知らなかったーーーー!(YouTubeで偶然発見!)

ここ数年、コロナやら忙しさやら目の調子が悪かったやらゲームにかまけたやらで、あまり映画を見てはいなかったのだが(買いだめたり録りだめたりしたものを時々消化してた程度)、いつのまにやら故ジャン=ポール・ベルモンド様の日本未公開作品が、イロイロ公開されたりディスク化されたりしていたとはッ!!!

ブルーレイBOXが4セットも出てたとは、マジびっくりである(しかもヌーヴェル・ヴァーグや文芸映画系抜きで)。
海外版DVDやスカパーから録画したりでもう手元にあるものも結構あるが、未公開だった二作品にはうおっ!となった。

「アマゾンの男」てのは(軽そうだけど)見たいな…「リオの男」へのオマージュとか言われるとねえ。やっぱり「リオの男」は私の中の総選挙でも1位ですよ。
しかしこの総選挙って変よね。なんで「パリは燃えているか」や「カジノロワイヤル」なんか入るのかね、ベルモンドちょい役というかカメオ的出演なのに。カジノ…はまあデヴィッド・ニーヴン主演作として別の意味で私のマストアイテムですけどさ。何かのリストから投票させてたのかしらん。

そして「エースの中のエース」ってのは、若い頃映画雑誌で“本国では作られてる”とタイトルだけ見かけて「見たいなあ」と思っていたものだ…

レンタルで見られないかなあ…探してみよっと。

https://youtu.be/T2roTqNWsEc

モラン神父

2022年1月20日 映画
モラン神父
1961年、ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品。フランス映画。モノクロ。

大好きなジャン=ポール・ベルモンドの、昨年の死去直後に追悼でやってた「モラン神父」。文芸映画なのでしばらく手が出ず置いていたが(基本彼のアクション・コメディが好きなもので)、デッキの調子が悪く(BDに焼けなくなった)交換直前だし、休みだしとちょろっと見てみた。
…一気に最後まで見てしまったよ…

第二次大戦中、アルプスにも近いフランスの町。イタリア軍の占領下では住民はあまり変わらず暮らしていたが、駐屯するのがドイツ軍に変わると、ユダヤ系住民や共産主義者はゲシュタポを恐れて子どもに洗礼をさせたり逃亡したりと動き出す。
そうした世情不安のなか、無神論者/共産主義者の若い未亡人バルニー(エマニュエル・リヴァ)は、幼い娘(父親はユダヤ系と思われる描写あり)をよそに預けて通信教育の会社で働いていたが、ある時、教区の教会の神父に、気まぐれに無神論的な議論をぶつける。これがモラン神父(ベルモンド)との出会いだった。
教会関係者など権威主義なだけと思っていたのに反し、質素で知的、改革志向で紳士的なモラン神父との会話はバルニーにとっては興味深く心地よいものだった。
以来、バルニーは神父に教会のキリスト教関連書籍を借りたり、定期的に話しに行くようになる。神父がバルニーの家を訪問することもあった。
親しくなった二人はもっぱら信仰について話をするだけなのだが、やがてバルニーは神父への恋心を自覚する。一挙手一投足にムダに意味を求め、彼にキスされる夢まで見てしまう。
だが、神へ純潔を誓うカトリックの神父との恋愛がかなうことはあり得ない。
「もしあなたが神父でなければ…」耐えきれず、ついバルニーが投げかけた、禁じられた問いを神父ははねつける…

モノクロならではの繊細な映像で(ただし台詞はかなり絞って)、とても丁寧に描かれた物語だが、フランス語を解さず時代も違う日本人の私には、細部の読み取りは結構難しい(他の映画DB記事も参照した)。だがそれでも、その時代ならではの様々な立場の人々の思惑が並行して描写されるさま(身の安全を求めファシストにすり寄る人々も、別に断罪されたりはしない)、そして宗教談義が結構面白いのがこの映画の凄いところ。
決して押しつけがましくはしないのだが、全身全霊で相手の心をスキがあればとらえて信仰へ導こうと身構えている若々しいベルモンド神父の「献身的な宗教者」っぷりの(魅力的な)圧と言ったら…。これは改宗されるか恋に落ちるかどちらかしかないね。周囲に若い男が殆どいない時代だし…。宗教って怖いね(笑)
まあ、信仰というのは、自分でどうともできないような他動的に陥るものであるというのはグレアム・グリーンなどの他のカトリック小説でも語られていましたから…。
うん、「情事の終わり」とか思い出したぞ。

そして、淡々とした描写の中にも、じりっじりっと盛り上がっていってしまう女の情念。神の国へと導こうと彼女の家の食卓に座って言葉を連ねる神父の面前で、ふっと意識が(恋愛感情のため)逸れる彼女の手元に包丁がある、あの異様な緊迫感にはしびれました。
そして、「神父を誘惑しようとした」彼女にモラン神父は「告解に来なさい。(全て知っている私になら却って)出来るだろう」と言います。ウワーそう来たか!
そして実際、告解を行った彼女は少しだけ気が楽になります(とナレーションが)。

まあ色々と、うわーそう来たか!というような会話や描写がすずなりなんですが(特に後半)、これ以上は、やっぱり書くのは我慢しよう。
未見のかたはぜひご自分でドキドキしてください。いや、過激なところは全然ない、静かな映画なのですが。
見た人と、アレはねー!アレはきっとこうなんだよねー!いや、まさかこうくるとはねー!とか語り合ってみたい映画です。
ヒロインはともかく、モラン神父の方は、基本的に「内心何を考えているのか」が一切わからないように描かれているので、ある程度は見る側にまかされているのかもしれませんし。
あの態度は「神父じゃなかったら」って言われて少しは図星だったんじゃ、とか、いやー本当に全く頭になかったから驚愕したんだよ、とか、いろいろ言い合ってみたい。
いつか二人は天上で再会するのだろうか、天上で再会したらどうなるのだろうか…
心を揺さぶられて、映画で久々に、ちょっぴり涙がにじみました。

