ひさびさに…文楽「国姓爺合戦」
ひさびさに…文楽「国姓爺合戦」
まん防とか出る前に前売り券は買っていたので。
いつ何時イベント類全部中止になるとも限らない事態になってきたけど、ギリギリ行けた!

ほんとは「国姓爺合戦」は浄瑠璃の時代物に時々ある、忠孝男の意地やりすぎ設定が気になる話なので(以前一度見たことがある)、買うときは少し迷ってたのだけど、今月に入ってから「人間国宝人形遣い蓑助さん引退」の報道が出たから、ほんとチケット買っておいてよかったですよ…

物語のヒーロー国姓爺別名鄭成功は明の元重臣の息子で母親は日本人というハーフ。日本で育ったが明の復興を目指して親子三人で中国大陸へと旅立つ。虎狩りの一行と行き合って、武勇を見せつけ手下にしてしまったりとか強いのは強いらしい。
日本に残した妻とか(サバサバ感のある楽しい奥さんで、最初は夫婦イチャイチャしていたのに~)、大陸の強い将軍を味方につけようとする過程で、たまたま将軍の妻になっていた異母妹を死なせ、「義理がたたない」と母親も自害して、と、色々引っかかるところはあるのだけれど、

…虎かわいいーーーーー!
虎まで心服させて、老母を背中に乗せさせたりするのだ。なんというか、虎の首から肩にかけてのあたりのラインが結構リアルでかつモフっとしていて…
ジャングルの中をフツーの茶色い老人ぽい色目の小袖で歩いてるお母さんも凄いけど。
…もちろん蓑助さん操る異母妹も、なんとも麗しいーー!
(虎が先なんかい!)

噂では刀剣男士コラボの夜の部が人気だそうなのだが(イケメンゲームキャラ風に真剣に着付けした文楽人形が飾られていました)、とりあえず今回はこの昼の部のみ。来れて良かった。
千秋楽は25日。千秋楽まで無事上映できるのかしら…がんばれ文楽…
第三部は「本朝廿四孝」。神の使いの白狐が飛び回ったり人形の早替りあったりの奥庭狐火の段が派手で楽しい、この段は3回目。
武田信玄と勝頼父子、上杉謙信と景勝父子(と娘の八重垣姫)、斎藤道三まで出てくるのだが、戦国時代のビッグネームてんこもりな割に全然史実と関係ない話(笑)

斎藤道三はどういう立ち位置なのか、今日見ただけだと全然わかんないなあ。またネットとか本とかみて調べるか…

座席も飛び飛びにしか売られてなくて、定員バッサリへらされてるから当然空いていた。いつ元にもどるのかしら…(>_
昨年度はシゴトの納め時でとんでもなく多忙であり。今年はコロナに邪魔をされ。
一年以上いけてなかった(友の会会費は払い続けていたが悔いはない)、久々に文楽劇場に行ってきました。
春夏の公演は完全に中止になっちゃったし。
まあ伝統芸能で、当然ご年配の演者が多いし、人形遣いさんなんか、三人で一つの人形を操るというまさに三密(いやちょっと違うが三人で密)。

リスクもあろうに頑張ってくださる技芸員さんたちに感謝の一語です。
なぜか『幻の四月公演』のプログラムも売ってたので買いました。「義経千本桜」見たかったのになあ。

さて、定員が半分以下にされていて(二つに一つは座席を使わせない、最前列は使わない。行ってみたら紅葉などの美しい和風柄の紙が席に貼られていて綺麗だっ)、普段ほど前の席ではなかったけど、まあそこそこの席が取れたし、久々に家族と一緒に行きました。

今日の演目は「源平布引滝」。矢橋の段、竹生島遊覧の段、九郎助住家の段。
湖のほとりで源氏方の美女小まんの殺陣、水に飛び込んで逃げたあとの大きい平氏の御座船、逃亡中の源氏の葵御前(妊娠中、木曽義仲の母になる)をかくまう百姓九郎助の小屋と場面転換も派手だし(最後は馬まで出る)、あまり見ない人にも面白いよね、と家族に勧めたらやっぱり面白いと言ってました(^_^)v
中心になるのは、数十年後の戦で「髪を黒く染めて戦場へ出る老武者」、平氏に仕えるが心ある武将、斎藤実盛(玉男さん)。そして悪役と見せて…の瀬尾十郎は玉也さん。

