今日くらい久々にゲームもしたいなーとか思っていたが、昼の三時過ぎまで寝てしまった。
…まあ体が要求したんだから良かろう。休むのも意義アリ。
滞っていたサイト更新と、この映画を見て今日は終わり。

エルンスト・ルビッチ監督の「生きるべきか死ぬべきか」(1942年)をリメイクしたこの映画。メル・ブルックスは今回監督はやってなくて主演と製作のみ。ヒロインは実の奥様アン・バンクロフト。イイ年の筈だがそれなりにゴージャスな雰囲気をちゃんと出してるのは感心だ(笑)

オープニングのタイトルバックは、ブルックス演じる座長ブロンスキーと妻アンナ(バンクロフト)の、劇場用手描きポスターの数々。クラシックな雰囲気がイケてます。
しかし、冒頭しばらく字幕なしなままポーランド語で主役二人がケンカを始めて??と思ってると、どこからともなく「皆様の理解と正気を保つため、映画ではこの先ポーランド語を用いません」の声(と字幕)が。あからさまにホッとした表情で、英語で会話を始める二人…てなあたりは、いかにもメル・ブルックス的なベタなメタギャグだよなあ。

元々の「生きる…」の脚本が凄すぎるので、ストーリー自体は、ほとんどそのまんま。ただ、ブルックス自身がヒトラーのそっくりさんまで演じるのはさすがにムチャじゃないかと苦笑。「生きる…」ではヒトラー専門の役者がいたからね。ブルックスの役柄自体ジャック・ベニーよりもコメディアン寄りな設定になっていますが、あれで騙されるってのは、ないでしょう。

ただ、リメイクで新味な部分はというと、なんたってブルックスのミュージカル・センス。
開巻早々奥様と『スイート・ジョージア・ブラウン』てのもいいよね(これはスタンダード曲、「お熱いのがお好き」でも使ってたな)。そしてもっと楽しいのが、ヒトラーの扮装で『フランスを一切れ、ベルギーを一切れ、デザートはロシア?』と歌い踊るナンバー。少々クネっとしたヒトラーは、「プロデューサーズ」にまんま通じてます。これと中盤の『Ladies』はブルックスの作詞作曲らしい。『Ladies』は「Dames」のもじりかな?ワーナーの古い30年代ミュージカルの…。振り付け自体はカラー映画なせいもあってMGMusical調の小味なもの。冒頭のショーのポスターも“Bronski Follies”だ(笑)
出かけようとするスパイをゴマカし引き止めるため、ピアノに飛びつき歌いまくるアン・バンクロフトのシーンもイイ。「奇跡の人」だの「卒業」だのでコワいオバサンなイメージが強いけど、考えてみると映画デビュー作「ノックは無用」じゃホテル専属の歌手の役で、歌いまくっていたのだった。一曲目がYou and the Night and the Music なのも個人的に嬉しかったり…(笑)大好きな「バンド・ワゴン」で、舞台が難航する時にコミカルな使われ方をしたけれど、マジメに引けば濃厚で情熱的な素敵な曲だ♪ここでも微妙にコミカルな使われ方だな(笑)

それ以外で、「生きる…」にない場面で(あまりないが)良かったのは、劇場地下に匿ってたユダヤ人も一緒に脱出すべし、のサスペンスかな。かなり動揺していた人がいて疑惑を引きかけたのを、ちょっとした機転で誤魔化したあたりは上手い!と叫んだよ。
かなり皮肉の効いた手なんだけど…。
1942年に製作したルビッチは、戦争中ということもあったろうし本人の美学もあったろうしで、あまりストレートにユダヤ人迫害の要素には触れてなかった。そこは現代の方が自由がきくしなぁ。

総評としては、完成度は「生きる…」が格上。品もあるし知的でもある。ただしショー場面が楽しい「大脱走」も、決して価値がないわけではない。元々の「よく出来た話」は素直に取り入れて、メル・ブルックスの得意技をちょこちょこっとまぶし、オリジナルへのリスペクトがちゃんと感じられる落ち着いた作品になっていたと思う。

「生きる…」については1/7日記もご参照ください。
(http://13374.diarynote.jp/200801071200540000/)

DVD 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント 2006/03/10 ¥995
1948年ウィリアム・A・ウェルマン作品。
グレゴリー・ペックとアン・バクスターの…だが、私にとってはリチャード・ウィドマーク様の初西部劇ってんで購入(笑)
物語は、アルフレッド・ニューマンのえらく景気のいい勇壮な曲とともに始まる。

銀行を襲撃し、金を奪って砂漠へと逃げ込んだ六人の男。暑さと渇きで死にかけつつ、辿りついたのはゴーストタウン。
ところが、廃墟と見えた炭鉱町にも、老人と孫娘がひっそりと暮らしていた。二人が金鉱を掘っていると気付いた六人は金塊の横取りをたくらむが…

強盗団のボスがグレゴリー・ペック。面白半分に強引なキスで鉄火娘アン・バクスターに迫るのだが、やがて本気になってしまって、悪事から足を洗う気になる。登場時は悪党っぽく髭面なのだが、彼女の眼を気にして綺麗に髭を剃った途端にもう「良い役」にしか見えなくなるのが二枚目ペックならではで可笑しい。急に自分の生い立ちを彼女らに語って「両親はカタギだった」とか「子供の頃は教会に毎週通わせられた」だの、『そんなに悪くないんだよー』と上目遣いで売り込むのが、まるで育ちすぎた子犬のようだ。うん、犬型だなあ、この人(笑)。

対するウィドマーク(強盗団のNo.2)は、やはり猫系?隙のない身ごなしといい、どんな時でも自分のペースでひっそりとアレコレ探ったり企んだり、妖しさ不気味さを漂わせている。荒くれたちの中、ただひとりビシッと黒っぽい三つ揃い(ベストは柄付き)でキメてる洒落者なギャンブラー。タバコの吸い方などあいも変わらずカッコよろしい。
胸の古傷に弾丸が残ってるからとか言って一人だけ重労働には加わらないチャッカリぶりもヘンでよろしい(笑)。西部劇も似合うというのはこの映画で明らかになったわけだけど、まだどこか、フィルムノワールのノリを引きずってる感じもするな。
この映画、モノクロ映像がとてもシャープで、西部のおおらかさより、仲間割れのサスペンスの方が勝っているし…。

バクスターに惚れて正道に戻りたくなったペック。とにかく金を掴みたいウィドマーク。金もだがバクスターをもモノにしたい暴れ者のジョン・ラッセル。この三者を軸に、互いに腹の探りあいを続けていた強盗団はやがて完全な仲間割れを起こします。
クライマックスは、無人の酒場で三つ巴の決闘。
カウンターの陰に身を潜めるウィドマーク、靴を脱いで忍び寄るラッセル、匍匐前進で酒場へ近づき、一気に飛び込むペック!…のガンファイトが、銃声だけで経過を絵で見せてもらえないってのは、いささか残念無念。
そして、斃れた金髪のウィドマークの手元から、砂金がさらさらとこぼれ落ち、勧善懲悪のお約束をスタイリッシュに表現する。
風流ではあるんですけどねえ、実にサスペンスフルでもありましたがねぇ、
…そりゃないよ!

