火浦功著。

ダンジョン都市の地下十階にある高校に通う、方向音痴のヒロイン女子高生Lv.1。
ダンジョン都市ってなんで、とか聞くべからず。火浦さんだからさ。

角川文庫版は読んだんだけど、新作短編の追加があるらしいときいて出たばかりの再刊にまたまた手を出した。困った。読み直すとやはりバカバカしくて面白いぞ。

しかし火浦功って、昔はかならず図書館では「ヤングコーナー」にあったんだけど、もはやヤングコーナーなんかにおくべきではないような気がするなあ。章題が「ひと夏の経験値」とか「ヒットポイントが150トン」とかって、イマドキの若いモンにわかるわけないような気が…
これはやはり、著者の新作を待ちつつムダにいいトシになってしまった、古くからのファンが読むモノだろうなきっと。
やれやれ。

遍路みち

2011年9月22日 読書
津村節子著。

故・吉村昭の奥様である。夫婦とも何度も芥川賞候補になりながら、奥様だけがすぱっと先に獲っちゃったという。まあ、そのすこしあとから旦那様も別の賞(太宰治賞)を次々とってブレイクしたんだけど。けっこうすごい夫婦だ。

吉村昭に少し興味があったこともあり(「高熱隧道」はよかった)、普段は読まない私小説系のこの短編集を手に取ってみたが、さすがは吉村夫人。いきなり、目を悪くして入院する話で私の肝をグンと冷やした。私も目には自信がないのよ~
それをさておいても、さりげない中にもぐさりとくる迫力が。あ、あなどれん…
鯨統一郎著。

「努力しないで作家になる方法」とは反語。「邪馬台国はどこですか?」などのユーモア・ミステリ(かな?実は読んでない)で知られる著者の、分身とも思える『伊留香総一郎』が、二十年近い投稿と数知れぬ挫折の果てにデビューを果たすまでが、まるで実録のように描かれている。
ひねりも何もない愚直さが、「すごく面白い」てなわけでもないけど結構いっきに読まされた。ちょっとナナメ読みだけど。
ヤマタイコクも今度読んでみようかな?この本とは全然ノリがうんだろうけど。
井上 堅二著。去年でた本がやっとまわってきた(笑)

ひさびさオフ日(外にでなくたっていい)、朝からギャグ小説を読む。ちょっと読んで寝なおそうかと思ったらつい最後まで一気に…

同じようなことやってるな…と思いつつ、テンポがいいのでつい読まされます。疲れてると効く。
姫路さんの捨て身のお色気攻勢に、少しは気付け主人公。ただ、ありえないようなドンカンというのが、この手の話のお約束でもありますしね(^^;)
久々に秀吉の「演劇部」設定が生かされたネタも。
今年はもう9.5まで出ている。続きもはやくよみたいな。
東川篤哉著。
鯉ヶ窪学園探偵部副部長、「霧ヶ峰涼」君の周囲のミステリーなあれこれ。
主人公は推理より野球の方が実はうまかったりするのではという疑惑もあるが、ベタな脱力系ギャグが詰まった、まったりのんびりした感じの学園ミステリ連作でした。
本屋大賞取った前作よりかなりテンポもゆるやか。こっちのほうが本来路線なのかな。あとで調べるとこの高校を舞台にしたものが他に二冊も出てるらしい。

「謎解きはディナーのあとで」の本屋大賞でブレイクしたわけだけど、なんかその反動のようにアマゾンとかで叩かれまくっているのは何なんでしょうね。そこまでヒドいとは思わないんだけどな。軽快なお笑いミステリとして私はそれなりに評価してたんだけど。私、しょーもない話好きだし(笑)
なまじ賞取らないほうが幸せだったのか?本屋大賞のイメージに合わないんだろうね。…いや、話題になって平積み売れ売れ、印税はガバっと増えるから、やっぱ取るほうが幸せか(笑)

すごい傑作とかは思わないけど、ときどき虚をつかれてアハハ、となるので嫌いではないです。最初の話なんかも、登場人物の大半がさりげなく野球関連名字だったんだけど、その中の「宮田」氏が「八時半に用があるから早じまいしよう、と言い出したからうんぬん」というくだりがあり、「あっ八時半の男か!」と、次の日になってから笑っていた私(←古い)。
最初は「そんなにおもしろくない」と感じたのだけど気がついたらどんどん最後まで読んでいました(笑)
若い人より、古い人間のほうが笑えていいかもしれないですね。
樹なつみ著。

