ピーターラビットと仲間たち/ザ・バレエ
2008年6月26日 映画
1971年レジナルド・ミルズ監督作品。
日本盤も出てたらしいのですが廃盤ゆえ、米国盤を購入。
セリフ皆無なので全く問題ないし、安いし〜。
ちなみに原題は“Tales of Beatrix Potter”。
出演は、英国ロイヤルバレエ団!(振付フレデリック・アシュトン)。
実はこの映画は、ピーター・ラビットで有名なビアトリクス・ポターの作品群からいくつかの挿話をバレエにしたもの。着グルミな衣装でホンモノのバレリーナが踊るのである。誰だ、こんなぶっとんだことを思いついた奴は!…だが、決してキワモノではない。子どもにも楽しめるだろうが、これはもはや子どもレベルの作りではない。
まさか、クラシックバレエという手法が、こんなにも小動物の動きを表現するのに自然にシックリきちゃうとは!バレエに、このような方面の表現力がこんなにあったとは!唖然呆然の見ごたえである。
美しい音楽と可愛らしいクラシックな衣装(原画通り!)の力もあずかってか、頭でっかちな「どうぶつ」たちは、驚くほど優雅に、可愛らしく、しかもとっても自然に踊ってみせてくれるのだ。
ドレスのすそをつまむように長いシッポの先をつまんで踊るネズミたちのワルツ。よたよたと、けれど女らしく踊るアヒルのご婦人。なんともロマンチックなこぶたのカップルのグラン・パ・ドドゥ。鮮やかなジュテを決めまくるカエル紳士…
そしてクルクルクルクル回転して楽しさをふりまくウサギやリスのいたずらっ子たち!
まあ一回見てみてくださいな、としか言いようがない。
物語的には「ティギーおばさんのおはなし」「あひるのジマイマのおはなし」「こぶたのピグリン・ブランドのおはなし」「ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし」「にひきのわるいねずみのおはなし」「りすのナトキンのおはなし」といったところを踏まえている。ピーター・ラビットもちゃあんと登場するが、ピーターの「おはなし」自体は使われていない…まあ、確かピーターはレタス食べ過ぎたりマグレガーさんから逃げ隠れしてたりでグッタリ、という話だから、たぶんバレエにしにくかったのだろうな。
基本的にはセットでの踊りだが、時々はさまれる湖水地方の映像も嬉しい。
ぼーっと見てるだけで癒される気がする。
バレエにアレルギーがある人、ミュージカルなど踊りで何かを表現するという手法がキライな人には勧めないが、大胆な着想でピーター・ラビットを料理した、掛け値なしの傑作バレエ映画である♪
日本盤のアマゾンリンクは(買えないけどコメントとか有用そうなので)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A8%E4%BB%B2%E9%96%93%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8-BOX-%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8%E5%9B%A3/dp/B0000QX3N0/ref=pd_bbs_sr_2?ie=UTF8&s=dvd&qid=1214489497&sr=8-2
米盤のアマゾンリンクは↓(リージョンフリープレイヤーさえあれば!)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0000844JM?tag=boatswascot-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=B0000844JM&adid=15PCAEA96WS1XP4P0AXR&
日本盤も出てたらしいのですが廃盤ゆえ、米国盤を購入。
セリフ皆無なので全く問題ないし、安いし〜。
ちなみに原題は“Tales of Beatrix Potter”。
出演は、英国ロイヤルバレエ団!(振付フレデリック・アシュトン)。
実はこの映画は、ピーター・ラビットで有名なビアトリクス・ポターの作品群からいくつかの挿話をバレエにしたもの。着グルミな衣装でホンモノのバレリーナが踊るのである。誰だ、こんなぶっとんだことを思いついた奴は!…だが、決してキワモノではない。子どもにも楽しめるだろうが、これはもはや子どもレベルの作りではない。
まさか、クラシックバレエという手法が、こんなにも小動物の動きを表現するのに自然にシックリきちゃうとは!バレエに、このような方面の表現力がこんなにあったとは!唖然呆然の見ごたえである。
美しい音楽と可愛らしいクラシックな衣装(原画通り!)の力もあずかってか、頭でっかちな「どうぶつ」たちは、驚くほど優雅に、可愛らしく、しかもとっても自然に踊ってみせてくれるのだ。
ドレスのすそをつまむように長いシッポの先をつまんで踊るネズミたちのワルツ。よたよたと、けれど女らしく踊るアヒルのご婦人。なんともロマンチックなこぶたのカップルのグラン・パ・ドドゥ。鮮やかなジュテを決めまくるカエル紳士…
そしてクルクルクルクル回転して楽しさをふりまくウサギやリスのいたずらっ子たち!
まあ一回見てみてくださいな、としか言いようがない。
物語的には「ティギーおばさんのおはなし」「あひるのジマイマのおはなし」「こぶたのピグリン・ブランドのおはなし」「ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし」「にひきのわるいねずみのおはなし」「りすのナトキンのおはなし」といったところを踏まえている。ピーター・ラビットもちゃあんと登場するが、ピーターの「おはなし」自体は使われていない…まあ、確かピーターはレタス食べ過ぎたりマグレガーさんから逃げ隠れしてたりでグッタリ、という話だから、たぶんバレエにしにくかったのだろうな。
基本的にはセットでの踊りだが、時々はさまれる湖水地方の映像も嬉しい。
ぼーっと見てるだけで癒される気がする。
バレエにアレルギーがある人、ミュージカルなど踊りで何かを表現するという手法がキライな人には勧めないが、大胆な着想でピーター・ラビットを料理した、掛け値なしの傑作バレエ映画である♪
日本盤のアマゾンリンクは(買えないけどコメントとか有用そうなので)
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米盤のアマゾンリンクは↓(リージョンフリープレイヤーさえあれば!)
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1963年マーク・ロブスン監督作品。スカパーで録画&視聴。
原題が“The Prize”。ノーベル賞受賞式を舞台にした、巻き込まれ型サスペンス。
ノーベル文学賞史上最年少受賞となるアメリカ人作家のクレイグ(ポール・ニューマン)は、ホテルのチェックイン時に、アメリカの受賞者どうしということで物理学者のストラトマン博士(E.G.ロビンソン)と言葉をかわすが、翌日「初めまして」と挨拶してくる博士に不審を抱く。実は東側が博士の頭脳を狙い拉致したのだが、授賞式には偽物をたてて、自発的に東側へ行くようみせかけたい…という陰謀が進行していたのだ。クレイグは謎を解くべく駆けずり回り、アヤしいメッセージを受け取ったり死体を発見したり(だがすぐ死体は消えてしまう…定番だ)、殺されそうになったりするが、普段の素行(笑)の悪さも災いし、警察にもなかなか信じてもらえない。ついに授賞式当日となるのだが…
うーん、いかにも冷戦時代らしいネタである。
主人公ニューマンが、ノーベル賞受賞者の癖に大変な女好き酒好き毒舌家…というコミカルなタッチと、なんだか妙にヒッチコック風なところがご愛敬。レオ・G.キャロルも出てるし、ヒロイン(エルケ・ゾマー)は金髪だし。私はさしてヒッチコックファンではないので、それが嬉しかったり比較して物足りなかったりとかはしないのだが、ああ、60年代前半のユーモア・サスペンスだなあと、最近の映画とのテンポの違いに納得だ(のんびりしている。但し、ノワール系のサスペンスのテンポだとまた違うんだよね)。
会ったとたんに「美人だラッキー!」と口説き始めるクレイグを「北欧男性の平均に比べれば、あなたなんてアマチュアよ」といなす外務省のお目付け役ミス・アンデルソン(ゾマー)のやりとりなども、結構気が利いてるし、眠たそうなニヤニヤ笑いで「問題児」ぶりを発揮しまくり、チャームポイントのブルー・アイズをぱっちり見開くのは皮肉をキメて周囲を煙に巻くときくらい、というニューマンは、洒脱とまではいかないが可愛らしい。まだまだ30代だしね。アクションという点では、この人それほど運動神経よくなさそうだが、作家のにわか探偵業という設定だし、もたもたした捜査や逃げっぷりはオフビートな可笑しさを醸し出して、これはこれで結構かな。
そして、一大イベントである授賞式をめぐる人々のドタバタや、それぞれに人間的な受賞者たちの内輪のアレコレも手際よく織り込まれて、脚本はなかなか練られている感じだ。なんだかんだ言って、ノーベル賞授賞式!という舞台設定は、この映画に個性的な彩りを添えてくれている。
てなわけで、お気楽だが結構楽しい一作なのだが、案外とVHSもDVDも国内では手に入らない様子。かろうじて海外盤ならVHSが出てるようだが、テープじゃ字幕すら入らないですしね。惜しいなあ。
http://www.amazon.co.jp/Prize-Paul-Newman/dp/6302413338/ref=sr_1_1?ie=UTF8&;;;;;s=video&qid=1214233262&sr=8-1
原題が“The Prize”。ノーベル賞受賞式を舞台にした、巻き込まれ型サスペンス。
ノーベル文学賞史上最年少受賞となるアメリカ人作家のクレイグ(ポール・ニューマン)は、ホテルのチェックイン時に、アメリカの受賞者どうしということで物理学者のストラトマン博士(E.G.ロビンソン)と言葉をかわすが、翌日「初めまして」と挨拶してくる博士に不審を抱く。実は東側が博士の頭脳を狙い拉致したのだが、授賞式には偽物をたてて、自発的に東側へ行くようみせかけたい…という陰謀が進行していたのだ。クレイグは謎を解くべく駆けずり回り、アヤしいメッセージを受け取ったり死体を発見したり(だがすぐ死体は消えてしまう…定番だ)、殺されそうになったりするが、普段の素行(笑)の悪さも災いし、警察にもなかなか信じてもらえない。ついに授賞式当日となるのだが…
うーん、いかにも冷戦時代らしいネタである。
主人公ニューマンが、ノーベル賞受賞者の癖に大変な女好き酒好き毒舌家…というコミカルなタッチと、なんだか妙にヒッチコック風なところがご愛敬。レオ・G.キャロルも出てるし、ヒロイン(エルケ・ゾマー)は金髪だし。私はさしてヒッチコックファンではないので、それが嬉しかったり比較して物足りなかったりとかはしないのだが、ああ、60年代前半のユーモア・サスペンスだなあと、最近の映画とのテンポの違いに納得だ(のんびりしている。但し、ノワール系のサスペンスのテンポだとまた違うんだよね)。
会ったとたんに「美人だラッキー!」と口説き始めるクレイグを「北欧男性の平均に比べれば、あなたなんてアマチュアよ」といなす外務省のお目付け役ミス・アンデルソン(ゾマー)のやりとりなども、結構気が利いてるし、眠たそうなニヤニヤ笑いで「問題児」ぶりを発揮しまくり、チャームポイントのブルー・アイズをぱっちり見開くのは皮肉をキメて周囲を煙に巻くときくらい、というニューマンは、洒脱とまではいかないが可愛らしい。まだまだ30代だしね。アクションという点では、この人それほど運動神経よくなさそうだが、作家のにわか探偵業という設定だし、もたもたした捜査や逃げっぷりはオフビートな可笑しさを醸し出して、これはこれで結構かな。
そして、一大イベントである授賞式をめぐる人々のドタバタや、それぞれに人間的な受賞者たちの内輪のアレコレも手際よく織り込まれて、脚本はなかなか練られている感じだ。なんだかんだ言って、ノーベル賞授賞式!という舞台設定は、この映画に個性的な彩りを添えてくれている。
てなわけで、お気楽だが結構楽しい一作なのだが、案外とVHSもDVDも国内では手に入らない様子。かろうじて海外盤ならVHSが出てるようだが、テープじゃ字幕すら入らないですしね。惜しいなあ。
http://www.amazon.co.jp/Prize-Paul-Newman/dp/6302413338/ref=sr_1_1?ie=UTF8&;;;;;s=video&qid=1214233262&sr=8-1
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション
2008年6月22日 映画 コメント (8)
オールスターキャストでクリスティ・ミステリーを…の先鞭をつけた作品と言ってよいだろうか。
オールスターにしておけばキャスティングから「俳優の格からいくとこのあたりが犯人だなあ」等とミステリーに非論理的に取り組んでしまうこともある程度防止できるし(笑)
予算はかかるだろうが…
1920年代を象徴するアール・デコなクレジットタイトルに始まり、ひたすらゴージャスな列車の旅に、様々な国から乗り込んでくる多彩な乗客たち。
友人の鉄道会社重役(マーティン・バルサム)のおかげで、予約もしてなかったのに寝台車に乗せてもらえた名探偵ポワロ(アルバート・フィニー)が遭遇したのは、またしても殺人事件だった…
ポワロといえば口髭と卵型のアタマと大仰な口調仕草が売り物の小柄なベルギー人。
小柄でもなんでもない上当時まだ30代だったフィニーは特殊メイクの上に体をかがめて、原作通りのビジュアルを頑張って表現している。キザというよりかなりアクの強い演技で、鼻につく人もあるだろうが、そもそも原作のポワロ自体アクの強いキャラなので仕方がないよ(笑)
それに、並みいるオールスターな容疑者たちの中で、容疑者たちの鼻面つかんで引きまわす「名探偵」を張らないといけないのだ。むしろ、十ン年ぶりに再見して、なんだ思ったほどクドくはないんじゃないかコレ、と思いましたねぇ。後ろ姿とかで本来の広い肩幅を見るたび、うーん体力要ったろうなと同情も湧く。
また古典的なミステリーは、名探偵の尋問場面が相手を変えつつ繰り返し登場する。列車内(しかも雪で一時停止中、という、ミステリー用語でいう「嵐の山荘」タイプ)という密室で、ダラけずに最後までいくのは大変だろうが、見終えてみると123分をちっとも長く感じさせない(クラシック映画好きなので、普段私が見る映画は滅多に二時間を超えることはないのである(笑))。トリック自体より被害者加害者の過去がモノをいう事件なのでそのせいもあるだろうが、冒頭の「過去の事件」紹介のテンポよさといい、大変手堅くまとまっている印象。それに早く片付けないと「うちわでオトナの解決」ができない…
最後の乾杯(=カーテンコール)に至るまで、実にスムーズな流れです。ポワロの謎解き場面は、あえて少し乱暴な口調でドライに進めるのですが、最終的な話のオチがウェットだからわざとでしょうか。
これが日本だとね、ウッカリ捜査側が犯人に感情移入して泣きながら謎解きしかねないですけどね…(丹波哲郎版「砂の器」とか)
「実は極悪人だった被害者」役リチャード・ウィドマークは早めに退場してしまうが、賑やかなローレン・バコール、オトナの英国人カップルショーン・コネリー&バネッサ・レッドグレーブ、召使役の定番ジョン・ギールグッド、今にもコワれそうな老貴婦人役ウェンディ・ヒラー(本当はそこまでのトシじゃない筈だけど役者だ〜)、アンソニー・パーキンスにマザコンぽい役って、狙ってるのか?(笑)などと、ベテラン・スターたちを見ているだけでも飽きない。イングリッド・バーグマンは最初ヒラーの演じた伯爵夫人役をオファーされたのを断り「地味でおかしなスウェーデン女性」役を演じた。アカデミー助演女優賞まで取ったのだが、英語の聞き分けられない自分には、バーグマンだけでなく俳優たちが世界各国の人間を演じている(つまり当然、訛っている)このキャスティングと演技の面白みは十分にはわかれていないのかもしれない。
そして、それにも負けないほどの存在感があるのは、音楽だ。
ピアノをあしらった華麗なオープニング、そして豪華列車を踊らせる、重厚さと華やかさを併せ持ったワルツ。列車の出発シーンにあふれる高揚感は、この音楽なしにはありえなかっただろう。
DVDの特典メニューについても大変充実しており価値あり。
6/17日記参照→http://diarynote.jp/d/13374/20080617.html
オールスターにしておけばキャスティングから「俳優の格からいくとこのあたりが犯人だなあ」等とミステリーに非論理的に取り組んでしまうこともある程度防止できるし(笑)
予算はかかるだろうが…
1920年代を象徴するアール・デコなクレジットタイトルに始まり、ひたすらゴージャスな列車の旅に、様々な国から乗り込んでくる多彩な乗客たち。
友人の鉄道会社重役(マーティン・バルサム)のおかげで、予約もしてなかったのに寝台車に乗せてもらえた名探偵ポワロ(アルバート・フィニー)が遭遇したのは、またしても殺人事件だった…
ポワロといえば口髭と卵型のアタマと大仰な口調仕草が売り物の小柄なベルギー人。
小柄でもなんでもない上当時まだ30代だったフィニーは特殊メイクの上に体をかがめて、原作通りのビジュアルを頑張って表現している。キザというよりかなりアクの強い演技で、鼻につく人もあるだろうが、そもそも原作のポワロ自体アクの強いキャラなので仕方がないよ(笑)
それに、並みいるオールスターな容疑者たちの中で、容疑者たちの鼻面つかんで引きまわす「名探偵」を張らないといけないのだ。むしろ、十ン年ぶりに再見して、なんだ思ったほどクドくはないんじゃないかコレ、と思いましたねぇ。後ろ姿とかで本来の広い肩幅を見るたび、うーん体力要ったろうなと同情も湧く。
また古典的なミステリーは、名探偵の尋問場面が相手を変えつつ繰り返し登場する。列車内(しかも雪で一時停止中、という、ミステリー用語でいう「嵐の山荘」タイプ)という密室で、ダラけずに最後までいくのは大変だろうが、見終えてみると123分をちっとも長く感じさせない(クラシック映画好きなので、普段私が見る映画は滅多に二時間を超えることはないのである(笑))。トリック自体より被害者加害者の過去がモノをいう事件なのでそのせいもあるだろうが、冒頭の「過去の事件」紹介のテンポよさといい、大変手堅くまとまっている印象。それに早く片付けないと「うちわでオトナの解決」ができない…
最後の乾杯(=カーテンコール)に至るまで、実にスムーズな流れです。ポワロの謎解き場面は、あえて少し乱暴な口調でドライに進めるのですが、最終的な話のオチがウェットだからわざとでしょうか。
これが日本だとね、ウッカリ捜査側が犯人に感情移入して泣きながら謎解きしかねないですけどね…(丹波哲郎版「砂の器」とか)
「実は極悪人だった被害者」役リチャード・ウィドマークは早めに退場してしまうが、賑やかなローレン・バコール、オトナの英国人カップルショーン・コネリー&バネッサ・レッドグレーブ、召使役の定番ジョン・ギールグッド、今にもコワれそうな老貴婦人役ウェンディ・ヒラー(本当はそこまでのトシじゃない筈だけど役者だ〜)、アンソニー・パーキンスにマザコンぽい役って、狙ってるのか?(笑)などと、ベテラン・スターたちを見ているだけでも飽きない。イングリッド・バーグマンは最初ヒラーの演じた伯爵夫人役をオファーされたのを断り「地味でおかしなスウェーデン女性」役を演じた。アカデミー助演女優賞まで取ったのだが、英語の聞き分けられない自分には、バーグマンだけでなく俳優たちが世界各国の人間を演じている(つまり当然、訛っている)このキャスティングと演技の面白みは十分にはわかれていないのかもしれない。
そして、それにも負けないほどの存在感があるのは、音楽だ。
ピアノをあしらった華麗なオープニング、そして豪華列車を踊らせる、重厚さと華やかさを併せ持ったワルツ。列車の出発シーンにあふれる高揚感は、この音楽なしにはありえなかっただろう。
DVDの特典メニューについても大変充実しており価値あり。
6/17日記参照→http://diarynote.jp/d/13374/20080617.html
オリエント急行殺人事件から特典メニューで脱線
2008年6月17日 映画 コメント (2)
DVD、本編は途中までしか見ていないので、特典メニューの話。
大昔に一度見てる筈だが、「西部開拓史」同様、ウィドマーク・ファンになる前だったと思う。しかし今では…最初の30分と、肝心の謎解きとどっちが私に大事かがビミョーに変わってくる?(笑)
まあそんなこともあり、特典のメイキングを先に見てしまった。力の入ったデキで楽しめる。シドニー・ルメット監督やジャクリーン・ビセット、マイケル・ヨーク、ショーン・コネリー。プロデューサーや音楽、撮影、効果などなどの担当や原作者クリスティのお孫さんまでも次々登場。更にニコラス・メイヤー…なんで?と、一瞬思ったが、考えてみるとメイヤーは「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」という、ホームズとフロイトがオリエント急行で大冒険、な映画を撮った監督(原作も当人)。縁がなくもないかもね、確かに…。
ひたすらゴージャスにエンタティメントに、というノリのオールスター映画。
衣装もかなり凝ったらしい。今日は衣装の話の中で出た珍しいウィドマーク様のポートレート(キャプチャ)を飾っておくことにします(オールスターの中で一人だけ、実質途中退場だから…被害者役なため)。ピンストライプが20年代らしくていいよね。ちょっと悪の気配も漂わせて。
ちなみにプロデューサーは「ピーター・ラビットと仲間たち」を製作した経歴が、クリスティに認めてもらえたポイントだったそうで。「あんなに原作通りな映画作りをするこの人なら…」と言ってもらえたらしいのだが。その判断もすごいなぁ。私昔見たことあるが「ピーター・ラビット…」は、ストーリー的には原作重視だが、英国ロイヤルバレエ団が着ぐるみ着てバレエで踊って話を進めるという、かなり大胆な映画化だったぞ…
ただ、大胆だが大変に趣味の良い作品になっていた。近頃アジノモトがアレのサルマネとしか思えない、着ぐるみピグリン・ブランドがバレエの所作をするCMを作っていたが、本家はアレをはるかに超える。
特に、カエルの“ジェレミー・フィッシャーどん”のジャンプは凄かった…
ああ…こんな方へ脱線してると、めっちゃ見たくなってきたなあ「ピーター・ラビット…」!
