夜間中学で学ぶ喜びを求めつづけた世界一幸せな先生
高橋うらら著。

児童向けノンフィクション。だが、学びを奪われたまま働く(不登校で引きこもってしまったケースもあるが)ひとに、学びと交流の場を届けたい!と熱い思いで夜間中学で働き続けた教師(見城慶和氏)の足跡をたどるこの本は、大人にも読みごたえがあると思う。
戦争や差別で読み書き計算をまともに学べないまま大人になったことで、日常生活で様々に不利をこうむる生徒たち、しかも子どものような優れた記憶力はもうない世代である。昼間の中学校の教科書をただ突き付けてもスムーズにいかない、と、手作りで様々な工夫をする。
とくに「夜間中学生のための生活基本漢字381字」はすごいと思った。
「履歴書」「衣食住」「標識」などの分野分けがされている。生きるために真っ先に必要な漢字、人間としての権利を守る基礎知識として選び出すのだ。この381字で、新聞に出てくる漢字も6割OKだそうだ…
http://kanzi.la.coocan.jp/05seikatukihon.html (漢字指導法研究会HP『生活基本漢字381字』)

時代と共に、様々な理由から不登校の子どもたちも増えた。そのまま形式的に中学を卒業してしまうと、逆に夜間中学には入れない!…という法律を変えようと働きかけもする。最近では外国からのニューカマーの子どもたちが夜間中学にやってくる。こうなると外国語まで学ばないと、ってなる。もうこの情熱や信念にはただただ頭を下げるしか…です。

ちなみに日本で最初に夜間中学ができたのは大阪だとのことです(この本の見城先生は東京の先生ですが)。住民として誇らしいです。
ですが、このニュース…統廃合計画があるらしいとのこと。
ほんとに、ほんっとに、もう…(-_-メ)
https://www.bing.com/ck/a?!&&p=35f1c4e21dbf9342JmltdHM9MTY2Mjc2ODAwMCZpZ3VpZD0wZDkyZTg4Mi00NGEwLTZlNDAtMDAyMC1lNjNlNDUxNzZmOWQmaW5zaWQ9NTUyMA&ptn=3&hsh=3&fclid=0d92e882-44a0-6e40-0020-e63e45176f9d&u=a1L3ZpZGVvcy9zZWFyY2g_cT0lZTUlYTQlOWMlZTklOTYlOTMlZTQlYjglYWQlZTUlYWQlYTYrJWU1JWE0JWE3JWU5JTk4JWFhJnZpZXc9ZGV0YWlsJm1pZD1BRDMyNDI3RDhBQjFFNzA4REExMkFEMzI0MjdEOEFCMUU3MDhEQTEyJkZPUk09VklSRQ&ntb=1
開かせていただき光栄です
皆川博子著。(実はこの著者初読み)

18世紀ロンドン、世間の偏見に抗いつつ、解剖学の進歩のために邁進するダニエル・バートン医師と若き(十代の)弟子たち。志は高くとも、解剖の実習ひとつにも墓暴きからこっそり死体を仕入れるしかなく、警吏に踏み込まれかけて慌てて隠したりする。
隠した…と思ったところが、どういうわけか第二の死体第三の死体が解剖教室から見つかって大騒ぎに。事件の解決に乗り出すのは盲目の治安判事ジョン・フィールディング(実在)。
この本筋と並行して、夢を抱いて田舎から危険な大都会ロンドンに出てきた天才少年詩人の、危なっかしくて青臭い毎日(但し本筋より時間軸は少し遡る)が描かれる。彼が解剖教室の少年たちと親しくなったことから、二つの物語は絡み合い、速度の異なる二つの流れはやがて合流して、全ての謎が明かされるクライマックスへ…。

いやー最初はブラックユーモア主体な歴史ミステリと思ったのですが、どろどろした魔都ロンドンと濃厚な時代のコクが凄かったです。不健康なようでちょっと単細胞なバートン先生は可愛いし、弟子たちは非常識きわまりないながらアツい友情もチラチラ見せるし、混沌すぎてどう言ったらいいのか分からないオハナシ…
グイグイ引きずり回されて一気に読んだものの、弟子たち(特にエドやナイジェル)の内面は、まだまだ十分に見せてもらってないまま幕が下りてしまった気がします。
いや、そういうつかみどころのなさこそが、「少年」とか「青春」とかなのかしら(棒)
続編(姉妹編)も出てるようなので読んでみようかなあ(今回読んだのも、今年三部作の三作目が出たって広告で見たからだ)。ただ、こんなにどろどろしてるのって自分の好みと少しズレてる気もするんだけど…
うーんうーん。

