華麗なる激情

2007年11月19日 映画
ルネサンスの巨人・ミケランジェロと、彼に「天地創造」を描かせた教皇ユリウス二世を描いたドラマ。
140分の長尺ですが、最初の15分はミケランジェロの業績紹介なので見なくても可。
チャールトン・ヘストンのミケランジェロというのは見る前から既に微妙ですが(笑)、レックス・ハリスンの教皇が見たくて買いました(少数派か?)。1964年、キャロル・リード監督作品。

さて本編が始まると、石切り場から切り出された大理石の塊を運ぶ人夫たちの荷車の列。その脇を、甲冑に身を固めた騎士や歩兵の一団がささっと駆け抜けたかと思うと、いきなり戦闘が始まる。まあルネサンスって乱世ですしね。
そして軍隊が街へ帰還すると、先頭切って駆けていた、特に美々しい青と金の甲冑の騎士が兜をはずす――と、レックス・ハリスンである。ユリウス二世は、教会の権威のためとあらば自ら軍を率いて戦う、言わば軍人教皇なのだ。

教皇は、ミケランジェロの才能を買ってシスティナ礼拝堂の天井に絵を描かせようとする。ところがミケランジェロ自身は、絵より彫刻のほうが得手だし高級だと思っている。
しょっぱなからケンカしている2人。一度は天井に聖人の絵を描き始めたものの、ノれないミケランジェロは突然筆を捨てて逐電したりする。ところが逃げて山に登り、空や雲を眺めるうちに、霊感が降りてきてしまった…
しょうがないから「新しいプラン(創世記)なら描くから復帰させて」と自ら出頭する。
自分の好きなように(なら)描きたい芸術家と、なんとかその手綱を取りたい、でも迎合だけされるよりは、より凄い作品に仕上げてほしいパトロンと。
でもしょせんは人間どうし、たかが給料の支払いでモメることもしばしば…

ひげもじゃで絵の具だらけになって頑張るヘストンには、朴訥不器用なだけでなく、あと少し芸術家のデモーニッシュなところも見せて欲しいところですが、狸オヤジなハリスンが達者なので、2人の意地の張り合いと微妙な友情の展開は結構楽しく見れます。
為政者としては多分一流なんでしょうが、芸術のパトロンとしては時に子供のようになっちゃう教皇が激しく可愛い!ミサのたびに「どこまで進んだかなあ」と見上げる目線が、画家にはウザいでしょうがなんとも可笑しい。


以下、ちょっとネタバレ?


終盤、珍しく弱気になり寝付いた教皇を、(ちょうど以前自分が体壊した時に「早く回復するように」と教皇にヤラれたように)ミケランジェロがこそっと挑発するのですが、「天井画、仕上げなかったら牢にぶち込むぞ、わが子よ!」と、病人がイキナリ飛び起きるもんだから大爆笑。いいのかハリスン、ここまでコメディにしちゃって…しかし彼のおかげで楽しい映画になってんだし、わはははは。
また、ここまでやっちゃってるからこそ、あとヘストンがずーっと半分ぶすたれたようなつまらなそうな苦笑を浮かべたままって所に味が出てくるってのもあるかな。

天井画の完成するエンディングでは、ちっぽけな人間の抱く憧れや理想や、真剣に生きることへのあたたかな共感がしみじみ伝わってきて、結構いい感じに終わりました。
コスチューム以外は、地味といえば地味な映画ですけどね。
オッサンばっかの映画なんて、という向きは見なくていいです(笑)

DVD 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント 2005/10/21 ¥4,179  
今は2007/03/02 ¥2,990の版もあります♪
まーた、買っちゃった。DVDじゃなく中古ビデオですが。
オークションなので下の定価より遥かにお安い。

アリステア・マクリーンは、言うなれば私を「オトナの」英国冒険小説の世界へいざなった大恩人である。なかでもハンガリーが舞台の「最後の国境線」は、大好きな作品だ。
そーぜつなアクションとそーぜつな騙しあいとそーぜつにカッコイイ男たち(特に伯爵☆)。そして、1959年作品だが必ずしも安直に反共的ではないところもイイ。
東欧に関して、ぐっと憧れや親近感を増やしてくれた作品でもある。
マンガ家の木原敏江さんが「無言歌」のあとがきマンガで触れてたくらいだから、そーゆーのは私だけではなかろう。

その大好きな作品が、実は、私の大好きなリチャード・ウィドマーク主演で1961年にひっそりと(?)モノクロ映画化されていたって事も、原作読了直後にではないが、だいぶ前から、知ってはいた。

なのだが、大好きな作品×大好きなスターだからといって、必ずしも万全の大好き映画になるのかどうかは…この映画に限っては何だか不安で、TV録画したものの敢えて見ていなかった。映画化の際別人28号のよーに脚色しまくりされる事はよくあるし、なんちゅーか主人公のイメージも、いまいちウィドマーク様に合わなかったし。
そもそも邦題も芸がなさすぎるし…。

また、二時間の映画なのに録画した映画番組枠は1時間半枠だったので、カットだらけの筈!というのも不安要素のひとつだったのが、とりあえずノーカット版が手に入ったわけで…いよいよだなあ!
届くまであと何日かな。
ま、彼は見かけよりずっと幅広く柔軟な演技力を持つ人なので、きっとそれなりにきちんとキャラを作りあげてる筈なんですがねえ。
原作・主演両方が「特別」なだけに、万一の場合(爆)のダメージも二倍。
「秘密諜報機関」…
どきどきどき…(^^;)

VHS CICビクター・ビデオ 1997/03/28 ¥3,045
修理に出してたDVDリーフリプレイヤーDVD-250CPが帰ってきた。
「症状再現できませんでした」との但し書きつきで…(涙)

そしてやっぱり、「とあるUS版映画ディスク」のみ、シネスコ映画なのに上下をいっぱいに画面にうつし、左右が切れてしまう症状はバッチリ残っていた…(号泣)
モンダイは、この症状が出るのがUS版DVDだけってことである(日本版は勿論UK版もワイド画面でちゃんとうつる)。サポートは当然日本製ディスクでしかテストはしなかった(出来なかった)と言ってるし、あとは、このUS版ディスクを添えて再度サポートに送りなおすしかない。
最初はちゃんとシネスコ画面でうつせていたので、ほんとーに謎だし残念。なんでなのー?
しかも、あと一枚アメリカから届くのを待ってるUS版DVDがあるのだが、不安なことにこいつがまたシネスコ映画なんだな。これも両端が切れるのだろうか。それとも…

私の我慢弱い性格だと、普通はソッコーで送り返すはず。しかし!

しかし、…明日、HDD&DVDレコーダーもダビング不能病にかかったため修理に旅立つことになっているのだ。両方同時に手放すのは、ちょっと哀しすぎる。

はああああ…
リーフリ機って、こんなに気難しいもんなのドコでも?
艦長ホレーショ・ホーンブロワー!
だいぶ以前に、TV放映でみて以来だ。
TVだから多少カットもあった筈。これでやっとノーカット鑑賞できるゾ。

ホーンブロワー役にはグレゴリー・ペック。
長身黒髪、男性的だが甘いマスク。誠実そうだがとぼけたユーモアも発揮可能。やっぱり、ハリウッドスターから選ぶならこの人しかいない!いやぁやっぱり華があるなあ。

ただ、今回DVDできちんと見て、ひとつだけ気になった。
艦内で猫背になるのはノッポのホーンブロワーとしては当然だが、陸上や甲板に出た時の姿勢がいまひとつだぞ?
軍人、特に英国の軍人となると、「背筋が命」ぢゃないのか!?
まぁ、バストショットなら全く問題ないのだが(惜しい…)。