自主上映で一度見たきりなのだが、会場は題名にだまされた親子連れがいっぱいで大変ザワついていた。(-"-;)
DVDにもなってるようだが品切れ。4000円超と定価も高め。念のためアマゾンの輸入盤も検索すると、またまた米盤がわずか1600円程度(送料無料)で売ってる。…うーん…バレエばっかでセリフなかったから、コッチ買ってもいいかなぁ。
大昔に一度見てる筈だが、「西部開拓史」同様、ウィドマーク・ファンになる前だったと思う。しかし今では…最初の30分と、肝心の謎解きとどっちが私に大事かがビミョーに変わってくる?(笑)
まあそんなこともあり、特典のメイキングを先に見てしまった。力の入ったデキで楽しめる。シドニー・ルメット監督やジャクリーン・ビセット、マイケル・ヨーク、ショーン・コネリー。プロデューサーや音楽、撮影、効果などなどの担当や原作者クリスティのお孫さんまでも次々登場。更にニコラス・メイヤー…なんで?と、一瞬思ったが、考えてみるとメイヤーは「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」という、ホームズとフロイトがオリエント急行で大冒険、な映画を撮った監督(原作も当人)。縁がなくもないかもね、確かに…。
ひたすらゴージャスにエンタティメントに、というノリのオールスター映画。
衣装もかなり凝ったらしい。今日は衣装の話の中で出た珍しいウィドマーク様のポートレート(キャプチャ)を飾っておくことにします(オールスターの中で一人だけ、実質途中退場だから…被害者役なため)。ピンストライプが20年代らしくていいよね。ちょっと悪の気配も漂わせて。
ちなみにプロデューサーは「ピーター・ラビットと仲間たち」を製作した経歴が、クリスティに認めてもらえたポイントだったそうで。「あんなに原作通りな映画作りをするこの人なら…」と言ってもらえたらしいのだが。その判断もすごいなぁ。私昔見たことあるが「ピーター・ラビット…」は、ストーリー的には原作重視だが、英国ロイヤルバレエ団が着ぐるみ着てバレエで踊って話を進めるという、かなり大胆な映画化だったぞ…
ただ、大胆だが大変に趣味の良い作品になっていた。近頃アジノモトがアレのサルマネとしか思えない、着ぐるみピグリン・ブランドがバレエの所作をするCMを作っていたが、本家はアレをはるかに超える。
特に、カエルの“ジェレミー・フィッシャーどん”のジャンプは凄かった…
ああ…こんな方へ脱線してると、めっちゃ見たくなってきたなあ「ピーター・ラビット…」!
自主上映で一度見たきりなのだが、会場は題名にだまされた親子連れがいっぱいで大変ザワついていた。(-"-;)
DVDにもなってるようだが品切れ。4000円超と定価も高め。念のためアマゾンの輸入盤も検索すると、またまた米盤がわずか1600円程度(送料無料)で売ってる。…うーん…バレエばっかでセリフなかったから、コッチ買ってもいいかなぁ。
1948年ビリー・ワイルダー監督作品。
終戦直後のベルリンを舞台にしたラブコメと思って見始めたのだ、が…
期待のワイルダー作品だが、出演俳優たちのバランスとか、風刺とコメディのバランスとか、ちょっとビミョー…?
米軍兵士の風紀調査のため、議員の一団がベルリンを訪れる。中でもカタブツ女性議員フロスト(ジーン・アーサー)は真剣で、元ナチス高官の愛人だった歌手エリカ(マレーネ・ディートリッヒ)を陰で援助する米軍将校がいると睨んで調査を開始する。同郷のプリングル大尉(ジョン・ランド)を助手にするのだが、実はエリカの現愛人こそ、この大尉なのだった。彼は強引にフロスト女史を口説くことで調査の邪魔をし誤魔化そうとするが、やがて純情な彼女にほだされて…
しかしアメリカの女性議員があんなにおバカでいいのかしらねぇ。トップ・ビリングのジーン・アーサーよりディートリッヒのほうが歌も歌うし都会的だしとにかくカッコイイ。なにせフロスト女史はド田舎アイオワ出身の議員なのだ(^^;)。最初のうちは小粋な音楽もあいまって「ニノチカ」の変形かと思われたが、艶笑喜劇としては田舎臭すぎ。トップ女優二人のトシはほとんど変わらないのだが(40代後半)、ディートリッヒの実年齢を超越した定評ある妖怪っぷり(笑)に比べると、ひっつめ髪で化粧気のないジーン・アーサーのカマトト議員はちょっと苦しい(見た目的に)。
そして二人の間でうろうろする調子のいいジョン・ランドは、二大女優にはさまれて明らかに貫録負け。どこら辺で気持ちがディートリッヒからアーサーへと揺れ始めたのかもイマイチわかりにくいしなぁ。
それよりなにより、ガレキの山となったペルリンの映像の衝撃があまりに強い。コメディより社会風刺のほうが印象的なのは、ワイルダーのジャーナリスティックな側面が強く出たってことなのか。
ひょっとしたら主役はアメリカ人カップルよりもベルリンそのもの?
ガレキの街でたくましく生き抜こうとする闇市や酒場の人々の描写とか、デカダンなようで生命力にあふれたディートリッヒの歌声のほうが印象に残っちゃう。
ベルリンは若きワイルダーが青春を過ごした街。ナチスを避け亡命したユダヤ系の彼だが、この街に、監督の深く複雑な思いがからみつかない筈がないだろう。
ラブコメと思って見ないほうがよいのかも。ちょっと間をおいて、後日また見直したほうがいいのかな…
終戦直後のベルリンを舞台にしたラブコメと思って見始めたのだ、が…
期待のワイルダー作品だが、出演俳優たちのバランスとか、風刺とコメディのバランスとか、ちょっとビミョー…?
米軍兵士の風紀調査のため、議員の一団がベルリンを訪れる。中でもカタブツ女性議員フロスト(ジーン・アーサー)は真剣で、元ナチス高官の愛人だった歌手エリカ(マレーネ・ディートリッヒ)を陰で援助する米軍将校がいると睨んで調査を開始する。同郷のプリングル大尉(ジョン・ランド)を助手にするのだが、実はエリカの現愛人こそ、この大尉なのだった。彼は強引にフロスト女史を口説くことで調査の邪魔をし誤魔化そうとするが、やがて純情な彼女にほだされて…
しかしアメリカの女性議員があんなにおバカでいいのかしらねぇ。トップ・ビリングのジーン・アーサーよりディートリッヒのほうが歌も歌うし都会的だしとにかくカッコイイ。なにせフロスト女史はド田舎アイオワ出身の議員なのだ(^^;)。最初のうちは小粋な音楽もあいまって「ニノチカ」の変形かと思われたが、艶笑喜劇としては田舎臭すぎ。トップ女優二人のトシはほとんど変わらないのだが(40代後半)、ディートリッヒの実年齢を超越した定評ある妖怪っぷり(笑)に比べると、ひっつめ髪で化粧気のないジーン・アーサーのカマトト議員はちょっと苦しい(見た目的に)。
そして二人の間でうろうろする調子のいいジョン・ランドは、二大女優にはさまれて明らかに貫録負け。どこら辺で気持ちがディートリッヒからアーサーへと揺れ始めたのかもイマイチわかりにくいしなぁ。
それよりなにより、ガレキの山となったペルリンの映像の衝撃があまりに強い。コメディより社会風刺のほうが印象的なのは、ワイルダーのジャーナリスティックな側面が強く出たってことなのか。
ひょっとしたら主役はアメリカ人カップルよりもベルリンそのもの?
ガレキの街でたくましく生き抜こうとする闇市や酒場の人々の描写とか、デカダンなようで生命力にあふれたディートリッヒの歌声のほうが印象に残っちゃう。
ベルリンは若きワイルダーが青春を過ごした街。ナチスを避け亡命したユダヤ系の彼だが、この街に、監督の深く複雑な思いがからみつかない筈がないだろう。
ラブコメと思って見ないほうがよいのかも。ちょっと間をおいて、後日また見直したほうがいいのかな…
1946年 スチュアート・ヘイスラー監督作品。
「スイング・ホテル」同様アステアがビング・クロスビーと組んで三角関係。
花形ダンサーのジェド(フレッド・アステア)は、メリー(ジョーン・コールフィールド)に恋してダンス・パートナーにと誘うが彼女はつれない。やっとこさデートに連れだし友人ジョニー(クロスビー)の店に行くと、何と彼女はジョニーに一目ぼれ、やがて彼と結婚してしまう。ところがジョニーには、繁盛してる店をすぐ売っちゃ新しい企画に飛びつく癖があったため、堅実さを求める彼女との亀裂が次第に深まり、離婚に発展する。
幼い娘を連れて家を出たメリーを、公私に渡るパートナーとして支え続けたのはジェド。しかし、何度もプロポーズをOKしかけては土壇場でまた「ジョニーを忘れられない」と断るメリーに、温厚な彼もついに酒に逃避し始める。酔って出た舞台で事故って引退するハメになり、それに責任を感じたメリーは姿を消す。
再起したジェドが、冒頭からずっとこのメロドラマな顛末をラジオで喋ってるのも、姿を消したメリーやジョニーに再会したいから、ということなのだ。
が。
天下のアステア様に、この仕打ちは…
なにコレ!なにこの女!キー!という気分になってくる。
責任感じたんなら逃げずに結婚してやれよ、とか。
そもそも本当に結婚する覚悟もないなら、OKとか言うな!とか。
幼い娘まで「ママはジェドおじさんと結婚するの」と納得してるのに、ドタキャンを繰り返すメリーさん。
あんまりじゃない?
こんなにもフラストレーションのたまったアステア・ミュージカルは初めてだ。(-"-;)
"Puttin’ on the Ritz""A Couple of Song and Dance Men"など、見ごたえあるダンス・ナンバーがいくつもあるのだが(但しクロスビーの歌のほうが数は多い…まあパラマウントだから仕方ないのか?)、ストーリーは、見るほどに侘しい気分に。
まさか、アステア&クロスビーな映画より、トニー・ザイラー&イナ・バウアーのほうがよっぽど楽しめたよ…なーんて思うことになるとは思いませんでしたよ。とほほ…。
というわけで、アステア・ファンには勧められません。ビングのファンならOKか。
「スイング・ホテル」同様アステアがビング・クロスビーと組んで三角関係。
花形ダンサーのジェド(フレッド・アステア)は、メリー(ジョーン・コールフィールド)に恋してダンス・パートナーにと誘うが彼女はつれない。やっとこさデートに連れだし友人ジョニー(クロスビー)の店に行くと、何と彼女はジョニーに一目ぼれ、やがて彼と結婚してしまう。ところがジョニーには、繁盛してる店をすぐ売っちゃ新しい企画に飛びつく癖があったため、堅実さを求める彼女との亀裂が次第に深まり、離婚に発展する。
幼い娘を連れて家を出たメリーを、公私に渡るパートナーとして支え続けたのはジェド。しかし、何度もプロポーズをOKしかけては土壇場でまた「ジョニーを忘れられない」と断るメリーに、温厚な彼もついに酒に逃避し始める。酔って出た舞台で事故って引退するハメになり、それに責任を感じたメリーは姿を消す。
再起したジェドが、冒頭からずっとこのメロドラマな顛末をラジオで喋ってるのも、姿を消したメリーやジョニーに再会したいから、ということなのだ。
が。
天下のアステア様に、この仕打ちは…
なにコレ!なにこの女!キー!という気分になってくる。
責任感じたんなら逃げずに結婚してやれよ、とか。
そもそも本当に結婚する覚悟もないなら、OKとか言うな!とか。
幼い娘まで「ママはジェドおじさんと結婚するの」と納得してるのに、ドタキャンを繰り返すメリーさん。
あんまりじゃない?
こんなにもフラストレーションのたまったアステア・ミュージカルは初めてだ。(-"-;)
"Puttin’ on the Ritz""A Couple of Song and Dance Men"など、見ごたえあるダンス・ナンバーがいくつもあるのだが(但しクロスビーの歌のほうが数は多い…まあパラマウントだから仕方ないのか?)、ストーリーは、見るほどに侘しい気分に。
まさか、アステア&クロスビーな映画より、トニー・ザイラー&イナ・バウアーのほうがよっぽど楽しめたよ…なーんて思うことになるとは思いませんでしたよ。とほほ…。
というわけで、アステア・ファンには勧められません。ビングのファンならOKか。
1961年ドイツ・オーストリア合作映画。
監督&脚本ゲザ・フォン・ツィフラ。
ネットレンタル最終便。スキーの五輪金メダリスト(しかも三冠王)トニー・ザイラーと、フィギュアの西独チャンピオン、イナ・バウアー(荒川静香で有名になった“イナバウアー”創始者)の共演映画。
基本路線はミュージカル・コメディ。
フィギュアスケートの上手いインガ(イナ・バウアー)を見染めたハンス(トニー・ザイラー)は猛アタック。彼女が実はスケートより舞台に憧れているのを知り、自分の勤めてる劇場(舞台美術担当)に一度おいでよと誘う。
劇場を訪れたインガは、スポンサーの婚約者と間違われてレビューの主役に抜擢されるが、それをよく思わない元主演女優が暗躍したり、本物の婚約者が出てきたり、ありえないような人違いから大騒ぎ。
ついにはスポンサーを怒らせ、劇場は閉鎖・上演不能となったところでハンスが叫ぶ。「アイスショーに作り変えよう!インガ以外の皆もスケートくらいできるだろ?」
彼女の叔父のリンクを借りて、という算段だ。
…えーと…。
それ、名案なんです…ね?
