ジュリアン・ストックウィン著。

シリーズ7作目、キッドはついに艦長に。
新米艦長の悪戦苦闘が、いや、本当に面白いです。ストックウィンさん、ここ数冊でめっきり上手くなったねー。この調子なら心から、最後までついてゆくよ。

それにしてもレンジほんとにダメな子になっちゃってまあ…
…シュナイダー…

カッコいいキャラのはずなのに(ナマ身の人間ではないが)。
こんなに壊されてばかりでどーするんだろう…

とりあえずそこそこには笑って読める。三巻目までは読むつもり。

ガンガ・ディン

2009年6月19日 映画
1939年、ジョージ・スティーブンス監督作品。モノクロ。

インド方面に駐屯する英軍三軍曹の冒険と友情。ケイリー・グラント、ダグラス・フェアバンクス・ジュニア、ウォルター・マクラグレンのトリオ(+インド人従者のサム・ジャフェ)は冒険アクションものとしてはいーい感じの布陣である。後に西部劇リメイク「荒野の三軍曹」がシナトラ、ディーン・マーティン、ピーター・ローフォード+サミー・デイヴィス・ジュニアという楽しげなキャストで作られたらしいというので、多分面白いのだろうと期待して録画してあった。タイトルロールのガンガ・ディンが出てくるあたりまで見て中断していたので、とにかく消化しておこうと再チャレンジ。

タフで陽気でお気楽な三軍曹カター(グラント)、バル(フェアバンクス)、マチェスニー(マクラグレン)は、軍務の合間に今日も酒場で大乱闘を展開中。財宝とか秘宝とか一攫千金の噂に目がないカターに、ニセの地図を売りつけた相手を皆でシメているところだった。誰もかれも殺しまくる邪教の殺人集団が跳梁する危険な地域なのだが基本的にお気楽な彼らなのである。ある日、カターはインド人の雑用係ガンガ・ディン(サム・ジャフェ)が密かに正規の兵士に憧れているのを知るが、バカにすることなく話をきいてやり慕われるようになる。

ガンガ・ディンから“黄金の寺院”の噂を聞いたカターは、隊を飛び出して二人(+象)で探しに行くが、実はそこは殺人教集団のアジトで、カターたちも追ってきたバルとマチェスニーも捕まってしまう。当然探しにくるであろう本隊を殲滅しようと殺人集団のインド人たちは待ち伏せを計画。本隊に危機を知らせるべく危険を冒して飛び出したのはガンガ・ディンだった…

ダイナミックなアクション、男同士ならではの明るく大胆な悪ふざけと笑いとどつきあい、象もいるエキゾチックな駐屯軍基地(象かわいい!)、バル(フェアバンクス)が婚約者(ジョーン・フォンティン)に退役を迫られて部隊の名物トリオの存亡の危機、などと、西高東低な世界観など気にせずお気楽に楽しむべき作品なのだが、そして私はたいていそーゆーことは気にしないタイプなのだが、今回はどうも気になって、終盤になるほどちょっとシラけて、見る気がうせてしまった。疲れていたのかも。

ケイリー・グラントはヤンチャでハンサムで可愛いんだけど、最初のニセ地図の「湖に沈んだ財宝船」とか、地中に人知れず埋まっていたものとかならまだしも、黄金の寺院をみて、凄いぞこれで大金持ちに!とか騒いでいるのはどーなんだ。寺院はそこに落ちているんじゃない。建っているんだ。持ち主確認もせず何で財宝認定なんだ。西洋人は東洋にあるものは何でもテイクアウトOKと思っているのか…?(まあ思ってたんでしょうが。大英博物館を見よ)


**ネタバレです**

貧しい半裸のガンガ・ディンがビシッとした服装態度の兵士に憧れるのもまぁ若気の至りとして一応分かるが、自国の仲間でもない英軍のために英雄的な行為をしてくれた彼を二階級特進てのはなんだ。確かに出来る限りの礼は尽くしてるが、白人は誰も死なないのに。生かしたまま英雄にしてやれよ…とも、思ってしまったのでした。生きたままではハリウッドの感覚は心からインド人を持ちあげられないのか?

