1948年、ジョン・フォード監督作品。カラー。スカパー録画で視聴。

年賀状もやっとこ投函したし、クリスマス映画を見そびれてたし…だいぶ昔にTV放映を見たことがありましたが、やっぱジョン・フォードはいいですね、代表作ってまでのシャシンではないけど、楽しくてほろりとさせてくれる。午前十時の映画祭、何で一本もフォードが無かったの??

リーダー格のボブ(ジョン・ウェイン)、メキシコから来たピート(ペドロ・アルメンダリス)、若いキッド(ハリー・ケリー・ジュニア)の三人組は、銀行を襲うが追われて沙漠に逃げ込んだ。ところが彼らは、偶然瀕死の妊婦(ミルドレッド・ナトウィック)と出会い、生まれたての赤ん坊を預かることとなる…

ならず者たちが主人公だが、強盗とはいえ、元々なんだか家族的な絆を感じさせる三人組。年長の二人がつねに若いキッドを気遣っている。何気なくおしゃべりしていた気のいいオッサン(ワード・ボンド)が実は保安官とわかって愕然、という冒頭からして、コミカルで明るい描写であるし、男三人が慣れない育児に熱中するくだりは特に大笑いだが、馬も水も失い、キッドは負傷に苦しみ、彼らの旅は次第に過酷なものとなってゆく。乾きと疲労に朦朧とするボブが仲間の幻に励まされて進む場面など、ベタでも泣かされる、見ていて気持ちのいい映画。
赤ん坊の為に用意されていた衣装箱の中にあった聖書が、「奇跡」を呼ぶ展開で、灼熱の砂漠が舞台の西部劇なのに、さりげなくメルヘンでクリスマス映画!…という面白いネタ。何度も再映画化されたものらしいが、物語をとりまく西部の過酷な自然が、とても美しく印象的に撮られているのもイイ。

ラストはのんきでご都合主義的…と言えば言えるが、フォードらしい人情描写がたっぷり詰まった楽しい映画であった。ま、クリスマス(映画)なんだから、いいじゃん。ねっ。
★4はつけすぎかもしれないけど、いいのだいいのだ。

<追記>
あとから知ったけど、ハリー・ケリー・Jr. 今月亡くなってたんですねえ…
はからずも追悼してしまいました。
おとっつぁんのハリー・ケリーほどの存在感はなかったと思うけど、フォードがちょくちょく使っちゃJr.のキャリアを引き立ててやってたよねえ。
いつまでも、「とっぽい感じの青年」役ばっか振られていたけど(^^;)
1950年、ビリー・ワイルダー監督作品。モノクロ。
アサイチで朝十に行ってきました。遅番だったので。
大昔に一回は名画座で見ていたと思うんですけどね、手ごろに細部は忘れていてウットリ。

半年くらい前にスカパーでもやってて録画したんだけど、10分少々見たあたりで、「うーむ…これは…映画館でやるんなら映画館で見ないともったいない」、と、感じてしまった。
そして半年封印した。なかなかそんな風に思うことってないんだけどね。
しかも、この映画、私が興味を抱くスターとか全然出てないんだけどね(←本来はミーハー)。

ハリウッドの夢と残酷を描いた名画としてもはや定番なこの映画。
売れない脚本家ジョー(ウィリアム・ホールデン)は借金取りに追われて古びた大邸宅へ迷い込んだ。そこには、今では老いた、サイレント映画の大女優ノーマ(グロリア・スワンソン)と執事マックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)が住んでいた。カムバックを夢見て主演映画の企画を考えるノーマは脚本の手直しの為ジョーを雇うが、やがて彼を愛人扱いし、束縛し始める…

ぞわぞわするほど退廃の香りにむせかえるような邸宅。いつまでも大女優のつもりなノーマは50代に入り明らかに老いはじめているが、ある意味「女」のカタマリみたいな存在でもある。醜悪だけど、妙に可愛らしいところも、なくもない(私だけか?そう思うの)。彼女への一抹の哀れみと、未来の見えない自暴自棄から、ジョーはジゴロへと身を堕とす。ハリウッドの夢に毒され、打ちのめされた同士という淡い共感もあったのだろう。そう、根は悪い奴ではないのだジョーは…。だが、若いモンより、年寄りの溜め込んだ毒のほうが、よりおぞましく強烈だった。
ジョーを失い、ノーマはあっというまに狂ってしまう。ハリウッドの“玉座”からとうの昔に滑り落ちているノーマに、何とかしてハリウッド式「幸せ」を浴びせ続けようと画策するマックスのほうが一層激しい歪みを抱いているといえようか。
正気のままで狂っている、というような最後の表情には哀しみがあふれている。

彼らにくらべれば、そりゃ若い連中なんぞ可愛らしいものである。世をすね、ノーマに飼われてみても、共同執筆を申し出てきた脚本家志望の娘(ナンシー・オルソン)との淡い恋には心が揺れる。けれども彼女は友人の婚約者でもある。若々しい、汚れのない夢はすぐ手が届きそうでいて、ジゴロに堕した男には容易く手に取ることはできない…。… 泣ける。
あの健康優良児みたいなホールデンを、ひとひねり強引に退廃させて使いこなすワイルダーのお手並みは凄いなあ…
好みのタイプじゃないけれど(マッチョは嫌)、この映画のホールデンはなんか切なくてイイ。

もちろんスワンソン、シュトロハイムらロートル組の迫力もすごいですが…
ただまあスワンソン、キレイだよね若い頃は。オバサンになっても結構整ってはいる。

誰もが不幸で誰もが一生懸命。映画界の特殊な世界観、価値観の中で歪められながらも、その必死さには心を揺さぶられます。
カムバックなんか実現不能だし、若い映画人には鼻もひっかけられなくても、「大女優ノーマ」を知っていた一定年齢以上の人々がノーマに抱く敬意や懐旧の情は、これまた決して嘘ではない。過去と未来の価値が、不思議なバランスで揺れ動く街ハリウッド。

ハリウッドの夢は思いっきり苦くて歪んで醜悪で、けれどもその甘い蜜も否定できない、そんな、えもいわれないアンビバレントな感覚に満ちているのが、この映画の素晴しいところ。歪みも甘さもちょうどいいころあいだ(私にとっては…)。

期待通り、ぼおっと酔わされて映画館を出ました。


…出たあと、いつものとおりオシゴトだったのが残念ですが(^^;)

夜を楽しく

2012年12月16日 映画
1959年、マイケル・ゴードン監督作品。カラー。NHK-BS録画で視聴。

大昔にTVで見た事があったはず。てきとーに楽しい作品だった気がするので、なんか今日はなんにも考えないでいいような軽いものを見たかったからスイッチオン。

半世紀前とあって、あの豊か~っぽいアメリカでも、電話回線が他人様と共同だったりする時代。
インテリアデザイナーのジャン(ドリス・ディ)は、同じ回線を分け合う男ブラッド(ロック・ハドソン)が大のプレイボーイでしょっちゅう女性とのイチャイチャコールで電話回線を占有しているのにカリカリ来ている。だって仕事の電話もできないんだもん。と、顔を知らぬ同士でケンカ状態な二人だったが、ある日ブラッドは、旧友で富豪のジョナサン(トニー・ランドール)からジャンが求愛されているのを知って彼女に興味を持つ。別人のフリをしてジャンと親しくなりつつ、陰ではジャンの“恋愛”をからかう電話をかけたり、悪ふざけを楽しんでいたが…