他にも、艦内にはびみょーにアメリカナイズされた雰囲気がなくもないが、「戦艦バウンティ号の反乱」の時のように酷くはない。
副長ブッシュ(ロバート・ビーティ)や水兵ブラウンならぬクィスト(ジェームス・R・ジャスティス)あたりのキャストが英国ぽさを強調している。
あまり他の作品を知らないのだが、このブッシュの「艦長に夢中」ぽさはいい感じ♪
制服も、日によってホーンブロワーは一張羅と普段着を使い分けてる。モールの輝く一張羅以外は肘にしっかりツギが当たってたりして、基本は抑えてる。…やっぱり貧乏。
有名な「アー、ハン」は、三倍ぐらい大げさな感じだが、戦闘戦略以外だと不器用な態度をみせがちなホーンブロワーの特性は、いい感じでペックが出せてると思いますよ。
とにかく目に楽しいキャスティング。

レディ・バーバラはヴァージニア・メイヨ。そんなにお高い感じの美女じゃなくて、微妙かな〜と思ってたが、実は横顔のほうがグッと端正で綺麗だと今回気がついた。
…まあ誰でもいいとかいっちゃ駄目かな(笑)

話は「パナマの死闘」から「勇者の帰還」まで、原作の最初の一番おいしいところをてんこもり。
ナディビダッド号への奇襲、正面決戦、そしてフランス基地への決死の突入と、戦闘シーンは盛りだくさんで楽しい。護送馬車からの脱走も原作通りだが、ブッシュの傷が原作より軽いので、マリーの館を省略したまま一気にウィッチ・オブ・エンダー号奪還&帰国とエンディングまでなだれこみ。とーっても調子がいい。
まあ私はマリーさんのファンでもなんでもないので気にしない(笑)

「マスター・アンド・コマンダー」あたりのリアリティ溢れる渋〜い映像美学と比べるのはもってのほか。半世紀の昔、目にも鮮やかなテクニカラー全盛の時代なのだ。
「講談」として楽しみましょう。

あと、音楽、特に可もなく不可もなく感じたが、とっぱなの金管のうなりには、何だかTV版「スター・トレック」のオープニング曲を連想させられた。まあ、宇宙時代のホーンブロワーなんだが…

そんな中で、楽しさを一番阻害してくれるのは、実は字幕だったりする。
字幕がほしくて高い日本版を買ったのだが、開巻そうそう「見せしめのムチ打ちだー!」とか、かなり脱力した。後衛の提督(リア・アドミラル)てのも、うぅ…
艦長というべき所が気を抜くとすぐ船長になるし…(涙)
高橋先生にで良いから監修してもらってほしかった…

英語字幕があれば一番だと思うんだけど、…海外版を買う気があれば。
やっぱり、しょせんはジュネス企画…か(爆)
帆船小説マニアは、字幕を消して観るほうがよいかも。
みおわったあと、しばらくツラツラと字幕消して観てたら、やはり楽しかったです。

DVD ジュネス企画 2007/10/25 ¥5,040

(追記)
ペックの姿勢について愚痴を書きましたが、その後、彼はデビュー前に既に脊椎を痛めていたらしいという話を聞きまして。となると姿勢がイマイチなのは、演技力のせいとも限らないのか。でも残念です。
この週末、秋すっとばして冬みたいに寒くなったぞ。
こないだまで、着て出ても暑くなって脱いで帰ってきてたデニムのGジャンが、家に帰っても脱げないくらい寒い。

さて、紺デニムのGジャンとかけてリチャード・ウィドマークと解く(オイオイ…)。ココロは「ゴーストタウンの決斗」だ。

実はこの映画、スターチャンネルが11〜12月に放送することを、偶然発見した!
いやー、スターチャンネル(とその姉妹チャンネル群)って、名前は「クラシック」枠があってもせいぜい1970年代以降の作品がほとんどだし、とバカにしていたのだが…驚いた。世の中たまにはいい方にも変わるのか。3日見ざれば、のクチか(大袈裟)。
まあ「マンスリー・リクエスト」枠だから、カイシャ側が出したプログラムでもないんだが…

http://www.star-ch.jp//channel/detail.php?movie_id=17618&;;channel_id=1,2,3,4,5,6’

スターチャンネル見るならスカパーかケーブルTV。
色々調べる内、「ザ・シネマ」というアメリカ映画専門チャンネルもあり、ここはマジに古い映画もやってると判明。
アステアのミュージカルを月に三本も放映するとは偉いやっちゃ。

唐突に、スカパー入って見たい熱急騰中。
ただ、DVDレコーダー不調くさいし、リーフリDVDプレイヤー修理からまだ帰らないし、PCはあいかわらずDVDドライブの読みこみがヘタだし(市販の物でも二、三度スタートさせ直さないと見れない。家で焼いたDVD-Rなんか、余程運がよくなきゃ映らない)。
身の回りのDVD環境、なんとかしないと入っても色々困るかも。
どうするどうなる?ああああああ。

人生模様 (1952年)

2007年11月10日 映画
原題が、“O. Henry’s Full House”。
つまりO.ヘンリー原作の短編5篇を集めたオムニバス映画。
モノクロだけど、50年代FOXのそれなりにオールスターな豪華キャストが楽しめます。クラシック映画好きには、ね。
時代設定が今世紀初頭なので、雰囲気ますますクラシック♪
そして、ナレーターでノーベル賞作家スタインベックが出演してるってのも…珍品…?

第一話「警官と賛美歌」
厳しい冬場に、野宿は辛すぎる。老浮浪者ソーピィ(チャールズ・ロートン)は越冬のため、わざと逮捕され入牢すべく作戦を練るが…。

このDVDのジャケットは、このエピソードに出てるマリリン・モンローだけれど、通行人に毛の生えたくらいのチョイ役(かわいいけどね)。
そんなことより、ここは常に達者なロートンの至芸を堪能するところです。
服はぼろでも堂々たる物腰!穴の開いた手袋を脱ぎ着する際の優雅な手つき!
可笑しくも皮肉なラストまで、一話目から、渋いながらもドカンと傑作感が♪
監督はヘンリー・コスタ。

第二話「クラリオン・コール」
リチャード・ウィドマークが「死の接吻」にクリソツなギャング役で登場。
こりゃどう見ても狙ってる!としか思えん。服装も似てるし廃止された筈のヘアピースも使ってるとしか見えん。←11/5日記参照(http://13374.diarynote.jp/200711052348040000/)
…ファンサービスなのか?『トミー・ユードー再臨!』て。

いやまあ、私はミーハー女なので、やっぱりウィドマーク様にはヒーロー演じてカッコよく最後まで生き延びてもらうほうがイイ…と言明していますが、「死の接吻」を見て以来、「ウィドマークは悪役を演ってくれるほうがいいよ!」という人々(結構いる)の気持ちも、少しだけわかっちゃった気がするんですよね(あくまで少しだけですが)。
そんだけ、モノスゴイものがあったですよ…トミー・ユードー…(遠い目)

今回も、姿の見える前からギャハハハハハハ!と思いっきり下品に笑い声を響かせ、ハイテンション・ロウブローな強烈パフォーマンスで登場するなり画面をさらいます。
“Big man!”“My pal!”と、今は警官になってる昔馴染(デイル・ロバートソン)に呼びかける台詞まで、時代背景違う筈なのにトミー・ユードーそのまんま(ちょっと「軽め」にアレンジはしてますが)。だいたい監督も「死の接吻」と同じヘンリー・ハサウェイだもんね。まあ、オムニバス短編ならではのお遊び演出で、作品のオチ知ってる人にも見ごたえ増やしてくれたってことでは。私はオチも忘れていたので、余計に楽しめました(^^;)

第三話「最後の一葉」
有名すぎるお話。売れない画家(グレゴリー・ラトフ)に「前衛的すぎだ。1950年頃には理解されるかもしれんが」という楽屋落ちギャグを言う画商が笑えました。いやそうじゃなく、ほっといても感動せざるを得ない完璧なオチに、ジーン・ピータースとアン・バクスターの美人姉妹がゴージャスに華をそえます。監督はジーン・ネグレスコ。

第四話「赤い酋長の身代金」
身代金目当てに子供の誘拐に手をつけた詐欺師二人組だが、実はその子はそこらじゃ有名な超ワルガキだった…

10才の子供にヒドイ目にあわされるオバカな悪党にオスカー・レヴァントとフレッド・アレン。後者はどこかで見た気がするけど思い出せない。それなりに人気のコメディアンだったのかなあ。レヴァントはいつもの神経質そうなギャグ演技だが、正直この話は五話のうち一番つまらなく感じた。監督は巨匠ハワード・ホークスの筈なのだが…

第五話「賢者の贈り物」
出ました!って感じのネタですな。
クリスマスムードの街に、貧しいけれどアツアツの若夫婦。ファーリー・グレンジャーとジーン・クレインのカップルがえらく初々しく可愛くて好感もてました。どうというヒネリはないけれど、トリには相応しい作品。グレンジャーの職場の同僚に「地獄の戦場」でウィドマーク先生の教え子だったリチャード・ヒルトンがいたのにちょっと驚いた(笑)
まあ、彼に限らず、映画のあっちこっちに、どこかで共演した同士が山ほどバラけて居るんですが。FOXオールスター、ですか(笑)
監督はヘンリー・キング。なんと、三人目のヘンリーだ!!