殺人教集団のリーダーの「お前たち白人はみなあまりに尊大だ」と言う言葉につい深くうなずいてしまった自分は、この映画にはついてゆけませんでした。せめて財宝ネタは省いてほしかったなあ。アクション場面は力入ってるのに残念。
さて「荒野の三軍曹」の方のデキはどうなんだろう。
眠い。
夜更かし続けすぎた。
あと一日!…だが、ほんとに一日で予定のシゴトが終わるのだろうか。
結局土曜もこっそり職場行ってしまったりして。やだなあ(涙)…寝よ。
赤い空
赤い空
赤い空
1952年、ジョセフ・M・ニューマン監督作品。
山岳での森林火災とそれにたちむかう’Smoke Jumpers’ (パラシュートで山火事現場に降下する消防士部隊)を描いたアクション映画。

山火事の困ったところは、まずはその広大さにある。
それでなくてもだだっ広いアメリカのこと、たやすく火元に近づけなければ消防士たちを空輸することになる。とはいえ、山火事を「消す」ことはよほどの初期でなければ難しい。通常、火事の周囲の木を火が届く前に一定切り開いたり地面を掘り返したりして、火がそれ以上燃えられない地帯を作り、その「防火線」の内側で火が燃え尽きるのを待つのが基本らしい。
映画から50年後の今でも(消火剤や防火装備の発達はあれど)、基本はそれほど変わらないようだ。

そのような森林火災専門の空挺部隊が、隊長クリフ・メイスン(リチャード・ウィドマーク)に率いられて今日も燃える山中へと降下して行った。が、天候次第で火の勢いも方向も千変万化する。部隊からの連絡はまもなく途絶し、燃え尽きた森の中から発見されたのは大火傷を負ったクリフ一人のみだった。
死亡した隊員の息子エド(ジェフリー・ハンター)もまた消防士だったが、部下を見捨てて先に逃げたから助かったのではとクリフを疑う。『不可抗力』と部下の死の責任は問われなかったものの、クリフ自身も、猛火と火傷のショックによる記憶障害のため、火勢が急変してからの状況を思い出せず、確信をもって否定することができずに懊悩する。

退院したクリフはまず降下訓練の指導、そして現場にと復帰する。彼の記憶はやがて戻るが、エドの疑いは妄執にまでふくれあがり、共に消火活動中のクリフにツルハシで襲い掛かる。折から炎は樹冠火災(fire crown)にまで成長し、部隊全体も危機にさらされるが…。

字幕なしなので、原作読んどいて正解だったー…
(6月9日日記参照http://13374.diarynote.jp/200906100006243445/)。
筋は全く違うけど、山火事消火のキホンが分かってて見た分、セリフがあまり分からなくても何やってるか見当つきやすい。Fire crown というのは美しい言葉だが森の木のてっぺんが燃え上がると延焼スピードが爆発的に増し、ひじょーにまずいらしいです。建物火災でも天井に火が届いたら即逃げろって聞くしねぇ。猛火の中、地面を掘り返してから火をつける消防士たちの姿に、「おおっ、迎え火をつけているのね!」と理解できたのもうれしかった。なんで迎え火をつけるのかいまだにハッキリわからないが(爆)
…最後のテクは原作には出てこなかったけど、シェルターだよね。

あと、なぜかクリフの上司(リチャード・ブーン)がアライグマを飼ってた。ラスカル!と叫んでしまった。多分、日本人の大半はアライグマを見たらラスカル!と叫ぶと思う。

台詞がどの程度良い出来か悪い出来か、実はわかりません(ヒアリング自信なし)。あんまり「深い」映画じゃない気はする。
しかしテクニカラーの森林火災と消火活動(降下部隊)の描写は目新しくかつ迫力があり、最後には記憶と自信を取り戻した主人公が頼もしく締めてハッピーエンドなので、十二分に楽しめました(笑)

冒頭でいかにも明るく登場しておいて、一転憂愁に沈む、ご贔屓ウィドマーク様がオイシイです。いつも通りめりはりの効いた演技が見ごたえあり。実は繊細さを兼ね備えたタフガイ、というのがまたいいんだなあ、この人。タフガイといっても体格は控えめなので背広着てるとホワイトカラーにしか見えないし、まだかなり若い頃だし素敵です(*^^*)
売り出し中の若手ジェフリー・ハンター君はキリッとした青年だけど次第にもう理屈も何も飛んじゃうのであまりいい役とは言えないよね。メイスン夫人コンスタンス・スミスはお添えモノ状態だけど綺麗で感じが良い。

TV録画のダビングなので画質はイマイチ(いや、見られただけで奇跡!感激!ではあるのですが)、正規版デジタルリマスターDVD出して欲しいです!FOXさんお願い!