最後は改心したペックと強盗団の生き残りが銀行にお金を返しに行って、いいんか?ってくらい、ほのぼのハッピーエンド。
まあ、結構楽しめました。よかったよかった。

DVD ジュネス企画 2008/01/25 ¥5,040
10日出がけにスカパーで録画していて、字幕で、えッ!という所があったので、予定を変えて今日はこちらを見ました。
字幕の件はまたあとで…

えー、西部劇の王者、ジョン・ウェイン。
…私としては、特に好きなスターではないけれど、「赤い河」の彼はイイです。彼の西部劇の中で、また西部劇全体の中でも、この作品は一番好きなもののひとつ。

さて…
青年ダンスン(ウェイン)は、自分の牧場を持つため幌馬車隊から別れ、未開のテキサスを目指そうとする。同道するのは相棒のグルート(ウォルター・ブレナン)のみ。
その彼を、呼び止める娘(コリーン・グレイ)がひとり。一緒に連れて行ってと懇願するのだが、「女には無理だ、後できっと呼び寄せるから」と、母の形見の腕輪を与えて去ってゆくダンスン…
辛い別れに立ち尽くす恋人の、風にはためく白いドレスが目にも鮮やかな、詩情あふれるオープニングである。

しかし、この後すぐ、幌馬車隊はインディアンに襲われ全滅してしまうのだ。
唯一生き残った少年マットを連れて、ダンスンらはテキサスへ。

14年後。
艱難辛苦を乗り越え大牧場主となったダンスンは、戦後の不況を切り抜けるため、一万頭の牛を隣のミズーリ州まで連れてゆく決意をする。頼もしい片腕に育ったマット(モンゴメリー・クリフト)とグルート爺さんは勿論、近隣の中小牧場主やガンマンのチェリー(ジョン・アイアランド)も同道する。
前人未到の長い距離、行く手を阻む厳しい自然、インディアンや野盗も警戒せねばならない。困難な旅は次第に、ダンスンを頑迷固陋な独裁者へと変えてゆき、彼の行き過ぎに耐えられなくなったマットはついに、怪我をしたダンスンを置き去りにして、他の仲間たちと牛を連れアビリーンの町へと先行する。――「追いついたらお前を殺す!」ダンスンの誓いを背負いながら。

雄大な自然、キャトル・ドライブ、ガンファイト、男の意地、家族(擬似的家族でも)の情愛と葛藤。西部劇ならではの魅力に骨太の人間ドラマがガッチリ噛み合わさって最高です。そして、…とてもとても男っぽい作品に見えて、実は恋――というか「女」の役割が実は大きいのもよろしい。

新リーダーとなったマットは、途中で勝気な娘テス(ジョーン・ドルー)に出会い恋に落ちるが、すぐまた発ってゆく。残されたテスと、マットを追ってきたダンスンとの出会いが素晴らしい。全ての事情を知っていながら、マットを追いたい、一緒に行かせて欲しいとダンスンに言う彼女。映画が進むにつれ鬼の形相となっていたダンスンが、置いてゆかれる辛さを嘆くテスの言葉に、反射的に「ナイフで切り裂かれるような」とつぶやく。それは昔、ダンスンが置き去りにし、死に別れた恋人が別れの日に発した言葉。
こんな頑なな男になってしまったダンスンが、それでもあの恋を、あの別れを心の底に深く刻み付けていたという哀切が…この一言でちょっと彼を「許してもいいかな」という気にさせる(あんなに色々と酷い振る舞いをしていたのにね)。
そしてテスも即座に気付く「あなたも同じように恋人と別れたことがあるのね?」
鋭いにも程がある(笑)…凄い女だわほんと。

二人の心が一瞬リンクし、今よりもまだずっと柔らかい心を持っていただろう過去のダンスン、本来のダンスンの蘇る気配が閃くのだ。結局ダンスンはテスが付いてくる事を認めてしまう。まだまだ「マットを殺す」というつもりではいるのだが、もはや観客の眼には、二人の和解の可能性がぐっとふくらんできている。
…実際、ラストでは、テスの猛然たる横槍が、ダンスンとマットの最後の意地の対決を綺麗に粉砕してしまうのだ(笑)

地べたにへたり込んだまま、呆然とした顔でマットに「お前、あの娘を嫁にしろ」と言うダンスンの可愛らしいったら!!!
意外に女心にジャストミートする西部劇なのでした「赤い河」!

ウェインはとにかく素晴らしい。どういうわけか、たまに老け役をすると普段と違うイイ味出すんですよねーこの人。また、大らかでパワフルなヒーローが一番多い役どころでしょうが、苛烈壮絶な鬼な役って意外と合うし。「捜索者」も凄かった。
ウェインの西部劇で好きなのというとコレと「リオ・ブラボー」あたりが一番かな。おや?両方ハワード・ホークス監督だし両方「ライフルと愛馬」だ…(笑)

クリフトはねー、この人もあまり好きではないし、この役もなんかちょっと西部男な香りが不足なんだけど、ウェインとのバランスとしては合っているかなあ。あまり頼もしすぎてもアレですもん。最後の殴り合いも、ウェインが一発撃たれていて丁度いいとか巷では言われているけど同感。
そのぶんそのライバル兼友人なチェリー役ジョン・アイアランドがいかにも西部男的にカッコよくていい味出てる。ちょっと濃い目でチョイ悪臭いイイ男って感じで。最後ウェインに手を出して一蹴されるのは気の毒すぎるけどまあ必要なんだろう、あの一発が…(^^;)
ウォルター・ブレナンはいつも通りに笑いを取って、ナレーションでドラマ演出にも一役かって、達者です。
ヒロイン二人はそれぞれにたくましく(死んだ方も)、女というものを「生きることの素晴らしさ」の象徴のように描かれている。イメージ的には似ているのだが、真っ白な衣装のコリーン・グレイと、黒っぽいジョーン・ドルー、服装で描き分けているのもいい感じ。

…で…最初に言ってた字幕の件。
なんと、オープニングの恋人との会話、字幕に「ナイフ」のナの字も出てこない。
うそォ!(恋人の最後のセリフ、確かにナイフがむにゃむにゃと言ってたのに…)
それじゃ、1時間以上もあとになってウェインがナイフがどーたら言ったからといって、それで彼の「昔の悲恋」がわかってしまうジョーン・ドルーは霊能者なみだよ!あ、いや「ナイフ」は観客しか聞いてないのか。じゃ観客も霊能者なみになれというのか。
確かに聞き取りにくいけど、それに字数が入れにくかったのかもしれないけど…
許せん〜(泣)

考えたら私が以前見たのは、TVで吹き替えだったんだろうな。だから、ちゃんと、ナイフで心を刺されるようにとかなんとか、厳密にではないけど「ナイフ」をはっきり聞いて覚えていて、しかも印象深かったわけなんです、が…
はああああ…
すごく、すごく、思いいれのあるシーンだったんですが。でも字幕は清水俊二とあった。うーんベテラン大御所の一人ですねえ。今売ってるFOXのDVDもこの人の字幕?

…吹き替え、付いてないのかなあ…
ジェリーは妻のルーシーに嘘をついて一晩家を空けるが、何とルーシーも外泊していたことが発覚。平然と帰宅した彼女を彼は咎めるが、逆に自分の嘘を暴かれてしまい…。

ぜーはーぜーはー仕事が終わらない〜!
今日は休館かつ停電なため、出来る仕事も限られてるから、半休を取って帰ろうと思っていたのだが、片付いたのはなぜか三時前。お昼も食べずに頑張ったのに(涙)

こういう時は、シャレたコメディ。
帰りに買った美味しいデニッシュにかぶりつきながら、スカパーで録ったクラシック映画「新婚道中記」を見ました。

ケイリー・グラントとアイリーン・ダンの夫婦が、ちょっとしたキッカケから離婚だ!といきまいて、それぞれ別の相手を見つけようとしたりするんだけど、…ラストは勿論皆様のご想像どおり。

人の出入りで笑わせるのは、ひょっとして元が舞台劇?
困ったタイミングで困ったことをしてくれる愛犬の活躍?も。
結構ドタバタ・コメディでもあるけれど、ケイリー・グラントが演じると、どんなドタバタも何ともキュートでスマートだ。
適度に品のある愛嬌と、目に心地よい男っぷりとで、いつも一定の満足を与えてくれる。こんな俳優は、今はいないよなあ。

アイリーン・ダンのほうは、「ロバータ」でも見たが、あまり私の好みのルックスではない。でもまあゴージャスさはあるかな。終盤は思いがけなく体を張った?大胆なヨッパライ演技で笑わせてくれました。ちょっとだけ歌う場面もあり、歌はやっぱ上手い♪「都会のお洒落で優雅なカップル」としては釣り合い取れてると思います。