全体に、納得のいく原作選択。
第四話だって、子供ネタだし田舎ネタだしでバラエティをというのはわかる…

ちなみに私の好きなオー・ヘンリー話で、出来ればとりあげて欲しかったな☆って作品は…(高学年〜中学生の頃よく読みましたから♪)
やっぱり、元金庫破りのジミィ・ヴァレンタインの話ですね!!(スタインベック先生もタイトルを挙げ、推していましたが)
ロマンチックもスリルも人情も兼備。いいと思うんだけどなあ!

DVD ジュネス企画 2007/03/26 ¥5,040
ついに見ました。Screen Legend な一作を。
時々一時停止させて辞書は引きつつですが(UK版なんで英語字幕のみですから)。
セミ・ドキュメンタリー調、というか、音楽(BGM)もごく控えめにして、渋く展開するサスペンス。
愛する家族を思うがゆえに密告者となる(バレれば当然狙われる)、根は善人な前科者ヴィクター・マチュアの脅えっぷりが意外に良かったです。結構息を呑んで鑑賞。

それだけ殺し屋リチャード・ウィドマークが、怖いんですが…(笑)
デビュー作なせいか、いつも以上にキレてるというか、声音も遥かにハイトーンで作ってて、ちょっと吃驚。のべつまくなしにcrazyにクスクス笑い、目はキラキラさせ(ギラギラというべきか?)、過剰なほど快活な癖に、たまに本気で物陰から睨む眼がまた迫力。
ナイトクラブで嬉々として自分の「最近のコロシ」を語るトミー・ユードー(ウィドマーク)の異様なまでのハイテンション演技には、「痴人の愛」の超落ち着きのない悪女ベティ・デイヴィスをふと思い出しました。

メイクも普段よりホラー寄り?
知的に見えてはイカンとかで、彼本来の広すぎるデコを隠匿するべく(ハゲではなく、広いだけ。念のため)、この映画じゃヘアピースで生え際のラインを変えたって話も聞きます。二作目の「情無用の街」では悪役とはいえ殺し屋やチンピラじゃなく、組織のボスに役柄がランクアップしたので、ヘアピースも無用になったそうな(爆)…よかった…

とにかく、まだ若く(30代半ば)、見るからにほっそりした中背のウィドマークが、その明るい邪悪さ凶悪さでもって、逞しい大男マチュアを圧倒するさまは、実に見もの(今時の映画と違って、ナマの暴力や流血描写はごく控えめなのに…!)。
もう、強烈そのもの!

私なぞ彼のファンになってから見たからアレですが、確かにコレをイキナリ見せられたら伝説にもなるよな…ははははは…(^^;)

やりすぎ一歩手前とも見えますが、コレで衝撃の映画デビューを果たした彼は、二作目以降、その狂気や狡知や凶暴さ具合を自由自在に調整して演技できることをアッサリキッチリ証明してみせるわけで。
やがてはブキミ笑いを、タフなヒーローの不敵笑いに転用するまで、そんなに時間はかからなかったのですよね。

いやーよかったよかった。

…そして「死の接吻」の話に戻ると…。
最後、捨て身の挑発でもって、殺し屋ユードーと対決する主人公。
肉を切らせて…とはいえ、至近距離であんなに撃たれてホントにいいのか?軽く苦笑。
防弾チョッキ持ってたわけでも何かサラシに巻いてたわけでもなさそうなのだが(^^;)

あと、どうでもいいけど主人公と結ばれるヒロイン(コリーン・グレイ)はなかなか清純でGoodでした。軽い役だけど。

そして、ブラヴォUK版!
なぜか、リーフリDVDプレイヤーにかけると、特典映像のウィドマーク・インタビューにも字幕が表示されたし♪←11/3日記参照(http://13374.diarynote.jp/200711032249540000/)
それに、14ページになんなんとする解説リーフレットもついている。

ウィドマーク・ファンは勿論、このテの映画(アメリカ製ノワール)の好きな人は、頑張って海外版を買おう!ちなみにUS版だと、特典内容がまた違う。
…も少し頑張ってよ日本版…高価な癖に特典皆無(涙)

http://www.dvdbeaver.com/film/DVDReviews19/kiss_of_death_dvd_review.htm

…そして。
その後、リーフリ機出してたついでだし♪とまた「襲われた幌馬車」US版DVDをドライブに入れると…なぜか、シネスコ画面の、上下切って全体を映す設定だったはずなのに、テレビサイズに左右が切れてしまう。
セットアップ画面で繰り返し設定し直しても直らない。なんでや〜(涙)

(追記)サポートセンターに電話すると、「送ってくれたほうがいいですね〜」と。手放した途端に待ち焦がれたUS版「地獄と高潮」が届いたら悲惨なので、むしろ早く修繕に出したほうがいいかなあ。一週間程度と言ってたし、着払いだし…(-"-;)

DVD ジュネス企画 2006/05/25 ¥5,040
見ると聞くとじゃ…
UK版「死の接吻」の、特典映像ウィドマーク・インタビューだけ、とりあえず通しで見る。

…うおおお、これは…………!

字幕はないけどインタビューの記事を他所で発見していたから、少しは聞き取りやすくはなってるのも確かだが、インタビュー記事を読むのと、インタビュー映像を見るのとでは、やっぱり感動が大違いだなあ!

2002年の映像。となると当時既に88才(更に計算すると今年93才か)。
最初は、ああさすがにトシのせいで声が昔ほど通らないような、と思ったのだけど、いくつかの質問に答えて次第にノってくると、随所にさらりとユーモアをにじませたスマートな応対は、そらもーカクシャクたるもの☆
強烈な役柄が多いので銀幕そのままと言うのとは少し違うけど、ちょっとした手振りやしゃべりかたに、ああこの人だ!ホンモノだし!という実感がじわりと湧いて、ただ感涙。

悪役でもヒーローでも、そして地味な役柄なら地味なように、どんな役でも「キッチリ仕事」しつつ、そこに毎回ふわりと独自の魅力をまぶしてのけてたウィドマーク様。そんな彼にいかにもふさわしい、クレバーで楽しいインタビューでした。文面で読んだ時は特になんとも思わなかったやりとりが、いちいち凄ーくステキでした。(ただインタビュアー君、バカ笑いしすぎだよー…イギリス英語だから聞き取りにくいしサ、この人)

…ごく一部しか映像化されてないのが、実に残念(約18分の収録)。
買ってよかった、ホントに!!!!!!(日本版買わなくてヨカッタ!)

