支倉凍砂著。

うーん、ついに完結ですか。
もうベタ甘になっちゃってたしな、主人公たち。

途中はそれなりにハラハラさせてくれて一気読み、ラストがあっさり気味に終わるのはまあいいですが、それでもあと一、二ページはじっくり情景描写なりして余韻を強めておいていてくれればよかったのに。

番外編とか補遺であと一冊は出るらしいけど…

天地明察

2011年2月15日 読書
冲方 丁著。

800年ぶりの改暦、それも中国伝来でなく日本オリジナルの大和暦をたちあげた渋川春海の半生を描く時代小説。
話題になった時になんでかTVで「草食系男子がヒーローで」、とか、勝手にマンガちっくなイラストを添えて紹介していたけど全然ちがうじゃん。ふだんラノベ書いていた人だからって、ああいう偏向した紹介しちゃいけないよなあ。イラストなど一枚もそえられていないし、主人公は気弱っぽくヘナヘナしてみえるけど、男子一生の勝負(武術とかでなく、自分の熱中できる分野で、乾坤一擲渾身の仕事をしたいということ)に憧れる人物。
しょっちゅう泣いてるけど、漢です(笑)

本屋大賞とっただけあって?面白かった。
ワキでは各地を巡り天測を行う旅を率いる天文や算術に通じた旗本・御典医の御老体コンビ、少年のような純粋なノリが素晴らしい。波津彬子さんがマンガにしてくれたらめちゃくちゃはまると思う。
いや、たまたま波津彬子さんのマンガを最近読み返したんだけど、このかた元気で可愛いオジサンを描くのがめちゃくちゃうまいですしね。…むりかな(笑)

祝福

2011年2月13日 読書
長嶋有著。10作入り短編集。.

女ごころを書いたら、女子以上。ダメ男を書いたら、日本一!

と、オビにある。

主人公の男女比は5対5、ひとり紅白歌合戦なそうな。
いやホント、なんで長嶋サンの書く女子はこう、こころにスッキリ落ちるのだろうな…

草食系なところがいいのかな。
男主人公の描写でもそういうところがあるけど、女子の心中のよしなしごとの流れを書くのがうまい(というか好み)。だって、様々なささいなことに、「あ、○○」と反射的に思ったら、その自分の心の動きに対してもう一段階、驚きとかノリツッコミとか連鎖的な発見(ささいな)とかで、脱線してゆく自意識の動きがとてもとても納得できて、それが読んでいてここちよいのだ。
しゃべりことばも、心中の思いも、“きれいな文”ではなくリズムがちょくちょく乱れていて、その軽い乱れが逆にリアル感アップ。ヘタウマとまでいうのは失礼なんだろうけど。確か短歌も詠む人だから、当然熟考の上あるいはセンスにまかせて、乱しているんだよね。

たいがいの小説の主人公たちはもっと、脱線なしに何かを求めたり悩んだり、がんがん直進して行ってる。肉食ドロドロの愛憎絵巻は、小説のお楽しみとしての誇張があるのかもしれないけど、“面白いけど自分の内にはいまんとこないノリだった”ことがこの人の小説を読むとよくわかり、そして自分にずっと近い女性が小説の中をカッポしているのを知って嬉しかった。それが男性作家によるというのも不思議だけれど。

いや、自分の内にないからこそドラマチックさが面白い、というところもあるのはあるんだけどね、肉食系ロマンって(笑)


紅組は、スリルとだらだらの混在感が目の離せない「噛みながら」「十時間」がいい。普段着っぽさ全開な「丹下」「ファットスプレッド」も。
白組は高校の時のクラスの“不良”の思い出「マラソンをさぼる」かなあ。

いい話だけにしぼれば★4。
主人公が若いほどイイのはなぜだろう…
成田良吾著。
予約して回ってくるのを待ってたら1・2巻から相当時間があいてしまった。
1・2巻に比べると盛り上がりが控えめに感じたのは、そのぶん忘れていて、てのもあるだろうなあ。短編集なのだが、微妙にあの話のココとこっちの話のアソコとかがかぶっていたり、登場人物の噂をきいたり、ゆるーく軽く繋がりあう連作短編集なので。あいかわらず上手いんだけど、ちょっと物足りなさが…
も一度、1・2巻を読んでみたいような。

それにしても、あー、もう明日はまたシゴトに行かねばならんのね。くすん。
ずっと映画見てないなあ。ゲームしてたせいもあるが、短時間ずつだけど。ロマサガ3を引き続き進めてます。先週中にトレード一回こなしてフルブライトさん入れて、ロビンイベントこなして(何度見てもイカシた笑えるイベントだこれは)ロビン入れて、そして今日はこれまで滅多に入れたことのなかったポールをスカウトしに野党の巣窟へ行きました。次は鍛冶屋で必要な魚鱗探しに氷湖にでもいくかな。