ウィンタースポーツの盛んなお国柄ゆえ、というべきか(^^;)
でもまあ、イナ・バウアーの実力はホンモノ。さすがに女子がポンポン4回転飛ぶ現代に比べれば技術的にはヌルめなのかもしれませんが、アイスショーはとても見ごたえのあるもので楽しめました。序盤はすごく東洋風の衣装なのだけど、意外と曲調がどこまでも西洋風で、それが新鮮だったり(笑)
“ウィーン・アイスレビュー”なる団体もクレジットされていたが、彼女とペアでリフトやジャンプやスパイラルや、色々決めてたソリストの男性は何者だろうか…それなりの実力者で、それこそかつては世界選手権クラスだったり?と思ったけれど分からなかった。まあ時代が時代だから、名前がクレジットされていてもわからなかったかもね。
ザイラーは週末にはアイスホッケー選手として活躍中、という設定で、スケートもそれなりのようだが、さすがにイナ・バウアーのレベルに本気で合わすのは無理だろう。
最後にほんのちょっとアイスショーで一緒に滑るが、ひょっとしたらスピンの部分は吹き替えかもしれない(目を凝らしたがハッキリせず。あまり画質は良くない)。
また、序盤、ハンスはアイスホッケー選手の癖して「初心者です」と偽りインガのスケート教室にもぐりこんだりする。
派手に転んでみせる姿に「有頂天時代」かよ!と、思わず突っこみました(^^;)
アレにも、ジンジャーのダンス教室に「初心者です」とプロ・ダンサーのアステアが申し込んで転んでみせるナンバーがあったから。おまけにアイスショーで、三人の赤ん坊(演じるのはオッサン三人)が滑るコミカルな一幕もあったし…アステアリスペクトなんですかもしや?(「バンド・ワゴン」の“Triplets”を思い出した!)
主題歌もノスタルジックな甘い曲。オペレッタの伝統か、どこかのんびりした、しかし悠然と確実な魅力を備えたレビューで良かったなあ。イナ・バウアー美声…♪凄い!と思ったら、どうやら吹き替えらしい。でもザイラーは多分地声。
そして主演二人の、本来はスポーツ選手な癖に優れたルックスと嫌味のない演技はたいしたもんですね。
ザイラーは、写真で見た時から思ってたのだけど、ロバート・ワグナーをスポーツマンにしたような感じ。ラフな格好だけでなく、舞台で真っ白なスーツとか、最後の真っ赤なスモークジャケットとか、ド派手な服装も似合いますね。スタイルが良いからか。
スケートメインの映画だけど、ザイラーのためにスキー場面も織り込んでます。冒頭の「狼狩り」は、ホテルの使用人たちが逃げる“狼役”ザイラーを追っかける。シェフもメイドもベルボーイも、それぞれの制服のままスキーで滑り降りてきて楽しい場面でしたが、特に説明もなくさくっと終わってしまった。
あちらの雪山付近ではよくある行事なのかしら(でも楽しげだったので許す)。
最後に彼女の乗る列車を追っかけて、赤いスモークジャケット着たままスキーで滑走(ゴーグルもなし!)てのも、「いかにも」な場面ですが確かに格好良かったな。
イナ・バウアーは、可愛い感じの赤毛美人。横顔がなんとなく若い頃の沢口靖子を思い起こさせた。役者のオーラで綺麗というのでなく「素で可愛い」という雰囲気がヤッコちゃんを連想させるのかな?
とにかく全編たわいない話なのですが、主演二人が割とさわやかだし、ミュージカル&アイスショー場面が結構良いので、「かわいらしいオハナシ」として楽しめました♪
ミュージカル&フィギュアスケート好きにはオススメ。
監督&脚本ゲザ・フォン・ツィフラ。
ネットレンタル最終便。スキーの五輪金メダリスト(しかも三冠王)トニー・ザイラーと、フィギュアの西独チャンピオン、イナ・バウアー(荒川静香で有名になった“イナバウアー”創始者)の共演映画。
基本路線はミュージカル・コメディ。
フィギュアスケートの上手いインガ(イナ・バウアー)を見染めたハンス(トニー・ザイラー)は猛アタック。彼女が実はスケートより舞台に憧れているのを知り、自分の勤めてる劇場(舞台美術担当)に一度おいでよと誘う。
劇場を訪れたインガは、スポンサーの婚約者と間違われてレビューの主役に抜擢されるが、それをよく思わない元主演女優が暗躍したり、本物の婚約者が出てきたり、ありえないような人違いから大騒ぎ。
ついにはスポンサーを怒らせ、劇場は閉鎖・上演不能となったところでハンスが叫ぶ。「アイスショーに作り変えよう!インガ以外の皆もスケートくらいできるだろ?」
彼女の叔父のリンクを借りて、という算段だ。
…えーと…。
それ、名案なんです…ね?
ウィンタースポーツの盛んなお国柄ゆえ、というべきか(^^;)
でもまあ、イナ・バウアーの実力はホンモノ。さすがに女子がポンポン4回転飛ぶ現代に比べれば技術的にはヌルめなのかもしれませんが、アイスショーはとても見ごたえのあるもので楽しめました。序盤はすごく東洋風の衣装なのだけど、意外と曲調がどこまでも西洋風で、それが新鮮だったり(笑)
“ウィーン・アイスレビュー”なる団体もクレジットされていたが、彼女とペアでリフトやジャンプやスパイラルや、色々決めてたソリストの男性は何者だろうか…それなりの実力者で、それこそかつては世界選手権クラスだったり?と思ったけれど分からなかった。まあ時代が時代だから、名前がクレジットされていてもわからなかったかもね。
ザイラーは週末にはアイスホッケー選手として活躍中、という設定で、スケートもそれなりのようだが、さすがにイナ・バウアーのレベルに本気で合わすのは無理だろう。
最後にほんのちょっとアイスショーで一緒に滑るが、ひょっとしたらスピンの部分は吹き替えかもしれない(目を凝らしたがハッキリせず。あまり画質は良くない)。
また、序盤、ハンスはアイスホッケー選手の癖して「初心者です」と偽りインガのスケート教室にもぐりこんだりする。
派手に転んでみせる姿に「有頂天時代」かよ!と、思わず突っこみました(^^;)
アレにも、ジンジャーのダンス教室に「初心者です」とプロ・ダンサーのアステアが申し込んで転んでみせるナンバーがあったから。おまけにアイスショーで、三人の赤ん坊(演じるのはオッサン三人)が滑るコミカルな一幕もあったし…アステアリスペクトなんですかもしや?(「バンド・ワゴン」の“Triplets”を思い出した!)
主題歌もノスタルジックな甘い曲。オペレッタの伝統か、どこかのんびりした、しかし悠然と確実な魅力を備えたレビューで良かったなあ。イナ・バウアー美声…♪凄い!と思ったら、どうやら吹き替えらしい。でもザイラーは多分地声。
そして主演二人の、本来はスポーツ選手な癖に優れたルックスと嫌味のない演技はたいしたもんですね。
ザイラーは、写真で見た時から思ってたのだけど、ロバート・ワグナーをスポーツマンにしたような感じ。ラフな格好だけでなく、舞台で真っ白なスーツとか、最後の真っ赤なスモークジャケットとか、ド派手な服装も似合いますね。スタイルが良いからか。
スケートメインの映画だけど、ザイラーのためにスキー場面も織り込んでます。冒頭の「狼狩り」は、ホテルの使用人たちが逃げる“狼役”ザイラーを追っかける。シェフもメイドもベルボーイも、それぞれの制服のままスキーで滑り降りてきて楽しい場面でしたが、特に説明もなくさくっと終わってしまった。
あちらの雪山付近ではよくある行事なのかしら(でも楽しげだったので許す)。
最後に彼女の乗る列車を追っかけて、赤いスモークジャケット着たままスキーで滑走(ゴーグルもなし!)てのも、「いかにも」な場面ですが確かに格好良かったな。
イナ・バウアーは、可愛い感じの赤毛美人。横顔がなんとなく若い頃の沢口靖子を思い起こさせた。役者のオーラで綺麗というのでなく「素で可愛い」という雰囲気がヤッコちゃんを連想させるのかな?
とにかく全編たわいない話なのですが、主演二人が割とさわやかだし、ミュージカル&アイスショー場面が結構良いので、「かわいらしいオハナシ」として楽しめました♪
ミュージカル&フィギュアスケート好きにはオススメ。
駆逐艦ベッドフォード作戦
2008年5月31日 映画 コメント (9)
1965年、ジェームズ・B・ハリス監督作品。
冷戦の恐怖を描くミリタリー・サスペンス。
北欧からグリーンランド付近の海域を哨戒中の米駆逐艦ベッドフォード号は、領域侵犯中のソ連の潜水艦の航跡を察知する。ベッドフォード号のフィンランダー艦長(リチャード・ウィドマーク)は頑固なタカ派で、国防省の指令は「待機」であるにもかかわらず、強制浮上に追い込めないかと潜水艦の追跡に熱中する。冷厳な艦長の鉄の規律により、日々異様なまでの緊張感に満ちた艦内に、最近乗り組んだばかりの記者(シドニー・ポワチエ)や新任の軍医(マーティン・バルサム)は危惧を抱くが…
ドキュメンタリー・タッチの地味なモノクロ映画。ソ連の潜水艦と乗組員については、全くといってよい程描かれない。次第に高まりゆく緊張は、米軍艦内だけのものだ。ショッキングなラスト・シーンに至るまで、「未知への飛行」などと同様、この映画は反戦・反冷戦を訴える社会派のサスペンスといえるだろう。
ちなみに、一見有能だが些か偏執狂的なこの艦長役を演じるにあたり、ウィドマークは当時のアメリカ右翼の代表格バリー・ゴールドウォーター上院議員をイメージモデルにしたという。上院議員の写真をぐぐって見ると、なるほど…ブリーフィングの時使ってた眼鏡が同じ型だ…(それだけじゃないんだろうけど)。
更に、この作品は、ウィドマーク自身の製作。サミュエル・フラーが「真のリベラル」と呼んだ彼ならでは?(「映画は戦場だ!」より)
それだけに相当気合いの入った演技を見せてくれます。くれるけど、…まあ本音をいいますと、「悪役」でないほうがミーハーなファンとしては嬉しいのですがね(^^;)
でも一度は見ておこうか、とネットレンタルしました。
今となっては時代を感じさせられるテーマでもありますが(冷戦も遠くなりにけり)、公開当時に見たら相当な衝撃だったことでしょう。
なんという怖いラスト…しかし、ウィドマーク艦長の怖さがまたハンパじゃなくてそっちの方がキツいくらいでした(汗)
あと、端役ですが、医務室で塵芥分析(水中のゴミを分析して、ソ連潜水艦がいつ頃捨てた残飯かを調べてる…そこまでするのか…)をやってたスタッフの中にドナルド・サザーランドがいたみたい。あれ?と思ってキャストを確認したら…びっくり。
冷戦の恐怖を描くミリタリー・サスペンス。
北欧からグリーンランド付近の海域を哨戒中の米駆逐艦ベッドフォード号は、領域侵犯中のソ連の潜水艦の航跡を察知する。ベッドフォード号のフィンランダー艦長(リチャード・ウィドマーク)は頑固なタカ派で、国防省の指令は「待機」であるにもかかわらず、強制浮上に追い込めないかと潜水艦の追跡に熱中する。冷厳な艦長の鉄の規律により、日々異様なまでの緊張感に満ちた艦内に、最近乗り組んだばかりの記者(シドニー・ポワチエ)や新任の軍医(マーティン・バルサム)は危惧を抱くが…
ドキュメンタリー・タッチの地味なモノクロ映画。ソ連の潜水艦と乗組員については、全くといってよい程描かれない。次第に高まりゆく緊張は、米軍艦内だけのものだ。ショッキングなラスト・シーンに至るまで、「未知への飛行」などと同様、この映画は反戦・反冷戦を訴える社会派のサスペンスといえるだろう。
ちなみに、一見有能だが些か偏執狂的なこの艦長役を演じるにあたり、ウィドマークは当時のアメリカ右翼の代表格バリー・ゴールドウォーター上院議員をイメージモデルにしたという。上院議員の写真をぐぐって見ると、なるほど…ブリーフィングの時使ってた眼鏡が同じ型だ…(それだけじゃないんだろうけど)。
更に、この作品は、ウィドマーク自身の製作。サミュエル・フラーが「真のリベラル」と呼んだ彼ならでは?(「映画は戦場だ!」より)
それだけに相当気合いの入った演技を見せてくれます。くれるけど、…まあ本音をいいますと、「悪役」でないほうがミーハーなファンとしては嬉しいのですがね(^^;)
でも一度は見ておこうか、とネットレンタルしました。
今となっては時代を感じさせられるテーマでもありますが(冷戦も遠くなりにけり)、公開当時に見たら相当な衝撃だったことでしょう。
なんという怖いラスト…しかし、ウィドマーク艦長の怖さがまたハンパじゃなくてそっちの方がキツいくらいでした(汗)
あと、端役ですが、医務室で塵芥分析(水中のゴミを分析して、ソ連潜水艦がいつ頃捨てた残飯かを調べてる…そこまでするのか…)をやってたスタッフの中にドナルド・サザーランドがいたみたい。あれ?と思ってキャストを確認したら…びっくり。
1933年、エルンスト・ルビッチ監督作品。
貧しいけど才気ある親友どうしの画家(ゲーリー・クーパー)と劇作家(フレドリック・マーチ)、どっちの男も素敵で選べない…という美女(ミリアム・ホプキンス)をめぐるコメディ。
おお、ルビッチ!
と勇んで借りたのだけど、なんだかノれなかったなあ。細かい演出やせりふも気が利いてる、と思ったけど(列車内で寝てる三人の出会いなんかは文句なく面白かった)、話が進むにつれて「えー?」と醒めてしまった。
あんなにブッとんだ「イイ女」が、あんなしょーもない男と一時的にでもくっつくか?(自罰的決断だったのかもしれないにせよ)
あまりルビッチ的に思えなかったのは、ノエル・カワード原作のカラーのほうが強いのかもしれない。昔数本戯曲を読んだことあるけれど、いまひとつノれなかったしなぁ、カワード…
それよりなにより、いまいちクーパー好きじゃないし。うまくすれば、コレでクーパー・アレルギー解消に至れるかと思ったんだけどな。ワイルダーだのルビッチだの見ようとすると、意外とクーパー避けて通れないから、治しておきたかったのだが(爆)
まあいい、「青髭七人目の妻」にもいずれトライするつもり。あっちに期待しよう。
しいていえばクーパーより、シャープな感じのF・マーチの方がまだいい、が…しかし、やはり私の趣味とはちょっと違う!ホプキンスは問題なく魅力的だが…
また、ルビッチなら「メリイ・ウィドウ」や、今年出た「ラブ・パレード」「陽気な中尉さん」とかの方が本当は見たかった私。シュバリエなら結構自分的に安全パイ☆、手堅く楽しませてくれると思うんだけど、やはり新作がレンタルに出るまでには多少時間がかかる。今回の無料キャンペーンには間に合わない!
明日か明後日には、また次のネットレンタルDVDが届く筈。とにかくドンドン回すぞぉ。
貧しいけど才気ある親友どうしの画家(ゲーリー・クーパー)と劇作家(フレドリック・マーチ)、どっちの男も素敵で選べない…という美女(ミリアム・ホプキンス)をめぐるコメディ。
おお、ルビッチ!
と勇んで借りたのだけど、なんだかノれなかったなあ。細かい演出やせりふも気が利いてる、と思ったけど(列車内で寝てる三人の出会いなんかは文句なく面白かった)、話が進むにつれて「えー?」と醒めてしまった。
あんなにブッとんだ「イイ女」が、あんなしょーもない男と一時的にでもくっつくか?(自罰的決断だったのかもしれないにせよ)
あまりルビッチ的に思えなかったのは、ノエル・カワード原作のカラーのほうが強いのかもしれない。昔数本戯曲を読んだことあるけれど、いまひとつノれなかったしなぁ、カワード…
それよりなにより、いまいちクーパー好きじゃないし。うまくすれば、コレでクーパー・アレルギー解消に至れるかと思ったんだけどな。ワイルダーだのルビッチだの見ようとすると、意外とクーパー避けて通れないから、治しておきたかったのだが(爆)
まあいい、「青髭七人目の妻」にもいずれトライするつもり。あっちに期待しよう。
しいていえばクーパーより、シャープな感じのF・マーチの方がまだいい、が…しかし、やはり私の趣味とはちょっと違う!ホプキンスは問題なく魅力的だが…
また、ルビッチなら「メリイ・ウィドウ」や、今年出た「ラブ・パレード」「陽気な中尉さん」とかの方が本当は見たかった私。シュバリエなら結構自分的に安全パイ☆、手堅く楽しませてくれると思うんだけど、やはり新作がレンタルに出るまでには多少時間がかかる。今回の無料キャンペーンには間に合わない!
明日か明後日には、また次のネットレンタルDVDが届く筈。とにかくドンドン回すぞぉ。
ギャラクシー★クエスト
2008年5月28日 映画
2000年製作、ディーン・パリソット監督作品。
おおっ久々に、ここ10年内の作品だぞ!
…かつてTVで大人気だったSFシリーズ「ギャラクシー☆クエスト」。この番組はコアなファンを生み、放送終了後20年たった今も、出演者たちはイベント出演で食いつないでいた(笑)。ところが、昔のドラマをドキュメンタリーだと勘違いしてる異星人(「嘘」の概念がないらしい)がやってきて、艦長以下主要クルー(ただの俳優さんたちなんですが…)を宇宙戦艦にスカウトする!