とりあえずウィドマーク様がかっこよかったので気前よく★四つ!
神坂一著。

ものすごく、とまでは言いませんが面白い(^^;)
半端にカッコつけな主人公が笑えます。まだまだ序盤な感じだけど。
敵の手のうちが見えてきたから、先が楽しみ…そろそろ三巻目、出ないかな?
ネヴァダ・バー著。

山火事が気になり続けているので、こんな本も借りてみた。
現代の山火事でも、やっぱりシャベルとかチェーンソー(斧より進化はしてるわけだ)とかが主役らしいです。自然の猛威ってすごいね。まだ最初のほうしか読んでいないので(まだ殺人も起こっていない)、感想はあとで。

それより、いっぱいいっぱいいっぱい届いたRWDVDをどうしましょ(*^^*)


≪追記≫何日かかけて読了。割と面白かった、といっても、携帯用防火シェルターの中で死体が見つかる話で、山火事がらみなのが興味深かったわけなので、シリーズの他の作品を読むことはもうないかも(笑)
ヤな奴ルフレール隊長(ベテラン消防士)がちょっと良かった。コトバの反射神経が凄くて、ヒロインは何かというとけちょんけちょんに絶句させられっぱなし。ここまでヤな奴なら、最後は大逆転で仲良くなるのではと思ったがならなかった。残念?
1964年、アンソニー・アスキス監督作品。
意外とほろ苦い後味はテレンス・ラティガンの脚本だから?。
黄色いロールスロイスをめぐる豪華キャストのオムニバス映画で、時代も場所も違えた三つの物語からなる。

(第一話)英国外務省の大物フリントン侯爵(レックス・ハリスン)は愛妻(ジャンヌ・モロー)に贈るべくピカピカの新車を購入する(いわゆるクラシックカーの時代である)。だが、黄色いロールスロイスは彼女と若い愛人(エドマンド・パードム)の情事の場に使われ、傷心の侯爵は車を返品する。
とにかくレックス・ハリスンが素晴らしい。紳士らしく貴族らしく、ぐっと自分を押さえた中に情感のにじむエレガントな演技で魅せる。なんでこんなに素敵で金持ちで自分を大事にしてくれるダンナがいてあんな青二才にころぶのか全く分からない。ジャンヌ・モローってあまり好きじゃないし。…ただ、「全く分からない」と妻自身も思っているらしいのは、オハナシとして納得がいかないでもない。

(第二話)イタリアへ里帰り中のマフィアのボス(ジョージ・C・スコット)はいつもつまらなそうにしている愛人メイ(シャーリー・マクレーン)の機嫌をとるべく、中古だがお高い黄色いロールスロイスを購入するが、抗争の都合で、自分だけ一時帰国することになる。留守番のメイは観光客相手のハンサムなカメラマン(orジゴロ?)、ステファノ(アラン・ドロン)の求愛に次第に心を動かされるが…
マクレーンは「いかにも」な役どころを着実に。スコットは、マフィアだし粗野な男と思いきや、意外な細やかさで彼女に執着しているのだった…めちゃくちゃ意外でした、こんな味わいも出せるとは。そして二人に付き添う運転手兼ボディガードのアート・カーニーがまたいい味。
エドマンド・パードムなんぞに比べれば、まだ20代のアラン・ドロンの可愛い顔といったらそりゃもー天使のようで、女が少々人生を狂わせても無理もないという気がするが、彼の最良の部分は引き出せてない感じ。本来、ちょっと影のある所が彼の魅力の鍵なのに、役柄はご陽気そのものなイタリアンだし…。芸達者揃いのアメリカ・トリオのバランスがぴたりと決まりすぎて、ちょっと彼だけ浮いている。それと、英語、吹替えじゃないかという気がして仕方がない。ドロンはもっといい声じゃなかったかなぁ。

