茗荷谷の猫

2011年1月24日 読書
木内昇著。今月直木賞をとった人の旧作(笑)

明治からオリンピック前あたりまでの東京を舞台に、ごくゆるやかなつながりを背後に垣間見せる連作短編集。
なるほど上手いし読ませます。

何かに魅入られたり夢中になって世間から浮いたりしてしまう人がびみょーに不幸になりがち、な話が続くなか、何もしたくない誰ともかかわらずに静かにぼーっとしてたいと思っていると、何故か好意的な他人がやたら寄ってきてしまって困る男の「隠れる」が楽しかった。大好きな母の老いについ苛立ってしまう娘の「てのひら」も、説得力十分(辛い話だけど…)。でも、追いかけて読むと哀しくなるかもなー、この作風…


<おまけ>
今日は、ガン検診にお出掛けし、待ち時間に木内昇を読んでいた。
受付で、「ご一緒にインフルエンザ予防接種もいかがですか」と言われたので、マクドみたいだな…と思いつつ、ついでに受けてきた(笑)
病院(というか、検診専用施設?結核予防会は)のノリも変わったもんだなあ。
1940年、キャロル・リード監督作品。モノクロ。
日本未公開の英国製スパイ・サスペンス・アクション。

ポーランド、ズデーテン、チェコスロヴァキアへと、次々とナチスドイツの魔手が伸び、風雲急を告げる大戦前夜の欧州。軍用技術を渡すまいとドイツ軍の鼻先から逃亡したチェコの科学者は英国に匿われるが、その娘アンナ(マーガレット・ロックウッド)は間に合わず強制収容所に送られる。アンナは同じように収容所に囚われた青年カール(ポール・ヘンリード)に助けられて脱走し、英国の父を探すが、それも実はドイツ軍の罠だった。
父娘はまとめて拉致されるが、二人を奪回するため英国情報部のランドール(レックス・ハリスン)は命がけでドイツに潜入する。ミュンヘン行きの列車で護送される二人と、ドイツ軍人に化けたランドール。英独スパイの攻防の行方は…。

実写フィルムの転用くさい映像で幕を開ける時局的スリラー。あれよあれよという間にドイツ侵攻、亡命の段取り、娘は逮捕、脱走計画…と、大変テンポよく物語は進んでゆく。そして、ストーリーの一大転回点、「ドイツ軍の罠」がパッと観客の目にひらける、眼科医でのシークェンスが実に素敵だ。なんというか、脚本家(シドニー・ギリアット)ノッて書いてるよなあ、この工夫(身元確認の工夫)…という気がする。スパイVSスパイ、狐と狸の化かしあいは、あまり細かくストーリーを書いてはこれから見る人につまらないだろうからグッとこらえるが、まだ若くてひょろひょろしたハリスンの、めりはりの効いた化けっぷりと演技は何とも楽しい(ユルそうなセーター姿、キレ者っぽいスーツ姿、タカビーなドイツ軍人姿…)。しかし顔があまりに長いせいか、あのカッコいいドイツ軍服が意外に似合っていないのが笑える。まあ、いかにも英国紳士らしいスターというのは、たいていドイツ軍服が似合わないんだけど(笑)

これまた若々しい、ポール・ヘンリードの端正さも対照的でイイ。
だがやっぱりお楽しみは「バルカン超特急」以来再登場のクリケット狂二人組、チャータース(ベイジル・ラドフォード)&カルディコット(ノーントン・ウェイン)の、ちょっと大きくなった存在感!
いきなりこの映画で見ると、そりゃご都合主義的に頼もしすぎるんじゃ、と思う向きもあるでしょうが、「バルカン…」終盤の意外な(笑)頼もしさを知っていると、素直に楽しめちゃいます。かなり主体的に、ハリスンの正体をめぐるサスペンスを引っ張ったり、アクションで助太刀したり、大活躍。ああ、なんだか他のチャータース&カルディコット映画が見たくなってきてしまった…ソレだけで見るとつまんないのかもしれないけれど(あるんですよ!http://13374.diarynote.jp/201101172358341619/参照)。

もともと身元を偽ったり誤魔化したりする系のサスペンスやコメディが大好きなので(「熱砂の秘密」とか)、この映画はむちゃくちゃツボにハマって楽しめました!
異論はあるかもしれませんが、ねちこいヒッチコック・スタイルのサスペンスより、スピーディなこちらの方が私は好みです。
「マイ・フェア・レディ」のレシタティヴォ・スタイルではなく割と普通に流行歌を歌ってみせるハリスンが見れたのもちょっと珍しくて嬉しかった。いやー、ジュネス企画よありがとう。レンタルの順番を待ってたらこんなに見るのが遅れましたが、これなら買ってもよかったかも。
同じギリアットの「絶壁の彼方に」もDVD化して欲しいなあ…これも凄く物語が面白いと聞いているのだけど。
佐々原史緒著。

わーい、二巻目あったんだー。
やっぱりなかなか読ませる、テンポのよいスポーツ小説ラノベでした。登場人物が多い割に、まずまずうまく交通整理されてるし。、
二冊だけで終わるなんて惜しいと思うんだけどなあ…
続きがないのが悔しいので★三つどまり…?

