタなスタイルで笑ってしまった)、ロイ・ビーンが自分の「スタイル」を確立?するにつれ、だんだんホノボノした気分になってくる。ひょんなことからクマをペットに飼うことになり、愛妻(といっても未入籍のメキシコ娘)とクマを連れてピクニックにいくあたりなど、アンディ・ウィリアムズの歌をあしらい、まるで「明日に向かって撃て!」の『雨にぬれても』の場面みたいなノリである。“Marmalade, Molasses & Honey”というこの曲は、アカデミー賞にもノミネートされたらしい。なかなか愛らしい曲だ。

だが、横暴無頼なロイ・ビーンの法執行は、年とともに町が大きくなるにつれて、そこに住むようになった善男善女たちからは浮き始める。時代の変化に足をすくわれ、不運も重なり、寂しく町を去る首吊り判事。このころになると、見る者は判事にすっかり肩入れしてしまって、モーリス・ジャールの曲がまたわびしさをかきたてるのであった。
だが、はるかな年月ののち、彼はまた帰ってくる…
嵐を呼ぶ男、再見…(?)
そして、伝説は完結する。

ニューマンは、アホなのか変わってるだけなのかよくわからないトンデモ判事ロイ・ビーンを好演。全編ひげ面だけどコミカルなイイ味出してます。アホっぽい、泥臭い可笑しさなんだけど、例のブルーアイズをひげ面の奥からしぱしぱさせるのがなんか可愛い。そして、横暴なセリフの奥に悲しみを爆発させる場面は泣かせます。
アンソニー・パーキンスとかエヴァ・ガードナーとか、古株スターが所々にいるのもいいね。
ニューシネマ時代の西部劇らしい、ファンタジックでひねりをきかせた作品ですが(だいたいロイ・ビーンあまり強そうに見えない)、あのジョン・ヒューストンが、ニューシネマを撮っちゃってるてのが、この映画の一番凄いところなのかもしれない。
アリゾナ。
西部劇好きには、ちょっとココロあたたまるようなページ。

http://mybeautifulamerica.com/arizona.htm

ヨーロッパの方が好きで、アメリカ本土に行ったことはないのだが(ハワイへ一度と、飛行機のエンジントラブルでアンカレッジに一泊させられたことがあるだけ)、もしアメリカへ旅するなら、やっぱり西部だなあ。東部には興味ない…

付近にこんなのもあって、このほうがより西部劇好き向けだろうけど、エンディングがちょっと、日本人には醒めるとこもある(だいたい、ウィドマーク様の名を挙げないのは許せん。…チラリと出てなくもないのだけれど)。

http://oldfortyfives.com/thoseoldwesterns.htm

円高。

2008年10月11日 映画 コメント (4)
円高ドル安らしい。
調べてみると、英ポンドもいつのまにか1ポンドが172円にまで下がっている。
おお、凄い。たしか半年ほど前に見たときは220円台ぐらいだったと思うのに。
ひょっとしたらポンドの方がもっと安いか。

経済や金融には全く知識も興味もないけれど…

…やっぱ、米アマゾンか英アマゾンで、お買いものしてこよーかしら…(どきどき)

ウィッシュリストには「フロッグメン」とか「Road House(TV放映時邦題『深夜の歌声』)」とか「シャイアン」とか「大西部への道」とか入れてある。
ウィドマーク作品のみならず…「デファイアント号の反乱」とかも、一生待っても日本盤出ないような気がするから…

インターネットショッピングって、罪なシステムよね。

逝ってきます…
太陽に向って走れ  “Run for the Sun”
1956年、ロイ・ボールティング監督作品。
日本盤は出ていないので、英国盤DVDにて鑑賞。(字幕無しですが。ただ、ン十年前に録った吹替えのTV録画は持ってます。当然ウィドマークは大塚周夫さん)

日本じゃビデオすら出ていないのでネタバレ気味にいきます。
物語はというと…

メキシコのひなびた村。ニューヨークの雑誌記者ケティ(ジェーン・グリア)が、消息不明の作家ラティマー(リチャード・ウィドマーク)を探し出すべく、観光客を装ってやってくる。ケティはすぐに、村でだらだら遊び暮らしていたラティマーと親しくなるが、妻と友人に裏切られたことがきっかけで小説も書けなくなった…と苦しむ彼の姿を見て、スクープを諦めて村を去ろうとする。
彼女に惹かれ始めていたラティマーは、せめてメキシコシティまでは自分の飛行機で送ろうと申し出るのだが、ケティがうっかり磁石入りの鞄をコンパスの近くに置いていたため、飛行の方角を誤り、ジャングルの奥に不時着する羽目に…。

それでも、不時着地点近くの農場に住むブラウン(トレヴァー・ハワード)とヴァン(ピーター・ヴァン・アイク)の手で、二人は救出され、傷の手当も受けることができた。だが、荷物から銃が抜き取られていたり、ラティマーの機体が消えたり、そのくせ農場には別の飛行機が隠されていたりと、不審な出来事が続く。そして屋敷の周囲には獰猛な番犬が何頭も放たれている…

ブラウンたちは実は、奥地に隠れ住むナチの戦犯であった。このままでは口封じに殺されるだけ…。ラティマーは、新作小説の筋立て紹介にかこつけてブラウンの正体をあばき、取引を持ち掛けるが交渉は決裂。
ラティマーとケティは隙を見て屋敷を抜け出し、決死の脱出行を企てるが…。

銃を持ち、猛犬を何頭も連れたブラウンたちは執拗に追いかけてくる。女連れでのジャングル踏破はあまりにも過酷。だがラティマーは小説家とはいえ、アウトドア技術には長けていた(カジキ釣りやアフリカの猛獣狩り体験も豊富らしい。ヘミングウェイがイメージか?)。インディオからもらった山刀一本で道を切り開き、枝を切ったり縛ったりして罠を仕掛けたり弓を作ったり、野生の果物や魚を獲っちゃ、キッチリ夜の食事も確保。
うーん、サバイバル・ウェスタン「襲われた幌馬車」を思い出すなあ…アレも良かったが~(笑)

