ふう、今日も激務だった(イベントがありテンション高め、肉体労働多めであった)。
ほっこりしようと、買ってからなかなか見れていないジョージ・サンダース・セイント作品集(DVD2枚組)をリージョンフリー・プレイヤーに放り込もうとしたら、ええええー、なぜッ?
ディスク1が見当たらない。近くにあったDVDケースの中身を片っ端からみたが見つからない。
なんで?なんでぇーーーーー?(涙)
なんでこんなことにぃ…(T^T)
ほっこりしようと、買ってからなかなか見れていないジョージ・サンダース・セイント作品集(DVD2枚組)をリージョンフリー・プレイヤーに放り込もうとしたら、ええええー、なぜッ?
ディスク1が見当たらない。近くにあったDVDケースの中身を片っ端からみたが見つからない。
なんで?なんでぇーーーーー?(涙)
なんでこんなことにぃ…(T^T)
I Love Melvin
2012年3月2日 映画 コメント (2)
1953年、ドン・ワイス監督作品。カラー。日本未公開。
「雨に唄えば」のヒット後、MGMがドナルド・オコナー&デビー・レイノルズの二人を主演に作ったミュージカル。オコナーのミュージカルでカラーでメジャーなスタジオ製作なモノは希少なので、字幕皆無の海外盤だけどチャレンジ~♪
Look Magazine のカメラマン助手メルヴィン(オコナー)は、コーラスガールのジュディ(レイノルズ)に恋をする。Look Magazine の表紙に飾りたいと彼女の写真を撮りまくるうち、めでたく両想いとなるが、彼女の父親は羽振りのよいハリー(リチャード・アンダーソン)に嫁がせたいと思っている。上司は彼の写真なんかてんで使ってくれないのだが、ハリーのプロポーズを阻止するため、メルヴィンはジュディが表紙に載ったLook Magazine(ニセモノ)を作るのだが、ジュディ(と彼女の一家)はそれを本気にしてしまうし、困り果てたメルヴィンは失踪しちゃうし…
もちろん最後は安直にめでたしめでたしとなるのだが(何たって両想いだし)、まあ…なんと言いますか…いくらミュージカルとはいえほんとに単純で安直(^^;)
親の反対に何も言えない娘とか、最後にメルヴィンを探すのにいったいいくらかけたんだろうとか、それとも雑誌社の社長がよほど気を利かせてくれたのか。内心、えーと…?と思いながら見てしまいました。言葉の壁のせいかもですが。
それより、やっぱりMGMですね。オコナーよりもレイノルズを売り出すことにひたすら心を砕いて作っているのが伝わってくるのが、オコナー・ファンとしては辛い所ですねははは(涙)
MGMの割には低予算で作ったのではという疑いも。監督も聞いた事ない人だし(爆)
まあそれでも、カラフルな画面で明るい声と軽快な足さばきを披露してくれるドナルド・オコナーが嬉しいです。ローラースケートでタップ踊ったのは、アステアとジーン・ケリーだけじゃないよ、オコナーもだよ、とちょっと主張してみたり。
長尺の"I Wanna Wander"は“Make ’em laugh”を意識したのか、マイムのギャグをいっぱいいれてる。ダンス部分をもっとじっくり見せてくれると更によかったな。直接レイノルズと踊るのが"We Have Never Met, As Yet"一曲のみ(しかもカメラ片手)なんていう残念さも、彼女がミュージカルスターとしてはまだかけだしだったせい?「ザッツ…」にあった、カットされたというナンバーも、入れてくれたらよかったのに…
一番オコナーらしく素敵だったのは、数回見せてくれる、カラダを張ったダイナミックなすっころびっぷりかもしれません。キートンとまではいきませんが、結構派手★
あと、おかしかったのは、表紙に載ったからこれでスターだわ、と浮かれるジュディが夢の中で、アステア三人とジーン・ケリー三人(お面つけてるみたいな特殊メイク!)を従えて踊る所。最後はオスカーも貰います。よく夢見るんだよねこのコ。ロバート・テイラーまで出演させる夢見上手。求婚者ハリーがバイオニック・ジェミーの上司なのは変な感じだった。
さーこれで、50年代のオコナーのミュージカルは総て制覇できたゾ。
ありがとうございました、なにわすずめさま!
「雨に唄えば」のヒット後、MGMがドナルド・オコナー&デビー・レイノルズの二人を主演に作ったミュージカル。オコナーのミュージカルでカラーでメジャーなスタジオ製作なモノは希少なので、字幕皆無の海外盤だけどチャレンジ~♪
Look Magazine のカメラマン助手メルヴィン(オコナー)は、コーラスガールのジュディ(レイノルズ)に恋をする。Look Magazine の表紙に飾りたいと彼女の写真を撮りまくるうち、めでたく両想いとなるが、彼女の父親は羽振りのよいハリー(リチャード・アンダーソン)に嫁がせたいと思っている。上司は彼の写真なんかてんで使ってくれないのだが、ハリーのプロポーズを阻止するため、メルヴィンはジュディが表紙に載ったLook Magazine(ニセモノ)を作るのだが、ジュディ(と彼女の一家)はそれを本気にしてしまうし、困り果てたメルヴィンは失踪しちゃうし…
もちろん最後は安直にめでたしめでたしとなるのだが(何たって両想いだし)、まあ…なんと言いますか…いくらミュージカルとはいえほんとに単純で安直(^^;)
親の反対に何も言えない娘とか、最後にメルヴィンを探すのにいったいいくらかけたんだろうとか、それとも雑誌社の社長がよほど気を利かせてくれたのか。内心、えーと…?と思いながら見てしまいました。言葉の壁のせいかもですが。
それより、やっぱりMGMですね。オコナーよりもレイノルズを売り出すことにひたすら心を砕いて作っているのが伝わってくるのが、オコナー・ファンとしては辛い所ですねははは(涙)
MGMの割には低予算で作ったのではという疑いも。監督も聞いた事ない人だし(爆)
まあそれでも、カラフルな画面で明るい声と軽快な足さばきを披露してくれるドナルド・オコナーが嬉しいです。ローラースケートでタップ踊ったのは、アステアとジーン・ケリーだけじゃないよ、オコナーもだよ、とちょっと主張してみたり。
長尺の"I Wanna Wander"は“Make ’em laugh”を意識したのか、マイムのギャグをいっぱいいれてる。ダンス部分をもっとじっくり見せてくれると更によかったな。直接レイノルズと踊るのが"We Have Never Met, As Yet"一曲のみ(しかもカメラ片手)なんていう残念さも、彼女がミュージカルスターとしてはまだかけだしだったせい?「ザッツ…」にあった、カットされたというナンバーも、入れてくれたらよかったのに…
一番オコナーらしく素敵だったのは、数回見せてくれる、カラダを張ったダイナミックなすっころびっぷりかもしれません。キートンとまではいきませんが、結構派手★
あと、おかしかったのは、表紙に載ったからこれでスターだわ、と浮かれるジュディが夢の中で、アステア三人とジーン・ケリー三人(お面つけてるみたいな特殊メイク!)を従えて踊る所。最後はオスカーも貰います。よく夢見るんだよねこのコ。ロバート・テイラーまで出演させる夢見上手。求婚者ハリーがバイオニック・ジェミーの上司なのは変な感じだった。
さーこれで、50年代のオコナーのミュージカルは総て制覇できたゾ。
ありがとうございました、なにわすずめさま!
物欲は今日をのりきるための…
2012年3月1日 映画 コメント (6)
今日の物欲はお高い…
twitterでも呟いたが…
まず「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」。
http://www.allcinema.net/dvd/holmes.html
このタイトルには日記でもやたら言及してたが、ハッキリいって反応のないまま毎回流されてきた。今日初めてつぶやきの方には返信があって嬉しいです(笑)
やっと日本盤が出たんだね!
そして「ハリウッド航空戦争映画 DVD-BOX 名作シリーズ7作セット」
まあ主演男優のラインナッブを見て下さい。エロール・フリン二枚(片方はデヴィッド・ニーヴン付)、キャグニー一枚、ケイリー・グラント一枚。ボギー主演作にはクロード・レインズが共演してるので合わせ技一本と。
どーでもいいのも1~2枚あるけど。
http://www.allcinema.net/prog/show_dvd.php?num_sid=829239
http://books.rakuten.co.jp/rb/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%83%E3%83%89%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%88%A6%E4%BA%89%E6%98%A0%E7%94%BB-DVD-BOX-%E5%90%8D%E4%BD%9C%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA7%E4%BD%9C%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-4944285550125/item/11586411/
楽天で25%引きで予約しても13986円かぁ…
二万円近くなるなあ…しかし字幕が…
でも、どうもこのあたりのメーカーの作品は、あまりレンタルに出ない予感がするし。
安く上げようと思えば海外盤だが、どうも最近の海外盤DVDは、アーカイブとかばっかで字幕のないものが増えていると感じる。とても悲しい。しくしく…
…何年かたったらポロリとコーナンのDVD売り場に投げ売りされてたりする、なんて可能性はないだろうか。ないよなあ。
(先日もコーナンで「ドミノ・ターゲット」を498円でゲットしたが…)
twitterでも呟いたが…
まず「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」。
http://www.allcinema.net/dvd/holmes.html
このタイトルには日記でもやたら言及してたが、ハッキリいって反応のないまま毎回流されてきた。今日初めてつぶやきの方には返信があって嬉しいです(笑)
やっと日本盤が出たんだね!
そして「ハリウッド航空戦争映画 DVD-BOX 名作シリーズ7作セット」
まあ主演男優のラインナッブを見て下さい。エロール・フリン二枚(片方はデヴィッド・ニーヴン付)、キャグニー一枚、ケイリー・グラント一枚。ボギー主演作にはクロード・レインズが共演してるので合わせ技一本と。
どーでもいいのも1~2枚あるけど。
http://www.allcinema.net/prog/show_dvd.php?num_sid=829239
http://books.rakuten.co.jp/rb/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%83%E3%83%89%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%88%A6%E4%BA%89%E6%98%A0%E7%94%BB-DVD-BOX-%E5%90%8D%E4%BD%9C%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA7%E4%BD%9C%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-4944285550125/item/11586411/
楽天で25%引きで予約しても13986円かぁ…
二万円近くなるなあ…しかし字幕が…
でも、どうもこのあたりのメーカーの作品は、あまりレンタルに出ない予感がするし。
安く上げようと思えば海外盤だが、どうも最近の海外盤DVDは、アーカイブとかばっかで字幕のないものが増えていると感じる。とても悲しい。しくしく…
…何年かたったらポロリとコーナンのDVD売り場に投げ売りされてたりする、なんて可能性はないだろうか。ないよなあ。
(先日もコーナンで「ドミノ・ターゲット」を498円でゲットしたが…)
1971年、ジャン=ポール・ラプノー監督作品。
60年代半ば頃から、ジャン=ポール・ベルモンド&フィリップ・ド・ブロカ監督のコンビは、「リオの男」「カトマンズの男」など一連のおとぼけスーパー・アクション・コメディで大当たりを取っていた。てんでブロカ監督でなくともベルモンド主演作にはやたら「…の男」という邦題がついているが、中でもこの「コニャックの男」は、“男シリーズ”の直系と考えてもよさそうだ。なんたってラプノー監督は、「リオの男」の脚本家でもあるのだから。
大昔に一度TV放映で見て以来、“男シリーズ”大好きの私にとっては見果てぬ夢の一作だったので、突然CS(シネフィル)が放映してくれたのには狂喜した。VHSは昔出てたような気もするが、DVD出てないし!(海外盤はあるようだが…)
舞台はフランス革命期。
新大陸で逆玉を果たしたニコラ(ベルモンド)は、富豪令嬢との結婚式場で元ライバルから「異議あり!フランスで結婚してただろ」と突っ込まれた。おりしも革命により離婚が可能になった!(それまではカトリック国だからペケ)というので、彼は故国へ舞い戻る。
実はニコラが新大陸へ渡ったのは妻シャルロット(マルレーヌ・ジョベール)に言い寄った男爵を殺したためだったが、探し出した妻は性懲りもなくイケメン侯爵(サミー・フレー)の婚約者におさまっていた。侯爵らとともに王党派の反撃をもくろむ大公(ミシェル・オークレール)も彼女を狙っている。邪魔しないでよ!と叫ぶシャルロットだが、侯爵の妹(ラウラ・アントネッリ)がニコラにベタベタするのは許せない様子(子供の頃ジプシーの占いで「貴族の奥方になる」と言われた彼女は、しつこくそれを引きずっていて、それが常に二人の喧嘩のタネだったのだ)。一度は焼け掘杭に火がつきかけたものの、ニコラの帰国が実は離婚のためだったと知ったシャルロットは激怒し大公と逃げ出す。さてニコラの進む道は?