初めはてっきり凝ったイベント出演依頼と思ったクルーたちだったが…
うわーなにソレ、と思って借りることにしました☆「宇宙大作戦」結構好きだったしね。
「宇宙大作戦」は再放送で見たクチで、スター・トレック映画版も全部じゃないけど見てる。たしか「ネクスト・ジェネレーション」、新スタ・トレのピカードとカークが時を超えて共演する話、あのへんまでは。
新版は、やっぱりピカード艦長がねー、あまりに頼りないのがちょっと…で最初のシーズンしか見なかった。だって第一話からもう、部下より先に正気手放してるんだもん。「Heaven!」に例示されたような、面倒みられ型リーダーなのか?(上が頼りないから俺達が頑張るしか!と部下が奮起して結果オーライ…)
ま、それはおいとくとして。
そして。
うーむ、巷でも好評のようでしたが、噂にたがわぬ…(笑)
SFとしても、チープなようでそうでもない。チープな所は狙ってだろうし、やはりメイクや特撮技術は進歩してるんだろね(昔のTVシリーズのノリは意識的に再現してる)。特にスタ・トレを楽しんだ人にはニヤリとさせられる場面が多数、オススメです。
中盤からはスリルやサスペンス、意外な展開もあり飽きさせない。「なんちゃって宇宙船クルー」となった彼らが、思わぬ冒険の中、最初は結構いがみあってたのが次第に友情と信頼の絆を育て、共に頑張るというストーリーは結構良くできている。人間、尊敬され期待されることがどんなに大事か、またそれにこたえて頑張ることがどんなに自分を変えるか…という、なかなか普遍的なテーマも埋め込まれていて盛り上がる(笑)
だいたい「ギャラクシー…」の出演者たち――艦長役のジコチューな主演男優(ティム・アレン)、お色気担当女性クルー役者(なんと「エイリアン」のシガーニー・ウィーバー!)、異星人クルー役で特殊メイクやキメ科白にウンザリのいかにもスポックもどきな元舞台俳優(アラン・リックマン)、大人になっちゃった少年パイロット役、端役で一話出たきりのノン・レギュラー役者など、みんな現在、現実の自分にはうんざりなのだ。だもんで、「マネして宇宙船とか作って準備してみました」なんて言われて、ついうかうかと「ちょっと宇宙へ出てみようか」なんて思っちゃうのよね。ご都合主義全開のコメディだが、それなりに人間も描けててナイスでした。
そして、一見皮肉な設定にもかかわらず、トレッキーやスタ・トレのスターたちへの愛情を感じさせる展開なのがまたよろしい!
しかし、まさかここで触手が出てくるとは…
まさかあのネタで…(よくあるんだよSFドラマじゃその展開)
などと、様々な笑える小ネタは、ぜひ実際に見てみてほしいのでバラさずにおきます☆
ご家族とか、誰かと一緒に見るのがオススメ♪
おおっ久々に、ここ10年内の作品だぞ!
…かつてTVで大人気だったSFシリーズ「ギャラクシー☆クエスト」。この番組はコアなファンを生み、放送終了後20年たった今も、出演者たちはイベント出演で食いつないでいた(笑)。ところが、昔のドラマをドキュメンタリーだと勘違いしてる異星人(「嘘」の概念がないらしい)がやってきて、艦長以下主要クルー(ただの俳優さんたちなんですが…)を宇宙戦艦にスカウトする!
初めはてっきり凝ったイベント出演依頼と思ったクルーたちだったが…
うわーなにソレ、と思って借りることにしました☆「宇宙大作戦」結構好きだったしね。
「宇宙大作戦」は再放送で見たクチで、スター・トレック映画版も全部じゃないけど見てる。たしか「ネクスト・ジェネレーション」、新スタ・トレのピカードとカークが時を超えて共演する話、あのへんまでは。
新版は、やっぱりピカード艦長がねー、あまりに頼りないのがちょっと…で最初のシーズンしか見なかった。だって第一話からもう、部下より先に正気手放してるんだもん。「Heaven!」に例示されたような、面倒みられ型リーダーなのか?(上が頼りないから俺達が頑張るしか!と部下が奮起して結果オーライ…)
ま、それはおいとくとして。
そして。
うーむ、巷でも好評のようでしたが、噂にたがわぬ…(笑)
SFとしても、チープなようでそうでもない。チープな所は狙ってだろうし、やはりメイクや特撮技術は進歩してるんだろね(昔のTVシリーズのノリは意識的に再現してる)。特にスタ・トレを楽しんだ人にはニヤリとさせられる場面が多数、オススメです。
中盤からはスリルやサスペンス、意外な展開もあり飽きさせない。「なんちゃって宇宙船クルー」となった彼らが、思わぬ冒険の中、最初は結構いがみあってたのが次第に友情と信頼の絆を育て、共に頑張るというストーリーは結構良くできている。人間、尊敬され期待されることがどんなに大事か、またそれにこたえて頑張ることがどんなに自分を変えるか…という、なかなか普遍的なテーマも埋め込まれていて盛り上がる(笑)
だいたい「ギャラクシー…」の出演者たち――艦長役のジコチューな主演男優(ティム・アレン)、お色気担当女性クルー役者(なんと「エイリアン」のシガーニー・ウィーバー!)、異星人クルー役で特殊メイクやキメ科白にウンザリのいかにもスポックもどきな元舞台俳優(アラン・リックマン)、大人になっちゃった少年パイロット役、端役で一話出たきりのノン・レギュラー役者など、みんな現在、現実の自分にはうんざりなのだ。だもんで、「マネして宇宙船とか作って準備してみました」なんて言われて、ついうかうかと「ちょっと宇宙へ出てみようか」なんて思っちゃうのよね。ご都合主義全開のコメディだが、それなりに人間も描けててナイスでした。
そして、一見皮肉な設定にもかかわらず、トレッキーやスタ・トレのスターたちへの愛情を感じさせる展開なのがまたよろしい!
しかし、まさかここで触手が出てくるとは…
まさかあのネタで…(よくあるんだよSFドラマじゃその展開)
などと、様々な笑える小ネタは、ぜひ実際に見てみてほしいのでバラさずにおきます☆
ご家族とか、誰かと一緒に見るのがオススメ♪
ジーグフェルド・フォリーズ
2008年5月27日 映画 コメント (8)
1946年日本未公開作品。監督ヴィンセント・ミネリ。
一部は「ザッツ・エンタティンメント」等で日本でも紹介されてるのだが、見てみて未公開をちょっと納得。(…とか思ってたら、1989年に日本でも公開されていた、と教えていただきました。しまった見落とした…)
「天国の故・ジーグフェルド(ブロードウェイの大立者。「巨星ジーグフェルド」のウイリアム・パウエルに演じさせてるのがミソ)が新たなショーを企画したら」、という趣向なため、往時の舞台同様に、歌とダンスナンバーや、ショートコントの類を色々詰め合わせてあるのだが、歌とダンスはよいとして、コントがイマイチ(^^;)
普通の(クラシックな)ミュージカル映画なら、歌やダンスのナンバーの合間は、メインストーリーはどう落ちが着くのかという興味でつなげられるわけだが(え?逆?…逆という意見も多いかもしれませんね確かに(爆))、これではちょっとね。興味があるネタ以外は、ついつい流し見、よそ見してしまった。
冒頭、天国のジーグフェルドが、自分のプロデュースした作品を回想する場面は人形劇。凝ってるが私的にはビミョー。「サンダーバード」見に来たんじゃないんだから。
それでも、新しいショーを企画するなら、案内役はアステアに…と言い出す。おお、つかみはアステアか♪実はアステアのナンバーは三曲半もあった。
"Here’s To The Girls"は、「いかにも♪」なピンクのゴージャス美女たちの奔流。イントロを優雅にアステアが歌って、やがてルシル・ボールやシド・チャリシーのダンスがメインになる。しかしこの歌、妙に「プロデューサーズ」の“beautiful girls wearing nothing but pearls♪”あたりを連想させるなぁ。いや、メル・ブルックスがリスペクトしたに違いない。
2曲目"Bring On The Wonderful Men"はその逆バージョンなのが面白かった。実名もばんばん入れて、素敵な男よ来てちょうだい、とルシル・ボールが歌う。ヴァン・ジョンソンて人気あったんだなああの頃…ただのソバカス男にしか見えないのだが。
エスター・ウィリアムズの水中バレエはあまり興味なくてパス。電話のコントも、時代が変わってるからあまり面白くない。いまや「電話交換手」って想像もできない人の方が多いのでは?昨日の「少佐と少女」でも出てきたけど…
オペラ「椿姫」の乾杯の歌のあとは、やはりイマイチな寸劇。ただ、無責任な顧問弁護士に振り回されるオジサン、どこかで見たようなと悩んでいたら、ヴィクター・ムーアって!アステアの「有頂天時代」に出てた変なオジサンだったと思いだした。まさかこんな所にいるとは(笑)
七番目に、待ちに待ったアステアとルシル・ブレマーの "This Heart Of Mine" が来る。ハイソな舞踏会にまぎれこんだフル正装の泥棒アステア。狙いをつけた美女(ブレマー)と熱く優雅に踊りまくる。日本未公開「ヨランダと泥棒」でも共演した彼女、アステアは結構気に入ってたそうだが、わかる気がするな。優雅で小柄なファニー・フェイス。
ファニー・ブライスの寸劇やレッド・スケルトンのギャグやリナ・ホーンの歌をはさんで、次がまたアステア&ブレマーの出番♪
"Limehouse Blues"は、エキゾチックかつ幻想的なナンバー。思いっきり東洋人風メイクのアステア(それも貧しい中国人風!)が憂い顔でチャイナタウンを歩くと、綺麗な黄色のチャイナドレスのブレマー(やはり東洋人風メイク)が通りかかる。見惚れるアステアに強盗騒ぎの流れ弾が当たり、倒れた彼は夢の中でブレマーと踊るのだ。両手に扇子、西洋人の考える東洋テイストだと思うが、アステアにしちゃモダンバレエ風でしかもメランコリックな踊りは新鮮。
そして、ジュディ・ガーランドの見せ場はさんでまたまた!アステア&ジーン・ケリーの世紀の共演、 "The Babbitt And The Bromide"!
「ザッツ・エンタティンメント」で既に有名ですが、フルで見られるのがいいね。ケリーには悪いけど、こうして見るとやはり私は絶対アステア派だ。どっちかというとアステア向けなナンバーなのも認めますが。彼が踊ると紳士服がドレスよりも美しく見える…。元々は彼が昔お姉さんのアデールと踊ったナンバーなんだよね。姉弟(男女)で演じたらどんな風だったんだろう…(*^^*)。
最後は幻想的なセット(一時ダリ風だった…)に立つキャサリン・グレイスンの歌。
アステア(&ブレマー)以外で印象強いのは、ジュディ、リナ・ホーン、グレイスンて所ですかね。アステア以外の人のファンには、あえて特には薦めません…(^^;)
一部は「ザッツ・エンタティンメント」等で日本でも紹介されてるのだが、見てみて未公開をちょっと納得。(…とか思ってたら、1989年に日本でも公開されていた、と教えていただきました。しまった見落とした…)
「天国の故・ジーグフェルド(ブロードウェイの大立者。「巨星ジーグフェルド」のウイリアム・パウエルに演じさせてるのがミソ)が新たなショーを企画したら」、という趣向なため、往時の舞台同様に、歌とダンスナンバーや、ショートコントの類を色々詰め合わせてあるのだが、歌とダンスはよいとして、コントがイマイチ(^^;)
普通の(クラシックな)ミュージカル映画なら、歌やダンスのナンバーの合間は、メインストーリーはどう落ちが着くのかという興味でつなげられるわけだが(え?逆?…逆という意見も多いかもしれませんね確かに(爆))、これではちょっとね。興味があるネタ以外は、ついつい流し見、よそ見してしまった。
冒頭、天国のジーグフェルドが、自分のプロデュースした作品を回想する場面は人形劇。凝ってるが私的にはビミョー。「サンダーバード」見に来たんじゃないんだから。
それでも、新しいショーを企画するなら、案内役はアステアに…と言い出す。おお、つかみはアステアか♪実はアステアのナンバーは三曲半もあった。
"Here’s To The Girls"は、「いかにも♪」なピンクのゴージャス美女たちの奔流。イントロを優雅にアステアが歌って、やがてルシル・ボールやシド・チャリシーのダンスがメインになる。しかしこの歌、妙に「プロデューサーズ」の“beautiful girls wearing nothing but pearls♪”あたりを連想させるなぁ。いや、メル・ブルックスがリスペクトしたに違いない。
2曲目"Bring On The Wonderful Men"はその逆バージョンなのが面白かった。実名もばんばん入れて、素敵な男よ来てちょうだい、とルシル・ボールが歌う。ヴァン・ジョンソンて人気あったんだなああの頃…ただのソバカス男にしか見えないのだが。
エスター・ウィリアムズの水中バレエはあまり興味なくてパス。電話のコントも、時代が変わってるからあまり面白くない。いまや「電話交換手」って想像もできない人の方が多いのでは?昨日の「少佐と少女」でも出てきたけど…
オペラ「椿姫」の乾杯の歌のあとは、やはりイマイチな寸劇。ただ、無責任な顧問弁護士に振り回されるオジサン、どこかで見たようなと悩んでいたら、ヴィクター・ムーアって!アステアの「有頂天時代」に出てた変なオジサンだったと思いだした。まさかこんな所にいるとは(笑)
七番目に、待ちに待ったアステアとルシル・ブレマーの "This Heart Of Mine" が来る。ハイソな舞踏会にまぎれこんだフル正装の泥棒アステア。狙いをつけた美女(ブレマー)と熱く優雅に踊りまくる。日本未公開「ヨランダと泥棒」でも共演した彼女、アステアは結構気に入ってたそうだが、わかる気がするな。優雅で小柄なファニー・フェイス。
ファニー・ブライスの寸劇やレッド・スケルトンのギャグやリナ・ホーンの歌をはさんで、次がまたアステア&ブレマーの出番♪
"Limehouse Blues"は、エキゾチックかつ幻想的なナンバー。思いっきり東洋人風メイクのアステア(それも貧しい中国人風!)が憂い顔でチャイナタウンを歩くと、綺麗な黄色のチャイナドレスのブレマー(やはり東洋人風メイク)が通りかかる。見惚れるアステアに強盗騒ぎの流れ弾が当たり、倒れた彼は夢の中でブレマーと踊るのだ。両手に扇子、西洋人の考える東洋テイストだと思うが、アステアにしちゃモダンバレエ風でしかもメランコリックな踊りは新鮮。
そして、ジュディ・ガーランドの見せ場はさんでまたまた!アステア&ジーン・ケリーの世紀の共演、 "The Babbitt And The Bromide"!
「ザッツ・エンタティンメント」で既に有名ですが、フルで見られるのがいいね。ケリーには悪いけど、こうして見るとやはり私は絶対アステア派だ。どっちかというとアステア向けなナンバーなのも認めますが。彼が踊ると紳士服がドレスよりも美しく見える…。元々は彼が昔お姉さんのアデールと踊ったナンバーなんだよね。姉弟(男女)で演じたらどんな風だったんだろう…(*^^*)。
最後は幻想的なセット(一時ダリ風だった…)に立つキャサリン・グレイスンの歌。
アステア(&ブレマー)以外で印象強いのは、ジュディ、リナ・ホーン、グレイスンて所ですかね。アステア以外の人のファンには、あえて特には薦めません…(^^;)
1942年ビリー・ワイルダー監督作品。モノクロ。
原題は“The Major and the Minor”。
ネットレンタルに加入してみた。無料キャンペーン中だったので(笑)
さあ無料中にDVD何枚見れる?第一弾が、コレ!
大好きなビリー・ワイルダー監督の、渡米第一作がこの作品。
所謂スクリューボール・コメディの範疇に入るのだろうけど、「オトナの恋の駆け引き」とは少し違えてあるのがミソ?
都会で失職したスーザン(ジンジャー・ロジャース)は田舎へ帰ることに決め、「これだけは手をつけなかった」帰りの切符代を入れた封筒を握りしめて駅へ行くが、運賃が値上がりしていて「足りません」と門前払い…。進退極まった彼女は苦肉の策、「12歳の少女」に変装して小児運賃で夜行に乗るという暴挙に出る!(笑)
いや、ジンジャー小柄な方なのは確かなんですが、なんちゅー強引なシナリオ…しかし、それがいいんですよね(^^;)
カーティス&レモンの女装が大好評?の「お熱いのがお好き」と一緒だわ。うん。
コメディは、過程と結末さえ素晴らしければ、大前提がどんなにおバカでも結構許せてしまうジャンルだ。
髪は三つ編み、片手に風船、ハイヒールを脱ぎ、タイツはちょんぎってソックスに。手持ち服をコーディネートで子供服っぽく見せたものの、やはり車掌には怪しまれる(当たり前か)。列車内を逃げるうち彼女はカービー少佐(レイ・ミランド)の個室寝台へ入り込むが、親切な彼は子供の一人旅(しかも寝台でなく座席)は大変だねと自室の空き寝台に泊めてくれるのだった。雷が鳴ったらおとぎ話で慰めてくれる。
うわーーーぁぁぁ、なんというイイ人だ(泣)。
ところが嵐で川が増水し、列車は途中でストップ。おまけに車で迎えにきた少佐の婚約者パメラ(リタ・ジョンソン)が「寝台車に女をつれこんでる!」と『誤解』して飛び出す一幕があり(ホントは誤解じゃないのが何とも…)、少佐は「皆に事情を説明するため一旦一緒に来てほしい」と、“スースー”こと偽少女を自分も住む陸軍兵学校に連れてゆく。週末には家まで送ってやれるからということで、週末までの三日間“スースー”は、婚約者の妹で12歳のルーシー(ダイアナ・リン)の部屋に泊まることになる(ちなみにこの姉妹は兵学校の校長の娘だ)。
ルーシーだけは一目でこの変装を見破るが、「黙っててあげるから協力して」と持ち掛ける。少佐と姉についてである。戦争が始まり、少佐は自分も外地へ、前線へと出征したいと希望を出しているのだが、パメラは口先では理解を表明しつつ陰でそれを潰すべく暗躍しているのだ(危険な戦地へやりたくないという女心は分かる気もするのだが、彼女の場合はただの自己チュー!)。ルーシーはそれを「犯罪」と呼ぶ…。
いやーカッコいいですルーシーちゃん。いいたいこと言い終わると、ベッドの下からするりとタバコケースを取り出して「Smoke?」とスーザンに差し出す。思わず苦笑して一本頂くスーザンと、年齢を超えたイイ女の、美しい友情の始まりですね〜。
ロマコメとしてはここからが本番か。強引で大笑いな「お子ちゃま」演技にもかかわらず、オトナの色香が漏れるのか、むやみに兵学校の学生(中学生って感じ?)300人にモテすぎちゃって困る「スースー」とか、パメラの陰謀をどうするか、とか(中学生相手に色仕掛けを試みる「スースー」!)、「今の男の子はマセてるから注意するんだよ、君は美人だし」と、「スースー」にマジメに注意してやるうち自分もクラクラしそうになって困る少佐とか。超イイ人な上ハンサムな少佐にスーザンの方も惹かれちゃうのは自然な流れ。しかし「年の差」が立ちはだかる…(笑)
ワイルダーですからね、事態が混迷し流れてゆく過程にはイチブのスキもなく、のべつまくなしに気の利いたセリフやそのバリエーションの怒涛の101分。
そして紆余曲折のはて、ロマンチックでホノボノなハッピーエンドで大満足でした。
ジンジャー・ロジャース、実はアステアとの共演映画では特に魅力的と思ったことがないのですが(アステアに気を取られすぎてるから?)、今回はとてもいいし可愛いと思いました。コメディエンヌとしてはやっぱ上手いのね。12歳は苦しいけど(笑)
レイ・ミランドは、長身でちょっとタレ目でおっとり上品なところがイイ感じ。あんなに何度も騙されて大丈夫か?という、善人すぎてその分足元はあまり見えてないって役柄を可愛らしく演じていました。一歩間違うと変態…な役なのだが、朝起きた時に「目の体操」をやってる場面などいかにもおバカっぽさ全開で良かった。あはは。
二枚目ばかりでなく、時には犯人役やアル中役でも有名なミランドだけど、今回は若い頃のジェームズ・スチュアートをより二枚目にしたような雰囲気だったかなあ?←おっとと、ジミーに失礼か…
原題は“The Major and the Minor”。
ネットレンタルに加入してみた。無料キャンペーン中だったので(笑)
さあ無料中にDVD何枚見れる?第一弾が、コレ!