とにかく、予想をはるかに超えて、知的で刺激的で情念たっぷりの映画でした。
エマニュエル・リヴァは清楚な美しさで、でも終盤苦しみに顔がやつれていくのが辛かった。ベルモンドともども主演二人の演技に文句なし。
早く見ればよかった(苦笑)
オクラホマ・キッド
オクラホマ・キッド
1939年、ロイド・ベーコン監督作品。モノクロ。
1/13に見たけどもう一度ちょろちょろっと見た。

大晦日にTVでやってたのの録画。
いやーNHKBS、やるではないの。
このクラスのクラシック作品はむしろレアだよー♪
(大作だ名作だと語り継がれるほどでもない。ただし実力あるキャストが固めたA級の正統派西部劇だ)

1893年米国。クリーブランド大統領は民意?に負けてオハイオ州チェロキー・ストリップ一帯の土地を開拓民に開放することとし(先住民には保証金を与えて追い出す)、夢にあふれた白人開拓者たちが(もちろん悪党たちも)続々と押し寄せ、解禁の日を待つ。開拓地は広いが、当日は決まった時間にダッシュでそれぞれ目指す場所に一番乗りしたものがそこの土地をゲット、というルールだった。

チェロキーには保証金の入った袋も届く。それを悪党マッコード(ハンフリー・ボガート)一味が襲うが、更に横合いからそれを強奪したのが無法者「オクラホマ・キッド」(ジェームズ・キャグニー)だった。キッドは開拓者グループの中心人物らに軽く(好意的な?)チョッカイを出してから姿を消す。
やがて開拓地は大きく発展するが、賭場・酒場の顔役として町の暗部に食い込んだマッコードは、公正な市長・判事ら邪魔者の排除に動き出す。実は市長の息子だったキッドは、父を救うため戻ってくるが…

1時間半くらいの中に、西部劇に必須な案件さまざま=駅馬車強盗に撃ち合い、陰謀にリンチ騒ぎに復讐に、と盛りだくさんな流れがテンポよく語られる。
キャグニーVSボガート、というギャング映画ぽいキャスティングにも関わらず、キャグニーの飄々と明るいキャラクターで楽しいシーンも多くて飽きさせない。ミュージカルもできる人ですからね。
開拓ダッシュ前夜のキャンプファイアーで踊る人の輪にとびこんで、兄貴のガールフレンド・ジェーン(ローズマリー・レイン)の手をとるキャグニー、酒場のピアノに合わせてひとふし歌うキャグニー、赤ん坊のお守りをさせらせるキャグニー!彼にはレアな西部劇スタイルなのも併せて、キャグニー好きにはこたえられません(≧▽≦)
小柄だけどたくましくて(猪首)腕っぷし強そう。でも無骨じゃなくて愛嬌あって頭の回転早そう。こんなチンクシャ顔なのにスターになっちゃうのも、仕方がないよね(笑)

ラストは陽の当たる世界に戻ってきてしまいますが、父親の代表する正義正論の中の矛盾に倦んで家を出た、国だの社会だの自分は関わりたくない(今度の開拓だって形ばかりの保証金で先住民の土地を奪ってるだけ)、と嘯くキッドのキャラクターもいいよね。おおスザンナに合わせて楽しく踊りまくる開拓者たちに、すぐノセられて気分が楽しくもりあがってしまうのですが(西部劇ならではのイイ音楽シーンです)、ひとりくらいちゃんと考えてる人がいるのは良い。無法者だけど。だから別に奪った保証金を先住民にあげたりとかもしないけど(笑)

そんなこんなで、短い作品なのですが、いろいろ満足でした。
これって、現代人にも素直に楽しみやすいクラシック西部劇なのではないでしょうか。(1939年作だよこれ!)
あとジェーンの父の公正な判事がドナルド・クリスプ。うんうん、この人が出ているだけで大抵の映画の☆がひとつランクアップしそうですよ。
マッコード一味の下っ端にどっかで見た…と思えばワード・ボンドもいてた。

なわけでユーモアもしっかり入って大衆娯楽活劇の見本みたいな感じでした♪
久しぶりの日記が訃報…(/_;)

結構昔から追っかけていたベルモンド様。ていうか見る前から好きだった、とかいうのは、平井和正のウルフガイ・シリーズに中学生の頃からハマっていたからです。少年ウルフガイじゃなくて大人のほうの犬神明ね。ひょろりとやせっぽちで「ベルモンド崩し」てな容貌…という設定でした。「リオの狼男」って巻もありましたねえ。これはこれで懐かしい…

やがてTVで「リオの男」を見ることができ、その飄々としたたたずまいと愛嬌と、トンデモないアクションをかるがるこなす運動神経に夢中になりました。
ヌーヴェル・ヴァーグ?いやいやそんなの面白くない…(ともすれば「勝手にしやがれ」とかばかり取り上げられるけど)。スラプスティック・アクションと、渋さやペーソスも漂わせるフィルムノワールが好きでした。まあたまには文芸モノとかもね。
気が付いたら何でもできる名優でもあった…

