トム・マクナブ著。

『銀輪の覇者』の解説でふれられていたので手を出しました。こちらは自転車じゃなく徒歩競争で、西海岸から東海岸へ5000キロの全米横断長距離レース。時代も30年代初めだし、群像劇なところもたしかに共通するところがあるなあ。
ゆるゆると読み始めましたがいいかんじ。先が楽しみだ♪
げ、下巻も、痛いよ~(涙)

進めば進むほど地獄巡りの道程へと突き落とされる主人公。それをかなり淡々と描いていて、クーンツにしてもかなり「奇妙な味」が強い。

主人公も、かなり暗い過去(下巻で明かされる)のため根っこで歪んでいるような。
ある意味バカバカしいような手段で強引に恐るべき敵に対抗してゆく主人公だが(何はともあれ証拠隠滅さえ徹底的ならって、どうよ…)、T.S.エリオットの美しい引用や、意外な静謐さをたたえたラストで、とりあえずホッとするような救われるような…
「オッド・トーマス」に案外近かった気がしてきました。
しかし、評価に迷う作品。上巻の終わりがけからこっちは息をのんで一気に読んではしまいましたが…(^^;)

そういやトーマスの二作目を読みそびれているなあ…
予約しようかなあ。
ディーン・クーンツ著。

痛い、痛いよ~!
(謎の殺人者に主人公がケガをさせられるシーンが…)

そして、なんかクーンツにしては、文章が違和感があります。いや、訳本なのでクーンツのせいじゃないかもしれない。なんとなく超訳ぽいのは気のせいか?むむむむむ…
奇妙な殺人予告を送りつけ、「犠牲者を選ばせる」凶悪極まりないゲームを主人公に強いる殺人者。久々にダーク感の強い展開と、受け身で慎重な主人公の過去がなかなか十分に明かされないじりじり感で、ハードな読み心地。そのくせちょっと突き放した感じの描写。何にしろ、ちょっと「珍しい」感触のクーンツだ。
まあとりあえず、下巻に向ってGO…

グラウンドの空

2010年12月11日 読書
あさのあつこ著。

性急で一本気なキャッチャー瑞希。繊細で不器用で、心の傷のため野球に背を向けようとしたピッチャー、透哉。
「バッテリー」と逆ベクトルなピッチャーを据えてみた、中学生の野球小説。
でも、ちょっとボリューム的にものたりなかったかな。透哉が心を開いてからすぐエンディングが来てしまうし(瑞希のピンチはどうクリアしたんだー?)、少し唐突。
期待して、わくわく読んだけど、もう一息。
やー、面白かった。一気に読んじゃいました。
伏線がどんどん畳まれていく中には、あと一行くらい補足しといてよ、というのもありましたが、レース最後の日の急転直下ぶりは、ごちゃごちゃしているけれども同時にしっくり来ましたね。大きな何かが終わる時ってこんなものかもしれません。

心を熱くした戦いを、淡々とした文章で締めくくった着地もよかった。
グッジョブ!
斎藤 純著。

昭和9年の日本縦断自転車レースを描く、スポーツ冒険小説。
主催者もスポンサーもさまざまな参加者たちも、片っ端からウラだの過去だの謎だのを抱えて参加する。群像冒険小説とでもいいますか。少しずつ少しずつ明かされる各人の背景が楽しいです☆

とりあえず前半読んだ限りではおおいに満足。
素敵なエンディングが待っていますように…
畠中恵著。

最近姉妹編だか続編だかが出たようなので読んでみた。
が、ちょっと中途半端かなあ。お江戸の病弱おぼっちゃまが主役の「しゃぱけ」シリーズは好きだが、この著者独特の"かわいらしさ"が御一新後の明治の青年たちとか成り金事業家では…なんだか…
全然面白くないわけではないが、時々違和感がきざしてちょっと残念な出来でした。
高瀬彼方原案、黒鉄アクセル著。

