去年からの約束みたいなもんで。
2011年11月21日 映画 コメント (3)
実家に年賀状作ってやりに行く前に、朝十で「雨に唄えば」を見ていく。
去年三回も行ったけど、来年はもうないようだから、やっぱり今年もう一度見ておこうと思った。
普通の映画館で見れるのはもうないかもだから。
来月は「ショウほど素敵な商売はない」も再見しに行くぞ♪
去年三回も行ったけど、来年はもうないようだから、やっぱり今年もう一度見ておこうと思った。
普通の映画館で見れるのはもうないかもだから。
来月は「ショウほど素敵な商売はない」も再見しに行くぞ♪
1935年、ジョン・フォード監督作品。スカパー録画で視聴。
サイレント期を抜けてまだそれほどたっていないこともあり、演出特に音楽の使い方は古めかしいし、密告者(少々頭の弱い大男)の末路を描いた、ちっとも楽しくない話なのだが、周囲の人々の細やかな描写やいちいち構図の決まり加減がさすがはフォード。実は三分の一ほど見てから数日放っていたのだが、後半になるとなんだか引きこまれてツラツラ見てしまった。
独立を目指す地下組織が恒常的に活動しているイギリス統治下のアイルランド。ジッポ(ヴィクター・マクラグレン)は、恋人が「アメリカへ行きたい」と言うのを聞き、衝動的に、官憲に追われている旧友を密告して、二人分の運賃に相当する20ポンドを手に入れる。だが組織にはすぐにバレて…
ことの重大さを十分認識しないまま裏切り者になり、口から出まかせで他人に罪をなすりつけようとするジッポは醜い。「わかっていない」としてもちっとも清廉な男ではない。しかも、さっさと逃げればよいのに、大金に興奮してか無意味に酔って騒いで賞金と時間を無駄遣いする。無意識下で己の醜悪さが分かっているがゆえの愚行かもしれない。最後の教会のシーン、「許します、あなたは自分が何をしたのか分かっていなかったのだから…」て、これも聖書からの引用というかバリエーションであり、なるほどこう来たかと(ベタだけど)感心。冒頭にもユダのくだりが字幕で出たね。
古いしこういうテーマだしで何だか評価つけられないけど、当時評価が高かったのはわかるわね(アカデミー賞の主演・監督・脚本・音楽を獲ってる)。音楽も、マックス・スタイナーの曲自体は暗い力強さを備えており忘れ難いものがある。
ぬれぎぬをきせられかける仕立屋のオジサンがドナルド・ミークだった。弱々しいオジサンを演じさせるといつも印象的だよねこの人(笑)
サイレント期を抜けてまだそれほどたっていないこともあり、演出特に音楽の使い方は古めかしいし、密告者(少々頭の弱い大男)の末路を描いた、ちっとも楽しくない話なのだが、周囲の人々の細やかな描写やいちいち構図の決まり加減がさすがはフォード。実は三分の一ほど見てから数日放っていたのだが、後半になるとなんだか引きこまれてツラツラ見てしまった。
独立を目指す地下組織が恒常的に活動しているイギリス統治下のアイルランド。ジッポ(ヴィクター・マクラグレン)は、恋人が「アメリカへ行きたい」と言うのを聞き、衝動的に、官憲に追われている旧友を密告して、二人分の運賃に相当する20ポンドを手に入れる。だが組織にはすぐにバレて…
ことの重大さを十分認識しないまま裏切り者になり、口から出まかせで他人に罪をなすりつけようとするジッポは醜い。「わかっていない」としてもちっとも清廉な男ではない。しかも、さっさと逃げればよいのに、大金に興奮してか無意味に酔って騒いで賞金と時間を無駄遣いする。無意識下で己の醜悪さが分かっているがゆえの愚行かもしれない。最後の教会のシーン、「許します、あなたは自分が何をしたのか分かっていなかったのだから…」て、これも聖書からの引用というかバリエーションであり、なるほどこう来たかと(ベタだけど)感心。冒頭にもユダのくだりが字幕で出たね。
古いしこういうテーマだしで何だか評価つけられないけど、当時評価が高かったのはわかるわね(アカデミー賞の主演・監督・脚本・音楽を獲ってる)。音楽も、マックス・スタイナーの曲自体は暗い力強さを備えており忘れ難いものがある。
ぬれぎぬをきせられかける仕立屋のオジサンがドナルド・ミークだった。弱々しいオジサンを演じさせるといつも印象的だよねこの人(笑)
第三回午前十時の映画祭
2011年11月9日 映画 コメント (5)第三回もやりますって、告知は出ていたが、しかし…
http://asa10.eiga.com/2011/topics.html#topic20111025
がーん…
それって、もうやらないのに近いじゃないか(T^T)
ついに、ジョン・フォードが一本もないまま終わるのね。なんか納得イカンです。
自分の好みで見たい、というのとはまたちょっと違った部分で…
http://asa10.eiga.com/2011/topics.html#topic20111025
がーん…
それって、もうやらないのに近いじゃないか(T^T)
ついに、ジョン・フォードが一本もないまま終わるのね。なんか納得イカンです。
自分の好みで見たい、というのとはまたちょっと違った部分で…
SPACED ~俺たちルームシェアリング~
2011年11月6日 映画 コメント (4)
とりあえず、シーズン1の2枚を借りてみた(笑)
タップダンスの教室の近くのTUTAYAにあったので(しかも今週はオンラインクーポンも手に入ったので)。
疲れて帰ったあと、一枚目(三話入り)だけ見てみました。
カップルでないと貸せない、という格安優良物件(寝室は二つ)に住むため、知り合ってまだ二週間の友人にすぎないんだけど偽装夫婦としてルームシェア生活をおくるティム(サイモン・ペッグ)とデイジー(ジェシカ・スティーブンソン)とその周辺のやはりヘンな人々のイギリス製シットコム。
うーむ、なるほど。映画ほどじゃないけど、なまぬるい変なおかしみとともに、つい見てしまいますね。意味もなくホラーぶりっこする演出や、主人公たちのダメっぷりはほのぼのしてよろしい。最初のうちはティムのほうがデイジーよりちゃんとしてる感じだったが(ちゃんとお片付けが出来るだけで尊敬である)、そのうちゲームのコントローラばかり握ってるようになっちゃったな(笑)
サイモン・ペッグもキュートだけど、前衛芸術家プライアン役のマーク・ヒープもいいなあ。ニック・フロストは意外と太っていなくて最初誰かと思った(笑)
パロディギャグは私の見てない映画が多いので(未知との遭遇とSWは一応見てます。公開時に一度だけ…)、一番気に入ったのは、意外な男気を発揮したブライアンにかぶさる「荒野の七人」の曲だったりして。あーそれと、タイプライターを打ちまくるデイジーにかぶさるピアノ協奏曲もいいな。
タップダンスの教室の近くのTUTAYAにあったので(しかも今週はオンラインクーポンも手に入ったので)。
疲れて帰ったあと、一枚目(三話入り)だけ見てみました。
カップルでないと貸せない、という格安優良物件(寝室は二つ)に住むため、知り合ってまだ二週間の友人にすぎないんだけど偽装夫婦としてルームシェア生活をおくるティム(サイモン・ペッグ)とデイジー(ジェシカ・スティーブンソン)とその周辺のやはりヘンな人々のイギリス製シットコム。
うーむ、なるほど。映画ほどじゃないけど、なまぬるい変なおかしみとともに、つい見てしまいますね。意味もなくホラーぶりっこする演出や、主人公たちのダメっぷりはほのぼのしてよろしい。最初のうちはティムのほうがデイジーよりちゃんとしてる感じだったが(ちゃんとお片付けが出来るだけで尊敬である)、そのうちゲームのコントローラばかり握ってるようになっちゃったな(笑)
サイモン・ペッグもキュートだけど、前衛芸術家プライアン役のマーク・ヒープもいいなあ。ニック・フロストは意外と太っていなくて最初誰かと思った(笑)
パロディギャグは私の見てない映画が多いので(未知との遭遇とSWは一応見てます。公開時に一度だけ…)、一番気に入ったのは、意外な男気を発揮したブライアンにかぶさる「荒野の七人」の曲だったりして。あーそれと、タイプライターを打ちまくるデイジーにかぶさるピアノ協奏曲もいいな。
1999年、M.ナイト・シャマラン監督作品。
スカパーでやってたんで見てみました。
結構新しいのに、しかもホラーくさいのに何故かというと…そのうち「SPACED」も見るかもしれないから~ってなんじゃその理由は(笑)
児童心理学者マルコム(プルース・ウィリス)はある日、過去(子供時代)にカウンセリングをした青年ヴィンセントに突然襲われ銃で撃たれた。青年はそのまま拳銃自殺してしまい、マルコムを失意の底に叩き込む。翌年、どこかヴィンセントに似た悩める少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と出会ったマルコムは、コールを救えれば自分も、また壊れてしまった自分の家庭も救われるのではと思いつつカウンセリングに当たる。が、コールの問題行動は、実は死者の姿や声が「見え」てしまうためとわかり…
ホラーだけど全体にしっとりした雰囲気で、少年の問答無用ないたいけさに引きこまれる、泣ける系ホラー(笑)
ハーレイ・ジョエル・オスメント君、別に顔が可愛いとかってことも特にないんだけど(「父さんの銃見せてあげようか」って声かけてくる幽霊少年のほうがハンサムだ。…後頭部さえ見せなきゃな…ザクロ状の…(T^T))、こんなに幼いのにグロな死人ばかり見えてて、にもかかわらず、怯えるばかりでなくやがて真摯に立ち向かう決意をするのが凄い、凄すぎる。マルコム自身が問題を抱えて苦しんでいるのを知ったとたんに心を開いてくれたり、なんて優しい子なんだ!救われるどころか人?を救ってるじゃないか!たいがいの女性はこれにホロホロメロメロっとうたれることでしょう。
憂愁の笑みを貼りつけたブルース・ウィリスも悪くないけどまぁここは少年にさらわれちゃってしょうがないですな。愛らしく泣く子役とナントカには勝てませんし。
ああ、コール少年の母親トニ・コレットも良かったです。息子がついに秘密をうちあけるシーン、きっと彼女なら息子を支えてゆける、と安心させてくれるステキさでした。
ラストのオチは、あーそうきたのか、と。ネタじたいは悪くはないけど伏線の仕込み方、これはイマイチ弱いんじゃないかなあと思うので★3にとどめておきます(なぜカウンセリングを素直に受けてたのかなあとか)。でも結構ウルウル気分を楽しめました。ソフトホラーって感じかな。
あ、最初のほうで「酔うと口調がスース博士に似てくるわね」って言われてるけど、あれって絵本作家のドクター・スースのことじゃないの?…と、ちょっとツッコミ。
スカパーでやってたんで見てみました。
結構新しいのに、しかもホラーくさいのに何故かというと…そのうち「SPACED」も見るかもしれないから~ってなんじゃその理由は(笑)
児童心理学者マルコム(プルース・ウィリス)はある日、過去(子供時代)にカウンセリングをした青年ヴィンセントに突然襲われ銃で撃たれた。青年はそのまま拳銃自殺してしまい、マルコムを失意の底に叩き込む。翌年、どこかヴィンセントに似た悩める少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と出会ったマルコムは、コールを救えれば自分も、また壊れてしまった自分の家庭も救われるのではと思いつつカウンセリングに当たる。が、コールの問題行動は、実は死者の姿や声が「見え」てしまうためとわかり…
ホラーだけど全体にしっとりした雰囲気で、少年の問答無用ないたいけさに引きこまれる、泣ける系ホラー(笑)