(第三話)さらに数年後。滞欧中の富豪未亡人ゲルダ(イングリッド・バーグマン)は、中古の黄色いロールスロイスを購入し、旧知のユーゴスラヴィア王家を訪ねようとする。そこへ強引に同乗を願い出る謎めいた男ダヴィッチ(オマー・シャリフ)。祖国のために急ぎ帰国しなければならない、と言うが、官憲には追われているようだし?
だが、ユーゴのホテルに投宿した途端に爆撃が。ナチスドイツの侵攻が始まったのだ。運転手も逃げ出す中、ゲルダは意外なオトコマエっぷりを発揮し、自ら車を運転して怪我人を運んだりパルチザンを集結させたり、大冒険の日々の中、ダヴィッチとの恋も燃え上がるが…
妙にサバサバとしたバーグマンは面白いし格好いいが、もう少しダヴィッチが誰なのか教えてくれればいいのに…
あえてさらっと流したラストだが、ちょっと消化不良感をおぼえた。ベタでも三話目くらい、少しはハッピーエンドの予感とか可能性とか語ってほしいのよね。ほろにが三連発だからさ。

スターたちの共演、明るく美しい色彩の観光映画としての魅力(お洒落なクラシカル・ロンドンと緑のカントリーサイド、光溢れるイタリアの遺跡と景観、清々しい東欧の高原…)。
今は存在しないであろうような、のんびりとゴージャス感のある作品だった。
…もしかしたら制作当時でも、ある意味古めかしい作風であったかもしれないが。
神坂一著。

ちょこちょことギャグもはさみつつ、基本はシリアス。そこそこ面白いが、導入篇にすぎないから評価は保留。伏線だらけです。
刑事ブロック
刑事ブロック
刑事ブロック
1973年、デヴィッド・ローウェル・リッチ監督作品。TVムービー。
オフビートな笑いをちりばめたユーモア・サスペンス。
軽量級だが私は結構好きだ。

厳寒のNYで犯罪者を追う刑事ブロック(リチャード・ウィドマーク)。だが、近頃の人心は荒れ果て、ブロックのハードワークも空回りに終わることがしばしば。犯人を逮捕しても裁判所が頼りにならなかったり、道行く人もちっとも協力してくれなかったり、はては上司にまで妙な疑いをかけられたり…ウンザリしたブロックは上司に辞表を叩きつけ、西部へと向かう。実は彼は、引退後のお楽しみにと果樹園(オレンジ畑)を購入していたのだ。引き留める上司に向かい、「ローンで買ったんですよ」と、いかつい顔を崩して嬉しそうに笑うさまがえらく可愛らしい(笑)

ところが。
不動産会社を通して管理人を雇い、何度か追加の資金も送っていたはずなのだが、現地に着いてみると、家も果樹園もかなり荒れていてガックリさせられる(笑)
しかも、ブロックの質問攻めにも悪びれない、陽気を通り越して能天気な管理人アーサー(ヘンリー・ダロウ)は、あっというまに「つい先日起きた、保安官殺しの容疑者No.1だ」と保安官補(マイケル・バーンズ)に引っ立てられていってしまう。何と保安官はブロックの地所で、アーサーの弓矢(彼はインディアン)で殺されたというのだ。
とはいえ、近隣でのアーサーの人格的な評判は意外と良く、「彼が人殺しなんてするわけがない」と皆が口を揃えて言う。引退したはずが、なりゆきでブロックは真犯人探しを始めることになる。若く頼りない保安官補もすっかり彼に頼る気マンマン…いいんですか、「元NYの刑事」ってだけでそんな扱いで(笑)


事件やその謎解き自体はたいしたものではないし、あれほど素晴らしかったウィドマークのアクションの切れも、さすがにこのトシ(60近い)ではちょっと鈍ってきている。しかし、堂にいったタフガイぶりが、下世話な苦労ばかりで嘆息続き…というギャップの可笑しさを十二分に引き出し、なかなかいい味出てると思う。
明らかに、当り役「刑事マディガン」(1968年)を踏まえてのキャラクターとも言えよう。
ちなみに「刑事マディガン」のTV版が、丁度ブロックと同じ頃にオンエアされている。