何がイイって、フランス革命期のトンデモな世相が、さりげなくポンポンぶち込まれてるのが楽しい。ルソーの教育論にかぶれて放任主義の船客(シャルル・デネ)親子が船長を困らせたり、宗教的に解放?されたからって、妙な「理性の女神」とか設定してショーアップしてたり(史実)、むちゃくちゃ軽く人々がギロチンにかけられたり、離婚の窓口が長蛇の列だったり、革命派も王党派も奇人変人大集合だったり(初見時、シスコン侯爵&ブラコン妹にはちょー吹いた)、そのくせ折々に挿入されるフランスの森や田園などの風景は妙に上品で美しく、ミシェル・ルグランの格調高いのか格調高さのパロディなのか見事なまでに微妙なラインのBGMとマッチして、もう遊び心満載と感じられる。
…おぉっと、BGMを試聴できるページ発見!
http://www.disquesdessinee.com/shopdetail/001004000125
そして、そんなオシャレかつちょっと知的スノップに描かれる“激動の時代”の中、主人公たち二人が最初から最後までひたすら痴話ゲンカ状態!素晴らしい。明るくおバカなラストシーンまで、こりゃやっぱり100%私好みの映画でした。軽いフランス的エスプリとナンセンスなまでにスピーディな物語展開、とことん飄々としっぱなしの若々しいベルモンドの魅力、加えて派手な痛快なコスチューム・アクション。
回りを固める奇人変人たちもみんな魅力的(笑)
シャルロットからは割と邪険に扱われてたが大公ミシェル・オークレールもなかなかよかったなあ。←オジサマ好き
こういう映画が好きなんだな、ほんと。でも多分フランス映画の中(特に日本でウケるフランス映画の中)では傍流なんだろうな(笑)
だからあまり、フランス映画って見ないのよ…ベルモンド作品以外(^^;)
<追記>私は大公だの貴族の奥方だのと書いているが、字幕だとそれぞれ王子だの王女だのと訳されていたのがちょっとウザかった。prince、princess って、必ずしも国王の息子や娘じゃないんだよねヨーロッパでは。会話の中で王弟アルトワ伯の動静などが触れられるが、王子といったらむしろこっちでしょう。英国の公爵ならDukeだが、欧州の爵位肩書は多彩でめんどくさいのだ。
爵位はナポレオンも乱発してたし、結構適当だったらしいね。
60年代半ば頃から、ジャン=ポール・ベルモンド&フィリップ・ド・ブロカ監督のコンビは、「リオの男」「カトマンズの男」など一連のおとぼけスーパー・アクション・コメディで大当たりを取っていた。てんでブロカ監督でなくともベルモンド主演作にはやたら「…の男」という邦題がついているが、中でもこの「コニャックの男」は、“男シリーズ”の直系と考えてもよさそうだ。なんたってラプノー監督は、「リオの男」の脚本家でもあるのだから。
大昔に一度TV放映で見て以来、“男シリーズ”大好きの私にとっては見果てぬ夢の一作だったので、突然CS(シネフィル)が放映してくれたのには狂喜した。VHSは昔出てたような気もするが、DVD出てないし!(海外盤はあるようだが…)
舞台はフランス革命期。
新大陸で逆玉を果たしたニコラ(ベルモンド)は、富豪令嬢との結婚式場で元ライバルから「異議あり!フランスで結婚してただろ」と突っ込まれた。おりしも革命により離婚が可能になった!(それまではカトリック国だからペケ)というので、彼は故国へ舞い戻る。
実はニコラが新大陸へ渡ったのは妻シャルロット(マルレーヌ・ジョベール)に言い寄った男爵を殺したためだったが、探し出した妻は性懲りもなくイケメン侯爵(サミー・フレー)の婚約者におさまっていた。侯爵らとともに王党派の反撃をもくろむ大公(ミシェル・オークレール)も彼女を狙っている。邪魔しないでよ!と叫ぶシャルロットだが、侯爵の妹(ラウラ・アントネッリ)がニコラにベタベタするのは許せない様子(子供の頃ジプシーの占いで「貴族の奥方になる」と言われた彼女は、しつこくそれを引きずっていて、それが常に二人の喧嘩のタネだったのだ)。一度は焼け掘杭に火がつきかけたものの、ニコラの帰国が実は離婚のためだったと知ったシャルロットは激怒し大公と逃げ出す。さてニコラの進む道は?
何がイイって、フランス革命期のトンデモな世相が、さりげなくポンポンぶち込まれてるのが楽しい。ルソーの教育論にかぶれて放任主義の船客(シャルル・デネ)親子が船長を困らせたり、宗教的に解放?されたからって、妙な「理性の女神」とか設定してショーアップしてたり(史実)、むちゃくちゃ軽く人々がギロチンにかけられたり、離婚の窓口が長蛇の列だったり、革命派も王党派も奇人変人大集合だったり(初見時、シスコン侯爵&ブラコン妹にはちょー吹いた)、そのくせ折々に挿入されるフランスの森や田園などの風景は妙に上品で美しく、ミシェル・ルグランの格調高いのか格調高さのパロディなのか見事なまでに微妙なラインのBGMとマッチして、もう遊び心満載と感じられる。
…おぉっと、BGMを試聴できるページ発見!
http://www.disquesdessinee.com/shopdetail/001004000125
そして、そんなオシャレかつちょっと知的スノップに描かれる“激動の時代”の中、主人公たち二人が最初から最後までひたすら痴話ゲンカ状態!素晴らしい。明るくおバカなラストシーンまで、こりゃやっぱり100%私好みの映画でした。軽いフランス的エスプリとナンセンスなまでにスピーディな物語展開、とことん飄々としっぱなしの若々しいベルモンドの魅力、加えて派手な痛快なコスチューム・アクション。
回りを固める奇人変人たちもみんな魅力的(笑)
シャルロットからは割と邪険に扱われてたが大公ミシェル・オークレールもなかなかよかったなあ。←オジサマ好き
こういう映画が好きなんだな、ほんと。でも多分フランス映画の中(特に日本でウケるフランス映画の中)では傍流なんだろうな(笑)
だからあまり、フランス映画って見ないのよ…ベルモンド作品以外(^^;)
<追記>私は大公だの貴族の奥方だのと書いているが、字幕だとそれぞれ王子だの王女だのと訳されていたのがちょっとウザかった。prince、princess って、必ずしも国王の息子や娘じゃないんだよねヨーロッパでは。会話の中で王弟アルトワ伯の動静などが触れられるが、王子といったらむしろこっちでしょう。英国の公爵ならDukeだが、欧州の爵位肩書は多彩でめんどくさいのだ。
爵位はナポレオンも乱発してたし、結構適当だったらしいね。
「ヨランダと盗賊」ジュネス盤発売まであと二週間。海外盤を買い慣れると、27%引きの予約価格でもいい加減お高くて、ちょっとだけ迷ってしまうな(爆)
定価5000円超って、ねえ。
とはいえ、調べてみたらやっと去年出てたとわかった米ワーナーアーカイブ盤は、リージョンオールではあるが例によって字幕ない(英語字幕だけでもいいのに!)ようだしね…(^^;)
さてどうしよう。
http://www.wbshop.com/Yolanda-The-Thief/1000200276,default,pd.html
定価5000円超って、ねえ。
とはいえ、調べてみたらやっと去年出てたとわかった米ワーナーアーカイブ盤は、リージョンオールではあるが例によって字幕ない(英語字幕だけでもいいのに!)ようだしね…(^^;)
さてどうしよう。
http://www.wbshop.com/Yolanda-The-Thief/1000200276,default,pd.html
1941年、H・ブルース・ハンバーストン監督作品。ネットレンタルで視聴。
「銀盤の女王」戦前のフィギュア金メダリスト、ソニア・ヘニー主演のミュージカル調ラブコメ。
ピアノ弾きテッド(ジョン・ペイン)は、所属するバンドが憧れの美人歌手ヴィヴィアン(リン・バリ)と共演できることになって有頂天。早速口説いていい感じになる。ところが、マネジャー(ミルトン・バール)の発案で話題作りのためにとバンドで世話することになったノルウェーからの難民の女の子を迎えに行くと、来たのは想像していたような子供ではなく妙齢の娘カレン(ヘニー)だった。カレンはテッドに一目ぼれして強引なアタックを重ねる。テッドらが演奏のため訪れたウィンターリゾート・サンバレーでは恋のさやあてが繰り広げられ…
ラブコメとしては、正直オソマツ。テッドと両想いのはずだったのにカレンに強引に割り込まれるヴィヴィアンが気の毒になってしまって仕方がない(爆)
ウィンタースポーツが苦手だっただけでこんな扱いなの?
天然小悪魔と言うには肉食系過ぎるぞソニア・ヘニー。
だが…
テッドのバンドのリーダー役がなんとグレン・ミラー本人!役名は変えてあるが、グレン・ミラー楽団が「ムーンライト・セレナーデ」、「イン・ザ゜・ムード」、「チャタヌガ・チューチュー」など、オハコをたっぷり聴かせてくれる。これがなかなか(流石ホンモノは違う)。しかも「チャタヌガ…」ではニコラス・ブラザーズが飛び出して来てタップの妙技を見せてくれる。スプリットかましまくりの身体能力は凄いねぇ。スキー場で能天気にガンガンかかる主題歌も結構ゴキゲン。
ジョン・ペインも、ピアノや歌までこなせるとは思わなかったよ…(まさか吹替えじゃないよね?)
音楽的には見所聴きどころ満載なのである。
ソニア・ヘニーの滑りは、さすがに半世紀以上前、戦前のスターとあって技術的には見劣りするが(ジャンプはほとんどないし、ビールマンどころかスピン時手足をあまり伸ばしていないので美的には物足りない)、スピンのスピードや最後のアイスショーでのゆったりした滑りの優雅さはやっぱり貫録、みごたえあり。
ストーリーはあくまでも添え物と開き直りましょう。
スイング・ジャズが好きならオススメ!
「銀盤の女王」戦前のフィギュア金メダリスト、ソニア・ヘニー主演のミュージカル調ラブコメ。
ピアノ弾きテッド(ジョン・ペイン)は、所属するバンドが憧れの美人歌手ヴィヴィアン(リン・バリ)と共演できることになって有頂天。早速口説いていい感じになる。ところが、マネジャー(ミルトン・バール)の発案で話題作りのためにとバンドで世話することになったノルウェーからの難民の女の子を迎えに行くと、来たのは想像していたような子供ではなく妙齢の娘カレン(ヘニー)だった。カレンはテッドに一目ぼれして強引なアタックを重ねる。テッドらが演奏のため訪れたウィンターリゾート・サンバレーでは恋のさやあてが繰り広げられ…
ラブコメとしては、正直オソマツ。テッドと両想いのはずだったのにカレンに強引に割り込まれるヴィヴィアンが気の毒になってしまって仕方がない(爆)
ウィンタースポーツが苦手だっただけでこんな扱いなの?