↓ちなみにインタビュー記事はコチラ(英文)↓
http://www.bfi.org.uk/features/interviews/widmark.html

映画本編は、また、もっと時間がある時に見よう。うふふ♪
昨日はまた日記アクセスできなかったなあ…
でも、ここんとこ忙しくて、中途半端なネタしかないし(^^;)

とかいいつつ、実は…海外サイトでRichard Widmarkを検索してさまよっていて、衝動的に、彼のファンクラブに入会申込をしてしまいました(爆)

いやまあ、公式なモノではなく単なるYahoo!Groupsのファンの集まりなのだけど、がんばって英語で「入れて」とメッセージを送ったら承認してもらえて、皆さんの秘蔵の写真とか色々見られるページへ行けて嬉しかったです(*^^*)
意外と?ちゃんとミーハーしてるひとが何人もいて、大層励まされました(オイ)。

実家にウッカリ残してきた1950〜60年代の映画雑誌コレクションから、彼の記事をスキャンしてここにアップしてみたいなあ、などというアホな誘惑にもかられ始めました(そーゆーことをしてるんですよ英語圏のファンが)。マジでアホですかね私…

そんなことをしている間に、アマゾンUKに頼んだDVDも届いていました。「馬上の二人」と「死の接吻」。UK版だからPCにも(何もしなくても)映る♪…ただ、後者の特典映像“ウィドマーク・インタビュー”だけちょっと見てみたら、本編には字幕があるのにインタビューには無くて「ぐは!」と思いましたが。ま、幸か不幸かこのインタビューの内容は、全部かどうかワカランけど載ってるサイトを既に発見済だし、何とかなるでしょ。

ああ、でも、一日休める日はまだ何日も先だ。
ああ、我にもっと時間を!自由を!

艦長ホレーショ

2007年10月26日 映画
予約していた古いホレーショ・ホーンブロワー映画が届きました。
めでたい。でも見るのは週末かな。
(しかし、アマゾンてジュネス企画に恨みでもあるのかね。滅多に画像出ないしメーカー名ちゃんと出ないし…)

ただ、昨日の深夜、米アマゾンから「ご注文のDVDの出荷が予定通りにいきませんでした、出荷できるの多分2008年3月になりますがどーしますか」という、あまりの脱力感にくずおれてしまうよーなメールが届いたばかりなので、そのショックを十分和らげきれるかどうかといわれるとびみょーな程度の嬉しさなのだが…。

実は米アマ損に頼んでいた「地獄と高潮」には、DVDbeaver.comめぐりの際(10/22日記参照)、知らずに注文したのに「死の接吻」より更に凄く個人的には嬉しい映像特典がついてたと判明しており、今か今かと到着を待っていたのだが…(号泣)
米マーケットプレイスに何件も新品があったので、とりあえずソッコーキャンセルしてそっちに頼み直し。ちょっと割高になったけど、それでも送料込みで約20ドル(1ドル115円だよね今)。特典ろくにつけないクセに(画像もイマイチな時がある)、お高価いジュネス企画とは偉い違いだ。ああ、早く来てくれ。
…そういや「死の接吻」の日本版もジュネスだったなあ…

しかし来年3月って、なんだそりゃ…ほんとにもう…。めちゃショックだよ!

DVD ジュネス企画 2007/10/25 ¥5,040

白昼の決闘

2007年10月23日 映画
メロドラマティック西部劇大作(1946年)。
ジェニファー・ジョーンズは好みじゃないけど(それにインディアンの血が混じってるということでやや不自然に黒塗りなんだけど)、見始めると結構一気に見ちゃったな。

西部劇の爽快さより家族の悲劇、愛欲愛憎の悲劇って感じが勝っているが、キャストが豪華だからとにかく楽しい。
両親を亡くしたヒロインが引き取られる先の、大牧場の息子たちがジョセフ・コットンとグレゴリー・ペック。
優しく知的な兄がコットン、我儘奔放な色男の弟がペックである。
ついでに兄弟の両親…車椅子に乗った気難しい牧場主がライオネル・バリモア、優しく上品なその妻にリリアン・ギッシュ(サイレント以来の名優コンビだ!)。この二人にも、なかなかのドラマが隠されている。二人の心の行き違いから、夫は真面目な兄を疎んじ不良の弟を甘やかすという良くない状況が生まれた模様。
土壇場になって、彼らの心は再び通じ合うのだが、時は戻らない。
遅すぎた和解に、悲劇は生まれるべくして生まれる。

グレゴリー・ペックって、「いい人」ばっかじゃなく、ちょっとワルの入った役柄やるとかえって味の増すキャラだよなあと、前から思ってた。この作品はその好例のひとつ。
ヒロインは優しい兄に惹かれながら、弟の強引な求愛にはすぐ負けてしまうし(母親も多情な女という伏線がある)「最低の男!」と思っていながら何かあるとつい「あなたしかいない」とペックにしがみついてしまうのだが、それだけの妖しい魅力が、ペックの甘いマスクにはある(笑)

歪みを秘めた家庭で目一杯甘やかされて育ち、規則や人情に縛られるなんてまっぴら!と言って憚らず、倫理観なぞ薬にしたくもないのだが、ふとした時に見せる子供っぽい素直な表情が(子供っぽい表情でダメな行動取ったりもするが)、余計に可愛い。
本気を出せばカウボーイとしての技量もなかなかのもので、きちんと育てられていたら余程イイ男になっていたのだろうに…と思わせるところが、ヒロインをだめんずうぉーかーにしてしまうのだろうなぁ(うぉーかーといってもこのペック1人だけだが)。

ラストは西部劇としても異色の、ペックとヒロインとの決闘(殺し合い)となるのだが(古い映画だし今更ネタバレもなかろう)。壮絶かつ衝撃的な、愛憎の結末だが、まさかと思った彼女に撃たれ、撃ち返したあと、「殺しちゃったか?」と一瞬慌てた可愛い顔になる所とか、もう重傷で自分が死ぬと覚悟した時点で、もはや恥も外聞もなく「こっちへ来てくれ!時間がない!あと一度顔を見せてくれ!」とひたすら哀願の叫びを重ねるあたりも女心をくすぐります。それに応えるジェニファー・ジョーンズも大熱演。
ヒロインに対する行動はもう自分本位としかいいようのないバカ息子なのですが(自分は遊びだと言う癖、彼女に近づく男を情け容赦なく撃ち殺したり)、ちゃんと人を愛するやり方を教えられてこなかったんだろうなあという感じで…。

対する兄コットンが、また意外なくらいイイ感じ。
彼なりの正義感から、父親に批判的な行動を取ったばかりに勘当を食らうのだが、「バカな子(次男)ほど可愛い」モードに入ったきりの父親への愛がないわけでは決してなく、憂愁のかげりをただよわせたインテリぶりがなかなか(*^^*)
なまじヒロインを大事に思っていたがゆえに、不良の弟に横からさらわれ、それを強引に取り返すだけの骨はないのだが、それは要求しすぎかもしれない。
結局恋の相手としては、母親似のロマンティスト(多分)には、彼女は向いていなかったのだろう。
真のインテリは他人だけでなく自分にも厳しい。あえて損な方向へ黙々と踏み込む所は彼なりの筋の通し方である(弟との「決闘」は普通の西部劇ではありえない展開)。
最後の最後、この映画が終わったあとには、ようやく父とも和解し幸せな家庭を築けているのではないかと思われる。それだけの価値のある男として描かれているし、だからこそメロドラマのバランスが美しく整うのだ。

ちなみに唯一、西部劇的な感興を感じられたのは、鉄道会社と牧場主がモメる場面。広大そのものの風景の中、膨大な人数の配下のカウボーイたちが、四方八方から馬を駆ってかけつけてくる。
ディミトリ・ティオムキンのスケールの大きい音楽にのせて、ここはスカッといい感じだった。牧場主の意図自体は偏狭なものなのだが(それで長男ともモメる)。

やっぱり西部劇と家庭悲劇の掛け合わせは、これくらい豪華なキャストが要るのね。
西部劇×家庭悲劇という仕掛け自体に、私は結構そそられるものがある。
なのに、「折れた槍」という、リア王もどきな西部劇(「他人の家」なる現代劇のリメイクらしいが)が、私のご贔屓ウィドマーク様が出てる割に物足らなかったのは、父スペンサー・トレイシーはOKとして、長男リチャード・ウィドマークもまあ多分いいとして(スイマセン)、肝心の三男にロバート・ワグナーというのが格オチしすぎだったのではという気がしますな。せめてモンゴメリー・クリフトとか呼んでこい、です。個人的にはクリフト好きじゃないけど、存在感としてはそのくらいの役者が要るのでは。はは…

DVD ファーストトレーディング 2006/12/14 ¥500
欲しい海外版DVDの字幕有無を調べるため、初めてじっくり見たのだが、DVDbeaver.com の情報量、たいしたものだ。
画質その他のデータだけでなく、スクリーンショットも盛りだくさんで楽しすぎ。

そして色々見て回ってると、「死の接吻」のUK版には、なんと約18分ものリチャード・ウィドマーク・インタビューが特典映像として収録されているらしいと判明した!