なんちゅー悪い奴だ、いつジャンは気がつくんだ~、と見る方はジリジリ。総スカンを喰らいそうな所をギリギリもたせるのがロック・ハドソンの激甘なマスクと長身。ケイリー・グラントに比べればちょっとヌボーとしてますが、愛嬌のあるハンサムぶりでどこか憎めない。バレて彼女を泣かせたとたんに、逆に「しまった自分も好きになってた」と自覚して…というのはお約束。
しかしホントになんにもないような話ではありました。歌も入って明るくて、ドリス・デイのファッションやインテリア見てるだけでも豊かな気分にはなるけど。いいなあ一人暮らしなのにあんなに広いフラットで(爆)
あと、常に二日酔いのヘンな家政婦役で、セルマ・リッターが今回もいい味だしてます(笑)

さあ、明日はやっと休みだ。寝よ。

…といっても、センキョに間に合うように大慌てで職場飛び出したから、明日また職場にイカンとアカンかしら。まあ、締切過ぎててずっと懸案だった案件はとりあえず今日片付いたけど。…しくしく。
昔気質のヤクザ組長・大名大作(伊藤雄之助)が3年ぶりに出所し、自分のシマに戻ってみると、そこは新興ヤクザの矢東(中谷一郎)に乗っ取られていた。怒りに燃える大作は、子分志願者の太郎(砂塚秀夫)に万年筆型の爆弾を作らせ、矢東を殺す計画を立てるのだが…。(Amazonレビューより)


1964年年、岡本喜八監督作品。モノクロ。

スカパー録画を、金曜の晩に半分見て、土曜の晩というか12時過ぎて日曜になってから見た。日々の寝不足でつい船をこいだが(あぶないあぶない!)、ハッと気づいて巻き戻し、最後まで一挙に観た。…3時だよ…ああ…

…しかし…
聞きしに勝るヘンな映画であった…(笑)

和製ミュージカルってきいてたけど、そりゃ嘘だ。
音楽映画と呼ぶことはできるかもだが、上にあるような大筋を、能狂言・歌舞伎に文楽、アホダラ経と、現代劇なのに伝統芸能や和事の節回しと所作を強引かつ好き勝手に取り入れた演出で進んでいく。(時々、字幕まで出る)
怪優・伊藤雄之助、冒頭いきなり囚人服で謡いはじめ、“太郎冠者”を呼びつける。さっそくまかりいでるのが砂塚秀夫(役名も太郎)、ふたりの狂言風演技が結構キマってるのが摩訶不思議な楽しさである。砂塚秀夫って、Wikiで見ると日本舞踊の素養もあるんだってね。なるほど若い(少なくとも伊藤よりは)のに足運びだの身のこなしだのがキマってる筈だ。服は囚人服だけど。そういや、先日の「戦国野郎」でも妙にリズミカルで可笑しな動きでアクションしていたなあ。地味だけど凄い人なんだなあ。

そして、逆に新興ヤクザで『社長』を名乗り市会議員選挙に打って出ようという、今風にキレてる中谷一郎とその手下ら主人公と敵対するメンツや銀行員らは、ジャズやツイスト、ポップスのリズムにのせて行進したり踊り狂ったり。

スラプスティック音楽映画とでもいうべきか。

普通に現代劇として会話をかわしあってる部分と、それ以外が入り混じってるが、音楽パートや伝統芸能な部分とそれ以外が、思ったほどには乖離していないのが大したものかも。
…というよりも、あっけにとられてシラける間もない(^^;)

こんな実験作?まで撮ってるんだなあ岡本喜八って…
いやーびっくりしました。
この監督もともと映像のリズムで笑いをとるところは多かったと思うんだけど、それを突き詰めた怪作奇作。ほんとに面白かったか迷うところはあるけれど、そのうちもう一度見直してみたいと思うかもしれない…(思わないかもしれない…)
ちょっと採点不能だな、このコメディ(苦笑)

私も最近文楽に目覚めたりしたから、多少入りやすくなったのかもしれないが、変わった映画を見たい人には、この映画はオススメかも。

伊藤雄之助の、デフォルメされつくした表情演技を見ているだけでも飽きないのは確かです。

戦国野郎

2012年12月6日 映画
休みだけど実家の母の年賀状印刷しに行って、途中車中でちょっと仕事もして、んでもって久々にちゃんと作った肉じゃが(実家へも差しいれた)と大根の田楽をまともに適切な夕飯時間に食べたということに感動した。自分の作る料理が好きだなんて手前味噌?まぁ簡単な料理だけど。

車中の半分は「ブラックアウト」も読んでたので、夕食後は更に仕事したほうがいいかと思ったが、あまり長くないしと、またまたキハチブランドの邦画をウォッチ。
だいたい9月くらいから、10日に1本程度しか映画見れてないもん(涙)
やっぱ少しは休みの日らしさを味わいたいよ…


さて肝心の映画レビュー。

1963年、岡本喜八監督作品。モノクロ。
戦国の世、非情な忍者稼業が嫌になり、武田信玄のもとから逃走中の抜け忍、越智吉丹(加山雄三)。武田忍者・雀の三郎左(中丸忠雄)は執念深く吉丹を追うが、追手の一人銅子播磨(中谷一郎)は、吉丹の凄腕と自由を求める心意気とが気に入り、友人となって共に旅をすることに。二人は追手の目をくらますべく、道中出会った妙な侍=木下藤吉郎(佐藤允)の勧めで馬借(言うなれば運送業)の集団“有吉党”にまぎれこむ。藤吉郎は織田家の為に大量の鉄砲を、無事に堺へ運ぶ手だてを探しているところだった。有吉党が引き受けた荷と吉丹を狙って、武田の忍軍はじめ様々な敵が襲ってくるが…

ゴール目指しておたからを運ぶ主人公たちvs襲いくる敵…という大枠は、時代劇というよりは、西部劇か、冒険物語の王道である。音楽だってちっとも時代劇臭くない(タイトルもだ)。ユーモアを交えながらもテンポよくサスペンスフルな筋運び(鉄砲をめぐる策謀はかなり複雑なんだけど、混乱しないよううまくまとめてる)、そして社会の枠にとらわれず、明るく自由に、飄々と自分らしく生きようとする主人公たちが痛快きわまりない。

こんな明るくさわやかな抜け忍っているかー、という加山雄三、えらく可愛い。彼でないと成立しないかも、この主人公像…。別の意味ですんごいハマリ役な佐藤允は、口から先に生まれてきたようなハッタリ人間藤吉郎を、おもしろ可笑しく、かつ急所はピシリとしめて好演する。そして中谷一郎…岡本喜八映画の常連のようですが、初めて、「カッコイイ!」と思いました(爆)この人これまでも飄々とした役が多かったけど、アゴヒゲが似合って男前がいつもより上がってるため、キザなせりふがわざとらしくなく映える。すばらしい。

個性派だらけの有吉党の面々もみんないい。三枚目だけど頼りになる砂塚秀夫や二瓶正也、無口な名射手天本英世(カッコイイ!)、侍崩れの江原達怡、みんな印象的。中丸忠雄は、何かいつもより泥臭いけど、矜持の高さが並々ならず。

珍しく男勝りで野性的な、有吉党の「お嬢」として殺陣も頑張る星由里子、村上水軍の美しい女頭領・水野久美、二人のヒロインとそれぞれの恋模様もイイ感じ。
美味しさが端から端までキッチリ詰まった、私好みなエンタメ大傑作でした♪
1960年、岡本喜八監督作品。モノクロ。
スカパーで視聴。

「独立愚連隊」と、キャストも舞台もタイトルの一部もかぶっているが、続編ではない。昔一緒に自主上映で見たような気もするのだがビックリするほど記憶にない。二本だてじゃなく別の日にやってて、見れなかったのかな…