うう…さみしいです。

悪魔の美しさ

2021年7月24日 映画
悪魔の美しさ
1949年、ルネ・クレール監督作品。フランス映画(モノクロ)。

ジェラール・フィリップなんか好みじゃない、と言っていたのだがなぜ録画していたのだろう。(むかーしに1本位しか見てない)
フランス映画もあんま好きくない、とか言っていたのだが以下略。

なのだが、連休だし久々にクラシック映画鑑賞、最近デッキの調子が悪く、ダビングもままならないので、一応見ておこうかなと思ったのね。
したらば…あれ?面白いじゃないか。ジェラール・フィリップもイケてるじゃないか。なんでや…

えーと、この映画が「ファウスト」の話だというのは聞いていました。
舞台は中世(多分。国名など明らかにはせず)、まず紹介されるのは大学の教授として50年もの貢献を大学で称えられる老ファウスト博士(ミシェル・シモン)の弱弱しい姿、それを見守る妖しい美男(悪魔らしく髪を少し逆立てたジェラール・フィリップ)。ヨボヨボと住居に戻ってきた博士に、悪魔は魂の契約を持ち掛け、ノってこないと見るや「これはサービス、若さを楽しんで」と青年(G.フィリップ二役)に変身させてしまう。悪魔の方は代わりに博士の姿をとる(M.シモン二役)。

肉体的な老いの悩みが一瞬で消えた博士は、街に飛び出し、酒を飲んだり綺麗なジプシー娘マルグリット(ニコール・ベナール)と親しくなったり。すっかり舞い上がるが、気づけば金も職もないし、博士を殺したと誤解されて処刑されかける所を博士のふりをした悪魔に救出されたりする。やがて彼は悪魔の誘惑に屈し、「ファウスト博士の友人の若き天才学者アンリ」として様々な研究(錬金術含む)で国に貢献して賞賛を浴びたり、宮廷に出入りして主君の若い妻に手を出したりするように。
だが己の堕落した姿、それがエスカレートした未来が更に恐ろしいものになると気づいた博士は、悪魔との契約や己の所業を後悔するが、国は瓦解し、荒れ狂った群衆が宮殿になだれ込んでくる…

と書くとかなりシリアスに聞こえるけど、実際は軽快なファンタジー・コメディに仕立てられている。ジェラール・フィリップは妖しいのは最初だけで(まあ最初がちゃんと妖しいのも大事ですが)、老人から若いアンリとなって、戸惑いながらハジケていく軽妙さがすばらしい。この人かなり運動神経いいんじゃないか(ベルモンドみたいに)。ミシェル・シモンも、めっちゃヨボヨボの博士だったのが「偽ファウスト博士」となったらえらく元気で俗っぽい老人となり、悪魔だからワルいんだけと愛嬌たっぷりで目が離せない。この二人の知恵比べ、駆け引きがまた楽しいんですねー。
なので、最後に案外さくっと急転直下ハッピーエンドになるのも、えー意外とカンタン?と思いつつ、絶妙のバランスなのかもしれません。まあゲーテのファウストだって、魂的には女性の愛によって救われるんだし。
かろやかで、おとぎ話的な印象の残るファウストでした。
でもただコドモっぽいわけでもない。
博士の研究が毒ガス戦、原爆戦を連想させたり、追い詰められた悪魔が「人間の方が残酷だ!」と叫んだり、戦後すぐらしい風刺も入ってて、納得。

それにしても、ファウストの最期(おどろおどろしい悲鳴とか)、の場面は、1953年映画の「バンドワゴン」を思い出してしまった。あの映画の演出家もファウストをやろうとするけど絶対「悪魔の美しさ」を見てるよナー、なーんてね。
ジェニイの肖像
1948年、ウィリアム・ディターレ監督作品。
(Amazonのプライムビデオで見てみました。…一時よりは、クラシック映画が増えたみたいで嬉しい)

1938年冬のニューヨーク。売れない貧しい画家イーベン(ジョセフ・コットン)は、公園で不思議な少女ジェニイ(ジェニファー・ジョーンズ)に出会う。ちょっと昔風の服装で、人懐っこさと謎めいた表情を交互に見せる彼女に惹かれたイーベンは、彼女の絵を描き始め、それが画家として認められる契機にもなる。だが、奇妙なことに、出会うたびに彼女は、一年も二年も離れていたかのように、あり得ない早さで成長していた。美しい若い娘に成長したジェニイと恋に落ちたイーベンは、「時間」に隔てられているがごとき彼女を探しだそうとするのだが…

ロバート・ネイサンの原作は学生時代に読んだことがある(細部は忘れているが)。夢幻的な、ロマンチックな恋物語。
不思議な少女に振り回される貧乏画家を、(私的には美男じゃないと思うんだけど)紳士的な物静かな佇まいで1940~50年代人気があったコットンが演じ、子供から二十代前半までのジェニイをジョーンズがふわふわと演じている。必ずしも好きなスター同士ではないので見そびれていたが、なかなかいい感じだった。

風景を、キャンバス地を透かしてみるような演出が時々はいり、たっぷりのナレーションを入れながら物語が進む。ジェニイがどこから来るのか全然わからずもどかしい展開に、昔の白黒映画ならではのさびしくてゆったりしたテンポがよく合っていた。

音楽も、ドビュッシーが使われているとの記載とともに、バーナード・ハーマンの名があった。ハーマン、どうしてこんなにも、夢幻的な、時には妄執的な、普通でないロマンチックな恋愛にむちゃくちゃはまるんだろう…ウルウル
もっと後だけど「めまい」とか「愛のメモリー」とか…

