キートンの決闘狂
キートンの決闘狂
キートンの決闘狂
1932年、エドワード・セジウィック監督作品。

「キートンの決死隊」を借りてきた筈が見当たらない(なんだか素敵なダンスをすると聞いたので…)。わーんどこへ行ったんだ、間違って職場においてきたかな…と、仕方なく出勤前に半端に余った時間に「キートンの決闘狂」VHSを半分見る。残り半分は帰宅後視聴。

水周りの修理工事に入ったお屋敷で、ずぶ濡れになって服を脱いだばかりに、お屋敷の令嬢(アイリーン・パーセル)の恋人(ギルバート・ローランド)に誤解されて決闘を申し込まれる発明好きの職人キートン。なりゆきでお屋敷の運転手ジミー・デュランテが相棒(決闘の介添やら、発明品の売込み時やらの)になってくれるが、デュランテには「歌劇王」以上に存在意義を感じない。歌わないし。
立て続けにギャグを喋って自分もゲラゲラ…という喧しい芸風は、まだまだスクリーンから音や声が出るだけで観衆が熱狂した30年代前半には、今感じる以上に喜ばれたものなのかもしれないが…。

同じトーキーでも「歌劇王」に比べるとまとまりがない。が、だんだん決闘ズレ?してきて、手袋を誰彼構わずぶつけまくるキートンは可愛いな。ダラダラした展開も、そのうち何かやらないかやらないか、と期待でズルズル見続けてしまう。
…私も立派なキートン愛好家になってしまったようだ(しかもトーキーでもゼンゼン許せてしまうという懐の広さ!)。

しかし後半になると、決闘も発明品もどこかへ行ってしまって、「彼は妻帯者だそうだから別れなきゃ、でも未練はある…」と心乱れる困った令嬢と恋人(実は二股掛けのろくでなし)の間を割くべくキートンが奮闘する話になってしまって、ますますイマイチであった(^^;)
誰かこの散漫シナリオ何とかしてやって…。キートンは可愛いんだけどさ(そればっか)。

ちなみに「決死隊」は、やっぱり職場に置き忘れてました。
1964年、リチャード・クワイン監督作品。スカパー録画で視聴。

締切に追われる脚本家ウィリアム・ホールデンが、パリで雇ったタイピスト・オードリー・ヘップバーンの魅力に触発され、一気に書き進めるシナリオがそのまま映画内映画となって二人の恋にだぶる…という、ロマンチック・コメディ。

なにはともあれパリでオードリー、というだけで一定のオシャレ感はある。ホールデンもちょい草臥れかけとはいえ頑張って軽快さを出してる。
シナリオ的にはそんなに凝ったことはやっていないのだが(トボけた味は出しているが伏線や小道具の処理などには大した工夫はないと思う)、主題歌はシナトラかな、と脚本家が呟けばシナトラの歌が流れ、カメオ出演にディートリッヒ、と呟くとディートリッヒ本人が一瞬の出演、という、贅沢っぽいつくりも楽しめる(特に前半は)。アステアのレコードも流れるし(「プロデューサーズ」の"That Face"という同名の歌とヤケに似ている。こっちの方が先なんだけど)、トニー・カーティスなんか、何故ノンクレジットで…と思うくらい作中「端役」呼ばわりされつつ頑張っていて驚きだ(笑)

ただ、脚本を書きあげた時点で、ホールデンが急にヘナヘナ…となってしまい、主役二人の恋愛はストレートには成就しないのだが、このラストのひとひねりがちょっと唐突でどうも。気を取り直してハッピーエンドには持ち込むのだが、それならそれで、ここでもう一発、グンとぶっ飛んだ盛り上げ方をしてくれればよかったのになあ。ちょい失速感があり残念でした。
書きあげたシナリオの結末までも変えてくれたらよかったのに。
「新作でリベンジ」なんてのではなく(^^;)

それにしても、やたらヌーヴェル・ヴァーグを揶揄するセリフがあったのに今回気付いて驚いた。そんなに気にしてたんですかハリウッドのみなさん?
1927年、ジェームズ・W・ホーム監督作品。サイレント。
が、実質キートンが監督しているともいう…
バスター・キートン週間なぜか継続中です。一本あたりが短いからかな。
Internet Archive (http://www.archive.org/) に上がってたので視聴。

貧しいが勉強家のキートンは、高校の卒業式で「スポーツばかりにうつつをぬかすより、勉強しよう!」と過激にスピーチしたために同級生たちや恋人に総スカンを食う。同級生はともかく恋人には未練な彼は、大学に入ると、バイトの合間にこれまで縁がなかった野球、陸上、ボートに次々チャレンジ。うまく出来ないまでも、努力する姿にほだされた恋人は彼を見直すが、恋のライバルのスポーツマン君は彼女をモノにすべく卑怯な手を…(この卑怯な手というのが、一世紀近く昔とはいえ、ホントにこんなんでいいのか?というくらい観念的で、困った。ヘイズコードはまだだよね(笑))

キートンはスピーチ中に直立したままグンと斜めになったり、ティーカップ&ソーサーを持ったまま転んで一回転したり(しかもカップは落とさない)、とか、どうやってんの?というワザをさりげなくちょこちょこはさんでくれるけど、全体としてはややダラダラ気味(ロイドの真似っぽいストーリーだし)。
ただ、最後、彼女を救いに猛ダッシュ、それも陸上でさらったすべての技を組み込んで、というのは素晴らしく盛り上がった。ロマンチックに終わると見せて微妙にブラックなのもいい。でもホントにいいのは最後の数分。サイレント喜劇って、皆割と立ちあがりがユルく(シチュエーションは字幕で説明する必要があるし)、エンジンがあったまるまで少し時間がかかる気がします。

キートンのサイレント作品の中ではそんなに評価の高いものではないだろう。しかし、トーキー作品に比べるとImdbの評価はずいぶん高い。これはこれでひとつの偏見かも?
全体としては、「大学生」より「歌劇王」の方が楽しめると思う私であった。もちろん「大学生」にも、見て絶対に損はない場面ってのがちゃんとあるけど。キートンだもんね。

タダで見たい人は⇒http://www.archive.org/details/college
キートンの歌劇王
キートンの歌劇王
1932年、エドワード・セジウィック監督作品。モノクロ。
引き続き、キートンinトーキー、図書館レンタルのVHS視聴。
今日は超忙しいから(午前と午後にそれぞれ別イベント)、そのつもりではなかったのだけど…朝、トースト食べる間だけ、とデッキに放り込んだら我慢できずに最後まで見てしまいました。出かける前に少し寝なおして体力蓄えるつもりだったのに。
ありゃりゃりゃ、普通に楽しかったよ!!

