「フルメタル・パニック」の賀東招二さんによる珍しい別シリーズ。
魔法や妖精の異世界と接点を持つ“サンテレサ市”を舞台に、異世界の女騎士と共に事件を追う刑事ケイ・マトバ(日系らしい)。
フルメタにくらべると「フツー」な感じだが、さすがに手堅くまとまっている。休刊になった竹書房ゼータ文庫から出ていたものの出し直しらしいが(あまりマイナーなんで見落とし、読んでいなかった)、続きもちゃんと出てくれるんでしょうね。

主人公もオトナだし、ぐっとハードボイルドなタッチ。
まだまだ1巻目では、世界設定をご紹介、な印象が強いので続きにさらなる期待。
橘公司著、第三弾。
なんじゃこりゃ、の『学園篇』、しかし、なるほどね、こういう方向から学園篇にしちゃえるんだ。と。そういう構造的なアイデアは結構有る作者だ。…このオチから4冊目はいったいどこへ行くのかしらん。
日本語も少し落ち着いた。薄味だがそれなりには笑えるので四巻目も一応チェックしよう。

柳広司著。
D機関モノ第二弾!
やっぱり今回もスタイリッシュな締まった文体で読ませます。
うーん。そろそろ本編いってくれー。悪いとは言わないが…
ジャック・キャンベル著。四巻まで来ました。行ったり来たりしながら故郷を目指す艦隊。とりあえず艦隊戦はドキドキしながら読めるので満足。
小澤俊夫著。

講演の収録とテーマ別コラムとで、大変読みやすい。昔話は三回の繰り返しが大事な大事なお約束なのに、繰り返しを片っ端から省略してしまった!とディズニーを断罪しています。なんて下品かつエロティックな改変を!と「ほんとうは怖いグリム童話」も断罪しています。
お気楽に楽しく読めて、なんとなく元気の出る(著者が妙に元気がいいので)昔話入門書。
橘公司著。
一巻目はメタメタにけなした私。日本語があんまりだったから…ただ、物語の構成力があるのは認めてた。なので、一巻と同時予約してたのが届いたので念のため二巻目を読んでみると、多少は日本語も引っかかりにくくなっており、結構楽しめた。真面目に見せて外してくるお笑い展開だが、語り口はスムーズ。とにかく読み始めてしばらくの間は「へ?」と思うような熟語が出なかったので救われた(最後まで出なかったなどとは言わない!)。

でもやはり、お笑いでも、あとちょっとセカイ設定の描写が欲しいな。
なんで★は三つどまり。
トミー・デ・パオラ著。

たまたま前日、リンク先秋林瑞佳さまの日記を通じてナショナル・ジオグラフィックの動画サイトへ行き、アイルランドの世界遺産『ジャイアンツ・コーズウェー』の石柱が立ち並ぶ不思議な海岸を見たばかりだったので、なにげなく手に取ったこの絵本に、まさにこの場所で石積んで道を作ってる巨人フィン・マックールの絵が登場したのには驚いた。

http://www.nationalgeographic.co.jp/video/video_title.php?category=3&embedCode=V5ZGUyOtGZIwTT2fOHniJhX5Y23dnAJD&theme=1024

気弱な巨人がおかみさんの知恵を借りて、より乱暴な巨人ククーリンの襲撃をいかにかわすか、というたいへん楽しい昔話。デ・パオラの様式的であたたかみのある絵も素敵です。この表紙絵、一番下部にはちっちゃな(巨人と比すとちっちゃいのだ)木がならんでいるのだが、よーく見るとさらに木の下にはもっとちっちゃい人間と羊がいてたりしてますます楽しいぞ!