やがて、同じ道を行き来して臭跡をごまかし、一時的に追手をやり過ごすのに成功すると、ラティマーは決断する。「この隙に農場へ逆戻りして、ブラウンたちの飛行機を奪う!」
再び、さっきまでと逆方向へ(疲労困憊のケティを抱えながら)、決死のダッシュが始まるのだ。
でも、二人の得たリードなどわずかなもの。武器らしい武器もないのにどうなるどうする?
このジャングル逃亡劇、最後の20分のドキドキは凄いです(ちなみに96分の映画。このくらいのほうがいいよー)。

まあ時々、主人公たちのツメの甘さが出るトコはありますが、しろーとさんなんだしねー。軍人でもスパイでもないし。…大目にみましょう。

しかし、なんでこんなにサバイバルが似合うんだろうウィドマーク様、体格なんか全くフツー人なのに。
いや、体力ではなく、知恵と工夫と気力で苦難をのりきる姿がカッコイイんだな。
サバイバルにしろ、屋敷内をこっそり探りまわる動きにしろ、とにかく精悍!この一語に尽きる。しかも、元々のキャラがそうだから、じゃなく、演技でそうなってるらしいのが逆に凄いといつも思います。

ついでに今回、登場時は少年のように泥んこになって船遊びしているのが、ケティと知り合ってからちょっとこざっぱりした服装になるのが笑えます。ちょっと変わった開襟シャツ(ポロシャツ?)を着ていて、さりげにオシャレ。半袖はぐりぐりと少しめくりあげて、襟の後ろはちょっと立たせて。この人の現代劇はスーツ(軍服含む)で決めてる場合が多いので、珍しいパターンですが、たまにはこんなのもいいな★

ヒロインのジェーン・グリアはいかにも英国の女優さんらしく、知的で落ち着きがあり、ちょっと取り澄ました感じが(ある意味オバサン臭くもある)、デボラ・カーにも通じるようなタイプ。カーほどの大美人じゃないけど、横顔はかなり素敵で、ウィドマークとのマッチングも結構良かった気が…(追記・英国の女優さんじゃなかったと後日判明。でもスコットランド貴族だか王族だかの血は入ってるらしい)

最近知ったトリビアとしては、この映画製作時、彼女は不衛生な沼地のロケで怪我をして、悪い菌か何かにやられてそれで結構長く苦しめられたそうな。だからあまり他に作品をきかないのかなぁ…好きな映画なだけに、ある意味結構ショックでした。

…そして、実は、私がウィドマーク様の魅力に目覚めたのは、この作品(TV放映)から(それまでほとんど見たこともなかった)。小粒だけどぴりっと味のあるアウトドア・アクションの佳作だと思います。悪役のトレヴァー・ハワードも手堅く締めてくれてるし。

それにつけても、DVDは画面が美しくて素晴らしい。
並行して、どーしても気になる場合確認できるよう吹き替えVHSも回しているので比べると眩暈がしたほどだ(笑)。…ああ、字幕があれば言うことなしだったのだが。
小説家ならでは?セリフ回しも多少ひねった所もあるようだったし。吹替で「猛犬ども」と言ってた所でオリジナルが「バスカヴィルの犬ども」だったのには笑った。

http://www.amazon.co.uk/Run-Sun-Richard-Widmark/dp/B0019GJ3ZC/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=dvd&qid=1223595709&sr=8-1(英国Amazon)


≪追記≫
その後、なんとドイツ盤で英語字幕つきディスクが出たので買ってしまいました(爆)
http://13374.diarynote.jp/200908222128078235/ 参照。
1961年ロバート・ロッセン監督作品。モノクロ。

ニューマン追悼鑑賞。以前買って未見だったコレが家にあったので。

…若きハスラー、エディをギラギラした餓えを漂わせてハードに演じ切るニューマン。クールなモダンジャズをバックに、ノワール的な暗い情熱を感じさせる一品。
悪徳マネージャー(ジョージ・C・スコット)の迫力も凄いし、ひとときエディを癒してくれる孤独な娘パイパー・ローリーもまさに捨て身な熱演。不器用に進行する二人の恋も、勝負師の業にスポイルされてゆくのですが…

ですが、…すいません。…やはりあまり私の趣味ではなかったです~。m(__)m
実は見る前から「あまり趣味ではないだろう」と思ってたから未見だったんですー。引き締まった出来のよい作品だとは思うのですが…普通なら星四つか。
白状すると、二枚買ったら安くなるキャンペーンで他に欲しかったディスクと抱き合わせで買ったんですぅ…(ちなみに本命ディスクは「007/カジノロワイヤル」。ダニエル・クレイグでなくデヴィッド・ニーヴンの)。

だいたい、若造なエディよりむしろ彼が挑む超大物ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリースン)の方にウットリしてしまいそうになる私は、やはり追悼にこの映画を選ぶべきではありませんでした。いや、その名の通りのデブなオジサンなんですが、どこまでもダンディで器の大きさを感じさせて、ちょーカッコイイんですね。玉突きの『伝説的名人』の名にふさわしい存在感。
ニューマン追悼はあと少し後期の、ギラギラが少し枯れてからの作品にすべきだったです。再見でいいから「明日に向かって撃て!」もしくは「スティング」あたりにすべきでした。
ごめんなさいポール~(T^T)
ポール・ニューマンが亡くなったそうです。

83歳だし具合が悪いと聞いていたので、覚悟は十分ありましたが、
はぁぁ…。

50年代に活躍を始めたひとだけど、演技派で突っ張ってた若い頃より、60年代以降のヨユウの笑みといたずらっぽいブルーアイズのきらめきで魅了するニューマンが好きでした。「明日に向かって撃て!」なんか、学生時代に何度見たことか。
(とか言って90年代以降の彼は全く見ていないけど)

ご冥福をお祈りします。

(追記)アレ?YouTube動画リンク画像出ない?…タイトルクリック(orコメント)でこの記事単独で表示すればちゃんと出てるんですが。なんでや。
1934年、エルンスト・ルビッチ監督作品。モノクロ。

レハール作曲のオペレッタ「メリイ・ウィドウ」は元々好きだった。
甘々すぎて切なさとほのかな頽廃すらにじむワルツと、素敵に調子のよい「女、女、女のマーチ」や「マキシムの歌」。マキシムの歌なんかドイツ語歌詞で歌えちゃうよ、もう。ダァ・ギィ・イッヒ・ツゥ・マキシーム♪ドート・ビン・イッヒ・ゼア・インチーム♪(訛りまくり!)