ポスト教授(バスター・キートン)は、学問一筋だったからか?孤独で世間知らずで貯金もわずか。が、ある日75万ドルの遺産が転がり込むと聞き、舞い上がって旅に出る。駅で知り合ったジミー・デュランテら貧乏劇団の面々と親しくなり(特に花形のルース・セルウィンの踊りにウットリして)、なりゆきで教授は出資者に。劇団のレベルも考えず(笑)、いきなりブロードウェイに打って出るが、実はこの遺産話はデタラメで…舞台袖を借金取りが徘徊する、背水の陣のレビュウ初演の結果は果たして?

ガセ遺産話は、「たまには休暇とって旅に出るとかしないと、一人で引きこもってちゃダメですよ」と常々教授に勧めていたお節介な秘書の嘘だった。いくらなんでもソレはないでしょー、と思うが、その一点を除けば問題なくスムーズに楽しく見れた。昨日の「エキストラ」と二年ほどしか違わないのに、トーキーになりたての頃の映画にしばしば感じるギクシャク感がグンと減ってたのもある(偶々こっちのVHSの方が画質が良かったからかもしれないが)。

キートンは小柄だが顔には結構威厳があるし(紐付きの鼻眼鏡がお似合いだ)、サイレント喜劇出身でも、セリフ回しも堂々としている。小難しい表現を連発して周囲を戸惑わせる、でも世間知らずで無垢な教授役は案外良い感じ。というか、いつもより堂々としていますなキャラクターが(笑)さすがに教授だから…
クライマックスは、初演の舞台に教授がウッカリ転げ出て舞台をめちゃくちゃにし、しかしそれが観客の爆笑を誘いまくって大受けする、というお約束な展開だが、舞台装置を色々使って、ダイナミックな笑いがたっぷり盛り込まれていた。いやー、思い出しても結構吹きます。

ジミー・デュランテは、別に嫌いではないが、…こういうベラベラ喋るタイプのコメディアンはもっと英語力がないと真価が分からないのかも。終盤、舞台上でのドタバタ大会になるとやっぱりキートンの体技が目立つし。しかし、デュランテが「雨に唄えば」を歌いだした時にはビックリした。あっ、そういえばこの歌のシーン「ザッツ・エンタティンメント」にあったゾ!
当時MGMはデュランテの方をガシガシ売り出そうとしていたらしいが、「ザッツ…」にはキートン、MGM大晩餐会にチラっと映っただけだった。70年代になってもその扱いだったのね…(泣)

とはいえここでは、憧れの彼女ともうまくいって(途中、遺産目当てのお色気女に狙われる一幕もあるが)、万全のハッピーエンド!
キートンは、やはりこう来なくっちゃね。

ネット上にフル動画もありました(字幕はないけど)。原題が"Speak Easily"

http://www.archive.org/details/speak_easily
1930年、エドワード・セジウィック監督作品。

キートン自伝が大変楽しかったので、キートンを色々借りてきました。時代がトーキーになってからもそこそこトーキー映画を作っていたことは、自伝を読んで初めて知り(物知らず)、びっくりしたのであえてトーキー後のを。これはキートンの初トーキー。

自伝では「トーキー?別に自分にはどってことなかったし。トーキー後も自分の映画はヒットしてたし(大意)」というように書いていたので…。喜劇王の座から滑り落ちたのはトーキーそのものよりもMGMとの軋轢と家庭崩壊⇒離婚&財産も子供もまきあげられて深刻化したアルコール依存症、が直接の原因だったと本人は考えていた模様。

…はい、これは普通にトーキー映画、それも半ミュージカルでした。

カンサスの田舎町でミスコンに優勝したエルヴィラ(アニタ・ペイジ)は、彼女をスターにしたい母親(トリクシー・フリガンザ)に連れられハリウッド向かう。同行するマネージャーのエルマー(キートン)は優しく美しいエルヴィラに惹かれ、絶対スターにするぞ!と気負っているが、押しの強い母親に振り回され続け。道中、彼らと知り合った映画スターのラリー(ロバート・モンゴメリー)も早速エルヴィラを口説き始めるのでエルマーは気が気でない。撮影所内で騒動を繰り返すうち、何のはずみかエルマーは端役に配役され…?

最後にはエルマーとエルヴィラの母親の二人がコミック・オペラのスターとして抜擢されて、肝心のエルヴィラは映画スターではなく他の誰かさんのお嫁さんになっちゃうというオチ。

テンポはサイレントの時にくらべるとむしろイマイチに感じるのだが(話し声や効果音があふれていると、主役キートンへの集中感は減少して感じる)、中身は、…色々と、ビックリしました。
キートン、終盤、歌って踊りまくるし(レビューシーン自体はあまり出来がいいと思えないが、キートンの身のこなしはさすがに鮮やかだ)。
ラストはペーソスもいいとこだし(チャップリンじゃあるまいし…)。ただ、それはそれで、サイレントの喜劇王としてでなく、普通のトーキー役者としては、結構見ていて心にしみるものがある。相変わらず笑わぬ無表情(デッド・パン)なのだが、表情豊かな無表情なのはサイレントでもトーキーでも同じだ。晩年まで、時々映画にチョイ役で画面にアクセントをつけに現れていたのも無理はない。
…でも、いいのかな、このエンディングで…とも思わずにはおれないな。
★3はつけすぎかもだけど、へぇーッというのがアレコレで★2にはしないでおく。