ハーレイ・ジョエル・オスメント君、別に顔が可愛いとかってことも特にないんだけど(「父さんの銃見せてあげようか」って声かけてくる幽霊少年のほうがハンサムだ。…後頭部さえ見せなきゃな…ザクロ状の…(T^T))、こんなに幼いのにグロな死人ばかり見えてて、にもかかわらず、怯えるばかりでなくやがて真摯に立ち向かう決意をするのが凄い、凄すぎる。マルコム自身が問題を抱えて苦しんでいるのを知ったとたんに心を開いてくれたり、なんて優しい子なんだ!救われるどころか人?を救ってるじゃないか!たいがいの女性はこれにホロホロメロメロっとうたれることでしょう。
憂愁の笑みを貼りつけたブルース・ウィリスも悪くないけどまぁここは少年にさらわれちゃってしょうがないですな。愛らしく泣く子役とナントカには勝てませんし。
ああ、コール少年の母親トニ・コレットも良かったです。息子がついに秘密をうちあけるシーン、きっと彼女なら息子を支えてゆける、と安心させてくれるステキさでした。
ラストのオチは、あーそうきたのか、と。ネタじたいは悪くはないけど伏線の仕込み方、これはイマイチ弱いんじゃないかなあと思うので★3にとどめておきます(なぜカウンセリングを素直に受けてたのかなあとか)。でも結構ウルウル気分を楽しめました。ソフトホラーって感じかな。
あ、最初のほうで「酔うと口調がスース博士に似てくるわね」って言われてるけど、あれって絵本作家のドクター・スースのことじゃないの?…と、ちょっとツッコミ。
1936年、フランク・キャプラ監督作品。モノクロ。
スカパーでやってたので録画視聴。
田舎で小さな工場を経営するかたわらちょこっと絵葉書用の詩を書く青年ディーズ(ゲーリー・クーパー)に、突然大富豪だった伯父の遺産が転がり込む。
いたって素朴で善人な彼は「面倒だな」と思いつつ伯父の財団のスタッフとともに上京するが、受け取った資産に群がる関係者やマスコミや野次馬に傷つけられ、遺産を社会福祉に使って田舎に引っ込もうと考えたとたんに親族や弁護士から「頭がおかしい、財産管理能力なし」と告訴されて…
都会の金の亡者たちvs田舎出の善人、というわかりやすい構図で現代社会を批判するコメディ。主人公は純朴だが、欲深い周囲が期待するほど騙されやすいというわけではない。「自分で判断する」ことの大事さが身についている上、信念をもって正論を堂々と口にする主人公は強い。時々ポカリと手が出るのは余計だろうが、降りかかる火の粉はどんどん払ってしまう。時々妙に子供じみた振る舞いをする(広大な屋敷内で木霊を楽しんだり、階段の手すりをすべりおりるとか。…そういや「我が家の楽園」のジーン・アーサーも滑り降りていたなあ…)、まごうかたなき変人だが、NOと言える善人、知性も十分。堂々たるものだ。
彼が追い詰められるのは、自分をとりまく人々に絶望し自衛の気力をなくした時だけ。
希望を取り戻したとたんに無敵になる終盤がおかしい。
特ダネ狙いで身元を隠して近づき、様々な逸話をおもしろおかしく新聞に載せた美人記者ベイブ(ジーン・アーサー)も、やがて彼のまともさ加減に己を恥じ、彼を愛するようになる。が、自分から真実を打ち明けようとした寸前に彼にバレ、彼を絶望のどん底に叩き込むことに。ここのジーン・アーサーはちゃきちゃき、キリッとした都会的な色気を見せて魅力的。二人のデート、彼女が自分の田舎や家族の話をして、チューバ好きの彼と「スワニー河」のジャムセッションになるところなどとても良い。素朴な合奏には二人の間に通い始めた真情がにじみ、でもその後ろには秘密が…。うーむ切ない。
あーあ、クーパーがもう少し私の好みのタイプならいいんだけどなあ(爆)
とはいえ、特に後半はちょっとベタだけど、つい最後まで一気に見てしまいました。
キャプラ映画には市井のヘンな人、カワイイ人、が、いっぱいいるのは楽しめるところ。世話をさせてくれない新たなご主人に困りつつも、だんだんその魅力に惹かれてゆくお屋敷の召使たちも、田舎のヘンで内気な老嬢姉妹も、農場計画に応募してきてクーパーとサンドイッチを分け合うオジサンもよかった。
てなわけで、古いなりにそこそこ面白い。古いからこそか?
それにしてもこの邦題は何を考えてつけたんだろうなあ(原題は“Mr. Deeds Goes to Town”)
スカパーでやってたので録画視聴。
田舎で小さな工場を経営するかたわらちょこっと絵葉書用の詩を書く青年ディーズ(ゲーリー・クーパー)に、突然大富豪だった伯父の遺産が転がり込む。
いたって素朴で善人な彼は「面倒だな」と思いつつ伯父の財団のスタッフとともに上京するが、受け取った資産に群がる関係者やマスコミや野次馬に傷つけられ、遺産を社会福祉に使って田舎に引っ込もうと考えたとたんに親族や弁護士から「頭がおかしい、財産管理能力なし」と告訴されて…
都会の金の亡者たちvs田舎出の善人、というわかりやすい構図で現代社会を批判するコメディ。主人公は純朴だが、欲深い周囲が期待するほど騙されやすいというわけではない。「自分で判断する」ことの大事さが身についている上、信念をもって正論を堂々と口にする主人公は強い。時々ポカリと手が出るのは余計だろうが、降りかかる火の粉はどんどん払ってしまう。時々妙に子供じみた振る舞いをする(広大な屋敷内で木霊を楽しんだり、階段の手すりをすべりおりるとか。…そういや「我が家の楽園」のジーン・アーサーも滑り降りていたなあ…)、まごうかたなき変人だが、NOと言える善人、知性も十分。堂々たるものだ。
彼が追い詰められるのは、自分をとりまく人々に絶望し自衛の気力をなくした時だけ。
希望を取り戻したとたんに無敵になる終盤がおかしい。
特ダネ狙いで身元を隠して近づき、様々な逸話をおもしろおかしく新聞に載せた美人記者ベイブ(ジーン・アーサー)も、やがて彼のまともさ加減に己を恥じ、彼を愛するようになる。が、自分から真実を打ち明けようとした寸前に彼にバレ、彼を絶望のどん底に叩き込むことに。ここのジーン・アーサーはちゃきちゃき、キリッとした都会的な色気を見せて魅力的。二人のデート、彼女が自分の田舎や家族の話をして、チューバ好きの彼と「スワニー河」のジャムセッションになるところなどとても良い。素朴な合奏には二人の間に通い始めた真情がにじみ、でもその後ろには秘密が…。うーむ切ない。
あーあ、クーパーがもう少し私の好みのタイプならいいんだけどなあ(爆)
とはいえ、特に後半はちょっとベタだけど、つい最後まで一気に見てしまいました。
キャプラ映画には市井のヘンな人、カワイイ人、が、いっぱいいるのは楽しめるところ。世話をさせてくれない新たなご主人に困りつつも、だんだんその魅力に惹かれてゆくお屋敷の召使たちも、田舎のヘンで内気な老嬢姉妹も、農場計画に応募してきてクーパーとサンドイッチを分け合うオジサンもよかった。
てなわけで、古いなりにそこそこ面白い。古いからこそか?
それにしてもこの邦題は何を考えてつけたんだろうなあ(原題は“Mr. Deeds Goes to Town”)
1945年、ジョン・ブラーム監督作品。モノクロ。
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
ロンドン、1903年。将来を期待されるクラシックの作曲家ジョージ(レアード・クリーガー)は、激しい不協和音を聞くと時々記憶に空白ができ、我にかえると頭痛とともにぼうっと彷徨い歩いている自分に気がつく…ということが増えてきた。ある晩血痕をつけて帰宅した彼は、知らずに犯罪を犯したりしていないかと心配になり、スコットランド・ヤード所属の著名な精神科医ミドルトン(ジョージ・サンダース)に相談に行く。上着の血痕は自分自身のものだけで、ミドルトンは「過度の仕事(作曲)への熱中が精神のバランスを崩しかけている、もっと気分転換を図れ」とジョージに忠告するが、ジョージには、何より大切な音楽と距離を置くのは困難だ。
が、気分転換に酒場のショーを見に出かけたジョージは歌手のネッタ(リンダ・ダーネル)に心奪われ、即興で一曲書きあげ彼女にプレゼント。彼に興味はないのだが彼の曲欲しさに色目を使うネッタにジョージは振りまわされ(渾身のコンチェルトの作曲も途中だというのに!)、酷く傷つけられる。ストレスのあまり無意識の殺意と共に彷徨う彼は…
ホラー・クラシックというけど、サスペンス。サイコ・スリラーかな。
舞台が世紀の変わり目ロンドンで、キャスト・スタッフもかぶっている「謎の下宿人」の姉妹編的な感じだが、堂々主演のレアードがある程度ダイエットにも成功してちょっとロマンチックな雰囲気まで出してる。
ただ…急なダイエットが体調を悪くしたらしく、これはなんと若死にしたレアード・クリーガーの遺作となっている。まだ30代初めだったというに。惜しい、惜しすぎる!
のっそりと大兵肥満気味ながら、巻き毛にウブでひたむきなまなざし。そこそこ母性本能もくすぐるぢゃないか。ジョージ君、別に全然モテナイわけではなく、ピアノの教え子兼音楽界の重鎮の娘(フェイ・マーロウ)からも慕われているのである。なのに悪い女に当たっちゃったなあ…
これは、心に病を抱えた薄幸の、不運な音楽家の、哀しい話。
ついに完成したコンチェルト発表の日、オケをカーテンのかげからチラリと覗いて顔を伏せるレアードに号泣。
サンダースは最初と最後だけで「謎の下宿人」にくらべるとワキな感じでした。それに、へんにちょっかい出さず、演奏会くらいまってやったほうが結果的には良かったんじゃないか、とか、余計なことも考えちゃったりして(笑)
でもまあノン悪役パートなので嬉しいけど。あいかわらずピシッとダンディで頭よさげです。
突然作曲家を待ちうけてるところなんか「マン・ハント」ばりです(笑)
リンダ・ダーネルはそんなに好きな人じゃないけど色っぽいなあ困ったことに(笑)
フェイ・マーロウだって十分綺麗なんですけどね…
そしてまた、音楽が!バーナード・ハーマンなんですよこれが。
ハーマン節炸裂です。不気味な不協和音、そして甘いおののき。本格クラシックの品格もたっぷり。主役は半分くらいハーマンかもしれん…
バーナード・ハーマン好きは必見、必聴!の一作でもあります。
精神病理学的な説得力はあやしいが、まあ半世紀以上前の映画だし気にしない…。
三枚組ボックスについてはこちらが詳しいデス。
http://www.dvdbeaver.com/film2/dvdreviews33/fox_horror_classics.htm
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
ロンドン、1903年。将来を期待されるクラシックの作曲家ジョージ(レアード・クリーガー)は、激しい不協和音を聞くと時々記憶に空白ができ、我にかえると頭痛とともにぼうっと彷徨い歩いている自分に気がつく…ということが増えてきた。ある晩血痕をつけて帰宅した彼は、知らずに犯罪を犯したりしていないかと心配になり、スコットランド・ヤード所属の著名な精神科医ミドルトン(ジョージ・サンダース)に相談に行く。上着の血痕は自分自身のものだけで、ミドルトンは「過度の仕事(作曲)への熱中が精神のバランスを崩しかけている、もっと気分転換を図れ」とジョージに忠告するが、ジョージには、何より大切な音楽と距離を置くのは困難だ。
が、気分転換に酒場のショーを見に出かけたジョージは歌手のネッタ(リンダ・ダーネル)に心奪われ、即興で一曲書きあげ彼女にプレゼント。彼に興味はないのだが彼の曲欲しさに色目を使うネッタにジョージは振りまわされ(渾身のコンチェルトの作曲も途中だというのに!)、酷く傷つけられる。ストレスのあまり無意識の殺意と共に彷徨う彼は…
ホラー・クラシックというけど、サスペンス。サイコ・スリラーかな。
舞台が世紀の変わり目ロンドンで、キャスト・スタッフもかぶっている「謎の下宿人」の姉妹編的な感じだが、堂々主演のレアードがある程度ダイエットにも成功してちょっとロマンチックな雰囲気まで出してる。
ただ…急なダイエットが体調を悪くしたらしく、これはなんと若死にしたレアード・クリーガーの遺作となっている。まだ30代初めだったというに。惜しい、惜しすぎる!