私は前にも見たことがあるがやはり面白かったよ。二度目だから、瀬尾が小まんの死体を足蹴にしようとして、一瞬間を置く呼吸が沁みました。

前回の日記→https://13374.diarynote.jp/201708160145106945/
今回はヘンな所で笑う客がいなくて良かった。

https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2020/542.html?lan=j (国立文楽劇場HP)
夏はおやすみしたけど、11月文楽公演はこれで二回ともクリア。
第二部の「鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)」「女殺油地獄 (おんなころしあぶらのじごく)」は11/5に鑑賞済み。女殺は二回目。
なんちゅーか、文楽劇場のすぐ近くのコンビニがなくなっていたのが一番のショックでしたわー…
昼食、あるいは軽食をどうせよとゆーんだ…
劇場のレストランはボリュームありすぎる。劇場のお弁当は高いのはまぁいいけど純和風の渋めのメニューなので毎回はいやだ。
今日もスマホでぐぐって別のコンビニを探しに行ったけど、ちょっと離れてるなあ。近くて早そうなのは、CoCo壱が道の向こうにあるけど、文楽にカレーはさすがにちょっと…
早めに家出てなんばで乗換時に何か買ってゆくようにするしかないかな。

「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」はずっと見たかったもの。
蘆屋道満は安倍晴明のライバル(?)。とはいえ今日見た段は葛の葉伝説がらみな所(子別れとか)のみで晴明はまだ童子。狐というと勘十郎さんと思いきや、今回は和生さんでした。狐的演技(手足を非人間的にふるふるさせる)は可愛いです。
通しで全部やってくれないかなあ。ドラマチックな話っぽいし。

「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」は、イイ年をして良い奥さんもいる中年男が十代半ばの少女と心中する(しかも少女妊娠中)という話で、ちょっとこれはあまりに共感できなかった…
主人公カップルが玉男さんと勘十郎さんなわけだけど、最初の段は全員黒子で顔隠しての登場だったのに、悪役の儀兵衛の身ごなしに「玉志さんっ?」と直感したらちゃんと当たっていたのだけは嬉しかった(笑)

はー、文楽の秋公演が終わるとほんとにもう冬目前ですね。
たのしかった♪

『本朝廿四孝』は諏訪姫と白狐の段ばっか何度も見てるが、初めて山本勘助を扱う段を見た。直江を出すのはむりくりすぎるぞ(笑)
筋がアクロバティックすぎて、過酷な部分が心に届かないのはいいかもしれない。

『義経千本桜』はまたしても道行のところだけ。むちゃくちゃ華やか(^^♪
勘十郎さんの定番お狐~
しかしたまには他の段(本筋)を見てみたいな。
文楽、よーし今日は寝なかったぞ寝不足だったけど。初見部分の多い演目だったし面白かったし。
幕間にふだん飲まないコーヒーのんだらいまだに胃が不安定だけど…うーうー。

『彦山権現誓助剣』は最後の方だけ前に見たことがある。前半は文楽劇場でも初めてかける段らしい。悪役が玉志さんでいつになく?でずっぱり。かなり図々しく調子のいい強烈なワル、人を騙そうとなるとまことしやかに善人を装う、と変化が大きく面白い。アクションも多く、瓢箪棚(藤棚に瓢箪がなってるようなモン)にのぼっての殺陣とか、名剣の怪異とか楽しかった。テンポの速いエンタメ話♪
「花競四季寿」は今回は四季のうちふたつだけでした。残念。
正月ネタな「万才」と冬の「鷺娘」。しかし鷺娘、傘の曲回しがなかったぞ~
2年前のあれは清十郎さんのスペシャルスキルだったのかしら…