まあ最後はお約束通り、事件も解決し「もうNYに帰ろっかなー」とか言ってたブロックもこのまま西部に落ち着くかな~というエンディング。
これはパイロット版として作られたものらしいので、評判がよければ、その後連続ドラマ化された筈なのだが、残念ながら連続ドラマにはならなかった。まあ構想としては、探偵役ブロックの周囲を、三枚目だが弓の上手い助手(管理人)、何かと頼ってくる若い保安官補、目の保養かつ時には対立?の隣人の女弁護士(ベス・ブリックエル)、情報収集箇所となる町の中華料理店のオヤジ(なんとパット・モリタだった)などが固めるということだったのかなあ。
惜しいな、と思う…が、よーく考えると、この話の魅力の結構な部分が、NYのタフガイ・コップが慣れない西部の果樹園で、というギャップ部分にあると思うので、西部に根付いてなじんでしまったら、あとは何をやるのか?魅せる部分は逆に減ってしまうかも…そういうことか。
まあ、私はそれでもオンエアされてたらぜひ見たいですけどね。西部劇でもならしたウィドマーク様ですから。なぜか「刑事ブロック」の中でも乗馬シーンがちょっとありました。ただ、都会から来た刑事って普通いきなり馬に乗れるものかしらん。マクロードじゃあるまいし…

原題が"Block’s Last Case"。タイトル通り、これきりになってしまった、でもそれなりに楽しめた一作であった。昔録ったTV録画をダビングしつつ再見。CM抜いたら70分程…IMDbで見ると100分だから結構カットもあったようだ。また、当然吹き替えなわけだが、…やっぱり大塚周夫さん、毎回いい仕事してます…
ジョージ・R.スチュワート著、半端にデータはあるようですが、もちろん絶版。

山火事と戦う人々の姿を描いた小説。映画「赤い空」の原作と聞き手を出しました。話は全然違うとかですが、半世紀以上前の消防事情それも山火事となると、映画を見る前に知っておいていいだろうと。

なにせ山火事です。しかもアメリカですから、だだっぴろいことこの上なしですから、火事に気付いても火元に近づくだけでも大変。消防士(といっても消火器は持たない)を空輸したりするのですが、そもそも山火事というのは火をかけて消すとかではなく、とにかく燃えている周囲をだーーーーーっと斧やシャベルで切り開いて、火事が燃えようにも燃えられない地帯「防火線」をひたすら一定幅で作っていく、もちろんなるべくムダがないように(余裕を持って作ると当然延焼面積は増える)、でも火に追いつかれて防火線を閉じ切れなかったらアウト、しかし地形天候風向きなど計算を狂わせる要素も色々あって…というところで、実に原始的で難しい作業であったようです。山火事というのは、基本的に「消す」ものでなく「燃え尽きてもらう」ものらしい…少なくとも半世紀前は。今はもう少しなんとか技術の進歩があるのだろうかしらん。

山中に点在する監視所の娘、広大な山林をカバーする山林監視局の面々 気象予報を流す気象局員、トラクターの運転手、臨時雇いで消火活動に参加したホームレスさんたち、火にまかれそうになる野生動物や、火事そのものや、とにかくありとあらゆる関係者の視点を転々とした語り口は、あまり身近ではない大規模な山火事と、それとの戦いをパノラマ的に描き出してなかなか面白かった。
あともう少し、訳文がわかりやすければ…。まぁ、50年代の邦訳に元々期待はあまりしていませんでしたが。そして、時々意味不明な訳語があるので、解説とか書いておいてくれたらもっとよかったのに…

「出動係」って、何なのかしら…。
そして、防火線をうまく引き切れたら、「迎え火」というのをつけるらしいんですが、これって何のためにつけるのかしら…。無事引けた防火線の内側から、燃えている火に「向けて」、迎撃のために火を放つらしいんですが、いまいちよくわからん…
手前から燃えた部分は、もう何もかも燃え尽きちゃってそれ以上燃えなくなるからかしら。でもこれもかなり最後まで来たあたりで「そういうことかな?」と思いついたことだったので、困ったことです(しかも間違っている可能性もある)。

まーねー、半世紀以上前の本だしねー、しょせん。珍しいテーマなのでそれなりに一気に読んだのですが、興味ない人には辛いかも。
新訳注釈つきで出し直してといっても無理かしら。
いまいちテンションが上がらない。
まぁサイトも小さく更新したし、懸案の雑誌記事スキャンも進めたし、ダビングした番組のCM抜きもやったし、昼寝もしたし、いろいろしているようだが、明日のオシゴトが予定通りにスムーズに片付くかどうかちょっと心配なせいかもしれない。
…あ、しばらくゲームしていないから調子がヘンなのだろうか(違)