のっそりと大兵肥満気味ながら、巻き毛にウブでひたむきなまなざし。そこそこ母性本能もくすぐるぢゃないか。ジョージ君、別に全然モテナイわけではなく、ピアノの教え子兼音楽界の重鎮の娘(フェイ・マーロウ)からも慕われているのである。なのに悪い女に当たっちゃったなあ…
これは、心に病を抱えた薄幸の、不運な音楽家の、哀しい話。
ついに完成したコンチェルト発表の日、オケをカーテンのかげからチラリと覗いて顔を伏せるレアードに号泣。
サンダースは最初と最後だけで「謎の下宿人」にくらべるとワキな感じでした。それに、へんにちょっかい出さず、演奏会くらいまってやったほうが結果的には良かったんじゃないか、とか、余計なことも考えちゃったりして(笑)
でもまあノン悪役パートなので嬉しいけど。あいかわらずピシッとダンディで頭よさげです。
突然作曲家を待ちうけてるところなんか「マン・ハント」ばりです(笑)
リンダ・ダーネルはそんなに好きな人じゃないけど色っぽいなあ困ったことに(笑)
フェイ・マーロウだって十分綺麗なんですけどね…
そしてまた、音楽が!バーナード・ハーマンなんですよこれが。
ハーマン節炸裂です。不気味な不協和音、そして甘いおののき。本格クラシックの品格もたっぷり。主役は半分くらいハーマンかもしれん…
バーナード・ハーマン好きは必見、必聴!の一作でもあります。
精神病理学的な説得力はあやしいが、まあ半世紀以上前の映画だし気にしない…。
三枚組ボックスについてはこちらが詳しいデス。
http://www.dvdbeaver.com/film2/dvdreviews33/fox_horror_classics.htm
1938年、フランク・キャプラ監督作品。モノクロ。
自由を愛するバンダーホフ家は、各人が盛大にやりたい事を追及する、陽気な変人一家。家長である祖父(ライオネル・バリモア)は何かやりたい事があるが出来ない人を見ると気軽に仲間として招き入れてしまうので、家はいつでもにぎやかを通り越して大騒ぎ。金儲けには興味がないので、地上げ屋に大金を積まれても家族の思い出深い家を引っ越す気はない。ところが孫娘アリス(ジーン・アーサー)と恋仲のトニー(ジェームズ・スチュアート)の父親カービー(エドワード・アーノルド)が、地上げ計画の黒幕の銀行家だったことから、トラブルが雪だるま式に膨れ上がり…
闊達な祖父とそれぞれ趣味に邁進する家族たちは魅力的。ただ、今じゃなかなか、ワークライフバランスとか言っても、生活費稼ぐための仕事を最低限にしておいてやりたい事にうちこむ、なんてことが実現するかどうかはあやしいけれど。
国に払ってちゃんと使われるか納得できないから所得税を払わない、なんてのも、今見るとどうかと思うけど、当時の観客は「そんなセリフ役人に言ってみたい!」なんてことで大受けしたのかもしれない。なかなかアナーキーです。時代の違いは否めないなぁ。
そういう違和感をさしおいても、「素晴らしき哉人生」(映画としてはこちらの方が上と思う)でオールタイムベストな悪役演技をモノしながら、こんなチャーミング爺さんもサックリ演じるバリモアはさすが。凄いねえ。
勿論、彼らに共感し両親に「ありのままのバンダーホフ一家を見せたい」と考えるスチュアートも若くて可愛いし、最初は強く反発しながら、次第にバリモアの人間性に降参してしまう銀行家アーノルドも更にいい。
でも、一番いいのは、ちょこちょこっとした脇役たち、市井の人々の点描が光ってるところかな。バリモアにスカウト?されて、おもちゃ作りに集中するためバンダーホフ家にやってくるドナルド・ミーク。変人揃いの周囲に最初ひたすらキョドってるのが次第になじんでくる所などえらく可愛い。バンダーホフ家・カービー家が揃って審理される夜間法廷の裁判長ハリー・ダヴェンポートも、出番はわずかだが酸いも甘いも噛みわけてって風情が凄くイイ。
アリスの妹がアン・ミラー(ダンサー志望。絶えずクルクル回ってる)だったのにはビックリした…
少し納得いかないのは若きカップルの片割れアリスの言動。祖父までカービー一家をかばおうとしてくれてるのに、真っ先にキレて家出して、ちょっと後先考えなさすぎなんでは…?
何か趣味があるのかどうかわからない唯一の人物だし、自由人一家の中では一番体裁を気にしてるような気がした。困ったものだ。
映画の主役はカップル以上に爺さんだが、スクリューボールコメディとも言えるかも…
自由を愛するバンダーホフ家は、各人が盛大にやりたい事を追及する、陽気な変人一家。家長である祖父(ライオネル・バリモア)は何かやりたい事があるが出来ない人を見ると気軽に仲間として招き入れてしまうので、家はいつでもにぎやかを通り越して大騒ぎ。金儲けには興味がないので、地上げ屋に大金を積まれても家族の思い出深い家を引っ越す気はない。ところが孫娘アリス(ジーン・アーサー)と恋仲のトニー(ジェームズ・スチュアート)の父親カービー(エドワード・アーノルド)が、地上げ計画の黒幕の銀行家だったことから、トラブルが雪だるま式に膨れ上がり…
闊達な祖父とそれぞれ趣味に邁進する家族たちは魅力的。ただ、今じゃなかなか、ワークライフバランスとか言っても、生活費稼ぐための仕事を最低限にしておいてやりたい事にうちこむ、なんてことが実現するかどうかはあやしいけれど。
国に払ってちゃんと使われるか納得できないから所得税を払わない、なんてのも、今見るとどうかと思うけど、当時の観客は「そんなセリフ役人に言ってみたい!」なんてことで大受けしたのかもしれない。なかなかアナーキーです。時代の違いは否めないなぁ。
そういう違和感をさしおいても、「素晴らしき哉人生」(映画としてはこちらの方が上と思う)でオールタイムベストな悪役演技をモノしながら、こんなチャーミング爺さんもサックリ演じるバリモアはさすが。凄いねえ。
勿論、彼らに共感し両親に「ありのままのバンダーホフ一家を見せたい」と考えるスチュアートも若くて可愛いし、最初は強く反発しながら、次第にバリモアの人間性に降参してしまう銀行家アーノルドも更にいい。
でも、一番いいのは、ちょこちょこっとした脇役たち、市井の人々の点描が光ってるところかな。バリモアにスカウト?されて、おもちゃ作りに集中するためバンダーホフ家にやってくるドナルド・ミーク。変人揃いの周囲に最初ひたすらキョドってるのが次第になじんでくる所などえらく可愛い。バンダーホフ家・カービー家が揃って審理される夜間法廷の裁判長ハリー・ダヴェンポートも、出番はわずかだが酸いも甘いも噛みわけてって風情が凄くイイ。
アリスの妹がアン・ミラー(ダンサー志望。絶えずクルクル回ってる)だったのにはビックリした…
少し納得いかないのは若きカップルの片割れアリスの言動。祖父までカービー一家をかばおうとしてくれてるのに、真っ先にキレて家出して、ちょっと後先考えなさすぎなんでは…?