今となっては、時間をからめた恋愛ファンタジイは色々出ているけれど、この物語こそ元祖だと思うし、やっぱりいいなあ。

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若草の頃

2020年9月2日 映画
若草の頃
1944年、ヴィンセント・ミネリ監督作品。
舞台は1903年から1904年にかけてのセント・ルイス(この地は1904年に万博開催を控えている)。とりたてて事件もないが、地方都市ならではの豊かさを感じさせる中流家庭の四季を、ノスタルジックな雰囲気で描くほっこりした家族愛の物語。

スミス一家は一男四女におじいちゃんにメイドさんの大所帯。
長女(ルシル・ブレマー)と次女(ジュディ・ガーランド)の恋模様、ご近所づきあいやパーティ、小さい子供たちの(ちょっと今と違う(^^;)ハロウィン、いろいろ「ちょっと昔」の違いやのどかさが、面白く新鮮。
ミュージカル仕立てになっていて「A boy next door」「The trolly song」「Have yourself a merry little Christmas」と名曲がならび、ジュディ・ガーランドの歌も皆素晴らしい。この映画のジュディはコメディエンヌとしても歌手としても大変魅力的です。

そんな楽しい毎日が、ある日父親が「ニューヨークに栄転だ!年が明けたら皆で引っ越しだ!」と笑顔で帰宅したとたんに、一挙に崩れてしまう。突然恋人やボーイフレンドと離れないといけなくなる上の娘たちはもちろん、生まれ育った家や町が大好きな下の子たちも涙目に。妻にさえ「そんないきなり!どうして先に相談してくれなかったの?」と言われて憮然となるお父さん。まあ、仕事中心で家にいる時間が少ない、昔ながらのお父さんですね(^^;

何せ100年も前のこと。ネットやメールどころか、遠距離電話も簡単にはかけられないし(冒頭に恋人からの遠距離電話が来そうでソワソワ、という場面もある)、ニューヨークへ引っ越すというのは、まったく別の世界へ行ってそれきりになってしまうようなものなのだろう。特に小さい子にとっては、生まれ育った家を離れるというのは根幹を揺すぶられるほどのことかも。
末っ子を演じるマーガレット・オブライエンの名演技には泣かされました。
ついにお父さんも、家族の思いを尊重して栄転話を蹴ってしまいます。
(これはなかなかできない気が…日本だと昔のお父さんだともっとできないかも…)

喜ぶ娘たちはともかくとして、夫の突然の決意表明にはらはらと落涙しつつ彼に寄り添うスミス夫人(メアリー・アスター)に、一番ほろりとさせられました。子供たちの気持ちを思うと引っ越しの中止は嬉しいけれとも、夫の心中も一番分かるし辛いとこですよね。オトナとしては、なんだか最後に、奥さんにもっていかれてしんみりしました。
メアリー・アスターというと私には「マルタの鷹」のハードボイルドの悪女の印象が強いのですが、案外普通のいい奥さんも上手いのですねえ。

一方男性陣はというと、姉妹のボーイフレンドたちは全然印象薄くて、一番カッコよかったのは(というか終盤一気に株をあげたのは)、同居のおじいちゃん(ハリー・ダヴェンポート)でした。むこうのおじいちゃんは老け込んだようでも結構ダンディの種を隠し持っていて素晴らしい。若いのなんて目じゃないですよ、うん。

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フューリー

2020年6月6日 映画
フューリー
フューリー
1978年、ブライアン・デ・パルマ監督作品。BSで録画してたのを思い出して視聴。サイキック・スパイ・サスペンスとでもいうか…?
健全?なスパイ・アクションと、デ・パルマ流のロマンティック超能力スプラッタのせめぎ合う独特の雰囲気のある作品。
私スプラッタは嫌いだけど、デ・パルマはちょっと例外。

元諜報員ピーター(カーク・ダグラス)の十代の息子ロビン(アンドリュー・スティーヴンス)は、超能力を持っていたため、それを利用しようと考えたスパイ組織のボス・チルドレス(ジョン・カサベテス)に誘拐される。組織の息のかかった超能力研究所に勤めるヘスター(キャリー・スノッドグレス)や、超能力の萌芽に悩んで研究所を訪れた少女ジリアン(エイミー・アーヴィング)の助けを借りて、ピーターは救出計画を実行するが、組織に薬漬けにされたロビンの精神は既に壊れかけていた…

デ・パルマだし、流血とサイコとスプラッタは仕方がない、と思いながら見るわけですが、さすがは御大カーク・ダグラス。60代に入ったばかりでまだ結構元気でムキムキで、アクションのついでに結構なユーモアも振りまきます。パンツ一丁で隠れ家の窓から逃亡したり、飛び込んだよその家のおばあちゃんと意気投合したり…かなりイイです。この健全さは、デ・パルマから予想するサイコやスプラッタや心の闇とかとミスマッチで、この映画の前半の好きなところです。
とはいえ、ちょっと過剰なくらいの息子愛。冒頭シーンからしてビーチで息子といちゃいちゃ三昧。そして、そりゃもうすべてを犠牲にする勢いで救出へと向かうのですが、犠牲にしちゃうとなると、元々は健全な人ですから、その衝撃と心の痛みにドカーンと打ち据えられるところが、(デ・パルマ定評のあるところの)超長回しスローモーションの中でせつせつと、ひたすら無言の中で、これでもかとばかりに描かれます。ここが何度見てもむちゃくちゃ好き。

デ・パルマはヒッチコックと引き比べて語られることが多いようだけど、ヒッチよりよっぽど抒情的でウェットでメロメロに甘いと思うなあ。ほんと、そこが好きで、流血におびえつつも見てしまう。