おまけに監督は艶笑喜劇の帝王ルビッチだ。国一番のプレイボーイ・ダニロ伯爵(モーリス・シュヴァリエ)の手練手管が面白く描かれていないわけがない…

ただし、元々のオペレッタとは相当ストーリーは変わっていた。
なまじオペレッタを知ってる人は、全く別物と思って見るべし。

ヨーロッパの極小国マーショヴィア(勿論架空)きってのプレイボーイは、近衛大尉のダニロ。村娘から女王陛下まで、彼の勇名を知らぬ女性や憧れない女性は滅多といない。今日も今日とて黒いヴェールに半ば顔を隠した美しい未亡人の、ベランダに強引に侵入して口説きをかける。
根が真面目な未亡人ソニア(ジャネット・マクドナルド)ははねつけるが、遠ざかっていたロマンスの香りに内心揺れる。ところが恋多き男ダニロはあっさり引き下がってそれっきり…なんだか悔しい気分になったソニアは気晴らしを求めてパリへと発つ。
ところが、ソニアが他国人と再婚して財産が国外流出したら、国自体が破産しかねない(極小国だから)。心配した王と大使は、そんな事態を防ごうと「マーショヴィアで一番の色男」をパリへ派遣することに。当然白羽の矢が立つのはダニロ。

が、任務そっちのけでキャバレー「マキシム」へ出かける彼を、たまたま見かけたソニアは悪戯心を起こし、新しいグリゼット(踊り子)の振りをして近づく。ダニロはソニアに夢中になるが、一夜の遊びでなく真剣な恋こそ欲しいと思う彼女は、結局彼を振り切って逃げだしてしまう。翌日、大使館のパーティで正式にソニアに引き合わされたダニロは呆然…

原作のオペレッタでは、莫大な財産の存在が、相愛の恋人たちの邪魔をするのだが(財産目当てと思われたくない男と財産のせいで男の愛を信じきれない女の意地張り合いドラマだ)、映画ではむしろ、遊びの恋か永遠の愛か、で、男と女の駆け引きが繰り広げられる。

…いかにもルビッチだなあ
おバカな王と大使のムチャな「陰謀」に、腹を立てつつも結局ノってしまうダニロとソニア。いいじゃないの♪幸せならば…ですね。
ミュージカル仕立てなのでかなりギャグも多めです。
マキシムのテーブルについた彼と彼女の、おすまし顔でバストショット固定のまま、「…手を離して」「蹴るのはやめてくれないか」「私の靴、返してよ!」のあたりなど、あーもうやってくれるね、です。画面の外テーブル下でナニが進行してるのか。間接話法が逆にエロくて可笑しい。何でもそのまま映せばいってもんじゃないですね。

シュヴァリエの本当に若い時期の映画は初めて見たけど、期待通りに小粋でカワイイです。たいして美男じゃないけど(フランス男は美しくなくて普通だね)、とにかく愛敬があって憎めない。マキシムに繰り出して女の子に埋もれつつ踊りまくるところとかカワイイ!男も愛敬、なんですよね。
マクドナルドのソプラノも、有名なアリア「ヴィリアの歌」など聞きどころたっぷり。
楽しかったです~☆

話を戻すと、原作オペレッタはウィーン・フォルクスオパーの舞台(TV放映)を見て好きになったのでしたが、この時のダニロ役がペーター・ミニッヒという人。なんだか実に、ウィーン製シュヴァリエとでもいうような笑顔のカワイイ小粋なオジサマで、即ファンになったのでした。
「ミスター・フォルクスオパー」なんてCDも出してるようですが、やー、ホントに男は愛敬で…

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%91%E3%83%BC/dp/B000050PUU/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=music&qid=1222526811&sr=1-4
1940年ハワード・ホークス監督作品。モノクロ。

辞職して田舎で静かな生活をと考える敏腕記者と、それを何とか引き留めたい、無理ならせめてあと一本は記事を書かせたい編集長。
四回も映画化されてるネタだそうだ。
実際、ビリー・ワイルダーが監督した1974年作「フロント・ページ」は、学生時代に既に見ている(こちらは記者と編集長がジャック・レモンとウォルター・マッソー)。
ワイルダーとレモンとマッソー、というだけでクォリティ十分なのだが、そのワイルダー作品よりもさらに上と言われることの多い「ヒズ・ガール・フライデー」。
記者が女性(ロザリンド・ラッセル)で編集長(ケイリー・グラント)の元妻という、男女関係のヒネリも加わって期待が高まるが、どうしたんだろう?

普通に面白かった。
普通に…

あれ?
…えーと…しかし…なんというか、「とんでもなく面白い」というのを期待していたんだけど?
やー、面白いんですけどねえ。スクープのためなら手段を選ばぬ編集長グラントの恥知らずっぷりは期待通りです。なんてスマートな人非人なんだ!ピンストライプのスーツがキリリとカッコいいラッセルが、そのへんは重々分かっているのでトロくさい婚約者を編集長の魔手から守るべく丁々発止、とやってるうちに結局は記者魂がつい再燃しちゃって…なさまも、また楽しいです。

が、「フロント・ページ」より面白かったかどうかと言われたら、大筋がわかっちゃってるからかもしれないが、微妙なものがあるような。

ドタコメながら格調が高いのは「ヒズ・ガール・フライデー」ですし、記者室の描写など、誇張で笑わせつつもなんだかシリアスな説得力があるのも認めます。
そして、だいたい私はグラントはかなり好きなほうなんだが!