カレイドアーツ。少女たちがパートナー“彼士(かれし)”の能力(美形度・頭脳・運動能力その他)と二人の心の絆から引き出す、魔法の如き技で戦う格闘競技。カレイドアーツの名門校に入学したヒロインの運命は…

ははは、彼氏じゃなくて彼士なんですと。

えーかげんな設定ですが、スポ根です。なにせ高瀬さんですから、熱さは期待どおり。こんな設定にもかかわらず?、ついつい息をのんで一気読み。
お調子者ヒロインのズッコケ会話もいいです(笑)
なんで続き出ないのかなあ…いや、出ないのムリないのかもしれないけど、好きだなあ高瀬さん。
長谷敏司著。

あと一冊で終わるってほんと?
サラ・ムリノフスキ著。

ハイスクール・魔女ライフならぬ「魔女の姉ライフ」第二弾。
パパの婚約者をどう撃退するか、というそれなりにシビアな問題が大きかった前作に比べると、ジコチューヒロイン(そうはいっても、誰でもそれを否定しきれないような素直なワガママさ)の前に山積する問題はたいしたものではないのかもしれないが、あいかわらずテンポが良いのと、最終的には、ちょっと成長したヒロインが頑張って妹や母のためにあれこれ動いたり、自分を抑えて周囲のための決断をしてゆくあたりが、読後感スッキリで終始楽しく読めました。
どうやら第三弾もあるみたいなので楽しみだなあ。


今日は、家族サービス?で紅葉狩りにつきあって、足が棒のよう。
昨日の雨のあとなぶん、京都は山並みが間近に迫って見え、確かに紅葉は美しかったが…歩きすぎと食べ過ぎ(笑)で、しんどいよう。
うーん。
こういうラストなのね…

会長室篇は、恩地を認めてくれる理想主義的な新会長がやってくるので(利権をむさぼる連中に激しく反発されるものの)、結構面白く読めたが、いやーきびしいですね。勝ったと見える黒い連中の足元にもようやく穴があきかけてはいるが、「地球上で最も危険で獰猛な動物」の警句はダテじゃない。
読み応えはありましたが、しばらく山崎豊子は休もう(^^;)


…そしてもう寝よう…ココロは元気だが体力限界ぽい。無理はすまい…
ジャック・リッチー著。
どろどろの「沈まぬ太陽」(ついに五巻目突入!)の合間に、ちょっと気分転換。
軽快なクライム・ショートストーリー。

だが意外にも、犯罪のない物語もある。ちょっとしみじみ。

見当たり捜査官

2010年11月13日 読書
戸梶圭太著。

見当たり捜査官。指名手配中の犯罪者を、街を歩いて目だけで確保する、孤独な刑事…
警視総監賞をもらったこともある優秀な見当たり捜査官のはずが、ここのところ主人公はスランプと不運のスパイラルの中にいた。意地と根性で挽回はなるのか?

ヘンな本を書く人が(女装警官とかサド女医とか…いや、読んだことなかったんだけど、そーゆーのを書いてるんでしょ)、ちょっと真面目なハードボイルドを書いたのかと思って読んでいたらジリジリジリジリとヘンな方向へ。というか、この不幸っぷりはフツーじゃないでしょ。それでもラストだけは一応妙な解放感、なような気もするが、うー。

…とはいえ、一気に読んでしまいました(^^;)
なんとか三冊読んだぞー…
出張からなんとか帰着。しかし、雨ばっかでほんとに悲しかったです北陸地方…。
列車の中でやたらと仕事をしていましたが(すごく色々と進んだのは嬉しいような悲しいような…)、一応、本も持ってった。しかしウッカリしていた…ラノベの、しかもこのテの表紙の本だと、知り合いが一人もいないとはいえ、同業者があつまってる所ではなんか読みづらい(爆)