いいなあ、アイルランド…行ってみたいなあ…
イングランドとスコットランドとウェールズはちょっとずつ行ったことがあるのだが、さすがにアイルランドは未踏破であります。
犬飼六岐著。待ちに待った吉岡清三郎第二弾。

いやー、すばらしいね~。
確実にウデを上げている著者。
ちょこちょこっと出てくる新キャラもイイ(富井由道さんも再登場、でもたとえ彼がいなくても十二分の出来栄え!)。
はすに構えた主人公の描写ににじむユーモアと、ハードボイルド⇔人情のさじ加減と、凄絶な剣戟描写と。
連作短編集、全ての話がそれぞれに面白いが、最終話の決闘は特に凄い。
しかし、続編。続編!出てくれるよね!!!(絶叫)

一作目だって、別にここで終わってもおかしくないかも?な感じだけど続いたんだし。
こんなに魅力的なふてくされヒーロー(アンチヒーロー?)が、たったの二冊で終わっていいわけがない。
続刊熱烈希望!!!!!!!
橘公司著。

「このラノベがすごい!」に、富士見期待の新シリーズ(既に三巻まで出てる)、大人気、とあったので手を出してみたが…

なにこの日本語。
凄く強くてクールな美形女戦士が、お気に入りの姪っ子の前ではへにゃへにゃ…という落差の笑いを狙ってるコミカル・アクション・ファンタジーのようだが、笑う以前に彼女のクールで無敵な活躍の描写に、著者としてはカッコつけた文体なのだろうが、変な語彙とビジュアライズ不能なテキトー描写がまじりこむため、読んでるとテンポが崩されまくり。

「轟声」ってナニ。轟音ならあるけど…
「大型バイクのような形をした天駆機関」てナニ。空中での戦闘シーンを支えるキモじゃないのかこのキカイ。そんな投げやりな描写でいいのか。そのくせヒロインは足に「天駆機関」とやらを装着しているらしい。説明もなく、天駆機関ごとキックしてるらしい(彼女の装着してる天空機関が鎧型だとの説明は数十ページ後にやっと出てきた)。わからなさすぎる…
「頭中に後悔を巡らせた」…頭中?…頭中を、後悔が、巡る?(胸中じゃないのね)

まだ笑いに到達しない、ヒロインすら登場するかしないかの最初のたった4ページで3回も脱力してしまうとは、ほんとにもう…
カルマたちの存在する異世界では普通に使われている語彙なのかもしれないが、辛いです。
カルマが痛い性格なのは狙ってのことですが、普段クールな彼女が溺愛してる姪がほんのちょっとしたケガをしたのを見ただけで笑えるほど動転する、というシーン。「指先に3センチほどの切り傷がある(だけ)」ということですが、少女の細い指に3センチは結構な流血の予想される、それなりに派手な怪我ではないのか。ここは3ミリが適正でしょう…じゃなくて、この著者、具体的に脳内でビジュアライズもしない(できない?)ままテキトーに文章を連ねているのか?

これは、久々に…最後までとても読めない作品になるかも。
笑える最強ヒロインてんで編集部が「スレイヤーズ」を引き合いにだしてたけど、神坂さんはもっとずっと日本語がうまかった!うまい上で崩しているからこそ、あのテンポの良さが生まれてるのだが!編集者は何やってるんだ。新人作家の日本語がヘンだったら突っ込むのが仕事じゃないのか。

…もう放っておいて、寝ます、この本。


<追記>
翌日、読了。
三章目あたりからの展開は多少予想外だったので最後まで読めた。が、もうちょっと世界設定ちゃんと描写入れてほしいなあ。だいたい空獣て何なのか結局きちんと書いてないし、だから騎士団て何のためにいるのかはっきりしない。「雰囲気だけ」にもほどがある。もちろん日本語も普通になってくれんとなあ。読了はできたので★はひとつだけ増やしたが。
吉野万理子著。
新年一冊目が児童書か、と言われそうだけど、シリーズの三作目。まさか三冊もいくとはね。前作に出てきたけれど印象薄かった広海(ふたごの片割れ君)が主役。お調子者だし計算高いところもあるし、まあ薄くても仕方ない性格なんだけど、計算する割に、決して悪いやつではない(最近は、こんなふうに計算する子のほうが普通なんだろうか…)。自信家に見えて、実は臆病なところ、意外に弱気で他人に依存しやすいところがあるだけなんだね。

ただ、それだけにその弱点は、前作の主役だった、控えめだけど一途な純の目には逆に入りにくいという展開が、ナルホド納得。まあ、登場人物がその弱点を克服して成長してゆくのは、物語の定番であり快感。