なぜ、「思ったより、びみょー」と感じるんだろう???やっぱり期待しすぎた?

実は、コメディ監督としてのホークスはこれまであまり賞味してきたことがないのでした。「赤い河」「リオ・ブラボー」は確実に好きな映画なんだけど…
コメディにおけるホークス・タッチがつかめてないのか。

「フロント・ページ」を再見して確認してみたいなぁ。
それとも「赤ちゃん教育」とか、他の高評価ホークス・コメディを試すべきかなあ。

ただ、このオハナシを全く知らない人には、もう問題なくオススメです。スピーディなやりとりと、同じくスピーディでトンデモな話の展開には腹をかかえて笑わずにはおれないことでしょう。
すばらしいすばらしい…DVDって。
今日も疲れたまま出勤して、逆に目がさめるくらい忙しかったが、晩には「悪の花園」DVDが届いた。

…すばらしい…
なんて画面がキレイなんだ!!!
こないだ見たVHSとはダン違いだ(50年代の映画だものなあ)。
先週日本語字幕版見たばかりだから、英語字幕しかなくても全く疲れないし(爆)

三枚組の残り二枚は一生見ないかもしれないが、買ってよかった。癒され〜☆
悪の花園
1954年、ヘンリー・ハサウェイ監督作品。

中南米が舞台の、ちょっと変則なカラー西部劇。
金と美女につられて、インディアンの跳梁する危険な奥地へと踏み込む男たちの物語には、多少ノワールっぽい雰囲気もある。ヒロインの扱いは所謂“ファム・ファタール”そのものである。
バーナード・ハーマンの、やっぱりハーマン節だなあ(苦笑)としか思えぬサスペンスフルで個性的な音楽も、西部劇的な爽快感とは相容れない。

メキシコ?のしょぼい港町。乗っていた船のエンジン不調で足止めを食った男たちに、「大金を払うから、鉱山の事故にあった夫を救出に行くのを手伝って」と、見るからに勝気そうな赤毛美人リー(スーザン・ヘイワード)が声をかける。
何週間も船を待つよりはと、元保安官のフッカー(ゲイリー・クーパー)、ギャンブラーのフィスク(リチャード・ウィドマーク)、賞金稼ぎデイリー(キャメロン・ミッチェル)、そして地元の荒くれ者ビンセンテ(ヴィクトル・マヌエル・メンドーサ)がこれに応じ、彼女の道案内で出発する。トラブルを経ながらも何日もかけて辿り着いた金鉱で、彼らはリーの夫フラー(ヒュー・マーロウ)を救出し、デイリーとビセンテはついでに金も掘り出して帰るぞ♪とご機嫌だが、攻撃的なインディアンたちはすぐそばに迫っていた。

金鉱は誰も近づきたがらない火山地帯にある。悪の花園、というが厳密には「悪霊たちの庭」とインディアンたちが呼ぶ場所で、道中も大自然の作る奇観や崩れかけた教会など、なかなか目に楽しい背景がカラーで楽しめるが、人間関係は美しくない。否応なく男たちを惹きつけるリーの魅力がトラブルを呼ぶのだ。せっかく助けに来た夫にまで何だかムチャクチャ言われてる彼女は、“改心した悪女”なのか。
そんな中ではあくまで彼女を「夫を助けようとする、ちゃんとした女性」として扱うフッカーが、積極的に出るわけではないが最後にリーとくっつくのは目に見えている(^^;)
ただ、スーザン・ヘイワードがそこまで悪魔的なオーラを発しているかというと微妙かなあ。決して嫌いじゃないんだけど、むしろキリっとして好みの容貌だけど、私には、あまり底知れなさは感じさせないんだなぁ彼女。

では映画のどこが魅力かというと、男どもの中で人間的に(そしてギャラ的に(笑))上位の、不言実行タイプの優等生フッカーと、斜に構えた皮肉屋だが芯は一本筋の通ったフィスクの男の意地と友情のドラマ。この映画、やたらとキザな台詞が多いのだが、その大半を担当するウィドマーク様が相当目立っていて嬉しい♪なにしろ、“ギャンプラー兼詩人”を自称してますからこのキャラ。

三つ揃いをビシリと着こなした洒落者ぶりは「廃墟の群盗」にも通じるが、しかし今回はヒーロー側。前半のアクション場面(とヒロイン)は大先輩クーパーに譲りつつ、インディアンたちの猛攻に次々と仲間が倒れてゆくなか、主役二人を逃がすため死地に赴く、美味しいクライマックスが☆
そして、リーを安全地帯まで送ってからとんぼ返りしてきたフッカーとの最後の会話場面がまた、なかなか。瀕死のフィスクが吐き続けるキザ台詞を、「あんたは何でも知ってる(フィスク談)」なフッカーがここだけは、どう声をかければいいんだ、というような動揺を押し隠した表情で受ける様が、盛り上げます。
私、クーパーあまり好きではなく苦手感あったのですが(彼の若い時もオジサンになってからも)、なんだか初めて「クーパーもちゃんと締めるところは締めるんだな」と納得。

まあとにかく、一枚看板で主役を張ってる作品ではないものの、ウィドマーク・ファンはやはり押さえててヨシ!な映画でした。(*^^*)

実はもう少しすれば米国盤DVDが届くので、図書館の日本語字幕版VHSで予習(笑)…といっても、ほんとはずーーーっと前にTVで一度は見てる筈なので、復習か。
米国盤は英語字幕のみだからねぇ。でもVHSは予想通り画像悪し。
FOXのスタジオ・クラシックスあたりで出ないかなぁとグズグズしていたが、もう諦めた…(この三枚組、ジャケットのうち真ん中の作品「拳銃王」だけは出てるのだが。ちぇ)

最近ちっとも新譜出ないねスタジオ・クラシックス…(涙)

http://www.amazon.co.jp/dp/B0014BQR1A?tag=boatswascot-22&;;;;;;;;camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=B0014BQR1A&adid=0N516NTJE1FD0AM8Z24Z&


<追記>忘れたころにリクエスト・ライブラリーで出すFoxのバカ…
太陽に向って走れるか
昨日「太陽に向って走れ」のDVDキボンヌ〜と書いたばかり。私の知る限り、字幕皆無のスペイン版しか出てなかったから。日本盤とまでは言わないが、英語字幕のついたモノ出ないか!と、また検索してみたら(定期的に米英密林検索をしてる)、えッ!