自伝は自伝ならではの錯覚や誤魔化しやホラや韜晦があろう。てんでトム・ダーディスの「バスター・キートン」も借りてきて読み始めた。「キートンは内気で神経質で暗くて謎めいててコメディアンとは思えぬ性格」とか書いているので、後から出版された「自伝」の明るい調子と読み比べると“大丈夫か?”と思わぬではないが、別の視点を試すのは意義があるはず。例えばダーディスに言わせると、トーキー後、キートン映画の質は下がるが収益はむしろアップしていて、それが更にキートンの足を引っ張ったということだ。キートンはMGMのやり方に対して不満だが、MGMの方ではトーキー前以上に映画がヒットしているのはMGM側の判断が良いからだと譲らない…というわけだ。なるほどねえ。

借りてきたトーキーもボチボチ見続ける予定だが、それ以上に、サイレント期の傑作群を、私はまだまだ一杯見残している。幸せなんだと思おう。いや、幸せだよね。

つぶやき。

2010年9月11日 映画
し…しんどい…

毎日帰りが遅め(家族いるのでムチャな時間てほどではないが)。

毎日早く寝る!といいながら実行できず。

昨日も歯を磨きながら「キートンのエキストラ」をつけたらダラダラとしばらく見てしまった(別に凄い傑作とかだからでもないのだが…)
週末のために体力残しとかないといけないのにー。
夕陽に立つ保安官
1968年、バート・ケネディ監督作品。スカパーでの録画を視聴。
一時コミカル西部劇で人気があったケネディ作品。懐かしい~☆

ゴールドラッシュで急成長した西部の町。町の規模は大きくなってもケンカとリンチと娼館ばかりで秩序など無いまま、歴代の保安官も給料日までもった試しがない。そんなある日、トボけた流れ者ジェイソン(ジェームズ・ガーナー)が新たな保安官に任命される。さっそく彼は、町を脅かす最大のガンであるダンピー一家の三男ジョー(ブルース・ダーン)を殺人罪で逮捕するが、留置所は建設途中で、まだ鉄格子がはまっていないという有様。

それでも保安官は結構平気な顔。「ルールは守ろうな」と、笑顔と銃でおどされて、素直に中に座っている息子を見て、怒鳴りこんできた父ダンピー(ウォルター・ブレナン)がそのアホさ加減にガックリ…というのが笑わせる。
毒気を抜かれて一度は引きさがったダンピー一家だが、勿論それで済むわけはない。息子の奪回のためあの手この手を繰り出すが、この飄々とした保安官には案外スキがなく、にわか仕込みの保安官助手(ジャック・イーラム)や町長のお転婆娘(ジョーン・ハケット)と協力して、次々と敵を撃退してゆくのだった。…他の町民は、町長(ハリー・モーガン)含めて全く頼りにならないのだが…。
ちなみに原題は“SUPPORT YOUR LOCAL SHERIFF!”

「リオ・ブラボー」のような、西部劇にはいかにもよくある設定、よくある光景を、オフビートな笑いをまぶして楽しく見せてくれる。いい感じに肩の力の抜けたガーナーがやっぱりイイ。ほのかにB級ぽさがあり「60年代のジョージ・シーガル」と言ってもいいようなガーナーだが(私の勝手な持論だ)、こと西部劇に関してはTV・映画を含めてそれなりのアイコンとなってもいるぶん、西部コメディには最高のスターだと思う(映画でアープも演じればTVの西部劇シリーズも人気だった)。トボけた会話のひとつひとつが、“お約束”を踏まえて安定している。相棒役のジャック・イーラムもイイ味だしてるし。
ケネディの演出も、最初の泥んこ集団喧嘩シーンがちょっとダラダラしてる以外は、それぞれヘンな登場人物たち(ヒロインだって、いい加減ヘンな娘だ)を縦横にさばいて快調。
おちゃらけているけど、まだまだ安っぽくはなってないのがいい。

姉妹編「地平線から来た男」と、「悪党谷の二人」もじつは録りだめてある。そのうち再見するのが楽しみだ。
★4はつけすぎだろうが、★3では気の毒。気軽で気楽な快作だが、コメディの採点は難しい…
1927年、バスター・キートン、クライド・ブラックマン監督作品。
モノクロ&サイレント。

画像は「久石譲 meets “THE GENERAL” キートンの大列車追跡<80周年記念リマスター・ヴァージョン>」ですが、そんないいモノではなく、図書館で借りた酷い画質のVHSで視聴(笑)

南北戦争の勃発したアメリカ南部。南部の機関士ジョニー・グレイ(バスター・キートン)の愛するものは二つ。機関車「将軍号」と恋人アナベル・リー(マリアン・マック)だが、「将軍号」がある日北軍のスパイに盗まれる。しかもアナベルが乗ったまま…

思ってたよりもテンポはゆったり。「探偵学入門」のスピーディさに比べると、アレっと思った。だが、橋梁爆破など結構スペクタクルだし、機関車大追跡ネタの全てがほぼ出そろっている感あり。いやー、今見ても立派なもんだなあってカンジである。手頃に短いし、やはりたまに見ると吉だなキートンって。

機関車大追跡、奪い返して大逃走、そして一度は志願をハネられた貧弱な小男のキートンが前線でも大活躍?と、最後まで気持ちよく見れました。最後にキートンに「軍服(借り着)を脱げ!」とどなる将軍も、えらい気の利いた御仁でニヤリ。

先日読んだバスター・キートン自伝があまりに面白かったので、未見のキートンをどんどん見ていこうという気になった。あえてトーキー後のものをまず見たいなと思ったのだが、とりあえず先に手に入ったのは「代表作のひとつ」とまで言われるコレで、でも面白かった(当然か?)からいいや。
1977年、ジェームズ・ゴールドストーン監督作品。