…でも来週には取りに来て、と、先様に言っちゃったしなぁ。まだ出来てないのに(笑)
あえて自ら退路を断ち、背水の陣に己を追いこむ私…。って、キャラに合ってないゾ(爆)
DVDを買い来て、というのもいいと思うのだがそれだと寝不足がなおらない(T^T)

なんでこんなに仕事が片付かないんだろう。要領ここまで悪かったっけ?
せめて今日は今日中にねようっと。
支倉凍砂著。11冊目はまた中短編集。

まあそれなり、の面白さ。番外編より先へすすんでほしいな。
柳広司著。

太平洋戦争終結直後の東京。
人探しのため、東京へやってきた元軍人の“わたし”フェアフィールドは、便宜をはかってやる見返りに…と、スガモ・プリズンに収監された戦犯キジマの失われた記憶を取り戻す手伝いを依頼される。戦時中の記憶は失っているが、しかし素晴らしい推理力を持つキジマとフェアフィールドは、プリズン内で起きた密室殺人事件を、協力して追うことになる。
プリズンの外には、キジマの無実を信じ、訴える兄妹(親友と婚約者)がいる。フェアフィールドは彼らの調査にも協力するようになるのだが…

タイトルだけでも想像がつくだろうけれど、ものすごく暗く重いテーマがひそんでいる物語なのだが、とにかく読んでいる間、いくつもの謎、しかも時間軸をずらして並行した謎を扱う、重層的なミステリ構造が面白くて面白くてページを繰る手がとまらないー!
ある意味、えっそこまで伏線だったのー…と、呆然とするほどのめくるめくエンディングまで、ノンストップです。書きたいけど、何か書くとこれから読む人の邪魔になりそうでなんにも書けないー!

やっぱりうまいな柳さん…ほんっとに、精巧きわまりない作品です。オススメ。
A Talent for Loving(1969年) /別名 Gun Crazy、もしくは「西部野郎奮戦記」
1969年、リチャード・クワイン監督作品。日本未公開だが「西部野郎奮戦記」なる意味不明なタイトルで、TV放映済。昔ビデオに録ったのをDVDにダビングがてら再見しました。コメディタッチの西部劇、というよりも、西部劇の枠を使ったドタバタ喜劇。

ギャンブラーのメイジャー(リチャード・ウィドマーク)は、ポーカーの勝負で、見るからにオマヌケな「メキシコ解放軍の」モリーナ将軍(トポル)をやっつけて、メキシコ近辺の広大な土地の権利書を手に入れる。
現地へ赴いたメイジャーは、土地の元々の持ち主で富豪のドン・ホセ(シーザー・ロメロ)の屋敷で大いに歓待される。ドン・ホセにはやけに色っぽい美人の娘マリアがおり、猛烈なお色気攻勢と父親の後押しで、あれよあれよというまにメイジャーは彼の娘婿におさまってしまうことに。実は彼らには秘密(というほどではないが)があった。代々「スーパー絶倫&好色」の血筋なために、娘が色気づくがはやいかソッチのトラブルを起こさぬ内にソク結婚させてしまおうとしていたのだ。

さて、年月が流れ、いろいろあって(モリーナ将軍との腐れ縁的確執とか)今度はメイジャーが、マリアの血(笑)を色濃く引く自分の娘を、いかに手早く誰に嫁がせるかで悩む番になる…。後半は次の世代の混戦恋模様がメインともいえる。ま、終盤のアクション場面ではメイジャーが再びオトナの貫録を見せてくれるのだが。

西部劇には違いないけれど、本質はナンセンス・コメディ。
タフなギャンブラー⇒大牧場主への華麗な転身をとげるウィドマークが、若い娘の猛アタックに振り回されたり、父としての責務に悩む場面など笑わせられます。花婿には既にトウがたってる年代の彼ですが、それでも序盤が明らかに後半より一定若く見える(表情とかいろいろで)のもさすがです。が、ライバル的存在のトポルがどうにも泥臭いのが痛いよなぁ…。
そこをかろうじて、シーザー・ロメロの威厳あるエロオヤジぶりが救ってるか(笑)
この父親も屋敷中に美人家庭教師(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)や美人メイドを多数配置して血筋に恥じない生活をしてるくさいですが。