英国盤が出た!?

うおおおおおおおおー、とかオタケビをあげつつ商品詳細を見たのだが、発行元がOptimumでがっくり。ここは字幕なしの廉価タイトルを出すとこなんだよなー…
DVDbeaverにもレビューがあって「字幕・特典はないが画質良好」と駄目押し(涙)
英盤が出ちゃうとかえって、字幕あり米国正規盤?なんか、当分出ないのでは?

Optimum、「悪の花園」とか西部劇の廉価シリーズを出した時もジャケットの格好良さにシビれたが、今度のもなかなかである。
「太陽…」は、私としても何度も見ていて手元にTV放映(吹替・激古・画質悪し)の録画VHSもある。だいたいこの映画で、ウィドマーク様の魅力を初めて知ったのだった。
ここは泣き泣きジャケ買いするというのもアリかもしれない…しれない…が…

とりあえず、ウィッシュリストに入れて、と…

ふぅ…

そーいや「悪の花園」も、Optimum版と別に英語字幕有り米盤が出たのをいまだにウィッシュリストに入れたまま保留にしていたのだった。
せっかく字幕があるのに何故かグレゴリー・ペックの「拳銃王」タイロン・パワーの「狙われた駅馬車」と三本組の、三枚セットなのだ。
三枚組でも実は二千円台前半(送料込)でしかも日本密林で買えてしまうので、全然損な買い物ではないのだろうが、見る気がないもの(英語字幕だとやはり少し疲れる)を一緒に買うのは、何となくひっかかる。

ふぅ…

とりあえずお盆の今週。
ウチの職場に盆休みはないが、塾や学童保育には盆休みがあるので、有休を少しだけ取って息子を実家に連れてく予定。
ここ二週間は二回連続土日出勤で結構過酷だったから、自分もちょっと骨休めしながら、ぼーっとお悩み続けることにしよう。

シゴトや育児等に比べりゃ、よっぽど気楽で楽しい悩み事である。

DVDbeaverのレビュー↓

http://www.dvdbeaver.com/film2/DVDReviews39/run_for_the_sun.htm

≪追記≫注文しちゃいました8/15(笑)。
ワーロック(1959年)
エドワード・ドミトリク監督作品。リチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、アンソニー・クインと個性派名優揃い踏み。

米国版DVDで鑑賞。英語字幕しかないけど…まあなんとか…
かなり昔にVHS借りてみたきりだったと思うが、昔受けた印象ともほぼ変わらなかった。うん。

近場の牧場から悪のカウボーイ軍団が訪れては暴れ回る西部の町・ワーロック。
繰り返される狼藉にウンザリした町民は、著名なガンマン(と相棒の賭博師兼酒場経営者)を雇う。一方、牧場で働くカウボーイたちの中にも、悪事に嫌気がさして正しく生きたいと、ひとり町へ残った男がいた…

カネで買う力による平和とは、理想を追えば追うほど虚弱にうつる正義とは。
ひねった人間ドラマと社会風刺の要素が、一筋縄でいかない西部劇を作り上げている。緊迫した展開に引き込まれる。特に後半は目が離せない!…が、素直に面白いと言い切れるかどうかは微妙かな〜(笑)

凄腕ガンマン・ブレイズデル役にフォンダ、これはもーどうしようもなく強そう。物静かだけど凄味が…さすがとしか。
彼に対してちょっと歪んだ妄執を見せる相棒クインもハマリ役。銃を取れば無敵のコンビなのだが、変化への予感がやがてクインを狂わせる。そして、倒れたクインの姿に、彼の狂気が乗り移ったかのような乱れをみせるフォンダがまた何とも…(クインをお姫様だっこするフォンダはそのスジの方には必見?…いやぁ、フォンダってちょっと見の印象よりよっぽど大男なんだよね…)

そしてずっとずっとずっと、悩ましい表情の抜けない「正義の側へ寝返った男」ギャノンが御贔屓ウィドマーク(トップ・ビリング)。
正直フォンダの方が目立つのだが、ここは誠実に抑えて演技すればするだけ、最初から損な役回りなのは仕方がないだろう。
だってギャノンは「普通の男」なんだから。
だいたい、ブレイズデルと比べて実力がどうこうという以前に、かつての悪仲間に利き手を傷つけられて、格好よく勝つなんて展開はハナから封じられているのである。普通の男にすぎないのに、どんなに勝ち目がなくても「基本はあくまでも説得で」とスジを通すことにこだわるのは、悪い仲間に引きずられて犯してしまった昔の罪への贖罪か、悪の道から救い出しきれなかった弟への思いか。泣かせます。
ちょっと崩れたカンジの、ブレイズデル達に「復讐を誓う女」ドロシー・マローンがあっという間に彼を慕う「ただの女」になってしまうという展開も無理ないか。

…愚直なまでの彼の行動は町の人々の心を動かすけれど、ブレイズデルとの直接対決はさすがにもう、「みんなで力を合わせて」なんてレベルを超えている。そんな、痛ましいような愚直さを、本来の“控え目な体格”(笑)を生かして、一種の弱々しさを漂わせつつ演じるウィドマークは、やっぱり真面目だ…。
(むしろ、あの体格で何故タフガイ役があんなにいつも上手いのか、とか思うべきか)