何か趣味があるのかどうかわからない唯一の人物だし、自由人一家の中では一番体裁を気にしてるような気がした。困ったものだ。
映画の主役はカップル以上に爺さんだが、スクリューボールコメディとも言えるかも…
ショーン・オブ・ザ・デッド
2011年10月6日 映画 コメント (4)
2004年、エドガー・ライト監督作品。
昨日借りた一枚は、まさかまさかのゾンビ映画でした(笑)
ゾンビ映画なんか金出して見る日がこようとは…
いや、ゾンビにはキョーミがないけどコメディだかパロディだかというし、同監督・同じよーなキャストによる「ホット・ファズ」が結構面白かったから。
恋人リズ(ケイト・アシュフィールド)に振られたショーン(サイモン・ペッグ)は、親友でルームメイトのエド(ニック・フロスト)とともにヤケ酒ざんまい。だが、無気力無目的の毎日を過ごす彼らが気づかないうちに、英国は一夜にして大量のゾンビの跳梁する地獄となっていた。
隣人が、友人が、通行人が、ゾンビと化して襲ってくる!大事なリズや母親を守らねば、と立ちあがったショーン(とどこにでもついてくるエド)だったが、事態は凄惨の一途をたどり…
ばびゅーんワイプアウトや妙に挑発的なメリハリつけた画面転換の連発はここからもう始まってたんですね。
「ホット・ファズ」ではデキル男ペッグとダメデブ君のフロストの友情物語が心に染みましたが、ここではヘタレなペッグともっとずっとダメデブ君・プータローなフロストのアツイ友情が。
アホ丸出しだけど、なんて可愛いんだコイツら。
アクビをしながら起きてくるなり、エドの隣に座り込み、エドのやってる格闘ゲーに2コン握って参加するショーン。仕事のある日だというのに。このメンタリティもイイ。なんか親しめるなあ…
(最近はやっていないが、もちっと余裕のあった時代には、出勤前にコントローラ握ってたこともある自分であった。…独身ていいなあ。独身の時は私ゲームまだやったことなかったけどさ)
オフビートなノリの個性的なコメディ。ちょっとだけTVドラマ的なテンポとも感じる。タイトルバック含め、人々の日常生活の動きがびみょーにゾンビ的だったり、ゾンビ殴るリズムがバックの曲に綺麗にノっていたり。多分音楽がもっとわかったらもっと面白いんだろうな。セリフに出てこないと「クイーンの曲だ」ということすらわからない。私は英国ロックなんてまるきり知らないんで。音楽のセンスが良さそうな予感はするんだけど(笑)
何にしろ新しい映画もホラーも見ない私には、元ネタは右から左へダダもれだと思います。それでもやっぱり結構楽しかった。ほろりとさせられるシーンもあるし。でも、コミカルな場面もシリアスな場面も基本的に描写に抑制が効いているのが英国的に上品?でよろしいね。
ギャグが凝っていて字幕では理解しきれてないってのもあるかもしれないけど。
スプラッタは眼をそらしてやり過ごしました(笑)
…それにしてもショーンちのTV、なんで横っちょに「みむめ」ってひらがなで書いたステッカー貼ってるのかしら。ゲーマーだから日本に親しみあるのかしら。それってマヌケって意味かしら。
昨日借りた一枚は、まさかまさかのゾンビ映画でした(笑)
ゾンビ映画なんか金出して見る日がこようとは…
いや、ゾンビにはキョーミがないけどコメディだかパロディだかというし、同監督・同じよーなキャストによる「ホット・ファズ」が結構面白かったから。
恋人リズ(ケイト・アシュフィールド)に振られたショーン(サイモン・ペッグ)は、親友でルームメイトのエド(ニック・フロスト)とともにヤケ酒ざんまい。だが、無気力無目的の毎日を過ごす彼らが気づかないうちに、英国は一夜にして大量のゾンビの跳梁する地獄となっていた。
隣人が、友人が、通行人が、ゾンビと化して襲ってくる!大事なリズや母親を守らねば、と立ちあがったショーン(とどこにでもついてくるエド)だったが、事態は凄惨の一途をたどり…
ばびゅーんワイプアウトや妙に挑発的なメリハリつけた画面転換の連発はここからもう始まってたんですね。
「ホット・ファズ」ではデキル男ペッグとダメデブ君のフロストの友情物語が心に染みましたが、ここではヘタレなペッグともっとずっとダメデブ君・プータローなフロストのアツイ友情が。
アホ丸出しだけど、なんて可愛いんだコイツら。
アクビをしながら起きてくるなり、エドの隣に座り込み、エドのやってる格闘ゲーに2コン握って参加するショーン。仕事のある日だというのに。このメンタリティもイイ。なんか親しめるなあ…
(最近はやっていないが、もちっと余裕のあった時代には、出勤前にコントローラ握ってたこともある自分であった。…独身ていいなあ。独身の時は私ゲームまだやったことなかったけどさ)
オフビートなノリの個性的なコメディ。ちょっとだけTVドラマ的なテンポとも感じる。タイトルバック含め、人々の日常生活の動きがびみょーにゾンビ的だったり、ゾンビ殴るリズムがバックの曲に綺麗にノっていたり。多分音楽がもっとわかったらもっと面白いんだろうな。セリフに出てこないと「クイーンの曲だ」ということすらわからない。私は英国ロックなんてまるきり知らないんで。音楽のセンスが良さそうな予感はするんだけど(笑)
何にしろ新しい映画もホラーも見ない私には、元ネタは右から左へダダもれだと思います。それでもやっぱり結構楽しかった。ほろりとさせられるシーンもあるし。でも、コミカルな場面もシリアスな場面も基本的に描写に抑制が効いているのが英国的に上品?でよろしいね。
ギャグが凝っていて字幕では理解しきれてないってのもあるかもしれないけど。
スプラッタは眼をそらしてやり過ごしました(笑)
…それにしてもショーンちのTV、なんで横っちょに「みむめ」ってひらがなで書いたステッカー貼ってるのかしら。ゲーマーだから日本に親しみあるのかしら。それってマヌケって意味かしら。
1964年、クリスチャン・ジャック監督作品。フランス映画。
昔はずいぶん何度もTV放映してたっけ。
スカパーでやってたので懐かしく録画してしまった。
フランス革命直前の話だが、デュマとはほとんど関係がない。
貴族ばかりを襲う覆面の盗賊“黒いチューリップ”ことギョーム・ド・サン・プルー伯爵(アラン・ドロン)は、彼の正体をかんづいた憲兵隊長に顔に傷をつけられたため、顔がそっくりの弟ジュリアン(ドロン2役)を呼び寄せ、社交界での替え玉に仕立てる。ところが、内気だが理想家肌で革命思想にも共感するジュリアンは、兄が有名な『義賊』だったと知り、感動して自分なりの活動を始めてしまう(笑)
実はギヨームは正義のためではなく、自分のために強盗を働いていたのだったが…
フランス映画とは思えないような、えらく明るいコミカルタッチ、マンガチックな歴史活劇。ストーリーはまるで昔の少女マンガみたい。主人公(ジュリアン)より剣の腕が上かもなヒロイン(ヴィルナ・リージ、結構チャンバラに参加してます)、ひたすら馬鹿な捜査陣、全然バレない入れ替わり、ノリの軽い革命派、ジュリアンの剣や馬の上達の早さ、処刑前になんとかならんかったんかとか、ツッコミどころは数知れず。
とはいえ、それ以上を求めねば、ドロンの二役と軽快なアクションが楽しめるお気楽な一本。
顔は同じだが性格の違う兄弟ということで、特に最初のうちは『ジュリアン』てかなり軟弱で三の線(笑)、演じ分けはかなりドロン頑張ってます。
ドロンが純情青年?ウソーって、それが胡散臭いと受け入れられない人は、ワルの魅力漂うギヨームを賞味すればよいのでスキのない構成。ギヨーム、見掛けがジュリアンよりカッコイイ(笑)だけでなく、美味しい場面もちゃんとあるし。
結局ドロンて綺麗な顔が売りだけれど、観賞用甘甘二枚目じゃなくて「危険なオス」の匂いがするのがポイントだかならなあ。
ところでヒロインの親父さん(兼革命家)フランシス・ブランシュ、見ていて谷啓を思い出したのは私だけか?
あと、ギヨームの愛馬ヴォルテールが可愛かった。ギヨーム、女たらしだけど実際は女より、馬と弟の方が絶対好きだぞ。うん。
昔はずいぶん何度もTV放映してたっけ。
スカパーでやってたので懐かしく録画してしまった。
フランス革命直前の話だが、デュマとはほとんど関係がない。
貴族ばかりを襲う覆面の盗賊“黒いチューリップ”ことギョーム・ド・サン・プルー伯爵(アラン・ドロン)は、彼の正体をかんづいた憲兵隊長に顔に傷をつけられたため、顔がそっくりの弟ジュリアン(ドロン2役)を呼び寄せ、社交界での替え玉に仕立てる。ところが、内気だが理想家肌で革命思想にも共感するジュリアンは、兄が有名な『義賊』だったと知り、感動して自分なりの活動を始めてしまう(笑)
実はギヨームは正義のためではなく、自分のために強盗を働いていたのだったが…
フランス映画とは思えないような、えらく明るいコミカルタッチ、マンガチックな歴史活劇。ストーリーはまるで昔の少女マンガみたい。主人公(ジュリアン)より剣の腕が上かもなヒロイン(ヴィルナ・リージ、結構チャンバラに参加してます)、ひたすら馬鹿な捜査陣、全然バレない入れ替わり、ノリの軽い革命派、ジュリアンの剣や馬の上達の早さ、処刑前になんとかならんかったんかとか、ツッコミどころは数知れず。
とはいえ、それ以上を求めねば、ドロンの二役と軽快なアクションが楽しめるお気楽な一本。
顔は同じだが性格の違う兄弟ということで、特に最初のうちは『ジュリアン』てかなり軟弱で三の線(笑)、演じ分けはかなりドロン頑張ってます。
ドロンが純情青年?ウソーって、それが胡散臭いと受け入れられない人は、ワルの魅力漂うギヨームを賞味すればよいのでスキのない構成。ギヨーム、見掛けがジュリアンよりカッコイイ(笑)だけでなく、美味しい場面もちゃんとあるし。
結局ドロンて綺麗な顔が売りだけれど、観賞用甘甘二枚目じゃなくて「危険なオス」の匂いがするのがポイントだかならなあ。
ところでヒロインの親父さん(兼革命家)フランシス・ブランシュ、見ていて谷啓を思い出したのは私だけか?
あと、ギヨームの愛馬ヴォルテールが可愛かった。ギヨーム、女たらしだけど実際は女より、馬と弟の方が絶対好きだぞ。うん。
1978年、マイケル・クライトン監督作品 。
当時としては最先端ぽいメディカル・サスペンス(原作はクライトンでなくロビン・クック)。スカパーで録ったものを、久々に再見。なつかし~
ヒロインのスーザン(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)は大病院につとめる女医。ところが親友(ロイス・チャイルズ)が簡単な手術で原因不明の昏睡に陥ってしまったことから、何かウラはないかと病院内を探り始める。同僚兼恋人マーク(マイケル・ダグラス)や院長(リチャード・ウィドマーク)の困惑をよそにしゃにむに奔走するスーザンに、やがて怪しい人影が迫り…
病院の倫理とか臓器移植とか、そもそも大病院内って死体や臓器だらけでちょー不気味だよね、という話ですが、暴走気味なビュジョルドがむちゃくちゃ可愛くてよい。大きな瞳、チュンと尖った鼻、小柄で華奢でキュートな彼女はかなり日本人好みなんじゃないかな。もう30代も半ばな筈なのに、女学生みたい…いい意味で(^^;)。
小鹿のようにピュンピュン逃げつつ、時々驚くほどの思い切りの良さで殺し屋?に反撃をかまして血路を開く、中盤以降のアクションシーンは嬉しくなる出来栄え。小味だが結構楽しめるサスペンス映画だ。
もちろん昔も今もお目当てなウィドマーク先生も、「蜘蛛の巣」以来の医者役とあって、知的な眼光とロマンスグレイ(まだ金色が残っているが銀に移行しつつある途中って感じだ)の落ち着きでよろしい。まあ、このキャストだとやっぱ黒幕担当なんじゃないか…と、もう見る前から危惧させられるわけだけど、情緒不安定なスーザン医師の肩を抱き、頭をそっとなでなでして落ち着かせてくれる所なんかは、こんな優しげな上司だったらいいなー♪とも思わせてくれる(笑)