「平家女護島」はまあおいといて、「摂州合邦辻」は義理の息子に不義の恋をしかけたり毒を盛ったりというなかなか痺れる話なのですがもちろんそこには裏がある。実は兄にねたまれ命を狙われている義理の息子が殺されないように、死なない程度に毒を盛ってぼろぼろにして一時的に追い出した(不義の恋にこたえてくれない恨みをよそおって)というのです。兄も弟も夫にとっては大事な息子だから兄を攻撃することもできなかったというのですが、そんなの最初っから兄の方に死なない程度に毒を盛っておいたら、絶対そのほうが筋が通って簡単なのに―!と釈然としなさ爆裂で、さすがにきつかったです。途中船こいでしまったせいかもしれませんが(泣)
今回も体調管理に失敗しました。ヒドイ。

「良弁杉由来」は、小さい頃鷲にさらわれた子と母親との再会物語。
珍しく色気も何もない…“ご利益”はあるのかな?大僧正になっていた我が子とぼろぼろの老婆になった母親(もとは美しい未亡人だった)。ストーリーテリングで聞いたことがあったが浄瑠璃だったとは知らなかったなあ…

「傾城恋飛脚」はだいぶ前に別の配役で見ている。逃避行中の男女が、男の田舎へ逃げてせめて一目実の父に会いたいけど会いづらい、という哀しい話。お父さんが前回は和生さんで、なんとも美老人な感じのお父さんだったんですが今回は玉也さんで、もう少し飾り気なく男っぽい感じのお父さんだった。

なんにしろ、今回も体調管理に失敗した(-_-;)
ほんとはは11/24にみに行ったんだけど、しばらく日記さぼっていたら11月の日付いれられなくなっていたので12/1付で書きます(汗)

『八陣守護城』の主人公は加藤正清、もちろんモデルは加藤清正。
毒を盛られたら、それを根性でこらえたり、えーと…
すいません、また半覚半睡で見ていたところがあるのでよくわかりません(泣)
もーやめとけ文楽ファン…とか言われてもしかたないか。
でもパンフのあらすじ読んでいても、やっぱりぐだぐだしてよくわかんないし。

『鑓の権三重帷子』は、前にも一度みた演目で、筋も面白く期待していました。休憩挟んでこちらは問題なく一気に鑑賞。いやー、やっぱり不条理でいい話です。
家中でも有名な文武両道かつ超男前、な青年権三。周囲の期待も高く、前途は洋々。それが、出世のためにすこーしばかり計算高い動きをしたのがあだになり?してもいない姦通を疑われ、女仇として討たれることに…
じっさい出てきたばかりの権三は二枚目二枚目と言われててもなんとなく魅力のもの足りない所謂のっぺり美男。だが、上司の奥さん・おさゐのちょっとしたヒステリーから起きた騒動で全てを失い、ハラをくくったとたんに、めっちゃ男の色気と悲哀のただようイイ男に変身する。なんなんだあれは…(うっとり)…
そして、実際には追ってきた上司などあっさり斬り捨てられるであろう剣豪なのだが、結局何の申し開きもせず命を投げ出す。あれはおさゐへの哀れみなのか。
愛してもいない、もちろん本当に愛されているわけでもない女のために、一切の弁明を諦める権三には、なんだか自己犠牲の美しい陰りがまとわりつき、忘れがたいキャラクターになっている。
まあ前回もあれこれ書いたので(http://13374.diarynote.jp/201407312356344328/)、今日はこのくらいで。とりあえず今日はヘンな所で笑うヘンな客がいなくて良かった。

劇場から出ようとすると、廊下で、知らないオッチャンが連れの女性に割と大きい声で「権三、可愛そうやったな」と喋りかけていた。
まあ、これに尽きますね。
よい芝居でした。権三は勘十郎さん、おさゐは和生さん。
今回も、ちゃんと体調整えていくのに失敗した・・・・
なので眠気打破のカフェインドリンク剤持って行ったのに、開始前にロビーでシゴトの電話していてぎりぎりになっちゃって飲めなかったら、最初の段でやっぱ落ちた・・・・
もったいない・・・・( ノД`)シクシク…

なぜか義母に嫁との離縁を迫られている夫婦の心中。
なぜなのか最後まで釈然としない・・・・
親孝行のため?離縁を言い渡しておいても、そのあと結局二人で心中したらなぜ心中って、義母いい面の皮なんじゃないのかしら。