妙に明るく人を食った中国語まじりなマーチ調主題歌の流れるタイトルバックで、中国軍の猛攻の中必死に軍旗をかついで逃げ回る日本軍の旗手の姿が導入部。
いったん全滅・死亡扱いに(間違って)なってて、扱いに悩んだ軍からはあちこちの前線にたらい回しにされ、でもその割にみんな生き残ってる「独立愚連隊」と呼ばれる小隊。タフで図太い彼らの新たな任務は、行方不明の旗手と軍旗との捜索。勿論?軍の価値観では軍旗の方が優先であるが。
鼻を突っ込んでくる勲功至上主義者や潜入スパイに悩まされつつ、「独立愚連隊」は圧倒的な数の敵が布陣する最前線を飛び回るが…

前作で堂々主役だった佐藤允が、小隊長加山雄三をサポートする敏腕軍曹としてワキに回り、このコンビが隊をひっぱってゆく。ハードボイルドミステリ風味でまとめた前作に比べると、軍隊への皮肉や反骨精神は明瞭なものの、明るい戦場アクション・ロードムービーみたいになってて、私の好みからするとちょっと前作より落ちる。だから記憶にないのかな。ソロバン抱えた変な部下堺左千夫やキザな中丸忠雄が印象的。あ、フランキー堺の敵将校も、そのクサさが大変味わい深い。こんなに明るい戦場てあり?でもそういうのも飄々と描いちゃうのが岡本喜八か…
前作で佐藤允とカンタンあいてらした中谷一郎は、何やってんのかよくわからない人情派ドロップアウター(元軍人)。いい所で助けてくれたりとかするんですが…

「独立愚連隊」は前にBSNHKでやったので、これらの姉妹編もまたやるかとまってたら、突然スカパーの日本映画専門チャンネルが岡本喜八特集をやってて5分前に気づいて録った。
あぶないところだった。
(まあ岡本カントクなら、クロサワ、オヅとまで行かずとも結構メジャーな人気監督だから、気をつけてたら時々やるのかもしれないが…)
1976年、ロバート・ムーア監督作品。
スカパー録画で視聴。

大昔に映画館でみたなあ。デヴィッド・ニーヴンが出てるから。だいぶ老けてきてるけど。…でもやっぱりスマート。

謎の富豪(トルーマン・カポーティ)が、世界的名探偵5人(5組)を招いて彼らに「挑戦」する。この週末、ここで謎の殺人がおこる。謎を解いたものに100万ドルをさしあげよう…と。
招かれたのはハワイ警察の東洋系名探偵ワン(ピーター・セラーズ)とその養子兼助手、上流カップルのおしゃれ探偵ディック(デヴィッド・ニーヴン)&ドラ(マギー・スミス)、立派な口髭の美食家探偵ペリエ(ジェームズ・ココ)と運転手、おばちゃま探偵ミス・マーブルズ(エルザ・ランチェスター)と看護婦、そしてトレンチコートのハードボイルド探偵サム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)と秘書(アイリーン・ブレナン)。

もちろん、チャーリー・チャン、ニック&ノラ(ハメット原作だがウィリアム・パウエル&マーナ・ロイの映画版が有名)、エルキュール・ポワロにミス・マープルにサム・スペードだ。

彼らを館に迎え入れるのは、盲目の執事ペンソンマム(アレック・ギネス)。そこへ派遣会社からやってきた新しいコック(ナンシー・ウォーカー)は耳と口が不自由なので、名探偵たちはなかなかディナーにありつけない…

脚本はニール・サイモンで、ひたすらギャグ優先のつくり。遊び心いっぱいなのは良いのだが、最後には富豪が「最後の五分で初登場する真犯人!どんでんがえしと称してコケにされっぱなしの、100万ミステリー読者の怒りを見よ!」とか言ってるあたりに、昔も思ったが、ミステリー読者として違和感をおぼえた。

…それ、怒ってないから。言うほどには、怒ってないから。
騙されたくて読んでるんだから、ミステリー好きって。
騙し方のうまいヘタで文句はつけるが…

意外な展開てんこもり、どんでんがえしのためのどんでんがえし(を重ねすぎて何が何だかに陥る)、の終盤はミステリー・パロには必須だしムダほどあってくれて構わないが、最終的に結局何がどうだったのかよーわからんラストシーンにしちゃうのはどうなんですかね。ぐちゃぐちゃにしまくった最後に、一応の筋のとおる「ウラ」を設定しておく必要があるんじゃないですか。ご都合主義や牽強付会、登場人物の「趣味だから!」でもいいから。「パロだから」といっても、あまりにも説明されないまま放りだされるのは気持ちがスッキリしません。ミステリーファンというのは、それなりの着地を待っている、というか求めて読んでいるんです。

まあそんな不満を抱えつつも、今回も一応最後まで見ちゃったのは、遊び心を支える豪華キャストのため。日本盤DVDはヘンにピーター・フォークばかりアップにしているが(コロンボ効果?)、ピーセラ、ニーヴン、ギネス、ランチェスター、マギー・スミスってあたりだけでもかなり凄いんですけどねえ。
ニーヴン&スミスは、英国的エレガンスとユーモアのブレンドがいつもどおり決まってる。ピーセラのカタコト東洋人扮装は名探偵とあって彼にしては抑え気味でよいのでは(個人的にはクドくて好みではないが、いつもよりはイイ)。チャールズ・ロートン夫人のランチェスターは「情婦」などミステリ映画のアイコンでもあるよね。あそこで看護婦だった彼女が今回は名探偵として看護婦を連れてる。この看護婦エステル・ウィンウッドもちょっとおかしくて、お気に入り。ドレスアップして車いすにのってミス・マーブルズがそれを押してるので皆が最初看護婦が名探偵と勘違いする入場から、ディナーで隣席のフォークにちょっかい出したりとエロカワだかキモカワだか…(笑)
どっかで見たようなと思ったら1968年版の「プロデューサーズ」(メル・ブルックス監督)で、“Hold Me Touch Me”のおばーちゃんを演ってた。今回もその路線なんだ…(笑)

素人のはずの作家カポーティも異相を生かして雰囲気出してるが、アレック・ギネスがやはり圧巻。サーの筈だが変な役を嬉々として演じてる。終盤の二転三転七変化はやっぱりギネスあってこそ。

全体に英国的、ヨーロッパ的(演じるのがアメリカ人俳優な場合でも)な雰囲気の中で、下町アメリカ臭ぷんぷんのフォークと秘書アイリーン・ブレナンも頑張ってはいる。一組だけカラーが違うぶん目立つのは確か。

富豪の館は、使用人設定を除いても、豪華な上ムダにいろんな仕掛けがあって笑わせる。

と、肉付けは良いが屋台骨はぐらついてる「名探偵登場」館を、とりあえず最後まで持たせたのは、やっぱりオールスター名優陣のカリスマと頑張りでした。間をおかず何度も見る気にはなれないけどね(ラストで複雑な気分になるから)。

天使

2012年11月14日 映画
1937年、エルンスト・ルビッチ監督作品。モノクロ。

パリのサロンで、ボルトン(メルヴィン・ダグラス)は謎めいた美女(マレーネ・ディートリッヒ)と出会う。一目で彼女に夢中になったボルトンだが、懸命の口説きにも、彼女はディナーを付き合ってくれただけで名も告げずに姿を消してしまう。その後、ボルトンは親しくなった英国の敏腕外交官バーカー卿(ハーバート・マーシャル)の屋敷に招かれるが、パーカー卿の貞淑な妻マリアこそ、サロンの美女だった…

100分にも満たない、短くてシンプルな話だが、しっとりじっくりと描かれる心模様とディートリッヒの美しさとで、緊張感をもって楽しめるメロドラマ(コメディというにはしっとりしすぎている)。ゆったりしたカメラ移動やライティングで、さすがはルビッチな艶っぽさが横溢。説明はごく控えめに抑えられているが、仕事一番!の夫に淋しい思いをしている妻、ただただ恋に身を焼く男、油断?していた所が突然妻を失う危機にあることに気づいて愕然とする夫、それぞれの立ち位置心情が非常にスムーズに伝わってくる。うまいな。