あーっ、ゲームも映画もネットもできるくらいに、まる一日休みたいよお。
今日は休みだったけど実家へ行ったのでそのぶん自分の時間は減りました(笑)
福岡伸一著。

なんか、この著者の名前って、賭博マンガ「カイジ」の著者とこんぐらかるんだよね…
まあそれはともかく。

100%文系で科学にうとい私にも、数年前にベストセラーになっただけあってわりと読みやすく面白いです。たまにロマンチックな表現をまぜるのがいいな(笑)
くっついたり離れたりをくりかえす相補的なピース(タンパク質の)をひとときの接吻にたとえたり。
サービス精神?


あいかわらずなかなか早く帰れない。くっ、明日こそッ!
はっ、萩尾先生…ッ!

泣かされてしまいました~(T^T)
ウチにもカワイイ中一男子がいるし。
(まー多分私はそんな急に死なないが…バカは風邪すらひかないの)


とにかく「月刊 flowers」はほんとに毎回よみごたえあるんで、実は毎月買ってしまっているのでした。今月号はいつもよりさらに厚くてオトク(笑)
橘公司著。

あまりにもしょーもないアクシデントで死ぬヒロイン。
それを救わんと次々と未来からやってくるのは…

バカバカしくもパワフルにあさって方向へ進み続けるシリーズ、快調です☆
まあ今回のは、笑えたけれどいつも以上に本筋離れた間奏的なもののような気がするので、次巻に更なる期待。
既に来月発売と決まっているらしい。善哉善哉。

茗荷谷の猫

2011年1月24日 読書
木内昇著。今月直木賞をとった人の旧作(笑)

明治からオリンピック前あたりまでの東京を舞台に、ごくゆるやかなつながりを背後に垣間見せる連作短編集。
なるほど上手いし読ませます。

何かに魅入られたり夢中になって世間から浮いたりしてしまう人がびみょーに不幸になりがち、な話が続くなか、何もしたくない誰ともかかわらずに静かにぼーっとしてたいと思っていると、何故か好意的な他人がやたら寄ってきてしまって困る男の「隠れる」が楽しかった。大好きな母の老いについ苛立ってしまう娘の「てのひら」も、説得力十分(辛い話だけど…)。でも、追いかけて読むと哀しくなるかもなー、この作風…


<おまけ>
今日は、ガン検診にお出掛けし、待ち時間に木内昇を読んでいた。
受付で、「ご一緒にインフルエンザ予防接種もいかがですか」と言われたので、マクドみたいだな…と思いつつ、ついでに受けてきた(笑)
病院(というか、検診専用施設?結核予防会は)のノリも変わったもんだなあ。
佐々原史緒著。

わーい、二巻目あったんだー。
やっぱりなかなか読ませる、テンポのよいスポーツ小説ラノベでした。登場人物が多い割に、まずまずうまく交通整理されてるし。、
二冊だけで終わるなんて惜しいと思うんだけどなあ…
続きがないのが悔しいので★三つどまり…?

この著者、ちょっと他にもチェックしてみようっと。

哄う合戦屋

2011年1月19日 読書
北沢秋著。

槍をとっては並ぶものなき武勇の豪傑として名をなしながら、実はその武勇を上回る軍才を持ち、それを生かして天下を取る、いや「見込んだ主に天下を取らせる」ことが夢という信濃の浪人、石堂一徹。だがこの天才は、人心を引き寄せることだけは徹底的に不得手だった。
これぞと見込んだ温厚で人望厚い小領主も、彼にぐいぐいと引き上げられてゆくうち、逆に生理的な嫌悪感すら抱くようになる。確かに、"人の為に"軍才を発揮しているように見せても、己の大きな夢のために主を振り回している(勝ち戦続きであるとはいえ)のは否めない。時代を先取りした理性的な軍略は並の武将には理解され難いが、それだけでないのだ。

そんな中で、唯一人彼の繊細な一面を感じ取り、素直な好意を寄せてくれるのは、主が溺愛する愛娘・若葉だったが…

新人さんのネオ歴史小説。機略縦横、一徹の力で遠藤家がとんとん拍子?に勝ち進む前半は特に面白い。後半はなかなか幸せになれそうにない二人の愛のゆくえ、これもじんわりくる。

ただ、ちょっとだけマンガチックかなー。
ちょっとダーク系入ったヒーローはまあよいとして、ちょっとヒロインが…天然なんだけど、実は演技も入ってるという"器の大きすぎるくらいのヒロイン"という描写が少しクドい(笑)
歴史小説らしい文章はまあまあ出来てるんだけどね、まあ、筆が滑ったというのだろうか。
★4に近い3かな。惜しかった。次回作には期待できます☆

ボックス!