ま、読んてソンはない一作です。(欧米の歴史に興味のある人には特に)

※オマケ※
キッコーマン豆乳飲料の杏仁豆腐味が、いつも買ってるスーパーの棚から消えたー!(涙)
自分の知る限り、あの店にしか無かったのに…orz
そらまーネットで探せばなんでもあるけど…18個単位で買うしかないかなあ。
うさことば辞典/ラビット・ホッピング!
うさことば辞典/ラビット・ホッピング!
「うさことば辞典」9784766134629
森山標子絵/グラフィック社編集部編

癒されたくて、図書館で借りてまいりました。

いやー、一月にやっとこ両目とも白内障手術が終わったと思ったら、実家の母の入院騒ぎとその後のあれやこれやで忙しい日々が続き…いや、せっかく介護保険払ってるのに要介護度の認定審査すらやっていなかった準備不足の自分も
イケナイんだとは思うのだけど。
仕事の合間に実家通いでいつもより確実に忙しかった。コロナもおさまらないというのに、ウクライナではどんどん大変なことになっている。
ストレスも溜まるというものですよ。

さて、表紙からして実に上品な装丁にシンプルなうさぎさんです。
開けばステキなうさぎさんたちのイラストとともに、「うさことば」すなわち、今時のうさ飼いさんたちには知られたうさぎ関連のことば(最初のページの「うたっち」なんて、私初めて聞きましたよ。あとあしで二足直立するうさぎさんの“立っち”のことですと)、日本や世界のうさぎがらみ諺&言い回し、が、次々と出てきます。絵柄はサラリとシンプルな線ながら、うさぎのフォルムと身のこなしがみごとにとらえられた可愛いもので、すっかりハマってしまいました(*^^*)
全ページ、あーこんな柄のトートバッグとかエコバッグとかあるといいなあ、と思ってしまいます(笑)

ちなみにナゼ突然この本なのか、と言いますと…
数日前に「ラビット・ホッピング!―うさぎがぼくのパートナー!?―」(理論社)、という児童読み物を読みまして。
妹が重病なため、ちょっと淋しい思いをしている大人しくて動物好きの男の子が、ラビット・ホッピングという“うさぎにリードをつけて障害物をピョンピョン越えさせる競技”に出会って元気を取り戻す、という話です。地味だけど、男の子の気持ちは丁寧に描かれていて、悪くないと思いました。
ラビット・ホッピングってのも、この本で初めて知りましたよ!(うさことば辞典にも載ってなかったけど、辞典の方が出版年がずっと早いので仕方がないことデス)
著者はマーリン・エリクソンというスウェーデンの人ですが、挿絵がこの森山さんだったんです。
さらっと軽い線に見えたけど、この人のうさぎの絵、何気ないけど動きやフォルムがすごく自然でカワイイ。
何者なの?もっとほかにないの?と思っちゃったんですね(^^;
調べると森山さんは、やっぱりうさぎ専門(笑)イラストレーターとして活躍している方だったのでした。
さっそく図書館で手ごろそうなもの(=うさことば辞典)を予約!

まあ大変そうだし自分で飼う気はないけれど、うさぎ、癒された!
自分用に「うさことば辞典」買ってもいいかなあと思うくらい癒された!
吸血鬼すぐ死ぬ 20(少年チャンピオン・コミックス)
吸血鬼すぐ死ぬ 20(少年チャンピオン・コミックス)
盆ノ木至著。

やったー、ついに発売日に最新刊ゲットー!
19巻は、苦労したのだった。つい先日まで私の通勤経路のどの書店にもなく、時々コンビニ受け取りで買うOmni7(セブンイレブン系)の通販サイトにもなぜか品切れになっていてホトホト困っていたのを、昨日!ようやく手に入り読んだ。
…間に合って良かった…

相変わらずギャグがスピーディで楽しい(*^^*)
とか言いつつ突然不穏な場面をはさみつつ落とさずに流して終わってたり(恒例のウソ予告編みたいに)、シリアスに行ったきり戻ってこなかったり、なんでもありです。
勿論アルマジロのジョンは可愛いし、ロナルドや半田のような若いイケメンもいるわけだけど、ソコハカとなくオジサマ率が高いのが私好みなのかなあと思う今日この頃です。