マイケル・ダグラスは、もちろん昨日見た「ガンヒルの決斗」のカーク・ダグラスの息子で、実際顔も良く似ているんだけど、ハンニャ顔っぷりが中途半端な分やはり親父さんのほうがまだいいかなあと思う私。マイケル君の映画は殆ど見てないので、本当は比べようもないんですが…(マイケルファンの人、いてたらスイマセン)。
当時としては最先端ぽいメディカル・サスペンス(原作はクライトンでなくロビン・クック)。スカパーで録ったものを、久々に再見。なつかし~
ヒロインのスーザン(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)は大病院につとめる女医。ところが親友(ロイス・チャイルズ)が簡単な手術で原因不明の昏睡に陥ってしまったことから、何かウラはないかと病院内を探り始める。同僚兼恋人マーク(マイケル・ダグラス)や院長(リチャード・ウィドマーク)の困惑をよそにしゃにむに奔走するスーザンに、やがて怪しい人影が迫り…
病院の倫理とか臓器移植とか、そもそも大病院内って死体や臓器だらけでちょー不気味だよね、という話ですが、暴走気味なビュジョルドがむちゃくちゃ可愛くてよい。大きな瞳、チュンと尖った鼻、小柄で華奢でキュートな彼女はかなり日本人好みなんじゃないかな。もう30代も半ばな筈なのに、女学生みたい…いい意味で(^^;)。
小鹿のようにピュンピュン逃げつつ、時々驚くほどの思い切りの良さで殺し屋?に反撃をかまして血路を開く、中盤以降のアクションシーンは嬉しくなる出来栄え。小味だが結構楽しめるサスペンス映画だ。
もちろん昔も今もお目当てなウィドマーク先生も、「蜘蛛の巣」以来の医者役とあって、知的な眼光とロマンスグレイ(まだ金色が残っているが銀に移行しつつある途中って感じだ)の落ち着きでよろしい。まあ、このキャストだとやっぱ黒幕担当なんじゃないか…と、もう見る前から危惧させられるわけだけど、情緒不安定なスーザン医師の肩を抱き、頭をそっとなでなでして落ち着かせてくれる所なんかは、こんな優しげな上司だったらいいなー♪とも思わせてくれる(笑)
マイケル・ダグラスは、もちろん昨日見た「ガンヒルの決斗」のカーク・ダグラスの息子で、実際顔も良く似ているんだけど、ハンニャ顔っぷりが中途半端な分やはり親父さんのほうがまだいいかなあと思う私。マイケル君の映画は殆ど見てないので、本当は比べようもないんですが…(マイケルファンの人、いてたらスイマセン)。
1959年、ジョン・スタージェス監督作品。カラー。
個人的にそんなに興味のあるキャストではないが、スタージェス西部劇(所謂決闘三部作)だから一回見ておこう、で、スカパー録画で見ました。いやー、なかなか面白かったですねー。
森の中、子連れの美女が、通りすがりの二人組に襲われ殺される。犯人たちはインディアン女だからと軽く見たのだが、彼女の夫は白人の保安官で凄腕ガンマンのマット(カーク・ダグラス)だった。遺留品の鞍を手掛かりに、犯人を求めてガンヒルの町を訪れたマットだったが、犯人は、今は町の顔役であり旧友でもある牧場主クレイグ(アンソニー・クイン)の溺愛する一人息子リック(アール・ホリマン)とその友人(ブライアン・ハットン)とわかる。
マットを殺したくはないが息子だけは渡せない、とクレイグは譲らない。ガンヒルを出る最終列車に、必ず犯人を連れて乗る、とこれまた固く決意するマットは、地元の保安官すら助けてくれない四面楚歌の中で…
冒頭、インディアン美女が襲われるシーンの直後に、町で子供たちにせがまれて決闘話をおもしろおかしく披露してやるダグラスのユーモラスな描写が入る。復讐心と男の意地の張り合いオンリーで息詰まる本筋の開始前にはさまれたこの場面が、いい感じのメリハリとダグラスへの共感を増して素敵だ。子供たちと戯れているところに悲報が届くのだが、犯人に対して、どんなに憎くともかつ困難があっても「あくまでも法の裁きをうけさせる」との主人公の一徹ぶりにはダグラスのハンニャ面がピッタリ、それでも本来は人間味のある男、というわけで。まあもともと、個人的好感度でいうと、アンソニー・クインよりはダグラスのほうがだいぶ上だしな。
クインもいつも通りネットリした演技で、困った親を熱演してる。あんまりホリマンとの年齢差はないような気もするんだけど。ホリマンは、ほんとに何回バカ息子を演じたら気が済むんだってくらいこういう役多いですね(^^;)
アゴが張りまくってるところはむしろダグラスに似てるような気もするが(笑)
クインに心を寄せながら息子第一の彼の態度に苦しんでいるキャロリン・ジョーンズの言動は、キーパーソンなんだけどよくわからない所が多くて残念。クインにももう少し背景描いてやればもっと傑作になったかとも思うけど、短いからこそテンポがよくて良いのかも。今のままでもホテルにこもってからは少しダレかけたりしてたしね。「決断の3時10分」の、やはりホテルにこもって列車の時間を待つシーンとか思いだしてるとあまり飽きないけれど。あっちとはあまりにも捕えた側と捕えられた側の力関係が違ってておかしい(笑)
ま、50年代くらいまでの西部劇は楽しかったなー、と思わせられた一作でした。
個人的にそんなに興味のあるキャストではないが、スタージェス西部劇(所謂決闘三部作)だから一回見ておこう、で、スカパー録画で見ました。いやー、なかなか面白かったですねー。
森の中、子連れの美女が、通りすがりの二人組に襲われ殺される。犯人たちはインディアン女だからと軽く見たのだが、彼女の夫は白人の保安官で凄腕ガンマンのマット(カーク・ダグラス)だった。遺留品の鞍を手掛かりに、犯人を求めてガンヒルの町を訪れたマットだったが、犯人は、今は町の顔役であり旧友でもある牧場主クレイグ(アンソニー・クイン)の溺愛する一人息子リック(アール・ホリマン)とその友人(ブライアン・ハットン)とわかる。
マットを殺したくはないが息子だけは渡せない、とクレイグは譲らない。ガンヒルを出る最終列車に、必ず犯人を連れて乗る、とこれまた固く決意するマットは、地元の保安官すら助けてくれない四面楚歌の中で…
冒頭、インディアン美女が襲われるシーンの直後に、町で子供たちにせがまれて決闘話をおもしろおかしく披露してやるダグラスのユーモラスな描写が入る。復讐心と男の意地の張り合いオンリーで息詰まる本筋の開始前にはさまれたこの場面が、いい感じのメリハリとダグラスへの共感を増して素敵だ。子供たちと戯れているところに悲報が届くのだが、犯人に対して、どんなに憎くともかつ困難があっても「あくまでも法の裁きをうけさせる」との主人公の一徹ぶりにはダグラスのハンニャ面がピッタリ、それでも本来は人間味のある男、というわけで。まあもともと、個人的好感度でいうと、アンソニー・クインよりはダグラスのほうがだいぶ上だしな。
クインもいつも通りネットリした演技で、困った親を熱演してる。あんまりホリマンとの年齢差はないような気もするんだけど。ホリマンは、ほんとに何回バカ息子を演じたら気が済むんだってくらいこういう役多いですね(^^;)
アゴが張りまくってるところはむしろダグラスに似てるような気もするが(笑)
クインに心を寄せながら息子第一の彼の態度に苦しんでいるキャロリン・ジョーンズの言動は、キーパーソンなんだけどよくわからない所が多くて残念。クインにももう少し背景描いてやればもっと傑作になったかとも思うけど、短いからこそテンポがよくて良いのかも。今のままでもホテルにこもってからは少しダレかけたりしてたしね。「決断の3時10分」の、やはりホテルにこもって列車の時間を待つシーンとか思いだしてるとあまり飽きないけれど。あっちとはあまりにも捕えた側と捕えられた側の力関係が違ってておかしい(笑)
ま、50年代くらいまでの西部劇は楽しかったなー、と思わせられた一作でした。
1944年、ジョン・ブラーム監督作品。モノクロ。
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
19世紀末ロンドン。街は “ジャック・ザ・リッパー”による連続殺人の話題でもちきりだ。ある夜、あからさまに怪しげな一人の紳士(レアード・クリーガー)が、下宿人の募集を始めたばかりの老夫婦(サー・セドリック・ハードウィック&サラ・オールグッド)の家に「広告を見た、部屋を借りたい」とやってくる。スレードと名乗った彼は、「深夜に出かけることもあるが気にしないでほしい」と、神経質そうに目を泳がせ、ぼそぼそ声で老夫婦にことわりを言う。(メイドもおり、中流家庭のけっこう立派な家である)。
老夫婦の姪キティ(マール・オベロン)は、売り出し中の女優。明るい性格の彼女は妙な雰囲気のスレードにも「是非私のショーを見に来てね」と誘う。老夫婦は次第にスレードの行動を怪しみ、キティの楽屋に来た直後に切り裂き魔に殺された女について調べに来たウォリック警部(ジョージ・サンダース)に相談する。切り裂き魔が襲うのは、なぜか女優や過去に舞台に出たことのある女ばかりなのだ。次に狙われるのはキティかもしれない!
スレードは本当に切り裂き魔なのか、そして切り裂き魔の動機とは?
ホラーというよりノスタルジック風味のサイコ・サスペンス。霧にけぶるロンドンは勿論セットだが、濡れた石畳も、迷路のような横町も、場末の居酒屋も、賑やかなミュージックホールも(オベロンは二曲歌い踊る)、陰翳に満ちた画面は雰囲気たっぷり。バスと言っても乗合馬車(オムニバス)だが、馬に引かれてた時代からロンドンのバスは二階建てなんだな~(*^^*)
ただ、「女優か舞台関係者ばかり」というのは史実とちょっと違うけどね。確か娼婦ばかりだったはず。ヘイズ・コードのせいですかねえ。
レアード・クレーガーの「一見弱々しいけど怖い」演技がイイ。クライマックスの豹変ぷりとみごとな対照だ。マール・オベロンも舞台ではコケティッシュ、普段は上品なお嬢さん、の堂々たるヒロインぶり。作品はあまり見ていないが(「嵐が丘」くらいか?)、横顔の方が綺麗かな。
もちろん私の最大のお目当ては、今回珍しく?正義の人、スコットランド・ヤードの警部を演じるジョージ・サンダース!警察官といえど世紀末の警察官はファッション的にもカッコいいです。制服姿もあるが、劇場にはりゅうとした燕尾服と白タイでキメて現れる。一癖あるキャラを演じることが多い人だけど、いつもより誠実な眼つき、いつも通り知的なオデコ(知的な人が好きなので、私の好みの人の大半はデコが広い)。沢山の部下をビシッと指揮しているのだが、捜査の合間にネコなで声で、ちゃっかりマール・オベロンを口説いてるのが笑える。クレーガーほどのインパクトは発していないが、緊迫感あふれる映画の中で、むしろ癒し系な存在?(笑)
満足です。(^-^)v
思わず、特典映像のメイキングもすぐ続けて見てしまった。
ロビーカードの付録がついてたり(生憎サンダースは写ってないけど)、なかなか充実したつくりのDVDボックスでした。
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
19世紀末ロンドン。街は “ジャック・ザ・リッパー”による連続殺人の話題でもちきりだ。ある夜、あからさまに怪しげな一人の紳士(レアード・クリーガー)が、下宿人の募集を始めたばかりの老夫婦(サー・セドリック・ハードウィック&サラ・オールグッド)の家に「広告を見た、部屋を借りたい」とやってくる。スレードと名乗った彼は、「深夜に出かけることもあるが気にしないでほしい」と、神経質そうに目を泳がせ、ぼそぼそ声で老夫婦にことわりを言う。(メイドもおり、中流家庭のけっこう立派な家である)。
老夫婦の姪キティ(マール・オベロン)は、売り出し中の女優。明るい性格の彼女は妙な雰囲気のスレードにも「是非私のショーを見に来てね」と誘う。老夫婦は次第にスレードの行動を怪しみ、キティの楽屋に来た直後に切り裂き魔に殺された女について調べに来たウォリック警部(ジョージ・サンダース)に相談する。切り裂き魔が襲うのは、なぜか女優や過去に舞台に出たことのある女ばかりなのだ。次に狙われるのはキティかもしれない!
スレードは本当に切り裂き魔なのか、そして切り裂き魔の動機とは?