来週は前にも一回見た「鑓の権三」
これもかなり不条理ななりゆきで無理心中めいたかたちで女敵として討たれる話だしけどこっちはそれなりになるほどだった。今度はどんなかな(*^^*)
次は絶対に絶対に飲み損ねないぞ(オイ)
あいかわらず寝不足と戦いながら、文楽。

源平布引滝、もちろん源平合戦の話だけど、平家物語でも最初の方、というか、木曽義仲の生まれる前後あたり。

義賢館の段/矢橋の段/竹生島遊覧の段/九郎助住家の段 と、四つの段を上演。
最後の九郎助住家の段だけは前に一度見たことがあり、子への愛に一瞬だけ死から甦る母の姿にホロリとしたのだけれど、その前段を見ることが出来て、木曽義賢(義仲の父)の源氏再興にかける思いやら、義仲を身ごもった葵御前を守って男顔負けの大立ち回りをやってのけるヒロイン(幼い子の母親だが)小まんの勇壮な活躍やら、ダイナミックなストーリー展開がおおいに楽しめた。
更に九郎助住家の段は、たぶんこっちがストーリー内メインの推しであろう、平家の勇将斉藤実盛の心情にあらためてホロリとさせられた。
元源氏方であった実盛は、今は不遇な源氏の人々を思いやり秘かに助けになる動きをしたりしているのである。更に、母の仇!と迫る幼子に「大人になったら戦場での再会を」と約束し、「老いて貌が変わっていたらわからない」と失礼なことを言われても「髭や髪を墨で黒く染めて出陣しよう」と答えてやる。

有名な実盛の鬢髭墨染出陣の故事を、ひとひねりした形で人情歴史劇に組み込んでいるのである。うまい、うまいぞ作者。
まあ私だって、そういやそういう故事あったなあ平家物語にって、見ながら思い出す程度ではあるんですけどね。
てなわけで、ここは感心したり、今後己の迎えるはずの老いと死と見据える実盛の憂愁にほろりとしたりすべきなんだが…

が!
浄瑠璃語りが「黒く染めて」とかいったとたんに、客席に笑いが起きるのはなぜだ。(-_-;)
知らないにしても、ちょっとその感性、なあ…。
今回公演のちらしにだって、そーゆー故事から逆算して作ってある物語だとちゃんと書いてあるじゃないの。

感動の中にも、なんかちょっと憮然とする思いを、抱いてしまった私は悲しい。

まあとにかく、「源平布引滝」は良かった。へんな子殺しとかないし(文楽によくある困った展開)、アクションも意外な展開も人情もあるし格調もある。
馬や船など大道具も映える。

初心者にもおすすめなんじゃないかと思うよ。
また見てみたい、と思える演目でしたー(^^♪
【文楽】4月文楽公演 第1部
寿柱立万歳 (ことぶきはしらだてまんざい)

菅原伝授手習鑑 (すがわらでんじゅてならいかがみ)
  茶筅酒の段
  喧嘩の段
  訴訟の段
  桜丸切腹の段
豊竹英太夫改め 六代豊竹呂太夫
襲名披露 口上
  寺入りの段
  襲名披露狂言
  寺子屋の段

「菅原伝授」の途中に、呂太夫へと襲名なさる英(はなぶさ)太夫さんの披露口上。
しかしびっくりした。
真面目な顔でずらりとならんだ文楽三業(大夫、三味線、人形遣い)のメジャーどころが、次々と祝辞を述べる…はずなんですが…
なんなんだ、どーしたんだ、誰もかれも英、いや新呂太夫さんをいじりたおして笑いを取りに来てるぢゃないか…
まあ襲名口上って、文楽永遠の初心者の私はこないだの玉男さんのソレしか見たことないんだけど、そっちはとても真面目だったのに。

直前の桜丸の段でカブリツキでちょっとだけふねこいでたんで、最前列でキリッと控える勘十郎さんと目も合わせられないわ( ノД`)シクシク…と思っていたのに、一緒にブラジル公演へでかけて日焼けの話とか…
シメの言葉が「今後もますますの日焼けを…」と聞こえてしまいました。
(もちろん「飛躍を」なんですけど)

やっぱり第二部よりお客さんもぐっと多かった。
菅原伝授は子供を死なせたりという、文楽あるあるだけど今の人間には納得のできない「定番」が入った演目だけど、やはり最後はほろっと、涙ぐんじゃいました。