ところで土曜の夜にコロナワクチン3回目を接種して丸3日過ぎたけど、不思議だ…
2回目より3回目のが方が副反応軽いー!
2回目は接種翌日朝から37.5度の微熱が出て、微熱の割にしんどくて一日布団から出たり入ったりしていたけど、3回目は、翌日の午後から37.4度の微熱は出たけれど、2回目ほどしんどくなかった。
もちろん翌々日の午後にはピンシャンしていた(肩が少々痛いのをのぞけば)。

打つときに「3回目は熱が出やすいので気を付けて」と言われたのだが、意外や意外!
まあ個人差ですから、みんな気を付けてね(棒読み)。
かがやき子ども病院トレジャーハンター
まはら三桃著。
またまた児童文学。だがちょっと心がゆすぶられたもんで…

長期入院中、同じ院内学級に通う小学生たち。
病気ごとの苦しさもそれぞれ、退院はめでたいが友達と別れる淋しさや残される悔しさもあり、複雑な友人関係ともいえる。ある日、お話を語るのがうまい小6の良志が考えた「氷の王女」の結末を書いたノートが行方不明だときき、結末を知りたい一健や早弓らは、宝探しのように「トレジャーハンター」を結成し、大人の目を盗む秘密の作戦を計画する…。

秘密を共有するわくわく感と、冒険を通じて友情や自分を見つめなおす人間的成長の、さわやかな物語だ。ある程度大人のお膳立てもある冒険なのだが、芯になる「氷の王女」がうまく出来ているので、作り物感は少なく、現実と空想の境目がゆるい子どもの心のファンタジーのここちよさが読後感として残る。

※「氷の王女」とは…
罪を犯し、修行すべく地球に追放された月の国の王女が、熱をうばわれた冷たい手で火事を消したり、病人の熱を癒したり吸い取ったりするうち少しずつ手に熱が戻る。元通りになれば帰国できるのだが、地球での生活にやりがいを感じ始めた王女にはジレンマが…というお話。

病棟一手の冷たい看護婦さんがモデルだ、と、お話をきいた子どもたち全員ピンとくる、という設定がまた素晴らしい。
良志の病気は先天的なもので、体調によりすごくぼんやりしてるときもあるのだが、時に鋭い洞察力を見せ、昔話を改変すると周囲の子どもたちの想像力を刺激してやまない。

私ももっと彼のお話をききたいぞ…
絢爛たるグランドセーヌ(チャンピオンREDコミックス)
絢爛たるグランドセーヌ(チャンピオンREDコミックス)
CUVIE著。

「シリアからきたバレリーナ」を読んでると、ついついこれまで読んだバレエ漫画を色々思い出すわけで。日本のバレエマンガって、ヒロインが最初は気弱で自信不足、そこまでいかずとも控えめな性格なことが多い感じがする(もちろんそこから成長してゆくのが見所だ)。山岸涼子さんの超名作群ですらそう。半世紀前の「アラベスク」はおいとくとしても、「舞姫テレプシコーラ」でも、六花ちゃんのウジウジに誰もがじらされつつ癒された…
いや、少女マンガのバレエマンガってことかもしれないけど。
あ、青年誌のガッツリ濃い描線で描かれる「昴」は違うかな(試し読み2巻分くらいしか知らないが)

まあそんな中、最近スマホで無料マンガ連載を毎日追うという悪癖に染まった私が気に入っているのが、「絢爛たるグランドセーヌ= La Magnifique Grande Scène」。ピッコマで読んでいるが、もう無料分はとっくに制覇してしまい、時々キャンペーンでもらうポイントを全てこの続きを読むのにつぎこんでいる…