とはいえ、ミーハーとしての私が一番見たいのは、やっぱりタフでカッコイイヒーロー役なので、ホント「六番目の男」とか「太陽に向って走れ」とかを早くDVD化して欲しいよーというのが、最終的な感想でした(笑)
英語字幕しかなくても我慢するから…

http://www.amazon.co.jp/dp/B0007PALQG?tag=boatswascot-22&;;;;;;camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=B0007PALQG&adid=0X4SADA66KAH6SM01PF2&
疲れていると、ついAmazonのウィッシュリストから何か買ってしまったりする。土日も連続出勤だしさ(いつ見るのやら?)。まあ、このリスト内、案外高いものは入ってないから(海外盤DVDってホント安いわ…)何時でも買えるんだけどねえ…

今日はふと「折れた槍」の、米国盤DVDをポチってしまった。送料込約1400円。
日本じゃDVD出てないんだもんなあ(画像はVHS)。
英語字幕があるから、まあ何とかなるでしょ。ウィドマーク様の役どころには物足りないものはあるのだが(ヒーロー役ではない)、とりあえずコレクションの一環として…

そしてついでに、“Death of an Angel”もポチってしまった。これはかのヨットレース小説「至高の銀杯」の三巻目完結編。これも三巻目だけ邦訳が出てなくて気になってたヤツ…原書のペーパーバックの中古が意外と安く出ていたので、いちおう試すことに。
最後まで読み切れるのかあやしいけれど、そもそも届くのかがあやしい。実はAmazonでこの本を注文するのは三度めなのである。
二回頼んで二回とも「手に入りませんでした」とのメールが届いてキャンセルさせられたのであった。果たして、三度めの正直はあるのか?(笑)

偽装の女

2008年8月5日 映画
1937年ジョージ・スティーブンス監督作品。

若いキャサリン・ヘプバーンが見たくてスカパーで録ったのだが、なんとなくスッキリしない展開のコメディだった。

舞台は英国、1805年。大好きなお医者のブラウン先生(フランチョット・トーン)がプロポーズに来てくれた!と期待したら、にっこり笑って「これから戦争に行きます」とのご挨拶。がっくり見送るフィービー(ヘプバーン)の上に月日は流れ…
10年後、彼女は姉と学校を経営して暮らしをたてていた。そこへ戦争が終わって凱旋してきた"大尉"ブラウンがやってくるが、彼の驚いた顔に、「どーせ私はすっかり地味なオールドミスになったわよ」と憤慨。ドレスと化粧で若作り(笑)してみたら別人のように受け取られたので、「フィービー(30才)の姪(20才)」と自称して、ハタチにふさわしい奔放な言動で彼を振り回してみるのだが?

…お約束、ということかもしれないが、そんなに別人に見えないんですけどねえ(^^;)
そしてそれ以上に、ブラウン先生がトーヘンボクすぎて理解不能。
出来の良いコメディならば、「ムチャな設定」も道理を押しのけて爆笑を呼ぶのだが、終盤「若い頃の叔母さんにそっくりな君にウットリしてしまったが、やはり僕が愛していたのは叔母さんのほうだ」とか言いだすくらいなら、何で10年前にチラっとくらいでも求愛の態度を見せなかったのか?と、どうにも納得がいかない。そうなると、納得のいかない相手に惚れてるヒロインの魅力も目減りするのだ。

とっても若いキャサリン・ヘプバーン、確かに可愛らしいのだが、何だか消化不良な作品でした。時代の違いもあるのかもしれないが…ううーん。

お買いもの。

2008年7月18日 映画
白神山地もいくから足元はサンダルではまずい」と、旅行のわずか二日前に言う相方に怒りながら(二日前まで旅程をろくに聞いていない自分にも問題ありか?)、たまには残業なしでびゅっと帰って駅ビルの靴屋へウォーキングシューズを買いに行く。

同ビルにはソフ×ップもある。「刑事マディガン」DVDが今月再発売されてたので、溜まってるソ×マップポイントで買っちゃった〜♪(でも映像特典皆無、日本語吹き替えもついてるけど大塚周夫さんじゃないみたいって、何か貧しいDVDだなあ(涙)私はウィドマーク本人の声が気に入ってるが、大塚さんならチラっと聞いてもいいなー、定番アテレコ懐かしいしと思ったのだが、TV放映時の大塚さんじゃなきゃ不可。不要。声質はちょっと違うが雰囲気よく出してたもんね。以前雑誌のインタビューで、ウィドマークの映画を見て自分から「ぜひウィドマークのアテレコをやってみたい」とTV局に売り込みにいったと聞いたぐらいだから)

そしてiPod売り場ものぞいては、うーん新しいiPod Shuffleって本当に小さいな、欲しいなあと思いつつ…こんなに小さいとますます無くしやすいかもなと、ちょっと不安でもあるが。
旅行は明後日からだが、ひょっとしたら明日帰りに衝動買いしちゃうかも…。

ああ神様、今夜か明日朝中にiPodが見つかりますように…

極楽特急

2008年7月14日 映画
1932年、エルンスト・ルビッチ監督作品。モノクロ。

高級ホテルの裏、ゴミ捨てのオッサンが数歩歩くと水辺に出る。水上にはゴンドラ(ゴミの捨て場までゴンドラ…)、どこからか聞こえるカンツォーネ。
…なるほど、ヴェニスね。

ついこないだまでサイレントの時代だったという気配はあるが、とにかく大変流れが分かり易い。ホテルで起きた盗難事件から、同じホテルの別の部屋で、お洒落な男と女の逢引場面、そしてドロボウの正体まであっと言う間(もちろん犯人が分かるまでは導入にすぎない)。そして、意気投合した紳士泥棒(ハーバート・マーシャル)と女泥棒(ミリアム・ホプキンス)は、次にはパリの女社長(ケイ・フランシス)を狙うが、秘書に化けてもぐりこんだら美人の女社長と三角関係になって…
こう書くとドタバタに思えるかもしれないけど、とても上品なコメディ。女社長にはおかしな求婚者が二人もいて、その気になればもっと笑わせることはできるんだろうけど、あえてロマンチックに力点を置いてる感じ。
前半はのんびりしているが、後半は、泥棒の正体はバレるのか、彼はどちらの女性を取るのか、の二重の引っ張りで結構身を乗り出して見てしまいました…