ホラーというよりノスタルジック風味のサイコ・サスペンス。霧にけぶるロンドンは勿論セットだが、濡れた石畳も、迷路のような横町も、場末の居酒屋も、賑やかなミュージックホールも(オベロンは二曲歌い踊る)、陰翳に満ちた画面は雰囲気たっぷり。バスと言っても乗合馬車(オムニバス)だが、馬に引かれてた時代からロンドンのバスは二階建てなんだな~(*^^*)
ただ、「女優か舞台関係者ばかり」というのは史実とちょっと違うけどね。確か娼婦ばかりだったはず。ヘイズ・コードのせいですかねえ。
レアード・クレーガーの「一見弱々しいけど怖い」演技がイイ。クライマックスの豹変ぷりとみごとな対照だ。マール・オベロンも舞台ではコケティッシュ、普段は上品なお嬢さん、の堂々たるヒロインぶり。作品はあまり見ていないが(「嵐が丘」くらいか?)、横顔の方が綺麗かな。
もちろん私の最大のお目当ては、今回珍しく?正義の人、スコットランド・ヤードの警部を演じるジョージ・サンダース!警察官といえど世紀末の警察官はファッション的にもカッコいいです。制服姿もあるが、劇場にはりゅうとした燕尾服と白タイでキメて現れる。一癖あるキャラを演じることが多い人だけど、いつもより誠実な眼つき、いつも通り知的なオデコ(知的な人が好きなので、私の好みの人の大半はデコが広い)。沢山の部下をビシッと指揮しているのだが、捜査の合間にネコなで声で、ちゃっかりマール・オベロンを口説いてるのが笑える。クレーガーほどのインパクトは発していないが、緊迫感あふれる映画の中で、むしろ癒し系な存在?(笑)
満足です。(^-^)v
思わず、特典映像のメイキングもすぐ続けて見てしまった。
ロビーカードの付録がついてたり(生憎サンダースは写ってないけど)、なかなか充実したつくりのDVDボックスでした。
1967年、ロベール・アンリコ監督作品。
私にとって、フランス映画監督で「この二人ならば」の片方の人気作を、久しぶりに再見してみました(「もう一人」は勿論、フィリップ・ド・ブロカ!)。
原作は意外に「穴」と同じジョゼ・ジョバンニだったりしますが、料理長が違うと、重くない。
冒険精神旺盛な、若くハンサムな飛行士マヌー(アラン・ドロン)と新機軸のレースカー用エンジンを開発中のロラン(リノ・ヴァンチュラ)は、世代は違えど親友同士。二人はある日、前衛芸術家の卵レティシア(ジョアンナ・シムカス)と知り合い親しくなる。それぞれの夢に挫折を味わう破目になった三人は、新規まき直しとばかりにアフリカの海に沈んだお宝探しへ乗り出すのだが…
フランソワ・ド・ルーベの音楽がやっぱり素晴らしいです。夢破れてる割に船と装備買ってコンゴの海岸でダイビングって、「意外と余裕あるじゃん」とか思いますが(前半はちょっとダラダラしたとこがある気がするし)、子どものようにタワムレる三人の美しい映像と音楽のコラボがここちよく、ファンタジーとしてずるずる見てしまいました。妖精のようなシムカス、とことん優しく頼もしいバンチュラも勿論いいんですが、ミーハー的に見るとドロンがこれだけ美しく清らかな映画は、あんまりない気がします(あとはごく若い頃の「若者のすべて」くらい?)。
コンゴの海、そしてレティシアの故郷ラ・ロシェルの要塞島(要塞といっても孤島に建つ城館のような風情のある建築物!)、。美しい背景の中、後半彼らに襲いかかる、唐突なまでの悲劇も、名曲とアンリコのさらりとした抒情性にくるまれて、素直にほろりとさせられてしまいますね。
そして、三人ばかりがクローズアップされてますが、小さい役ながらさりげに漢を貫くセルジュ・レジアニの扱いにもニヤリ。銃でもって強引に三人の船に割り込んできますが、結構本気で三人が気に入ってたんですね…それともドロンが…?(笑)
私にとって、フランス映画監督で「この二人ならば」の片方の人気作を、久しぶりに再見してみました(「もう一人」は勿論、フィリップ・ド・ブロカ!)。
原作は意外に「穴」と同じジョゼ・ジョバンニだったりしますが、料理長が違うと、重くない。
冒険精神旺盛な、若くハンサムな飛行士マヌー(アラン・ドロン)と新機軸のレースカー用エンジンを開発中のロラン(リノ・ヴァンチュラ)は、世代は違えど親友同士。二人はある日、前衛芸術家の卵レティシア(ジョアンナ・シムカス)と知り合い親しくなる。それぞれの夢に挫折を味わう破目になった三人は、新規まき直しとばかりにアフリカの海に沈んだお宝探しへ乗り出すのだが…
フランソワ・ド・ルーベの音楽がやっぱり素晴らしいです。夢破れてる割に船と装備買ってコンゴの海岸でダイビングって、「意外と余裕あるじゃん」とか思いますが(前半はちょっとダラダラしたとこがある気がするし)、子どものようにタワムレる三人の美しい映像と音楽のコラボがここちよく、ファンタジーとしてずるずる見てしまいました。妖精のようなシムカス、とことん優しく頼もしいバンチュラも勿論いいんですが、ミーハー的に見るとドロンがこれだけ美しく清らかな映画は、あんまりない気がします(あとはごく若い頃の「若者のすべて」くらい?)。
コンゴの海、そしてレティシアの故郷ラ・ロシェルの要塞島(要塞といっても孤島に建つ城館のような風情のある建築物!)、。美しい背景の中、後半彼らに襲いかかる、唐突なまでの悲劇も、名曲とアンリコのさらりとした抒情性にくるまれて、素直にほろりとさせられてしまいますね。
そして、三人ばかりがクローズアップされてますが、小さい役ながらさりげに漢を貫くセルジュ・レジアニの扱いにもニヤリ。銃でもって強引に三人の船に割り込んできますが、結構本気で三人が気に入ってたんですね…それともドロンが…?(笑)
1960年、ジャック・ベッケル監督作品。フランス映画、モノクロ。
レンタルDVDで視聴。
フランス、ラ・サンテ刑務所。脱獄計画を練る男たちは、多少の逡巡の末新入りを加えた5人でひたすら穴を掘る。掘る道具も、見張りや偽装も、すべて自分たちの工夫と肉体で解決してゆく。逞しく寡黙でいかにもフランス的リーダーなロラン(ジャン・ケロディ)、いつも変な顔のジョー(ミシェル・コンスタンタン)、若い頃のカーク・ダグラスみたいなマニュ(フィリップ・ルロワ)、親しみやすい笑顔の“大僧正”(レイモン・ムーニエ)、この四人に比べれば何かおぼっちゃまな新入りガスパール(マルク・ミシェル)。個々人の描写は最低限なのだが、彼らの勤勉さにうたれて?あっというまに全員に心がなじんでしまう。音楽もなくひたすら淡々と、かつ緊張感たっぷりに描かれる脱獄の顛末は、…うーんやっぱりフランス映画ですね。面白くて、見入ってしまうけれど、やっぱ重い(^^;)
成功しようが失敗しようがちょっとでも「冒険」めいたコトがあればそこに夢を見てしまう英国映画テイストのほうがやっぱり私は好きだなあ、と思いながら見終わってしまいました。
天下の「穴」なんですけどね。いや、見ている間(特に中盤まで)はとても面白かったんですが。
もはやこれは「好み」の問題。
最後は『Fin』ではなく『Vous venez de voir(=You have just seen)』と出て、初めてポロンポロンと控えめに流れだす音楽(ピアノ)。フランス的お洒落感ありありです。
が!
なぜこの曲?というかこの曲の題名誰か知りませんか?
これって、日本未公開ミュージカル“Curtain Call at Cactus Creek”の中でドナルド・オコナーがタップ踊っていた曲と同じなんですが!…但し絶対映画のオリジナル曲じゃないと思う…
びっくらしました!!
(そして、監督の意図とはたぶん全然違う方向で、ホッとして嬉しくなりました(爆))
“Curtain Call at Cactus Creek”
http://www.youtube.com/watch?v=rCswIUV2HSI
レンタルDVDで視聴。
フランス、ラ・サンテ刑務所。脱獄計画を練る男たちは、多少の逡巡の末新入りを加えた5人でひたすら穴を掘る。掘る道具も、見張りや偽装も、すべて自分たちの工夫と肉体で解決してゆく。逞しく寡黙でいかにもフランス的リーダーなロラン(ジャン・ケロディ)、いつも変な顔のジョー(ミシェル・コンスタンタン)、若い頃のカーク・ダグラスみたいなマニュ(フィリップ・ルロワ)、親しみやすい笑顔の“大僧正”(レイモン・ムーニエ)、この四人に比べれば何かおぼっちゃまな新入りガスパール(マルク・ミシェル)。個々人の描写は最低限なのだが、彼らの勤勉さにうたれて?あっというまに全員に心がなじんでしまう。音楽もなくひたすら淡々と、かつ緊張感たっぷりに描かれる脱獄の顛末は、…うーんやっぱりフランス映画ですね。面白くて、見入ってしまうけれど、やっぱ重い(^^;)
成功しようが失敗しようがちょっとでも「冒険」めいたコトがあればそこに夢を見てしまう英国映画テイストのほうがやっぱり私は好きだなあ、と思いながら見終わってしまいました。
天下の「穴」なんですけどね。いや、見ている間(特に中盤まで)はとても面白かったんですが。
もはやこれは「好み」の問題。
最後は『Fin』ではなく『Vous venez de voir(=You have just seen)』と出て、初めてポロンポロンと控えめに流れだす音楽(ピアノ)。フランス的お洒落感ありありです。
が!
なぜこの曲?というかこの曲の題名誰か知りませんか?
これって、日本未公開ミュージカル“Curtain Call at Cactus Creek”の中でドナルド・オコナーがタップ踊っていた曲と同じなんですが!…但し絶対映画のオリジナル曲じゃないと思う…
びっくらしました!!