主人公奏(かなで)は小さい頃見たバレエ教室公演に心を奪われバレエを習いはじめた女の子。(ストーリー本編は小5くらいから)
レッスン開始時は平凡な子(バレエはお金がかかるが、経済的にもわりと普通の家)と思われていたが、バレエ愛と鋭い観察眼(上手い子を見つけたら、懸命に自分でもその長所を取り入れようとする)で、メキメキと力を伸ばしてゆく。強大なライバルに負けても、打ちのめされるより「なんでこんなにできるの!私もそうなりたい!何をどうすれば!」と、超ポジティブで自分が更にがんばっちゃう。「努力の天才」という言葉があるけど、この子は努力の質が高いんだね~
バレエ仲間に「コミュ力おばけ」と呼ばれる奏は、技を盗みたくて計算で他人に近づくのじゃなく、目をキラキラさせてわーわーきゃーきゃー素敵ー教えてー、って感じなので、難しい子も毒気を抜かれて己のバレエ愛に立ち戻り(愛がないとハイレベルのレッスンについていけないよね)、自分も成長するわ、いつのまにか親しくなってしまって奏の養分にもなっているわ…
もちろん、周囲の仲間やライバルたちも、それなりに色々な背景や個性があり、納得のいくストーリー展開になっている。奏は時々暴走の域にまで達し、読者を笑わせてくれるが…
うん、こんなキャラ、いままで余り見たことなかった…!

こーゆーヒロインなので恋愛要素とか全くありません。しかし、爽快です。
スポ根に近いかもです。
著者の絵柄は、少女漫画的なわりに(そして題のわりに)地味ですが、ヒロインの性格とは合っているのかも。掲載も青年誌らしいですしね。

最初の1~2冊くらいなら無料おためしさせてくれるサイトが多いし、ピッコマとかLineマンガなら、毎日1話ずつ読み進めていくこともできますよ(4~5巻分くらいかな?)。

書影は最新刊19巻と、19巻の表紙の人は奏じゃないので、奏が出てる2巻のものを並べました。
いまや中学生の奏は海外留学中。春には20巻も出るらしいです。
シリアからきたバレリーナ
キャサリン・ブルートン著。(偕成社)

内戦で疲弊したシリアのアレッポを脱出し、英国へ来た少女アーヤ。マンチェスターの難民支援センターで、母を支え、幼い弟の面倒を見ながら、難民申請が通るのをひたすら待っている。父親とは、辛い脱出行の途中ではぐれたまま。ある日近くのバレエ教室から聞こえてきた音楽に、彼女はついつい引き寄せられ、中をのぞいてみた。故郷が平和で幸せだった頃、アーヤはバレエ教室に通う、踊ることしか頭にない少女だったから…。

アーヤはこのバレエ教室で、英国で最初の友達ができる。先生もアーヤのバレエへの思いと才能を認めて指導してくれる(タダで)。うまく行きすぎに聞こえるかもしれないけれど、閉塞感に満ちたアーヤの毎日や彼女の抱える心の傷、屈託がなく大雑把に見えるが誠実な友人ドッティ、第二次大戦中に難民として英国へ逃れてきていたユダヤ系の先生など、それぞれに背景や悩みがきちんと描かれていて、じわじわと心に響く物語になっている。先生の過去を知り、「ドイツから一人で来た女の子(先生)は、家族と後で再会できたのかしら…」と考えるアーヤが切ない。
名門バレエ学校のオーディション(奨学金も狙える!)よりその後の、ドッティ企画の支援センターのためのチャリティーショーがクライマックスなのもいい感じ。

最初は注釈が多すぎて気になったけど途中から全然気にならなくなった!(まあ児童読み物だからな。仕事柄、児童文学もちょこちょこ読む)
難民問題がテーマではあるのだが、難民であるなしをを問わず、踊りを愛し、家族を愛する登場人物たちの思いがよく伝わってきて読後感が良かった。

…ウクライナ問題が早く決着ついて、難民が少しでも増えずにすんでくれますように…

そういえば、バレエつながりで…子供の頃、モスクワの次に私が覚えたロシア(当時ソ連)の都市名というと、キエフ、でした。そう!「アラベスク」のノンナはキエフに住んでたんだよね!私と近い世代は、きっとみんなそうだよね!

日記はつづく

2022年3月1日 読書
3月です。

ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと『diarynote』で書き続けていた「虚実日誌」ですが、いよいよ3月末で終了ということで、続きを書く場所を探した末に、『ココログ』に引っ越しをいたました。(とはいえ3月中は、基本両方に同じ記事を入れていこうかと思います)

ココログ版虚実日誌→https://kyojitsu-diary.cocolog-nifty.com/blog/

これからも、気の向くままに、本とか映画とかゲームとかの感想を書いていきます。できれば楽しいコトで埋めつくしたいです。

でもまあ気が向いたら、普通に日常を書く日もあるでしょう。それもまた楽し。



初めての方もそうでない方も、『ココログ』版「虚実日誌」もよろしくお願いします。(^^)/
コメントもフツーにつけられるようになっておりますからね~
タイトル長すぎる~(笑)