天然小悪魔と言うには肉食系過ぎるぞソニア・ヘニー。
だが…
テッドのバンドのリーダー役がなんとグレン・ミラー本人!役名は変えてあるが、グレン・ミラー楽団が「ムーンライト・セレナーデ」、「イン・ザ゜・ムード」、「チャタヌガ・チューチュー」など、オハコをたっぷり聴かせてくれる。これがなかなか(流石ホンモノは違う)。しかも「チャタヌガ…」ではニコラス・ブラザーズが飛び出して来てタップの妙技を見せてくれる。スプリットかましまくりの身体能力は凄いねぇ。スキー場で能天気にガンガンかかる主題歌も結構ゴキゲン。
ジョン・ペインも、ピアノや歌までこなせるとは思わなかったよ…(まさか吹替えじゃないよね?)
音楽的には見所聴きどころ満載なのである。
ソニア・ヘニーの滑りは、さすがに半世紀以上前、戦前のスターとあって技術的には見劣りするが(ジャンプはほとんどないし、ビールマンどころかスピン時手足をあまり伸ばしていないので美的には物足りない)、スピンのスピードや最後のアイスショーでのゆったりした滑りの優雅さはやっぱり貫録、みごたえあり。
ストーリーはあくまでも添え物と開き直りましょう。
スイング・ジャズが好きならオススメ!
1950年、チャールズ・ウォルターズ監督作品。カラー。
ひなびた田舎町で、女手ひとつで経営の苦しい農場を切り盛りするジェーン(ジュディ・ガーランド)。ある日突然、都会で女優になった妹アビゲール(グロリア・デ・ヘイヴン)が、恋人ジョー(ジーン・ケリー)が率いる劇団のショー上演のため納屋をつかわせてほしいと大人数で押しかけてくる。気が進まないながらも「農場を手伝ってくれるなら」とOKするジェーン。が、練習が進むにつれて主役のアビゲールは高慢でだらけた態度をとり始め、ジョーとジェーンは互いに惹かれてゆく。が、ジェーンは、農場のため借金を重ねた大店の息子と婚約していた…
田舎の農場が舞台てんで、かなり地味なミュージカル。ジュディもだいぶ太ってきてるし。
体調もだいぶ悪かったらしい…とはいっても地力が違う。共演ジーン・ケリーも、今回はモダンバレエ的な振付でなく素朴なタップを中心に踊ってくれるので、そこそこ満足でした。
地味な中にも、それぞれ別の相手がいる同士のしっとりした大人の恋情を、歌とダンスで魅せてくれます。強気能天気なイメージの強いジーンには珍しいかな?
キャッチーな歌が少ないのは惜しいけど、揺れる心を歌うジュディの"Friendly Star"は聞きモノだし、"You Wonderful You"で新聞紙やきしむ床を相手にひとりタップを踏むジーンの場面は「ザッツ・エンタティンメントPart3」にも収録されたナンバー。こんなのの方が好きです、バレエ的なのより。楽しい踊りかと思ってたら、こんな微妙な思いで踊っていたんですねぇ(*^^*)
「ザッツ…」一作目に収録されたジュディの"Get Happy"は勿論素晴らしいし。撮ったタイミングが違うようで映画中でもここのジュディが一番痩せてて見た目的にも魅力たっぷりです。
ワキを固めるのはジュディの片腕の料理人マージョリー・メイン(この人も結構いろんな映画で見かける、逞しいオバちゃんですね)、ジーンの片腕(ドジばかりだが)のフィル・シルバースやカールトン・カーペンター。イマイチ頼りなく情けない婚約者にエディ・ブラッケン。妹のグロリア・デ・ヘイヴンはちょっと「引き立て役」で気の毒だったかも。劇団がまるごと転がり込んできたため、ヒロインは相当苦労しますから…(^^;)
ひなびた田舎町で、女手ひとつで経営の苦しい農場を切り盛りするジェーン(ジュディ・ガーランド)。ある日突然、都会で女優になった妹アビゲール(グロリア・デ・ヘイヴン)が、恋人ジョー(ジーン・ケリー)が率いる劇団のショー上演のため納屋をつかわせてほしいと大人数で押しかけてくる。気が進まないながらも「農場を手伝ってくれるなら」とOKするジェーン。が、練習が進むにつれて主役のアビゲールは高慢でだらけた態度をとり始め、ジョーとジェーンは互いに惹かれてゆく。が、ジェーンは、農場のため借金を重ねた大店の息子と婚約していた…
田舎の農場が舞台てんで、かなり地味なミュージカル。ジュディもだいぶ太ってきてるし。
体調もだいぶ悪かったらしい…とはいっても地力が違う。共演ジーン・ケリーも、今回はモダンバレエ的な振付でなく素朴なタップを中心に踊ってくれるので、そこそこ満足でした。
地味な中にも、それぞれ別の相手がいる同士のしっとりした大人の恋情を、歌とダンスで魅せてくれます。強気能天気なイメージの強いジーンには珍しいかな?
キャッチーな歌が少ないのは惜しいけど、揺れる心を歌うジュディの"Friendly Star"は聞きモノだし、"You Wonderful You"で新聞紙やきしむ床を相手にひとりタップを踏むジーンの場面は「ザッツ・エンタティンメントPart3」にも収録されたナンバー。こんなのの方が好きです、バレエ的なのより。楽しい踊りかと思ってたら、こんな微妙な思いで踊っていたんですねぇ(*^^*)
「ザッツ…」一作目に収録されたジュディの"Get Happy"は勿論素晴らしいし。撮ったタイミングが違うようで映画中でもここのジュディが一番痩せてて見た目的にも魅力たっぷりです。
ワキを固めるのはジュディの片腕の料理人マージョリー・メイン(この人も結構いろんな映画で見かける、逞しいオバちゃんですね)、ジーンの片腕(ドジばかりだが)のフィル・シルバースやカールトン・カーペンター。イマイチ頼りなく情けない婚約者にエディ・ブラッケン。妹のグロリア・デ・ヘイヴンはちょっと「引き立て役」で気の毒だったかも。劇団がまるごと転がり込んできたため、ヒロインは相当苦労しますから…(^^;)
踊る騎士 (A Damsel in Distress)
2012年2月1日 映画 コメント (2)
1937年、ジョージ・スティーブンス監督作品。モノクロ。
フランス盤DVD(フランス語字幕!のみ)にて視聴。安さに負けて私が買ったあと後米盤や英盤も出たようだが(写真は米盤)、どうせどれも英語字幕がないのは同じだ。ちぇ。なにせ日本盤は昔VHSとLDが出たようだがそれっきり。一度ヤフオクにVHSが7000円で出たのを見たが、半日もしないうち即決落札されていた。うーん…
ちなみにこの「踊る騎士」の原作は、あのP・G・ウッドハウス。なんとエムズワース卿&ブランディングス城モノのひとつらしい。買ってから一年もおいていた理由(のひとつ)は、ここ数年国書刊行会が着実にウッドハウス作品の邦訳をガシガシ進めてくれているので、邦訳が出ないかなーと期待していたため(シリーズの前作までは邦訳出てる)。でも。ジーヴスものが優先みたいだなあ…ジーヴスも、大好きだけどね。
さて物語は。
英国のカントリーサイド、トトレイ城。アリス(ジョーン・フォンティン)と父のマシュモートン侯爵(モンタギュー・ラヴ)、おばのキャロライン(コンスタンス・コリア)とその息子レジー(レイ・ノーブル)らが住んでいる。使用人たちは「アリスお嬢様の結婚相手は誰になるか」を賭けのネタにして楽しんでいた。アメリカの人気ダンサー・ジェリー(アステア)はロンドンを訪れた際、厳格なおばの妨害を逃れて街へ出てきたアリスと知りあう。「お嬢様の本命はバカンスで出会ったアメリカ人らしい」と聞きつけた城のボーイは自分が賭けたこの本命=ジェリーだと思いこみ、助けを求めるアリスのラブレターを偽造してジェリーを城に招く。気をそそられたジェリーは宣伝マン・ジョージ(ジョージ・バーンズ)やその秘書グレイシー(グレイシー・アレン)を連れ、三人で城にのりこむが…
ストーリーが能天気なのは、ウッドハウスがかんでなくても昔のミュージカルには普通のこと。一連のアステア=ロジャース映画の途中にポツンと生まれたこの映画の扱いが昔も今もビミョーな理由は、別の所にある。製作当時は、観客がアステア=ロジャース映画を熱狂的に求める中、アステアの「ロジャース以外の相手とも映画を作りたい」強い要望で生まれた企画だったというのが不遇の原因でしょう。そして、若いジョーン・フォンティンが…踊れないし歌わないし綺麗だけどいささかデクノボウ状態、というのが、今見ても痛いから。
でも!
ミュージカルシーンと、ジョージ・バーンズ&グレイシー・アレンの夫婦漫才コンビはなかなかよろしいです♪ガミガミ屋バーンズと天然ボケ娘アレン、でもアレンは結構バーンズにラブみたいなキャラ設定ね。
そして、ヒロインが踊れないぶん、ロマンチックなナンバーは少ない(というかアステアが一人でやってる!)。が、コミカルなナンバーは結構見ごたえありで良かった!!!