女性陣は全員強くて好色だし、終盤出てくるモミアゲ君とか、西部劇だが、もう時代が変わったなぁ(世の中ビートルズの時代に入ってる!)というのがよくわかる作品。
ナンセンス系のお色気コメディが好きな人なら合うかも。

かろうじて輸入盤VHSが、日本のAmazonでも買えそうなので一応リンク書いときます。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/6301972600?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=6301972600

≪追記≫CMカットを行ったらなんと70分強におさまってしまった。しかし、IMDb等で見ると、この映画は本来110分あったらしい。
うわー…これで評価なんかしちゃいけないなぁ。昔はよくあることだったが酷い。少ぅし、米国盤VHSが気になり始めました(爆)
ネコバトル
一軒家に越してから、ネコ害に時々逢うようになった。特にゴミ袋をやぶかれると、こちらは共働きなのでどうにも辛い。出勤間際に、ほんの少し前に出したゴミ袋がもう裂かれているのに気づいたりすると、処置していると遅刻する(T^T)
袋を二重にしても必ずしも安心できない…透明袋になってから更に酷くなった気もする。
他自治体のゴミ置き場で、ゴミ袋の山にネットをかけているのを見たことがあるが、個人宅でなかなかそれは…どこで小単位で買えるかわからない。


そんな時、近所の百均で「ねこブロック」なるモノを見かけた。プラスチックでトゲがついてて、ネコがその上を歩きたがらないのでネコよけになる!というモノだ。安かったので3セット買ってみる(下リンクの見本は小さい四枚セットだが、私は大きく細長い二枚セットを買った)。

http://item.rakuten.co.jp/hyakuemon/yamada-623/

ネットで感想を探すと「効いたみたい」と「効かない。ネコが上を歩いてた」各一件。効いてる例はウチのような生ゴミじゃないからな気が。んじゃ、ゴミ袋の回りに平面で置くだけじゃ期待薄だろうと、繋ぎ合わせてネット状にしてゴミ袋のすそ部分にカバーとして立体設置。
ゴミ収集の人は、ひょいと袋を持って行ける。ねこブロックはひもをつけてフェンスに引っ掛けておけば、ゴミとは思われない筈だし、ゴミ出し日以外は片付けておける。
これでどうだッ!

マンションに住んでたころはこんな苦労なかったんだけどね…
忙しい共働きにはマンションもいいよ、と思う今日この頃でした。


<追記>

三か月後の追記。ごみ袋の裏部分にもブロックがカバーするようぐるりと設置で完璧。
ばっちり効いてるようデス(^-^)v
海堂尊著。

なつかしのグッチー先生と、いつになく仕事してる感の強い白鳥。二人を久々に最前面に押し立てた作品。内容のほとんどが会議や会議の根回しだが(現場の医療状況について危機感を持ち小説内に毎回ばんばん盛り込もうという著者なので)、ハッキリ言ってそういうのが一番うまいと思うわ、このヒト。いや、発言や討議がこんなに面白おかしいわけはないはずだが、シニカルな笑いたっぷりに面白く書けてて読まされちゃう。不毛さ漂うお役人の会議をエンタメにできるというのは異能だ。ついつい、夜更かししてしまった(爆)

しかし坂田局長。第一人称が「ワテ」で語尾が「でんがな」な厚労省の役人て、さすがにありえませんから、ソレ。(お笑い系の業種ならまだしも…しかし坂田寛平って、ネーミングからして…うう。)
醒めるんで、このヒトだけは、なんとかしてほし~(T^T)
1963年、フィリップ・ド・ブロカ監督作品(仏)。

若きジャン=ポール・ベルモンドの、のーてんきアクション・コメディの傑作。
なんの気負い気張りもなく、もの凄いスピーディでスリリングなアクションをやっちゃう(しかもスタントはほとんど使わないで自分でやるのが趣味らしい)この人の稀有なノリは、テンパり具合か魅力なウィドマーク・アクションとはある意味対極。だがこれもまた素晴らしい。
ヨレヨレな時にヘラヘラっと見るのに最適な映画のひとつ。
大昔のTV録画が発掘されたので再見。山田康雄吹き替えも涙が出るほど懐かしいです(笑)