ディートリッヒはちょっとカマトト演技だが、怒涛の口説き、熱い視線で迫るメルヴィン・ダグラスが意外なくらいカッコよく見えてびっくりした(若い頃の彼は、「ニノチカ」あたりしか見てない)。片エクボがイミシンな表情をひきたてる。「極楽特急」ですんごく粋だったハーバート・マーシャルは、今回無粋な仕事人間でちょっとがっかりしたが、終盤のうちしおれた姿には別の意味でちょっとシビれた(笑)
オマケはエドワード・エヴェレット・ホートン。やっぱり何かヘンな執事(従僕)で、前半のコメディリリーフ。

ものすごく面白いとかいうのじゃないし、この奥さんも困ったやっちゃなあと理性では思うけど(彼女に恋する男はとばっちりみたいなもんですからね)、ルビッチ・タッチってやつですか。
ほろりと品よく酔わされます(*^^*)

でもまあ小品だし★は三つでいいか。たいした内容でないものをとても綺麗に見せられた感触。
昔の映画もけっこうDVD化される欧米。ただ、アーカイヴ系は基本的に字幕(英語字幕でも、全くないよりはナンボか良い!)が、ぜんぜん、ないからなあ。

今日、うぉぉぉぉ!という新譜情報に出会ったが、Fox Cinema Archiveなんだよね。字幕ないよね。
ただ、リージョンオールぽいから、ちょっとドキドキムネムネしている。うううううーむ…

震撼せよ、ウィドマーク・ファン!(爆)

http://www.oldies.com/search/results.cfm?results=DVDs&q=widmark+fox+Archives&x=20&y=22

「海の男」に「My Pal Gus」。
若くてピチピチの彼が観れるぞ!
It’s a Great Feeling
It’s a Great Feeling
It’s a Great Feeling
1949年、デヴィッド・バトラー監督作品。カラー。
「愛のトンネル」見たさに買った『TCM Spotlight: Doris Day Collection 』に入っていた一枚。米盤DVDなので英語字幕のみ、ただしリージョンオール♪

舞台はハリウッドのワーナー撮影所。ジャック・カースン(本人)は、自分の主演映画企画の監督をなかなか引き受けてもらえず(大根だから?アホだから?無責任男だから?)、「もういい!自分で監督する!」
共演にと声をかけた友人デニス・モーガン(本人)にも逃げられてクサっていたが、女優志願のウェイトレス・ジュディ(ドリス・デイ)に手伝わせて、彼を騙して契約書にサインさせる。手伝えば映画に出す!と約束していたカースンと、ジュディを憎からず思ったモーガンは、彼女をヒロインにキャスティングすべくプロデューサーのトレント(ビル・グッドウィン)を説得しようと、あの手この手を繰り出すが…

デニス・モーガンとデイは数曲ずつ歌う。まあこの二人は本物の歌手だから。カースンも一曲、コレはモーリス・シュバリエ風を狙っているのか?のギャグ(苦笑)
ダンスは終盤に三人がモブとともに踊るアパッシュダンス風ナンバーくらいだが、これはなかなか楽しくていい。デイはここでは黒髪(写真三枚目)。

よくあるノーテンキな歌入りコメディだが、なぜにドリス・デイ以外の主演スターたちは、みんな本名(芸名?)そのまんま…
そしてアホほど豊富なカメオ出演者たち。
最初の5分、「カースンの映画の監督を断る」ためだけに、キング・ヴィダーとラオール・ウォルシュとマイケル・カーティスとデヴィッド・バトラーがカメオで出る。セリフつきのスター・カメオもゲイリー・クーパー、ジェーン・ワイマン、ジョーン・クロフォード、E・G・ロビンソン、エリノア・パーカー、これだけあげても実は氷山の一角にすぎない(全部紹介するのは遠慮しておく)。

最後、ハリウッドに失望したジュディは田舎で待つ婚約者のもとへと帰る。「田舎者の花婿なんて!死よりも悪い運命より救い出す!」と、カースン&モーガンは教会にかけつけるが、新郎新婦を見て口をアングリ…


…さて、花婿は誰のカメオだったと思いますか?(笑) なんとそれは…

ネタバレにつき、要反転⇒  エロール・フリン!


常識破れなくらい大量のカメオ出演で作ったワーナー製作のコメディでした。なんじゃこりゃ。

デニス・モーガンとジョニー・カースンは、他にもコメディで共演作品があるようです。
ネットで少し見て回ると、彼らはどうやら、当時のワーナー版『珍道中コンビ』、つまり廉価版ビング・クロスビー&ボブ・ホープ、だったとか。

…なるほど…
モーガンは歌えるし、カースンが三枚目担当…でも、ホープほどの切れ味はないよな。
モーガンも、ビングほどすっとぼけた味はないし。
楽屋落ちやノリのむちゃくちゃさは通じるところがあります。
まあそもそも、デヴィッド・バトラーって、珍道中シリーズの監督もやってるし。

それでやっぱり社風のせいか?パラマウント時より、モタモタしてます。
ドリス・デイは、最初っからドリス・デイだなーという安定したコメディエンヌぶりだけど、多少とも笑えるのはむしろ、主人公たちに振りまわされるプロデューサー・グッドウィンの手堅い受け演技のほうが貢献しているような気が…。(^^;)

http://www.amazon.com/TCM-Spotlight-Collection-Feeling-Starlift/dp/B001O2UTRW/ref=pd_bbs_sr_1?ie=UTF8&s=dvd&qid=1240022239&sr=8-1

The Saint in London

2012年10月14日 映画
The Saint in London
The Saint in London
The Saint in London
1939年、ジョン・パディ・カーステアズ監督作品。モノクロ。
「George Sanders Saint Movie Collection」(5作品入り2枚組DVD)は、米盤ワーナー・アーカイヴズ。…なので字幕なし。英語字幕すらなし(涙)

収録作はすべて日本未公開だが、サンダース主演シリーズ1作目「The Saint Strikes Back」のみ「暗黒街に明日はない」の邦題でVHSが出ており、私も既に見ている。
(→ http://13374.diarynote.jp/200903092338467758/ の日記参照)

「The Saint in Londonは」ジョージ・サンダース主演の“セイント”シリーズ2作目。もちろん、レスリー・チャータリス原作のアレだ。ロジャー・ムーアとかヴァル・キルマーとか色んな人が演じてる。

ロンドンに姿を見せた“セイント”ことサイモン・テンプラー(サンダース)。知り合いの情報部員からのの依頼で贋金作りなどの悪事を働いているスパイ団を調べ始める。

ひょんなことで出来た部下ドゥーガン(デヴィッド・バーンズ)と、“セイント”の義賊ぶりに憧れてくっついてきた美女ペネロープ(サリー・グレイ)とともに、押し入ったり押し入られたり捕まえたり捕まえられたりしつつ、よくわからないハイスピードで悪党どもを一網打尽にするまで。いや、TCMデータベースのスクリプト(英文)を頼りにやっとこ見てるもんで、細部はよくわからない(笑)
72分でやっつけてる分、もともとのオハナシも端折り気味だと思うけどね。
とはいえ、ジョージ・サンダースの「味」でなかなか楽しめちゃう♪
やっぱり若い頃のこのヒト楽しいわ。キザっぽくて油断のならないグレーゾーン・ヒーローがハマりすぎ☆
大柄だが俊敏そうなタイプではない。アクションもあるが、むしろ、ウィットと皮肉屋っぽいダンディズムで魅せる。