これも所謂スクリューボール・コメディのうちかな?でもテンポは割とゆるやかな(少なくとも前半はゆるやか)、男女の機微をじっくり描いた、オトナのドタバタ・ラブコメディ。
しかしいい家に住んでるなあ、アヤツら…マジ、有閑階級です(笑)
それと結局ジェリーは外泊してナニしてたんだろ?分からずじまい(^^;)
問題はソコじゃないってんですかそうですか。

ちなみにこの映画、アカデミー監督賞も取っているとか(レオ・マッケリー)。

DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007/01/24 ¥2,990
朝から驚いた。
ヒース・レジャーがなくなったって?若いのに。

「ロック・ユー!」って馬上槍試合映画の主人公だったがために(ブロークバックではなく)、最近の俳優の中では私には印象の強い人。ご冥福をお祈りします。
この映画はあえて時代背景や音楽をいろいろ現代風にアレンジしているので、歴史映画好きの私には百%賞賛はしきれないのですが(だからこそ入りやすかったという声もよく聞くので判断は悪くないのでしょうが)、とにかくイマドキ馬上槍試合!なのは感動だったなあ。うーん。

とかいいながら「ブラザーズ・グリム」をヒコーキの中で見たときは、兄弟のどっちがヒースかなかなか分からなかったって体たらくなんですが(苦笑)

http://news.yahoo.com/s/ap/20080122/ap_on_en_mo/obit_ledger

ロバータ

2008年1月22日 映画
「フレッド・アステア自伝」も読み終わったしと、正月に録った「ロバータ」(1935年)を見る。初見♪

アステアの役は例によって歌って踊ってのバンドマン。ピアノも披露してくれる(それも曲弾き気味なのがカッコイイ♪)。仕事を探しにパリに来て、元貴族とのふれこみで舞台に立つジンジャー・ロジャースとコンビを組む。その友人ランドルフ・スコットは、朴訥なスポーツマンなのに伯母の一流服飾店「ロバータ」を引き受けることになり、伯母の第一助手だったアイリーン・ダンとロマンスが…と、二組の恋愛が進行する。
ま、ストーリーはどうってことないけど、それはお約束。
ちなみにジンジャーのはただの「ハッタリ」だけど、ホンモノのロシアのプリンスやプリンセスもちゃんといる。しかも勤労青年貴族である(でもロシア料理店へ行ったら、帝政ロシア国歌を演奏してもらえたりはする)。
「ニノチカ」でも思ったけど、戦前のパリって、亡命貴族なんか掃いて捨てるほどいるっての、もはや常識だったんですかねえ…

しかしアイリーン・ダンて、こんなに歌えたのかー。知らなかった〜。
「煙が目にしみる」は泣かせます。

ダンスは勿論だけど、ハッタリで貴族を名乗ってるけど、実は昔はアステアの隣に住んでたというジンジャーの明るいチャッカリ娘ぶりも魅力的!

ラントルフ・スコットは、もちろん歌も踊りもなし。絵に描いたような朴訥系二枚目で、元恋人が出てきてロマンスが一時迷走して友人諸氏何とかしようと走り回ってという、物語を進める狂言回しというか狂言回されというか…。ま、イヤミがないのが取り柄だ。
露出的なデザインは嫌、という性格が笑えます(似合ってるし)。

そしていい意味で十年一日というか、三十代のこの頃からまったく変わらず優雅で完璧なアステアの踊りだ〜。煙が…での踊りと、バンド・ワゴンの「ダンシング・イン・ザ・ダーク」の踊りの本質に差がないのが凄いよねー。十年一昔じゃないのよ、念のため。
終盤の“ミュージカル・ファッションショー”の、友人の穴を懸命に埋めて、ドレス紹介をとうとうと、歌うが如く語るアステアのMCぶりにもウットリです。

ファッション界が舞台で、ある意味では「パリの恋人」を連想させるところのある作品ですね。
今となっては、30年代のモードはあまりピンと来ない部分があるけれど(笑)
(50年代の先端ファッションをピンと来させてしまうオードリー・ヘプバーンの凄さも凄いのでしょうが)
DVDボックスも二箱出てるんですね〜(^^;)

朝から、うちそびれてたインフルエンザの予防接種にいくのと(既に職場のヒトの親戚が罹ってるそうなんで、いつ感染するやらだし)、シャープのダビングと昼寝とですぐ1日がたってしまった…

とりあえず、やっと2話まで見ました。

ナポレオン戦争時代の英国陸軍、下層の生まれながら、戦場でウェリントン将軍の命を救ったことがキッカケで将校に取り立てられた男の活躍!
とはいえ、フランス軍だけでなく、階級意識に凝り固まった無能な上官の偏見や悪意とも戦わないといけない。何せ当時の英国陸軍の将校の階級は、フツーに金で売り買いされていたというのだ。そりゃ無能な高級将校がいくらでも生まれるよね。
「自分たちの階層」から飛び出したってんで部下(平民出身な兵卒たち)の冷淡と戦わねばならない時もある。
…イギリスだなあ…

シャープ役のショーン・ビーンは、原作のような黒髪じゃないけど、悪くない。
二枚目と言えなくはないが年のワリにシワが多くてアゴの張った、野生的な面構えはなかなか合ってる感じ。ハードボイルドで、そのくせたまに純朴なところもある主人公だもんね(女性の前のみちょっと可愛いときアリ☆)。

「陸のホーンブロワー」とも言われるドラマ(作ったとこも同じBBC)。
が、怒られるかもしれないが(誰に?)、正直言うと、わたしゃドラマに限ってはシャープのほうがいいなあ。
ドラマのホーンブロワー君(ヨアン・グリフィス)は、オトナ好みな私には、ちょい青すぎるんだよね〜。こちらのBoxセットも全部買ったのだが、未見が何枚か…。オイ…(爆)
映画の、グレゴリー・ペック版ホーンブロワーの方が好きだし(笑)

ウェリントンもなかなかイメージ通りかな。
あとは、…原作読んだの結構昔なので…、適度に忘れていて気持ちよく見てる(爆)
かなり面白く読んだのだけど、十年以上前のはずだしね(^^;)

そして、音楽も、かなり気に入った!
ちょっとトラディショナルな感じで渋くてとてもイイです。
全14話。こう長いシリーズだと、最後まで見れるのはいつになるかわからないけど、とにかく全話録画だ!

あと、おかしかったのは、私がコレを見てると、相方が突然、うーんコイツどこかて見た気がする!見たことある!とウダウダ言い始めたこと。そんなに映画詳しくもない筈なのに。それでなくても主役張ってる映画ってそんなに多くはないよねショーン・ビーン。
ところが…実は、つい2日ほど前に、夜中にスカパーで「チャタレイ夫人の恋人」をやっていたので、残業続きで疲れて遅く帰ってソファでへたっていた彼は、ウッカリダラダラ見てしまったそうな(私は見てない)。調べてみると、この映画でショーン・ビーンは森番(!)役だったそうですね。
うーん奇遇な(笑)

DVD ハピネット・ピクチャーズ 2006/03/24 ¥22,050
石油会社の輸送機がサハラ砂漠を横断中、砂嵐に遭い不時着。無線は壊れ、灼熱の砂漠を歩くことも不可という極限状況の中、航空技師ドーフマン(ハーディ・クリューガー)は輸送機を単発機に改造して飛ばすことを提案。はじめはとりあおうとしなかったフランク機長(ジェームズ・スチュアート)だが、やがてそれしか生存の道はないことを悟り…

極限状態の男たちの意地の張り合いとサバイバル。

スチュアートもだいぶトシくってて、ベテランパイロットといえば聞こえはいいが、もうロートル。あと、リチャード・アッテンボロー、アーネスト・ボーグナイン、ピーター・フィンチ、クリスチャン・マルカン、ジョージ・ケネディなど、渋く実力あるオッサン役者がズラリ揃い踏みです。女っ気、見事なまでにゼロ。
女性がいれば、オッサンどもも、むしろもっと格好付け合うのかもしれませんが(こじれる危険もあるけどね)、極限状況に男だけ、国籍も色々とあって、かなり身もフタもなく各人の個性がぶつかりあいます。
見ながら何度、オイそこまで言うか!そこで殴るか!と、内心突っ込んだことやら(笑)