それにしても「眠眠打破」とか眠気覚まし系のドリンクって効くね。
朝はギリギリにかけこんだので、万年寝不足の私は桜丸の段までもたなかったけど、お昼休憩にコンビニでサンドイッチと一緒に仕入れて来たら、午後はヨユウでした。
今度から文楽シーズンは、少し家に買い置きしておこうかしら。
~祖父は山へ柴刈に / 祖母は川へ洗濯に~
楠昔噺 (くすのきむかしばなし)
  碪拍子の段
  徳太夫住家の段

曾根崎心中 (そねざきしんじゅう)
  生玉社前の段
  天満屋の段
  天神森の段

「楠昔噺」は初めて見ました。南北朝の時代物。
仲の良い老夫婦。それが、妻の連れ子の婿と、暴れ者なため勘当されて家を出ていた夫側の連れ子な息子が、それぞれ南朝方の名将楠木正成と、六波羅方の勇将宇都宮公綱であるとわかり・・・・
序盤の芝刈り洗濯、昔話的ギミックをちりばめてのほのぼのムードから、一転して戦乱の世の運命の苛酷さに至る後半。
けっこう泣けました。子どもを勝手に殺したりしないのもよかった・・・・
席はもうちょっと左に取っとけばよかったから(公綱/玉志さんの雄姿が遠かった・・・・)

「曾根崎心中」は、思えば私の初文楽舞台体験ですね。蓑助さんのお初に勘十郎さんの徳兵衛でしたが、今回は勘十郎さんのお初に清十郎さんの徳兵衛。
破滅して死ぬしかない男、恋のためともに死のうとする女、それが綺麗で仕方がないって演目ですが、「やっぱり人間、己の人生を左右する金を、一時と思っても他人に貸したりしちゃあかんわ~!」
お人好しというにもアホすぎる…徳兵衛ってほんとにどうしようもない奴だよなあ。
たぶん、見栄張りたかったんだろうなあ。

入りはそこそこ。たぶん、呂太夫襲名披露のある第一部のほうが混んでるんだろうな。
そっちのキップもとってある。また、のちほど・・・・
新春文楽公演第一部。
「お染/久松 染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)」
油店の段/生玉の段/質店の段/蔵前の段

今回も、ちゃんと行ってきました。お正月文楽。
ほんとはもう少し早い日に切符とりたかったのだが、ネット予約で良い席が全然なくて。
…それが…何だよ~!
行ってみたらいつにないくらい空いてるんでやんの…
最前列が半分くらい空いてるって…危機感、感じましたよ、ええ。
そりゃまあ私も「この日なら思い切り前の好みの席取れる」てんで決めたんだけど。

まあ…三番叟やら勘十郎狐やらの第一部にくらべると、何か地味だもんね素人目にも。お染久松って、何種類も演目があるネタだよね。たしか前に見た「新版歌祭文」の久松(お染より田舎娘のおみつが目立つ描き方だったけど)だよね…

ということであまりテンション上がらず見始めたが、…いやあ!びっくり。
なにあの途中夢オチ!(悲惨な展開がと思ったら、一回「実は夢だった」って!)
こんなのあるの!!
あんまり鮮やかな夢オチ表現にすっかり目がさめました。
(毎日寝不足で、序盤船こぎそうになってたのが(笑))

丁稚の美青年久松と、奉公先のお嬢様お染。嫁ぎ先も決まっているのに、奉公先のご主人に対しても不忠だとわかっているのにとまらない二人。
あの乳臭い久松に、なんて憎まれ口を聞かれたりするのも無理はない、幼い無分別な恋である(といってもヤルことはヤっちゃっているらしい。まったくイマドキな若者たちだ(苦笑))。
婚約者の山家屋清兵衛が、すべて飲み込んだ上で何とか二人を死なせずうまくおさめようと、陰でけっこう動いてくれているのがせつない…
出てきた時なんか微妙に挙動不審だ、悪いヤツなのかと勘繰ったりしたが、あれはお染に望まれぬまま婚儀を進める清兵衛の、懐深いようでやっぱり哀しいオトナ心の揺れがなせるものだったのね。