まあ、この父性的でマッチョでユーモアのセンスすらあるカーク・ダグラスですら、結局デ・パルマ的暗い流血の世界には勝てないんですが…(ノд-。)クスン

ネットで見てると、「フューリー」は(同じデ・パルマの超能力スプラッタの「キャリー」と比べつつ)何このむちゃくちゃなストーリー!という声が多いようですが、私にとっては少なくとも途中部分は結構明るいアクションやサスペンスもあり~の、ウェットな(主に父性)愛の描写あり~の、結構気の利いた超能力演出シーンあり~の、で、個人的には美味しく感じる要素が色々あり、いまいち説明がすっ飛ばされてる部分は、それはそれで自分で妄想して楽しめてしまう、という、『ダメな子でも愛しい』というタイプの作品でした。
エイミー・アーヴィングの猫系美少女っぷりや、いっとき目立ってたチャールズ・ダーニングの研究所長も時代感あってイイです。

昔映画館で見た後、何度かTVの録画で見直したりしてる映画です。虚実日誌にもとっくに書いてると思ったのに、さっき索引見たら無かった。意外。

たぶんまた何年かして、機会があったら、「フューリー」はまた見てしまうんじゃないかと思います。「キャリー」はもういいけど(一応見てますよ、こっちもね)。

それにしてもカーク・ダグラス。
ほんとに今年の二月までご存命だったんですよね(享年103歳)。
特別好きなスターというほどではなかったものの、特別好きな時代のスターでした。
(遅ればせですが)合掌。

https://amzn.to/2AmnlYP
男性の好きなスポーツ
1964年、ハワード・ホークス監督作品。BSでだいぶ前に録ってたのを視聴。

釣具店に勤めるロジャー(ロック・ハドソン)は、釣りキチ常連客たちへの的確なアドバイスで大好評、釣りの入門書も書いたらベストセラー。ところが、社長命令でワカプーギー湖の釣り大会に出場しなければならなくなって大弱り。魚嫌いの彼は全く釣りをしたことはなく、既出の釣り入門書の読みかじりと知り合いの釣り人からの情報だけで「釣具店のカリスマ」になっていたのだ。

企画側のアビー(ポーラ・プレンティス)と釣りロッジの娘イージー(マリア・パーシー)は、「実は初心者、勘弁して」と渋る彼を「自分の本を読んでちょっと練習すればできるでしょ」と強引に引っ張っていくが…

甘いマスクにガタイのいい大男ハドスンが、まさか!の運動神経ゼロインドア男を演じ、笑いを取りに来る。60年代によくある強気な娘と調子のいい男のお気楽ロマコメカントリー版…だが、強気を通り越して不条理なまでにマイペースなヒロイン、アビーは、戦前流行ったスクリューボールコメディのヒロイン並みの手ごわさだ。そういやホークスはスクリューボールコメディでも評判高かったんだよなあ(「赤ちゃん教育」とか)。

なのだが、前にも「巨匠ホークスのラブコメは何でだかビミョーに私に合わない」と書いたことがあったように…爆笑また爆笑とまでは今回もいかない(私的には)。
あと、うさんくさい地元のネイテイブアメリカンおじさんが今見るとちょっとね。いや、当時としては、事態を引っ掻き回したり主人公たちを後押ししたりでおいしい役ってことなんだろうけどね。

とはいえ、のどかな湖の様子はなかなか素敵で、リラックス気分にはなれる。都会じゃなくて田舎なのがよかったか。ホークスの西部劇は好きなんだものね(笑)


映画の存在自体は学生時代から知っていましたが、ようよう見る機会ができました。
昔、青池保子さんの漫画「イブの息子たち」で、退屈だな~とつぶやくジャスティン君を見て、バージルとヒースが「じゃ、男性の好きなスポーツでも始めるか♪」と言って彼にとびかかる場面があり、このタイトル見るたび毎回漫画を脳内再生していたのは…私だけか。

https://amzn.to/37fStFw
ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ
ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ
1993年、メル・ブルックス監督作品。

久々に映画鑑賞。ブルックス監督好きだけど、これ未見だったのよね。
手元の米国版のブルーレイ9枚組「Mel Brooks Collection」にも入っていたのだけど(たしかバーゲンで1500円未満だったのでつい購入しちゃった)、スタチャンで日本語字幕ありでやってたのに気づいたので録画して視聴(*´∀`*)

もうタイトル通りにロビン・フッド映画のパロディ。普通ケビン・コスナーのくらいまでしか見てない人が多いでしょうが、私は戦前のエロール・フリン版大好きだし、ブルックス監督も明らかにそっち踏まえて作ってると思う(殺陣がシルエットになるのとかはお約束)。人種的に幅があるのはコスナー版以降と同じだけど…破戒僧タック坊主なんか、ラビになっていた(ブルックス監督が演じてる)。

ブルックス・コメディだから例によってバカバカしいけど、いつも通りムダにミュージカル的レベルが高いのも嬉しい。
ラップで始まってバレエ要素も含めたダンスで前説。ラブシーンで突然、これはネルソン・エディ&ジャネット・マクドナルドか??とゆーよーな熱唱(クレジット見たら実際ちょっと昔の歌だった。作詞のビリー・ローズって、「ファニー・ガール」のファニー・ブライスの夫だよね)。
ミュージカル好きは、タイトルで引かずに見るといいのになと思います。

https://www.imdb.com/title/tt0107977/ (インターネット・ムービー・データベース(英語)/トレイラーもあり)

