高熱隧道

2009年11月19日 読書
吉村昭著。

八甲田山以来の…
凄い迫力の実録小説であった。登場人物は創作だそうだけれど。
(きちんとした記録がなく主に関係者の記憶に頼って書くしかなかったからなのだそうだ)

昭和11年より開始された黒部第四ダムの工事は、世界でも屈指の難工事であったという。ここは人間が足を踏み入れることも全くなかった中央アルプスの深奥部、しかも日本最大級の豪雪地帯である。桟道の整備や工事用物資の運搬などの準備作業だけでも転落事故が頻発した。
しかもトンネルを掘り始めてみると、思いがけない程に高温の温泉湧出地帯であると判明。掘削作業を進めるうち、岩盤温度はなんと100度を遥かに超えて上昇してゆく!が、泥沼化する中国大陸の情勢は、電力の確保を至上命令として無理な環境下の工事を止めることを許さない。工事は厳寒の季節にも継続されるが。

…いや、参りました。半ば呆然としながら、一気に読破。
いったいここで何百人が死んだのだろうか。人間って、自然って…
下巻表紙にはあきらかに、「ワーロック」のパンフあり。
ノベルズ版下巻も、イラストだがどうみても「ワーロック」のウィドマーク。

なんでだろ。
主人公の出した西部劇リストには「ワーロック」はなかったんだが。

とまあそんなことばかり読んでいて気になる私は特殊な読者(笑)
なにはともあれ下巻読了。
ハリウッド・クラシック映画祭についてはさておき、大山鳴動鼠一匹という読後感であった…
じーさんたちのしょーもない角突き合い…『入れ歯をむく都会』と改題して下さいホントに。

そして、映画祭のため、西部劇20本、サスペンス&ギャング物20本という上映候補作品リストを作るにあたって、"何度でもTVでやってる、ビデオも簡単に手に入るメジャー名作"はあえて外して好事家向きレア佳作を、というしばりをつけてるにしろ、ウィドマーク様主演作が西部劇3本サスペンス2本計5本というのはやはり仁義に反するのではないのか。だいたい「ゴーストタウンの決斗」はリバイバルもされてるしビデオも出てるし地上波でもBSでも放映されてたと思うけどなあ。傑作だけど。
このリスト、出すほうも出すほうだがそれを認めるスポンサーもスポンサーで…
ただの大規模自主上映だと思えばいいのかもしれないが。

映画リストと選定理由プレゼンは、エッセイとして出してほしかったです。それなら何の違和感もなく楽しく読むのに。
というか、既に読んだ逢坂氏の映画エッセイそのまんまなんだもんな…
逢坂剛著。

ノベルズ版下巻の表紙にウィドマーク様がいるらしいというだけで手を出すこの節操なし。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4125007942?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4125007942

アマゾン画像は小さいけど現物を見るとどうみても「ワーロック」。手ケガしてるし。
でもこの文庫版にも、上下巻共にウィドマーク様が隠れていました(映画パンフ柄)。

著者の作品によく主役を張ってるらしい"岡坂神策"氏は著者の分身なのだろうか。ハリウッド・クラシック映画祭の企画にひっぱりこまれたりスペイン内戦がらみのイベントに巻き込まれたり、初めて読むシリーズなのでノリがまだよくわからない。最初は店先でレアビデオの取り合いになってから、後を付け回されたりするので、ビデオテープに機密のマイクロフィルムでも隠されているのかとか思ったが、さすがにそれはないか(笑)

岡坂氏が、あまりにも逢坂センセイのエッセイ中に書いてたことと同じよーなことばっか呟きまくってるあたり(またそのウンチク量がえらく多い)「それでいいのか?」とツッコミを入れたくなるが、自分もクラシック映画好きウィドマーク好きとかぶる要素多大なため、素直にツッこむこともできずに居心地が悪い。

だいたいファーストシーンからして、中古ビデオ屋に米軍基地流れ品の米版ビデオ"Road House"を発見して手を伸ばす主人公(2000年の作だからまだDVDあまりないしインターネットで右に左に輸入盤買いまくるなんてこともない)。
「それじゃ、字幕無しですね」
「うん、どっちみち、筋は関係ない。ウィドマークさえ見れば、気のすむ映画だから」
とかって、…うーーーーーー…気恥ずかしい。なんか気恥ずかしい。