機長は自分を責めるのに忙しくて意外と役立たず。最初は気弱で酒に逃避気味だった副長アッテンボローが、途中から頑張りを見せ「希望を捨てちゃだめだ、力やアイデアを出し合わせないと」モードに入って機長と技師の仲介役に。いい味出してましたねぇ。この人は鼻が短く独特のベビー・フェイス。こういうルックス、のっぺり二枚目よりむしろ好きかも知れません私。有名なのは「大脱走」の脱走組織のリーダー役かな?体格は中背で平凡ですが、今回と違い、堂々として実にカッコよかったです。

フランス人の真面目な医師(クリスチャン・マルカン)、仕切りたがりだが非常に意志も責任感も強い立派な英軍将校ピーター・フィンチなども印象的(将校のテーマのように時々、チラリと流れる曲はリリブレロ?…昔「バリー・リンドン」でも聞いた気が)。が、立派だから助かるとも限らないハードな状況。次第に上官の頑張りについてゆけなくなる軍曹ロナルド・フレイザーの存在なんか実に皮肉で、骨太のドラマになっていました。

そして何たってオイシイのは、孤高のドイツ人技師ハーディ・クリューガーか。
最初っから「この若造が」という目で機長が見てるせいで余計に、というのはあるんでしょうが、自分の世界自分の執念にひたりきってその分モノ凄いパワーを発揮する。機長含めて皆が呆然となる中、誰よりも早く自分なりに「どうしたら脱出できるか」の計算を始めていた男。機長曰く「人間コンピュータ」…プライドが高くてあくまもでクール、皆を助けることより「自分の計算が正しいと証明すること」にこそ燃えているような男。
普段からコレだったら「かなりヤな奴」だが、彼の合理主義精神と知性と執念がなければ、脱出の可能性はゼロ以下だった、という、ちょっとダークサイド寄りのヒーロー?

しかも銀縁メガネの、まさにオタキッシュ!な風情が、妙に現代的な味わいがあってナイス(*^^*)
オタクの語が生まれるまでに、あと四半世紀はあるのですが(笑)
「シベールの日曜日」の戦争で心に傷を負った青年役とは対照的な傍若無人ぶりですが、いやー演りがいあったでしょうなあ。

あれこれ道具も工夫して(その工夫は寝る間も削って技師がやってるんですが)、水や食物(そして体力)が無くなるまでのカウントダウンしつつの、全員での突貫工事。
大改造が完成して、いよいよ明日は、という時に、技師の勤務先の詳細が判明して(別に隠していたとかではないんだけど)、機長&副長ヒソカに愕然、というのも凄いシナリオでしたねー(笑)。
さすがにこれで誰も助からないってのは無いだろう、と思いつつ、最後の30分は手に汗握りっぱなしで見てしまいました。

技師にやられっぱなし、終盤までいいとこなしだった可愛そうな機長が、土壇場「ベテランならではの着想」でやっと1ポイント(でも大きな1ポイント)稼いでくれて、ホッ。
あれだけモメましたが、ラストはさっぱりと気持ちよくエンディング。
やー、面白かったです。

リメイクでは、この技師、何人になってるのかな…(見る気はないが)
多分、ドイツ人じゃないんだろうな。カンですが。
映画の中で、技師に対して他の乗客が「お前みたいなのがいたのに何でドイツは戦争に負けたんだ」と揶揄、「従軍はしなかった(若すぎて)」「なるほどな」なんて会話がありました。60年代ならでは、ですかね。

DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006/11/24 ¥2,990
待ちに待ったルビッチ監督代表作(の一つ)、1942年作品。
年末届いたDVDが漸く見れました。お得意の艶笑喜劇と抗ナチサスペンスの奇跡の融合!噂にたがわぬ面白さに満足。

1939年、ボーランドの首都ワルシャワ。
前触れもなく、平和な街角にあらわれたヒトラー総統と随行員の姿にどよめく市民たち。ところがコレは、実は次のオリジナル作品を稽古中の劇団員たちなのだった!(ヒトラーのそっくりさん俳優はコレで一発当てようと考えたらしいが…)

さて、劇団の座長はジョゼフ・ツラ(ジャック・ベニー)。妻は美貌の看板女優マリア・ツラ(キャロル・ロンバード)だが、彼女がいささか浮気性とあって苦労は絶えない。
が、彼女の浮気や彼の嫉妬など当然膾炙することなく、やがて戦争は勃発する。あっと言う間にナチスドイツにワルシャワは蹂躙される。マリアの浮気相手の若い空軍将校(ロバート・スタック)は一旦英国に亡命したものの、ナチのスパイを追って(彼女への慕情も手伝って)、危険を冒してワルシャワへと舞い戻ってきて…
大義名分もあるとはいえ、明らかに間男(笑)を匿うマリアにカリカリしながらも、祖国のため、自分がスパイをやっつける!と、ジョゼフは仲間の劇団員ともども立ち上がる。情けなさ可笑しさと「妻に振り回されてても、最低限の男の意地は貫きたいぜ」のけなげさのブレンドが何とも♪
ゲシュタポに支配されたワルシャワで、己の武器は演技力のみ。劇団事務所をゲシュタポ本部に見せかけ、なんとかスパイを騙して連れ込んだ!しかし…?

とにかく笑えて、とにかくサスペンスフル!!たまりません。
事態の流動にあわせて役柄も演技もシナリオもアドリブで変わってゆく。ほとんどノンストップコン・ゲーム状態と化した終盤に、団員の一人グリーンバーグ(フェリックス・ブレサート)が叫ぶ「ヴェニスの商人」の名セリフが…「くすぐられたら笑うだろ?傷つけられたら、復讐するだろ?毒を盛られたら、死ぬだろう?…どこが違う?(一部略)」ナチスの兵士達に面と向かって命がけで投げつけられると、ほんとどーんと胸に迫ります。実は元々このセリフは彼の好きな物らしく劇中三度目にもなるんですが。

ドイツ出身、ユダヤ系のルビッチが、ヒトラーとナチの所業を憎まないわけがない。それでも、自分の言葉そのものでなくシェークスピアを使い、それも三回も使うことで逆にある種のユーモアをにじませて緩和と強調を同時にやってのけるという、手の込んだやりくちが流石です。反ナチな主張を込めても「演説」なんか可能な限り避けてあくまでも艶笑喜劇とからめ続けるのが、きっと監督の美学なんだろうなあ。

主人公が、基本的には善人だろうけど、あくまでもどこまでも俗っぽい男として描かれるのも、多分そう(ラストは、あーやっぱりって感じでけちょんけちょんです(笑))。しかし噂どおり、キャロル・ロンバードってカッコいいな〜初めて映画で見ましたが。セクシーであると同時に頭の回転もいかにもよさげで。マリアのワガママ勝手もたくましさも、そのまんま愛すべき存在として肯定されちゃってます。

そして、ルビッチ自身の言葉を拾うと「私たちの目標は幸福な世界を作ること」と偉そうに言うナチのスパイに、マリアが「不幸になりたい人には居場所がない世界だわ」と返す所かな。お見事。「幸福な世界」は押し付けられるべきものじゃない。
堪能しました。

…ただ…字幕が時々ヘンだったのだけ、残念だった(「〜ですわ」って女言葉じゃないのか。それとも爺言葉として当てたのか。とにかく引っ掛かっただけで有罪。惜しい)1500円だからって…

それとついでに開巻早々、ゲシュタポ芝居の場面で、「ハイル・ヒトラー!」の大合唱に迎えられて部屋に入ってきたヒトラー役者が「ハイル・マイセルフ!」と返した(そして、しょーもないアドリブ止めろと演出家に怒られる)のには吹いた。
…コレかいメル・ブルックス!「プロデューサーズ」のクネクネヒトラーの歌「ハイル・マイセルフ」の元ネタは!!
いやきっとそうだ。絶対そうだ。そもそも「生きるべきか死ぬべきか」をリメイクした奴なんだもんなブルックスは(「メル・ブルックスの大脱走」)。

うーん、「メル・ブルックスの大脱走」(1983年)も、見たくなってきたな…
きっとルビッチ師匠のより泥臭くなってるには違いないけど(笑)