ふと思い立ち?図書館にあったぶんを最初から読みなおし中。「LaLa」はだいたい読んでた筈なのだが、ちゃんと最後まで読んでたのかどうかイマイチ自信がなくて…
ほんとは文庫版でなく花とゆめコミックスで読んでます。現在7巻まで。なつかし~(笑)
ハンニバルVSローマ。天才ハンニバルにがしがしやられながらも土俵際で粘り続けるローマ。やがてローマにもスキピオという名将が誕生する…
ある意味では、ローマ人の粘り腰こそ一番すごいものだったのかも。
もちろん戦闘また戦闘の面白さでぐいぐいひきずられる上中下ですが。

そして救国の英雄スキピオを心おきなく弾劾する大カトー、の第二次ポエニ戦役後のくだりは、カエサルの運命の予兆ともいえるんですね。なるほどなあ…
塩野七生著。
久々に戻ってきましたローマ人の物語(笑)

読み残していた「ハンニバル戦記」に戻りました。ハンニバルはなかなか出て来ませんが戦闘また戦闘で十分面白い。それにしても、ポエニ戦役って、強大なローマ対カルタゴ、じゃなんて、強大なカルタゴ対ローマだったんですね。勘違いしてました。しかも、常識に挑戦する、というか、海戦に素人なら素人考えで、なりふり構わず素人に便利な新工夫を導入しちゃったりする柔軟で大胆な古代ローマ人はカッコいいです。
今日のイタリアのイメージとちょっと違うね(^^;)。
榊一郎著。

あとがきで作者がばらしているがごとく、ちょっと棄てプリ(著者の出世作シリーズ)に似てはいるが、一応面白く読めた。「働いたら負けだ」とか言って寝てばかりいる主人公(表紙絵の美少女ではない。男)も、中盤からガシガシガシガシとアクションしてるし(ニンジャみたいな感じだ)。

世界観のごくごく一部しかまだくり出してなさそうだし、とりあえず次巻を楽しみにしとく。

空飛ぶタイヤ

2011年8月18日 読書
池井戸潤著。

「下町ロケット」で直木賞を受賞した著者だが、この「空飛ぶタイヤ」でも既に一度直木賞候補になっている(ちなみにこの年は「受賞なし」)。
走行中のトラックから突然タイヤがはずれて、歩道の母子を直撃するという実際にあった死亡事故をもとにしている。ただしこれはトラックの運転手や運送会社のミスではなく、トラック自体の構造的欠陥が原因だった。

主人公は、小さな運送会社の二代目社長。リコール隠しを貫こうとする自動車会社に押しつぶされそうになりながら、家族のため社員のため、そして家族や社員たちにささえられて、巨大組織を相手に闘う。
平凡な中年男の主人公をヘンにスーパーヒーローにするのでなく、事件にかかわるさまざまな組織の人間を広範囲に描き、次々と打ち寄せる悪意の大波と、へたばりそうになる彼を支える小さな善意の波とのせめぎあいがサスペンスフルで読ませる。
多少は勧善懲悪だが(エンタメだから仕方がない)、面白かった。

須賀しのぶ著。

ハルピンの地で、舞姫としての声望を高めるフミだが、陥穽はすぐそこにあった。生まれて初めての特大スランプをどう打開する?そして彼女の求める愛は…
しばらく間があいたうちに一巻目を少し忘れていて、しかも冒頭は結構ぬるま湯だったのだが100ページも読み進めば、もう著者お得意の疾風怒濤。コバルトではできまいなくらい過酷な運命がヒロインにふりかかるが、須賀ヒロインだから逞しくも健気でしぶといのである。
逞しすぎて、ここぞというラブ・クライマックスが漫才になってしまうがそれもまたヨシ(笑)
ちょっと駆け足だが一気に読んでしまった。

しかし何とまあ思い切った終盤の展開。第三部も予定されているらしいが楽しみだ。
望月守宮著。

うーん。もはやミステリは捨てたというか何と言うか。若い頃の、といっても名探偵がこんなんでいいのか。顔をとられる前からヘタレだったんだ秋津君。いや、それより言ってる事があんまり推理の名に値しないような…一作目がメフィスト賞で伝奇ミステリだったんだけど、どんどんファンタジーになっていってるな。
個人的にはこのシリーズの世界観なかなか面白いので、とりあえず次巻を待っているワタシではあった。
作者は結構ロマンチックが好きなようだ。
もう四巻なんですか。…まだ、読んでないんだけど…

しかし、風呂マエっすか…
何考えとんねんAmazon!とツッコミを入れたくなる。
私は通常版を予約するぞ。ふん。

…でも、出版されたら絶対、コレ買った人の評価は見に行くな(笑)
犬飼六岐著。

おっとりおとなしいヒロインなんて、著者初の試みでは?(笑)
でも囲碁のシーンの緊張感はイイ感じだ。
まだ三番までしか読み進んでいないが、がんばれおりつちゃん!