全米各地の遊園地に爆弾をしかけ、経営陣から大金を強請り取ろうとする青年と、捜査陣の対決。70年代によく作られたパニック映画と見せて?実は駆け引き重視の小味なサスペンス映画。確か大昔に一回見てるんだけど、細部は忘れていたので気持ちよくドキドキ見れました(笑)

主人公は"企画安全省"の冴えない役人ハリー(ジョージ・シーガル)。以前に自分が検査した遊園地での事故を探るうち、複数の遊園地を強請ろうとする犯人の存在に気づき、狙われた経営者らに「FBI通報した方がいい」と忠告しにゆく(犯人はそれを盗聴している)。FBIの捜査官ホイト(リチャード・ウィドマーク)は「ご苦労さん、帰っていい」とハリーを放り出すが、犯人は金の受け渡し役にハリーを名指ししてきて…

一見優男だがエキセントリックな犯人ティモシー・ボトムズがすばらしい。存在感を押し殺したスマートな物腰、端正な顔には薄笑い。そのへんの材料で爆弾を手作りする器用さと捜査陣を翻弄する狡知を兼ね備えた彼だが、最終的には己のプライドの高さに足をすくわれたというところか。名前すらない、背景が全く分からないのだが、遊園地内を徘徊する姿や、最初に「犯人は頭が良いから…」と口にしたハリーに妙にこだわりをみせるあたりから、その人物像はある程度観客に伝わってくる。描きすぎていないところがまた、遊園地にこだわるのは何かあるのかしら、とか、逆にこちらの想像力をそそる。

第一ラウンドでは犯人に完全にしてやられる捜査陣。ハリーを「コマ」としてしか扱わない、高圧的なホイトにも一因があると思うが、第二ラウンドではハリーの力を次第に認めるようになったホイトが見事な連携を決める。禁煙に悩んだり別居中の娘に会いに行ったりと忙しい小市民なシーガル、常に偉そうな、しかしハードワーカーぶりとシーガルに対する立ち位置の変化をきっちり見せてくれるウィドマーク、みな手堅く物語を引き締めてくれる。刑事役でハリー・ガーディノ、カメオ出演でヘンリー・フォンダなども登場するので、ちょっと「刑事マディガン」を思い出す。…まあ今回は、ご贔屓ウィドマーク様は完全に脇役ですけどね。時々レンズの厚そうな眼鏡をかけてるのが可愛い(笑)

『刑事コロンボ』のリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクの脚本ということで、キャストがそれなりの割にTVムービーぽい感じもするが、同時に会話のくすぐりや小ネタなど「いい出来のTVムービー」感があり結構面白く観れる。まあ、捜査陣もちょっとツメが甘いとこがあるんだけどね(キタ!と思うと全員で同じ方行っちゃったりとか、「犯人はまだ気づいていない筈」と判断したら「でももし気付いていたら…」のシミュレーションを怠っちゃったり)。

大作を期待せずに見ると吉(笑)
1939年、ウィリアム・A・ウェルマン監督作品。
画像のメーカーではないがワンコインDVDで鑑賞(399円で売ってたので)。の割に画像状態もよく満足。

何度もリメイクされた有名な外人部隊モノ。クーパーのルックスがイマイチ好きじゃなくてスルーしていたのだけど、主人公の子供時代を、子役やってた頃のドナルド・オコナー(12歳くらい?)が演じてるってんで手が出てしまった(爆)
見てみると、意外に面白くてわくわく楽しめました。話の古めかしさとかは全ッ然、気にならないほうだしね!

北アフリカあたりの、砂漠に孤立した小さな砦。原住民の襲撃の知らせを聞いて駆けつけてきた救援部隊が声をかけるが城門は開かない。全滅したのか?と思えば一発の銃声が…
まずラッパ手がロープで偵察のため侵入する。なかなか戻らないので続いて将校が城壁を乗り越えてみると、砦の中は死屍累々、だが指揮官らしい軍曹は味方の銃剣で刺されて死んでいた。
ラッパ手の行方にも首をひねりつつ将校が外に出ると、今度は砦の一角から炎が上がる。

いとも謎めいた導入部から、物語は一転、丸15年遡って、英国貴族のブランドン家に育つ5人の子どもたちの姿へと飛び、物語はゆるやかに再スタート。

その中でも仲良し3人兄弟はボー、ディグビー、ジョン。5人中この3人はレディ・ブランドンに引き取られた孤児なのだが、実の甥オーガスタスよりデカイ顔して遊んでいるあたりに、夫人の人徳がしのばれる。当主のヘクター卿の方は、金策の時しか帰宅しない遊び人で、じりじり家を傾けつつあるのだが。
海軍ごっこだバイキングごっこだアーサー王ごっこだとやっているうち、屋敷に飾られた大きな甲冑に隠れたボーは、夫人の秘密をもれ聞くことに…。

成人した三兄弟は、ゲーリー・クーパー、ロバート・プレストン、レイ・ミランドの三兄弟となる。ジョン(ミランド)はやはり養女のイゾベル(スーザン・ヘイワード)と恋仲にもなっている。が、家宝のサファイアを売却するため、久々に当主が帰ってくるらしいと聞いた日、長兄ボー(クーパー)は宝石と共に姿を消す。続いて次兄(プレストン)も「盗んだのは本当は自分だ」と置手紙をして失踪する。身を隠そうとするならば…と、推理の末に外人部隊に志願したジョンは、思惑通り、危険な戦場で兄たちと再会する。
再会を喜び合う3人だが、上官のマーコフ軍曹(ブライアン・ドンレヴィ)は悪逆非道の冷血漢で、しかも兄弟が隠し持つ(と軍曹は思っている)宝石を奪う隙を狙って、兄弟を分断して小さな砦の守備隊に入れる。そこへ敵の大群が…