クラシック映画祭に備えて非A級な佳作ラインナップを選ぼうだとか、なんかひたすら趣味的な出足である。逢坂さんだからいずれはサスペンスとか冒険とかなにかそーゆー方向へ行くと思いたいのだが、なかなかウンチクから話が離れない。はてどうなるか。うんうん唸りながらも読み進めつつあるが、ある意味疲れる…多分同族嫌悪であろうが。
中島敦の「山月記」の虎になった男の息子の話。

一冊読んだら少し落ち着いたが、お気に入りの柳広司さんとはいえ、YA向けでちょっと薄味だったかな(YA向けというより子供向けかも)。明日金曜からが本番だしもう寝よう。
もちろん「テレプシコーラ」狙いで、ソコだけコソっと。

山岸先生、「オファー」だなんて、隠し玉持ってたんだ!
にもかかわらず、六花ちゃんどん底鬱連載何カ月つづくんだ-…
六花ちゃんがどん底なぶん、手抜き絵キャラばかり画面に目立つよ。
お友達ができたのは唯一の救いだろうけど、ベタ入れ忘れたまま入稿したみたいなお友達でいいのかね…(爆)☆(゚゜;)バキッ\(--;
このどん底の長さが大逆転の布石でなかったら、あーもう…
榊一郎著。

最近どんどん、ずっと愛読していたラノベのシリーズが終わってゆく気がする…
これもあと二冊ですってさ。
今回は外伝的な軽い短編集というか中編集というか。エンジニア・ジャックやフィリシスの周辺にスポットが当たってます。人のこと見てるぶんには常識的なんだねレイオット。いや、だいぶ常識的になったんだねというべきなのか。
最後の短編はフィリシスの意外?な表情も。新キャラ登場なんでしょうかねえ。本編の最新刊も出てるみたいだけどまだ回ってこない。早く来い来い…
恥の多い人生を送ってきました。
つーか現在進行形で送ってるよ。ちっ。
だから私なんか人前に出して話させたりとかしちゃだめでしょ。いくら人減らし時代で人材いなくても。

…とかいう感じでここんとこお仕事方面は「できないこと」を無理やりやってるできなくてもやれって感じ。振り向いたら負けよって(振り向くと恥ずかしくなってきて立ち直れないから)。

思い出したくない日々のアレコレを封印するのには、やっぱりギャグ漫画ですな。
ちょっと前巻よりテンション落ちた気もするけどそれなりに笑えた。

中村光著。
長い長い物語、終結。読み応えがありました~。
エンディングは、え、そうくるか、と思わぬではなかったけど…

クラシック音楽(声楽)という、黒人の血からはかけ離れた分野で才能を羽ばたかせる兄弟。いくつかの時間軸で並行して語られる父母とその家族の過去と、兄弟の現在にいつまでも重なってくる公民権闘争と何度でも繰り返される差別的判決。黒人の血が一滴でもあれば黒人の扱い、というアメリカン・ルールはいつまで続くのか。
『鳥と魚は恋に落ちることができる。けれど、愛の巣はどこに築くというのか?』

あと、主な語り手であるジョーイの恋愛場面で、ガーシュインの名曲“The man I love”がちりばめられていたのに、おっと思った。地の文にまぎれていた…とすると、ほかにもいっぱいそういうのがあったのかも。クラシックにしろアメリカン・ポップスにしろ、くわしければくわしいだけさらにこの小説から受ける印象は深くなってゆくのかもしれない。一大ミュージカルとして書かれているのかもしれない、コレは。
私のイメージの中の“The man I love”はたぶんジュディ・ガーランド版。…だけど、どこで見た分かな…「ザッツ・エンタティンメント」シリーズの中にあったかしらん…
スーザン・エリザベス フィリップス著。

ハーレクイン含め、ロマンス小説にそれほど偏見は持ってないつもり。設定がふと気になったらとりあえず読んでみる。今回もソレ。

ヒロインは全てを失ってイタリアへ旅してきた心理学者、彼女に目をとめたのはハリウッドで人気上昇中の「美貌の悪役」スター。
人物一覧に“サイコパス役者”とあったので、そんなコトバってあるんかいな、と思いつつ、つい読み始めてしまいました。

だってさ、最初の四作撮ったところまでは、ほとんど“サイコパス役者”だよね、ウィドマーク様も~(爆)☆(゚゜;)バキッ\(--;
1940年代にはまだサイコパスなんて言葉はなかったろうけれど(それに美貌じゃないけど)。