アステア最初のナンバーは、往来で踊りまくるソロ“I can’t be bothered now”。強い陽差し、車がばんばん通る背景も新鮮で楽しい。
恋の先行き上々、と、アステア&アレン&バーンズで盛り上がる"Put Me to the Test"は、コミカルナンバーにお約束の足の蹴り合い踏みあいもたっぷりで笑える。
圧巻は遊園地での三人が、滑り台や動く床やグニャグニャ鏡を使って大騒ぎの"Stiff Upper Lip"。アステアとアレンが手を携えてぐるぐる駆け回り『ランアラウンド』(舞台時代にお姉さんのアデールとやってた十八番…らしい)!グニャグニャ鏡ダンスは他の映画でもやってるけど一番強烈だった。途中からモブもがんがん踊り始め、名もなき?英国紳士たちのかなりヘンな踊りも楽しめちゃう。最後には「吉本新喜劇か!」とツッこんだが、これは関西人にしか分かるまい(笑)
その他、“Things Are Looking Up”“A Foggy Day”“Nice Work If You Can Get It”など、ガーシュインの曲はみんな魅力的だしね。
バーンズもアレンも、大アステアと一緒に踊るってんで最初はビビってたそうですが、イイ味だしてますよ。バーンズはまだしもアレンはかなり「踊れない」ぽいけど、そこはそれ、コメディアンの個性でコミカルに。
漫才チックなやりとりは、字幕がないので雰囲気しか分からないとこもあるけど笑える。
…ああ…字幕欲しかったな…
今度オークションに出てたら高くても落札しようかな。不要になったらすぐ高価で転売できそうだし。
誤解が誤解を呼び、人違いは頻発し、能天気な恋が大量発生するウッドハウス作品。最後にはお城の伝説にかこつけて強引に「まあいいじゃないか」になっちゃうけど(笑)、もはやロマンスはどっちでもよろしい。
アステア&バーンズ&アレンという素敵コラボと力の入ったコミカル・ダンスナンバーが楽しめて、十二分に満足しました(*^^*)
大昔、学生時代に輸入盤のサントラレコード(CDに非ず)を買って、音のみで映像をあれこれ想像したもんでしたが、ようやくちゃんと見れました。ふふふ。
視聴後ネットで、『私は誰でしょう』What’s My Line? のバーンズ&アレン篇動画を発見。
二人で出てきて、回答者(目隠ししてる)の質問にどう答えるのかと思ったら、司会者が「今日のゲストは声きいたらすぐわかっちゃうので、YesかNoをコンコンとノックで答えてもらいます」というので、エエエエエーーーーッ!?とのけぞり。いや、ほんと一発でわかるけど。
まあそのくらい一時はラジオ等で大人気のコンビだったと聞いています。
あの古典ミステリの大物ヴァン・ダイン(「グリーン家殺人事件」「僧正殺人事件」の)だって、何故か「グレイシー・アレン殺人事件」なんての書いてるし。
…さすがや。
映画のナンバーもWhat’s My Line?も、結構動画が上がってるのでリンクはっときます(笑)
http://www.tcm.com/mediaroom/video/374092/Damsel-In-Distress-A-Movie-Clip-I-Can-t-Be-Bothered-Now.html
http://www.youtube.com/watch?v=bYoZeYYHfPo ("Stiff Upper Lip")
http://www.youtube.com/watch?v=qLX0cBpvHHY&feature=related ("Put Me to the Test")
http://www.youtube.com/watch?v=q3vQpBLAS2Y What’s My Line? George Burns and Gracie Allen (1954)
フランス盤DVD(フランス語字幕!のみ)にて視聴。安さに負けて私が買ったあと後米盤や英盤も出たようだが(写真は米盤)、どうせどれも英語字幕がないのは同じだ。ちぇ。なにせ日本盤は昔VHSとLDが出たようだがそれっきり。一度ヤフオクにVHSが7000円で出たのを見たが、半日もしないうち即決落札されていた。うーん…
ちなみにこの「踊る騎士」の原作は、あのP・G・ウッドハウス。なんとエムズワース卿&ブランディングス城モノのひとつらしい。買ってから一年もおいていた理由(のひとつ)は、ここ数年国書刊行会が着実にウッドハウス作品の邦訳をガシガシ進めてくれているので、邦訳が出ないかなーと期待していたため(シリーズの前作までは邦訳出てる)。でも。ジーヴスものが優先みたいだなあ…ジーヴスも、大好きだけどね。
さて物語は。
英国のカントリーサイド、トトレイ城。アリス(ジョーン・フォンティン)と父のマシュモートン侯爵(モンタギュー・ラヴ)、おばのキャロライン(コンスタンス・コリア)とその息子レジー(レイ・ノーブル)らが住んでいる。使用人たちは「アリスお嬢様の結婚相手は誰になるか」を賭けのネタにして楽しんでいた。アメリカの人気ダンサー・ジェリー(アステア)はロンドンを訪れた際、厳格なおばの妨害を逃れて街へ出てきたアリスと知りあう。「お嬢様の本命はバカンスで出会ったアメリカ人らしい」と聞きつけた城のボーイは自分が賭けたこの本命=ジェリーだと思いこみ、助けを求めるアリスのラブレターを偽造してジェリーを城に招く。気をそそられたジェリーは宣伝マン・ジョージ(ジョージ・バーンズ)やその秘書グレイシー(グレイシー・アレン)を連れ、三人で城にのりこむが…
ストーリーが能天気なのは、ウッドハウスがかんでなくても昔のミュージカルには普通のこと。一連のアステア=ロジャース映画の途中にポツンと生まれたこの映画の扱いが昔も今もビミョーな理由は、別の所にある。製作当時は、観客がアステア=ロジャース映画を熱狂的に求める中、アステアの「ロジャース以外の相手とも映画を作りたい」強い要望で生まれた企画だったというのが不遇の原因でしょう。そして、若いジョーン・フォンティンが…踊れないし歌わないし綺麗だけどいささかデクノボウ状態、というのが、今見ても痛いから。
でも!
ミュージカルシーンと、ジョージ・バーンズ&グレイシー・アレンの夫婦漫才コンビはなかなかよろしいです♪ガミガミ屋バーンズと天然ボケ娘アレン、でもアレンは結構バーンズにラブみたいなキャラ設定ね。
そして、ヒロインが踊れないぶん、ロマンチックなナンバーは少ない(というかアステアが一人でやってる!)。が、コミカルなナンバーは結構見ごたえありで良かった!!!
アステア最初のナンバーは、往来で踊りまくるソロ“I can’t be bothered now”。強い陽差し、車がばんばん通る背景も新鮮で楽しい。
恋の先行き上々、と、アステア&アレン&バーンズで盛り上がる"Put Me to the Test"は、コミカルナンバーにお約束の足の蹴り合い踏みあいもたっぷりで笑える。
圧巻は遊園地での三人が、滑り台や動く床やグニャグニャ鏡を使って大騒ぎの"Stiff Upper Lip"。アステアとアレンが手を携えてぐるぐる駆け回り『ランアラウンド』(舞台時代にお姉さんのアデールとやってた十八番…らしい)!グニャグニャ鏡ダンスは他の映画でもやってるけど一番強烈だった。途中からモブもがんがん踊り始め、名もなき?英国紳士たちのかなりヘンな踊りも楽しめちゃう。最後には「吉本新喜劇か!」とツッこんだが、これは関西人にしか分かるまい(笑)
その他、“Things Are Looking Up”“A Foggy Day”“Nice Work If You Can Get It”など、ガーシュインの曲はみんな魅力的だしね。
バーンズもアレンも、大アステアと一緒に踊るってんで最初はビビってたそうですが、イイ味だしてますよ。バーンズはまだしもアレンはかなり「踊れない」ぽいけど、そこはそれ、コメディアンの個性でコミカルに。
漫才チックなやりとりは、字幕がないので雰囲気しか分からないとこもあるけど笑える。
…ああ…字幕欲しかったな…
今度オークションに出てたら高くても落札しようかな。不要になったらすぐ高価で転売できそうだし。
誤解が誤解を呼び、人違いは頻発し、能天気な恋が大量発生するウッドハウス作品。最後にはお城の伝説にかこつけて強引に「まあいいじゃないか」になっちゃうけど(笑)、もはやロマンスはどっちでもよろしい。
アステア&バーンズ&アレンという素敵コラボと力の入ったコミカル・ダンスナンバーが楽しめて、十二分に満足しました(*^^*)
大昔、学生時代に輸入盤のサントラレコード(CDに非ず)を買って、音のみで映像をあれこれ想像したもんでしたが、ようやくちゃんと見れました。ふふふ。
視聴後ネットで、『私は誰でしょう』What’s My Line? のバーンズ&アレン篇動画を発見。
二人で出てきて、回答者(目隠ししてる)の質問にどう答えるのかと思ったら、司会者が「今日のゲストは声きいたらすぐわかっちゃうので、YesかNoをコンコンとノックで答えてもらいます」というので、エエエエエーーーーッ!?とのけぞり。いや、ほんと一発でわかるけど。
まあそのくらい一時はラジオ等で大人気のコンビだったと聞いています。
あの古典ミステリの大物ヴァン・ダイン(「グリーン家殺人事件」「僧正殺人事件」の)だって、何故か「グレイシー・アレン殺人事件」なんての書いてるし。
…さすがや。
映画のナンバーもWhat’s My Line?も、結構動画が上がってるのでリンクはっときます(笑)
http://www.tcm.com/mediaroom/video/374092/Damsel-In-Distress-A-Movie-Clip-I-Can-t-Be-Bothered-Now.html
http://www.youtube.com/watch?v=bYoZeYYHfPo ("Stiff Upper Lip")
http://www.youtube.com/watch?v=qLX0cBpvHHY&feature=related ("Put Me to the Test")
http://www.youtube.com/watch?v=q3vQpBLAS2Y What’s My Line? George Burns and Gracie Allen (1954)
1941年、ヘンリー・ハサウェイ監督作品。モノクロ。
レンタルDVDで視聴。
ケニアの英軍駐屯地。地方長官クロフォード(ブルース・キャボット)は、地元民の間へと密かに銃が持ち込まれているらしいと知る。ナイロビ基地からも、真相究明のため総督補佐クームス少佐(ジョージ・サンダース)がやってくる。姿の見えない敵をさぐる二人に、謎めいた美女(ジーン・ティアニー)がからむ。
戦争が始まるか始まらないかの頃に作られたのだろうか。敵ってのが何だかちっともはっきりしない。敵は陸から海を制圧するつもりなんだ!とか叫ぶイタリア人(捕虜だが良心的戦争忌避者なのかな、オトモダチぽくなじんでいる)も、誰が敵なのかはっきり言わない。当時見たらピンと来るのだろうが、字幕のせいかもしれないが何ともまだるっこしい。
そのぶん、ラストの「感動的」がんばれ英国プロパガンダが余計に浮いている。
地方長官は、酸いも甘いもかみ分けた「味のある」統治をしいているらしい。一方
少佐はタカビーで権威的、かと思うと、意外と話が通じるようだったり、イマイチ性格づけがはっきりしない。まあ、ジョージ・サンダースが悪役でなく出ているという事で楽しく見た(←ミーハー)。ラストにとってつけたように急に活躍して感動的?長セリフをかましてくれるのだが、それらを見る楽しみは映画の出来とは完全に無関係だ(笑)
ブルース・キャボットは、ティアニーと軽くラブだが「どうでもいい」印象。むしろハンターのハリー・ケリーの方が、やっぱり素敵オジサンだ。
ティアニーは、白人とアフリカ人のハーフの女商人。エキゾチックな服装を披露して美しい(がまあ、それだけ)。風景も、アフリカへは行ってないと思うが野趣あふれてよろしい。マサイ族出身の兵士の若妻(チョイ役)がドロシー・ダンドリッジだったのにクレジットタイトルを見て最後に気がついた。わりと可愛かったもんなあ。
一時間半の映画を三分の二ほど見て、いよいよ敵陣潜入というあたりで、溜まっていた疲れのため船こいでしまった(潜入するのがキャボットだけだったし)という点で、できばえはおして知るべし、ということで…(笑)
でも、ようやく見れた!よかったよかった(いやもう、ここんとこ忙しくてねぇもう(涙))。
レンタルDVDで視聴。
ケニアの英軍駐屯地。地方長官クロフォード(ブルース・キャボット)は、地元民の間へと密かに銃が持ち込まれているらしいと知る。ナイロビ基地からも、真相究明のため総督補佐クームス少佐(ジョージ・サンダース)がやってくる。姿の見えない敵をさぐる二人に、謎めいた美女(ジーン・ティアニー)がからむ。
戦争が始まるか始まらないかの頃に作られたのだろうか。敵ってのが何だかちっともはっきりしない。敵は陸から海を制圧するつもりなんだ!とか叫ぶイタリア人(捕虜だが良心的戦争忌避者なのかな、オトモダチぽくなじんでいる)も、誰が敵なのかはっきり言わない。当時見たらピンと来るのだろうが、字幕のせいかもしれないが何ともまだるっこしい。
そのぶん、ラストの「感動的」がんばれ英国プロパガンダが余計に浮いている。
地方長官は、酸いも甘いもかみ分けた「味のある」統治をしいているらしい。一方
少佐はタカビーで権威的、かと思うと、意外と話が通じるようだったり、イマイチ性格づけがはっきりしない。まあ、ジョージ・サンダースが悪役でなく出ているという事で楽しく見た(←ミーハー)。ラストにとってつけたように急に活躍して感動的?長セリフをかましてくれるのだが、それらを見る楽しみは映画の出来とは完全に無関係だ(笑)
ブルース・キャボットは、ティアニーと軽くラブだが「どうでもいい」印象。むしろハンターのハリー・ケリーの方が、やっぱり素敵オジサンだ。
ティアニーは、白人とアフリカ人のハーフの女商人。エキゾチックな服装を披露して美しい(がまあ、それだけ)。風景も、アフリカへは行ってないと思うが野趣あふれてよろしい。マサイ族出身の兵士の若妻(チョイ役)がドロシー・ダンドリッジだったのにクレジットタイトルを見て最後に気がついた。わりと可愛かったもんなあ。
一時間半の映画を三分の二ほど見て、いよいよ敵陣潜入というあたりで、溜まっていた疲れのため船こいでしまった(潜入するのがキャボットだけだったし)という点で、できばえはおして知るべし、ということで…(笑)
でも、ようやく見れた!よかったよかった(いやもう、ここんとこ忙しくてねぇもう(涙))。
夢のチョコレート工場
2012年1月22日 映画 コメント (5)
1971年、メル・スチュアート監督作品。
ロアルド・ダール原作童話「チョコレート工場のひみつ」の映画化(日本では劇場未公開)。数年前にできたティム・バートン監督&ジョニー・デップ主演のものが有名だが、この旧版は、ウォンカ氏がジーン・ワイルダー!てんで、スカパーでやったものを録画視聴。
世界一のチョコレート工場の持ち主ウォンカ氏(ワイルダー)は、チョコに仕込んだ招待券を手に入れた子ども5人を、秘密工場へと招待する。とても貧しいが優しい少年チャーリー(ピーター・オストラム)も招待され、ワクワクしながら祖父(ジャック・アルバートソン)と出かけて行く。工場内では不思議な小人ウンパルンパたちが忙しく立ち働き、魔法のように奇妙な仕掛けや新商品で満ちていた。我がまま身勝手な他の4人は、各自の愚行の報いを受けては見学ツアー中次々と脱落していき、最後に残ったのはチャーリーだけだったが…
…
うーむ、やっぱり。
ジーン・ワイルダー最高。
いとも優しげだけどてんで冷酷でほんのり狂気をにじませ、明るいようで哀しみの翳が背後にさしてる。新作は飛行機の中で断片的に見たあと、TVの吹替え版で抜けた所を埋めたりしたのでちゃんと評価する資格はほんとはないのだが、ジョニー・デップの神経症的な「頑張ってる感」に比べて、なんと自然にしっくりした不思議紳士なんだーーー!