いかん、買うべきはこっちか!?
他の四候補の倍以上の値段だが(苦笑)

「死の接吻」がウィドマークのデビュー作にして出世作(アカデミー助演男優賞候補)なのは分かっていたが、未見だったのだ(^^;)

デビュー作だから出番自体はそんなに多くなさそうな予感。そして、悪役度も特にヘヴィらしい(ミーハーなので本当はヒーローを演ってくれる方が嬉しい)。
それに、なんといっても主役のヴィクター・マチュアの濃すぎるルックスに、見る前におなかいっぱい感が!
そんなわけで、何となく敬遠していたのだった。…だが!この特典は凄いぞー!

だいたい海外盤でステキな特典があっても、日本盤になると削られてたりするもんね。
英語字幕もあるようだし。買うならこれと、字幕有りでしかも一番安かった「馬上の二人」。この二枚のまとめ買いだな。

ふふふ。ふふ。ふふふふふふ…
逢坂剛と川本三郎の対談形式。
逢坂さんはウィドマークファンだそうなことを知っているのでちょっと手に取る(この人の小説は約一冊しか読んだことないのだが)。

さて、西部劇は、私も好きだ。
荒野、銃、馬、西部をいろどる何もかもがステキに感じる。
だから、トシの割には結構見てる(昔のスターが好きだからだが)。

しかし、基本的には好きなスターの出てくるものや、評判が良くてキャストに納得のいくものをTVやビデオで追っかけてきたというスタンスなので、実際リアルタイムで青少年期から西部劇に浸ってきた、オジサマがたのノリにはついてゆききれない部分もある。
作品の発表からタイムラグがあるぶん、食わず嫌いがいろいろ生じてしまうんだよね。

たとえば、グレン・フォードってこんなにも西部劇を語るには外せない人だったのか〜!なのだが、なんとなく泥臭い雰囲気が私の好みでないので、思いっきり食わず嫌いしてるスターなのだ(あまり作品を見ずに言うのもなんだが…。こういう本とか読んでると、意外と幅広い役どころを演じてきているらしいのはわかった。分かったからと言って食わず嫌いが直るわけではないが)。

ちなみに西部劇気分が高まってるのは、ひとつには、今度は英国アマゾンをナニしようかな〜と、ここのところずっと軽く悩んでいるからである。
英国DVDなら、リージョン2だ。リーフリ機で見るだけでなく、PCで見るのも簡単♪

なんか英国版で、凄い渋くて素敵なジャケットの西部劇シリーズが出ているのである。しかも「悪の花園」のジャケットにピンの大アップであしらわれているのが何故かウィドマーク様だったりするので(普通ならトップ・ビリングのクーパーの筈)、もうクラクラ。
どうせならまとめて頼みたいかなあとか思うと、抱き合わせは多分「ワーロック」(これも同じシリーズ。大アップはフォンダだが格好いい!)、「馬上の二人」。西部劇じゃないが「暗黒の恐怖」もつけたっていい。四枚あわせて送料入れても30ポンド、つまり七千円そこそこ。金銭的にはこのくらい全然痛くないけど…

ただひとつ、どれも字幕の有無がわからないのが辛い。むしろなさそう?
「襲われた幌馬車」は、ないと思ってたら字幕ありでラッキー!だったが。
四本とも、一度は見たことある映画だから、何とかなるかとも思うけどね…

…うーん、そんなイタイ買い物し続けてていいのかワタシ?

http://www.amazon.co.uk/Garden-Evil-Gary-Cooper/dp/B0006M4S32/ref=wl_it_dp/026-0124329-7950074?ie=UTF8&;;;coliid=IN56ZB3NNUKYG&colid=1NZ43C2ADDVBK

(追記)DVD beaver.com あたりで確認すると四枚中三枚まで字幕なしな模様。ジャケ買いしたいくらいな「悪の花園」が字幕無いのは非常に残念(リージョン違い発行元違いの米版にはちゃんと字幕あるようだが)。
しかし、映画の方が先だから映画に罪はないんだが、「悪の花園」って連発しているとマンガ「愛と誠」を思い出してしまって仕方がない私っていったい…

ISBN:4403210759 単行本 川本 三郎 新書館 2001/05 ¥2,415
「ニノチカ」を鑑賞(初見)。「桃色の店〜街角」が良かったから。

これをリメイク&ミュージカル化した「絹の靴下」は既に見てる。
DVDも持ってる。私はフレッド・アステアのファンだから♪
でも、アステア(&シド・シャリース)の踊りと華やかなテクニカラーを差し引いても、さすがはルビッチ。堂々の見ごたえ!
セリフ回しや言葉遣いは「絹の靴下」って結構オリジナルからまんま引用してるものが多いけれど、諷刺的なギャグや人間関係の複雑微妙さは、オリジナルにこそ深みがあるなあ。
うーんなるほどー、なるほどー、と頷きながら笑っていました。

舞台は第一次大戦後のパリ。
ゴージャスな恋の都♪
そこへ見るからに不似合いでおマヌケなソ連の共産党員三人組がやってくる。
どうとかこうとか自分たちに言い訳しながら、政府指定の安宿でなく、高級ホテルのロイヤルスイートをとってしまうのは、人間のサガですわね(笑)

実は彼らは、政府が亡命貴族から没収した宝石類を「人民のため」売りさばくべくパリに来たのだが、ホテルから宝石商と電話でやりとりを始めると、それをホテルのウェイターの1人がみるからに怪しく盗み聞き!するりと職場を抜け出した彼が走った先は…(ここらの流れるような状況説明的展開は見事。すわ、何者!?とゾクゾクしました)
さて、今こそ素寒貧でウェイター稼業だが、実は、彼は元ロシアの亡命貴族だった!
一瞬驚いたが、そういやこの時代、激動の20世紀前半、パリはまさに、亡命者たちの坩堝だったのだ!レマルクの小説「凱旋門」(イングリッド・バーグマンとシャルル・ボワイエで映画化もされた)などでも知られている歴史的事実である。
いわば亡命者仲間であるウェイターのご注進を受け、宝石の元の持ち主の大公妃(現パリ在住)は、元々私の物だったのよ!と、さっそく行動開始する。

何しろロイヤルスイートが気に入る連中ですからね、大公妃の代理人(兼恋人。ヒモかも?)レオン(メルヴィン・ダグラス)による資本主義的大攻勢=酒池肉林と可愛いメイドさんたちに、三人組はあっというまに篭絡され、当然、ソ連当局は怒って新たな監督官を三人組のもとへ派遣する。

それが、共産主義の理想に燃える冷厳かつ美貌の「同志」ニノチカ(グレタ・ガルボ)。
大公妃との全面対決に備えて法令を研究するかたわら、祖国のために公共施設や建築物の見学もしておこうというデキる女。
その彼女にたまたま道を聞かれたレオン、彼女の正体を知らぬまま、「なんて美しくなんて風変わりな女性なんだ!」と熱烈に口説き始めたのだが…?