大好きなビリー・ワイルダー監督の、渡米第一作がこの作品。
所謂スクリューボール・コメディの範疇に入るのだろうけど、「オトナの恋の駆け引き」とは少し違えてあるのがミソ?
都会で失職したスーザン(ジンジャー・ロジャース)は田舎へ帰ることに決め、「これだけは手をつけなかった」帰りの切符代を入れた封筒を握りしめて駅へ行くが、運賃が値上がりしていて「足りません」と門前払い…。進退極まった彼女は苦肉の策、「12歳の少女」に変装して小児運賃で夜行に乗るという暴挙に出る!(笑)
いや、ジンジャー小柄な方なのは確かなんですが、なんちゅー強引なシナリオ…しかし、それがいいんですよね(^^;)
カーティス&レモンの女装が大好評?の「お熱いのがお好き」と一緒だわ。うん。
コメディは、過程と結末さえ素晴らしければ、大前提がどんなにおバカでも結構許せてしまうジャンルだ。
髪は三つ編み、片手に風船、ハイヒールを脱ぎ、タイツはちょんぎってソックスに。手持ち服をコーディネートで子供服っぽく見せたものの、やはり車掌には怪しまれる(当たり前か)。列車内を逃げるうち彼女はカービー少佐(レイ・ミランド)の個室寝台へ入り込むが、親切な彼は子供の一人旅(しかも寝台でなく座席)は大変だねと自室の空き寝台に泊めてくれるのだった。雷が鳴ったらおとぎ話で慰めてくれる。
うわーーーぁぁぁ、なんというイイ人だ(泣)。
ところが嵐で川が増水し、列車は途中でストップ。おまけに車で迎えにきた少佐の婚約者パメラ(リタ・ジョンソン)が「寝台車に女をつれこんでる!」と『誤解』して飛び出す一幕があり(ホントは誤解じゃないのが何とも…)、少佐は「皆に事情を説明するため一旦一緒に来てほしい」と、“スースー”こと偽少女を自分も住む陸軍兵学校に連れてゆく。週末には家まで送ってやれるからということで、週末までの三日間“スースー”は、婚約者の妹で12歳のルーシー(ダイアナ・リン)の部屋に泊まることになる(ちなみにこの姉妹は兵学校の校長の娘だ)。
ルーシーだけは一目でこの変装を見破るが、「黙っててあげるから協力して」と持ち掛ける。少佐と姉についてである。戦争が始まり、少佐は自分も外地へ、前線へと出征したいと希望を出しているのだが、パメラは口先では理解を表明しつつ陰でそれを潰すべく暗躍しているのだ(危険な戦地へやりたくないという女心は分かる気もするのだが、彼女の場合はただの自己チュー!)。ルーシーはそれを「犯罪」と呼ぶ…。
いやーカッコいいですルーシーちゃん。いいたいこと言い終わると、ベッドの下からするりとタバコケースを取り出して「Smoke?」とスーザンに差し出す。思わず苦笑して一本頂くスーザンと、年齢を超えたイイ女の、美しい友情の始まりですね〜。
ロマコメとしてはここからが本番か。強引で大笑いな「お子ちゃま」演技にもかかわらず、オトナの色香が漏れるのか、むやみに兵学校の学生(中学生って感じ?)300人にモテすぎちゃって困る「スースー」とか、パメラの陰謀をどうするか、とか(中学生相手に色仕掛けを試みる「スースー」!)、「今の男の子はマセてるから注意するんだよ、君は美人だし」と、「スースー」にマジメに注意してやるうち自分もクラクラしそうになって困る少佐とか。超イイ人な上ハンサムな少佐にスーザンの方も惹かれちゃうのは自然な流れ。しかし「年の差」が立ちはだかる…(笑)
ワイルダーですからね、事態が混迷し流れてゆく過程にはイチブのスキもなく、のべつまくなしに気の利いたセリフやそのバリエーションの怒涛の101分。
そして紆余曲折のはて、ロマンチックでホノボノなハッピーエンドで大満足でした。
ジンジャー・ロジャース、実はアステアとの共演映画では特に魅力的と思ったことがないのですが(アステアに気を取られすぎてるから?)、今回はとてもいいし可愛いと思いました。コメディエンヌとしてはやっぱ上手いのね。12歳は苦しいけど(笑)
レイ・ミランドは、長身でちょっとタレ目でおっとり上品なところがイイ感じ。あんなに何度も騙されて大丈夫か?という、善人すぎてその分足元はあまり見えてないって役柄を可愛らしく演じていました。一歩間違うと変態…な役なのだが、朝起きた時に「目の体操」をやってる場面などいかにもおバカっぽさ全開で良かった。あはは。
二枚目ばかりでなく、時には犯人役やアル中役でも有名なミランドだけど、今回は若い頃のジェームズ・スチュアートをより二枚目にしたような雰囲気だったかなあ?←おっとと、ジミーに失礼か…
原題“TheTunnel of Love”1958年ジーン・ケリー監督作品。
ジーン・ケリーは監督のみのノン・ミュージカル。
珍しい、リチャード・ウィドマーク主演の純コメディとあって、ずっと見たかったのに国内ではDVDもビデオもナシ。海外ですら、ビデオのみ…ですが意外と安かったので思い切って買っちゃった。英語字幕すらないのに!なので、久々に心身の余裕のできた今日ようやく視聴。
(2/27日記参照→http://diarynote.jp/d/13374/20080227.html)
セリフのくすぐりをどれだけ聞き落していることやら…。巻戻しやすいようわざわざDVDに焼いて視聴したけど。そして割とセリフの聞き取りやすい人ばかりではあったけど。
ですので今回の感想は、話半分に聞いて下さい。m(__)m
とはいえこの映画に関しては、古雑誌や古パンフを結構集めていたので、大筋は正しく理解してる筈。ネタバレOKでいいですよね。
共演はロマコメの女王ドリス・デイ、子どもが欲しいのにできないアツアツ夫婦(デイ&ウィドマーク)のドタバタ喜劇。隣人役にギグ・ヤングというのがまた本格的(笑)
「子作りをあきらめるわけでもないけど、とりあえず養子申し込んでみようか」となったものの、やってきた養子斡旋会社の調査員(ジア・スカラ)が思いがけず美女で、色々あって夫は「酔ったはずみで手を出したかも」と思いこみます。記憶はないが、目が覚めたら一人でモーテルにおり、「素敵な夜をありがとう」とかトンデモない置手紙があったんですね。いまどきこんなネタが映画になるか!なくらいホノボノですね(笑)
でも、50年代ですから!!
誤解は誤解を増幅し、届けられた養子もヤケに自分にソックリな金髪碧眼ベビーとあって、夫(と隣人)は、「やはり、調査員との間の子では…」と、気もそぞろ。男二人があまりに浮足立つので妻も実子疑惑に思い至り、「家を出るわ!」と荷造りを始める…。でも大丈夫。カタストロフ寸前で調査員が挨拶にやってきて、全ての誤解は無事氷解。
うーむ、なんてタワイのない、見え見えなハッピーエンド…(笑)
だいたい調査員嬢、狙って罠をかけたとしか思えない無茶な言動でしたぞ(^^;)
台詞だけきくと最後まで、天然だったように聞こえるが。
そして教訓「雉も鳴かずば撃たれまい」。
しっかし、こんなにナサケないウィドマーク、はじめて見たよ!愛妻家か恐妻家か判断に困るほどです。可愛くて歌もうまい(二曲ほど歌います)若奥さんと、『いかにもフツーの売れない画家』な夫では、自然と力関係も決まってくるのか。
そしてその気になればホントに虚弱そうに見えるんだね彼。
郊外の新居に越してきて、さあ子作りに頑張るの、との妻の張り切りぶりがあまり凄くて、ギャングを演じれば「死神のような」と言われた、そげた頬のウィドマークなのだが今回は逆に最初っから死相が出て見えるのが何ともはや(笑)
一般的にいって意外極まりないキャスティングだと思うのだが、そこまで計算していたのかジーン・ケリー!
ドリス・デイはまさにホームグラウンド、得意ジャンルの中で溌剌たる魅力を発揮。画像は家出を敢行しかけて足をくじいた妻に、夫が包帯巻きながら「愛してる、信じてくれ!」と訴えるシーン。彼女の方は耳をふさいでジングルベル♪歌って聞こえないふり…。こういうのって似合うなぁドリス・デイ。彼女のロマコメは大昔に数本見たきりだったと思うのだが、また機会があれば試そうっと。
そして、コメディは好きなのに、これまで意外とすれ違いだったギグ・ヤング。…えー、こんな大柄な人だったの、と驚いた(ウィドマークよりデカい)。顔は知ってたけど写真だと長身のロック・ハドソンの隣とかだから勘違いしてたのか。妻や女性に対して小心な隣人に、お気楽なアドバイスを与えては迷走させる役どころは多分お手の物(笑)
あと珍しく、ウィドマーク様は劇中一切タバコを吸いません。ヘタにタバコを持たせるとカッコよくなりすぎるからではと邪推する私。
終始女性に振り回され続けるこの役は、カッコよすぎてもいかんのでしょう。しかし、ただ三枚目が演じればいいというものでもなさそう、ドリス・デイとのバランスからして。この夫婦、かなりベタベタのアツアツだから。普通、元気いっぱいの彼女と、相手役(ロック・ハドソンとかケイリー・グラントとか)はユーモアと二枚目っぷりで切り結ぶわけですが、その点今回ウィドマーク様は自分の武器を最初からある程度封じられてる感じで気の毒です(元々、「色男」ではないし。ユーモアはイケると思いますが)。普段のタフガイ役とのミスマッチもまた狙い目なのだろうけど、彼ほどになると、観客の先入観というのも強烈だろうし、ネット上の評価はかなり割れてますね。
こんなに「ちゃんと」ナサケないのに(笑)
それでも、様々に珍しいナサケな場面を楽しめて、個人的には収穫でした。
珍しい「女性にニヤケる」彼、「途方にくれまくる」彼、「しょーもないギャグを言って自分だけウケる酔っ払いな」彼、「ベビーとの相似をごまかせないかとの理由で口ヒゲを生やしてみた」彼、コメディならでは、目をひんむいたりオーバーアクション連発の彼。
そして、「珍しい」役どころを演じるのが、結構楽しそうです♪
同じ「とことんフツーな役」の「ノックは無用」が、なんだかマリリンをサポートするのに一生懸命、な風情がほの見えたのに比べれば…
TCMにトレイラーとフォトギャラリーがあるのがまた嬉しい。
http://www.tcm.com/mediaroom/index?cid=13468 (trailer)
http://www.tcmdb.com/common/archivePopup.jsp?cid=197317&contentId=197317
ジーン・ケリーは監督のみのノン・ミュージカル。
珍しい、リチャード・ウィドマーク主演の純コメディとあって、ずっと見たかったのに国内ではDVDもビデオもナシ。海外ですら、ビデオのみ…ですが意外と安かったので思い切って買っちゃった。英語字幕すらないのに!なので、久々に心身の余裕のできた今日ようやく視聴。
(2/27日記参照→http://diarynote.jp/d/13374/20080227.html)
セリフのくすぐりをどれだけ聞き落していることやら…。巻戻しやすいようわざわざDVDに焼いて視聴したけど。そして割とセリフの聞き取りやすい人ばかりではあったけど。
ですので今回の感想は、話半分に聞いて下さい。m(__)m
とはいえこの映画に関しては、古雑誌や古パンフを結構集めていたので、大筋は正しく理解してる筈。ネタバレOKでいいですよね。
共演はロマコメの女王ドリス・デイ、子どもが欲しいのにできないアツアツ夫婦(デイ&ウィドマーク)のドタバタ喜劇。隣人役にギグ・ヤングというのがまた本格的(笑)
「子作りをあきらめるわけでもないけど、とりあえず養子申し込んでみようか」となったものの、やってきた養子斡旋会社の調査員(ジア・スカラ)が思いがけず美女で、色々あって夫は「酔ったはずみで手を出したかも」と思いこみます。記憶はないが、目が覚めたら一人でモーテルにおり、「素敵な夜をありがとう」とかトンデモない置手紙があったんですね。いまどきこんなネタが映画になるか!なくらいホノボノですね(笑)
でも、50年代ですから!!
誤解は誤解を増幅し、届けられた養子もヤケに自分にソックリな金髪碧眼ベビーとあって、夫(と隣人)は、「やはり、調査員との間の子では…」と、気もそぞろ。男二人があまりに浮足立つので妻も実子疑惑に思い至り、「家を出るわ!」と荷造りを始める…。でも大丈夫。カタストロフ寸前で調査員が挨拶にやってきて、全ての誤解は無事氷解。
うーむ、なんてタワイのない、見え見えなハッピーエンド…(笑)
だいたい調査員嬢、狙って罠をかけたとしか思えない無茶な言動でしたぞ(^^;)
台詞だけきくと最後まで、天然だったように聞こえるが。
そして教訓「雉も鳴かずば撃たれまい」。
しっかし、こんなにナサケないウィドマーク、はじめて見たよ!愛妻家か恐妻家か判断に困るほどです。可愛くて歌もうまい(二曲ほど歌います)若奥さんと、『いかにもフツーの売れない画家』な夫では、自然と力関係も決まってくるのか。
そしてその気になればホントに虚弱そうに見えるんだね彼。
郊外の新居に越してきて、さあ子作りに頑張るの、との妻の張り切りぶりがあまり凄くて、ギャングを演じれば「死神のような」と言われた、そげた頬のウィドマークなのだが今回は逆に最初っから死相が出て見えるのが何ともはや(笑)
一般的にいって意外極まりないキャスティングだと思うのだが、そこまで計算していたのかジーン・ケリー!
ドリス・デイはまさにホームグラウンド、得意ジャンルの中で溌剌たる魅力を発揮。画像は家出を敢行しかけて足をくじいた妻に、夫が包帯巻きながら「愛してる、信じてくれ!」と訴えるシーン。彼女の方は耳をふさいでジングルベル♪歌って聞こえないふり…。こういうのって似合うなぁドリス・デイ。彼女のロマコメは大昔に数本見たきりだったと思うのだが、また機会があれば試そうっと。
そして、コメディは好きなのに、これまで意外とすれ違いだったギグ・ヤング。…えー、こんな大柄な人だったの、と驚いた(ウィドマークよりデカい)。顔は知ってたけど写真だと長身のロック・ハドソンの隣とかだから勘違いしてたのか。妻や女性に対して小心な隣人に、お気楽なアドバイスを与えては迷走させる役どころは多分お手の物(笑)
あと珍しく、ウィドマーク様は劇中一切タバコを吸いません。ヘタにタバコを持たせるとカッコよくなりすぎるからではと邪推する私。
終始女性に振り回され続けるこの役は、カッコよすぎてもいかんのでしょう。しかし、ただ三枚目が演じればいいというものでもなさそう、ドリス・デイとのバランスからして。この夫婦、かなりベタベタのアツアツだから。普通、元気いっぱいの彼女と、相手役(ロック・ハドソンとかケイリー・グラントとか)はユーモアと二枚目っぷりで切り結ぶわけですが、その点今回ウィドマーク様は自分の武器を最初からある程度封じられてる感じで気の毒です(元々、「色男」ではないし。ユーモアはイケると思いますが)。普段のタフガイ役とのミスマッチもまた狙い目なのだろうけど、彼ほどになると、観客の先入観というのも強烈だろうし、ネット上の評価はかなり割れてますね。
こんなに「ちゃんと」ナサケないのに(笑)
それでも、様々に珍しいナサケな場面を楽しめて、個人的には収穫でした。
珍しい「女性にニヤケる」彼、「途方にくれまくる」彼、「しょーもないギャグを言って自分だけウケる酔っ払いな」彼、「ベビーとの相似をごまかせないかとの理由で口ヒゲを生やしてみた」彼、コメディならでは、目をひんむいたりオーバーアクション連発の彼。
そして、「珍しい」役どころを演じるのが、結構楽しそうです♪
同じ「とことんフツーな役」の「ノックは無用」が、なんだかマリリンをサポートするのに一生懸命、な風情がほの見えたのに比べれば…
TCMにトレイラーとフォトギャラリーがあるのがまた嬉しい。
http://www.tcm.com/mediaroom/index?cid=13468 (trailer)
http://www.tcmdb.com/common/archivePopup.jsp?cid=197317&contentId=197317
1987年 フォルカー・シュレンドルフ監督作品ただしTVM。
原題は“A Gathering of Old Men ”。
えーと、相当老けてる筈だけれどウィドマークが出てるから、というだけで借りてみるというような下心だけの観方では、人種問題を扱った良心的作品らしいけど、仕方がないですな(^^;)
フォルカー・シュレンドルフというとそれなりに有名なドイツの監督なのは知ってるんですが、なんだか何が主張したいのか私の中では焦点がぼけたままでした。いや、最近の文芸映画とかハナから見ないしテンポとか合わないのかも。
え?1987年なんか全然最近じゃない?