…と、ラストで哀しくも「格好いいデキた大人」ぶりを決める清兵衛役の玉志さんにシミジミして帰りました。(玉志さんちょっとお気に入り)

「新版歌祭文」では、久松に恋するドジっ娘なおみつ(勘十郎さん演)に泣かされて帰りましたが…
今回勘十郎さんは悪くて滑稽な番頭役で笑いを取りに行ってたし。

<追記>
1/23、寝不足でふらふらしながら、第一部を見に行くと、うってかわって大入り。
安心した。…さすがというかわかりやすいというか。第一部は、

寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)

奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)
 環の宮明御殿の段

本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
 十種香の段/奥庭狐火の段

三番叟は能舞台的な中で演じられるようですが、今回はうしろにずらっと技芸員さんたちが並んでなんか壮観なかんじでした。
何度かみると別演出にも出会えておもしろいんだね。
安達原も廿四孝も派手なのでお正月の賑わい期向きだね。
とくに廿四孝のピュアなのかイケイケなのかわからない恋する姫君のパワーが楽しい(笑)
そしてもちろん、白狐びゅんびゅんアクションの勘十郎さんも。誰にでも勧めやすい演目ですね、これ。
楽しんできました。
古典の、文楽~!
先月モリエールの翻案文楽を見ると、別に悪くはないのですが「コッテリ古典が見たい」と思ってしまったのでワクワクしていました。
が…
今回は、日取りを失敗いたしました(爆)

朝イチに総合ガン検診の予定を入れて休みをとっていたからと、この日にしたのですが、2時開始は結構早かった…
疲れて一度帰ってきてひと休みしたら、爆睡して5分ほど開演に遅れてしまい…

少し心配していたおなかの調子は悪くなかったが(だってバリウム飲んでるし)、寝不足に負けた…

「薫樹累物語(めいぼくかさねものがたり)」は、主人のため、と思ってその愛妾を斬った男が、偶然から斬った愛妾の妹に恋されて結婚することになったものの、愛妾の怨念が妹にとりついたために…という話。
「主人のため~」てのには、エーいつものアレかー、と思うのだが、怨念のため姿が醜くなった妻を変わらず大事にし、怨念のせいで妻の気がおかしくなり、逆上した彼女を自らの手にかけてしまっても、あくまでも怨念の犠牲になった妻を不憫に思う男の純情がなかなか心にしみます(自分が妻の姉を斬ったのが悪いんだけどさ)。
好感の持てる珍しい展開でした。

「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)は、主君のため、盗まれた名刀とその鑑定書を取り戻そうと奔走している男が主人公。恋人が、彼のためにと刀を盗んだ犯人を色仕掛けでさぐってるのを誤解して逆上して、という困った男ですが、逆上して刀泥棒以外にもすれ違った人を大量に虐殺しているのに、刀を確認できたら「忠義に心勇み立ち」、主君の屋敷めざして駆け去ってゆくというラストには、かなりボー然としました(笑)
いいんかそれで!
まあなんか、そんな言い訳もつかないような大量虐殺事件を元ネタにして、忠義をなんとか織り込むかたちに作られたハナシらしいですが、困ったもんです(笑)

いやしかし楽しかった…
特に最初のハナシは…(*^^*)


そして今回の劇場1Fの展示室はテーマが"新作文楽"の歴史、小道具や写真だけでなく映像も見れて、うわーこんなにいろんな新作や翻案やってきたんだー、という楽しい展示でした。
シェークスピアありーの蝶々夫人ありーの春琴抄だの夫婦善哉だの近代日本文学ありーの瓜子姫等の御伽草子ありーの…
橋下市長の文楽ディスり騒動の時、「新しいことやらないといけん!」と訳知り顔に叫んでいたのが思い起こされますが、昭和の頃からとっくに、飽きるほど色々新しいことやってますがな…
【文楽】4月文楽公演・「通し狂言 妹背山婦女庭訓」第2部
第二部。
すがすがしい恋人たちの死から一転、子どもを殺したり、自分に惚れた女を利用しまくるイケメンが活躍したりの困った展開が続く(^^;)
藤原淡海氏、ゲスの極みですってよ(笑)