<追記>
最後まで、なかなかサワヤカにまとまっていてよろしかった。
じわじわと、色々な方面を試していくんですね作者様。自作もおおいに期待♪

ブレイズメス1990

2011年7月28日 読書
海堂尊著。

「ブラックペアン1988」に続くと言える、ぺーぺー医局員世良君視点の話。カジノに君臨し、ブラックジャックみたくカネで手術をする天才外科医天城は強烈なキャラ。ヤング高階ですらタジタジだ。ただ、ラストで妙にいい子になっちゃうのが少しアレレ、かな。尻切れトンボ感もあるのではやいとこハートセンターがどうなるのか続きを書いてほしいものだ。
読んでる間はいつも通り面白いんだけど、今回は「へらりと」笑うことが多くて気になった。天城にへらりは似合わないような気が…
支倉 凍砂著。
行商人ロレンスと賢狼ホロの冒険とロマンスは前巻でしっかり終わってはいるのですが、後日談というかエピローグというか。
それに番外編3篇を合わせての最終巻。

地味な、しかしキッチリした世界観と、経済という地味だけどラノベには見当たらなかったテイストでオリジナリティを出したこのシリーズ、それらしく堅実な最終巻に仕上がっていて良かったです。駆け出しの頃のロレンスやコルからみたロレンス(&ホロ)など、珍しいモノも見られたし、テーマ的にもうまいこと最終巻にふさわしい三篇が揃った感があり、さすがの仕上がり。
前巻が、最後なのにアッサリ味だったーとか思う人もこの17巻で満足することでしょう。

これまで番外的な中短編を乱発しないできた著者の控えめさがいい感じで生きましたね。
谷川 流著。

4年ぶりの続刊。しかも、前巻「涼宮ハルヒの分裂」が大変ハンパなところで終わっていたので、あらためて読みなおしてから「驚愕」にかかったが、うーむ…
イロイロなことに一応ケリはついたが、ちょっと話がだらだらしてんじゃないだろうか。
4年あけてこれというのは、…またされた年月のぶん、ちょっと評価が辛くなっちゃうね(^^;)

新キャラ佐々木さん(表紙)も十分な活躍ができなかった感があるし(ちゃっかり今後も登場しそうなことを書いているが)、面白くないとは言わないが、一冊にまとめてもよかったんじゃないかな。
盛り返したくばなるべく早く続編を書くことだね、著者どの。
「涼宮ハルヒの驚愕」を読む前に涼宮ハルヒ劇場も読んでおこうかと思って借りたが、収穫は火浦功のガルディーンだった。ほんとに、忘れたころに、断片だけ出るんだよなあ。
まあ、完結してくれなんて思わないけど(爆)、時々は新作が出て欲しいガルディーン。レトロギャグのキレのいいことったら♪
(★4つはガルディーン中編「 大怒涛」に!)

…ほんとは半分見た映画の続きを見るべき、いや見たいのだが、体力がもたない。
今日は本気でもう寝よう。
待っててね、ドナルド。

ロマンス

2011年7月12日 読書
柳広司著。

ミステリといえるが、「ジョーカー・ゲーム」のような知恵比べ的なものではなく、「吾輩はシャーロック・ホームズである」の幻想場面をだーっと一冊分繰り広げたような、デカダンとセンチメンタルのミステリーロマンだった。
舞台は昭和8年、鋭い推理力を持つクォーターの美形青年華族が主人公。全編に漂うほろ苦い優雅さと閉塞感に、ほろ酔い気分。ミステリより雰囲気で読ませる作品でした。
賀東招二著。

連続海外ドラマ風の体裁(笑)で続いてるこのシリーズもついに三冊目。
ドラマだってやっぱり3回目くらいからがホントに地に足のついたデキになってくると思うが、この小説もそんな感じ。
先の二冊は以前竹書房から出たのの出しなおしだが今度はオリジナル新作だしね。

地球人と異世界人が共存する(異世界人の大半は“難民”なのだが)、ちょっと特殊な大都会サンテレサ市を舞台に、オッサン刑事と異世界美少女魔剣士がチーム組んで捜査、というそこそこありがちなネタをあえて渋めのハードボイルドタッチで描いていくこのシリーズ。
童顔のティラナが女子高生コスプレでハイスクールに潜入捜査、というウケ狙い?な展開にもかかわらず、適度な渋さ重さと適度な笑い、そしてだんだん定着してきたレギュラー脇役陣の「お約束」会話のお楽しみのバランスも良く、三冊目に来ていよいよあの「フルメタ」作者の作、という納得のハイクォリティが全開となった感あり。

いやー四巻以降がホント楽しみです。にへら。

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