古い原作つき冒険物語(1926年)。ある程度、先も読めるように出来ている。
そして、それぞれに「自分が盗んだ(だから誰かをかばうつもりで『自分だ』と言わなくて良いんだよ、の意?)」と主張し合う兄弟の突っ張った兄弟愛(?)は、多少苦しいような気もする…(古い話だからなぁ)。頻繁なアイコンタクトは兄弟の絆の強さを印象付けていい感じだが。
しかし何より、最初に提示された、全滅した砦の全ての真相、そしてなぜ宝石が盗まれなければならなかったか、…小出しに小出しにと繰り出されるエピソードの数々の、語り口の滑らかさが大変に素晴らしい。最終的に、どう冒頭の絵の形に全てのピースがはまってゆくのかと、息をのんで見入ってしまった。
悪役のドンレヴィも噂にたがわぬ迫力で盛り上げてる。サイテーの男だが兵士としては最高の逞しさをも備えている…

そして終盤、幼年時代の三兄弟の言動がいちいち伏線として効いてくるのが泣かせます。あそこがじっくり丁寧に描かれていたのがホント大きいですね。私なんざ、最初のラッパ手がロバート・プレストンだったのにしばらく気がつかなかったのだが、ちびディグビーが"バイキングの葬礼"ごっこでラッパを吹いていなかったら、気づくのもっと遅れたかもしれないな(爆)

若い人にはピンとこないかもしれないけど、アレは昔の英国のそこそこ以上家庭の子どもの遊びとして実に伝統的な描写だったと思う。だって、ナルニア国物語でもツバメ号シリーズでも「とぶ船」でも、とにかく英国児童文学の古典じゃみんなあんな感じですよ。兄弟内では絶対的な年功序列、女の子もこみで階級とか規律とか設定に妙にうるさいごっこ遊びをするんですね。今は違うんだろうけど。
少年オコナー、子どもの時からやっぱり首が長くて、美少年ではないけどスッキリしてる☆
http://www.youtube.com/watch?v=XZSuUV1UiuE

大砲までぶっぱなせる高価そうな帆船模型で遊んで、砲戦で半ば壊しちゃったら、次は火をつけて“バイキングの葬式だ”と流してしまうのは、日本の小市民兼帆船ファンとしては…勿体無い!ブルジョワ過ぎ!と叫びたくもなりますが…(^^;
ドナルド・オコナー@Bell Telephone Hour
ドナルド・オコナー@Bell Telephone Hour
ドナルド・オコナー@Bell Telephone Hour
久々に出勤したら、入口のエレベータにどっかのバカがチューインガムをなすりつけていて、一時間以上もかけてこそぎ落としたので指が痛くなりました(開館準備中、私しか手が空いていなかった…って、私だって他にもっと仕事あるんですけど、お客様は神様ですし)。くすん。

疲れきって帰ったら、iOfferで買ったDVD-rが2枚届いていました。
♪how relaxing...
これがあるから、ネットショッピングはやめられないよね。

一枚はYouTubeである程度見たジーン・ケリーとのTVショウ。もう一枚はアンソニー・ニューリーとのTVショウ"Bell Telephone Hour/The Song and Dance man"(ほぼ初見)。
歌のニューリーとダンスのオコナーということで、でも歌ったり踊ったり両方色々やってくれるけど、中でも白眉はニューリーのナレーションでオコナーが三種類の靴を履きかえつつ実演する「タップの歴史講座」。意外に?端正な彼のダンススタイルが何とも素敵。しかもそのシメは何とニコラス・ブラザーズとの三人タップ!
もうちょっと画像が良ければとも思うけど、1966年の番組の録画だもんな…これは我慢するしかないか(メーカー正規版とかでもないし)。

http://www.youtube.com/watch?v=Y2cgumG0Kas (タップの歴史)

http://www.youtube.com/watch?v=bxTE4gUl_Ho (ニコラス・ブラザーズと)


1972年、アンリ・ヴェルヌイユ監督作品。
ジャン=ポール・ベルモンド率いる盗賊団VS盗んだ財宝を横取りしようとする悪徳警官オマー・シャリフの対決の行方は…?

明日旅行に行くってのに、ウッカリ最後まで見てしまいました(^^;)
もう1時。ダメじゃん。

…なのであとは帰ってから(爆)

とりあえず印象的だったのは、70年代のハイテク金庫破りグッズ(オープンリールテープがついてる!)!そして、ムチャクチャの極みな強烈カーチェイスと何故か最初からムチャクチャほこりだらけな主役二人の乗る車。なんであんなによごれてるんだ…
そしてもちろん、なんであんなにベルモンドは毎回あそこまで自分でスタントやりたがるんだろう!というのと、なんであんなにベルモンドはスケベな顔をするときでもやたら愛嬌があるんだろう(*^^*)

というところです。あ、十分語ってるか。

ノーテンキなような、ハードなような、フシギなノリのアクション映画でした。おフランスだからか。…あ、いや、ベルモンドだからか。良く考えるとノーテンキに見えるのはベルモンドだけだな(あと、ダイアン・キャノンもか?)。
送ってくださったなにわすずめ様、ありがとうございました!
これは未見だったんですよね♪

★3ですが4にちかい3です。
ドナルド・オコナー@Life Photo Archive (及び“Let’s Tap!”)
ドナルド・オコナー@Life Photo Archive (及び“Let’s Tap!”)
"Life"PHoto archiveにはなかなかの素敵写真があふれている。同じものの撮り直しとかダブリとかどうみても失敗写真とかも多いのだが。
(http://images.google.com/hosted/life)
いつもはリチャード・ウィドマーク写真を見に行くのだが、今日は試しに初めてドナルド・オコナーでも検索してみた。結構ある。

…あれ?
基本的には喋るラバ"フランシス"シリーズ(日本未公開のコメディ)と、TVショウ「Colgate Comedy Hour」ばっかりなんだが、…ラバにピアノをきかせている写真がある?

歌や踊りが全くないんだと思って"Frances"シリーズは頭から無視してきたのだが…
そうでもないのかッ?