2011年1月15日 読書
百田尚樹著。

スポーツ小説週間継続中です。
大阪のとある高校のボクシング部。
才能のままに勝ちまくる、やんちゃな悪童・鏑矢。その幼馴染で「強くなりたい」と突然ボクシング部入りを決意したおとなしい優等生・木樽。

主として、顧問の若い女教師高津(ボクシングには素人)と初心者の木樽、この二人の視点を行き来しながら話が進む。鏑矢はライバルの"超高校級"ボクサー稲村を倒せるのか?そして木樽は本当に「強く」なれるのか…

文章はあまりうまくない気がする。が、愚直なまでの努力を重ねていく木樽や、試合の場面などにはその朴訥さがむしろ良い感じ。あさのあつこあたりの対極で、…しかし、男の子はむしろこちらのほうがリアルなんだろうな(もちろんあさのあつこには別のよさがあるが…)。

また、美人女教師の描き方はイマイチ魅力的でない。いかにもオッサンが書いた美人女教師、なような…だが、それ以外のキャラクター、特にボクシングにかかわる大人の男性たちはいい。監督たちもだし、ジムの経営者曾我部の辛味の効いた描写は印象的。ボクシングという「スポーツ」に見え隠れする狂気にたいして著者のアンビバレンツな視線が感じられて、青春小説というよりは大人の味わい?
バカであぶなっかしい鏑矢の魅力はむしろ終盤に味が出てくるので、物語のメインはキマジメな木樽か。だが、対照的な性格の二人の友情は大変にすがすがしい。
エピローグも、私は好きだ。納得の流れだし、考え抜かれたバランス?のイイ結末。

百田尚樹、アラはあるが読ませます。売れっ子なだけはあるな。
佐々原史緒著。
やや珍しい、ラクロスを扱ったスポーツ小説。

女子校で長年優等生の猫をかぶってきた広海。つむじ風のような転校生千果に強引に誘われて、消滅寸前のラクロス部(もはや同好会に格落ちしている)に引きずり込まれる…

けっこうイイ感じにまとまってる。千果と、彼女が集めた新部員たちは皆面白おかしく描けているし、主人公にも、心に引っかかってきたトゲを克服して一歩前進、のここちよい構成。軽いけどけっこー満足。ただ、部員数がまだ完全には足りていないので、…続きはないのかな?

いやぁ、拾い物でしたねえ(笑)
海堂尊著。

「螺鈿迷宮」から直につながっているだけあってか?またまた、リアリティよりロマンチック優先のショタラヴ話~(逝)

いや、結構好きなんですけどね、こういうの。でも、そんなんできるの?な事態も多いし、名前の分からない医務官のことが気になるのがちょっと残念。それとも何かほかの話にバッチリ登場してる誰かさんなんでしょうか、このヒト…。

でも読んでる間は楽しかったので、★三つを下らせるわけにはいかないなあ。心情的には四つ。

友を選ばば

2011年1月11日 読書
荒山 徹著。

タイトルを見ればピンとくる人はピンとくる。「三銃士」のダルタニャンがなんと、東洋の隻眼剣士ウィロウリヴィングと…
はぁ?ウィロウリヴィング?(笑)
この人初読みなんですが、この著者にとっても初の外国もの(欧米モノ。朝鮮がらみの時代モノは色々書いているような?)らしいです。

そのせいかどうなのかエドマンド・ポーツネル男爵(ポーの一族かよ?エドガーじゃないにしろ)とか、ビャン・ピエール・メルビル(映画監督?)とか、看守のルレタビーユ(探偵じゃないのか?)とか、スカーレット・ルピナス団とか(スカーレット・ピンパネルか??)ってのも含めて、時々ネーミングで「えーと…」とよろけそうになっちゃったりするのですが、できるだけ無視して気楽に読めれば、それなりに楽しめる欧州伝奇冒険譚なようです。…多分…

なんか、ジュブナイルみたいな軽い話でした。ネタは派手、波乱万丈なんだけど。

蒼穹のカルマ5

2011年1月8日 読書
橘公司著。

デビュー作はずいぶん辛かったのだが(日本語が。大胆なストーリー構成の可笑しさには見るものがあった)、意外や?三巻くらいからハズレがなくなってきた。
さすがに学習はするということか、一巻目で編集者がサボったってのか、日本語は割と普通になり、思いっ切り構造的に定石をハズしてくるテクが、ようやくすすみ始めた伏線回収とも連携しつつうまく転がりだしたというところ。