とにかく主役三人がみんなお洒落で魅力的。「生活の設計」でも可愛かったホプキンスはここでもキュートな泥棒娘。ハーバート・マーシャル、とびきり美男てほどでもないが「りゅうとした」という表現がピッタリの、小粋でスキのない着こなしがカッコイイ。いかにもデキる男のようでいて、そのくせ、眉毛を八の字に下げて微笑むと、ソコハカとない優雅さとロマンチックがにおいたつ(勿論、適度なうさんくささも(笑))。「白昼の決闘」とかの“昔は男前だったろーなーなお父さん”しか見たことがなかったが、うむむ、なるほど男前だわ本当に。
そして、ケイ・フランシス!彼女がまた凄く魅力的。大金持ちの綺麗な未亡人、女泥棒とは対照的に、オトナでありながらおっとりとした可愛らしさと上品な色っぽさを見せつけて圧巻。
ルビッチ・タッチとはこれか…という、ノン・アルコールでほろ酔い気分にさせてくれる芳醇なオトナのロマンチック・コメディでした。
秘密諜報機関
1961年、フィル・カールスン監督作品。モノクロ。
今回ネタバレあり(原作ともどもに)。

この映画の原作はアリステア・マクリーンの「最後の国境線」。学生時代、マクリーンで“冒険小説”というジャンルに目覚めた私であるが、彼の小説中でも上位とされる冷戦スパイ・アクションの傑作とあって、どの程度のデキかとドキドキしながら視聴(DVD出てないのでVHS)。
…あまり評判を聞かないので、「期待しすぎないように」と己を戒めながらですが(^^;)

主人公は、借金で首が回らず金目当てに仕事を請け負ったアメリカ人の雇われスパイ・レイノルズ。原作では英国の諜報部員ですが、リチャード・ウィドマーク主演だからこの改編はまあ仕方がないか。以下、映画版のストーリー。

レイノルズは地下に潜っているハンガリーの反共運動指導者の救出のため、まず彼の娘ジュリア(最近西側へ脱出したばかり)から居所を聞き出すべく記者になりすましてウィーンへ。
謎の男(シャルル・レニエ)の妨害にあいつつ見つけ出したジュリア(ソニア・ツィーマン)は、強引に国外に脱出させられたが父のもとに戻りたいから一緒に連れて行けと、強引にブダペストまで付いてきます。国境駅での厳しいチェック、ブダペスト到着後も課される厳重な監視…そのスキをかいくぐり、ようやく会えた指導者の“教授”(ウォルター・リラ)は「死など恐れない、一人でも余計に救えるのなら本望だ」と脱出を拒否。教授の信念の強さにうたれて一旦レイノルズは引き下がるが、ハンガリー秘密警察の魔手は予想以上の早さで迫り、彼らは教授ともども囚われ拷問を受ける羽目に…

モノクロにしたのはシリアスなスパイ映画としてのリアリティを高め、成功だったと思う。迷路のような東欧の夜はいかにも冷戦時代のサスペンスにふさわしく、ヨーロッパ俳優でまとめたのも、地味にはなったが雰囲気は出ててよろしい。ウィーンでジュリア探し中に、ちょこっとウィドマークにからむ金髪で色っぽい謎の女センタ・バーガーも、知的で「普通のお嬢さん」ぽいツィーマンと対照的でナイス。出番があれきりなのは惜しいかも。とはいえ、ウィーンで時間取りすぎたのはマイナスかな〜
しかしそもそも、ブダペストでロケなんてまともにさせてもらえる訳ないから仕方ない?誰が敵で誰が味方か予断を許さぬ展開は、後半の方がスリリングで面白い。

そしてなにより!原作では東側に拉致られた西側の教授を救出するのが使命で、途中地下組織のリーダー・ジャンシたちの手を借りる(そしてジャンシの娘ジュリアと出会う)だけなのだが、映画では強引に一人のキャラにまとめられた(映画の字幕は“ヤンシー教授”)。登場人物が多すぎると整理されたのだろうし、舞台をウィーンに半分移すための改変かもしれないが、これはやはり残念だった。
ジャンシは圧政と戦ってはいるが、そのために家族の大多数を失ってきたにもかかわらず、システムを憎んでも人間を憎むまいとしている非常に理想主義的なキャラクター。拷問室内で、苦痛に耐えながらその信念を主人公に語る場面など大変感銘を受けたものである。あまつさえ、ラストは娘を主人公に託して「まだやることがある」と、危険なブダペストヘと戻っていくのだ。
映画ではギリギリの逃亡劇を繰り広げた末に、結局なりゆきで主人公や娘と共に脱出をとげてしまうのだが…アメリカ映画だと仕方がないのでしょうかねぇ。
拷問室シーンも簡略化されてたし。とはいえ、毅然とした態度に主人公が感銘を受けるのは映画も一応描いてはいた(拷問室ではなくアジトでの会話で)。スレた雇われスパイが、カリスマ指導者の信念と人格にうたれる…というところはキチンと表現してくれてますウィドマーク様。基本的にこまやかな演技のできる人だから。そして、やたら殴られる場面が多いのを見ていて、うーむ、マクリーン原作な映画には向いてる人だなーとも思った。肉体的心理的両面とも、傷つけられた時の演技が上手いから(笑)

とか考えるとますます、「ナヴァロンの要塞」のミラー役が彼だったらと思わずにはいられませんなあ。これまた大好きな、マクリーン代表作のひとつ。ナヴァロンへの潜入チームのうち爆発物専門家ミラーが「一人だけ」アメリカ人だったのですが、映画では元教授の変わり種英国人…という設定に変えられ、デヴィッド・ニーヴンが演じました。いや、ニーヴンも好きなスターなんだけど、ウィドマーク様なら「100%原作通り」なミラーをやれたのになーと思うと残念至極(^^;)