(そして、監督の意図とはたぶん全然違う方向で、ホッとして嬉しくなりました(爆))
“Curtain Call at Cactus Creek”
http://www.youtube.com/watch?v=rCswIUV2HSI
1972年、ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督作品(遺作らしい)。
ふと見たらHDD内に「スルース」もちゃんと録画してあったので(忘れてたんかい!)、「デストラップ」に続く怒涛の勢いでこちらも視聴。久しぶりの再見である(昔見たのもTV放映だった)。うんうん、やっぱり、こっちのほうがより楽しいなあ。
それに、「デストラップ」の主人公たちの目指すものはカネと成功だが、「スルース」の死闘は人間の尊厳とオスのプライドを賭けたもの。意地悪のための意地悪、気取って飾り立てた悪意がギンギンに輝いているのだ。そう考えれば深み?が違うかな?(笑)
超豪華好事家的お屋敷に住む推理作家アンドリュー・ワイク(ローレンス・オリヴィエ)は、ある日妻の愛人の美容師マイロ(マイケル・ケイン)を呼びつけて、「あの贅沢な妻と付き合うのは物入りだろう、保険金目当ての偽装盗難事件の演出に一役かってくれないか(宝石はマイロ、保険金はワイクが取る算段)」と依頼する。だが、ワイクの真意は…
これでもほんの序盤だが、あとはあえて書かないでおきます。最近リメイクされたからネタ知ってる人も多いかもしれませんけどね(私自身は、M・ケインがワイク役をやるとか言うのでへぇぇと思ったけど、新しい方は見てません)。
可能なら最初の一回はなるべく予備知識なしに見る方が楽しいですよ。
新旧二大英国スターが丁々発止(当時はまだケインも「新」といえる若さだったのサ)、いかにも元舞台劇らしいケレン味タップリの作品。限られた空間での進行、演技にも展開にも舞台劇くささはたっぷりだが、舞台となるお屋敷の美術が凄いので映画にした甲斐は十分では。
冒頭、ワイクの屋敷をたずねてきたマイロがふみこむ庭の迷路にまずドギモを抜かれます。でかい。ハンプトンコートとか、大きな城館には生垣の迷路をあしらった庭園が実際時々あるんですが、古典的推理小説作家ワイクの「こだわり」を語って余りあります。家の中にも、そこらじゅうにゲームやミステリのジオラマや愛らしくもブキミな人形(その多くが仕掛けのあるオートマトン)があふれていて、野次馬として訪れたらどんなにか楽しいだろうとワクワクである(私的には迷路が最高だが)。壁際にはクリスティの写真やエドガー賞(推理小説界のアカデミー賞とでも思ってくれて良い)受賞者に贈られるポー像まで飾られている(戯曲を書いたアンソニー・シェイファーが別作品で受賞した私物!だそうな)。
土地の名士な初老の有名作家と、イタリア系移民の子の、若くてピチピチな成り上がり美容師。階級差と世代差を互いに強く意識しつつ、の仁義なき戦い。二人とも山のようなセリフをマシンガンのようにまくしたて、鮮やかかつ熱演だが、私はどうもローレンス・オリヴィエという人にちっとも魅力を感じたことがない(そんなに色々見てもいないのだが)。ついついマイケル・ケインにばかり目が行っていた(笑)
いや、ケインだって別に好みではないのだが、さすがはケイン、オイルのようにたらーりたらりとキザと色気が垂れて流れてきてます。まあ、そういう役ですし(笑)
そして、忘れられないのがジョン・アディスンのスコア。メイン・テーマは軽快な中にもちょっとイジワルそうな棘を含ませて印象的。同じくひとひねりしたミステリ映画「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」も、遊び心と抒情とサスペンスを縦横に味あわせてくれる実に素晴らしい出来で、これはサントラ持ってます(そこまで好きではないけどなんとなく「遠すぎた橋」も持ってます)。なんというか、知的な作曲家さんなんですねきっと。
どんでん返しやトリックが分かってからでも、この美術と音楽だけで結構再見の価値あり。エンディングの、計算ずくの中途半端さも面白い。最後までイジワルな味わいがやっぱり英国的で(アメリカ映画だけど)楽しめました。
ふと見たらHDD内に「スルース」もちゃんと録画してあったので(忘れてたんかい!)、「デストラップ」に続く怒涛の勢いでこちらも視聴。久しぶりの再見である(昔見たのもTV放映だった)。うんうん、やっぱり、こっちのほうがより楽しいなあ。
それに、「デストラップ」の主人公たちの目指すものはカネと成功だが、「スルース」の死闘は人間の尊厳とオスのプライドを賭けたもの。意地悪のための意地悪、気取って飾り立てた悪意がギンギンに輝いているのだ。そう考えれば深み?が違うかな?(笑)
超豪華好事家的お屋敷に住む推理作家アンドリュー・ワイク(ローレンス・オリヴィエ)は、ある日妻の愛人の美容師マイロ(マイケル・ケイン)を呼びつけて、「あの贅沢な妻と付き合うのは物入りだろう、保険金目当ての偽装盗難事件の演出に一役かってくれないか(宝石はマイロ、保険金はワイクが取る算段)」と依頼する。だが、ワイクの真意は…
これでもほんの序盤だが、あとはあえて書かないでおきます。最近リメイクされたからネタ知ってる人も多いかもしれませんけどね(私自身は、M・ケインがワイク役をやるとか言うのでへぇぇと思ったけど、新しい方は見てません)。
可能なら最初の一回はなるべく予備知識なしに見る方が楽しいですよ。
新旧二大英国スターが丁々発止(当時はまだケインも「新」といえる若さだったのサ)、いかにも元舞台劇らしいケレン味タップリの作品。限られた空間での進行、演技にも展開にも舞台劇くささはたっぷりだが、舞台となるお屋敷の美術が凄いので映画にした甲斐は十分では。
冒頭、ワイクの屋敷をたずねてきたマイロがふみこむ庭の迷路にまずドギモを抜かれます。でかい。ハンプトンコートとか、大きな城館には生垣の迷路をあしらった庭園が実際時々あるんですが、古典的推理小説作家ワイクの「こだわり」を語って余りあります。家の中にも、そこらじゅうにゲームやミステリのジオラマや愛らしくもブキミな人形(その多くが仕掛けのあるオートマトン)があふれていて、野次馬として訪れたらどんなにか楽しいだろうとワクワクである(私的には迷路が最高だが)。壁際にはクリスティの写真やエドガー賞(推理小説界のアカデミー賞とでも思ってくれて良い)受賞者に贈られるポー像まで飾られている(戯曲を書いたアンソニー・シェイファーが別作品で受賞した私物!だそうな)。
土地の名士な初老の有名作家と、イタリア系移民の子の、若くてピチピチな成り上がり美容師。階級差と世代差を互いに強く意識しつつ、の仁義なき戦い。二人とも山のようなセリフをマシンガンのようにまくしたて、鮮やかかつ熱演だが、私はどうもローレンス・オリヴィエという人にちっとも魅力を感じたことがない(そんなに色々見てもいないのだが)。ついついマイケル・ケインにばかり目が行っていた(笑)
いや、ケインだって別に好みではないのだが、さすがはケイン、オイルのようにたらーりたらりとキザと色気が垂れて流れてきてます。まあ、そういう役ですし(笑)
そして、忘れられないのがジョン・アディスンのスコア。メイン・テーマは軽快な中にもちょっとイジワルそうな棘を含ませて印象的。同じくひとひねりしたミステリ映画「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」も、遊び心と抒情とサスペンスを縦横に味あわせてくれる実に素晴らしい出来で、これはサントラ持ってます(そこまで好きではないけどなんとなく「遠すぎた橋」も持ってます)。なんというか、知的な作曲家さんなんですねきっと。
どんでん返しやトリックが分かってからでも、この美術と音楽だけで結構再見の価値あり。エンディングの、計算ずくの中途半端さも面白い。最後までイジワルな味わいがやっぱり英国的で(アメリカ映画だけど)楽しめました。
デストラップ-死の罠-
2011年9月16日 映画 コメント (2)
1982年、シドニー・ルメット監督作品。
一回見てみたいなと思いながら結局ほってあったタイトルを、スカパー録画で視聴。
金持ち妻(ダイアン・キャノン)と二人、とても趣味的で素敵なおウチに暮らす大スランプの劇作家シドニー(マイケル・ケイン)が、「教え子クリフ(クリストファー・リーヴ)の書きあげた傑作シナリオ(まだ誰も中身を知らない筈)を何とか我がモノにしたい。もー辛抱たまらん」と、クリフを呼びつけ仕掛けた罠は…
アイラ・レヴィン原作戯曲による好事家的サスペンス・コメディ。
マイケル・ケインも出てるし「探偵≪スルース≫」みたいな映画、とか言われると、どうしても"どんでん返し連発"をこちらも予期してしまうので、十分ビックリできないところもあるし、どんでん返しのためのどんでん返しみたいな作り物くさい展開、舞台くさすぎる演出もあるが、まあそういうのもキライじゃないので、そこそこ楽しんで見た。
といっても「普通に楽しかった」程度かな?
ラストはなんだコレか~ってところも(笑)
かつて「大物に挑む若者」だったケインは、今回は逆に師匠の立場だがかなり三の線で(ハラの出たユルミっぷりを強調する身ごなし)ドタバタした熱演。上手いのは上手いんだけどね…あとは好みだから…
さわやかスーパーマンから一転し、「ちょっとキモチ悪いところもある」あやしいハンサム青年を演じるリーヴも珍しくていい。メイクの工夫とかもあるだろうけど、役者ですねえ。興味深く見入ってしまった。
霊媒おばさんアイリーン・ワースは、結構重要な役なんだけどイマイチだったなぁ(それでラストの評価が辛くなる?)。スットンキョウな悲鳴を上げ続けるダイアン・キャノンのほうが、バカバカしくてよかった。不評みたいだけど、どうせ人工的極まりないオハナシなんだし、このくらい派手にやらかしてくれたほうがいっそすがすがしいと思う私…
ヘンデルをあしらったBGMはラブリーでよいが、やっぱり「探偵≪スルース≫」の方がなにかと上だね。お屋敷の凝りっぷりとか、ゴージャス感も上だしね…。デストラップのオウチは素敵だけど「私のカントリー」って感じです。
ローレンス・オリヴィエはあまり好きになれないけど(それを言うならケインもそんなに好みじゃないが。古典的英国紳士は大好きなのでイギリス系の俳優さんに好きな人が多いのだが、ケインもオリヴィエも何かが違うのだ。やっぱ絶滅危惧種、いや既に絶滅済なのだろうなあ…)。
一回見てみたいなと思いながら結局ほってあったタイトルを、スカパー録画で視聴。
金持ち妻(ダイアン・キャノン)と二人、とても趣味的で素敵なおウチに暮らす大スランプの劇作家シドニー(マイケル・ケイン)が、「教え子クリフ(クリストファー・リーヴ)の書きあげた傑作シナリオ(まだ誰も中身を知らない筈)を何とか我がモノにしたい。もー辛抱たまらん」と、クリフを呼びつけ仕掛けた罠は…
アイラ・レヴィン原作戯曲による好事家的サスペンス・コメディ。
マイケル・ケインも出てるし「探偵≪スルース≫」みたいな映画、とか言われると、どうしても"どんでん返し連発"をこちらも予期してしまうので、十分ビックリできないところもあるし、どんでん返しのためのどんでん返しみたいな作り物くさい展開、舞台くさすぎる演出もあるが、まあそういうのもキライじゃないので、そこそこ楽しんで見た。
といっても「普通に楽しかった」程度かな?