DVD ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2007/12/13 ¥1,500
ビリー・ワイルダー監督作品(1970年)。
とにかくワイルダーにはハズレがない。
大傑作でなくても決して損はしない。

ワイルダーには珍しく、カラー&ワイドスクリーンで描いた名探偵ホームズの冒険と私生活。ホームズを演じるのはロバート・スティーヴンス。あまり他の作品で見たことはない。そのぶん垢もついていないが、微妙に長めで茶色がかった髪に、ホームズとしてはどこか柔らかく「フツー」な印象がある。
Dr.ワトスン役はコリン・ブレイクリー。ホームズと並ぶと背は低いし、立派な口ヒゲと丸みをおびたおデコが、帽子をかぶるとちょっとポワロを思わせる(脱げば、ハゲてないのでポワロ風味は消える)。さてこのワトスン先生、意外と軽くて女好きで序盤から結構笑わせてくれる。ホームズに言わせれば「小説にする際、結構好きなように脚色してる」とかで、二人のやりとりはとても可笑しい。ワイルダー映画の会話がユーモアとウィットに溢れて楽しいのはいつものことだが、バレエ鑑賞後のパーティで四人の白鳥と腕組んで踊りまくる先生の姿はますますもって爆笑モノ♪
軽いようでも底流にある人の良さ、ホームズとの友情と信頼の絆は確かなのだが。

霧のロンドン、重厚な建築と独身男たちの気楽な下宿、そして美しい依頼人(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)と共に訪れるスコットランド・ネス湖周辺の自然と、英国情緒満載に加え、ホームズを導く様々な手がかりが(死んだカナリアや小さな棺や)、どことなくお洒落?感があるのもよろしい。じっくりゆっくり描かれる世紀末の風景と華麗な小物類をのんびり楽しみましょう。ついでに兄のマイクロフト(クリストファー・リー!)がえらくスマートでカッコイイ。もっと太ってると思ってたんだがお兄さん。

ただ、意外な真相とさらに意外なその結末を見てみると、事件の性格にもよるのだが、必ずしもホームズ大活躍〜!という印象は強くない(いかにも鋭くウィットにも富んだ魅力的な人物として描かれてはいるのだが)。
むしろ、事件が終わったあとの、しっとりとした情感、ほろ苦いロマンティシズムこそが、見終わった後にどーんと残ります。なにせ原題は“THE PRIVATE LIFE OF SHERLOCK HOLMES”ですものねえ。
そして、ほのかな退廃と憂愁の翳りが、世紀末の魅惑とノスタルジーをいっそう盛り上げるエンディング。

ホームズという神話に心からの愛と敬意を表しつつ、なおかつワイルダー独自の切り口で料理した素敵なホームズ映画でした。監督が撮ったフィルムのうち、実はかなりの分量がカットされてるらしいのですが(残念!)。

まあ、ホームズに対して思いいれや思い込みの強い人には、ひょっとしたら不満が残るかもしれませんが。超人的ヒーローが快刀乱麻の事件解決!というより、ここにあるのはひとりの人間・ホームズのロマンスですし。誤謬ひとつない「ホームズ神大活躍」のみを期待すると、ちょっと評価は微妙になりそうです。あと一時間くらいかけて(ノーカットで♪)前半にもうひとつくらい別の事件やって完璧解決してくれてたら両方の要素をフルにやれてサイコーだったのかも?
多分、今一番主流なホームズ像はジェレミー・ブレットのクールな(人間的でないわけでは決してないけど)ホームズだと思うので、それに比べるとスティーヴンスは意外なくらいウェットな印象。でもこの映画では、それも納得かな。そして軽いようでもやっぱりDr.ワトスンはイイ奴だ…!

私はスカパーで観たが、正規版DVDには、カットされた部分が一部収録されているらしい。こだわる人はDVD買うほうがいいかな?

DVD 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント 2005/09/30 ¥4,179

(おまけ)
そんなこんなで、とっても見ごたえがあるけれど、ちょっと惜しいところもあるので…ホームズ・パスティーシュ映画としては、実はこれって「No.2」。私の一番のオススメは「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」なのでした。
コカイン中毒を治療してくれるフロイト(!)を交えて素敵な冒険を繰り広げるホームズとDr.ワトスン。これもスカパーでやらないかなあ。ニコール・ウィリアムソンのホームズと、ロバート・デュヴァルのワトスン。アラン・アーキンのフロイト、全員カッコよかったです♪音楽も良かったし♪
会議は九時前まで続いた。(-"-;)

帰宅して、おせちの残りを片付け、夜中過ぎてもまだスカパー全チャンネル無料視聴期間が続いていたので(多分四日か五日までか?と踏んでいたが)、ラッキー!とスター・チャンネルの予約を追加でセットする。スタチャンはオトクな「セット」に組み込まれていないので、余分なお金を払ってまで継続視聴する気がないのだ(「スター・チャンネル・クラシック」だって、言うほどクラシック映画やらないし)。映ってる今がラストチャンス。

正月期間にスタチャンから録ったのは「飛べ!フェニックス」「情婦」「シャーロック・ホームズの冒険」。完全に未見なのは「飛べ!」のみで、他のはTV放映見たことあるのだが、多分カットもあっただろうと思うのでチェック。それにしても私がろくに新作映画を見なくなったここ10ン年で、ずいぶん色んな映画がリメイクされてるのには驚きだ。「飛べ!」リメイクは知ってたけど、4日深夜やってた「ロンゲスト・ヤード」もバート・レイノルズと思ったらリメイクだったし、年明けに「南極物語」と思ったらなんとハリウッドでのリメイクだった。特に南極はびっくりしたなあ、もう(死語)。犬の名もマックスとか何とか言ってたぞ。ハスキー犬みたいだし。なんともはや…

シアターチャンネルから録ったアステアの「ロバータ」「空中レビュー時代」やのだめスペシャルもあるので、この調子ではあっという間にHDDが一杯だ〜。まあ、来週からはこんなに録りたい映画続かないからなんとかなるとは思うが。
それ以上に、時間がもっと必要だね。
昨日の夜買ってきた安物のコンパクトプリンタで、一気に年賀状作り。
昼はランチバイキングでたらふく食べて、夜は…

クリスマスイブ。
となると勿論、クリスマス映画を見ねば!
で、「気まぐれ天使」です。1947年モノクロ作品。

クリスマス間近な街。
生真面目さがかえって後援者との軋轢を生んだのかして、大聖堂建設資金集めが難航してフウフウ、愛妻をかえりみる余裕も失くしてるプロウン主教(デヴィッド・ニーヴン)のもとへ、突然あらわれたナゾの色男ダドリー(ケイリー・グラント)。彼は主教を助けに来た天使だと自己紹介し、主教の見てないところでアレコレ小さな奇跡を起こしたり人々の心をほぐしたりするのだが…

開巻早々、ストレスからつい奥さんにキツめの言葉をかけちゃうニーヴン主教にごく軽くビックリ。いや、すぐ反省して「明日時間取って出かけようか」と仲直り提案をするんですが結局仕事で提案もボツに…。精神的に追い詰められてるんだね〜。
グラント、ニーヴンともに洒脱とかスマートとかいうキャラを得意とするスターなのですが、今回はそういう部分はもっぱらグラントに集中させてます。加えて男の色気全開、タイピストも乳母もメイドさんも、主教夫人(ロレッタ・ヤング)までいささかダドリーにぼうっとなる始末。スケートリンクのシーンはジャンプや回転まで決めまくり、吹き替えなのかなどうなのかな(確認しきれなかった)。
終盤は主教がめちゃ気の毒とも言えます(笑)

実際、デヴィッド・ニーヴンの旬はむしろ50年代以降、厚顔無敵な洒脱オジサマ役がツボに入ってから。でもまあやっぱり、上品でイイな〜☆ニーヴン。
色気では負けているが、聖職者だから色気なんかモロ出しにしちゃダメだしね。ハンサム天使にすっかり負け犬気分の淋しげな風情がこれはこれで、激カワイイです。秀でた額、すんなりした鼻筋、小洒落た細い口ヒゲ、そして何より品良く伸びた長い首♪