脱線しました。
まあそんなわけで、原作ファンにはやはりちょっと残念なって感じ(原作を超える映画なんてなかなかないけど)の作品。それでも監督カールスンがどこかのインタビューで「OO7みたいなユーモアを交えたスパイ・アクションにしたかったのにウィドマークが理解してくれなかった」とか言ってたのを見ると、「ウィドマーク様が正しい!」とか思いますけどね。シリアスが正解。中盤、深夜にホテルに戻ったウィドマークが酔っ払いのふりをして役人をごまかす場面など、ユーモラスなんだけど(そしてウィドマークもそーゆーの上手いんだけど)、ちょっと浮いてたっけ。監督との意見の相違のせいかしら。ちなみに音楽もこの場面浮かすのにあずかってた気がする。音楽、今や超大物扱いのジョニー(現ジョン)・ウィリアムズなのだが、この人好きじゃないんですよ私、昔から。

実はウィドマーク本人の製作で、脚本は実の細君ジーン・ヘイゼルウッド。珍しく内輪なつくりのこの映画は、彼なりにチカラの入ったものだったのかも。不満はあるものの、ウィドマーク様がマクリーンのファンだったのかと思うと、それは何となく嬉しいな♪

画像は、公開当時の「スクリーン」の記事からスキャン…☆

サリヴァンの旅

2008年7月7日 映画
1941年プレストン・スタージェス監督作品。モノクロ。

喜劇を作らせては定評のある映画監督サリヴァン(ジョエル・マクリー)は、実は社会派の映画を作りたいと考えていた。大学出で苦労知らずのインテリのくせに、と反対された彼は、浮浪者の格好をして、貧困や社会悪を実体験する旅に出るのだが…

前半はどこまでもドタバタ・コメディ。まじめな考えからとはいえ、イマイチ「苦労知らず」な発想で動くサリヴァンの悪戦苦闘には苦笑するしかない。まあ、ジョエル・マクリーの朴訥な面構え(良い意味で頭良くなさそう)が、嫌味になりすぎるのを救ってるって感じ。だがそれだけに終盤のシリアス方向への急展開が効いてくる。言うなれば「貧困」にしっぺ返しを食らい、怪我でぼーっとしてる間に身元不明状態で刑務所にぶち込まれた彼は、いかにして脱出できるのか!なかなかハラハラさせられました。

映画作りについて、これほどの苦労?をした上で出した彼の結論を、人によってどう思うか知りませんが、私もやはり喜劇作家を珍重するなあ。うんうん。笑いを生みだす才能はやっぱ貴重ですよ、ええ。
…まあ、良作。ただし映画の結論どおりの理由で、私はP.スタージェスなら「レディ・イヴ」の方がずっと好きです(笑)

そして、ちょっとした縁からサリヴァンと旅をともにするヒロインのヴェロニカ・レイク。片目にかかるウェーブした金髪ワンレンヘアが特徴。それを帽子に隠して少年のような浮浪者変装も含めてなかなかキュートでした。
先日見た「少佐と少女」で、“近所の女学校の女の子たち”が片っ端からヴェロニカ・レイク・ヘアで片目を隠してたのが笑えましたが、当時は相当流行ったのでしょうか…。

空かける強盗団

2008年7月3日 映画
空かける強盗団
1969年、ハイ・アヴァーバック監督作品。
スカパー録画で視聴(今日はオフ日♪)。

期待しすぎず見ると楽しいコメディタッチ・ウェスタン。
芸達者な脇役が揃っていて通好み。
キム・ノヴァクが色っぽい。

…というような事前の印象を得ていました。
100%、「その通り!」でした。良くも悪くも。

西部劇というより泥棒コメディというほうがいいかもしれない。
難攻不落で有名な銀行を何組もの泥棒や悪党が狙う。
キレやすいガンマン(クロード・エイキンズ)と気弱なその相棒(エリシャ・クック)、息子のアホに悩むメキシカン山賊(エイキム・タミロフ)一党。連邦の捜査官(マコ・岩松)とテキサス・レンジャー(クリント・ウォーカー)は、銀行の頭取(ジョン・アンダーソン)が強盗たちが奪った金まで預かって儲けてると睨み、金庫内に押し入って調べたい。そして、町に来たばかりの新任の神父(ゼロ・モステル)と従妹のシスター(キム・ノヴァク)たちだって本当は盗賊団なのだった…(笑)

特に自称「奇跡を呼ぶ男」神父が繰り出すあの手この手が楽しい。繊細な爆薬専門家ジョン・フィードラー、「レンブラント風」な画家サム・ジャッフェ(トンネルの設計図を描くだけでなくどう役にたつかはお楽しみ!)など、ここが一番プロを集めたデキる集団ぽい(相対的にだが)。書くとつまらないがひとつだけ、トンネル掘りの騒音をごまかすため、聖歌隊の練習日に、いつもより騒々しい歌で盛り上げるシーンはかーなーり、楽しい。流石はゼロ・モステル、ここだけミュージカルだ♪
キム・ノヴァクはお色気でさまざまな局面をゴマかしたり情報収集したり…それだけ。
しかしハダカで白馬に乗るって何よ(笑)…本当は結構好きなんですがキム嬢。

クリント・ウォーカー(初見)は、「顔はフォンダ、体はウェイン」との噂を聞いたことがあったが、言い得て妙ですねえ。だからフォンダやウェインなみの大物になれるってわけじゃないが…とにかく実に堂々たる体躯。洗濯屋に変装しエプロン姿ともなると、メガネをはずしたクラーク・ケントみたい(弱そうに見せても体格はイカンともしがたいという…)。堂々たる体躯を持て余してるような雰囲気すらあった(笑)なぜか東洋系の捜査官の方がインテリだったり、キムに振り回されたりでなかなか活躍できないし(^^;)

終盤の追っかけっこも、意外と引っ張って引っ張って…全編、細かい工夫てんこもりで楽しめる要素は多いのだが、あと少し引き締める力のある監督の手にかかれば傑作になったかもなぁって感じ。
ただ、ゼロ・モステルの歌場面だけあとで巻き戻して2度聞いちゃった(笑)
やはりこの人のミュージカル、見てみたいなあ。「ローマで起った奇妙な出来事」とか。ゼロ・モステル版プロデューサーズも見たくなった。

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