このぶんじゃ、四作目も出るかもという気が…そして四作目出るとしたら、私のカンでは初のヒロインかな。今頃大地の妹が出てくるとは思わなかったし(笑)
町井登志夫著。「爆撃聖徳太子」が面白かったのでトライ。

大化の改新(つまり暗殺シーン)から始まって過去場面にさかのぼる。
若き入鹿はどちらかというと淡泊な性格の武人。剣の腕を買われて父毛人のボディーガード役もつとめたりする。
時代は、隋に代わり中華を統一した唐の勃興期。唐と朝鮮半島とを見て来い、と父に言われ、遣唐使船にこそっと乗せられた入鹿は、直接戦場にも身をさらし、隋とはひと味ちがった超大国唐の勢いと安定感を知り震撼する。改革者というのは大げさだが、征韓論を抑えまず国力の底上げに力を注ごうとする入鹿の半生を掛け足で描写する。
クーデターがあると必ず、それを正当化するためにその直前の為政者はボロカスに貶められるのはお約束なので、中大兄皇子らが蘇我氏について実際以上に悪く吹聴したとしても全く違和感はない。その後白村江へ兵を出して日本は負けているわけですしね。

アマゾンとかで「小説になっていない」とむちゃくちゃ書かれているが、話自体は面白いし古代史として納得はいく流れで、結構一気に読んでしまった。「爆撃…」同様、合戦シーンは殺伐とした中にも迫力と説得力があるし。
ただ、「爆撃…」は聖徳太子が元々非常に(何でも聞こえすぎるために)変な人として描かれていたので、これだけ愛想のない現代的に淡々とした文章でも結構マッチしたが、今回の入鹿は常識人だから余計に読む人によっては“何だこりゃ”と思うんだろうね。ただ、文学的表現のレベルで歴史のロマンだの何だのにこだわると、逆に入鹿や前作の聖徳太子らが「世界」を意識して抱く危機感は、こうストンとは伝わってこないかもしれない。

言わば古代史ハードボイルド。まあその…頑張って、引き続き精進してくれ作者殿。
こーゆー路線が日本で受け入れられるかどうかはしんどいところだが、英国にはリンゼイ・デイヴィスという、古代っぽすぎないのがウリなローマ帝国ミステリシリーズを書いて人気を博している人だっているのだし(密偵ファルコ!)。
私はまだ見放さないゾ。
望月守宮、無貌伝シリーズ第二弾。

妖怪・ヒトデナシが憑いたホテルは、年に一度“夢の一週間”を演出し、ホテルが認めた人々をもてなす。夢の中ならではの不思議がまかり通る夢境ホテルに起こる事件に挑む望と秋津承一郎。一種の"嵐の山荘"でもあり、ファンタジーでもあり、乱歩チックなくすぐりに満ちた異世界ミステリー・アドベンチャー。

舞台に合わせて“グランド・ホテル”形式というか、様々な脇筋が並行して進むのがイイ。詐欺師と無邪気すぎる弟子、不気味なピエロ、殺し屋、認知症の老婆、野心家の医師と気弱な看護婦、女刑事と“三探偵”、そしてもちろん怪盗・無貌。
三探偵の残る二人(一人は秋津だから)、特にハンニバル・レクターか?てな収牢中探偵近松の強烈な印象とか、ついに出た秋津の奥さん(笑)とかも今後が楽しみ。

世界設定を語るのにも手を取られた一作目より、更に自由に楽しく、ホロリと甘めに仕上がっていて面白かったー!次作へのヒキも既に出されているのでますます待ち遠しい。

それにしても「ソチラニユケズ アトタノム」とかって、なーーんてちゃっかり屋さんなんだ秋津!!!(^^;)
怒涛のごとく番外的短編集も読了。

「!ちがっ……っ!その関節はそっちには曲がらな……っ!」

…って、何度出てきても笑えるフレーズですな。
村上堅一著。

久々に回ってきましたバカテス。
召喚獣で肝試し勝負、という工夫も結構楽しいし、主人公・明久が久々に意地を見せる。恋のライバル・美波と瑞希のそれぞれのがんばり(笑)も清々しい。美波がちょっとリードしていた所に瑞希が反撃してきたところとでもいうか。