時代も時代だしで、のんびりしたテンポのファンタジック・コメディ。
トボけた設定とあわやヨロメキ?という要素でクスッ&ハラハラさせながら、グラント、ニーヴンの二人のパーソナリティで、しごく上品にまとまってました。
この季節にはオススメ(*^^*)

DVD ファーストトレーディング 2006/12/14 ¥500

復讐鬼

2007年12月12日 映画
郡立病院で刑務所病棟を担当する黒人医師ルーサーは、怪我をした強盗犯兄弟を診察する。一人は、銃創よりも脳溢血の疑いがあったため検査するが、その途中で患者は死んでしまう。兄である共犯者レイは、黒人のルーサーが弟を殺したと思い込み、復讐を指示、スラム街の白人が黒人街を襲おうとするが、情報を得た黒人たちは先回りして白人たちを袋叩きにしてしまう。怒ったレイは脱走し…。 1950年日本未公開作品。モノクロ

古いけど人種差別問題社会問題を真正面から扱って結構強烈な作品。
差別意識と逆恨みでベッドの上からムチャクチャをやるチンピラのレイ(リチャード・ウィドマーク)と、それに耐え、そしてあくまでも人道的(理想主義的)であろうとする若い黒人医師(シドニー・ポアチエ)の対決。

ひとつの街で結構簡単に人種暴動が起こったりするさまは呆然だ。白人社会の中でも、特に貧しい層こそが不満を黒人差別へ振り向けて過激になりがちというのは周知だがそのへんをもろに突いてる。しいていえば、もう少しレイたちの白人スラムの生活環境をセリフだけでなく絵で見せてほしかったなあ。あやしいビリヤード場だけでなく。ルーサーらの住む黒人街の様子は映るのだが、割と小奇麗。ただ大家族で一軒の家に住んでて就職がなかなかとか言って悩んでいるところはそれなりにしんどいものがあるのだろう。“ビーバー運河(白人スラム)”はもっと…どのくらい酷いのだろう?
外国人にはもう少し具体的なイメージがあると、もっと良かった(半世紀も前の映画だし、限度があるということかもしれないが…)。
まあ出演者たちの熱演である程度はそれも吹き飛ぶ。フィルム・ノワールのようなサスペンス調で話は進むし。

ウィドマークは最初から飛ばしまくりで、医師ルーサーに初対面ですぐ唾を吐きかけ、差別語をぶちまける。スラムのチンピラ連中の中でもボスクラスらしく、病院にいながらにして、死んだ弟の妻(リンダ・ダーネル)をたぶらかして暴動の引金を引く。果ては撃たれた足を引きずって脱走し、ルーサーに銃を突きつけながら痛みと高熱に半ば錯乱してゆくあたり凄い熱演である。
逆恨みは勿論だが、彼の黒人差別が自分の「不幸」な立場(スラムで育ってそのまま悪党になって…自分も悪いんだが)へのドロドロした不満と歪みがカタチを変えたものであることが、次第に乱れていく彼の言動からあふれてくる。
黒人看護婦の「殴るのは自分が偉いと感じるからよ」というセリフがあった。納得だ。
ラスト、身も世もなく子どものように嗚咽するレイは、「医師として、それでもレイを治療する」というルーサーに、完全に「負けた」という表現なのだろう。まあ、傷が治った頃にはあの涙はどこへやら、またただのワルに戻ってるかもしれないが、あの瞬間だけは。

リンダ・ダーネルもなかなかの印象。スラムを脱出しようと努力し、レイの歪んだ根性を知りつつも、幼馴染でもある彼の訴えにほだされかけたり懊悩する様がやっぱり熱演!
ポアチエは…いや、良いんだと思うのだけども昔から私この人苦手感があるんですね…なんだか行儀良すぎて面白みがないというか。いや、面白みがないくらい「ちゃんとした人物」なんだけどこの医師。ごめん。

…しかし、困ったものである。
ウィドマーク様、こーゆー救いようのない悪役でも、ホント真面目に熱演しちゃうから(しかも巧いから)、まーた余計に悪役の回ってくる度が上がるんですよね〜(涙)
ヒーローやっても十二分にカッコいいのに、しくしく。
特に日本じゃ、悪役やってる映画ばかりが次々DVD化されてゆくし。ううう。地でやってるとか誤解されてる、きっと。

聞いた裏話では、本来彼は生真面目な人で、撮影後「毎日謝ってた」んだそうですポワチエに。セリフとはいえ差別語ぶつけまくりだから。実質デビュー作だったポワチエはそれ以外にも何かと親切にしてもらったと(トップ・ビリングはウィドマーク。ポワチエは助演扱い)、インタビューでウィドマークを絶賛してました。すっかり仲良くなったらしく、FOXから独立してからも「長い船団」「駆逐艦ベッドフォード作戦」など共演作がいくつもあります。対立する役が多いけど…
「長い船団」は普段とは逆?に、ウィドマークがヒーロー役でポワチエが凶悪なイスラムの王様を演じたんだけど、やっぱりポワチエの悪役って面白みがなかったなあと、ヒソカに思う私でしたが(^^;)

DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007/03/02 ¥2,990
エドワード・ドミトリク監督作品(1966年)、
本当はUS版DVD(英語字幕のみ)にて鑑賞。
…こっちなら1100円ちょっとだから。
20年くらい前に一度はTVで見た筈だし!
まあその程度の作品、ウィドマーク・ファンには(笑)
タイトルロールのホールデンのが明らかに主役だしね、クレジットでは両名がstarringでも。

南北戦争も四年目、2500頭の牛を北軍との契約ではるばるメキシコから運んできたアルバレス・ケリー(ウィリアム・ホールデン)は、敗色濃厚な南軍のロシター大佐(リチャード・ウィドマーク)に拉致され、南軍のため牛を強奪する計画を手伝うよう強要されるが。…というお話。

ケリーは金と楽しみのために仕事をする、享楽的で個人主義な人物として紹介されるが、むしろ自由を愛する反骨の男というべき?「第十七捕虜収容所」を少し思い出す。
北軍の少佐(パトリック・オニール)がカッコつけだがビミョーにヤな男に描かれているのが笑えるが、ウィドマーク大佐も顔にデカい眼帯と傷跡をあしらって、今回はかなり汚なづくりだ(しかしこの写真、眼帯逆なんじゃ?)。敗戦続きで疲弊した南部のためなら何でも!という執念でもって相当な無茶をやるので(言うこときかないケリーの指を一本撃ち落して「1日一本ずつだ」と脅したり)、前半は結構悪役ぽいです。
更に言うと南軍の灰色の軍服って北軍のに比べるとパッとしないと思うしな〜

快活なケリーと対照的に、戦況にしろ自分の傷にしろ暗く深刻に凝り固まってる大佐。
いがみあいつつ(ケリーもスキを見てキツい「お返し」をカマすし)、危険な強奪作戦に赴く二人の関係は、最後の土壇場でちょっと変わるんですけども。
名誉を重んじる男の美学(意気)が錯綜するクライマックスは、なかなかイイです。

とはいえ、やっぱりウィドマークだいぶフケてきてるし(既に50代)。それとも傷持ちだから身ごなしが普段よりぎこちないという設定か。同じ時期同じ西部劇なら「大西部への道」のほうが良かったとおもうのだが、そっちはDVDにすらなってない。無念。
まさか…まさか、そんなウラが、あったとわ。
先日Amazon.co.jpから送料無料で買い得る海外盤DVDのことを日記に書いたが、結局、US版「アルバレス・ケリー」の方だけ注文したのだった。1100円台なので、前からちょっと惹かれてた500円DVD「気まぐれ天使」(主演ケーリー・グラント、ロレッタ・ヤング、デヴィッド・ニーヴン)と抱き合わせで送料無料にした。

それが届いたので、とりあえず映るかチェックしてみると…
なんとッ!
ワイド画面の筈が、フルスクリーン(両端切ってフルTVサイズ)で映るぞこの映画。

…ここしばらく私は、リーフリDVDプレイヤーの不調について日記でもグチグチ、ずーっと悩んできた。US版「襲われた幌馬車」に限り、なぜかレターボックス設定にしてもフルスクリーンになるのだ。一度はワイド画面=レターボックス状態を見たのに、である。
同じだ!この症状!困る!