そして休憩時間には、熊本地震の募金箱の横に玉男さんたちが…
ちょっとだけ私も入れました。
【文楽】4月文楽公演・「通し狂言 妹背山婦女庭訓」第1部
いっそがしいのに!
行ってきましたよ~
今回は色々ピンチだった。
インターネットでキップ取ったつもりがちゃんと取れてなくて取り直し。当日もまたまた遅刻しそうだったし…

でも、前の方だけどけっこう左端に寄った席で、イマイチかなーと思ってたがそうでもなかった。
斜めにだが意外に舞台全体が見渡せたし、斜めな分字幕は前の方でも読みやすかったし、雛流しはすぐ目の前だったし。
そして珍しくも、普通右端のみにある出語り床が、この演目の三段目「妹山背山の段」だけ両側にできてて、すぐ近くで清治さんの三味線がベンベンと響き渡って、とっても良かった~

「通し狂言 妹背山婦女庭訓」は、蘇我蝦夷・入鹿VS藤原鎌足の対決をベースにした歴史物。まあいつものように、なんちゃって飛鳥時代なんだけど。
三段目は、仲の悪い家に生まれたロミオとジュリエットのような恋人どうし、久我之助と雛鳥が、入鹿の謀反さわぎのとばっちりではかなくも死を選ぶことに。男の方は恋というより忠義のために追いつめられるが、女は彼に操をたてて死を選ぶ(と言っても、彼女に入内を迫るのは男を追いつめている同じ敵=入鹿なのだけど)。
思うように逢うこともできない二人の恋と死は、川を隔てた二つの屋敷で並行して進み、互いの思いと、子を思う親たちの嘆きに、久々に号泣三昧でした(^^;)
ちゃんと祝言も挙げてやれず、せめて…と、雛飾りのお道具と娘の首を川のむこうへと流す母親、あれは凄いわ…
(そして腹を切った息子の息のあるうちにと娘の首を傍に置いてやる父親…)

いい意味で、凄くいい意味で、少女マンガだと思った…(はらはらはら…)

後半第二部はまた来週行く予定です(^^♪

今日も、劇場内で職場の関係者2名に遭遇。これから夕方の第二部に3人ほど来る予定とか言っていた。みんな好きだね~(^^♪

そして、女子会はなかったので、そのあと職場へ少し行きましたとさ。くすん。
【文楽】初春文楽公演・第1部「新版歌祭文」「関取千両幟」「釣女」
見てきました。

…しかし…ほんとに…観劇前には体調整えとかんといけん。
またしても、時々意識とんでしまいました(涙)
特に最初の「新版歌祭文」『座摩社の段』『野崎村の段』。
野崎村だけは数年前勘十郎さんの超カワイイおきゃんなドジっ娘のおみつに心を奪われたので和生さんのどんなんかなーと思ったが普通に女らしいおみつだった。和生さんは年増の方が得意なんかなと思った…
「関取千両幟」は、主人公の関取のおかみさん(蓑助さん)が異様に色っぽかった。さぞかし高く売れたであろう…(身を売って夫を助ける。例によって理不尽だが、死なないだけ今回マシかも)
それより三味線の曲弾きがすんごい楽しかった!
「のだめ」のRSオケ(コントラバスやチェロをぶん回して演奏する)を思い出した。
でも実際にそんなことをするオケがあるんですね。最近ダイアリィノートをうろうろ見ていたらベネズエラの指揮者がやってる動画を紹介してる日記に出会ってびっくりしましたが。
いやそうじゃなく、貫太郎くん。すごいわ・・・・
確か前に阿古屋の超絶技巧演奏で琴三味二胡を演奏してたのこの人ですよね。まだまだとっても若いのにー!
目もさめるってものです。
首ぶんまげて床の方みてたので少し疲れましたが。

最後の「釣女」は狂言が元の呑気なおはなし。えびす様に神頼みして主人は美女の奥さんを釣り上げ、家来の太郎冠者はオカメを釣り上げる…
これも何年か前の正月公演で見たと思う。
ようやく、「前にも見た演目」を見るようになりはじめましたねわたくし(笑)
元兵庫県民(西宮生まれ)としては、西宮戎なのが嬉しかった。
大阪に住んでると、まわりはみな、えべっさん=今宮戎と思ってるもんなあ。
西宮戎って大きいんだぞ。