たとえば冒頭、ドゥーガンとの出会いのエピソード。りゅうとしたタキシード姿でレストランに入ろうとしたセイントに、ヨレっとした服装のドゥーガンが近づき、タバコをねだる(昔の映画見ると、通りすがりの人に煙草ねだるなんて普通の光景だったようです。念のため)。気安くシガレットを一本与えてライターの火まで貸してやると、お巡りさんが二人の間に割ってはいる。「こらオマエ、今この紳士の時計をスッただろう!」セイントはキョトンとした顔で自分のポケットを探ると、懐中時計をスルリと引っ張り出してみせ、「大丈夫だよ、ありがとう」と店に入ってしまう。狐につままれた顔のお巡りさんと、それ以上につままれた顔のドゥーガン!
やがてドウーガンもレストランに入り、セイントの席へとやってくる。「あのぅ、オレの時計、返してもらえませんか…?」澄ました顔で懐中時計を「交換」する二人が可笑しい。イキだね~(笑)
明るい図々しさでもって、中盤以降はなかなかの活躍をするドゥーガン=デヴィッド・バーンズは悪くない。

令嬢ペネロープはずいぶんアマチュアで、時には敵に捕まり結果的にセイントの足を引っ張ることも。でも、一作目のヒロインよりはだいぶ見た目が魅力的なので許そう。マニッシュな帽子とチェックのコートがカッコいい、お洒落で元気なブロンドのお嬢さんだ。セイントはなかなか紳士的な態度を崩さないが、娯楽的サスペンス映画中のカップルとして、イイ感じ。あんなコートと帽子、欲しいな…

サブの二人がなかなか好感もてるので、1作目以上に楽しかった。
小粋なお気楽ユーモア・サスペンス。
3作目以降も楽しみです(*^^*)


《TCMのシノプシス》
http://www.tcm.com/tcmdb/title/88906/The-Saint-in-London/

《おまけ》
“セイント”ジョージ・サンダースの素敵ギャラリー発見!♪

http://bthesaintonline.runboard.com/t400
1948年、デヴィッド・リーン監督作品。モノクロ。

イギリス映画~♪

何度も映画化されている、チャールズ・ディケンズの有名な物語。19世紀、救貧院育ちの孤児オリヴァ(ジョン・ハワード・デイヴィス)は、虐待されてロンドンへ逃げ出すが、孤児たちを集めて窃盗団を組織しているファギン(アレック・ギネス)の手に落ちる…
オリヴァの出生の秘密や、悪党たちの様々なたくらみのスリル。

リーンの悠揚せまらぬ、そして時にはサスペンスフルな演出と美しいモノクロ映像にガッチリ心を鷲掴みされる。クラシック調の音楽には品格があるし(そしてここぞという所では思いきって音楽を切り捨て、無音で緊張感を極大に…)。
そして英国の名優たちがズラリとガン首そろえて(子役たちだけでなく犬まで名演技を披露している!この犬一見の価値ありですよ!)、国民作家ディケンズの世界を銀幕に焼き付ける。
いやー堪能しました。「大いなる遺産」もよかったが、こちらも予想以上によかったな…

トップビリングは意外やアレック・ギネスではなく悪党仲間のロバート・ニュートン(ギネスまだ映画デビュー後そんなにたってないよね)。もちろんどっちもうまいんだけど、ギネスの付け鼻は大きすぎかも…そうか、そんなにメイクが好きだったんだな最初から!(笑)
悪人だけど、前半はほんのりおかしみもあって、少年たちを束ねる奇妙な魅力はある。ニュートンは野獣のような乱暴者だが、情婦(ケイ・ウォルシュ)を殺す場面など、工夫を凝らした演出もあり圧巻。どちらもコッテリ濃い目の演技だけど、昔の小説だからそれがむしろハマる感じですね。
偽善者で情けなさ全開の救貧院の院長にフランシス・L・サリヴァン(やっぱ上手い)、作中唯一といっていいほど優しい老紳士ブラウンロー氏にヘンリー・スティーヴンソン。この人がまた、レックス・ハリソンにドナルド・ミークを掛け合わせて老けさせたよーで、なんとも心癒される「優しい老英国紳士」っぷりで目に優しかった!(←オジサマ好き)。

ジョン・ハワード・デイヴィス君は、美少年というには痩せこけてるけど、救貧院そだちなんだから仕方がないね。とことん無力な存在として描かれているのが説得力。画像はあえて、彼のカオがわかる廃盤の廉価版を選んでみました。彼を助けて、でもスリ仲間に引き込んでしまう「先輩」ドジャー少年はなんとアンソニー・ニューリーだった!最後にクレジット見て驚いた。

最終的には主人公、ラッキー(出生の秘密)に救われてメデタシメデタシな物語で、私も昔子供むけバージョンを読んだだけだけど、大衆の描きかたがいたって辛口なあたりが、ちゃんと大人の味である。原作、ちゃんと大人むけの翻訳を読みなおしてみようかな~

しいて文句をつければこの映画、「大いなる遺産」でも思ったけど、多少はしょってる感がある。が、そもそも長尺で人物描写もコッテリなディケンズ小説を、二時間程度にキッチリ入れられるわけはないのだ。ただ、私の英語ヒアリング力はたいしたことないし、日本語字幕はどうしても文字数の制限で、省略気味にしか付けられない。原作を読むのを先にしたほうが、本当はよかったのかもしれない…
1964年、アンリ・ヴェルヌイユ監督作品。フランス映画。モノクロ。

北アフリカの沙漠を行き来するトラック野郎たち。ある日、会社に新車が入ったが、なぜか新入りシュナイダー(レジナルド・カーナン)にまかされることに。首をひねる^ベテランドライバーのプルック(リノ・ヴァンチュラ)たちだったが、仲間の一人ロッコ(ジャン=ポール・ベルモンド)が新車を積荷ごと乗り逃げし、奴を捕まえろ!と社長(ゲルト・フレーベ)が大騒ぎするに至って真相が明らかに。新しいトラックの積荷には、10万ドルの価値があったのだ…

汗と砂まみれになって仕事を終えると、強い酒をあおって大騒ぎ。うーん、男の世界…
そんなトラック野郎たちの、金と意地を賭けた、命がけの追跡と闘争が開始される。
いつも飄々としたベルモンドは大好きだし、渋い上にユーモアのセンスも秘めたヴァンチュラも、結構イイと思ってる。
60年代、フランスの二大スター競演は目に楽しい。

しかし、…なんで…おフランス映画って、私にはこんなに入りにくいのかなあ。

あんまり面白くなかったです(爆)

コミカルな部分(ピンチになると何故か追いついてくる仲間とか…)と、男性的なアクション・サスペンスと男の野望爆裂な部分とが、私にとってはイマイチすっきり溶け合わず、最後までどういう気分で見ていいのかわかりませんでした。必ずしもノワールが好きじゃないからかな?特別嫌いというわけでもないけれど。
コミカルな部分のあるノワール、なのかなあコレ…たぶん…
序盤でベルモンドが、追ってくるヴァンチュラとカーナンについて、とんでもないデマを流す所は笑ったが(^^;)

★3はスター二人ぶんで水増し。
1946年、デヴィッド・リーン監督作品。モノクロ(イギリス映画)。
スカパー録画で視聴。
英国の文豪チャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」の映画化。

原作(邦訳だが)を読んだばかりでコレを見ると、あの場面もほしいあの描写もほしいあの説明も欲しいとか思わずにはいられないところもあるが、あれだけの長く深い話を約二時間にぶちこむのは確かに無理(もともと、登場人物たちの因縁のからまり加減は東映赤いシリーズか韓流ドラマかというくらいなのである。原作では文庫本上下巻使ってじっくり伏線も引いてあるのだが…)。
圧倒的に濃い、19世紀英国の世相描写・諷刺場面の省略は、いたしかたないところはある。
「あの説明も…」というのは、日本語字幕の字数制限のため私が見落としただけで本当はちゃんと台詞に入っている部分も多数あるだろうし。