ただ、ひとつだけ違いが。ディスクのパッケージをよく見ると、「A面はワイドスクリーン、B面はフルスクリーン・バージョンです」と書いてある(当然英語で)。
…へ?…B面てナニ?

ついに、天啓が私に降りてきた。

DVDにも…まさか…両面ってあるのか?!

そうです!裏返してトレイにぶち込むとワイドになりました(号泣)

そういや両面銀色の上、タイトルが中央の細い帯にしか書いてない。
そーゆーDVDもあると、知らなかったのは私だけ?(汗)

そして、US版「襲われた幌馬車」のディスクも見た目かなりそんな風でした。
裏向けて入れたらワイドになりましたよオイ!
やたーこれで、再修理に送らなくて済む!!!感動にうち震える私。

しかし、US版「アルバレス・ケリー」買ってホントによかった…
これ買わなければ、いつ真実に気付いたかマジわかりませんわ。いやはや…
しかし「襲われた幌馬車」一度はワイド画面で見れたってことは、間違って(?)裏向けにトレイに入れたってこと?謎…
「馬上の二人」 “Two Rode Together”
1962年ジョン・フォード監督作品。
(日本盤出てないので英国版DVDで鑑賞。一度TVで見てるし)
西部劇だが、決闘も、インディアンの襲撃もない。
人間ドラマ、というべきだろうか。

昔コマンチに攫われた子供たちを白人社会へ取り戻すべく、コマンチ・インディアンの集落へ「取引」に向かう二人の男。とある街の保安官(ジェームズ・スチュアート)と旧友の騎兵隊中尉(リチャード・ウィドマーク)である。
ただし、攫われて9年が経過している。子どもたちはもう、ほとんど子どもではない…
白人社会に返してもらう「取引」は、比較的あっさりと成功するが、問題はそのあと。
残された家族達の悲願により開始されたミッションだが、コマンチの暮らしに溶け込み、何年もコマンチとして育ってきた彼らの姿に、呼び返した筈の白人社会が拒絶反応や偏見をあらわにするのが実に痛ましい。

性格の違う男ふたりのやりとりや、ロマンスや、A.ディバイン軍曹のコメディ・リリーフぶりなどは軽妙で楽しいし、終盤、リンチの悲劇に至るまでの経緯も実にスキのない「タイミング的にあまりに不運、だがこうなるしかッ!」な脚本であるが…ちょっと哀しすぎ。
エンディングでは、人間(白人?)は馬鹿が多すぎるけどそれでもその中頑張って強くまっすぐに生きていこうとする者たちもいるんだ!というメッセージが伝わってくる。
ただ、テーマ自体重すぎるもんね。軽妙な部分と悲劇な部分のバランスがびみょー?

ちなみに保安官は、100ドルの給料じゃとても足りん!と町中の店のあがりを一割徴収している厚顔な男。昔はヒョロっと軟弱で良心のカタマリのような役しかしなかったのに!と驚いてる人が多いみたいだけど、スチュアート、適当にユーモアも混ぜつつうまいこと演ってます。実際この人中年になってからは、執念の男とかハードな役柄をうまくこなしてるし別に不思議はないと思うな。そういう悪めいた男が、終盤、偏見に傷つけられる娘の支えになる…。オイシイ役である(笑)

対するウィドマーク中尉は保安官と逆に、安月給でも仕事一途で、実直かつ純情な男。保安官の言を借りると“a man of simple wants”。
冒頭、上司の命令で遥か遠くの砦から騎馬で保安官を迎えに来るのだが、体を叩くとモウモウと土埃が舞い上がり、自分も周囲も咳き込んだりする。何とも可愛らしく、開巻5分で善人っぷりがキッチリ判る。デビュー当初は逆に極悪人役が多かったけど、やっぱ役者だなぁ!(笑)騎兵隊の制服がまた似合って、軍人らしく実にビシっとした立ち姿をキメてくれるのがファンの私には嬉しい。近い時期の作品でも、「アラモ」の義勇軍リーダー・民間人冒険者ジム・ボウイとは姿勢や歩き方からして違う。

硬派だけれど優しい彼は、コマンチの集落から連れ帰るべき白人の内、娘と老女(こっちは想定外)が、帰りたくない!というのを無理強いできずに残して砦に戻る。彼女らがコマンチの妻にされていたからでもあるが、後で上司に「他人の苦しみを緩和しようと中途半端な事をすると、かえって苦しみを増すこともある」と諭される場面があった。善意の決断だったのだが、結果的には無理にでも連れ帰った方が良かったのかも。
結局彼が唯一連れ帰ることになった「攫われた少年」は(もう一人保安官と戻った女性は、今回の依頼とは別の時期別の土地で攫われた大人の娘なので事情が違うし)、英語などとうに忘れ、自分はコマンチだと叫んで暴れ続け、やがて事件を起こす。もし、もしも、「連れ戻された白人少年」が、たった一人でなければ、あと少し連れ戻されたほうも、迎える者たちも、反応が少しは違ったかもしれない。
…違わなかったかもしれない…。

音楽はイマイチ。TVムービーのような大味な曲でなく、もっと繊細な感じのメイン・テーマが欲しかったなあ。
軽妙な部分と、痛ましい部分の落差が結構大きいので、音楽がそのへんをうまく埋めてくれていたら、もっとよかったのに。残念です。
1950年作品(カラー)。

フレッド・アステアとレッド・スケルトンが、1920年代に活躍した実在の作詞作曲コンビ、バート・カルマー&ハリー・ルビイを演じる伝記ミュージカル。

カルマー(アステア)は、膝を怪我して恋人兼ダンスのパートナー・ジェス(ヴェラ・エレン)ともうまくいかなくなっている時、新進作曲家ルビー(スケルトン)に出会う。以前マジックの舞台をポシャらせたドジな臨時助手とも気付かぬまま(笑)、意気投合して最初のヒット曲“I wanna be in Tennessee”を完成させる。
舞台で自ら踊るのに加えて、作詞に脚本にそしてマジックもやりたい…と多芸多才なカルマーと、作曲家のくせ野球狂のルビイ。性格の違う2人は助け合い、時には喧嘩もしつつ、様々な佳曲を生み出してゆく…。
成功しまくりのコンビだし、作られた時代的に伝記映画といってもどうせ大して史実にはのっとってないんだろうなとは思うけど、たまにペーソスが漂うのがちょっと意外。
ゲジゲジ眉に金壷マナコのレッド・スケルトンって、米国じゃ人気コメディアンだったと思うんだけど実はろくに映画で見たことなくて…どこが可笑しいのか、よくわからない。
ただ、柄は大きいのに素朴でお人好しぽいところとか、歌も、特にうまくはないんだろうけどソフトな声質が、いかにも都会的なアステアの歌や演技をふわっと受け止める格好で、結構合ってたと思う。

さて、肝心のアステアなのだが、開巻そうそう“Where did you get that girl”で燕尾服にトップハット、同じ服装のヴェラ・エレンと2人で派手に踊りまくって、いつも通りの鮮やかさ。が、その次のナンバーの後、膝を怪我してしばらく踊れなくなる。
別れたジェスの舞台の様子を人づてにきき、故障が癒えぬままアステアが、そろそろどうだろう、と普段着のまま人気のない薄暗い舞台で、そうっとステップを試してみる場面などは実に胸に迫る。1人きりで“Where did you get that girl”の激しい振り付けに再チャレンジし、倒れるあたりは迫力十分。
しかし後は踊りより歌曲作りがメインとなるので、踊ってもスローなナンバー、いつもよりダンス量が少ない感じでちょっぴりものたりない?