南部のサトウキビ畑の中、黒人を人間扱いしない白人が、黒人マツー(ルー・ゴセット・Jr.)の家の前で射殺された。すわ、これはほっとくとリンチを呼ぶぞ…と、農園の若い女主人(ホリー・ハンター)や、近所の年寄りの黒人たちが20人かそこらも集まり、「自分が犯人だ」と保安官(リチャード・ウィドマーク)に向かって口々に主張する。ついでに、これまで人種差別で味わった苦しみの思い出話をしたりする。うーん…
結局、リンチは実現せず。ルイジアナの夜明けはもう来ていました、なのか。老人たちも覚悟をきめて集まることで何か達成感を得たようだし、そこらがめでたいのだろうか。
最後には、白人の中でも当事者ではないチンピラまがいな奴らだけが一番熱心に、リンチを実行しようと何人かでやってくるのだが、保安官はあわてずさわがず「真犯人は今オレが逮捕して連れてくから。あとは好きにしろ」と言い捨ててぴゅっと車で帰ってしまうので、チンピラたちも振り上げた拳をおろす場もなくヘナヘナと逃げてゆく。
…この保安官も、ホントいい根性してるな…
しかし、乱暴でありながら決して焦らない、肝の据わった「待ち」の一手が最善の結末につながったのかも。
ということでウィドマーク様、実はおいしい役だったのか?
しかし最近の映画は(まだ言うか)、やっぱりわからん…
原題は“A Gathering of Old Men ”。
えーと、相当老けてる筈だけれどウィドマークが出てるから、というだけで借りてみるというような下心だけの観方では、人種問題を扱った良心的作品らしいけど、仕方がないですな(^^;)
フォルカー・シュレンドルフというとそれなりに有名なドイツの監督なのは知ってるんですが、なんだか何が主張したいのか私の中では焦点がぼけたままでした。いや、最近の文芸映画とかハナから見ないしテンポとか合わないのかも。
え?1987年なんか全然最近じゃない?
南部のサトウキビ畑の中、黒人を人間扱いしない白人が、黒人マツー(ルー・ゴセット・Jr.)の家の前で射殺された。すわ、これはほっとくとリンチを呼ぶぞ…と、農園の若い女主人(ホリー・ハンター)や、近所の年寄りの黒人たちが20人かそこらも集まり、「自分が犯人だ」と保安官(リチャード・ウィドマーク)に向かって口々に主張する。ついでに、これまで人種差別で味わった苦しみの思い出話をしたりする。うーん…
結局、リンチは実現せず。ルイジアナの夜明けはもう来ていました、なのか。老人たちも覚悟をきめて集まることで何か達成感を得たようだし、そこらがめでたいのだろうか。
最後には、白人の中でも当事者ではないチンピラまがいな奴らだけが一番熱心に、リンチを実行しようと何人かでやってくるのだが、保安官はあわてずさわがず「真犯人は今オレが逮捕して連れてくから。あとは好きにしろ」と言い捨ててぴゅっと車で帰ってしまうので、チンピラたちも振り上げた拳をおろす場もなくヘナヘナと逃げてゆく。
…この保安官も、ホントいい根性してるな…
しかし、乱暴でありながら決して焦らない、肝の据わった「待ち」の一手が最善の結末につながったのかも。
ということでウィドマーク様、実はおいしい役だったのか?
しかし最近の映画は(まだ言うか)、やっぱりわからん…
ブロードウェイのバークレー夫妻
2008年5月12日 映画 コメント (4)
1949年、チャールズ・ウォルターズ監督作品。
スカパーで録っておいていた「ブロードウェイのバークレー夫妻」を見る。昨日はフレッド・アステアの誕生日だったし。
え、何で昨日見なかったのかって?シゴトだったんですよ、ちぇ。
ジョシュ(アステア)とダイナ(ジンジャー・ロジャース)のバークレー夫妻は夫婦コンビの売れっ子ダンサー。ラブラブなのだが、仕事に対するジョシュの完璧主義のため、夫婦喧嘩もちょくちょく発生。そんな時ダイナに「貴女は悲劇のヒロインを演じる素質がある!」と、純演劇畑の脚本家が新作「若き日のサラ(・ベルナール)」の主演をやって欲しいと声をかける。彼女は夫を気にして断ろうと思うが自分の力を試したい気持ちにも揺れ、またまた二人は大ゲンカ、ダイナは別居しサラ役に取り組むことになる。
妻を手放したくなくて「君には無理だ!」とか散々に言ったジョシュだが、やはり彼女が失敗するのは見たくない。舞台稽古をそっと覗いて、ダイナが新演出に戸惑い、自信喪失して不調に陥っているのを知ると、何度もこっそり、脚本家の声色で電話をかけ、激励と演技のアドバイスを送るのだった。
おかげで舞台初日は大成功。脚本家はダイナにプロポーズするが…
十年ぶりに(そして今度こそ最後の)コンビを組んだアステア=ロジャース。
何故輸入されなかったのか不思議である。正直いうと同時期の「土曜は貴方に」よりこっちの方が面白い気が。
脚本家が同じ店に夕飯を食べに来たのを見て公衆電話に駆け込むアステアは、20世紀のシラノ・ド・ベルジュラック(笑)。アドバイスついでに「稽古場では馴れ馴れしくないよう」余分な注意を付け加えるあたりはシラノより自己本位でさらに笑える。昔ながらのミュージカルには、こういう馬鹿馬鹿しい設定がいいんだよ。
夫の完璧主義者っぷりや、ストレート・プレイにも意欲を燃やす妻なんてところ、微妙にアステアと、ノンミュージカル映画でも大いに活躍したロジャースにかぶるところも面白いといえるかも(でも最初は、ダイナ役はジュディ・ガーランドがやる筈だったんだよね。病気降板で交代したわけだが)。
ステージでのナンバーが多いが、それだけでもなく適度にバリエーションあり。
特殊撮影を取り入れ、靴と踊り靴と戦う“Shoes with Wings On”なんか凄いとしかいいようがないし、珍しく屋外での“A Weekend In the Country”も新鮮。どういう状況で歌われていたのか知るとエレガントな“They Can’t Take That Away from Me”がますます感動的だし、ジンジャーは“My One and Only Highland Fling”のキルトスタイルがえらく可愛らしかった(アステアもキルトで、しかも思いきり巻き舌で歌うコミカルな風変わりなナンバー)。
ついでに友人役オスカー・レヴァントのピアノも二曲聴ける。
ほんと、なんで輸入されなかったんだろ…
スカパーで録っておいていた「ブロードウェイのバークレー夫妻」を見る。昨日はフレッド・アステアの誕生日だったし。
え、何で昨日見なかったのかって?シゴトだったんですよ、ちぇ。
ジョシュ(アステア)とダイナ(ジンジャー・ロジャース)のバークレー夫妻は夫婦コンビの売れっ子ダンサー。ラブラブなのだが、仕事に対するジョシュの完璧主義のため、夫婦喧嘩もちょくちょく発生。そんな時ダイナに「貴女は悲劇のヒロインを演じる素質がある!」と、純演劇畑の脚本家が新作「若き日のサラ(・ベルナール)」の主演をやって欲しいと声をかける。彼女は夫を気にして断ろうと思うが自分の力を試したい気持ちにも揺れ、またまた二人は大ゲンカ、ダイナは別居しサラ役に取り組むことになる。
妻を手放したくなくて「君には無理だ!」とか散々に言ったジョシュだが、やはり彼女が失敗するのは見たくない。舞台稽古をそっと覗いて、ダイナが新演出に戸惑い、自信喪失して不調に陥っているのを知ると、何度もこっそり、脚本家の声色で電話をかけ、激励と演技のアドバイスを送るのだった。
おかげで舞台初日は大成功。脚本家はダイナにプロポーズするが…
十年ぶりに(そして今度こそ最後の)コンビを組んだアステア=ロジャース。
何故輸入されなかったのか不思議である。正直いうと同時期の「土曜は貴方に」よりこっちの方が面白い気が。
脚本家が同じ店に夕飯を食べに来たのを見て公衆電話に駆け込むアステアは、20世紀のシラノ・ド・ベルジュラック(笑)。アドバイスついでに「稽古場では馴れ馴れしくないよう」余分な注意を付け加えるあたりはシラノより自己本位でさらに笑える。昔ながらのミュージカルには、こういう馬鹿馬鹿しい設定がいいんだよ。
夫の完璧主義者っぷりや、ストレート・プレイにも意欲を燃やす妻なんてところ、微妙にアステアと、ノンミュージカル映画でも大いに活躍したロジャースにかぶるところも面白いといえるかも(でも最初は、ダイナ役はジュディ・ガーランドがやる筈だったんだよね。病気降板で交代したわけだが)。
ステージでのナンバーが多いが、それだけでもなく適度にバリエーションあり。
特殊撮影を取り入れ、靴と踊り靴と戦う“Shoes with Wings On”なんか凄いとしかいいようがないし、珍しく屋外での“A Weekend In the Country”も新鮮。どういう状況で歌われていたのか知るとエレガントな“They Can’t Take That Away from Me”がますます感動的だし、ジンジャーは“My One and Only Highland Fling”のキルトスタイルがえらく可愛らしかった(アステアもキルトで、しかも思いきり巻き舌で歌うコミカルな風変わりなナンバー)。
ついでに友人役オスカー・レヴァントのピアノも二曲聴ける。
ほんと、なんで輸入されなかったんだろ…
1954年、デヴィッド・バトラー監督。無料動画サイトGyaoにて。
Gyao、タマに拾い物があるのです。特に“ワーナーTV”のコーナー(http://www.gyao.jp/warnertv/)はイイ感じです。
今月はなんと「獅子王リチャード」が!!!
…えー、いや、そんな感嘆符三つもつけるほどの映画じゃないだろ、と言われるとその通りなのですが。しかし、時代背景と言いキャストといい、個人的趣味からするとなかなかのモノです。昔TV録画したのを、何回も見たっけ。
だってリチャード獅子心王がジョージ・サンダースですよー(そこそこ、好き♪)。
そして主人公のスコットランドの青年騎士が若き日のローレンス・ハーヴェイ。後に「アラモ」でイヤミカッコいいトラヴィス大佐を演じるあの彼が大変若々しく可愛いです。ルックスは元々貴公子タイプだし。
お相手の姫ヴァージニア・メイヨはまあどうでもいいとして(オイ)。
そして何より。
実はトップ・ビリングは、彼らの誰でもなく、レックス・ハリスン!それが何と黒塗りでサラディンを演じるんだから、たまりません(笑)
いやー意外と何でもかんでも演ってるんだなあこのヒト…シャム王やってシーザーやって法王やって…言語学の教授だけじゃないんだよね。
さて、獅子王リチャードといえば、当然十字軍。
サー・ケネス(L・ハーヴェイ)は勇猛なリチャード王(G・サンダース)に心服しエルサレムへ向かうが、十字軍のお仲間オーストリアの大公やフランス王が反抗的なのはもちろん、王の側近ジャイルズ卿(ロバート・ダグラス)でさえ王の暗殺を企む始末。リチャードは暗殺者の毒矢に倒れるが、王を治療するため派遣された、と、自称サラディンの医師長・イルデリムがケネスの前に現れる。
異教徒(つまりキリスト教徒ね)の言葉にも詳しい医師は、治療のかたわら、王のお気に入りの従姉イーディス姫(メイヨ)に惹かれて何かとキザな求愛の言葉をかけるので、ケネスはカリカリ。実はイーディスとケネスは相思相愛、ただし姫にはそれなりの家柄の婿でないとと考える王の目をはばかる仲だったのでした。
王の回復を見て、ジャイルズ卿は邪魔なケネスと王の間を裂こうとする。嫉妬に気を取られたケネスは王の信頼を失う大失敗をしでかし、王と決闘を行うことに…
そしてイルデリムの正体は…実は!サラセン王サラディン本人だったのでした。うーむ、少女マンガのようにド派手な展開…。しかし、原作はかのサー・ウォルター・スコットの“The Talisman”なんですよ一応(笑)だから、主役がイングランドでなくスコットランドの騎士なんですね。そういえばイギリスに行ったとき時刻表調べてたら“The Talisman”という名の特急もありましたっけ(勿論スコットランド行き)。
歴史ものならではの、砂漠を進軍する騎士たち、コスチュームの楽しさ。馬上槍試合もバッチリ。砂漠で出会ったケネスとサラディンの、最初の戦いの場面もなかなか!
ああ、時代活劇っていいなあ!
ただ名作ってほどにならなかったのは、やはり主人公とリチャード王がちょっとおバカだからではないかしら。嫉妬から大失態をやらかすケネスもだけど、それでカッときて決闘という王もどうだかねっ?て…。最初は正体かくして、べらべら調子よく喋って、竪琴で恋歌まで歌って、ここぞって所で主人公の命を救ったりエトセトラ、黒塗りハリスンが最初から最後までカッコよくキメまくっているのに比べると差が付きますねえ…。姫、世界平和のためだけでなくサラディンに嫁ぐほうがオススメかもですよ?って感じ(笑)
まあ実際、リチャードは戦争バカだったけど、英雄サラディンて悪評聞きませんしね。
とか言いつつ、私はハリスン、かなり好きですので、この黒塗りサラディンは珍重いたします。まだ割と若い頃だからスマートで、映画が進むに従い立派になっていく衣装も目に楽しく、ハイ、おいしく頂きました〜(笑)
リチャード王も、一回爆発して決闘したあとは、気が済んだのか主人公よりむしろ先に王者の余裕を取り戻しておりました。しっかりしろよ主人公!
とはいえ、こういう昔のお気楽歴史活劇の好きな人は、一度くらい見ても損はないでしょうね。中世モノの好きな人は是非!
タダですし(笑)…ただし、9月1日まで。
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0042271/
Gyao、タマに拾い物があるのです。特に“ワーナーTV”のコーナー(http://www.gyao.jp/warnertv/)はイイ感じです。
今月はなんと「獅子王リチャード」が!!!
…えー、いや、そんな感嘆符三つもつけるほどの映画じゃないだろ、と言われるとその通りなのですが。しかし、時代背景と言いキャストといい、個人的趣味からするとなかなかのモノです。昔TV録画したのを、何回も見たっけ。
だってリチャード獅子心王がジョージ・サンダースですよー(そこそこ、好き♪)。
そして主人公のスコットランドの青年騎士が若き日のローレンス・ハーヴェイ。後に「アラモ」でイヤミカッコいいトラヴィス大佐を演じるあの彼が大変若々しく可愛いです。ルックスは元々貴公子タイプだし。
お相手の姫ヴァージニア・メイヨはまあどうでもいいとして(オイ)。
そして何より。
実はトップ・ビリングは、彼らの誰でもなく、レックス・ハリスン!それが何と黒塗りでサラディンを演じるんだから、たまりません(笑)
いやー意外と何でもかんでも演ってるんだなあこのヒト…シャム王やってシーザーやって法王やって…言語学の教授だけじゃないんだよね。
さて、獅子王リチャードといえば、当然十字軍。
サー・ケネス(L・ハーヴェイ)は勇猛なリチャード王(G・サンダース)に心服しエルサレムへ向かうが、十字軍のお仲間オーストリアの大公やフランス王が反抗的なのはもちろん、王の側近ジャイルズ卿(ロバート・ダグラス)でさえ王の暗殺を企む始末。リチャードは暗殺者の毒矢に倒れるが、王を治療するため派遣された、と、自称サラディンの医師長・イルデリムがケネスの前に現れる。
異教徒(つまりキリスト教徒ね)の言葉にも詳しい医師は、治療のかたわら、王のお気に入りの従姉イーディス姫(メイヨ)に惹かれて何かとキザな求愛の言葉をかけるので、ケネスはカリカリ。実はイーディスとケネスは相思相愛、ただし姫にはそれなりの家柄の婿でないとと考える王の目をはばかる仲だったのでした。
王の回復を見て、ジャイルズ卿は邪魔なケネスと王の間を裂こうとする。嫉妬に気を取られたケネスは王の信頼を失う大失敗をしでかし、王と決闘を行うことに…
そしてイルデリムの正体は…実は!サラセン王サラディン本人だったのでした。うーむ、少女マンガのようにド派手な展開…。しかし、原作はかのサー・ウォルター・スコットの“The Talisman”なんですよ一応(笑)だから、主役がイングランドでなくスコットランドの騎士なんですね。そういえばイギリスに行ったとき時刻表調べてたら“The Talisman”という名の特急もありましたっけ(勿論スコットランド行き)。
歴史ものならではの、砂漠を進軍する騎士たち、コスチュームの楽しさ。馬上槍試合もバッチリ。砂漠で出会ったケネスとサラディンの、最初の戦いの場面もなかなか!
ああ、時代活劇っていいなあ!