夢のような工場を案内しつつ「夢の世界ほどすばらしい世界はない」としっとり歌って、でもそこに、どこかしら不幸や歪みや淋しさを、ほんのちょっぴりだけど確実に感じさせるのは、あの、どでかくて妙に色の淡い青い目が効いているのだろうか。
何にしろ、ウォンカさん、救われるのを待っていたんだとラストでよくわかる(しがみつくようにチャーリーを抱きしめるウォンカ!)。狂騒的なコメディ演技も勿論悪くないが、こういう奥深さもあってあなどれないんだよね、ワイルダー。
CG以前の時代なので、新作の派手派手ゴージャスな映像にくらべるとちんまりと手作り感が強いけど、だがそれがいい!サイケ時代の残り香もあるし、ウンパルンパだって一人ずつちゃんと違うし(なんか、サンダーバードの人形のようだった。等身とかのせいか(爆))、ミュージカル風なのはどっちでもいいけれど、ウンパルンパの曲はこちらの方が素朴でいいなあ、やたら耳に残る。
新作が、最後にウォンカ氏の親子関係を創作して追加したのは、メイキングとか見ると、原作では「なぜ子供たちを招待したか、理由はわかるが動機が不明」だから、らしい。
この71年版も、最後にちょっと追加された原作にないひとひねりは、この動機を明らかにさせるものだ。個人的には、こちらの方がすっきりして童話らしく、しかも空を飛ぶ素敵シーンを組みこめたという点で、いい感じだと思う。71年版には、原作者ダール自身が脚本に加わっていたけど不満が残って作品は見ようとしなかったらしい(ありがち)が、ラストについてはどうだったんだろう。
てなことでワイルダーぶんだけ、意外と熱心に見てしまいました。
ただ、Foxmoviesって、なんでこんな画質悪いんだろ。それにTVサイズに端切ってないか?
「コーマ」放映時にも思ったけどね…
…さて、そろそろほとぼりさめたかな~<スパム
ロアルド・ダール原作童話「チョコレート工場のひみつ」の映画化(日本では劇場未公開)。数年前にできたティム・バートン監督&ジョニー・デップ主演のものが有名だが、この旧版は、ウォンカ氏がジーン・ワイルダー!てんで、スカパーでやったものを録画視聴。
世界一のチョコレート工場の持ち主ウォンカ氏(ワイルダー)は、チョコに仕込んだ招待券を手に入れた子ども5人を、秘密工場へと招待する。とても貧しいが優しい少年チャーリー(ピーター・オストラム)も招待され、ワクワクしながら祖父(ジャック・アルバートソン)と出かけて行く。工場内では不思議な小人ウンパルンパたちが忙しく立ち働き、魔法のように奇妙な仕掛けや新商品で満ちていた。我がまま身勝手な他の4人は、各自の愚行の報いを受けては見学ツアー中次々と脱落していき、最後に残ったのはチャーリーだけだったが…
…
うーむ、やっぱり。
ジーン・ワイルダー最高。
いとも優しげだけどてんで冷酷でほんのり狂気をにじませ、明るいようで哀しみの翳が背後にさしてる。新作は飛行機の中で断片的に見たあと、TVの吹替え版で抜けた所を埋めたりしたのでちゃんと評価する資格はほんとはないのだが、ジョニー・デップの神経症的な「頑張ってる感」に比べて、なんと自然にしっくりした不思議紳士なんだーーー!
夢のような工場を案内しつつ「夢の世界ほどすばらしい世界はない」としっとり歌って、でもそこに、どこかしら不幸や歪みや淋しさを、ほんのちょっぴりだけど確実に感じさせるのは、あの、どでかくて妙に色の淡い青い目が効いているのだろうか。
何にしろ、ウォンカさん、救われるのを待っていたんだとラストでよくわかる(しがみつくようにチャーリーを抱きしめるウォンカ!)。狂騒的なコメディ演技も勿論悪くないが、こういう奥深さもあってあなどれないんだよね、ワイルダー。
CG以前の時代なので、新作の派手派手ゴージャスな映像にくらべるとちんまりと手作り感が強いけど、だがそれがいい!サイケ時代の残り香もあるし、ウンパルンパだって一人ずつちゃんと違うし(なんか、サンダーバードの人形のようだった。等身とかのせいか(爆))、ミュージカル風なのはどっちでもいいけれど、ウンパルンパの曲はこちらの方が素朴でいいなあ、やたら耳に残る。
新作が、最後にウォンカ氏の親子関係を創作して追加したのは、メイキングとか見ると、原作では「なぜ子供たちを招待したか、理由はわかるが動機が不明」だから、らしい。
この71年版も、最後にちょっと追加された原作にないひとひねりは、この動機を明らかにさせるものだ。個人的には、こちらの方がすっきりして童話らしく、しかも空を飛ぶ素敵シーンを組みこめたという点で、いい感じだと思う。71年版には、原作者ダール自身が脚本に加わっていたけど不満が残って作品は見ようとしなかったらしい(ありがち)が、ラストについてはどうだったんだろう。
てなことでワイルダーぶんだけ、意外と熱心に見てしまいました。
ただ、Foxmoviesって、なんでこんな画質悪いんだろ。それにTVサイズに端切ってないか?
「コーマ」放映時にも思ったけどね…
…さて、そろそろほとぼりさめたかな~<スパム
1944年、フランク・キャプラ監督作品。モノクロ。
大昔TV放映(吹替え)で見て大笑いしたコメディ。久々にレンタルで再見したのだが、画質がえらくわるかったせいか(ジュネスですらなくワンコイン盤)、途中で何度も家族の邪魔が入って分断されつつ見たせいか(きっと両方だ!)、意外と「普通に面白い」というところにトーンダウンして感じられたのが残念。
舞台劇の映画化ということもあって、人の出入りなんかとても様式的な仕上がりながら、過激な設定を見事に組み合わせた上手い脚本なんだけどね。
裕福な慈善家で風変わりな旧家の老姉妹・アビーとマーサの家へ、甥のモーティマー(ケイリー・グラント)が結婚報告をしに訪れる。ところが彼は、居間のベンチの中に死体があるのを発見し、ハネムーンどころではなくなってしまう。何とアビーとマーサは、身寄りがなく不幸をかこつ老人に出会うたびに「相手のためを思い」毒を飲ませて安らかに死なせていたのだった。ちなみに死体は毎回、同居のもう一人の甥テディ(ジョン・アレキサンダー)に地下室に埋めさせていた。ちなみにテディは自分がシオドア(テディ)・ルーズベルト大統領だとの妄想を抱いてており、パナマ運河を掘ったり黄熱病患者を埋葬したりしているつもりなのだ。モーティマーが婚約者(プリシラ・レーン)も放り出して連続殺人を食い止めようと奮闘している所に、今度は、官憲に追われて逃亡中の兄ジョニー(レイモンド・マッセイ)が整形外科医アインシュタイン博士(ピーター・ローレ)を連れて現われる。殺人狂のジョニーもまた、殺したばかりの死体の隠し場所を探しているところで…、
ジョニーが整形手術の失敗でフランケンシュタインそっくりの容貌になっていたり(「ボリス・カーロフ似」とのギャグが連発される)、おばたちが既に12人も殺していると知り妙な競争意識を抱いたり…と、キレたキャラクターを逆に押さえたセリフ回しでマジメに?演じるレイモンド・マッセイ、いつもキョドってるピーター・ローレ、きゃぴきゃぴカワイイぶっとびおばちゃまたちジーン・アデア&ジョセフィン・ハル、能天気な警官ジャック・カースン、憂欝げな判事エドワード・エヴァレット・ホートン、誰もかれもが達者で見ごたえがある。
が、やっぱりこれはケイリー・グラントの映画ですかね。あれだけ二枚目でありながら喜劇役者そのもの!な彼、「お疲れ様!」といいたくなるような体をはった熱演を見せてくれる。さすがに終盤は「ちょっとやりすぎて失速しかけてきたか?」と感じないでもないが、縛りあげられたままぴょんぴょこ動いたり、ショックに棒立ちになってキョロキョロする様がニワトリの首の動きソックリなどと、これだけ色々捨てててなおかつこうも色男とは凄すぎるわなぁ(笑)
キャプラ監督も、いつものハートウォーミング路線はどこへやら、過激なシナリオを淡々と的確にすすめてゆく。基本がキッチリしてると何でもできるのね。
…まあ、ほとぼりがさめたら、ひとりで(!)じっくり再見する方がよいかもしれないなぁ。
未見の人はとりあえず見といてソンはない、盛りだくさんなブラックコメディではある。
大昔TV放映(吹替え)で見て大笑いしたコメディ。久々にレンタルで再見したのだが、画質がえらくわるかったせいか(ジュネスですらなくワンコイン盤)、途中で何度も家族の邪魔が入って分断されつつ見たせいか(きっと両方だ!)、意外と「普通に面白い」というところにトーンダウンして感じられたのが残念。
舞台劇の映画化ということもあって、人の出入りなんかとても様式的な仕上がりながら、過激な設定を見事に組み合わせた上手い脚本なんだけどね。
裕福な慈善家で風変わりな旧家の老姉妹・アビーとマーサの家へ、甥のモーティマー(ケイリー・グラント)が結婚報告をしに訪れる。ところが彼は、居間のベンチの中に死体があるのを発見し、ハネムーンどころではなくなってしまう。何とアビーとマーサは、身寄りがなく不幸をかこつ老人に出会うたびに「相手のためを思い」毒を飲ませて安らかに死なせていたのだった。ちなみに死体は毎回、同居のもう一人の甥テディ(ジョン・アレキサンダー)に地下室に埋めさせていた。ちなみにテディは自分がシオドア(テディ)・ルーズベルト大統領だとの妄想を抱いてており、パナマ運河を掘ったり黄熱病患者を埋葬したりしているつもりなのだ。モーティマーが婚約者(プリシラ・レーン)も放り出して連続殺人を食い止めようと奮闘している所に、今度は、官憲に追われて逃亡中の兄ジョニー(レイモンド・マッセイ)が整形外科医アインシュタイン博士(ピーター・ローレ)を連れて現われる。殺人狂のジョニーもまた、殺したばかりの死体の隠し場所を探しているところで…、
ジョニーが整形手術の失敗でフランケンシュタインそっくりの容貌になっていたり(「ボリス・カーロフ似」とのギャグが連発される)、おばたちが既に12人も殺していると知り妙な競争意識を抱いたり…と、キレたキャラクターを逆に押さえたセリフ回しでマジメに?演じるレイモンド・マッセイ、いつもキョドってるピーター・ローレ、きゃぴきゃぴカワイイぶっとびおばちゃまたちジーン・アデア&ジョセフィン・ハル、能天気な警官ジャック・カースン、憂欝げな判事エドワード・エヴァレット・ホートン、誰もかれもが達者で見ごたえがある。
が、やっぱりこれはケイリー・グラントの映画ですかね。あれだけ二枚目でありながら喜劇役者そのもの!な彼、「お疲れ様!」といいたくなるような体をはった熱演を見せてくれる。さすがに終盤は「ちょっとやりすぎて失速しかけてきたか?」と感じないでもないが、縛りあげられたままぴょんぴょこ動いたり、ショックに棒立ちになってキョロキョロする様がニワトリの首の動きソックリなどと、これだけ色々捨てててなおかつこうも色男とは凄すぎるわなぁ(笑)
キャプラ監督も、いつものハートウォーミング路線はどこへやら、過激なシナリオを淡々と的確にすすめてゆく。基本がキッチリしてると何でもできるのね。
…まあ、ほとぼりがさめたら、ひとりで(!)じっくり再見する方がよいかもしれないなぁ。
未見の人はとりあえず見といてソンはない、盛りだくさんなブラックコメディではある。
リチャード・ウィドマーク様のお誕生日なので、何か見ようと思っていたのですが、風邪気味でちょっとまともに一本見るのは難しそう。
それでも、Youtubeを探ってみたら、なんとレア映画「暗黒街の特使」がまるっぽアップされてるらしいのに気がついた!…字幕はないけど。画質もいまいちだけど。
さして評判がいいわけでもないし、しかもウィドマーク様悪役のはずだけど。でも!!