香月美夜 著。
図書館で予約してずっと待ってたのがやっと二冊続けざまに来た。
4巻の終盤からきなくさかったが、5巻~6巻前半でローゼマインの周辺がどんどんひどいことになってきて、ただの脳筋かと思っていたおじい様ボニファティウスからも別方向からの批判的分析が入ったりして、ストレス超ためこんだところで、『勝てない相手』な王家に対し、ローゼマインの「交渉力」大爆発がカタルシスでした~(^^♪
表紙イラストではいかにも王子様ぽく甘いルックスながら、ジギスヴァルト王子の中身が意外なくらいダメダメで、タメイキ。┐(´д`)┌ヤレヤレ

いやしかしボニファティウスおじい様、見直したよ~。ローゼマインを十分に分かってくれるともいい難いが、愛ゆえ旧式キャラゆえに?彼女の周辺にも現当主ジルヴェスターにも見落とされている危険な流れをキッチリ指摘してくれて。さすがにエーレンフェストを支える武の一角でしたね。それにつけてもいーかげんにせーよヴィルフリート君…
それに引き換え側近筆頭から神官長としてローゼマインを支えるハルトムートが男を上げまくってます(*^^*)。
フェルディナンド様がそばにいない今、多少暴走的な行動(笑)があるとはいえ、デキル彼がいてくれてどれほど心強いか!!!!!
ローゼマインは時々ヘキエキしてるようだけど、ハルトムートが存在してくれてる幸せをかみしめるべきなんじゃないか。

次巻以降、ローゼマインの活躍の場がどこへ変わっていってしまうのかドッキドキですね。早く続きが読みたい…

大奥 最終巻!

2022年2月15日 読書
大奥 最終巻!
よしながふみ先生ありがとうございます。(図書館で予約して読んでたものでこんなに遅くなりました(^_^;))

いやー、お見事!(風呂敷のたたみ方)

個人的には、最後さらっていったのは瀧山でした。(*^_^*)

頭脳明晰、有能で美しくてセンス良すぎで肝がすわってて、こんなにデキた男なのにほのかにカワイイ「抜け」まで持ち合わせている…
ちょっと2番手なワキに控えた立ち位置がいっそう美味しい…

まあ、彼だけに限らず、魅力的なキャラは、はいて捨てるほどいてますけどね、こんな名作には。

どんぐり喰い

2022年1月25日 読書
どんぐり喰い
エルス・ペルフロム著。
内戦で荒れた1930年代のスペイン、アンダルシア地方の貧しい少年クロは、大家族を支える手助けに学校も中途でやめ、働き続けている。彼の8歳から16歳までを描く児童文学。

昔のことだから本当に貧しい者に救いがなくて、どんなに働いても貧乏からは抜け出せず、地主や金持ち(修道院長含む)、警官などの横暴に耐え続けるしかない一家だが、貧しくとも譲れない思いもある。家族の絆と誇り、貧しいなりに楽しい歌や祭りなどの風俗、周囲の人々の辿る様々な人生、万民に平等に与えられる自然の美しさ。
「~だったんだ」「~だったんだ」と、主人公の回想で、淡々と語られる重たい物語だが、一瞬の輝きやユーモアも散りばめられ、一読忘れがたい文学的な香りが確かにある。

過酷な日々のうちにも、初めて女性を知り、すべてが輝いて見える16歳の彼が、ふと両親の老いに胸を突かれ時を感じる終章にしみじみ…


実は、コロナ直前にスペイン旅行をし、アンダルシアも少し回った。日本にはないほどに真っ青な空、雪をいたただいて迫る山並みなど思い出すと、ほんと更にしみじみします(泣)。

魔術師ペンリックの使命
ロイス・マクマスター・ビジョルド著。
だいぶ前に出た「魔術師ペンリック」の続編。
もう30になったらしいが20代前半にしか見えないペン君。ヒロインに「不公平だわ」とぼやかれるようなジェンダーレス男子(違)
事故的になっちゃった魔術師で学者で神官…のはずが、今回はほぼスパイの役回りだ。

ただし、亡命させようとした将軍の妹(未亡人)に恋してしまったこともあり、必要以上に山あり谷ありの大冒険になってしまって…なにしろ将軍も妹も結構てごわい。ちょっとひねったロマコメファンタジーアドベンチャー(なんだかわからない)。
波乱万丈で楽しめます。