ここはむしろ、映画というある程度時間的制約のある枠内で、ディケンズ世界の雰囲気をこれだけ良く出して盛り上げた映像美と演出・脚色の妙をホメるべきだろう。

開巻1分で、もう主人公の少年(アンソニー・ウェイジャー)は脱獄囚につかまって脅しあげられているというテンポのよさ。
ときどきエッ、とか思う改変も(ビディーの件はちょっと吃驚)、絶対捨てられない部分をきちんと描くための思い切りの良さとも言える。どんどん俗化していく主人公の描写は、そんな中で唯一?の善行と抱き合わせてさくっと減らし(勿論ゼロにはしていない)、そのぶんラストの描き方を原作のさりげなさとはかなり変えてしまったけれど、映像的にはパンチの効いたものになったわけで一定評価はできる。
あの荒れ果てたお屋敷、不幸な事件のあと打ち捨てられていた部屋は、主人公たちの運命を大きく動かしたカゲの黒幕ではあるし…

私が録画を見てるあいだ、背後でごそごそと自分たちのしたいこと(ネットサーフとかアルバム整理とか)をやってた家族達も、何か終盤はTVの方を見てましたからね。(…中途半端に見て、ここぞという場面で「アレはなんでや」とか聞くのはほどほどにしてほしいんだけどさ!)

もちろん、出演者たちもみな、半世紀以上前の名優たちなので余計にかもしれないが、原作の挿絵から抜け出してきたかのよう。
成人後主人公のジョン・ミルズは、良くも悪くも素直な青年を(老けてはいるが)好演。一見頼りなげだが善き友ハーバートは、これが映画デビューのアレック・ギネスで純情ぽいキョロキョロ目が印象的。限りなく優しい鍛冶屋のジョー⇒バーナード・ミルズ、野獣のような脱獄囚⇒フィンレイ・カリー、弁護士の助手ウェミック⇒アイヴァー・バーナードなど、名前までは知らないような英国俳優たちは全員ハマってる。主人公とウェミックとがウェミック父の前でぶんぶん頷いてる場面は爆笑でした。
冒頭のキャストでフランシス・L・サリヴァンの名に気づいた時には思わず「ジャガーズ弁護士っきゃない!」と叫びましたが、やっぱりこの辣腕弁護士を怪演してた。やっぱりな。

そして、少年時代の描写が素晴らしかったのも文芸映画の常だが大変効いていた。
身を縮めるようにして育つ貧しい孤児の主人公が恋する、仄暗いお屋敷で『男たちの胸を破るべく』育てられたジーン・シモンズの高慢美少女ぶりが素晴らしく、そりゃ、冷たいとわかっていても大人になるまでアトを引くのは無理ない感じ。…それだけに、成人後のヴァレリー・ホブソンは何とかならんかったんかーと物足りなさをおぼえた。「カインド・ハート」の時は割と好印象だったんだけどな、ホブソン…

残念なのはこの点くらいかな?…いやー、堪能いたしました(*^^*)
なんと、愛するリチャード・ウィドマーク様の「拳銃の罠」がアメリカでブルーレイ化されるらしい(DVD版も同時発売)。

あああああああ、字幕は、字幕は~?!
日本語字幕なんて贅沢はいいません。近頃ほんと、英語字幕すらないものが多いもの。
ワーナー・アーカイヴとか、オンデマンドばやりなのがイカンではないかな。
続報が待たれます。
あうあう。

http://classicflix.blogspot.jp/2012/09/olive-widmark-cobb-tina-louise-in-trap.html


…それにつけてもしんどい…
いくらでもしたいこと、見たい映画、再開したいゲーム、ありすぎるほどあるのに…。
こんなことで興奮しているバヤイではない。体力は大事。
…ねよ…


<続報>
http://www.fantasium.com/detail.phtml?ID=DRA92285

dvdファンタズムで見ると、CC(クローズド・キャプション)字幕なら、あるらしい。
…買おうかな♪
1941年、アレクサンダー・ホール監督作品。モノクロ。
スカパー録画で視聴。Foxシネマにしては画質もいい(爆)

チャンプへの挑戦を夢見るボクサー、ジョー(ロバート・モンゴメリー)。
ところがある日事故にあった彼は、天国からの新米使者(エドワード・エヴェレット・ホートン)の勇み足で、まだ寿命があったのに魂を回収され、ミスだとわかった時には肉体は火葬に付されてしまっていた。使者の上司の係官(クロード・レインズ)はジョーに対して、代わりの肉体の提供を申し出る。ジョーはとりあえず、不仲の妻(とその愛人)に殺された富豪の死体に入って蘇り、不幸な女性(イヴリン・キース/「風と共に」のスカーレットの妹!)を助けようとするが…

そうです!ウォーレン・ビーティの「天国から来たチャンピオン」のモトになった映画がコレ。
ビーティがアメフト、オリジナルのモンゴメリーはボクシングと、競技ジャンルは違えど、予想以上に「そのまんま」なリメイクシナリオにちょっとビックリ。役名までもかなり同じで、70年も昔のこの元映画の、着想がいかに斬新だったかがよくかる。「肉体を変えても自分と観客には同じ顔」のアイディア、事故後に雲の上を歩いてくる場面などイメージ的にも旧作で既に「できあがって」る。オリジナリティを買ってか、Imdbのランキングでも、リメイクを上回る高得点。
…個人的には、映画全体としては「天国」が好き、と思うけどね(^^;)。

リメイク版「天国から」の方が、マイペース主人公の心の動きや彼に驚かされつづける周囲とのギャップの可笑しさはしっくりはまる。リメイクとはいえ、ダテにオスカーは取ってない。20世紀も後半の観客に合わせた、シナリオの細やかなカスタマイズが効いているのだ。
そして何といっても、雲の上で見え隠れに腕立て伏せするビーティの可愛さバカさ。

とはいえ、「幽霊」にも当然見るべき価値はある。「こっちが先だから」ってだけじゃない。
主役はビーティが上と思うし、トンデモ悲鳴の悪妻ダイアン・キャノンと落ち着いた美しさのジュリー・クリスティの対照の妙もいい(旧作ヒロインズもそう悪くはないのだが、ちょっとおとなしい?)。トレーナー役はウェットな新ジャック・ウォーデン、ドライにぶっとんだ感じの旧ジェームズ・グリーソンどちらもそれぞれに味があると認めよう。

だが!
天国勢は、ハッキリ言って旧作の方が上!!
まず、ダメ天国よりの使者・ホートン。ルビッチ映画で、アステア・ミュージカルで、長年様々な名画に出演しては「アホの脇役」として“ポカをやらかす”ことで物語を転がしつづけてきた彼だ。「この人がいて、何かポカをやらかさないわけわない」という抜群の安定感に、バック・ヘンリーごとき(失礼)がかなうわけがない。
そして何より、上司のクロード・レインズが素晴らしすぎ。「天国」ではジェームズ・メイスンが演じた係官ジョーダン氏、そりゃメイスンも名優の誉れ高い俳優だし(ただし私の好みではない)、決して悪い演技じゃないと思うが、レインズの品のよいユーモアといぶし銀の風格爆裂にはどうにもこうにも、及ばないのである。
流れるように画面を動いてゆく姿、慈愛と厳格を縦横に放射する微笑、波打つ粋なロマンスグレイ…
元々レインズは割と好きな脇役だったのだが、約1時間半のこの映画、ずーーーーーーーーっとひたすら、レインズに見とれておりました。