ただ名作ってほどにならなかったのは、やはり主人公とリチャード王がちょっとおバカだからではないかしら。嫉妬から大失態をやらかすケネスもだけど、それでカッときて決闘という王もどうだかねっ?て…。最初は正体かくして、べらべら調子よく喋って、竪琴で恋歌まで歌って、ここぞって所で主人公の命を救ったりエトセトラ、黒塗りハリスンが最初から最後までカッコよくキメまくっているのに比べると差が付きますねえ…。姫、世界平和のためだけでなくサラディンに嫁ぐほうがオススメかもですよ?って感じ(笑)
まあ実際、リチャードは戦争バカだったけど、英雄サラディンて悪評聞きませんしね。
とか言いつつ、私はハリスン、かなり好きですので、この黒塗りサラディンは珍重いたします。まだ割と若い頃だからスマートで、映画が進むに従い立派になっていく衣装も目に楽しく、ハイ、おいしく頂きました〜(笑)
リチャード王も、一回爆発して決闘したあとは、気が済んだのか主人公よりむしろ先に王者の余裕を取り戻しておりました。しっかりしろよ主人公!
とはいえ、こういう昔のお気楽歴史活劇の好きな人は、一度くらい見ても損はないでしょうね。中世モノの好きな人は是非!
タダですし(笑)…ただし、9月1日まで。
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0042271/
ビリー・ワイルダー監督、1959年モノクロ作品。
最近映画系のコメントを付けたり頂いたりの機会が増えてきましたが、その分ふとDVD購入の衝動に負ける事も増えたような…。
おそらく「バイキング」でトニー・カーティスは別段好みではないと書いたり「ショウほど素敵な商売はない」でモンローへの物足りなさを漏らしたりしたのが、「お熱いのが…」を買っちゃったキッカケかも。
TVで何度も見た作品ですが、モンロー、カーティス両人ともに、この作品こそが一番私の好きな映画なので。
なにしろ、ビリー・ワイルダー監督ですから!!!
舞台は1925年、禁酒法時代のシカゴ。ギャングの抗争場面に出くわしたバンドマンのジョー(トニー・カーティス)とジェリー(ジャック・レモン)は、ギャングたちから逃げるため、女性ばかりのバンドに女装で紛れ込みフロリダへ。偽名はそれぞれジョーゼフィンとダフネ。…何故ダフネ?(笑)。
フロリダでは、保養に来ていた富豪の爺さん・オズグッド三世(ジョー・E・ブラウン)が“ダフネ”を気に入り猛アプローチ。一方、プレイボーイのジョーはヴォーカルのシュガー(モンロー)を口説くべく、富豪の御曹司に化けて彼女をヨットの晩餐に誘う。苦心の早変わりには笑わせられます。ヨットも実はオズグッドの物なのに(笑)
玉の輿に憧れるシュガーも喜んで応じるが、大騒ぎの一夜が明けると彼らを付け狙うギャングもフロリダへ来た事が判明し、ドタバタの逃走劇が再開される。こうなったら彼女ともお別れ…さすがに図々しいジョーも、今回ばかりは後悔と罪悪感を感じて「感謝の印」として彼女にダイヤを贈るなどする(これまたオズグッドが“ダフネ”に贈った品!)。ついに空港も駅もギャングたちに封鎖された。主人公たちの運命やいかに?
有名な映画なので細部については省略。とにかくワイルダーの「役者の使い方」の上手さに舌をまくばかりだ。
モンローを一番魅力的に見せたのは断然ワイルダーだろう。お色気の中に不思議にイノセントな可愛らしさがあるのがモンロー最大の武器だと思うが、そうした二律背反な魅力は、リアリズム映画より上質なコメディでこそ十二分に発揮されると思う。血の通った人間である限り、イノセンスなんて、限りなくファンタジーに近いものなのだから。
「玉の輿狙い」と事前に女装のジョーに明言しているにもかかわらず、「婚約者が事故死して以来、女性に何も感じなくなって…」と告白するニセ御曹司に対して「私が治してあげるわ!」と勇み立つモンローを見て、観客は「玉の輿のため頑張ってるなあ」と思うだろうか?いやいや「玉の輿だけでなく本気で同情して勇み立ってるんだ」と何故だか感じてしまう筈である。思えば非常にバカバカしく下世話な場面の筈なのに、スクリーンにあふれるのはホンワカ浮世離れしたモンローの、優しい魅力。
この映画と「七年目の浮気」(その色っぽさに男はクラクラするのだけれど、彼女自身はあくまでもイノセント!というそれだけで成り立つ物語だ)、演技力どうこう以前のメガトン級の「個性」の輝きを、最も効果的に見せた彼女の代表作が両方ともワイルダー作品なのはむべなるかなである。モンロー本人は演技力をつけたい、シリアス作品で認められたいと悩んでいたそうだけど、こればっかりは仕方がないかもね。
そして、歌う場面も三回ある。「ショウほど…」では不満の残った彼女のミュージカル・シーンだが、この三曲はあつらえたようなベストチョイスだ。彼女の歌にはパンチがないが、intimateな雰囲気の中ではいい味が出る。だから大きなステージよりクラブの歌手とかのほうが合うわけだ。まず彼女のイメージソンクにまでなってしまった「I wanna be loved by you」。さいぜん「イノセント」の語を使ったが、彼女の一種子どもっぽい愛らしさが、舌ったらずな唱法の似合うこの歌にピッタリなのは当然だろう。そして三曲中では一番パワフルな勢いのある「Runnin’ wild」。これは本番ではなく、揺れる列車の中での練習だ。狭い車中、密集したメンバーの中で彼女が腰を振るさまは、曲調はワイルドでありながらintimateな雰囲気十分。なるほど!のひとひねりだ。そして最後の「I’m through with love」。ほとんど動きのない静かな失恋ソングはニセ御曹司から別れを(電話で)告げられたばかりのステージ。置いてゆかれた子どものような無垢な哀しみをにじませて絶品だ。
そしてカーティスのほうも、歴史活劇のコスチュームの二枚目で売り出し、やがてシリアスな問題作にも出演するようになり…だったところで、「お熱いのがお好き」で「底抜けに図々しく調子のいいプレイボーイ」という『彼ならでは』の新たな役どころを確立した感があります。この後、カーティスのプレイボーイ・コメディは何作も作られるわけですね。二股どころか三股で笑わせる「ボーイング・ボーイング」とか。
「お熱いのは…」ではジャック・レモンの達者さのほうが取り沙汰されることが多い気もするけれど(勿論私も彼の達者さを否定などしません)、決してカーティスが「食われ」たりはしておらず、モンローと三者引き立てあって見事なバランス、と思います。
そして20年代は狂騒のジャズ・エイジ。BGMも当時の曲をふんだんに使い、まるでミュージカルのような賑やかではしゃいだ気分が全編横溢している。モノクロにしたのは「なるべく女装をグロテスクに感じさせないため」とワイルダー監督が伝記でも言っていたと思うが、音楽と衣装やテンポの良い映像とあいまって、いい意味でサイレント喜劇の懐かしさをダブらせ、時代性を抜き去った分かえって永遠の名作となった感じ…。
ちなみにDVDには、特典映像として、T・カーティス・インタビューが収録されてます。当時のことを楽しげに語る彼が印象的。女装の苦労や工夫やニセ御曹司を「ケーリー・グラント風」に仕上げたこととか…メガネにブレザー、前からもしやと睨んでたけど、やっぱり意識的だったのね!女性バンドのメンバー同窓会(笑)もあわせて、裏話が色々聞けて価値ありでした。いや、よかったよかった。
最近映画系のコメントを付けたり頂いたりの機会が増えてきましたが、その分ふとDVD購入の衝動に負ける事も増えたような…。
おそらく「バイキング」でトニー・カーティスは別段好みではないと書いたり「ショウほど素敵な商売はない」でモンローへの物足りなさを漏らしたりしたのが、「お熱いのが…」を買っちゃったキッカケかも。
TVで何度も見た作品ですが、モンロー、カーティス両人ともに、この作品こそが一番私の好きな映画なので。
なにしろ、ビリー・ワイルダー監督ですから!!!
舞台は1925年、禁酒法時代のシカゴ。ギャングの抗争場面に出くわしたバンドマンのジョー(トニー・カーティス)とジェリー(ジャック・レモン)は、ギャングたちから逃げるため、女性ばかりのバンドに女装で紛れ込みフロリダへ。偽名はそれぞれジョーゼフィンとダフネ。…何故ダフネ?(笑)。
フロリダでは、保養に来ていた富豪の爺さん・オズグッド三世(ジョー・E・ブラウン)が“ダフネ”を気に入り猛アプローチ。一方、プレイボーイのジョーはヴォーカルのシュガー(モンロー)を口説くべく、富豪の御曹司に化けて彼女をヨットの晩餐に誘う。苦心の早変わりには笑わせられます。ヨットも実はオズグッドの物なのに(笑)
玉の輿に憧れるシュガーも喜んで応じるが、大騒ぎの一夜が明けると彼らを付け狙うギャングもフロリダへ来た事が判明し、ドタバタの逃走劇が再開される。こうなったら彼女ともお別れ…さすがに図々しいジョーも、今回ばかりは後悔と罪悪感を感じて「感謝の印」として彼女にダイヤを贈るなどする(これまたオズグッドが“ダフネ”に贈った品!)。ついに空港も駅もギャングたちに封鎖された。主人公たちの運命やいかに?
有名な映画なので細部については省略。とにかくワイルダーの「役者の使い方」の上手さに舌をまくばかりだ。
モンローを一番魅力的に見せたのは断然ワイルダーだろう。お色気の中に不思議にイノセントな可愛らしさがあるのがモンロー最大の武器だと思うが、そうした二律背反な魅力は、リアリズム映画より上質なコメディでこそ十二分に発揮されると思う。血の通った人間である限り、イノセンスなんて、限りなくファンタジーに近いものなのだから。
「玉の輿狙い」と事前に女装のジョーに明言しているにもかかわらず、「婚約者が事故死して以来、女性に何も感じなくなって…」と告白するニセ御曹司に対して「私が治してあげるわ!」と勇み立つモンローを見て、観客は「玉の輿のため頑張ってるなあ」と思うだろうか?いやいや「玉の輿だけでなく本気で同情して勇み立ってるんだ」と何故だか感じてしまう筈である。思えば非常にバカバカしく下世話な場面の筈なのに、スクリーンにあふれるのはホンワカ浮世離れしたモンローの、優しい魅力。
この映画と「七年目の浮気」(その色っぽさに男はクラクラするのだけれど、彼女自身はあくまでもイノセント!というそれだけで成り立つ物語だ)、演技力どうこう以前のメガトン級の「個性」の輝きを、最も効果的に見せた彼女の代表作が両方ともワイルダー作品なのはむべなるかなである。モンロー本人は演技力をつけたい、シリアス作品で認められたいと悩んでいたそうだけど、こればっかりは仕方がないかもね。
そして、歌う場面も三回ある。「ショウほど…」では不満の残った彼女のミュージカル・シーンだが、この三曲はあつらえたようなベストチョイスだ。彼女の歌にはパンチがないが、intimateな雰囲気の中ではいい味が出る。だから大きなステージよりクラブの歌手とかのほうが合うわけだ。まず彼女のイメージソンクにまでなってしまった「I wanna be loved by you」。さいぜん「イノセント」の語を使ったが、彼女の一種子どもっぽい愛らしさが、舌ったらずな唱法の似合うこの歌にピッタリなのは当然だろう。そして三曲中では一番パワフルな勢いのある「Runnin’ wild」。これは本番ではなく、揺れる列車の中での練習だ。狭い車中、密集したメンバーの中で彼女が腰を振るさまは、曲調はワイルドでありながらintimateな雰囲気十分。なるほど!のひとひねりだ。そして最後の「I’m through with love」。ほとんど動きのない静かな失恋ソングはニセ御曹司から別れを(電話で)告げられたばかりのステージ。置いてゆかれた子どものような無垢な哀しみをにじませて絶品だ。
そしてカーティスのほうも、歴史活劇のコスチュームの二枚目で売り出し、やがてシリアスな問題作にも出演するようになり…だったところで、「お熱いのがお好き」で「底抜けに図々しく調子のいいプレイボーイ」という『彼ならでは』の新たな役どころを確立した感があります。この後、カーティスのプレイボーイ・コメディは何作も作られるわけですね。二股どころか三股で笑わせる「ボーイング・ボーイング」とか。
「お熱いのは…」ではジャック・レモンの達者さのほうが取り沙汰されることが多い気もするけれど(勿論私も彼の達者さを否定などしません)、決してカーティスが「食われ」たりはしておらず、モンローと三者引き立てあって見事なバランス、と思います。
そして20年代は狂騒のジャズ・エイジ。BGMも当時の曲をふんだんに使い、まるでミュージカルのような賑やかではしゃいだ気分が全編横溢している。モノクロにしたのは「なるべく女装をグロテスクに感じさせないため」とワイルダー監督が伝記でも言っていたと思うが、音楽と衣装やテンポの良い映像とあいまって、いい意味でサイレント喜劇の懐かしさをダブらせ、時代性を抜き去った分かえって永遠の名作となった感じ…。
ちなみにDVDには、特典映像として、T・カーティス・インタビューが収録されてます。当時のことを楽しげに語る彼が印象的。女装の苦労や工夫やニセ御曹司を「ケーリー・グラント風」に仕上げたこととか…メガネにブレザー、前からもしやと睨んでたけど、やっぱり意識的だったのね!女性バンドのメンバー同窓会(笑)もあわせて、裏話が色々聞けて価値ありでした。いや、よかったよかった。
1959年(フランス)、クロード・シャブロル監督作品。
「二重の鍵」、ジャン=ポール・ベルモンドがコレで注目されたとか聞いた記憶があったので、スカパーでやってたのを録って見た。ベルモンド結構好きなんです。内容には期待しないまま見たけど、…やっぱりフランス映画のノリ、ヌーヴェル・ヴァーグのノリって、あんまり私に合わないなー。
物語はというと、南仏の素敵なお屋敷(庭園とブドウ畑付)での人間ドラマ。夫は近所の若くて美人の芸術家に恋をして気もそぞろ、妻は「せめて離婚は避けたい」とか悶々として、若いのにいつもスーツ姿でクラシック音楽聴いてる息子と普通に可愛い娘がいる。ついでに露出狂気味?のセクシーメイドもいる(メイド服は着てない)。ベルモンドは、娘の婚約者で芸術家とも友人(行儀が悪いと母親には嫌われてる)。やがて芸術家が殺されて…
夫は愛人の美を称え、妻の老醜を罵倒する。年甲斐もなく木漏れ日の中やお花畑で愛を語る。フランス人てオッサンの恋が好きなのよねえ。いや私は、オッサンの恋に決して不寛容ではないのですが(大好きな「ラムの大通り」だってオッサンの恋だ)、そして、確かに堅苦しく俗物ぽく見える奥さんですが、美醜ばかり口にする夫にも不快感を覚えてしまうんですね。インテリアやエクステリア(芸術家の家なんか日本風!)、カメラワークは何かと凝っていて、好きな人にはウケそうですが、最後まで「やっぱりおフランス映画だよな」と醒めて見ていた私(苦笑)。
ベルモンドだけは目に楽しかったですが。無作法で傍若無人、でも妙に天真爛漫な魅力がある。しかもめちゃくちゃ若くて可愛らしい(笑)
ビリングは六番目なのだけど、実質探偵役なので主役級に目立っちゃってましたね。夫に肩入れしてるのだけが理解しがたかったけど(芸術家への肩入れってことかもしれないが)。
あーあ、ホントに「男」シリーズDVD化してくれないかなあ(TV放映でも可)。アクション・コメディの彼が一番好きなので。
「二重の鍵」、ジャン=ポール・ベルモンドがコレで注目されたとか聞いた記憶があったので、スカパーでやってたのを録って見た。ベルモンド結構好きなんです。内容には期待しないまま見たけど、…やっぱりフランス映画のノリ、ヌーヴェル・ヴァーグのノリって、あんまり私に合わないなー。
物語はというと、南仏の素敵なお屋敷(庭園とブドウ畑付)での人間ドラマ。夫は近所の若くて美人の芸術家に恋をして気もそぞろ、妻は「せめて離婚は避けたい」とか悶々として、若いのにいつもスーツ姿でクラシック音楽聴いてる息子と普通に可愛い娘がいる。ついでに露出狂気味?のセクシーメイドもいる(メイド服は着てない)。ベルモンドは、娘の婚約者で芸術家とも友人(行儀が悪いと母親には嫌われてる)。やがて芸術家が殺されて…
夫は愛人の美を称え、妻の老醜を罵倒する。年甲斐もなく木漏れ日の中やお花畑で愛を語る。フランス人てオッサンの恋が好きなのよねえ。いや私は、オッサンの恋に決して不寛容ではないのですが(大好きな「ラムの大通り」だってオッサンの恋だ)、そして、確かに堅苦しく俗物ぽく見える奥さんですが、美醜ばかり口にする夫にも不快感を覚えてしまうんですね。インテリアやエクステリア(芸術家の家なんか日本風!)、カメラワークは何かと凝っていて、好きな人にはウケそうですが、最後まで「やっぱりおフランス映画だよな」と醒めて見ていた私(苦笑)。
ベルモンドだけは目に楽しかったですが。無作法で傍若無人、でも妙に天真爛漫な魅力がある。しかもめちゃくちゃ若くて可愛らしい(笑)
ビリングは六番目なのだけど、実質探偵役なので主役級に目立っちゃってましたね。夫に肩入れしてるのだけが理解しがたかったけど(芸術家への肩入れってことかもしれないが)。
あーあ、ホントに「男」シリーズDVD化してくれないかなあ(TV放映でも可)。アクション・コメディの彼が一番好きなので。
1958年モノクロ、デルバート・マン監督作品。
うーん、ジャケットはリタ・ヘイワースとバート・ランカスターのほうなのね。デヴィッド・ニーヴンとデボラ・カーではなく。
まあ、英国きっての貴婦人&紳士スターが、今回は汚れ役のような役作りだから仕方がないか(笑)
英国はボーンマスの、海辺の小さなホテル。悠々自適と見えても孤独な人々の人生ドラマ、なんですが…。
ブレザーにアスコット・タイ、いかにも瀟洒な退役軍人スタイルだけれど、微妙に老けメークで生え際がヘンなニーヴン(映画内設定は55歳、実際はまだ四十代の筈…)。しかもちょっと胡散臭い。いや、いつものスマートな胡散臭さではなく、カッコをつけかけてるけどボロがほの見えるって感じの。そして、激地味な服装古臭い髪型でおどおどとしゃべる、ジェーン・エアですか貴女?なカー…母親(グラディス・クーパー)はヘンに派手ななりだというのに(^^;)
大胆だなあ…ラストシーンで勇気をふりしぼってニーヴンに話しかけるところだけ、さすがに綺麗に見えますが(本来綺麗ですもんね彼女)。
しかし、私のようなニーヴンのファンにとっては、結構きびしいものがあります(笑)
いくら人づきあいが苦手な人間恐怖症の気味があるからといって、その反動で経歴詐称(階級をサバよんでる)に口から出まかせの軍功話に、映画館で女性にさわって捕まったなんて…。えーと、ほんとにこれで許していいのでしょうか皆さん?