…しかし、ほんとビジョルドって、未亡人て立ち位置が好きだね!!(マイルズもそうだった)

信長島の惨劇

2022年1月6日 読書
信長島の惨劇
田中啓文著。

冒頭に「アガサ・クリスティーに」と書いてあります。

本能寺の変とその後を決めた清須会議の間におこったある「できごと」。
それは…
死んだはずの信長を名乗る者の手紙によって孤島(三河湾の)に集められた、羽柴秀吉、柴田勝家、高山右近、徳川家康。(+接待役にも数名の戦国有名人)
そこで繰り広げられる、不気味なわらべ歌にのせた連続「見立て」殺人事件。

戦国ミステリは結構あるが、このメンツは凄い(^^;

何考えてんねん、という世界を力技で「エッ、つじつま合ってんじゃないの!」って風にもってく。
決着の付け方もなるほど~でした。
あいかわらず濃ゆい著者でした。
前半はちょっと入りにくかったけど(名古屋弁(たぶん。個々に少しずつ違うが中部地方の方言に私は詳しくない)が凄すぎたせいかも)、後半は文句なく楽しめて、最初から伏線を見直しに行きました。開巻すぐからボツボツ埋められていたので、「この作者ならいくらでもトンデモな展開をするはず」とか言って探したら気が付くのかもいれませんが、普通に読むほうがいいですよ。
ちゃんとできたミステリーは二度目が楽しめる。

クリスティーはまあ勿論だけど亡き〇〇〇〇にもオマージュを捧げていたのねえ。
でもそっちは絶対書けないもんね(ネタバレに通じる)

Amazonに盛大なネタバレレビュー書いてた人がいたが(私は本編読了後に見たからまだしも)、あれ何とかならないのか。一行目に「ネタバレが含まれています」って太字で書いてあっても、絶対同時にネタバレ内容が目に入るよ。
畳まれて目に入らない様に改行入れて下の方にずらすとか、そのくらいの気遣いもできないのかね。
要らないところで不快になった私でした。
白銀の墟 玄の月 第四巻 (十二国記)
さすがに、三巻の後半あたりからはぐんぐん話が進みだして、どうしても読むのをやめられませんでした。
あうあう、年賀状が、年賀状が…
25日中くらいにはと思っていたが添え書き等全部すませたのは、読み終えてからの26日深夜。やれやれ…

まあしかし、覚悟はしていましたがたくさん死ぬこと死ぬこと…
〇〇とか〇〇とか〇〇とか〇〇とか、耐えられませんよ…
一度希望が出てきてから、思いっきりドン底まで叩き落す。さすが小野さん(泣)

戴麒、すっかり黒キリンと化して…捨て身が凄かった。
ただ、どうしてもすっきりしない所もあるので、後日談とか解説的短編とか早く出してほしいです。
特に、琅燦が立ち位置わけわからん。前作読み返したらわかるのだろうか…

白銀の墟 玄の月 第一巻 (十二国記)
小野不由美著。

幾星霜。

…むちゃくちゃ長い年月をはさんでようやく出たこの戴国篇、図書館でもむちゃむちゃ予約付きそうだったので、とりあえずしばらく置いておこう、と思ったら三年たっていました(爆)
忘れていたわけではないが、ふと見るとようやく予約したらスッと届く状況になってたので読み始めました。けっこー忘れていますが…(ネタバレもいやなので十二国記からずっと遠ざかっていました)

戴国ほんとにどんだけ哀しいことになっているの。
簒奪した奴はいったいなんでこんなにも国をほったらかしているの…
重厚なみっしりした描写で十二国独自の(ファンタジーだもの)国難がじわりじわりとゆっくり描かれる第一巻(全四巻)。
…四冊かけて、しかも結局まだ見つからなかったりしても驚かないぞ私は…

オンボロやしきの人形たち
おもちゃの人形たちは、人間が見ているときは絶対に動きませんが、見ているものがいないときは、遊んだり踊ったり、たのしく過ごしているのです…

7歳の少女シンシアの人形の家は、祖母から受け継いだもの。古くて、手入れも修理もしてもらえなくてボロボロになっていましたが、そこに住む人形たちは、苦難にもめげず、いつも明るく前向きで、楽しく暮らしていました。ある日シンシアが、新しいピカピカの人形の家(と新しい人形たち)をもらってからは、こんなもの!と廃棄されそうになるのですが、彼らの心根の素晴らしさを愛する妖精たちの助けを得て、再び幸せな暮らしを手に入れます。
(そもそも語り手が妖精の女王様なのです)
読んでいるあいだじゅう、こちらもなんだかニコニコしてしまう、優雅で心あたたまるクラシックな佳品。