思い出して欲しい(知らない人はちょっと聞いて欲しい)。
この映画の原作戯曲も、「天国から来たチャンピオン」も、英語タイトルは“Heaven can wait”だ。なのだが、なぜか「幽霊紐育を歩く」のタイトルだけは違う。どんなかと言うと…

“Here Comes Mr.Jordan”

コレである。

…無理ないよなあ、と、嘆息するしかない私であった(笑)
2000年、スティーヴン・ダルドリー監督作品。スカパー録画で視聴。
一種のダンス映画だということで、新しいけど(けど?)、見てもいいかなと(笑)

ふとしたことからバレエに興味を抱いた11歳のビリー(ジェイミー・ベル)。時は1984年、町は炭鉱労働者たちの労働争議で揺れ動いており、頑固な炭鉱夫の父(ゲイリー・ルイス)も兄(ジェイミー・ドレイヴン)もバレエなと「女のすること!」と断じ、理解してくれない。
内緒でレッスンを受け続けるビリーに、バレエの先生は(ジュリー・ウォルターズ)は「ロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けてみたら?」と言いだすのだが…

サクセスストーリーとしてではなく、閉塞感に満ちた社会と家庭の描写をズシっとからめて描かれるのが今風。親友がゲイへの道を進んでいくのも、バレエの先生の娘さんとあけすけな会話をするのも今風。そして、田舎町から夢のためローティーンで一人旅立っちゃうことの「ほろ苦さ」もしっかり入れてて明るい作風じゃないけれど、ユーモラスなやりとりもチョコチョコとはさんでるので飽きない。バレエに夢中になるうち、気弱を絵に描いたような主人公がほんの少しずつ逞しくなってるのもお約束だがイイ。
後半、ビリーの本気に打たれた父親が、一転これまで放置気味だった次男のため渾身の手助けをしようとするのが泣かせる。後半はすっかり家族愛ものですねー。乱暴者っぽい兄も、認知症気味の祖母も次男を心から愛してる。

読めるっちゃ読める展開だけど、ダンスや音楽がキチンと盛り上がるように入っているので、最後まで真剣に見てしまいました(笑)
先生と家族の板挟みになったイライラが狂騒的なステップにつながって走り出すビリーとか、体育館で、チュチュ着た友達(♂)とふざけている所を父親につかまり、覚悟の決まったビリーがいきなり踊り出すところとか。

しかし、ラストは私みたいにそんなにバレエ詳しくない人間、ぐぐらないとわかんないすよ(笑)
結構有名な演目なのね?
一瞬トロカデ…むにゃむにゃ…かと思った(逝)
バレエ踊る男なんてゲイだろ?必ずしもそうじゃないわ、って、主人公と先生の娘が話していたのを思い出すと笑える。「必ずしも」って、否定しきれてないし~(笑)


序盤で、早死にしたビリーの母親のことを祖母が「あのコはアステアのファンでねー」というと、「トップ・ハット」の映像が流れるのは大サービス(私への)。個人的には、アレで最後まで見ちゃったかも(笑)。
実際には音楽もロック(らしい)が多いのも、ダンスが必ずしもバレエ一辺倒じゃないのも、今の観客向けなのかな。「バレエの技術は入学してから。オーディションでは自分をダンスで表現できるかの素質を見る」という先生の話で、レッスンでもバレエでない踊りもしてるんだけど、路上や体育館で踊りまくる場面はかなりタップが入ってた。ビリー君、アステア映画も見てたのかしら。まあ、ダンスは色々なジャンルがあるけど、根底では結構つながってるもんね。

ダンスを習って、できないコトが悔しくてこそっと家で練習してみたりして、少しずつ出来ることが増えてくる楽しさは、すごく納得できる。最近あまり家でタップ練習できてないけど、私もがんばろ♪

A THOUSAND WORDS

2012年8月8日 映画
ジャックは出版代理人。
持ち前の口八丁で多数の作家と契約をまとめ、成功を収めている。
ところがある時うさんくさいスピリチュアル指導者と知り合ったことから、彼はとんでもない災難に見舞われる。
彼がひとこと言葉を口にするたびに、庭の木から葉っぱが1枚ハラリ・・・。
1,000枚の葉がすべて地面に落ちたその時、ジャックの命も終わりを迎える! ?
言葉だけで生きてきた男が、口を封じられたら?
やがて彼は、相手のことを想って、心をこめた言葉を使うことの大切さに気づく・・・


帰りの機内で、日本語吹き替えで視聴。

2012年、ブライアン・ロビンス監督作品。
「ジャックはしゃべれま1,000(せん) 」というタイトルがアマゾンには上がってるが、この邦題で公開予定なのかな?
エディ・マーフィのコメディ。ヒューマン・コメディなんだろうけどマーフィによっかかってるだけな感じで大したことはなかった。

笑える場面がないわけではないし、しんみりしたところもないわけではないが、本読んでたほうがよかったかな。
2012年、アンドリュー・スタントン監督作品。
ルフトハンザ機内鑑賞(日本語吹替版)。

今回の旅はルフト(20ン年ぶり)。座席ごとに液晶スクリーンが設置されてるのは10年前の英国航空で体験済みだが、さすがにコンテンツが多い。
ただし自分が見たいものがあるかどうかはまた別の話。

まずは小手調べに、マリリン・モンローの1時間ドキュメンタリーをチェック。狙い通り、僅かだが映る共演男優たち。ジョージ・サンダース、ケーリー・グラント、リチャード・ウィドマーク♪をチラリと見れたので納得(ドナルド・オコナーはダメだった)

映画は、数は多いんだけど大概新しいし日本語のないのもあるし。唯一の「懐かしの名画枠」?は、私の嫌いなジェームズ・ディーンの「理由なき反抗」。残念。

そんな中、「ジョン・カーター」を選んでみた。映画館は頭からスルーした作品だが、本来私もSFファン、原作・バローズの火星シリーズを中学生の頃には片端から読んだものでだ。…まさか今頃映画化されるとは…しかもディズニーで…

「ジョン・カーター」?、何その芸のないタイトル…と思ったが、映画の原題自体そうなのね。
映画は荒涼たる大地と、古代ローマとケルティックのブレンドみたいなファッションの兵士たちと、可動式の羽根がたくさんついた構造不明の飛行艇の映像からスタートする。その指揮官の所にみょーなスキンヘッズ三人組(服装も違う)が現れ、力を貸してやるといって青く光る秘密武器を見せびらかす。
所かわって1883年のアメリカ。元南軍将校ジョン・カーターの謎めいた死と彼に会いに来た甥エドガー・ライス・バローズが観客に紹介される。伯父の日記をひもとくと、書かれていたのは南北戦争後のやさぐれたカーターが、青い光線を放つ謎のメダルが原因で、腕が6本の緑色人や、人間に酷似した赤色人らの住む惑星『バルスーム』(実は火星とわかる)へ飛ばされて、火星のプリンセスを守って繰り広げた大冒険の顛末だった…


いかにもイマドキのSFファンタジーらしく、バリバリCGな空中戦シーンから始まって逆にちょっと違和感あったし(笑)、原作の紳士的なイメージとちょっとズレ気味な主演男優。
だいたい最近の西部劇、やたら長髪だのヒゲだのでリアル嗜好かしれんけど汚なづくりしずぎ。
ヒロイン・デジャー=ソリスも、科学者王女で剣も使う文武両道とは、今風な…とか思ったり、緑色人は筋肉ムキムキと思ってたら、タッパはあるが妙に細身だし、お約束の牙はあるけど妙なところから生えてるし、最初は苦笑しながら見ていた。なにせこちらは武部本一郎画伯の美男美女(+東洋的に抑制の効いたマッチョ)絵で育ってるのだ。