高殿円著。

あいかわらず、ギャグか?というようなサブタイトル付ですが、珍しくルシードがキメてくれましたね。やっぱイイ男だルシード。錯綜する人間関係をさっぱりと料理し、謀略合戦も逆転また逆転で面白く読めました。しかしキャラクター増える一方だなあ。かなり長引くのでしょうかねこのシリーズ…。
東川篤哉著。

国立署のキザなエリート警部・風祭は、ジャガーを乗りまわす富豪のボンボン。だがその部下の若く美人な女性刑事・宝生麗子は、実は風祭家をはるかにしのぐ大財閥のお嬢様だった(控えめで常識家なヒロインは、素性を秘密にしているのだ)。

だが、彼らの頭を悩ませる難事件を、サクサク推理で解いてしまうのは、麗子につかえる、ちょっぴり慇懃無礼な執事・影山であった…

時々とんでもない暴言を口走る影山と、お嬢様のワリにツッコミの過激な麗子のかけあいが大いに笑える、テンポのいいユーモア・ミステリ連作。風祭のベタでナルシーな間抜けさ加減もいい感じ。はやりの「執事」ネタをこんな風に料理するのはなかなか気が効いてますな。

暖簾 (新潮文庫)

2010年11月1日 読書
山崎豊子著。

「沈まぬ太陽」の二巻を、半分読んだところで職場に忘れてきてしまったので、予備に借りてきていたこちらを読む。
船場商人、二代にわたる奮闘と、暖簾にかける心意気。長さも手頃で一気に読んだ。

処女長編だけに?むしろ裸一貫から根性と工夫でガーーーーッと大きくなる痛快さがあって読まされる。何度も人災天災に叩きのめされるが(戦争は人災かな)、くじけず立ち上がろうというところと、「暖簾に恥ずかしくない商売を」という矜持がいい。それでも、大阪である。時代とともに東京に引き離される苦さがほんのり、リアルさを増している(なのでなかなか「大好きな作家」にはならなさそうな気が…)。
文章も、「沈まぬ太陽」で余りのシンプルさにアレ?と思ったのにくらべれば文芸的に凝ったところがある。

戦前や戦時中の描写は、図書館の郷土資料コーナーにある昔の写真とか思い出しつつ読んでいた。まあ、本来私は大阪じゃなくて阪神間、西宮の産だしね。
山崎豊子著。

思い立って、未読だった山崎作品に手を出してみた。「白い巨塔」と「華麗なる一族」はドラマ等でオチが割れてしまっているのでコレにした。
が、…しんどいです(^^;)
意地を貫く主人公は見ていて痛々しい(家族気の毒だし)。一巻でバリバリまじめに組合運動をしていた(しかも最初は押し付けられた委員長で)時は、そこまで突っ張って大丈夫か?と痛々しかったですが、2巻では国内の仲間も組合つぶしでロコツに迫害されていて痛々しい。ちょっと話のわかる上司が出てきても、どんどんイマイチな職場に流されるし。

文章は、あまりうまいとは思えない。長い長い過去のフラッシュバックが終わってからが多分本番、というか面白い所なのだろうが、一冊半ではまだ終わらないぞ~。
ヘタすると挫折するかもしれん…(^^;)
風野潮著。
まあ前作よりはアナが少ないかな。中途半端に話を広げなかったのがよかったのか。なんとなく一気に読んじゃった。
スポーツものは基本的に割と好きなので。
風野潮著。

YAむけの珍しいフィギュアスポーツ小説。しかし、期待したほどじゃなかったなー。ちょっと主人公にとって"都合のいいキャラ"が多すぎ。父と兄の相克とか過去とか軽く流し過ぎ。「ビート・キッズ」で注目された時に読んだがその時もあさのあつこ(「バッテリー」)ほどじゃないなあという感触だったしなあ。

まだ「銀盤カレイドスコープ」のほうが、ずっと良かった。…でも、二巻目も出たようだから、念のため、二巻目まで読んでみようかな。すぐ読めるし。

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