100年も前に書かれた童話ですが、今年出会った児童書の中でもトップクラスの読後感でした♪
著者は、フランシス・ホジソン・バーネット。
え?と思ったそこのアナタ!
そうです、「小公女」のバーネットです。
いやーこんな素敵なのも書いていたのね。ビックリ。
(ビンボーでもくじけない!ってテーマはちょっとかぶるかな?)
青春鉄道 2022年度版
久々に、鉄道擬人化シリーズの新作を貸してもらった。
私以外の家族は全員鉄道マニア、しかし息子らが家を離れちゃったから見せて楽しめないなー…
相方はどうせこんなん見せてもピンとこないだろうし…
「なんで軍服ぽい恰好なんだ」とか、どーでもいいことから聞いてきそうだ。
ひとりだけデジタル音痴だし。関係ないか。

ちなみに私は山陽さん推し。あんまり出ないけど…
(どうしても関東や東日本主体だよね青春。私は関西から出たことないんだが)
シャーロック・ホームズたちの新冒険
シャーロック・ホームズたちの新冒険
田中啓文著。

様々な有名人が探偵役をつとめる短編集「シャーロック・ホームズたちの冒険」の第二弾。
エラリー・クイーンを知るものなら“新冒険”のくだりにニヤリとするはず。
(短編集に「エラリー・クイーンの冒険」と「エラリー・クイーンの新冒険」てのがある。まあ原題はAdventure of ~、と、New Adventure of ~ で全くフツーなのだけど直訳すると順番変だよね)
前作「冒険」はもちろん読んだんだけど、「新」が出たのを見落としてたのに気づいて手に取りました。

トキワ荘の人々とか明智小五郎とか黒後家蜘蛛の会とか子規と芭蕉とか今回ももりだくさんだったけど(まあ前作に出てきたヒトラー探偵ほどのインパクトはないが)、最後の「ホームズ転生」が特に良かった。ホームズと下宿を共にすることなく老境に入った孤独なワトスン医師が、たまたま聞きに行った演奏会で殺人事件と不思議な老バイオリニストに出くわす、言わば異世界バージョン。うわー、やっぱり二人は出会わなきゃだめだよー!!!ワトスンがいてこそホームズが輝いたんだよ!と、アツイ思いがわきあがり、二度読み直してしまいましたね。

(最近仕事がらみで児童文学やYA向けばかり読みがちだったのであまり日記にも書いてなかった…パロディ系だけど、久々に大人向け小説です(笑))
ダンジョン飯(7)・(8)
食の哲人・ドワーフのセンシの予想以上に重かった過去!
パーティメンバーの種族総チェンジリング!!
ますます盛り上がってます(*´ω`*)

図書館で借りて読んでるので、続きはまだ先。
しかし、この濃厚きわまりない魔獣ヲタク物語は、借りると返すまでの間に何度も何度も読み返してしまう。
…いっそもう買ったほうがいいだろうか(汗)

まんが訳 酒呑童子絵巻 (ちくま新書)
大塚 英志監修, 山本 忠宏 編。

「酒天童子絵巻」「道成寺縁起」「土蜘蛛草子」、三つの絵巻物を現代のマンガのコマ割りの手法で分かりやすく見せてくれる。中世の絵巻物も、絵と文字または文章がある程度ルールにのっとって配置されており、逆に言うと、読み解きのコツを知らないと十分に描かれた内容が味わいきれないもの。それを、マンガ的な手法で再編集して描きこまれた情報がなるべくスムーズにもれなく現代人に届くようにしてみました、というのがホントに分かりやすいですー。そして、「鳥獣戯画だの絵巻物だのがマンガの先祖だとかいう説があるけど、そんなカンタンなもんじゃないんたよ」と、巻末にガッツリと解説が。読み応えありでした。

ノブヤボでも最近らいこーさんがエースなので、その点もなんとなく嬉しく読みむ安直な私…(三作品中最初と最後、二作品が源頼光の武勇伝ですから)

それにしても、まんが訳でもって内容を濃く伝えていただいたらば、「酒天童子絵巻」って思ってた以上に、実にスプラッタでホラーでございました(汗)

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