お話は、途中まではそこそこ面白かったけど、残念ながら終盤で迷走し、クライマックス~エンディングがイマイチでございました。ま、いいけどね…
リチャード・パワーズ著。
久々に重量級ぽい小説を手に取ってみました。

ドイツから亡命してきたユダヤ人物理学者の父と、黒人女性の母との間に生まれた三人兄妹。豊かな音楽的才能に恵まれた彼らの半生と、米国社会における人種問題のうねりをからませた大河小説?
まだ上巻半分いっていませんが、面白いしズシリと重いです。ハーフである彼らはどちらの血筋からも不利を受ける上に、肌色の微妙さが更に帰属先を奪ってしまうのです。なんでこんなにバカなんだろう人間て。
誉田哲也著。ついに完結三巻目。ついに三年生として全国大会で対決するふたり。

いやー、面白かった。でも、今回は香織と早苗の両ヒロインだけでなくて、何人も脇のキャラクターに焦点があたって、というか脇キャラ語りが何種類もはさまってて、うーん、ある意味逃げたかな?両ヒロインについては、先の二冊でかなり語りきっちゃったからふたりだけで一冊はキツかったのかな?

まあそれでも、結局とても面白く読まされちゃったからこちらの負けかも。
脇筋では、意外なところで出会ってる某氏と某氏、てのがよかったです。
でもなんてったって香織のサムライ口調が第一の勝因かも、このシリーズ。

…さあ、いい加減に今日くらいはさっさと寝ないと。
なんだか日毎にシゴトのペースが悪くなってるような気がするし。休息だっ。
二巻目、やっと。
衝撃の展開、登場人物たちにとっては。読む方にはお約束か…
凪をどうすんのかな、上遠野浩平さん…
できればあまり待たずに次のが読めるといいのだけれど。
間が空くと忘れるし。ブギーポップがらみのお話は、長いシリーズで、スピンオフがいろいろあって、忘れた頃に再登場キャラってザラだし。
(今回はブギー出てこなさそうではあるのだけれど)

それにしても、サムライ亨を震撼させるアルケスティスって凄い。
まあとにかく、毎回読まされます…。
まだ読み始めたばかり。「夏の稲妻」からすぐあとのオハナシのようだった。
ウッドハウスは何読んでも楽しいなあ。のんびりゆったり…

仕事はちっとものんびりゆったりできないが。

それでも強引にヤフオクでリーフリプレイヤーを落としたぞ!
これで安心してまたストレスを海外DVD買って解消できるというものだ。買ったけどまだ見てない海外DVDだってあるんだもん~。
アラン・シリトー著。
画像はないけどアマゾンから古書は探せそうです。

アメリカ映画「誇り高き戦場」、坂田靖子さんの「誇り高き戦場」の原作として一部に有名な「将軍」。
とうに絶版だけどよく探すとヨソの図書館にあったので借りてみた。

ううーむ。
映画と、またマンガと、全然違うぢゃないか。
マンガの原作は映画だな、あくまでも。
将軍がハゲの小男でも、見かけだけの問題なら別にいいのだが…キャラが違う。

戦場で、慰問にきた交響楽団と指揮者が敵軍の捕虜になるのは、もちろん同じ。
だが、架空の国の軍隊である(共産圏ぽい)。
指揮者は世界的に有名だなんてことは書いてないし、将軍は特に貴族的・芸術愛好家的だったりはしない。ただ、捕まえてみたら、なんだか「交響楽団員を殺すのはイマイチ」な気がしてきて、「シンフォニーを聞いてみたい」気がしてきただけである。ただ、この気持ちは次第にエスカレートして指揮者と楽団員をぜひ逃がしたい!という思いにまで発展するのだが。
指揮者だって、演奏して、と言われたら別にさからわない。そもそも戦争というものに懐疑的で敵軍をも自軍をも信じていない。銃なんか間違っても手にしない…
乞われたら自然に歌い出す、小鳥のように力弱い存在でもある。
だがそのか弱さゆえに、将軍を破滅させることにもなるわけだが…