和田誠さん

2019年10月12日 映画
昨夜、訃報が走りました。

当然、台風報道一色の今朝の新聞にもそこそこのスペースが割かれています。
何をやっても超一流、それもご自身が「楽しさ」「明るさ」を追求するうち、泉のようにあふれてくる輝きが見る者を癒す、といったていの素晴らしき天然ぶり。

…いやいや、こんなすごいひとについて何か言えるような私ではないですが、ひとことだけ。
この人がいなければ、学生時代にこの人の著作に出会わなければ、私はクラシック映画を好んで見る人間には育たなかったでしょう。

和田さん、生まれてきてくださって、本当にありがとう!

https://www.asahi.com/articles/ASMBC4GVKMBCUCLV00C.html

銀の靴

2019年6月30日 映画
銀の靴
1951年、H・ブルース・ハンバーストーン監督作品、イギリス映画。

ビデオマーケットなる映像視聴アプリからPCで視聴。(映画記事ひさしぶり~)
セブンイレブンアプリから、コレ用の1000円分のポイントをもらったので。
そして、さっさと使って、無料体験期間中に忘れず退会しなくては(汗)

「銀の靴」は、ハリウッドのミュージカル女優ヴェラ=エレンがイギリスで撮ったミュージカル。ヴェラ=エレン別に好きでもないし、英国製な分世間的には格落ち感があるのかもしれませんが、共演がデヴィッド・ニーヴンなので、ずーっと気になっていた作品なのでした。

ストーリーは例によっていとも軽いコメディ。
エジンバラで公演中の劇団の貧しい踊り子ジャネット(ヴェラ=エレン)は仕立て屋への支払いにも困っていたが、遅刻しそうな時に乗せてもらったのが有名な大富豪の車(但し回送中)だったため、大富豪の婚約者と周囲に勘違いされる。ショーの資金繰りに困ってる座長(シーザー・ロメロ)は大富豪からの支援を当てにし彼女を主役に取り立てたり、仕立て屋は取り立てどころか豪華な衣装を強引にプレゼントしたり、人々の噂になる。
身に覚えのないカタブツの大富豪ブルーノ(ニーヴン)は、こっそり調査をと劇場を訪れ、記者に間違えられたのをいいことにジャネットと話すが、元気でサバサバしたアメリカ娘ジャネットに好感を持つ。互いに嘘をついたまま二人は親しくなり…

嘘をついてるけど、バレてもお互いに全然怒らないのがさっぱりしていいです。
現実味なんてなくてOK(笑)
そしてこのような、ほんと適当なえーかげんな筋立ての軽いコメディに、出演するだけで「よし許したー!」という気にさせてくれるニーヴン様がやっぱりスバラシイ。
最初珍しく地味~な茶色いスーツで出てきたと思ったら、ジャネットと会ったとたん、急にお洒落なグレーのスーツにピンクのカーネーションでいつもの素敵紳士全開。
お約束の「本人が本人の偽物を演じる」ネタなんかも全然嫌味なく楽しめます☆

ミュージカルナンバーは三つほどしかないけど、ヴェラ=エレンは踊れる人だから、それなりには楽しめます。バレエ的な振付が多い感じですが、二つ目のはタップもあり。三つ目のはパリのアメリカ人ならぬロンドンのアメリカ娘って感じ。いかにも50年代風。あくまでも、昔のミュージカルが好きな人にはって感じですけどね(笑)

去年あたりからろくに映画見てなくて、久しぶりの映画、ささやかな映画でしたが…
…見てよかった…(^^♪

無料で見れるポイントはあと2本分ほどあるのですが、あとどうしようかな…
ほんとに昔の映画はほとんどないしなあ…まあ未見のニーヴン様映画が見れただけでも価値があったか。

えいが

2018年2月20日 映画
ウチの職場と同じ建物で時々映画を上映している。
今の職場にかわって間もない時には、がまんできずに時間休をとっておいて「スイング・ホテル」を見てきたのだが、うーん…それから数年たってるからメンが割れてるかなあ…しごとさぼって見に来てるように思われたりしないかなあ…
と心配で、久しぶりに見たい映画がかかるのだが躊躇している。

まあねー、何回か見てるし家に録画もあるんだけど…
無理しなくていいとは思うんだけど。ミュージカルとかならぜひ大画面でってのがあるけど、ちょっと若い頃のジョージ・サンダースが見たいだけだから。

忙しすぎる昨今だし結局流すんだろうなあ。最近めっきり映画見てませんよ。

白鯨との闘い

2017年6月2日 映画
2015年、ロン・ハワード監督作品。

新しい・・・・
白鯨、捕鯨だから帆船が出るよねーてんで見ました。(続きは後日・・・・)

白状すると最後まで見れなかった…すいません…
1964年、ジャック・ドゥミ監督作品。フランス映画。

有名な作品だが、クラシック映画好きなもののフランス映画がやや苦手な私は未見だった。先日見に行った「ラ・ラ・ランド」、アメリカ製ミュージカルの古典の引用が多々あるが、「シェルブール…」及び同じドゥミ監督の「ロシュフォールの恋人たち」の影響も大きいように書いていたので、一念発起レンタルしてきた(大げさな…)。

港町シェルブールに住む傘屋の娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車修理工ギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は相思相愛の恋仲だが、彼女の母親は「まだ早い、まだ17歳なんだから」と反対する。やがてギイは兵役でアルジェリアへ…。
手紙のやりとりも思うに任せず不安なジュヌヴィエーヴに、傘屋の経営危機を助けてくれた親切な宝石商ローランが「お腹の子(ギイの子)ごと、結婚してほしい」と求婚し…。

成就しなかった恋の、破片までもが、せつなく美しい…
というのがテーマだろうから、影響がというのはある程度わかる気がする。
とはいえ…

「ラ・ラ・ランド」と比較して思った。アメリカ映画だと…

「恋と夢とは別腹」なんだな!!