とはいえ幼少期?の刷り込みは別の意味でも強烈である。しだいに固有名詞をきくたび、そういやこんな奴、いたいた!と嬉しくなってくる。
ヒロインヒーロー、タルス・タルカス(主人公最初の緑色人な盟友)あたりは常識ときても、

「ドタール・ソジャット!(主人公につけられた別名)」とか出たら、おおお!と心が震えた(笑)

軟禁状態のところにチャラ男が突然救出のためと乱入してきた時も「カントス・カン!」…おおおおお!いたいた!である。妙に軽いのが笑えるが、たしかシリーズ中のどれかでは主役を張ったんじゃなかったっけか。「ウーラ!」懐かしい。ヘンな貌だが頼もしい火星犬。

そういや、ヒロインに敵対する連中のバックの謎のスキンヘッドは、確か原作になかったと思うのだが、原作の後の巻からちょっと変えて入れているのかなと思ったり(今旅行中なので帰ったらン十年ぶりに読み返してみるか。新版も出たようだし)。

主人公のやたらな強さは、元々の運動神経(剣術馬術射撃も抜群という)に加え、火星が重力低めなおかげで、腕力も増幅されるが跳躍力がスゴイことに。映画のアレは跳びすぎだろうが、常時トランポリン状態でひらりひらりと飛び回ってのアクションは、深く考えずに見るぶんには結構爽快だ。そして何より、プリンセスと結ばれたと思ったとたんに…のひとひねり、細部はイロイロ変えちゃっても(確かに現代の観客のためには一定必要だろうと原作ファンにも納得できるレベルだ)、バローズ本来の純愛路線をきちんと大事にしてくれてた実感があって、後味は意外によかった。
出演者は誰一人として知らないが。

“John Carter”。この愛想のないタイトルは、最後にもういちど映し出され、文字がカチカチと追加されて “John Carter … of the Mars” と、なる。
大時代な純愛ロマンに、原作を知る者こそが嬉しくなるかもしれない。
私が「結構面白かった(原作を知っているから)」と言ったので見てみた夫はあまりピンと来なかった様子でした(笑)

バローズは、この古さがたまんないんだよね(笑)
原作版ターザン(これも実はバローズ作)第一作のラスト、自ら潔く身を引くターザンのなんと紳士的騎士道的であったことか…
そーゆー意味ではディズニーでもむしろ良かったか?(笑)
とりあえず、原作ファンは話の種に見てみて良いと思います☆
午前十時の映画祭。今年で終わりってんで、今年も再び見に行きました、「バンド・ワゴン」。
たぶん来年以降はなかなかスクリーンで見れっこないだろうし。

しかし、席を取り間違えた。ちょっと迷って決めた列だがもうひとつ前の列にしとけばよかった…
コヤがとても小さいこともあるが、前に座った男性が結構背が高くて画面に頭がニュッと…(涙)

きちんと傾斜が十分とってあるコヤならいいが、そうでない場合、一定以上の背丈(座高?)の人は、なるべく深く沈みこむように座って下さい!!!
なるべく背と首をのばして見てたので少し疲れた。しくしく。
映画は何度見てもすばらしいのだが。

去年も二度見たし、詳細は去年の日記をご参照ください。
(参照 http://13374.diarynote.jp/201105302346298549/)

やっぱり「雨に唄えば」と「バンド・ワゴン」の二本こそが、MGMミュージカル黄金期の双璧。でも、なんか「パンド・ワゴン」の方がよりオトナ(ロートル)むけな気がする。
ジーン・ケリー+ドナルド・オコナー+デビー・レイノルズVSフレッド・アステア+シド・チャリシーというメンツからしてもそうなんだけど、「雨に…」が旧勢力を倒して新勢力が成功する話なのに比べると、「バンド・ワゴン」では主人公のアステアが若いバレリーナのシドに「違う世界、違う世代からきた我々だが、一緒に踊ることは出来るはず。それって素晴らしい事じゃないか?」というようなセリフを言います。そうなんだ。温故知新、世代を超えて(そして時にはジャンルの壁もこえて)エンタティンメントの世界は生き続けていくんだー!という部分は、初めてこの映画をVHSビデオで見た学生時代よりも、いーかげん年くった今のほうが、心にしみるような気がします(^^;)

実際「バンド・ワゴン」のアステアは、結構いつもと違うチャレンジをしてると感じますし。自虐ネタまであるし、アステアにしてはモダンバレエ的な長尺の「ガール・ハント・バレエ」も、なんだかだ言って楽しく見せてくれますし♪

もちろん「雨に唄えば」は、あれはあれで大好きなんですけどね。ミュージカルナンバーとかの話はさておくとして、あれはサイレントからトーキーへ移り変わる時代の話だし、若さと新しさを謳歌するのは自然なこと(敵役のサイレント女優が実に性格悪く描かれていますしね)。そうした変化の時代を面白く再現しているのも「雨…」の魅力のひとつです。

ダンスや歌については、ほんと何度見ても飽きないなー。二作ともそうです。

金曜までだけど、もう一度行きたいなと思っています。

土曜からは「ザッツ・エンタティンメント」。今日は「予告編」が見れたので嬉しかった。これも、去年も見たけれど、今年も一度は行きたいなと思っています。


しかし、しかし…

最近、すっごく可愛そうなことになってる…文楽。

実は一度も見たことがなかったのですが(阪神間だけど兵庫県育ちなので、学校から連れて行ってもらったりは無かった)、色々ニュースやtwitter見て気になって、市長はむちゃくちゃ言ってるけど、一度くらい文楽見に行ってみようかな、でもいきなり通常四時間のプログラムを見に行くのはハードル高すぎるし…と、NHKEテレでやってた「文楽への招待」的な45分番組を録画してちょこっと見てみました。
だいたい私、邦楽や日本の伝統芸能にはうといんです。映画も洋画がほとんどだし。
でも、伝統文化とかって、自分個人にはわからなくても、とりあえず敬った方がいい、むげに扱うのは間違ってると思うのです。超えてきた年月にはそれなりの意義があるはずなので、分からないからと壊しちゃうのはバカなことだと思う。

で。

…ほー…
人形、綺麗じゃーん。
しかも、けっこうどの瞬間も、ポーズがしっかり決まってるのはなかなか。
たとえば、達人フレッド・アステア様のダンスシーンは、どこの瞬間をとってもピシッと決まりまくってるわけですが、なるほどこりゃかなりのテクと修練がぶちこまれているに違いない(二人三脚どころか3人六臂なのに)と…ちょっと「伝統」に納得しました。

そして、具体的に調べてみると、今の時期だけ、夏休みむけプログラムてんで、ちょっと短めの設定があるんですね。午前中は親子連れむけ2時間、午後は3時間半、でも6時半からの夜の部はまた2時間のミニレイトショー。
うーん、これなら入門にいいかと思ったら…(たいがい普通は4時開演とかヘンな時間だし)
これ、7/21~8/7までなんですね…orz。
九月は東京公演に行っちゃうみたいだし、次のチャンスは結構先。

ワタシ、8/2から家族旅行でしばらく留守になっちゃうんだけど(泣)

さすがに、働き続け+旅行準備しながらあと10日の間に映画2本と初文楽行くのはキツいな…
映画一本と初文楽くらいなら何とかなるかもなんだけど…
チケット取れる取れないはさておいても…

1日で午前中にバンド・ワゴン、午後文楽なんてやったら頭がハレツするかしら。

あああああああー、選べないよ~(号泣)

私が行けるか行けないか分からないけど、…とりあえず、逆風に負けるな文楽!

http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2012/1490.html?lan=j

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