ほんと、このバカには癒される…

癒しといえば、スカパーでアニメ「とっても!ラッキーマン」をやってるのを発見。十年以上前のマンガ兼アニメだが、これもホントに癒されるアニメだった。すんごくバカで。
ついつい見てしまった。録画…までするのはバカかな。
長嶋有著。

ボロ山荘にあつまった、いいトシのおとなたち老若男女が、手作り風味なゲームでひたすらあそぶ。最後までこのままなのかな。ナガシマさんならそれもあるかも(まだ半分いってない)。
麻雀パイを使った競馬、サイコロで人間を作る「顔」など、まったりと、しかしフシギで楽しい時間が流れてゆく。
新聞連載時、まとめて読もうと思って結局最後までスルーしてたのだったが、うっかりしてると単行本化されてからもう半年だ。いやはや。

それにしても、「…あるっけ?」という疑問文用の語尾は、ついに日本に根付いてしまったのかしら。初めて聞いた時は方言かと思ったのだがそうでもないような(名古屋弁かと思った。名古屋在住の姪たちが使ってたから)。「…あったっけ?」は昔からあるけど、「あるっけ」はいったいドコで生まれたのかしら。
ナガシマさんまで(というかナガシマさんの作品内でまで)使ってるんじゃもはや無視できないか。使う気はないけど。
こないだ"Directed by John Ford"を見た縁で、借りてみた。著者は実の孫ダン・フォード。もっぱら興味のある映画の部分ばかりを拾い読み。

しかし、もー綺麗さっぱりと出てきませんな、ウィドマーク様については(結局それだ)。
続編「桜下の決闘」が出たってんで、「吉岡清三郎貸腕帳」ちょっと読み返してみたら、読みふけってしまいました。前読んだ時より面白いくらい。
いいなあ、仏頂面のアンチヒーロー、吉岡清三郎。

しかし、なぜ、なぜ!前読んだ時には気がつかなかったんだろう…
最終話に登場する、めちゃめちゃ不気味に極悪ぽい浪人者。
以下引用。
「…額は広く、落ち窪んだ眼窩の狭間に鼻梁が高かった。浅く頬のこけた顔が行燈の光に灰色にくすみ、髑髏に皮一枚をかぶせたように見えた。」

!!!!!

うっこれは…
これが完全に悪役モード入ったリチャード・ウィドマークでなくて何だというのだ。
三下に「由道さん」と声をかけられたりしてなくても気づいてしかるべきな描写。
…しかし記憶にない…こんなわざとらしい名前なのに(そんなん多いな最近…)。
不覚。

…続編にも登場するのかな。出てきてくれるといいな…(^^;)
犬飼六岐(著者)、ますます好きになりました(笑)

またひとシゴト。

2009年11月26日 読書
またひとシゴト終わった。

どうせひとシゴトおわるたび、スグふたシゴトか3シゴトくらい迫ってくるんだけど、それでもちょっとホッとする。むちゃくちゃ眠気が差してきた。

ピーター・ボグダノビッチの「ハリウッド・インプレッション」をつらつら読みながら、次の週末は何の映画をみよっかな~
と、考えるのが嬉しいのであった。ふ…
右田伊佐雄編。
仕事がらみでぱらぱら読んだが結構スゴかった。
いきなり「いーち、にぃ、さぁん、しー、」と数を数えるときの音程が採譜されていたのにはびっくりしたし。たしかにこの節回しは…そして、たとえば東北とか九州とかだとやはりメロディ違うのだろうか。
300余の短い曲(楽譜あり)と歌詞とがシッカリ詰め込まれている。ほんとはまだまだあったらしい。わらべ歌は、とことん貧しい土地では子供も仕事の手伝いばかりで遊ぶ余裕がないので発展しないらしいが(なるほど)、さすがに大阪は江戸とならんで多いらしい…

ちょっとだけ自分の覚えのあるものもあるし(私は兵庫県生まれだが、阪神間なので大阪とほとんど変わらない)、えーウソ違うんじゃない?というのもある。

そして、大阪に多いそうだが、わらべ歌、実はエロい歌詞、というものが案外あり、のけぞりながら読んだりする。しかし労作だ、ホント。

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