カチコチの共産主義信奉者で、パリで見るもの全てが資本主義的堕落に見えて、恋なんて化学反応よ、と言ってはばからないニノチカと、軽薄そのもの(但し愛嬌はある)な遊び人レオンのロマンスはかなり笑える。ガルボの硬質な美貌が、チラとも笑顔を見せないトンデモ系美女としてピッタリで、そのくせ「化学的には共鳴している」とかいって満更ではないのか?な展開、「艶笑喜劇ならルビッチ」の評判に恥じず楽しいです。
そして、ソ連の代表者と大公妃の代理人という、「実は敵対関係」な二人だった、という仕掛けや、その敵対関係を乗り越えても大公妃との三角関係というもう一つのヤマが待っている。この人間関係、ドラマの力学の面白さはさすがだ。

ちなみに、駅へ顔も知らない「新たな上司」を迎えに出かけた三人組が、「あの人かな?」と思って追いかけた男が「ハイル・ヒトラー!」と挨拶して相手と抱き合って(あっ違った)、というシーンもあってたまげました。おかしくも怖い時代背景です。
ルビッチも確かユダヤ系だったはず。
社会へのシニカルで冷徹な目線とロマコメが共存している。凄い…

「絹の靴下」は、もっとお気楽だった。時代背景が50年代になってただけでなく…
まあアステアが踊るだけで一定の価値が生まれるのでそれはそれで良いのだが。

うーん、こりゃ12月発売予定の「生きるべかき死ぬべきか」も予約だな。幸いお安いみたいだし(爆)←1500円

実はニノチカも画像の版でなく500円DVDで見たワタシ(笑)
某所でワンコイン廉価版注文したら品切れと言われ、反射的にFOX正規版買ってしまった(オークションで割安、1000円台にはなったが)。FOX版はかなりフィルムの修復してるようだから、結果的にはこれでよかったのかも。1952年作。

マリリン・モンローの初主演てことでそれなりの知名度のサスペンス映画。兼アン・バンクロフトのデビュー作。私の目当てはどっちでもないが…

NYのホテルを舞台に、恋人に愛想づかしされかけた男(リチャード・ウィドマーク)が、鬱憤晴らしに向かいの部屋の美女(モンロー)に声を掛けたらば…というオハナシ。
彼女は嬉々として彼を部屋に招き入れるが、実は恋人を亡くして精神不安定。ホテルの客ですらなくてベビーシッター…まあそれはいいのだが(いや良くないか。次第に子供を邪魔者扱いし出すし…)、何気なく関わった彼にとっては、あれよあれよのうちに事態はどんどんヘンな方向に。
え?この女おかしいんじゃ?と思っても、やっぱり恋人(バンクロフト)の仕事が終わる時間には駆けつけて仲直りしたいと思っても、なかなか脱出がかなわない。

モンローは子供っぽいアブナさと哀れさをにじませて役には合ってると思う。あと少し、たまにでもシャープな所があればいいんだけどねぇ、一本調子になるから。
まぁそこは、今回あくまで「受け」の芝居なウィドマークを始め、脇役陣がしっかりしてるので、地味な展開ながら破綻なくサスペンスが続き、一気に見れましたが。舞台劇みたいなノリ。話も短いからね(77分)。

モンローの“過去”を知るエレベータボーイの叔父さん(エリシャ・クック・Jr)とか、何かあるとすぐ騒ぐ野次馬根性旺盛な奥様とか、普段は無言のそのダンナとか、バーテンとかホテル専属女性カメラマンとか、いい子だけど普通に我儘も言う小さな女の子とか、皆いかにもな存在感。
開巻早々の、さっきまでバーテンと喋っていたバンクロフトがクルリと振り向いた途端にスポットが当たり、ホテルのバー付き歌手とわかるあたりなんかスマートです。
50年代の、オシャレなホテルの様子が印象的♪(エレベータ手動だよ!)

とはいえ最終的には、モンローの狂気もそんなに大惨事を引き起こすことにはならず、やっぱりちょっと物足りなさが。
そして折角のウィドマーク、極悪激烈ワルから頼もしいヒーローまで、的確な演技で「何でもできる」人だと思うんですが、今回徹底的にニュートラル。「フツーの男」に徹しているので、手堅いんだけどなんか勿体無い気もするしねぇ(ミーハーな私…)。
最初はどの程度善人か否か不明な描かれ方。
結構女慣れはしてそうだが…。エレベータでのエピソード見ると機転はききそう。時にシニカルな物言いをすることがあるらしいのは、個人的にはむしろ好みだ(オイ)
しかしだいたい、気の毒ですよ、この「フツーの男」。

登場時から、一方的な「別れの手紙」を受け取ってるためちょっとイラついてる。
結婚とか永続的な事はまだ何も考えてなかったようだけど、別に恋人の歌手を殴ったとか二股かけたとか明確な問題おこしたわけでもないみたい。それまで気があって逢うたび楽しくやってた彼女なのに「あなたって冷たい所がある、人を上っ面で批判したり、人間的に何かが欠けているみたい、先が心配だし別れたい」って、イキナリ言う?
ついついウィドマーク側にヒイキしがちな私だけど、ここらは何でそこまでエスカレートしたのかもう少しシナリオに書いといてほしかったなー。
恋人に別れ話切り出されてる最中に売り込みにまとわりつかれたら、誰でも冷たく当たると思うけど(^^;)
それとも気の毒な境遇だからこそ、モンローにコナかけても同情の余地ありって計算?

なので、ベビーシッター事件に巻き込まれた彼の様子を見て、「別に心底冷たいわけでもなく(多少口が悪いとしても)、根はちゃんと他人に共感したり同情したりもできる普通の人間だ」とようやく納得し「やっぱり仲直りしよう」となるバンクロフトを見ると、「うーん、そういうアンタこそ上っ面で批判してたんでないかい」と、つい苦笑してしまう。

映画中でもぼやいてたけど、本当に女には振り回されまくり、この主人公(^^;)

あと、なんか微妙にウィドマークの顔つきがいつもと違う感じ。モノクロ映画だけど、金髪が普段より黒っぽく感じるし、メークが違うのかね。はて?
普通のヒーローは大概ダークヘアなのに、逆をついて明るい金髪な所がいいんだけどな彼…(tall,dark,and handsome というそうです、欧米では)。

実際、男で金髪のスター=ヒーローって少ないよね(昔は少なかった。今は…?)。
少女マンガだと、金髪美青年って、定番だけど。
なんか昨日、アラン・ドロンがスマスマに出てたそうですね〜。

スマスマって何時にやってるんだっけ、と思ったけど二台のTVをそれぞれ別の家族が熱心に見てたので遠慮した(スマスマが何時か知らない時点で普通ではないかもしれん)。

…今になって、やっぱ見とけばよかったかな〜とちょっと残念。

今一番好きなスターは、別にいるけど(二番目も三番目も四番目もそれ以上も…)。
そもそも私は個性派好みだし(ウィドマークとか)。
それでも実は、私が洋画見始めたのは、結局「太陽がいっぱい」からですもんね。
中学生の頃、TVで見て、うお〜☆と思ったのだった!