最初のうちこそディレッタントな口調で互いを探りあい皮肉をぶつけたりしているが、個人としてのふたりは、映画と違ってびっくりするほど簡単に近づく。

うーーーーーーむ。

「誇り高き戦場」のシナリオ(とヘストンの好戦的なキャラ作り)を私は酷評したが(http://13374.diarynote.jp/200909080047383316/)、小説から映画への脚色自体は、実はかなりお見事なのではないか。
私や坂田センセの萌え心?をそそった要素は、アレもコレも映画オリジナルだったのね…
ファッショナブルなナチスドイツの軍服。独軍内のナチスと国防軍の対立、意地をはる「世界的」指揮者、お貴族的芸術的な将軍!
えー加減な脱走計画も、悪くはない。
あとあんなにヘストンが嬉々として銃を取ることさえ止めてくれたらかなりなモノだ♪

やっぱり何でも、実際に確かめてみないと、わからないものである…

とそれしか読後の感想がないというのもどうだかとは思うが(笑)
なんか地味な小説だったんだよね。
非常に珍しいことに、出てすぐシリーズ最新刊のご注進メールがAmazonから来ました。やればできるじゃん。なぜ滅多にやれないのか?

さて、幸村誠、8巻目。
オビ見ないで読んだのは正解であるが(皆さん気をつけましょうネ)、

あ…あああ…ああああああああ…

ア…アアア…アアアアアアアア…(涙)

はたして私、9巻に手を出す日は来るのだろうか。わーん。
山形 石雄著。

次で最終巻、と、ついに明示されたけど、ほんと毎回毎回新鮮に面白いシリーズ。魔王の過去が語られるだけに、多少ありがちな展開ではあるのだが、そのかわりにまだまだ秘められていた設定がいくつもおひろめされる。
やっぱり先が読めないまま、最終巻につづく。

今日もいろいろ不幸な一日だったが、とにかくひととき忘れさせてくれた。めでたい。
栗本薫著。

ついに「あとがきなし」でした。もうあとがないかなあ(涙)…いや、一冊くらいはありそうな気がするけど。

はーしんど(ワビはすっと受け入れてもらえたけど)。明日もお仕事続く。
完結編。

自分のコアには秘密があった。しかも、いつものように気合と根性を出すと記憶(メモリ)が損傷してゆくとわかってナンブは…
最後まで、笑って読めるけど細部に突っ込んじゃ危険!というアマさだったなあ。

それより自分のメモリが損傷してきたんじゃないかと思うほど、最近度忘れや言葉が出なくてが多いな。疲れてるのだろう。
でもま、今日無事レポートは送ったし!中身はともかく!
次に待ち受けるアレコレはたくさんあるけど、これでまた「次の週末はどのDVD見よう?」という楽しいお悩みができる。久々に、開放感…♪
ジャック・キャンベル著。

二巻目である。
逃げながら、ある程度は戦ってみせないと味方が納得しないので大変なのである。相変わらず敵も味方もバカが多いが、面白い。テンポがいいのかね。
何考えているかわからないリモーネ副大統領(女性)の存在も、緊張感を切らさないのにはよいのかも。ツンデレか、と一時は疑ったが、そういうのとも違うのだろうか…
とにかくわからん…
主人公も苦労するなぁ(笑)


さて自分もそこそこには苦労してると思う、ここんとこ。今日も、なんとか人前で45分話をする試練をのりきったが、「あ、アレを強調しておくのを忘れた…全く言わなかったわけではないかもしれんがまずかったか…」と反省ばかり。でも反省なんかしてちゃダメだ。そんなヒマないんだ。お次はレポート締切が一週間後に迫っている。いろんな事の締切がダース単位で時間差攻撃をかけてくる。
こう落ち着かないと、艦隊だけでなく私の意識もどっかに彷徨っていってしまいそうである。来年の状況を考えたりなんかすると気が遠くなるから、考えないッ(笑)
有川浩著。

フリーターになっちゃった主人公が、母親が鬱で心を病んだのをキッカケに改心?してがんばる話。
元気すぎてしんどくなりはじめた気もする著者だが(特に普通に現代ものな場合)、それでも読まされる。文章にイキオイがあるし笑いもあるし。しかし、こんなに立派な連中ばかりだと中に入れてもらえなくてさびしいような気も(私はヘタレちゃん)。
捨て猫のエピソードはやりすぎな気がする…二十代半ばの男女(恋人同士ではない)が小学生みたいにおろおろって(仕事は結構できるくせに)、なんだかなあ。

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