ただ、それを補うように?作詞作曲しながら結構歌う。歌の量は多い方かも…
やっぱりアステアは歌手としてもいいよなぁ…美声というのじゃないけど、踊り同様になんとも洒落た味わいの歌唱を聞かせてくれる。

これまで通りの、カラフルで軽いミュージカルなのだけど、どことなく人間ドラマが忍び寄りかけてるあたりが時代の変わり目を感じさせます。そう、50年代の途中からミュージカルはどんどん変わってゆくんですよね。大型化、そしてリアリズム。
ただ、リアルになれば良いってもんでもない、と私は思うのですが…芸を見るためだけにストーリーがくっついて来てどこが悪いんだ?と。
アステアに関しては、ほんとソレ言えると思うね、ウン。

カルマー&ルビイの歌曲自体も、どれも楽しく美しくキャッチー(と私は思う)。
さすがに今では一般に知られている曲は、モンローが「お熱いのがお好き」でリバイバル・ヒットさせたププッピドゥ“I wanna be loved by you”くらいだろうけど。

冷静に見れば、アステア映画としては出来は中くらいかな。でも楽しめました。
NHK衛星で明日、やるらしい。
スカパー計画も遅れているので、私は見られないが…

しかし、日本のDVDって何でこんなに高価いかねえ。
最近、どーしたわけか、米国サイトに行かずともAmazon.jpから直接買える海外盤DVDが増えてるみたいなんだけど、US版だと、1000円ちょっとだよー(文庫本一冊でも合わせ買いすりゃ送料もゼロに!)。そりゃ、英語字幕しかないけどね。

http://www.amazon.co.jp/Alvarez-Kelly-Ws-William-Holden/dp/B00000K3D5/ref=wl_it_dp?ie=UTF8&;;coliid=I1F2QDRS24K5FW&colid=IQWZBJ3PBLH7

コレよりもっと欲しい「廃墟の群盗」の予約受付も始まったが、そっちはソニーよりもっとお高価いジュネス企画。26%引き予約価格でも3730円。
そして、US版は1730円(ちなみに米国サイトじゃ11ドル+送料…)。

http://www.amazon.co.jp/Yellow-Sky-Sen/dp/B000EHSVWS/ref=wl_it_dp?ie=UTF8&;;coliid=IM5LMZXBBMOL9&colid=IQWZBJ3PBLH7

日本盤1枚予約するより安い金額で今すぐ2枚買えてお釣りが来るのは、いやはや何とも。まあリーフリ機を買うという投資もしたけど、かなり揺れます。
二本とも西部劇だから、どうせあまり突飛な展開とか無いし、のんびり喋って字幕も見やすいのではという気がする(昔TVで見たことがある筈だし)。
逆に、「艦長ホレーショ」みたく日本語字幕の出来に大ダメージを受けることはないだろうから、日本盤が楽なのも確かなんだけどねえ…特典映像(の少なさ)もほぼ同じ。

…貧乏性?

DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007/04/04 ¥2,990
地獄と高潮 “Hell and High Water”(1954年)
英語字幕と辞書と首っ引きで、US版「地獄と高潮」本編を視聴。

初見な上に、先の読みにくい、テンポの早い謀略&潜水艦アクションなので、これまで買った海外盤の中では、あまりスイスイとはいかなかったほう。
それにヒロインのベラ・ダアヴィがイマイチ魅力薄いしねえ。先日見たウィドマーク・インタビューで、「彼女はザナック(20世紀FOXのボス)のお気に入りだったからキャスティングされた」とか言ってたけど、むべなるかな…

開巻早々、空撮の凱旋門。誰にでも分かりやすい、パリの風景である。
妙に軽いBGMが、スタンリー・ドーネンあたりのミュージカルか?と一瞬錯覚させる。いや、サミュエル・フラー監督なんですけども(-"-;)。
パリの空港を飛び立った世界的に有名な核物理学者モンテール教授(ヴィクトル・フランサン)が、片腕の若い女教授ドニーズ(ベラ・ダアヴィ)と共にそのまま失踪するので、あとはちゃあんとサスペンスドラマなのだが、あの一瞬の音楽はなんだったんだ…

さて、所変わって、また別の飛行機が別の飛行場に着陸する。
なんと、東京である(嘘臭いが、どうせ私の生まれる前の東京じゃワカラナイ)。
難しい表情で降りてくる乗客の1人がリチャード・ウィドマーク♪
待合室で「ジョーンズさんじゃないですか?」「いや人違いです」と不審な遣り取りをしつつ、謎っぽい東洋人に導かれて怪しげなアジトへ。
アジトには様々な国籍の男たち。なかにはなんとモンテール博士の姿も!

アジトに集う人々は、平和のため国境を超えて協力し、共産中国(レッド・チャイナ)が北氷洋で秘かに原爆実験をしていることをつきとめようとしていた(しかも大半がボランティアらしい…嘘臭いとか言っちゃだめですよん)!
元米軍の潜水艦艦長だったジョーンズ(ウィドマーク)は、大金を積まれて、問題の海域までモンテール博士たちを送り届ける危険な仕事を引き受けるのだが…。
あくまでもドライなジョーンズがむしろ安心感をかもすとか言ったら言い過ぎだろか(笑)

さて、彼らはサルベージした日本の伊号203潜水艦をレストアして海に出ようとするのだが、怪しい敵輸送船が現われた!てんで、テストも不十分なまま出航するハメに。
なのに、しっかり完全武装の中共の潜水艦が追ってくる。
“船には不吉な存在”女まで乗ってる多国籍寄り合い所帯の伊号潜水艦の運命やいかに!

潜水艦vs.潜水艦。海中戦闘は騙しあいと隠れんぼだ。
敵に居場所を悟られまいと我慢比べ…は定番だが、元々不利をしょってるせいもあり、イチかバチか、結構ムチャな手で切り抜ける主人公たち。
その後も、けっこうトンデモな大胆展開が続くのだが、テンポのよさと、ドライだが果断で頼もしげなウィドマークの艦長っぷりが何とか一応落ち着いてみせてくれる感じ?
ハードボイルドで仕事優先を崩さないけど、ユーモアがないわけでもない。
僅かずつヒロインの信頼も勝ち得ていく。終盤、ドライな態度の奥に隠された、熱いハートが判明とかゆーのは、これもお約束すぎるけどまあいいや。

スリリングだけど、まあ、そこそこ?の面白さ、かな。
(でも特典映像が凄いので、ウィドマーク・ファンにはお釣りが来る←11/21日記参照http://13374.diarynote.jp/200711212018530000/)
同じフラー監督の傑作「拾った女」とは違った意味で、なんだか時代を感じさせる(苦笑)、陰謀サスペンス・アクションでした。はははは…
音楽は、実に堂々と立派な曲調なんですが、かえってちょっと気恥ずかしかったり。アメリカが、世界を守る正義の盾を本気で気取っていた時代なんだろな…
「地獄と高潮」来たる!
リーフリ機を再修理に出すタイミングを計っていたが、ついに!
待ちに待ったUS版DVD「地獄と高潮」“Hell and High Water”が先に届いた!

ドキドキしながらトレイにいれると、おおおお?
US版だが、ちゃんとレターボックス、上下黒抜きのワイド画面が端まで映るぞ?でももう一枚のUS版はやはりそうならない。US版すべてがダメなわけでもないんだな。ますます謎だ。いずれは再度修理に…しかし、まずコレ見てからだな♪
それにコレには、44分になんなんとする映像特典ウィドマーク・バイオグラフィがついている。しばらく先になるな(爆)

特典映像、最初の五分見ただけでも、子どもの頃のウソみたいに愛らしい金髪碧眼ボーイとか(コレはホントに愛らしい。耳は尖ってるけど)、学生時代のとか、色々とレアな写真がてんこもり。本人や親族や他の映画人のインタビューもはさんで、これはやっぱり買った甲斐があったな〜♪

ただひとつの問題は、なんと搬送中に、ケースの中でディスクが爪から外れてたらしくガサガサ動いていたこと。薄く傷もついているように見える。それに比べれば特典映像に字幕がない(ぐは!)くらい些細なことだ!
どこかでエラー出て止まるとか何かあったら、暴れるぞワタシは!
まあ、最後まで見てからだけど。

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