とはいえ、これでホテル生活のすべてが崩れる!とおたおたし、ひそかに好きなデボラ・カーを傷つけちゃったことを悔やみつつ、ええいもうこの際だから全部告白しちゃえ…の苦悩とかは、普段のイメージをかなぐり捨てんとの大熱演ですね。ホテルの他の客にもみんなバレちゃって、もう出ていくしかないとタクシーを呼びつつ、最後の朝食のため食堂に(普通の背広で、…というところが「虚飾を捨てやり直したい」気持ちを表現してるわけですね)おずおずと入ってきたところが、何人もの宿泊客から「おはよう」とか「いい天気ですね」とか声をかけてもらって、そしてこれまで「母に逆らったことがなかった」カーとのやりとりは、さすがにじわっときます。
これでニーヴンがオスカー貰ったのもわからんではない。
ランカスターと元妻ヘイワースとホテルの女主人ウェンディ・ヒラーのごたごたなんか、もうどうでもいいようなツマミである。というかヒラーの方がよっぽど良いんじゃない?
いやコレはヒラーがアカデミー助演女優賞取ってるくらいだから、ツジツマというか、モトは取れているのかもしれない?
こまやかに描かれたハートウォーミング・ドラマなわけですが、さて皆さん。
それでも。
許せますか痴漢?(笑)
てなわけで、DVD買うのでなく、スカパーで見れて良かったです(爆)
うーん、ジャケットはリタ・ヘイワースとバート・ランカスターのほうなのね。デヴィッド・ニーヴンとデボラ・カーではなく。
まあ、英国きっての貴婦人&紳士スターが、今回は汚れ役のような役作りだから仕方がないか(笑)
英国はボーンマスの、海辺の小さなホテル。悠々自適と見えても孤独な人々の人生ドラマ、なんですが…。
ブレザーにアスコット・タイ、いかにも瀟洒な退役軍人スタイルだけれど、微妙に老けメークで生え際がヘンなニーヴン(映画内設定は55歳、実際はまだ四十代の筈…)。しかもちょっと胡散臭い。いや、いつものスマートな胡散臭さではなく、カッコをつけかけてるけどボロがほの見えるって感じの。そして、激地味な服装古臭い髪型でおどおどとしゃべる、ジェーン・エアですか貴女?なカー…母親(グラディス・クーパー)はヘンに派手ななりだというのに(^^;)
大胆だなあ…ラストシーンで勇気をふりしぼってニーヴンに話しかけるところだけ、さすがに綺麗に見えますが(本来綺麗ですもんね彼女)。
しかし、私のようなニーヴンのファンにとっては、結構きびしいものがあります(笑)
いくら人づきあいが苦手な人間恐怖症の気味があるからといって、その反動で経歴詐称(階級をサバよんでる)に口から出まかせの軍功話に、映画館で女性にさわって捕まったなんて…。えーと、ほんとにこれで許していいのでしょうか皆さん?
とはいえ、これでホテル生活のすべてが崩れる!とおたおたし、ひそかに好きなデボラ・カーを傷つけちゃったことを悔やみつつ、ええいもうこの際だから全部告白しちゃえ…の苦悩とかは、普段のイメージをかなぐり捨てんとの大熱演ですね。ホテルの他の客にもみんなバレちゃって、もう出ていくしかないとタクシーを呼びつつ、最後の朝食のため食堂に(普通の背広で、…というところが「虚飾を捨てやり直したい」気持ちを表現してるわけですね)おずおずと入ってきたところが、何人もの宿泊客から「おはよう」とか「いい天気ですね」とか声をかけてもらって、そしてこれまで「母に逆らったことがなかった」カーとのやりとりは、さすがにじわっときます。
これでニーヴンがオスカー貰ったのもわからんではない。
ランカスターと元妻ヘイワースとホテルの女主人ウェンディ・ヒラーのごたごたなんか、もうどうでもいいようなツマミである。というかヒラーの方がよっぽど良いんじゃない?
いやコレはヒラーがアカデミー助演女優賞取ってるくらいだから、ツジツマというか、モトは取れているのかもしれない?
こまやかに描かれたハートウォーミング・ドラマなわけですが、さて皆さん。
それでも。
許せますか痴漢?(笑)
てなわけで、DVD買うのでなく、スカパーで見れて良かったです(爆)
ロベール・アンリコ監督、1971年作品。
この日記には珍しくフランス映画です(笑)
DVDは廃盤で画像出ない…。
多分、この監督、日本では「冒険者たち」(アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス)が一番有名なはず。独特のロマンティシズムが持ち味ですが、この「ラムの大通り」も、大人のおとぎ話とも言うべき、不思議な魅力を持つ作品。
リアリズム尊重派には特にオススメはしませんが。全編かなりコメディ色は強いです。
沿岸警備隊はキーストン・コップみたいだし(車で来る時は特に)、恋のライバルはとてつもなく英国的趣味人というか大変人で、帆船とか海賊とか大好きらしくヨットの上は常にコスプレ状態(うらやましい…)。ハリウッド仲間は「ドッキリ」が大好きみたいだし。殴り合いとなるとすぐ西部劇のようにどんどん規模が広がってゆくし。舞台がカリブ海の島々ゆえ、カラフルな音楽と景色が溶け合ってスグお祭り状態になるし。
時は1925年、禁酒法の時代。当然、キューバやハバナなどカリブ海沿岸の街から、酒壜満載の密輸船が米国めざしてちょこちょこ往来しておりました(命がけで)。コルニー船長(リノ・ヴァンチュラ)もそんな密輸業者のひとり。沿岸警備艇に船を沈められた彼は、「暗闇撃ち」というとんでもない賭けの的役に志願します。
暗闇撃ちというのは、小屋の中、電気を消して10数えた後、参加者が銃を一発撃つ!的になった者は生き残るたびに大金を得る(撃つ人数が多いほど金額は跳ね上がる)。一定の距離は置くし、暗い間にこそっと動いたり姿勢を変えたりはできるのだが、無茶です本当(^^;)
これを十回も頑張って、傷だらけになって新しい船をゲットした豪胆な船長。パリッと身なりを整えれば結構モテモテ状態ですが、ふと入ってみた映画館で主演女優リンダ(ブリジット・バルドー)の魅力にボウッとなります。勿論無声映画、念のため。そして、ヒロインたちが危機一髪!の瞬間、映写室が火を吹いて(昔のフィルムって燃えやすかったんですよね)、お客は一斉に映画館から避難!コルニーは船に戻ると、即出港を命じます。映画館のある別の島へ行って一刻も早く続きを見るため。先日請け負った仕事のことは忘れてる様子(爆)
彼女の映画を追いかけ見まくり、自室には切り抜きを貼りまくり。リンダの大ファンと化した彼が、偶然ハバナでバカンス中のリンダ本人に出会ってしまい…。はじめは面白半分、コルニーを弄んでいたリンダも、やがて無骨だが本物の男らしさを持つ彼に惹かれるようになる。密輸航海にまで同行し、銃撃戦の中でも大活躍。ところが…?
***ネタバレ***
二人の恋は順風満帆と思いきや、「美女が乗っているから」と、沿岸警備艇から逃げるのを助けてくれた酔狂なヨットの主、英国貴族ハモンド侯爵(クライブ・レヴィル)がリンダ争奪戦に立候補します。なんとリンダは「だって“侯爵夫人”よ〜♪」とアッサリ侯爵のプロポーズを受け、そのくせまたコルニーの所へひょいと戻ってきたり…決闘だ!といきまく侯爵のせいで、コルニーまで、とばっちりで逮捕の憂き目に!
実はその間リンダの方は、ハリウッド仲間に拉致(笑)されて、さあまた映画を作ろうよ、あらイイわね〜☆とかやっているのである。ははは…
数年後、禁酒法は廃止され、コルニーら密輸業者はすべて釈放される。数年ぶりに映画館に入ったコルニーの見たものは、トーキー映画の中で「愛の歓び」を歌うリンダの姿…。幕が下り、明るくなった映画館の中、コルニーはいつまでもいつまでも、微笑みながら椅子にもたれているのだった。
***ネタバレ終了***
ラブコメとしては破格なラスト。
なのに、どんな恋愛成就シーンとも違った不思議な満足と感動が胸にこみあげる。
多分、見たことがない人にはピンとこないことでしょう(私の文章力では…)。
でも、なぜか「愛の歓び」が銀幕に流れると、泣けるんですよ私!!
昔TVで見たときも泣けた。
断片として語られるぶん、逆に映画中映画のロマンがよりピュアに、あるいはコルニーの純情(恋人として以上にファンとしての純情?)が、なんだかドドーンと沁みるのか。
自分でもちょっと分析し辛いのですが、以前どこかでコレは「映画」と「映画ファン」との恋物語なのだ、との解釈を見かけました。
なるほどね…
何度も翻弄され、ようやくわかった気になり、完璧な一致を見、突然おいていかれ、けれどもやはり足を運ぶと最高に素敵な作品に出会うこともあって、そんな時は語り尽くせぬような至福の瞬間…
ありえるかもソレ。
リノ・ヴァンチュラ、いかつい顔とずんぐりごつい体で普段は怖いギャング役でブイブイ言わせていますが、こうしたコミカル⇔ペーソスと幅のある役もイイ感じで演じてる。
フランス人てブコツなオッサンにロマンチックさせるのが好きだなあ…
そしてリンダ、ワガママで気まぐれでどこまでも自由な銀幕の妖精を、ちょっと年食ったぶん貫録が増して説得力出たブリジット・バルドーが好演。
結婚式で彼女が突然歌いだす大変印象的な場面がある。“海が恋人”な船乗りへの恋歌なので、「本当はコルニーが本命よ」という風にもきこえるのですが(コルニーもそう思ったかも)、あれは「私はどこまでも自由」と歌っていたのでしょうね。ほっそりした手足に20年代ファッションも凄ーく似合ってて良かった。
クライブ・レヴィルは怪演とでもいうか…笑かしてくれます。
そして特筆すべきは音楽!これも大きい!
「冒険者たち」等で何度も監督とコンビ組んでる、フランソワ・ド・ルーベがここでも素晴らしい音楽をモノしてます。この人の映画音楽は、個性的かつ繊細で、そのくせ意外と耳に残りやすいというフシギな魅力あり。重厚なオーケストレーションより民俗音楽とかポピュラーミュージックのノリ主体ですが、アンリコ監督のロマンティシズムと凄く相性がいいのでしょうね。
これも後日、本サイトでもとりあげ直したいと思っています…
(実は何度もオークションで競り負け、買いそびれていたDVD。即決分が出品されたのをやっと落しました。隠れたファンが多いのね)
<追記>
本サイトにも記事アップ済。あと、絶版ですがここにもAmazonリンク追加…
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0002ZEVEO?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=B0002ZEVEO
この日記には珍しくフランス映画です(笑)
DVDは廃盤で画像出ない…。
多分、この監督、日本では「冒険者たち」(アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス)が一番有名なはず。独特のロマンティシズムが持ち味ですが、この「ラムの大通り」も、大人のおとぎ話とも言うべき、不思議な魅力を持つ作品。
リアリズム尊重派には特にオススメはしませんが。全編かなりコメディ色は強いです。
沿岸警備隊はキーストン・コップみたいだし(車で来る時は特に)、恋のライバルはとてつもなく英国的趣味人というか大変人で、帆船とか海賊とか大好きらしくヨットの上は常にコスプレ状態(うらやましい…)。ハリウッド仲間は「ドッキリ」が大好きみたいだし。殴り合いとなるとすぐ西部劇のようにどんどん規模が広がってゆくし。舞台がカリブ海の島々ゆえ、カラフルな音楽と景色が溶け合ってスグお祭り状態になるし。
時は1925年、禁酒法の時代。当然、キューバやハバナなどカリブ海沿岸の街から、酒壜満載の密輸船が米国めざしてちょこちょこ往来しておりました(命がけで)。コルニー船長(リノ・ヴァンチュラ)もそんな密輸業者のひとり。沿岸警備艇に船を沈められた彼は、「暗闇撃ち」というとんでもない賭けの的役に志願します。
暗闇撃ちというのは、小屋の中、電気を消して10数えた後、参加者が銃を一発撃つ!的になった者は生き残るたびに大金を得る(撃つ人数が多いほど金額は跳ね上がる)。一定の距離は置くし、暗い間にこそっと動いたり姿勢を変えたりはできるのだが、無茶です本当(^^;)
これを十回も頑張って、傷だらけになって新しい船をゲットした豪胆な船長。パリッと身なりを整えれば結構モテモテ状態ですが、ふと入ってみた映画館で主演女優リンダ(ブリジット・バルドー)の魅力にボウッとなります。勿論無声映画、念のため。そして、ヒロインたちが危機一髪!の瞬間、映写室が火を吹いて(昔のフィルムって燃えやすかったんですよね)、お客は一斉に映画館から避難!コルニーは船に戻ると、即出港を命じます。映画館のある別の島へ行って一刻も早く続きを見るため。先日請け負った仕事のことは忘れてる様子(爆)
彼女の映画を追いかけ見まくり、自室には切り抜きを貼りまくり。リンダの大ファンと化した彼が、偶然ハバナでバカンス中のリンダ本人に出会ってしまい…。はじめは面白半分、コルニーを弄んでいたリンダも、やがて無骨だが本物の男らしさを持つ彼に惹かれるようになる。密輸航海にまで同行し、銃撃戦の中でも大活躍。ところが…?
***ネタバレ***
二人の恋は順風満帆と思いきや、「美女が乗っているから」と、沿岸警備艇から逃げるのを助けてくれた酔狂なヨットの主、英国貴族ハモンド侯爵(クライブ・レヴィル)がリンダ争奪戦に立候補します。なんとリンダは「だって“侯爵夫人”よ〜♪」とアッサリ侯爵のプロポーズを受け、そのくせまたコルニーの所へひょいと戻ってきたり…決闘だ!といきまく侯爵のせいで、コルニーまで、とばっちりで逮捕の憂き目に!
実はその間リンダの方は、ハリウッド仲間に拉致(笑)されて、さあまた映画を作ろうよ、あらイイわね〜☆とかやっているのである。ははは…
数年後、禁酒法は廃止され、コルニーら密輸業者はすべて釈放される。数年ぶりに映画館に入ったコルニーの見たものは、トーキー映画の中で「愛の歓び」を歌うリンダの姿…。幕が下り、明るくなった映画館の中、コルニーはいつまでもいつまでも、微笑みながら椅子にもたれているのだった。
***ネタバレ終了***
ラブコメとしては破格なラスト。
なのに、どんな恋愛成就シーンとも違った不思議な満足と感動が胸にこみあげる。
多分、見たことがない人にはピンとこないことでしょう(私の文章力では…)。
でも、なぜか「愛の歓び」が銀幕に流れると、泣けるんですよ私!!
昔TVで見たときも泣けた。
断片として語られるぶん、逆に映画中映画のロマンがよりピュアに、あるいはコルニーの純情(恋人として以上にファンとしての純情?)が、なんだかドドーンと沁みるのか。
自分でもちょっと分析し辛いのですが、以前どこかでコレは「映画」と「映画ファン」との恋物語なのだ、との解釈を見かけました。
なるほどね…
何度も翻弄され、ようやくわかった気になり、完璧な一致を見、突然おいていかれ、けれどもやはり足を運ぶと最高に素敵な作品に出会うこともあって、そんな時は語り尽くせぬような至福の瞬間…
ありえるかもソレ。
リノ・ヴァンチュラ、いかつい顔とずんぐりごつい体で普段は怖いギャング役でブイブイ言わせていますが、こうしたコミカル⇔ペーソスと幅のある役もイイ感じで演じてる。
フランス人てブコツなオッサンにロマンチックさせるのが好きだなあ…
そしてリンダ、ワガママで気まぐれでどこまでも自由な銀幕の妖精を、ちょっと年食ったぶん貫録が増して説得力出たブリジット・バルドーが好演。
結婚式で彼女が突然歌いだす大変印象的な場面がある。“海が恋人”な船乗りへの恋歌なので、「本当はコルニーが本命よ」という風にもきこえるのですが(コルニーもそう思ったかも)、あれは「私はどこまでも自由」と歌っていたのでしょうね。ほっそりした手足に20年代ファッションも凄ーく似合ってて良かった。
クライブ・レヴィルは怪演とでもいうか…笑かしてくれます。
そして特筆すべきは音楽!これも大きい!
「冒険者たち」等で何度も監督とコンビ組んでる、フランソワ・ド・ルーベがここでも素晴らしい音楽をモノしてます。この人の映画音楽は、個性的かつ繊細で、そのくせ意外と耳に残りやすいというフシギな魅力あり。重厚なオーケストレーションより民俗音楽とかポピュラーミュージックのノリ主体ですが、アンリコ監督のロマンティシズムと凄く相性がいいのでしょうね。
これも後日、本サイトでもとりあげ直したいと思っています…
(実は何度もオークションで競り負け、買いそびれていたDVD。即決分が出品されたのをやっと落しました。隠れたファンが多いのね)
<追記>
本サイトにも記事アップ済。あと、絶版ですがここにもAmazonリンク追加…
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