二巻目は世界設定の強化(キャラクター増強)+スポ根で、まだフツーだったが、三巻目学園モノ、四巻目RPG(裏RPG?)、五巻目なんと魔法少女と来ました。
最愛の姪っ子以外に超無愛想なカルマに魔女っ子?…いや、そこがなかなかうまいこと、追い込まれていくように出来てるんですね(笑)
ますます壊れていくヒロイン・カルマとヌイグルミ魔王との掛け合いがまた素晴らしい。魔王、いい味出してるぞ!
笑わせてもらいました。

タップのゆめ

2011年1月7日 読書
アンマサコ著。

アクセス解析見てると、この「タップのゆめ」検索してウチ回ってきてくれた人がいたようです。
へぇぇぇーーーっ。
…ところが取り上げていないんだなこの絵本、ウチではまだ。
タップダンスの話とかミュージカルの話とかで誤って検索にひっかかったんですね。

ところがどっこい、実は私もこの絵本は一応チェック済なのでした(笑)
あと出しサービス♪

手の込んだ、スーパーナチュラル調の絵(というか、小物を自作して写真+加工している様子)は、凄過ぎてちょっと内心引いてしまう所も。ただし、この絵本の主人公は一足のこわれかけのタップシューズ!!…タップ好きにとっては心に引っかかるネタであります。
ちなみにタップシューズ君にはちゃんと金具がついている!(当たり前なんだけど)、それがまた妙に嬉しいのでした。

しかし「タップシューズが自分らしく生きるために!絶望しかけた一足のタップシューズが、自分の本分をとりもどし、ふたたび輝きを得るまでの物語。」というAmazonのあらすじ紹介は恥ずかしいのでちょっとやめて欲しいと思う…
色んな靴たちが夢を語ったりする場面がありますが、みんな靴屋さんに修繕してもらって、持ち主に迎えに来てもらって…なだけといえばだけな話ですから(^^;)

タップダンス好き以外は感動とかしなくてもいいと思うのは、私の照れでしょうか。
でも、タップダンス好きにはプッシュしちゃうぞ(笑)

なぜかアマゾンのリンク画像を引っ張ってこれないので、楽天ブックスで(笑)
那須正幹著。

いやー、三人組それぞれの結婚がなにげに突っ込んで描かれているのに驚愕(笑)
あのモーちゃんにも修羅場があった!?

いや、本筋は「ズッコケ山賊修行中」のその後、むかし彼らが拉致られた山賊の隠れ里探しの話だったりするんですけどね。
なんだかだいっても読まされます。那須さんの筆力はやはり手堅いな。
中山七里著。

前作の『このミス』大賞受賞作「さよならドビュッシー」がなかなかおもしろかったので手を出す。前作の探偵役ピアニスト(兼講師)岬洋介や、前作ヒロインとコンクールで競った娘なども出てくる。

二億円のストラディヴァリウス(チェロの)が密室から消えるところから、主人公の通う音大に次々事件が…という話だが、結論的には前作より落ちるなあ。
前作より登場人物も多いし、そのぶんしんどかったのか、真犯人を含めて魅力的なキャラがあまり出てこない(やっぱり真犯人にも魅力がないとイカンですよ)。

ただ、音楽シーンには相変わらず華とスピード感がある。こればっかりは他にないこの著者独自の魅力なので、今後も精進していってほしいなあ。
同じこのミス出身の海堂尊ほどのパワフルさや日本語の上手さはないけど、独自の華やかな武器を持っているという点では共通するところがある。
三作目がでたらまた手は出してみると思うので。がんばれ(笑)
枡野浩一著。

勉強イマイチ(国語はそこそこ良い)、運動ドツボな高校生ショウは運動音痴ということで「うんちゃん」と皆から呼ばれている。
人づきあいもちょっぴり苦手な、デリケート?な彼は、何かと言うと、こんな自分は自殺しちゃったほうがいい、自殺するんだ、と考えて、でも"自殺"というコトバを口にするのは憚られるので"時差!""時差!"と小声で叫ぶのが口癖だ(笑)

気になる彼女は柔道部のスター。彼女にすっかり見下されているだろうと思うと毎日がブルーだが、無理やり水泳部に入れられちゃったり、意外な才能が明らかとなり引っぱりだこになったり、高校生の日常は思いのほか千変万化していって…

おかしくて、時にしみじみ、時にニヤニヤの青春小説。
時代設定が、よく読むとさりげなく25年くらい前なんだけど…
ようやく読了。いやー良かった。
途中ギャンブルだらけでどうなるかと思った(思いつつやめられなかった)が、さわやかにエンディング。いいなあ、スポーツ小説って。
自分は汗ひとつかかずしてこの感動とこの手頃なお疲れ感…
ふぅ(*^^*)

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