最前列で舟こいでしまいましたが、最前列の少し横のほうに職場の知り合い、先輩や後輩が偶然きていて、あとで喫茶店で5人でだべりんぐ。文楽女子会です。いいなこういうの。
ほんとは、終わったら職場いこうかと思ってたんだけど…休みだけど。
いかなくて良かったとは言えないのだが、お茶できて楽しかった…
ま、しゃーない(笑)
朝ごはんに、検査食(レトルト)を食べる。意外な美味さに感動。
野菜のクリーム煮+クラッカーなんですが、野菜の舌触りも適度でなかなかちゃんとしたクリーム煮…いや昨日あまりにひどい食生活だったこともあるが…
そんなのを食べてから、内心もっと寝てたかったのだが、キップ買ってあった文楽へ。

「碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)」「桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)」そして「団子売」。

へろへろな状態で行ったらやっぱりダメだった。
「碁太平記」は半分くらい寝てた気がする。目はあいてるが焦点がなかなか合わず一体のお人形が二人見えてたし、とにかくフッと話が飛んでた。哀しい…
まあ、敵討の話だといったって、父を殺された姉妹がようやく再会して敵討の心をかためる、「俺たちの戦いはこれからだ!」までしか(三段しか)やってくれなかったから、そのせいもあるといえばあるかも…

昼食休憩をはさんだ「桜鍔」はまあ大丈夫だった。「団子売」も短い踊りの段なので大丈夫だった。
今回は最初の演目、最前列でなかったので前の男性の頭が高くて少し見にくかったのもいかんかったな。この男性は幸い昼休憩までで去ってしまって、その後はとても見やすくなった。
いやぁ、最前列でなくてよかったかもだが…(今回は三列目)。
【文楽】11月文楽公演・第2部 玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)
またまた秋の文楽シーズンがやってまいりました。
二週連続月曜ごとに文楽です。今日は夕方からの第二部。
だいぶ図々しくなってきてろくろく予習もせずに行きました。玉藻前というからには勘十郎さんがお狐ピュンピュンするんだろうなと、そこらへんはもはやカンです(?)
あとは誰が何やるのか知らないまま。
まーおもだった人形遣いさんはもう顔おぼえたし(笑)

妖力を持つ九尾の金狐、玉藻前は有名ですよね。ぬーべー先生の同僚狐だって玉藻先生ですからねえ。
鳥羽天皇から帝位を奪おうと反逆を企てる天皇の兄・薄雲皇子と、彼に狙われた藤原道春家の人々の悲劇に、妖狐がからみます。
藤原家に伝わる神剣を家来に命じて盗ませつつ、その娘桂姫を口説いてもなびかないと見るや殺してしまえと極悪非道な薄雲皇子。後に妹の初花姫が入内するとこちらも口説こうとするが、初花姫が妖狐に乗り移られて人外となっていると知るや、野望のために妖狐の力を借りられるなら人界を魔道に堕とすのもヘイチャラ、と、相当に肝の太い悪党である。
悲運の姫君たちはともかく、桂姫の思い人・采女之助がちっともそれにこたえてくれない物足りなさとか、皇子の部下の冷酷な金藤次のモドリの無茶っぷり(玉男さんなんだが)とか、善人のみなさんより、むしろ皇子の悪の魅力のほうが目立っちゃった感あり。玉也さん堂々としてかっこよかったです。ははは。

まあてきとー気味な筋はおいとくとしても?、もちろん私も狐をいや勘十郎さんを見に来たわけで(物語の中の妖狐はわりとカンタンになんとかされてしまうのだけど)、数えきれないほどの変身・早変わりや舞台転換や宙乗りやと、最後のオマケというよりそれが一番大事??な狐七変化「化粧殺生石」の場面をたっぷりと楽しみました。まーこういうのは現場で見てもらうしかない。舞台の魅力ってコレですね。

右へ去ったと思った次の瞬間に左端から登場するとか、涼しい顔で超高速なワザを連発。アイドルはどんなに激しく動いても首から上に汗をかかないという話を聞いたことがあるけど、勘十郎さんもソレかしら。
いやーお疲れさまでした(*^^*)

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