ミシェル・ルグランの曲は流麗だし、せつなくほろりとさせるんだけど、いいトシの大人としては「17歳かー。やっぱまだ早かったのかねー。待てないんだもんねー」とか思ったりもする。
遠距離恋愛は確かに大変だが。
もう一度見るということはたぶんないでしょう。
ほろにが系人生の機微とかってフランス人好きだからなあ。
わかっているから、あまりフランス映画は見ないのでした(笑)

セリフがすべて音楽にのっていること自体は、ミュージカルもともと好きだし素直に楽しめる。凝りに凝った色彩的マジックも魅力的。でも画期的画期的とかいうけど、オペラやオペレッタの伝統考えたらそんなに大げさに画期的なのか、どうなのかな?
2016年、デイミアン・チャゼル監督作品。

とても良かった。私のようなオールドシネマ好きには・・・・
とりあえずサウンドトラックのurl。家に帰って何度も聞いてしまいました(笑)

https://www.youtube.com/watch?v=8C2MAUeNFz4

オープニングは、ハリウッドへ向かう高速道路の大渋滞風景。動かなくなった車列から、鬱陶しげにひとりが降り立ち、歌い始める。周囲は誰もかれもが夢を抱いてハリウッドへ向かうものばかり。故郷を、恋人を置いてひたすらに夢の都へ邁進する男女の歌と群舞。
そんな車列の中に主人公たちもいる。女優志願のミア(エマ・ストーン)と、ジャズピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)。
ちっともロマンティックでない出会い方の二人が、やがて恋に落ち、夢に向かう互いを励まし合う。だが、夢をかなえるまでの道が平坦なわけはない。互いを思うが故の言葉がすれ違いも生む。

(あんなに素敵なサプライズを用意してくれていたのに、それがあんな展開を呼ぶとは・・・)・

リアリズムだ・・・・

夢を追う二人の恋物語はオシャレで楽しく、けれどもリアリズムの苦さを備えている。
そこへミュージカルの手法をうまく組み入れて、楽しさと切なさの両方をパワーアップ。
特にラストの走馬燈なシークェンスはみごと。昔の色々なミュージカルの思い出がこれでもかというほど詰め込まれてクラクラするようにできている。
ぐぐぐっと涙を誘われながら、あ、あれ絶対「パリの恋人」だよ!とか小さくガッツポーズをしていた自分・・・・昔の色々なミュージカルへのオマージュを期待して行ったんだけど、その点でも満足しました。
ダンスは基本長回しで、全身入れる感じで撮っている。アステア・ミュージカル、MGMュージカルの時代を思わせる撮り方で、落ち着いて見られるのが嬉しい。
そして、すごくたくさんあるんだけれどもパクリと感じさせず、「連想させる」にとどめる引用の仕方が心憎い。
監督の並々ならぬセンスに脱帽。

それにしても、セブの大事にしてる椅子がいきなりホーギー・カーマイケルだもんなあ。
(セブは昔ながらのフリージャズを愛して、「自分の好きなジャズ」の店を持ちたいと思っているのだ)
デートの映画が「理由なき反抗」だもんなあ。
(ミアは女優だったおばと古い映画をよく見ていたことがあるらしい。「汚名」とか)
若い人はいきなり言われてもわからないだろうなあ。
ミュージカル以外でも、やたら昔のものへの愛着が物語の中に出てくる。

それだけに、オールドファンほど行ってトクした気分になると思う。
何書いてもそのへんネタバレになるので・・・・あえて書かない。

新しいものじゃなきゃ見る価値がないと思っている人には向かないかもしれないが、・・・・久々に映画館へ駆けつけてみて、ほんとによかった。大満足でした。
仕事でお昼のワイドショーとかはほぼ見ない。
月曜休みの時に、実家の母の家にいったときくらい。

で、本日月曜日、実家にて。最近話題の映画のひとつとしてワイドショーにちらっと出た「ラ・ラ・ランド」。
全然アンテナにかかってなかったが、これは。おおお、これは!

これって、アステア・ミュージカルのリスペクトありなんじゃないのッ?
公園のダンスとか「バンド・ワゴン」、そして星?の輝きオンリーのシンプルステージは「踊るブロードウェイ」のクライマックスなんじゃないの?!(ちらっとしか見てないが)

これは気になる。
新しい映画は滅多に見に行かないんだけど、これは行こうかなあ。
ほかにもいろいろ昔のミュージカル名作へのオマージュが詰まっているかもしれない。
ふふふ・・・・気になるぞー!(笑)
サン・アントニオ
サン・アントニオ
1945年、デヴィッド・バトラー監督作品。カラー。

家畜泥棒が横行していたテキサス州。牛を失いメキシコに去っていた元牧場主のクレイ・ハーディン(エロール・フリン)は、悪の黒幕を弾劾できる証拠をつかみ、帰国しようとする。年上の親友は危険だと心配するが、クレイは何のその、道中知り合った美人女優ジーン(アレクシス・スミス)を口説きつつ、サン・アントニオの街へ乗り込んでゆく…
悪役は、富豪で大きな酒場の持ち主(ついでにジーンの雇用先)。お約束の大乱闘、大銃撃戦が待っています。
テクニカラーで派手派手、お気楽な、一種のどかな西部劇。
私はマカロニはあまり好きじゃなくて、こういう王道米国産西部劇のほうがいいです。様式美万歳。
でも途中の展開は、意外とドンパチよりも敵と味方がお互いの出方をさぐりながら動き回るジリジリした心理戦の様相も…。結構集中して観てました。