ラストはなんだコレか~ってところも(笑)
かつて「大物に挑む若者」だったケインは、今回は逆に師匠の立場だがかなり三の線で(ハラの出たユルミっぷりを強調する身ごなし)ドタバタした熱演。上手いのは上手いんだけどね…あとは好みだから…
さわやかスーパーマンから一転し、「ちょっとキモチ悪いところもある」あやしいハンサム青年を演じるリーヴも珍しくていい。メイクの工夫とかもあるだろうけど、役者ですねえ。興味深く見入ってしまった。
霊媒おばさんアイリーン・ワースは、結構重要な役なんだけどイマイチだったなぁ(それでラストの評価が辛くなる?)。スットンキョウな悲鳴を上げ続けるダイアン・キャノンのほうが、バカバカしくてよかった。不評みたいだけど、どうせ人工的極まりないオハナシなんだし、このくらい派手にやらかしてくれたほうがいっそすがすがしいと思う私…
ヘンデルをあしらったBGMはラブリーでよいが、やっぱり「探偵≪スルース≫」の方がなにかと上だね。お屋敷の凝りっぷりとか、ゴージャス感も上だしね…。デストラップのオウチは素敵だけど「私のカントリー」って感じです。
ローレンス・オリヴィエはあまり好きになれないけど(それを言うならケインもそんなに好みじゃないが。古典的英国紳士は大好きなのでイギリス系の俳優さんに好きな人が多いのだが、ケインもオリヴィエも何かが違うのだ。やっぱ絶滅危惧種、いや既に絶滅済なのだろうなあ…)。
1951年、ウィリアム・ワイラー監督作品。モノクロ。
スカパー録画で視聴。
ニュヨーク市警の一分署、物語の大半はこの建物内で進行する。事件は次々に起こり、それを並行して次々と処理してゆく刑事たちと、犯罪者たち、そして時には犯罪者よりめんどくさい一般市民が分署に出入りしそれぞれのドラマをアピールする。
生活のニオイがぷんぷんする群像劇として始まる映画だが、やがてその焦点は、分署きっての鬼刑事マクラウド(カーク・ダグラス)個人へと移ってゆく。
誰よりも正義感が強く厳格な彼は、犯罪者などは別人種と断言する。違法堕胎医も、窃盗常習犯も、失恋から魔がさし横領をしてしまった青年も同じだ。この青年だけは、雇用主や仲間の刑事すら「告訴せず、やり直させたい…(幼馴染の娘が自腹を切ってまで盗んだ金を建て替えると申し出ているし)」と思うのだが、なら「俺が告訴してやる」とマクラウドは一蹴する。
異常なまでの厳しさは、「悪党」であった父、優しい母親を痛めつけ狂わせた自分の父親への憎悪から来ているのだが、ここで思いがけず事件のひとつが愛する妻の過去と関わってきて、マクラウドを打ちのめす。
父と同じ狭量さ残酷さが自分のうちにもあると気付いた彼の懊悩は…
ガチガチに厳格かつ激しい鬼刑事のカーク・ダグラスがハマリ役。息子よりもっとゴツゴツした顔と体だしねえ。
いかにも舞台劇的な、キッチリととのった脚本と演出。ワイラーにハズレなし、という感じだ。イマイチコレといった個性はない気がするけど優等生なワイラー。
結末は古典的といえるだろうが、せわしなく様々な案件が進行する『刑事ドラマ』なシーンは現代のそれとあまりかわらないとすら思える。
出演者たちは、ダグラスを囲む他の刑事たちににじむ人間味(特に、横領青年の世話をやく人情家刑事ウィリアム・ベンディックス!)も、出会う前の出来事を許せそうにない夫に絶望する楚々とした美しい妻エリノア・パーカーも、犯罪者たちもみんないいけど、特に目立つのは万引き女のリー・グラント。軽く取り調べられたあと裁判までの時間待ちで署内に残っているのだが、出来ごころの初万引きらしく激しくキョドりつつも、妙な野次馬精神を発揮し、周囲の出来事をシッカリジックリ観察して結構楽しんでいるさまが何とも可笑しい。みなさん、さよ~なら~、と妙に明るい顔で彼女が退場していったとたん、ドラマは百%悲劇モードに走り出すのだが。
ウェルメイド・プレイ、という感じで、面白く見れました、ハイ。
スカパー録画で視聴。
ニュヨーク市警の一分署、物語の大半はこの建物内で進行する。事件は次々に起こり、それを並行して次々と処理してゆく刑事たちと、犯罪者たち、そして時には犯罪者よりめんどくさい一般市民が分署に出入りしそれぞれのドラマをアピールする。
生活のニオイがぷんぷんする群像劇として始まる映画だが、やがてその焦点は、分署きっての鬼刑事マクラウド(カーク・ダグラス)個人へと移ってゆく。
誰よりも正義感が強く厳格な彼は、犯罪者などは別人種と断言する。違法堕胎医も、窃盗常習犯も、失恋から魔がさし横領をしてしまった青年も同じだ。この青年だけは、雇用主や仲間の刑事すら「告訴せず、やり直させたい…(幼馴染の娘が自腹を切ってまで盗んだ金を建て替えると申し出ているし)」と思うのだが、なら「俺が告訴してやる」とマクラウドは一蹴する。
異常なまでの厳しさは、「悪党」であった父、優しい母親を痛めつけ狂わせた自分の父親への憎悪から来ているのだが、ここで思いがけず事件のひとつが愛する妻の過去と関わってきて、マクラウドを打ちのめす。
父と同じ狭量さ残酷さが自分のうちにもあると気付いた彼の懊悩は…
ガチガチに厳格かつ激しい鬼刑事のカーク・ダグラスがハマリ役。息子よりもっとゴツゴツした顔と体だしねえ。
いかにも舞台劇的な、キッチリととのった脚本と演出。ワイラーにハズレなし、という感じだ。イマイチコレといった個性はない気がするけど優等生なワイラー。
結末は古典的といえるだろうが、せわしなく様々な案件が進行する『刑事ドラマ』なシーンは現代のそれとあまりかわらないとすら思える。
出演者たちは、ダグラスを囲む他の刑事たちににじむ人間味(特に、横領青年の世話をやく人情家刑事ウィリアム・ベンディックス!)も、出会う前の出来事を許せそうにない夫に絶望する楚々とした美しい妻エリノア・パーカーも、犯罪者たちもみんないいけど、特に目立つのは万引き女のリー・グラント。軽く取り調べられたあと裁判までの時間待ちで署内に残っているのだが、出来ごころの初万引きらしく激しくキョドりつつも、妙な野次馬精神を発揮し、周囲の出来事をシッカリジックリ観察して結構楽しんでいるさまが何とも可笑しい。みなさん、さよ~なら~、と妙に明るい顔で彼女が退場していったとたん、ドラマは百%悲劇モードに走り出すのだが。
ウェルメイド・プレイ、という感じで、面白く見れました、ハイ。
次男のお誕生日なので(カーネル・サンダースと一緒★)、ケーキを買って帰ったら、あまぞんで予約購入を申し込んでいた「誇り高き戦場」DVDが届いていた。
開けてみると、意外にも、B4よりちょっと小さい程度の、モノクロ解説シート(四つ折り)が封入されていた。
全く予期していなかっただけになんだか嬉しかった。カラーなら更に嬉しかったんだがそれは望みすぎか・
なんだか自分のお誕生日みたいだな(笑)ふふふ。
映画自体はまたそのうちに。
あーそれと、ワタクシはあくまでもマクシミリアン・シェル目当てですよ。ヘストンなんかじゃないですよ。念のため(どーゆー念だか)。
以前、この映画について書いた日の日記はこちら↓
http://13374.diarynote.jp/200909080047383316/
開けてみると、意外にも、B4よりちょっと小さい程度の、モノクロ解説シート(四つ折り)が封入されていた。
全く予期していなかっただけになんだか嬉しかった。カラーなら更に嬉しかったんだがそれは望みすぎか・
なんだか自分のお誕生日みたいだな(笑)ふふふ。
映画自体はまたそのうちに。
あーそれと、ワタクシはあくまでもマクシミリアン・シェル目当てですよ。ヘストンなんかじゃないですよ。念のため(どーゆー念だか)。
以前、この映画について書いた日の日記はこちら↓
http://13374.diarynote.jp/200909080047383316/
ホットファズ;―俺たちスーパーポリスメン!―
2011年9月3日 映画 コメント (16)
2007年、エドガー・ライト監督作品。イギリス映画。
我がサイトでは例外的に新しいこのアクション・コメディに手を出したのは、リンク先・秋林瑞佳様日記の記事(結構昔…)で、おもしろそうだなと思ってたから。スカパーでやったので録っといたんだけど、ただ私、なにしろ最近20年ぶんくらいのポリス・アクションは見ていない。70年代のダーティ・ハリーすら見ていない(イーストウッドに興味がなかったため)。このジャンルが嫌いというより、刑事モノは昔からあるけど、ポリス・アクションは70年代以降のものではなかろうか。私の見る映画って、「映画索引」見てもらえればわかるけど、大半が1970年より以前の作品でございます。
なので、華麗なるガンアクションの数々の「元ネタ」はまるで分からないが(なので録ってからもなかなか手が出なかった)、さすがはイギリス映画、ブラックな笑いがなかなかよろしい(イギリス贔屓継続中?)。
あまりにデキすぎる真面目な文武両道エリート警官エンジェル(サイモン・ペッグ)は、上にそねまれて(お前が一人でガンバリすぎるからオレたちがスカに見えるんだよ!)、突然ド田舎への転勤を命じられる。任地サンドフォードはここ20年間殺人なんて一件もなく、それより署長(ジム・ブロードベント)を含めた村人こぞって『イギリス一の美しい村』選出を目指しているため、何かにつけ「コトを荒立てるな」と言われて、勤勉なエンジェルはすっかり署内で浮いてしまう。不遇の彼に唯一なついて?くれたのは、太っちょのダメ警官だがポリスアクション映画マニアで署長の息子ダニー(ニック・フロスト)だけ。だが、二人の心が『相棒』としてちょっぴり近づいてきた頃、エンジェルは“事故”として処理されつつある連続殺人事件に気づく。
平和ボケの同僚・上司と闘いつつ捜査にはげむ彼が見出した、驚天動地の真相とは。クライマックス、平和な村に炸裂するスーパーポリスアクションもなかなか笑えるゾ!
しょっぱなから主人公のスーパーぶりとその不遇ぶりの描写が、コントラスト強めな画面と無暗にバビューンとスピーディなワイプアウト連発で笑える。結構とんでもない話だがこのテンポよさにぐいぐい引っ張られて、「元ネタ」がわからずとも楽しめた(笑)。エンジェルとダニーの絆の生まれる過程描写は普通にいい感じで、この「普通ないい感じさ」が、映画後半のはじけっぷりをうまく支えている。
数回スプラッタ場面があって、これは勘弁してほしいんだが、これは21世紀の映画には仕方がないものなのか?それにつけても白鳥グッジョブ(庭園を抜け出して警察に捜索依頼が出ている白鳥一羽。伏線として結構引っ張るのがおかしい)。
主演の人、脚本にもかんでいるみたいですね。(スーパーの店主ティモシー・ダルトン以外まったく誰ひとり出演者を知らなかった私)
ま、なるべくどんな話か知らずに見る方が楽しさ倍増だと思うので、細かく書くのは我慢します。
あの噴出血液がなければ★4にしてあげたんだけど…(そしてたぶん私が色々な元ネタを知っていれば、それでも★4になったのではという予感)
我がサイトでは例外的に新しいこのアクション・コメディに手を出したのは、リンク先・秋林瑞佳様日記の記事(結構昔…)で、おもしろそうだなと思ってたから。スカパーでやったので録っといたんだけど、ただ私、なにしろ最近20年ぶんくらいのポリス・アクションは見ていない。70年代のダーティ・ハリーすら見ていない(イーストウッドに興味がなかったため)。このジャンルが嫌いというより、刑事モノは昔からあるけど、ポリス・アクションは70年代以降のものではなかろうか。私の見る映画って、「映画索引」見てもらえればわかるけど、大半が1970年より以前の作品でございます。
なので、華麗なるガンアクションの数々の「元ネタ」はまるで分からないが(なので録ってからもなかなか手が出なかった)、さすがはイギリス映画、ブラックな笑いがなかなかよろしい(イギリス贔屓継続中?)。
あまりにデキすぎる真面目な文武両道エリート警官エンジェル(サイモン・ペッグ)は、上にそねまれて(お前が一人でガンバリすぎるからオレたちがスカに見えるんだよ!)、突然ド田舎への転勤を命じられる。任地サンドフォードはここ20年間殺人なんて一件もなく、それより署長(ジム・ブロードベント)を含めた村人こぞって『イギリス一の美しい村』選出を目指しているため、何かにつけ「コトを荒立てるな」と言われて、勤勉なエンジェルはすっかり署内で浮いてしまう。不遇の彼に唯一なついて?くれたのは、太っちょのダメ警官だがポリスアクション映画マニアで署長の息子ダニー(ニック・フロスト)だけ。だが、二人の心が『相棒』としてちょっぴり近づいてきた頃、エンジェルは“事故”として処理されつつある連続殺人事件に気づく。
平和ボケの同僚・上司と闘いつつ捜査にはげむ彼が見出した、驚天動地の真相とは。クライマックス、平和な村に炸裂するスーパーポリスアクションもなかなか笑えるゾ!
しょっぱなから主人公のスーパーぶりとその不遇ぶりの描写が、コントラスト強めな画面と無暗にバビューンとスピーディなワイプアウト連発で笑える。結構とんでもない話だがこのテンポよさにぐいぐい引っ張られて、「元ネタ」がわからずとも楽しめた(笑)。エンジェルとダニーの絆の生まれる過程描写は普通にいい感じで、この「普通ないい感じさ」が、映画後半のはじけっぷりをうまく支えている。
数回スプラッタ場面があって、これは勘弁してほしいんだが、これは21世紀の映画には仕方がないものなのか?それにつけても白鳥グッジョブ(庭園を抜け出して警察に捜索依頼が出ている白鳥一羽。伏線として結構引っ張るのがおかしい)。
主演の人、脚本にもかんでいるみたいですね。(スーパーの店主ティモシー・ダルトン以外まったく誰ひとり出演者を知らなかった私)
ま、なるべくどんな話か知らずに見る方が楽しさ倍増だと思うので、細かく書くのは我慢します。
あの噴出血液がなければ★4にしてあげたんだけど…(そしてたぶん私が色々な元ネタを知っていれば、それでも★4になったのではという予感)