ドロンといえば美男子の代名詞、というのは知ってた(それで見てみる気になった)。
だが、どんなかな?と、チャンネル合わせて見始めた最初は、「いうほど完璧美男子じゃないじゃん」と思っていた。私は「美男子でなきゃ」というのはないのだが、美男子度の判定については厳しい。
だが、一時間くらい見ていると、いつのまにか、うわ〜アラン・ドロン素敵すぎ〜!というような心境になっていた。ラストまでウットリ鑑賞すると、それから何年も、彼の映画を追いかけて見るようになった。
これは映画「太陽がいっぱい」全体の力ですな。あの音楽、あの映像、そしてドロン。

まあそれでも、「あと鼻先の線があと少し丸みがなければいいのに」と軽く不満は残していた(厳しいというか冷静というか)。目が凄く綺麗、というのはポイント高くて多少のことは妥協できるが、しかし百点満点の完璧美男なんてものは、やはり少女マンガの中にしかないと思う(それもどうかと思うぞ!とツッこまれるのは覚悟の上である)。

要するに彼は、洋画でミーハーすることを私に教えてくれた、最初の男優なわけだな。
私の一番、ではないけれど…
私の最初。
それは、やはり、ふと思い出して、突然気になりだしても仕方がないことだよね。
1980年代以降の作品は全く見ていないが、
70過ぎてからどんな顔になってたのかな…
どこかに番組写真くらいアップされてないのかしらん?
映画雑誌をチェックしてみようかな。

ちょっぴり、未練(^^;)
ようやく届きました(コンビニに取りに行きました)。
ヘンリー・フォンダもバーバラ・スタンウィックも、好きでもナンでもないのでしたが、ルビッチの「ニノチカ」を買うついでに、これも評判いいロマコメ(日本未公開だけど)と聞いてたので合わせ注文。
でももう楽天には複数注文出さないぞ。

「ニノチカ」より短かった(93分)ので先に見てみると…
うわー!楽しかったー!
いやぁ、こんなにおバカでお笑いに体を張ったヘンリー・フォンダって、初めて見た!コケてコケてコケまくる。特に後半、口があんぐり開きっぱなし。

タイトルからしてナンとアニメ仕立て。モノクロで古臭いけど意外!
ジーン(バーバラ・スタンウィック)と父親(チャールズ・コバーン)は詐欺師の父娘。豪華客船に乗り込んでカモを物色中、蛇の研究が趣味で見るからに世間知らずな社長令息チャーリー(ヘンリー・フォンダ)に狙いを定めます。彼女の大胆奔放な仕掛けや口説きに、チャーリーはあっという間に陥落。
ジーンもやがて、彼に本気になってしまうのですが、チャーリーのボディガード(ウィリアム・デマレスト)が詐欺師の正体に勘付いたため、結局2人は別れてしまう。

しかし、自分が真剣だったと信じてくれなかったチャーリーを恨めしく思うジーンは、詐欺師仲間のつてをたどって、大胆にもイギリスの貴族令嬢にバケてNYの彼のお屋敷へと乗りこむのでした。
まあここからの凄いこと(笑)
別れた彼女そっくりの「令嬢」を見て、呆けまくるフォンダと、また詐欺師娘か!見抜いてやる!と張り切るデマレストのズッコケ連携!
そして、いけしゃあしゃあ演技の冴え渡るスタンウィック、またまた彼を夢中にさせたところでデマカセな過去話で痛めつける(バックに切々と流れるタンホイザー序曲がまた笑える!)、でも本当は、本気で好きだったからこそイジメに来たんですよね。

んなアホな、という笑いとドタバタ、ロマンチック要素が絶妙にからみあって、素敵なエンディングへ一気になだれ込み、あー見てヨカッタ(*^^*)と、ホンワカいい気分で見終われます。噂に聞くプレストン・スタージェス監督、初見ですが、流石。
しかし最後までホントにおバカ…フォンダの役…(笑)その父=社長もおバカだが。
やはり名優と言われる人は、どんな役でもこなしきっちゃうんですね☆

待たされたけど、買ってヨカッタ(*^^*)

DVD ファーストトレーディング 2006/12/14 ¥500
ひさびさに「拾った女」(1953年)を再見。
ここんとこウィドマーク熱更に上がってるし(笑)

とにかく、モノクロ。フィルム・ノワール!(ただし一応ハッピーエンド)。
東洋的にすら感じる、人工的なモダン・ジャズの旋律にのせて浮かび上がる夜のNY!
皆がぶすっと無表情に揺られるラッシュの地下鉄、女タレこみ屋の小汚い部屋、ウォーターフロントのファンタジックな隠れ家(ハンモック吊ってたり、窓から箱に入れたビール瓶を海に沈めて冷蔵庫がわりにしたり、電気もなさげなくせ奇妙な魅力のある小屋だ)。
シャープなモノクロ映像の中に日常と非日常がクロスする…

うーん、先週「襲われた幌馬車」の時にも書いたが、アレの対極だなあ(大袈裟)
リチャード・ウィドマークが演じるのもそもそもプロの犯罪者(スリ)だし(笑)

スッた女の財布の中に共産スパイの盗み出した国家機密が入っていたことから、警察&FBI、スパイ組織の両方に追われながら旨い汁を吸おうと画策したりするのだが、最終的には正義(国家)の側につくのは50年代ならではですかね。いかにもな反共シナリオなんだけど(道義的にスリ>共産主義者w)、まあ気にしない。厳密には愛国心ではなく人情?による転向と言ってよさげだし。

殺し屋役で衝撃のデビューを飾っただけあって、ウィドマークのワルっぷりはいっそ颯爽たるもの。
口八丁と狡知のキレ味がなんとも無敵♪不敵笑いはいつもどおり。
職業柄、武器は一切使いませんけどね(アクション場面はちゃんとあるけど)。
そして財布を取り返しにきたジーン・ピータースとのハードボイルドな遣り取りがすばらしい。ボギーですら「古い」とか思えちゃうね♪
撫でたりドツイたり、硬軟バシバシ使い分け。さっき殴った所なのに(彼女が不法侵入してきたからだけど)「治してやろう」とか撫ぜ撫ぜするうち何故かキスしちゃったり。
色気で少しでも懐柔しようという気が彼女にもあるんだろうけど、そして据え膳は拒まないという彼なんだろうけど、頭より気持ちより、何か本能的な相性の良さがふぅっと湧き上がるようで、性急かつ唐突なくせ奇妙に魅惑的なロマンス場面になっている。

先にオチるのはむしろ彼女のほう。何で彼にホレちゃうのかよく分からないんだけど分かる、というのはこの二人のキャラクターと演技の呼吸がピッタリなのかな。
また、彼女は昔の彼氏に頼まれて共産スパイとは知らぬまま情報の受け渡しをさせられていたわけで。
まさにアレですね、所謂だめんずに引っかかりやすい性格なんですねきっと。根がMなんですね。今回ウィドマークもドSを通してるし。(「襲われた幌馬車」で馬車の車輪に縛られてたMな風情とも対極でありますな(笑))

ピータースがまた綺麗だし。キリっと勝気そうで、でも可愛くてセクシー。「お嬢さん」じゃなくて明らかにおミズ系なんでしょうが女の私から見ても魅力的。
まあ、だめんず・うぉーかーとはいえ、今回、ウィドマークの方は彼女の真心を受け入れて、何とか更正してくれそうです。
よかったねえ。(自虐の詩にはなるなよ〜(^^;))

そして中年の女タレこみ屋セルマ・リッターの演技がまたさらってくれます。
ミーハー心をさておいても、見所の多い作品ですよー(*^^*)

しかし、ジュネス企画ってまるきりDVD特典映像とかないよなあ。
米クライテリオン盤はいろいろついてるみたいなのに。
…しかし両方というのはあまりにアレかな…(リーフリ機買ったとはいえ)

DVD ジュネス企画 2004/06/25 ¥5,040
襲われた幌馬車 “The Last Wagon”(1956年)
日本盤がどうしても出ないので、ついに海外盤購入。
以前にTV放映されたものをビデオに録ってはあるのだが、やっぱりDVDのほうが綺麗だしノーカットだし!

西部劇だが、それほど有名な作品ではない。
まあ、デルマー・デイヴィス監督ですから(苦笑)
フォードやホークスのように、神様だの巨匠だのと奉られる存在ではない。
サミュエル・フラーのように、B級と思われてたのがヨーロッパで後にコアなファンがついて…なんてほどのこともない。…しかし!