兵役についてるアドリアン(ベルモンド)は、一週間の休暇でパリへ、そして恋人アグネス(フランソワーズ・ドルレアック)の元に戻ってきた。時を同じくして、パリの博物館に謎の賊が侵入し、とある遺跡の発掘品が盗まれたうえ、考古学者であるアグネスの父親が殺害される事件が発生。そして、アグネスもまた、アドリアンのほんの鼻先で突然誘拐されてしまう。
やがて、賊の狙いは密林に隠された秘宝であるとわかるのだが…

だが、見るべきものはそんな筋立てではない。
二階の窓から下を見下ろすと、恋人が車に引っ張り込まれるのが見えた!と思うが早いか、ベルモンドはもう窓から飛び降り走り出している。誰かが止めたバイクを見るや、ヤニワにまたがり賊の車を追跡開始。薬で朦朧となった彼女が悪者たちにつれられ空港の搭乗ゲートをくぐるのを見ると、アドリアンも他人のキップで(オイ)手近の飛行機に飛び乗ってしまう。ここまでの一気呵成のリズムが凄すぎる。
ハッキリ言って他人の迷惑かえりみず、目についた手段を一瞬の逡巡も躊躇もなく、頭すら使わない反射行動か、というイキオイで徒手空拳のまま疾走するベルモンド。しかも、デッド・パンに近い飄々たる表情を殆ど崩さないままの猛追である(他に手がない時は即時にC調な口から出まかせで切り抜けることもあるが)。
とことんマンガチックで、それだけに重厚感や切迫感は薄めなアクションなのだが、こうも徹底的にスピーディに手数の多さを見せつけられると、逆に一層突き抜けたモノに感じられる。

街で、浜辺で、道路で、工事現場で(カイジーーー!)、海で、空で、山で、密林で、汗一つかいてないような軽やかさで疾走するベルモンドは、リアルをぽんっと飛び越えたファンタジックな魅力を発散し続けるのだが、時たま追跡モードを解いた際は、へらりとノンシャランな「だらけた兄ちゃん」で、そのへんのメリハリもいい感じ。フランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブのお姉さんですね)も、ただのさらわれ役でなく、助け出されて正気に戻ると強気でマイペース、献身的?に追ってきた恋人を引っ張り回す、でも凄くオシャレな女の子。危機感のカケラもなくブラジルの子供たちと踊りまくってたり。いいコンビです。
ちょっと唖然な大逆転の待つラストまで、リオの陽光と賑やかな音楽にもいろどられた、ひたすら楽しさいっぱいの作品でした。
飄々として、どこか妙ちきりんな、アメリカ映画にはないような不思議なおかしみがあるんだなあ。フランス映画って、ゲイジュツ的であまり興味はないのだけれど、たまにこの作品のように妙なユーモアを秘めたヘンな作品があるので、本当はあなどれないのであった(違)

「マンガチック」という路線を、とことんファッショナブルに料理してのけたフィリップ・ド・ブロカ監督とベルモンドに乾杯。
「男」シリーズ、「カトマンズの男」とか「コニャックの男」とか、みなこの路線で大好きでした。あ、「コニャック」は監督違いか。しかしDVD未発売なのはホントに理解できません。


なぜかサントラの画像だけあったので貼っておく。
サントラは「カトマンズの男」「リオの男」カップリングらしいです。このカップリングでDVD出せばいいのに…。そして、山田康雄さん吹替バージョンもどこかに残ってたら、ちゃんと収録しておけば絶対売れる!と思うんだけどな。うううう。
高瀬彼方著。

愛する「カラミティナイト」のリライト版2巻目(1巻目の日記はhttp://13374.diarynote.jp/200901230912408544/)。元バージョン1巻目の後半にあたる…
やっぱり忍は男なほうがよかったなー、ランスロット男なほうがいいなーとは思うが、もともとの作品が大好きなのでやっぱり熱中して読めてしまった。なんだか必殺技が増えていたぞ。
でもせっかくGA文庫で新たに出直し始めたのに、続きが出ないと決まったって…なんでかな~。私も自腹で買ったのに(自腹は珍しい)。

元のハルキ版は★5つだが、これはちょっと採点不能…
いつか電子出版で、続きが出たら読みます。電子出版でハルキ版の続きを出してくれるかもしれないらしいってことだから。

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