消えないうちにダウンロードしておこうっと♪
はっぴーばーすでー♪
10.日ほど前にアップされたばかりみたいだ。クリスマスプレゼント?
それでも、Youtubeを探ってみたら、なんとレア映画「暗黒街の特使」がまるっぽアップされてるらしいのに気がついた!…字幕はないけど。画質もいまいちだけど。
さして評判がいいわけでもないし、しかもウィドマーク様悪役のはずだけど。でも!!
消えないうちにダウンロードしておこうっと♪
はっぴーばーすでー♪
10.日ほど前にアップされたばかりみたいだ。クリスマスプレゼント?
1944年、レオ・マッケリー監督作品。モノクロ。
クリスマス映画だっけか?と、スカパーで録ってた分を視聴(25日もスカパーでやるようだけど)。
下町の古~い教会。創設者でもあるフィッツギボン神父(バリー・フィッツジェラルド)のもとに、新任の補佐オマリー神父(ビング・クロスビー)がやってくる。物理的にも経済的にも傾きかけている教会をたてなおすために来た彼は、昔気質の老神父を困惑させつつも、町の悪ガキたちを野球に誘い聖歌隊にまで組織したり、家出娘に型破りなアドバイスをしたり、建物修繕のため自作の歌を売り込んだりと大活躍。だが、老神父をはじめ街のみんなにすっかりなじんだ頃=次のクリスマスには、オマリーはまた、次の(傾きかけた)教会へと転任してゆくのだった。粋なプレゼントを残して…
すんごい昔にTV(たぶんカットあり)で見て以来。クリスマス映画だったかな、と視聴したのですが、思ったほどクリスマス・ストーリーではなかったかも(笑)
ビングの当たり役ということで「聖メリーの鐘」(共演はイングリッド・バーグマン。尼僧姿がすごく美しかったことしか覚えていない…)なる続編も作られているが、何といっても私的には、バリー・フィッツジェラルドが可愛いすぎる!アカデミー主演・助演男優賞の両方にノミネートされてしまうという椿事となったのも無理はない。この教会で勤続45年、年齢相応にヨロヨロと少々頼りなげで子供みたいな所もあって、それでもここぞという所はちゃんと「わかってる」「わかってしまう」ちゃんとした人なのがせつない。色々な小事件をつづったハートウォーミング・コメディだが、タイプも世代もかけ離れた神父二人の交流の部分が一番心に残る。
というか、老神父の愛くるしさが。まああと、ビングだから歌も結構入っていてそれも楽しめるんですけどね。
…
…白状しますと、ビング・クロスビーはそんなに好きじゃないんですよ(^^;)
腰抜けシリーズでは、毎回ボブ・ホープを応援しています。ムダと知りつつ(笑)。
それにしてもバリー・フィッツジェラルドって、顔のつくりがなんとなくボブ・ホープに似ているといつも思っているのだけれど、私だけ?
あと、どうでもいいけどYouTubeでやってた、Colgate Comedy Hourでのドナルド・オコナー&シド・ミラーのこの映画のパロディシーンを激しく思い起こしながら見てました。いやーよく似てたなミラー。あの、くちゅくちゅっとしたしゃべりかたとか。
クリスマス映画だっけか?と、スカパーで録ってた分を視聴(25日もスカパーでやるようだけど)。
下町の古~い教会。創設者でもあるフィッツギボン神父(バリー・フィッツジェラルド)のもとに、新任の補佐オマリー神父(ビング・クロスビー)がやってくる。物理的にも経済的にも傾きかけている教会をたてなおすために来た彼は、昔気質の老神父を困惑させつつも、町の悪ガキたちを野球に誘い聖歌隊にまで組織したり、家出娘に型破りなアドバイスをしたり、建物修繕のため自作の歌を売り込んだりと大活躍。だが、老神父をはじめ街のみんなにすっかりなじんだ頃=次のクリスマスには、オマリーはまた、次の(傾きかけた)教会へと転任してゆくのだった。粋なプレゼントを残して…
すんごい昔にTV(たぶんカットあり)で見て以来。クリスマス映画だったかな、と視聴したのですが、思ったほどクリスマス・ストーリーではなかったかも(笑)
ビングの当たり役ということで「聖メリーの鐘」(共演はイングリッド・バーグマン。尼僧姿がすごく美しかったことしか覚えていない…)なる続編も作られているが、何といっても私的には、バリー・フィッツジェラルドが可愛いすぎる!アカデミー主演・助演男優賞の両方にノミネートされてしまうという椿事となったのも無理はない。この教会で勤続45年、年齢相応にヨロヨロと少々頼りなげで子供みたいな所もあって、それでもここぞという所はちゃんと「わかってる」「わかってしまう」ちゃんとした人なのがせつない。色々な小事件をつづったハートウォーミング・コメディだが、タイプも世代もかけ離れた神父二人の交流の部分が一番心に残る。
というか、老神父の愛くるしさが。まああと、ビングだから歌も結構入っていてそれも楽しめるんですけどね。
…
…白状しますと、ビング・クロスビーはそんなに好きじゃないんですよ(^^;)
腰抜けシリーズでは、毎回ボブ・ホープを応援しています。ムダと知りつつ(笑)。
それにしてもバリー・フィッツジェラルドって、顔のつくりがなんとなくボブ・ホープに似ているといつも思っているのだけれど、私だけ?
あと、どうでもいいけどYouTubeでやってた、Colgate Comedy Hourでのドナルド・オコナー&シド・ミラーのこの映画のパロディシーンを激しく思い起こしながら見てました。いやーよく似てたなミラー。あの、くちゅくちゅっとしたしゃべりかたとか。
朝十でクリスマス前祝い♪
2011年12月19日 映画 コメント (2)
「ショウほど素敵な商売はない」。去年「もう一度隣の県行って見ればよかったー」とかなりディープに悔やんだが、二年目があって良かった。今日見てきたが、もう一度行けたら行きたい。幸い梅田は十時だけでなく終日上映だし?
大スクリーンで見るなど、もう来年は本当にないのだし。
言うなれば一家の群像劇でオールスターミュージカルなコレ、ドナルド・オコナー好きの私は「もっと彼のナンバー欲しいなあ」と思わぬでもないが、とりあえずソロナンバー“A man chases a girl”の歌い出しには今回もノックアウトされた。
お調子者で周囲を心配させるトラブルメイカーの役回りでもあるが(「雨に唄えば」よりずっとリアリズム路線の作品だ)、ラストで再登場する場面で見せる、一枚皮がむけたような落ち着きとペーソスを漂わせた妙な儚さは、やっぱりこの人演技もうまいよなぁと感じさせる。
ヴォードヴィル調のクラシックなナンバーが元々好きな私には、他の出演者たちのそれも結構楽しめる。モンローの出番だけはちょっと異質だけど、スクリーン内に限れば彼女は文句なしにカリスマだから仕方がない(笑)というか、モンローが出てるからDVDも出たし朝十選出も成ったのであろうなぁ。(でもミッツィ・ゲイナーも忘れないであげてほしいな…凄い可愛いんだし)
まあ細かいところは去年朝十いったときの感想日記(http://13374.diarynote.jp/201005102047181891/)と変わらないので省略。
十時からみたあと実家へ回ったので今日も休めてない。いかんな…
大スクリーンで見るなど、もう来年は本当にないのだし。
言うなれば一家の群像劇でオールスターミュージカルなコレ、ドナルド・オコナー好きの私は「もっと彼のナンバー欲しいなあ」と思わぬでもないが、とりあえずソロナンバー“A man chases a girl”の歌い出しには今回もノックアウトされた。
お調子者で周囲を心配させるトラブルメイカーの役回りでもあるが(「雨に唄えば」よりずっとリアリズム路線の作品だ)、ラストで再登場する場面で見せる、一枚皮がむけたような落ち着きとペーソスを漂わせた妙な儚さは、やっぱりこの人演技もうまいよなぁと感じさせる。
ヴォードヴィル調のクラシックなナンバーが元々好きな私には、他の出演者たちのそれも結構楽しめる。モンローの出番だけはちょっと異質だけど、スクリーン内に限れば彼女は文句なしにカリスマだから仕方がない(笑)というか、モンローが出てるからDVDも出たし朝十選出も成ったのであろうなぁ。(でもミッツィ・ゲイナーも忘れないであげてほしいな…凄い可愛いんだし)
まあ細かいところは去年朝十いったときの感想日記(http://13374.diarynote.jp/201005102047181891/)と変わらないので省略。
十時からみたあと実家へ回ったので今日も休めてない。いかんな…
SPACED ~俺たちルームシェアリング~ 第二シーズン
2011年12月18日 映画
エドガー・ライト&サイモン・ペッグ&ジェシカ・スティーヴンソン&ニック・フロスト。
イギリス製海外ドラマ、シーズン2のぶん二枚(7話)を見る。ヘンなノリの偽装カップルシットコム(笑)
一話が30分もないから、どこででも見終われるのはいいね。ここ数日でじりじり見た。
最近なかなかちゃんと一本の映画を見られない。
いや、「シックス・センス」みておいてよかった~(笑)
字幕なくても一発で分かりましたね、元ネタ。
「カッコーの巣の上で」とかSFじゃないネタもあるんだ…。
面白かったです。なんか“Shit!”とか“What?”とか、彼らの叫び声がうつりそうだ。
…さて、コレは、楽天レンタルが旧作39円フェアを始めたってんで、つい借りてしまったもの。
ところが借りた後で、DVD5枚無料クーポンが届いてしまった!(送料のみはかかりますが)
しまったあああー!
楽天て、ぽすれんやツタヤほどはクラシック映画おいてないから、コレ借りちゃったら、借りたいdvdがもうほとんど残ってないんだよね(爆)
「クレオパトラ」を借りてもいいかなと思うのだけど、後篇はいらないな(私はレックス・ハリスン・ファン)。でも、前篇だけってのもあとから後悔しないとも限らないし…うーん。
イギリス製海外ドラマ、シーズン2のぶん二枚(7話)を見る。ヘンなノリの偽装カップルシットコム(笑)
一話が30分もないから、どこででも見終われるのはいいね。ここ数日でじりじり見た。
最近なかなかちゃんと一本の映画を見られない。
いや、「シックス・センス」みておいてよかった~(笑)
字幕なくても一発で分かりましたね、元ネタ。
「カッコーの巣の上で」とかSFじゃないネタもあるんだ…。
面白かったです。なんか“Shit!”とか“What?”とか、彼らの叫び声がうつりそうだ。
…さて、コレは、楽天レンタルが旧作39円フェアを始めたってんで、つい借りてしまったもの。
ところが借りた後で、DVD5枚無料クーポンが届いてしまった!(送料のみはかかりますが)
しまったあああー!