まあでも、よーするに、フリンのキザでカッコつけなヒーローぶりを楽しむ映画ですね(断言)。
いやー、好みの色男を見てるのは楽しいねえ。癒されますねえ(笑)
(ほんのり英国紳士テイストのユーモアと余裕が漂うフリンは大好きです☆)


モバノブ、今週もなんとか最上位リーグ残留決めたぜ!いぇー!
…という気分で、だいぶ前にスカパーで録画してたのを見ました。
残業して遅くなったので、買ってきたスーパーの弁当を食べながら。
まあ、キューズモールのお弁当は結構イケると思うのですが。
残業して9時とかに行くと数割お安くなってるし☆
1954年、アンソニー・マン監督作品。カラー。
スカパー録画にて視聴。

有名作品だし一部分くらいはTVで見たことあるような気がするが、ちゃんと見るのは初めて。

トロンボーン奏者のグレン(ジェームズ・スチュアート)は、ただ演奏するだけでなく、アレンジ(編曲)によって自分独自のサウンドを追及したい!と大きな夢を抱いている。やがて、良き理解者となるヘレン(ジューン・アリスン)と結婚し、自分のバンドを結成、スイング・ジャズの第一人者となる。彼は次々とヒットを飛ばすが、やがて第二次大戦がはじまり、戦地を慰問に回っていた彼の飛行機は行方不明となる。ヘレンは残された彼の音楽に、彼の愛情と音楽とが永遠であることを感じ、涙するのだった…

基本「おひとよし」が持ち役のようなスチュアートだが、さすがに骨のあるミュージシャンとなると違う。大きな夢を持つものによくある、周りの見えていない突拍子もなさ全開である。まあ監督も西部劇のアンソニー・マンだし…
もちろん、コミカルに、にくめないように描写されているが。
よく結婚できたものだと思うが(プロポーズの唐突さなど、実にとんでもない!)、まあ、いいヒトに恵まれて超ラッキーだったんですよね(笑)

実話を基にした伝記映画で、まあどのくらい史実に沿っているのかわからないが、50年代のイイ映画に特有の、細やかな描写と伏線を、しっかり重ねて回収する語り口には、深い満足が味わえる。有名曲のひとつひとつに、ちょっとしたエピソードを重ねていき、独身時代からの縁の深い曲「茶色の小瓶」のアレンジがラスト。音楽的にも、聞きごたえたっぷり。
ジューン・アリスンはそんなに美人じゃないけど、賢くて人柄が良くて、のヒロインぶりには、人気があったのもうなずける。それに彼女、もしかするとアヒル口の「はしり」では?

それぞれの両親もイイ味出してて、もっと出番が欲しいくらいだった。特にヘレンの父親(笑)
あと、売れない時代からの友人チャミー(ヘンリー・モーガン)がキュートだった。
1958年、ジョン・フォード監督作品。モノクロ。

アメリカ東部ニューイングランドのとある町。
初老の市長スケフィントン(スペンサー・トレイシー)は、5期目を目指して再度の市長選出馬を決めた。ただ、TVの登場など、変わりゆく時代を思うと、今度の選挙は勝ててもその次はないだろうとも思っていた。アイルランド系のスケフィントンは庶民には人気があるが、富裕階級にはそっぽを向かれている。彼は支援者たちとともに精力的な選挙活動を開始したが…

スケフィントンは街角に立ち、庁舎や集会で人々に会い、人々の希望を聞き入れて力にする。
信念のためとはいえ時には強引な手を使う。金権政治家との噂も絶えない。
一石二鳥とばかりに、昔馴染みの葬儀を自分の集会にも利用する(己の貧しい出自や昔の仲間を大事にしているにも関わらず)。
いわゆるドブ板選挙の、古いタイプの政治家だ。
だが、この、食えない古狸の何と魅力的なことだろう。
彼から「最後の選挙」を見ていて欲しい、と言われ、選挙活動の様子を見に来たコラムニストの甥(ジェフリー・ハンター)は、どんどん市長に惹かれてゆく。映画を見る者もこの甥の視線に同化してトレイシーに魅せられてゆくのだ。

そんな市長の「最後の選挙」の顛末、そして彼の最後を…
ぜひ見届けてみて欲しい。
世の不条理、無常、人情と不人情、さまざまな感慨が入り混じって、ぐっと胸が詰まるはずだから。

ヒューマンドラマというには綺麗ごとでない、しかし、何ともいえない余韻の残る人間ドラマである。

(ほんと、うまいなジョン・フォード…西部劇でなくても…)

昔の選挙、しかも異国のそれは、今の私達から見るとぴんとこない所も多いかもしれない。
だが、人情ってやつは同じ。

政治ってなんだろう。今の政治は昔よりもっとなんだか遠くでやってるもののような気もするけど、それはなんでだろう。

昔気質の市長選挙に、色々考えさせられた。

成り上がりの市長を敵視する偏狭な新聞社主(ジョン・キャラダイン)、名門の銀行家(バジル・ラスボーン)、枢機卿(ドナルド・クリスプ)ら悪役陣の存在感もみな素晴らしい。
もちろん市長の支援者たちも、いつものフォード一家の脇役陣がいっぱい出ていて安定のキャスティングであった。

地味だけど…。

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