実は"Frances"はボックスセットで米盤が出ているのであった(しかも一応英語字幕入り)。
…ああ…
結局"Frances"シリーズも追っかけることになるんだろうか自分…orz

今日も今日とて米国からVHS"Let’s Tap!"が届いたばかりだというに…
(なんと60代オコナー先生のタップダンス教習ビデオなんですな、コレ)
http://www.amazon.com/Lets-Tap-VHS-Donald-Oconnor/dp/6302741424/ref=wl_it_dp_o?ie=UTF8&coliid=ILKO9NS39H37U&colid=1OHHT0YPZPVWR
ゲストが結構凄い。デビー・レイノルズ、フェイヤード・ニコラス(ニコラス・ブラザーズの)、バディ・イブセン、キャロル・ローレンス!

まっ、追っかけるものがあるうちこそ幸せ!…なのも、確かなのですが♪
ウィドマーク様作品は、思いがけず早いペースで、少なくとも60年代までのものはほとんど手元に揃いきってしまったことだし…。

トイズ

2010年8月11日 映画
1992年、バリー・レビンソン監督作品。
図書館にあったVHSで視聴。かなり色にじんでいました(^^;)

草原のまっただ中に建つオモチャ工場が、とてもとても凝ったデザイン。
オープニングの、ミニチュアの街で着グルミやバレリーナが踊るクリスマス・ショウなんかとても素敵(このミニNYは工場の中にあると後で判明)。時々ミュージカル調(あくまでも「調」)になるのはファミリーむけなのか?
…が、お話のほうは、どうすりゃいいんだ?と観ながら頭を抱えてしまうような「浮いた」感じの反戦ファンタジー・コメディ。

創業者社長の信念で、平和な夢のあるオモチャ作りひとすじ、の玩具会社。が、急死した社長のあとをついだ、弟で軍国主義者な元将軍はハイテクオモチャ技術とゲーム好きの子どもたちの反射神経を生かして、一見オモチャな兵器の開発を始める。前社長の息子レスリー(ロビン・ウィリアムズ)は、「親父の夢は潰させない!」とクーデターを企てるが…。

レスリーがふざけてばかりしながら、楽しげというより怪しげなおもちゃばかり開発していたり、その妹(ジョーン・キューザック)がやっぱり妙にヘンだったり(これにはヘンな裏が設定されている)、将軍の息子パトリック(LL・クール・J)が寝返って味方になってくれるくだりもぴんと来ないし、クライマックスでミニ戦車やミニ戦闘ヘリに包囲されたレスリーたちが、大好きな古いオモチャたちに「オモチャの未来のために」戦ってもらう(要するに「盾」になって自分たちを守ってもらう)、というのは「それでいいのか!」と思うしなぁ。

父社長(ドナルド・オコナー!)は、「息子は良い奴だが、今の彼には会社を継げる器量と覇気なし」、いったん将軍に継いでもらう方が息子の成長の糧になる筈とか言って弟将軍に社長の椅子を譲ったのだが、ちょっと劇薬すぎたんではないでしょうか(^^;)
お父さん、平和主義者にしちゃ、千尋の谷に突き落としてるよ息子を。

まあそれでも、永遠の童心を持つオトナ、にオコナーをキャスティングしたのは見識だと思う。
お葬式のシーンまではそう悪くなかった(笑)←まあ、オコナー見てみたくて借りたし(爆)
お葬式の最中に棺の中から、お父さんが仕込んでたらしい笑い袋が笑い始めて参列者も笑っちゃって、とか。…筋金入りですね。

あとは、超個性的な工場とそこで働く人々の描写が気に入るかどうかでしょうね。爆笑できるタイプのユーモアではないし。「浮いちゃった」気分になったら負けよ。
私は浮いちゃいましたから、★ふたつはミニNYとオコナーにひとつずつ、です。
1955年、リチャード・クワイン監督作品。日本未公開。

ボブ・フォッシーとトミー・ロールがダンス対決するミュージカルと聞いたのでみてみました(振付もフォッシー)。
トップ・ビリングはジャネット・リーとジャック・レモンとベティ・ギャレットなんですけどね。昔、ロザリンド・ラッセルが姉役をやった同名映画のミュージカル化だそうな…

仲良し姉妹のルース(ギャレット)とアイリーン(リー)は、それぞれ作家と女優の卵。夢を追って上京し、芸術家の街グリニッジ・ビレッジに部屋を借りる。美人で性格も良い妹は常に男性の注目の的。あおりを食って男性にモテたことのないルースは、妹が大好きなのだが、複雑な思いも抱いている。デフォでちやほやされまくりの天然な妹は、人一倍お人よしに育ってしまって、結果的に困ったちゃんになる時もあるし。
そんなルースにもついに雑誌編集長(レモン)とのロマンスの気配が…?

NYでアイリーンに求愛する二人がフォッシーとトミー・ロール。シャイなフォッシーと調子のいいロールのダンス対決がたしかに見所なのかなあ。踊りで身体能力を見せつけ合う二人に、わぁ凄い、なんだけど、やっぱりこういう感じのダンスはあまり私の好みではない(「キス・ミー・ケイト」でも思ったが)。まだむしろ、終盤にその純情さで彼女にアピールできたフォッシーがリーと踊る"There’s Nothin’ Like Love"の方が可愛らしくて好きだなあ。
元気なナンバーでは、酔ったギャレットがリー、フォッシー、ロールを引っ張るように、"空想上の"見えない楽器を持って踊る"Give Me A Band And My Baby"が楽しかった。でも、最後に姉妹が転ぶと男どもは妹にしか手をさしのべないのね(汗)

そんな哀しいお姉さんは、レモン編集長との面談でモテるふりをして突っ張って見せるが、しっかり見抜かれてる。編集長は面白半分?に「大人の付き合いを」と歌って彼女に迫るが…ちょっと面白がりすぎだよねえ。一応本気で彼女を気に入ってはいるようだけど。
レモン、歌うのはこの曲だけだが意外とうまい。が、この役はもう少し大人の余裕あふれるタイプの役者にやらせたかったかも。…確認するとレモンの方が実際年下だし。