楽天て、ぽすれんやツタヤほどはクラシック映画おいてないから、コレ借りちゃったら、借りたいdvdがもうほとんど残ってないんだよね(爆)
「クレオパトラ」を借りてもいいかなと思うのだけど、後篇はいらないな(私はレックス・ハリスン・ファン)。でも、前篇だけってのもあとから後悔しないとも限らないし…うーん。
1943年、エルンスト・ルビッチ監督作品。カラー。
女好きが過ぎたから天国には行けやしない、と、死後閻魔大王だか地獄の番人だか(レアード・クリーガー)の所へ出頭した老人ヘンリー(ドン・アメチ)。請われて一生をふりかえる彼の恋愛&結婚生活は…
ルビッチだからなんか凄い話だったりしないのか、と思ったが、ほのぼのノスタルジック・ロマコメだった(主人公は19世紀の生まれ)。優等生なイトコの婚約者(ジーン・ティアニー)に一目ぼれして駆け落ちし、やがて憎めないエロジーサンになって死ぬまで。
上品でクスリと笑えて(特に主人公の祖父チャールズ・コバーンがカワイイ)、ジーン・ティアニーは可憐で、でもなんかルビッチにしては軽量級というかアッサリというか、でした。
主人公の「女好き」の程度が、控えめに描かれすぎていまいちハッキリしないのが、見ていてスッキリ腑に落ちないとこもあり。あれで地獄堕ちなんですか。
ドン・アメチはそんなに二枚目とも思えないしそんなにすごく洒脱とも思えないんだけど、40年代はそこそこ人気があったんですかね。太平楽なボンって感じで嫌みはないが…
あ、…アメリカ版夫婦善哉か??モリシゲ…
まあ実はルビッチに期待したよりは、レアード・クリーガーが見てみたかった私でした。
出番はわずかだけど威厳があって、でもロンパリな目つきがビミョーに常人じゃなくて良かった。
ほんと惜しい人を若死にさせちゃったもんだ…
女好きが過ぎたから天国には行けやしない、と、死後閻魔大王だか地獄の番人だか(レアード・クリーガー)の所へ出頭した老人ヘンリー(ドン・アメチ)。請われて一生をふりかえる彼の恋愛&結婚生活は…
ルビッチだからなんか凄い話だったりしないのか、と思ったが、ほのぼのノスタルジック・ロマコメだった(主人公は19世紀の生まれ)。優等生なイトコの婚約者(ジーン・ティアニー)に一目ぼれして駆け落ちし、やがて憎めないエロジーサンになって死ぬまで。
上品でクスリと笑えて(特に主人公の祖父チャールズ・コバーンがカワイイ)、ジーン・ティアニーは可憐で、でもなんかルビッチにしては軽量級というかアッサリというか、でした。
主人公の「女好き」の程度が、控えめに描かれすぎていまいちハッキリしないのが、見ていてスッキリ腑に落ちないとこもあり。あれで地獄堕ちなんですか。
ドン・アメチはそんなに二枚目とも思えないしそんなにすごく洒脱とも思えないんだけど、40年代はそこそこ人気があったんですかね。太平楽なボンって感じで嫌みはないが…
あ、…アメリカ版夫婦善哉か??モリシゲ…
まあ実はルビッチに期待したよりは、レアード・クリーガーが見てみたかった私でした。
出番はわずかだけど威厳があって、でもロンパリな目つきがビミョーに常人じゃなくて良かった。
ほんと惜しい人を若死にさせちゃったもんだ…
1950年、ジョージ・シドニー監督作品。カラー。レンタルDVDで視聴。
ワイルド・ビル・ヒコックのワイルド・ウェスト・ショーに参加した銃の名手アニー・オークリーを描くミュージカル・コメディ。アニーはじめ実在の人物が多数登場するわけだが、史実とかは気にしないのがお約束。
泥まみれにボロ服の、野性の田舎娘アニー(ベティ・ハットン)は射撃の腕を見込まれショーに参加。実は曲撃ちのスター・フランク(ハワード・キール)に一目ぼれしたせいでもある。彼に好かれる「お洒落な美女」を目指して一念発起頑張るものの、フランクをしのぐ射撃の才が、恋には逆に足かせに…
女に負けるなんて、と堪え性がない男…というのも、昔はさておき(映画製作時、そして物語の舞台となる19世紀にはますます「よくあること」だったろう)、今見るとイマイチ。だが、アニーの方も少々デリカシーに欠けている。「わざと負ける」まではせずとも、しばらく離れるうちにちょっと落ち着いて、かつて自分に贈られた射撃のメダルを愛の証として彼女に贈ろうとしてくれたフランクに、せめて「外国でもらった勲章よりあなたのメダルのほうがすばらしいわ」とか、ウソでなく言える言葉で喜びを示してあげればすぐ片付いたのでは。それで再び意地の張り合いに陥ってのナンバー"ANYTHING YOU CAN DO"は、映画中でも特に楽しい聞き物なのだが。
主題曲の"THERE’S NO BUSINESS LIKE SHOW BUSINESS"は文句なしの大名曲だが、ヒコック一座を載せた汽車が駅に着く冒頭の"COLONEL BUFFALO BILL"は、「ショーボート」の開巻"Cotton Blossom"には及ばないと思う。MGMミュージカルらしく賑やかだが、今に通じにくい時代性もあり、まあそこそこの出来って感じ。
ベティ・ハットンは頑張ってるが、つい「ジュディ・ガーランドが本調子だったなら」と思うのは仕方がないでしょう。女性のミュージカルスターというとやっぱりジュディが好きだし私。
(最初はジュディ・ガーランドがこの映画に主演する予定が、健康上の理由で降板した)
もともと凄く期待してたわけじゃなくて、明らかに逃避だしな自分…
ワイルド・ビル・ヒコックのワイルド・ウェスト・ショーに参加した銃の名手アニー・オークリーを描くミュージカル・コメディ。アニーはじめ実在の人物が多数登場するわけだが、史実とかは気にしないのがお約束。
泥まみれにボロ服の、野性の田舎娘アニー(ベティ・ハットン)は射撃の腕を見込まれショーに参加。実は曲撃ちのスター・フランク(ハワード・キール)に一目ぼれしたせいでもある。彼に好かれる「お洒落な美女」を目指して一念発起頑張るものの、フランクをしのぐ射撃の才が、恋には逆に足かせに…
女に負けるなんて、と堪え性がない男…というのも、昔はさておき(映画製作時、そして物語の舞台となる19世紀にはますます「よくあること」だったろう)、今見るとイマイチ。だが、アニーの方も少々デリカシーに欠けている。「わざと負ける」まではせずとも、しばらく離れるうちにちょっと落ち着いて、かつて自分に贈られた射撃のメダルを愛の証として彼女に贈ろうとしてくれたフランクに、せめて「外国でもらった勲章よりあなたのメダルのほうがすばらしいわ」とか、ウソでなく言える言葉で喜びを示してあげればすぐ片付いたのでは。それで再び意地の張り合いに陥ってのナンバー"ANYTHING YOU CAN DO"は、映画中でも特に楽しい聞き物なのだが。
主題曲の"THERE’S NO BUSINESS LIKE SHOW BUSINESS"は文句なしの大名曲だが、ヒコック一座を載せた汽車が駅に着く冒頭の"COLONEL BUFFALO BILL"は、「ショーボート」の開巻"Cotton Blossom"には及ばないと思う。MGMミュージカルらしく賑やかだが、今に通じにくい時代性もあり、まあそこそこの出来って感じ。
ベティ・ハットンは頑張ってるが、つい「ジュディ・ガーランドが本調子だったなら」と思うのは仕方がないでしょう。女性のミュージカルスターというとやっぱりジュディが好きだし私。
(最初はジュディ・ガーランドがこの映画に主演する予定が、健康上の理由で降板した)
もともと凄く期待してたわけじゃなくて、明らかに逃避だしな自分…
1939年、フランク・キャプラ監督作品。モノクロ。
個人的『それでも民主主義を信じたい』シリーズ第二弾(苦笑)
米国議会上院は各州二人ずつの議員からなる。一人の上院議員の死亡に伴い、後任として突然の推薦を受けたのは地元の少年団の指導者スミス青年(ジェームズ・スチュアート)。実は、もう一人の議員ペイン(クロード・レインズ)と彼を操る州の黒幕テイラー(エドワード・アーノルド)とが、コレなら扱いやすかろうと踏んでの人選だった。
が、理想家肌のスミスが提出した少年キャンプ場建設法案は、テイラーの利権を潤すダム建設法案と偶然同じ地域を対象としていた。テイラーらは邪魔なスミスを懐柔出来ないと知ると、逆に汚職の濡れ衣を着せ陥れる。
尊敬していたペインに裏切られ、失意のスミスはまともに弁明もできず首都を去ろうとするが、秘書サンダース(ジーン・アーサー)の励ましとアドバイスで、捨て身の議事進行引き延ばし作戦に出る…
キャプラ的性善説、民主主義賛美映画ということで、古いし前半はさすがに軽くて調子よすぎるくらいだが、後半は結構キタ。
スミスはかなり極端に「青二才」な描写。首都に着いて議事堂のドームを見た途端、荷物も迎えの人々のことも忘れて観光バスに飛び乗り、建国の英雄たちやリンカーンの彫像を見に行って感動に打ち震える。いきなり国政の場に引き出されたのだし仕方がないところもあるが、かつてスミスの父(正義の新聞編集者で執筆中に背後から撃たれて亡くなったという)とも親しかったペイン本人にまで偽証され「どうしていいかわからなくなって」荷物をまとめちゃったり。
秘書の入れ知恵がないと何もできなかったりするのがある意味新鮮?(爆)
とはいえ、発言を終えるまでは他者が割って入れない(質問は受ける)からと、何時間も何時間も、立ちんぼで声をからしてひたすら演説しつづけるスミスのクライマックスは凄い。入れ知恵によるとはいえ、「舞台」に立ち延々喋り続けるのは彼自身なのだ。引き延ばす間に、地元にスミスが直面した政治腐敗を伝え世論を盛り上げようとの計算なのだが、新聞社主でもあるテイラーはマスコミも握り潰して逆にスミス追放キャンペーンをはり、強引な世論誘導を行う。これがなんとも徹底的。
それでも、「嘘の山にかこまれても」、…僕が闘い続ける限り、誰かが聞いてくれる、と、前のめりに倒れるスミスの姿が…奇跡を呼ぶのだ。
ジミーはさすがにハマリ役の一語に尽きる。辛口の都会っ子だがスミスの純朴さに魅了されるジーン・アーサー(なんか「オペラハット」みたいな役だ)も魅力的。悪に染まりながらも品があり、スミスの正しさにはまだダメージを受ける余地を残すクロード・レインズも難しい役と思うのだが素晴らしくうまい。
しかし何より、実にチャーミングだったのが、ハリー・ケリー演じる上院議長ですね。傍聴席からブロックサインを出す秘書とスミスを微笑ましげに見守り?、スミスの演説を支えた影の功労者かもしれん。笑顔がちょー素敵なおじさまでした(あんまり息子とは似てない気がする)。他にもテイラーにエドワード・アーノルド(「我が家の楽園」のジミー父ですね)、記者にトマス・ミッチェルと、30年代の芸達者がすずなり。偽証する地主も結構見たことあるんだけど誰だっけ。「オペラハット」でクーパーにサンドイッチくれたオジサンだっけ。
奇跡なんてそうそう起こるわけはない。とくにリアルで。それでも。
「嘘の山にかこまれても…」。
ちょっと人工的というかわざとらしさがないわけではないけれど、絶望(と思える事態)のさなかでも、うしろむけはいけない…と、心にしみるメッセージをくれる映画でした。
<追記>