ミーハー心だけで選ぶと、私のウィドマーク・ベストはサミュエル・フラーの「拾った女」。
彼の都会的なカッコよさが凝縮されてる。が、それを補完、というか、彼の魅力のうち「拾った女」にない要素を堪能しまくれるのが「襲われた幌馬車」ではないだろうか。

ファーストシーンは、ライフルを構え、彼方の敵に狙いを定める、鹿皮服に身を包んだウィドマークの後ろ姿だ。
銃声一発、河の中へと転げ落ちる敵の死亡を素早く確認すると、厳しい表情のまま再び走り去る彼。
そして、彼を追うのは保安官バッジを付けた男たち。
やがて、弾も体力も尽きたウィドマーク(3日も飲まず食わずらしい)が、追手側で一人だけ生き残った保安官に取り押さえられるまでの荒野の死闘が、ストイックかつ流れるような一連のアクションで描かれる。うーんイイ感じだ。

だがこれは、実は物語のプロローグに過ぎない。

丁度そこへ、西へ向かう幌馬車隊が通りかかる。
近くの町まで同道しようという話になり、保安官はウィドマークを馬車の車輪に縛り付けておいて、自分だけ幌馬車隊の夕食のご相伴に預かる。
が、善良な開拓者達は、護送中の犯人を扱う保安官の残忍さ、低劣な品性に鼻白む。
「自分の兄弟を四人も殺された」と言うが、殺人犯にも食べ物を運んでやろうとした善意の少年ビリーに、いきなり銃をぶっ放すのは人間としてアレだろう(威嚇射撃でも)。
保安官は咆える。「食い物など与えるな!こいつの名前はコマンチ・トッド。金髪や青い目に騙されるな。白人の癖にインディアン女を娶り、インディアンと暮らしてた。中身は腐ったコマンチ・インディアンそのものだ!」
暴虐な振舞は、やがて保安官の身を滅ぼす引金になるのだが…

ところがその夜、幌馬車隊のキャンプをアパッチが襲う!
生き残ったのは、悪戯心でこっそり夜中の水浴びに出かけていた若者たちとビリー、連れ戻しに行ったビリーの姉。そして、縛られたまま崖下に落ちたため、戦いも出来ないがトドメをさされるのを免れた「殺人犯」、その七人きり。

無知未経験なオンナコドモだけで、アパッチの跳梁する荒野を抜けて安全な土地まで辿りつけるわけがない。一縷の望みは、唯一のオトナであり、荒野とインディアンに詳しいコマンチ・トッドの経験と能力のみ――

実は保安官らを殺したのも、元々、保安官兄弟らが彼のインディアン妻と幼い息子たちを惨殺したのに対する復讐。根は決して悪人ではない彼は、親切にしてくれたビリーと姉のジェニーに、よければ自分が町の近くまで送り届けてやるが、と申し出る。
ヒール(悪役)が、一転してヒーローを演じる運命の逆転。

若者たち(の一部)の葛藤や反感をものともせず、厳しく、だが真摯にサバイバルな旅を指揮するウィドマークが、そらもー超カッコイイです。

結構若い頃でまだ40そこそこ、アクション・スターとしては最高のコンディションか。
ライフルありナイフあり斧あり弓あり手錠からジャランと垂れた鎖あり、とにかく矢鱈と色々な武器を駆使した戦闘場面がもうサービス満点て感じ。
「では偵察してくる」と、手錠をまだはめたまま、しゅた!と馬に飛び乗り駆け去る様など惚れ惚れするほどスマートですし。昔の雑誌記事読むと、ウィドマークは乗馬には結構自信持ってたそうなんですが無理もない(*^^*)とか思ったりして。

あまつさえ、素直に慕ってくるビリーへの態度に父性オーラ全開なのがまたオイシイ。
殺された息子たちの姿をビリーに重ねずにはおれないわけで、ここらの設定はベタだが説得力十分。
父性全開なウィドマークというのは割と珍しいが、いい味出てますよ〜☆
ビリーに兎罠の仕掛け方を教えたりする場面など、あぁぁなんて「カッコイイ父」なんだー、と溜め息がでます。やりかたをきちんと説明して、「さあまかせた」と信頼の後押しだけ与えてさっと離れる(勿論離れた所からちゃんと気を配ってもいる)。
くう〜、いいなあ〜(^^;)

同時進行のロマンスは、ビリーの姉ジェニー(フェリシア・ファー)がお相手。
他の四人が基本的にまだコドモなのに比べれば、両親のいないジェニーはビリーの親代わり。「ビリーをちゃんと育てるため」に特に愛もない相手の元へ嫁いでゆくべく幌馬車隊に加わったのだ。
おそらくその母性が、虐待されるコマンチ・トッドへの同情を生み、同時に、両親のいない彼女は彼の背後にある父性のオーラに惹かれたのだろう。また、野生と自由の体現者でもある彼は、彼女の思惑をいい意味で裏切る新鮮な部分も持っているわけだ。
恋には新鮮さが必須であるし♪

最初から何だかかなり積極的なジェニーに、擬似息子(ビリー)付きとあっては、「家族を失ったいたみ」を抱える孤独な男が、抵抗できるわけがないだろう。

とはいえ。
全編大好きなこの映画、しいて瑕疵をあげるとすれば、あとちょっと…あと、ちょっとだけ、ロマンス部分については更にセリフに一工夫欲しかった…
死んだ奥さんのことがある割には性急に進むから…(^^;)
他の登場人物(若者たち)の設定もバランスよくて巧いと思うので実に惜しいです。

タカビー美人で異母妹を厭うヴァル。インデイアンの母を持つその妹ジョリー(ヴァルとジョリーの父親は幌馬車隊のリーダー)。ヴァルに気があるカッコつけのクリント。気が優しく常識的なリッジ。
コマンチ・トッドとの旅を通じて成長してゆく彼らの姿も、ドラマにめりはりを添えます。
全体的に、ダレることなく、かなり練れてる脚本だと私は思う…(ラストは大甘だけど)。

出ずっぱりなのにウィドマークに冒頭から20分以上全くセリフなしというのも適切だよね(100分強の映画)。獣のように戦い、獣のように保安官に扱われるのが、幌馬車隊の善男善女の様子を見て初めてちらっと表情の変化を見せ(『こういう世界もあったか』という感じ)、姉弟に食物を運んでもらい落ち着いたところで漸く彼の声が聞ける(笑)
それに反比例して保安官のえげつなさが強調され、スムーズに主人公がヒール→ヒーローへの道筋へ滑り込めるわけですな。
インディアン絡みなテーマも良識的にいい感じで織り込まれていると思う。

キャスト等はこちら(http://www.imdb.com/title/tt0049434/)

しかしコレ、特典映像としてスチル写真やポスターギャラリーがついてるのだが、どーすればPC内に持ってこれるんだろうなあ…(T^T)
プレイヤーの説明書には、イマイチそーゆーファイルの扱いについて書いていない…
どうしたもんかな。くそー、負けないぞ〜



<追記>
その後、日本盤DVDも無事?出ました。画像ファイルも取り込みました。めでたしめでたし。
やたー!疲れて帰ると、待ちに待った米盤「襲われた幌馬車」が届いてた。
とりあえず動作確認!と、ディスクをリーフリ機に入れると、「海賊盤買うのは法律違反でっせ〜」というCMが流れ、それから突如。
画面に「パスワードを入れてください」との表示が!!

!なにソレ!

海賊盤でないしるしのパスワードとかですかい!?
ちょっとビビりながらDVDのパッケージをあらため、それでも分からないのでプレイヤーの説明書をひっくり返してみた。

あら…
「過激な暴力シーンなどをお子様が目にすることのないよう」規制レベルを設定できるんですか。そして工場出荷時のパスワードが○○○○って…
そんなん出荷時に設定しなくていいって!(爆)あとでユルめとこ。
ビビりましたがなチョッピリ。リーフリ機って法律的にグレー臭げだしな…

そしてやっとこ再生開始。おお!映る映る(当たり前)。
そしてもう一つの驚きは…英語字幕がついていたこと!
うおおお、らっきぃ!字幕のないディスクだとばかり思ってたよ♪
とりあえず十分かそこら見て、いったんストップ。
休日にゆっくり見るべ。しかも、明日、休日♪ふっふっふっふっ…

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