そんなこんなで、お姉さん可哀そう(私はデキのいい家族に悩まされたりという不幸は未経験だが…一人っ子だから)、てのもあって、ちょっとイマイチ気分な映画。男って残酷だよね。
ラストのブラジル海軍を巻き込んだ「コンガ」の大騒ぎも、なにやってんだーってところがあるし。キャッチーな曲がないのも残念。
★3にしたけど3マイナス?…フォッシーとか好きな人には必見でしょうけど。


観ながらずーっと、一番思っていたのは、マイ・シスター・アイリーンだの、プライベート・バッカルーだの、こんなレアな日本未公開ミュージカルが日本盤DVD出るんだったら、…「I love Melvin」も日本盤出してくれないかなーーーっ!ということだった(笑)
英語字幕なしの海外盤しか、出てないんだもんね…
でもワーナー(&MGM)ではあまり期待できないかも…
フレイジャー シーズン3 コンプリートDVD-BOX の四枚目。
フレイジャー シーズン3 コンプリートDVD-BOX の四枚目。
フレイジャー シーズン3 コンプリートDVD-BOX の四枚目。
見たこともないアメリカン・シットコムのシーズン3の四枚目だけDVDをレンタルした。
スカパーか何かで放映されたこともあるみたいであるが…。

一枚全部見る予定でもなかったが、そこそこ笑えたので返却日ギリギリに残り全部見てしまった。何度もエミー賞とってるらしいので無理はないのかな?
ラジオで心の健康相談やってるバツイチ中年精神科医(ケルシー・グラマー)と、その周囲のヘンな人たちの話。みょーに神経質なこれも精神科医な弟(デビッド・ハイド・ピアース)が特に可笑しいと思う。

…実は4枚目収録の一話目に、ドナルド・オコナー(既に70代)がゲスト出演していると聞いたので他のモノをレンタルするついでに借りてしまったのだった。一話目だけは今日でなく真っ先に見てて。いやはや。
ええ、とても可愛いおじいちゃんでしたよ。はなはだ奇矯な材木王役。
もちろん主人公を困らせてくれるんだけど(コメディだから)。
まあもう一回行っておけば悔いはなかろうと、西宮まで「雨に唄えば」を追いかけて見に行く。
まあ何といいましょうか、バカでしょうか?(7/17、23と大阪で行ってます)
見ごたえあるミュージカル・ナンバーと笑いがぎゅう詰めって感じの作品なので、それでも飽きません。基本的にはドナルド・オコナーを見に行ってるって感じですが(^^;)

それにしても、オコナー演じるコズモ・ブラウン、「主人公の親友役」というのにこれほど特化していてある意味全く中身がないのに、これほど魅力的というのは結構不思議です。クラシック・ミュージカルには「人間を描く」とかは元々二の次な所がありますが(素晴らしい芸が見れればいい、というのが基本なので…)、親友である主人公ドン(ジーン・ケリー)だけがスターになっちゃって、自分は下っ端のままでもいつもニコニコとドンの求めに応じてそばにいて、ちょっとしたおふざけを連発しては日常を楽しくしてくれたり、何かあると励ましてくれたり、一緒に考えてくれたりアドバイスをくれたり。それも、常に嫌味のないクドすぎない態度で。

いくら親友でもすばらしすぎ。理想的すぎる!
そんなオトモダチ、いるわけがない、主人公のalter egoだろう!(お笑いとか音楽とかでなく心理学の)、とか、主人公にしか見えない存在なんじゃないか、とか言われても否定しきれなかったりするくらいに素晴らしいオトモダチです(^^;)

でもまぁ、フィクション中の人物は、リアリズムに反しても人倫?に反しても、魅力的なら勝ちですしね。寅さんだって無責任男だってファンタジーとして愛されてるし。

あくまでもご都合主義的で明るい筋書きのミュージカル。ケリーとオコナーのダンス(と演技)にも底抜けの明るさが満ち溢れている。
が、ケリーの、地に足のついた「強い」明るさと比べると、オコナーの明るさには妙な透明感がある。ふわりと拡散してゆくそれは慈愛とも、この世のものならぬ儚さとも感じられる。
…人というよりも守護天使のよーな「コズモ」をスクリーンに創りあげてしまったオコナーに乾杯。
恋人を家に送って歩く道
日本未公開の"Walking My Baby Back Home"(1953)が、なんと今年3月渋谷シネマヴェーラなる名画座で上映されていたらしい。うーむ、いいなあ、もう少しマイブームofオコナーのピークが早ければ…(いや、無理だったろうこの3月では)
とはいえ、数ヵ月後にまたやる、という説もあるみたい。ホントに?
数ヵ月後って、もう二度目も終わっているのではあるまいな。
できれば早めにキチンと情報をゲットしておきたいものである(行けるかどうかはさておいても)。
ドナルド・オコナー@Hollywood Palace
ドナルド・オコナー@Hollywood Palace
ドナルド・オコナー@Hollywood Palace
ヒソカに二度目の「雨に唄えば」に行ってきました。なにわすずめ様、おつきあいありがとうございました!いやー楽しかったです!
とはいえ丸一日は休めず午後から仕事へ。

そして帰宅すると、うっ!もう一枚別のサイトに注文していた、ドナルド・オコナーがホストの回(1964年2月1日放映)のTVショーDVD「Hollywood Palace Volume1」がポストの中に。うーん一日でこんなに濃厚だと、逆にもったいない気分になるのですが…(^^;)。
米盤ですがデッキに放り込むとコレも映りました。リージョンオールだったのね♪字幕はないけど…。それより、コレも一昨日のと同様、WinDVDだとズレが出て、DVDデッキやWMPだと大丈夫なのは何故(爆)