つい青二才青二才言ってるけど、フツーにまっとうに生きてきた人間が、一方的に嘘のかたまりをぶつけられて攻撃されたら、呆然として立ちすくむのは自然だとも思う。そんなこと、フツーの人にはあまりにも、 思いもよらない行為だから…
そこからどう心を立て直すか、だね。
個人的『それでも民主主義を信じたい』シリーズ第二弾(苦笑)
米国議会上院は各州二人ずつの議員からなる。一人の上院議員の死亡に伴い、後任として突然の推薦を受けたのは地元の少年団の指導者スミス青年(ジェームズ・スチュアート)。実は、もう一人の議員ペイン(クロード・レインズ)と彼を操る州の黒幕テイラー(エドワード・アーノルド)とが、コレなら扱いやすかろうと踏んでの人選だった。
が、理想家肌のスミスが提出した少年キャンプ場建設法案は、テイラーの利権を潤すダム建設法案と偶然同じ地域を対象としていた。テイラーらは邪魔なスミスを懐柔出来ないと知ると、逆に汚職の濡れ衣を着せ陥れる。
尊敬していたペインに裏切られ、失意のスミスはまともに弁明もできず首都を去ろうとするが、秘書サンダース(ジーン・アーサー)の励ましとアドバイスで、捨て身の議事進行引き延ばし作戦に出る…
キャプラ的性善説、民主主義賛美映画ということで、古いし前半はさすがに軽くて調子よすぎるくらいだが、後半は結構キタ。
スミスはかなり極端に「青二才」な描写。首都に着いて議事堂のドームを見た途端、荷物も迎えの人々のことも忘れて観光バスに飛び乗り、建国の英雄たちやリンカーンの彫像を見に行って感動に打ち震える。いきなり国政の場に引き出されたのだし仕方がないところもあるが、かつてスミスの父(正義の新聞編集者で執筆中に背後から撃たれて亡くなったという)とも親しかったペイン本人にまで偽証され「どうしていいかわからなくなって」荷物をまとめちゃったり。
秘書の入れ知恵がないと何もできなかったりするのがある意味新鮮?(爆)
とはいえ、発言を終えるまでは他者が割って入れない(質問は受ける)からと、何時間も何時間も、立ちんぼで声をからしてひたすら演説しつづけるスミスのクライマックスは凄い。入れ知恵によるとはいえ、「舞台」に立ち延々喋り続けるのは彼自身なのだ。引き延ばす間に、地元にスミスが直面した政治腐敗を伝え世論を盛り上げようとの計算なのだが、新聞社主でもあるテイラーはマスコミも握り潰して逆にスミス追放キャンペーンをはり、強引な世論誘導を行う。これがなんとも徹底的。
それでも、「嘘の山にかこまれても」、…僕が闘い続ける限り、誰かが聞いてくれる、と、前のめりに倒れるスミスの姿が…奇跡を呼ぶのだ。
ジミーはさすがにハマリ役の一語に尽きる。辛口の都会っ子だがスミスの純朴さに魅了されるジーン・アーサー(なんか「オペラハット」みたいな役だ)も魅力的。悪に染まりながらも品があり、スミスの正しさにはまだダメージを受ける余地を残すクロード・レインズも難しい役と思うのだが素晴らしくうまい。
しかし何より、実にチャーミングだったのが、ハリー・ケリー演じる上院議長ですね。傍聴席からブロックサインを出す秘書とスミスを微笑ましげに見守り?、スミスの演説を支えた影の功労者かもしれん。笑顔がちょー素敵なおじさまでした(あんまり息子とは似てない気がする)。他にもテイラーにエドワード・アーノルド(「我が家の楽園」のジミー父ですね)、記者にトマス・ミッチェルと、30年代の芸達者がすずなり。偽証する地主も結構見たことあるんだけど誰だっけ。「オペラハット」でクーパーにサンドイッチくれたオジサンだっけ。
奇跡なんてそうそう起こるわけはない。とくにリアルで。それでも。
「嘘の山にかこまれても…」。
ちょっと人工的というかわざとらしさがないわけではないけれど、絶望(と思える事態)のさなかでも、うしろむけはいけない…と、心にしみるメッセージをくれる映画でした。
<追記>
つい青二才青二才言ってるけど、フツーにまっとうに生きてきた人間が、一方的に嘘のかたまりをぶつけられて攻撃されたら、呆然として立ちすくむのは自然だとも思う。そんなこと、フツーの人にはあまりにも、 思いもよらない行為だから…
そこからどう心を立て直すか、だね。
ジュネス企画がやってくれました(もっと安いトコだと更に嬉しかったのですが…)。
http://www.jk-cinema.com/
アステアの数少ない未DVD化かつ日本未公開なミュージカル「ヨランダと盗賊」がDVD化されます。
発売日は2/27。
うれしいなったらうれしいな。ひょっとしたらレンタルで誤魔化すかもしれないけどうれしいな♪
http://www.jk-cinema.com/
アステアの数少ない未DVD化かつ日本未公開なミュージカル「ヨランダと盗賊」がDVD化されます。
発売日は2/27。
うれしいなったらうれしいな。ひょっとしたらレンタルで誤魔化すかもしれないけどうれしいな♪
1939年、ジョン・フォード監督作品。モノクロ。
スカパー録画で視聴。DVDにはリンカーンとあるが公開時邦題はリンカンだからね。
イリノイ州の田舎町、新米弁護士として一歩踏み出したばかりのリンカーン青年とその「最初の事件」を描くドラマ。
貧しい青年リンカーン(ヘンリー・フォンダ)は、独学で法律を学び、先輩弁護士の事務所に席をもらって法曹生活を開始する。先行きはあやしいが、亡き恋人アン(ポーリン・ムーア)のくれた励ましが心の支え。ある時、パレードで賑わう町で殺人事件が起こる。町の男がよそ者に殺されたとあって、容疑者のクレイ兄弟は興奮した町民にリンチされかける。弁舌によりリンチを阻止したリンカーンは、困難を覚悟で兄弟の弁護も引き受けるが…
有名人を演じるとあって顔は結構メイクで変形させてる(いつもより鼻がでかい(笑))が、いつもながらの長い足をゆるりゆるりと動かすフォンダ、このスローモーさでもって茫洋とした田舎者ぶりに知性と強い意志を秘めて、という造型はさすがだ。リンカーンも長身だし野良仕事で鍛えてた史実があるので、訥々とした中にユーモアをまじえた「説得力」に加え、流れによっては「ヨシ、拳で来るか!?」みたいなやりとりでかわすのもありだよね。
死んだ男は昼間、一家でパレードを見に来ていたクレイ家の若妻に散々ちょっかいを出していた。観客には裏の様々な事情(特に容疑者一家の美しい家族愛)がよく見えるのだが、町民は誤解と身びいきを重ねて激昂するのがもどかしさを盛り上げる。兄弟が互いを庇いあうためかえって両者とも縛り首になりそう、という困難な事件を、弁護士一年生のリンカーンがどうこなすか?と、物語の後半は法廷ドラマの面白さがあふれている。
励ましてくれた初恋の女性との挿話は、えっ、と驚くほど一瞬で終わるのだが美しいテーマ曲があり、折々にリンカーンの背骨を支える思い出として情感を盛り上げる。開拓者一家、特に深い愛情と公正な心の間で揺れる母親(アリス・ブラディ)に対して見せるリンカーンの好意もほのぼのと美しく描かれて、「様式美」なんだがそれが何とも心地よい。母親と初恋の彼女が偉人リンカーンを創ったというのか。マチズモの代表みたいなフォードだけど、こういうのはいつもうまいね(笑)
ラスト、野原を歩むリンカーンに雷鳴が重なり、「この人物とこの国の将来」を暗示するのも心地よい様式美で、アメリカ人はほんとにリンカーンが理想なんだなあ(フォードの「シャイアン」とか、キャプラ作品とかいろいろと…)。少なくとも前世紀は。今はどうなんでしょう。
あと、やり手の検事役にドナルド・ミーク。いつもは「キョドりまくってる弱々しいピュア善人オジサン」で目を引くのだが、小柄だが堂々たる弁士ぶりを見せてくれて、うーんやっぱり名優は何でも出来るなあ。リンカーンが感心して「政界に出ればいいのに」「いや、私は正義のためにここにいるのだ」と、敵手だけど悪役では決してない、ある意味彼も遵法の文化を体現した存在だよね。
民主主義(とそれを体現する男リンカーン)への敬意と憧憬を、みずみずしい情感をこめて、しかも法廷サスペンスとユーモアもオマケにつけて描き出した佳作。
心があらわれました。
スカパー録画で視聴。DVDにはリンカーンとあるが公開時邦題はリンカンだからね。
イリノイ州の田舎町、新米弁護士として一歩踏み出したばかりのリンカーン青年とその「最初の事件」を描くドラマ。
貧しい青年リンカーン(ヘンリー・フォンダ)は、独学で法律を学び、先輩弁護士の事務所に席をもらって法曹生活を開始する。先行きはあやしいが、亡き恋人アン(ポーリン・ムーア)のくれた励ましが心の支え。ある時、パレードで賑わう町で殺人事件が起こる。町の男がよそ者に殺されたとあって、容疑者のクレイ兄弟は興奮した町民にリンチされかける。弁舌によりリンチを阻止したリンカーンは、困難を覚悟で兄弟の弁護も引き受けるが…
有名人を演じるとあって顔は結構メイクで変形させてる(いつもより鼻がでかい(笑))が、いつもながらの長い足をゆるりゆるりと動かすフォンダ、このスローモーさでもって茫洋とした田舎者ぶりに知性と強い意志を秘めて、という造型はさすがだ。リンカーンも長身だし野良仕事で鍛えてた史実があるので、訥々とした中にユーモアをまじえた「説得力」に加え、流れによっては「ヨシ、拳で来るか!?」みたいなやりとりでかわすのもありだよね。
死んだ男は昼間、一家でパレードを見に来ていたクレイ家の若妻に散々ちょっかいを出していた。観客には裏の様々な事情(特に容疑者一家の美しい家族愛)がよく見えるのだが、町民は誤解と身びいきを重ねて激昂するのがもどかしさを盛り上げる。兄弟が互いを庇いあうためかえって両者とも縛り首になりそう、という困難な事件を、弁護士一年生のリンカーンがどうこなすか?と、物語の後半は法廷ドラマの面白さがあふれている。
励ましてくれた初恋の女性との挿話は、えっ、と驚くほど一瞬で終わるのだが美しいテーマ曲があり、折々にリンカーンの背骨を支える思い出として情感を盛り上げる。開拓者一家、特に深い愛情と公正な心の間で揺れる母親(アリス・ブラディ)に対して見せるリンカーンの好意もほのぼのと美しく描かれて、「様式美」なんだがそれが何とも心地よい。母親と初恋の彼女が偉人リンカーンを創ったというのか。マチズモの代表みたいなフォードだけど、こういうのはいつもうまいね(笑)
ラスト、野原を歩むリンカーンに雷鳴が重なり、「この人物とこの国の将来」を暗示するのも心地よい様式美で、アメリカ人はほんとにリンカーンが理想なんだなあ(フォードの「シャイアン」とか、キャプラ作品とかいろいろと…)。少なくとも前世紀は。今はどうなんでしょう。
あと、やり手の検事役にドナルド・ミーク。いつもは「キョドりまくってる弱々しいピュア善人オジサン」で目を引くのだが、小柄だが堂々たる弁士ぶりを見せてくれて、うーんやっぱり名優は何でも出来るなあ。リンカーンが感心して「政界に出ればいいのに」「いや、私は正義のためにここにいるのだ」と、敵手だけど悪役では決してない、ある意味彼も遵法の文化を体現した存在だよね。
民主主義(とそれを体現する男リンカーン)への敬意と憧憬を、みずみずしい情感をこめて、しかも法廷サスペンスとユーモアもオマケにつけて描き出した佳作。
心があらわれました。