コレは、ホストが自分も芸を見せたり何組ものゲストとその芸を紹介したりゲストの芸にからんだりしながらの一時間番組。ゲストは色々、歌手もコメディアンも中国雑技団みたいなのも出ます。アメリカにも横山ホットブラザーズみたいなのが一杯いるとよくわかる(笑)

モノクロで、予想以上に画像は悪いのですが(ちょっと歪んでる気もする…なんか頭でっかち、というか画面の上の方が伸び気味に見えるような…)、ゲストよりはやはりホスト!?おとといのジュディ・ガーランド・ショウより遥かに満足してしまいました(笑)
"Clap Your Hand"(「パリの恋人」でアステアがケイ・トンプスンと歌うあの曲!)で歌いながら出てきて、タップで"Me and my shadow"もやるし、オペラ歌手と少しデュエットし、終盤は西部劇とかベン・ケーシーとか怒涛のジャンル・パロディ、最後にアステアのパロまで…アステアに関しちゃもっと真面目にやってくれてもいいのになーとも思いつつ大爆笑(だって多分もっとカッコよくもできる筈…)。
いやー、ホント何でもやれちゃう人だなーオコナー。歌上手いし(最近こればっか)。
胸毛だって、なくていいじゃないか!むしろ、あったらダメだ!欧米女性はともかく日本女性の9割は、なくていいと言ってくれると思うぞ…(そういうネタもありまして(笑))。

えーと、あと、CMもまんま入ってるのですが、インスタントコーヒーのCMにバーバラ・スタンウィックが出てきました。別にファンでもなんでもないんですが、…びっくりした(笑)

アステアやビング・クロスビーや、有名どころが色々ホストをつとめた番組のようで、YouTubeにも結構動画が上がっています(アステア、バックダンサーズが彼の持ち歌をゴーゴーで踊ってるのをイヤそうに見てるのが笑えました)。
オコナーのホスト分だけでもまる2回分は上がってるので、各五分割の一本目ずつを紹介しておきます(この2本はカラー)。Imdbによると6回やってるそうだけど。

①(66年2月12日)
http://www.youtube.com/watch?v=ZWrM1eHXll0

②(67年1月22日)
http://www.youtube.com/watch?v=jHpLP1MFEj4

でも、今回買った64年分の方がオコナー率は高い。買ってよかった。私のヒアリングがもっと良ければもっとよいのだけど。


しかし、60年代も半ばになると音楽やダンスのアレンジが50年代までと少々変わってきてて、50年代好きの私にはちょっと残念。当たり前なんですけども。

それと、「雨に唄えば」の後だからというのでもないけど、5~60年代頃のTVショーって(そんなに一杯見た上で言ってるのでもないが)、なんか妙に生番組感が強いんですねー。踊って汗をふきつつ司会してる感じ。映画がトーキーになってヴォードヴィルに戻ってやりなおしたみたいに、TVもヴォードヴィルから始めたんでしょうか。もちろん「生」の臨場感、一期一会感もいいんだけれど、TVだと本当は自分自身はその場にはいないんだから、やっぱり最高のテイクを集めて、汗のカケラもみせないように凝縮したミュージカル映画のナンバーのほうが嬉しいような気もします。60年代に入って、もう私の見たいようなミュージカルは終わってしまっているんだけど(…まあ、そういう未練でTVショウも追ってるんですがね)。

あー、興奮さめやらぬ一日でした(仕事中以外は)。画質が良ければ★5でしたな。

(ちなみに一番上の画像、64年放映分のDVDは、http://www.moviesunlimited.com/ で見つけて買いました。Amazonにばかり頼ってちゃダメなのね…古いモノは)
ドナルド・オコナー@The Judy Garland Show...疲れた。
ドナルド・オコナー@The Judy Garland Show...疲れた。
ドナルド・オコナー@The Judy Garland Show...疲れた。
最近はTV番組にまで手を出している私…(50年代後半からパッタリ映画が減るからなあ、ドナルド・オコナー)
「ジュディ・ガーランド・ショー」、ゲストがオコナーの回(1963年)のDVDを注文してみたのが届きました。二回分のカップリングでもう片方がゲストがバーブラ・ストライサンドとの回だし、ソンはないだろうと…(笑)

リージョン1だと聞いていたけど、まずデッキに放り込んでみる。おお!映る。リージョンALLじゃないか♪
次に、PCに放り込んでみる。あわよくば、字幕はなくともCC(クローズド・キャプション字幕)がないかなーと思って。こちらはハズレ。
(サイトによってR-1だR-ALLだ、CCがある、ない、と色々だった)

残念…と思いながら、少し見ていくと妙に違和感がきざす。
これって、これって…なんかビミョーに歌と口がズレてるぞ…
ひょっとして大損したか?!
ダメモトで色々ためすと、WinDVDが悪いようで、Windows Media Player で開くとバッチリ合うと判明した(バッチリでないとしてもそれが目につかない程度に合ってる)。

…あー疲れた…
そしてやはり、WinDVDで見た時よりWMPで見るほうが踊りのキレが良くてひと味違う♪ごく微妙なズレだけど、やはり大きいのね。
…余分に疲れたから、じっくり見るのは今度にしよう…仕方がない…(涙)
ちなみに、あとで見るとBD/DVDデッキでもちゃんと口と合ってました。


http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005ALM7?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=B00005ALM7

日本amazon(マーケットプレイス)からも買えるけど、高いので私は海外から直で買いました。

ジュディがリラックスして嬉しそうなのはイイ感じです。子どもの頃から舞台にたってた二人は幼馴染だとか。コミカルな歌の掛け合いが多いので、最後にしっとりしたデュエット"The Old Soft Shoe"が良かった…けど、この歌、少しジュディの声が荒れてる気も?女性ダンサーたちを引き連れて歌い踊るオコナーのソロ"Sing You Sinners"はいつもとちょっと違う感じの激しいナンバー。
映像もリマスター済のようだしOuttake(NG、別テイク?)集まであって豪華な造り。

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