この著者、ちょっと他にもチェックしてみようっと。
1938年、ハワード・ホークス監督作品。モノクロ。

所謂スクリューボール・コメディの中でもぶっとんだモノのひとつだとは聞いていた。まあ、そのとおりだ。
ナサケナイ眼鏡をかけた動物学者(古生物学者?)ケイリー・グラントは、あと骨一本届けば(既に発送中!)研究中の恐竜の骨の復元が完成し、かつ助手のアリスとも明日は結婚式…という、忙しくもめでたい状況にある。ところが、博物館への寄付を頼もうと接待ゴルフに出掛けた先で、超マイペースなじゃじゃ馬娘キャサリン・ヘップバーンに出会ったばかりに、彼の運命はジェットコースター状態に…。
接待どころか、車は壊され服は破かれ泥だらけになり、彼女に足止めを食らう間に大事な恐竜の骨は犬に盗まれ、逃げたペットの豹探しに巻き込まれ、はては犯罪者に間違われ…

ちょっと男が気に入ったからと、男にシャワーを薦めておいてその間に彼の服をクリーニングに出す凶悪なまでの天然娘は凄い。何をしでかしても全く悪びれないのである。まあそれでも、「新婚旅行より研究の方が大事でしょ」と言ってはばからない婚約者よりはいいかなあ。

若いキャサリン・ヘップバーンはとても細くて、ファニー・フェイスだけど可愛くて、なんだかかなり現代的なツラガマエなのが印象的。
だが何といっても、ケイリー・グラントだなあ。

キザで洒脱に女の子を引っ張りまわす役もうまいが、とことん引っ張りまわされるオトボケぶりはもう最高に魅力的。メガネはずすとハンサムという少女マンガ的お約束も生身でやれるんだもんなあ。

とはいえ、うーん…
やっぱり、ハワード・ホークスのコメディって、何かものたらない気がする私。
世間的評価は凄く高いんですが、「ヒズ・ガール・フライデー」「モンキー・ビジネス」「赤ちゃん教育」すべて"何かがものたらない…"と思ってしまった私はたぶんホークスコメディ音痴です(西部劇は好きだ!)。ケイリー・グラントは常に魅力的なんだけど。
豹もなかなか芸達者だった。

コメディは好きですし、スクリューボール・コメディのようなぶっとんだものにも大いに理解があるつもりなんですが…プレストン・スタージェスもルビッチも大笑いできるんだけど。なんでかな。

哄う合戦屋

2011年1月19日 読書
北沢秋著。

槍をとっては並ぶものなき武勇の豪傑として名をなしながら、実はその武勇を上回る軍才を持ち、それを生かして天下を取る、いや「見込んだ主に天下を取らせる」ことが夢という信濃の浪人、石堂一徹。だがこの天才は、人心を引き寄せることだけは徹底的に不得手だった。
これぞと見込んだ温厚で人望厚い小領主も、彼にぐいぐいと引き上げられてゆくうち、逆に生理的な嫌悪感すら抱くようになる。確かに、"人の為に"軍才を発揮しているように見せても、己の大きな夢のために主を振り回している(勝ち戦続きであるとはいえ)のは否めない。時代を先取りした理性的な軍略は並の武将には理解され難いが、それだけでないのだ。

そんな中で、唯一人彼の繊細な一面を感じ取り、素直な好意を寄せてくれるのは、主が溺愛する愛娘・若葉だったが…

新人さんのネオ歴史小説。機略縦横、一徹の力で遠藤家がとんとん拍子?に勝ち進む前半は特に面白い。後半はなかなか幸せになれそうにない二人の愛のゆくえ、これもじんわりくる。

ただ、ちょっとだけマンガチックかなー。
ちょっとダーク系入ったヒーローはまあよいとして、ちょっとヒロインが…天然なんだけど、実は演技も入ってるという"器の大きすぎるくらいのヒロイン"という描写が少しクドい(笑)
歴史小説らしい文章はまあまあ出来てるんだけどね、まあ、筆が滑ったというのだろうか。
★4に近い3かな。惜しかった。次回作には期待できます☆

バルカン超特急

2011年1月17日 映画
1938年、アルフレッド・ヒッチコック監督作品。モノクロ。

中欧の小国、バンドリカ。
雪崩で国際列車のダイヤは乱れ、出国予定の人々もホテルも混乱の極み。
そんなコミカルな描写のなか、翌朝には列車に乗り合わせることになる英国人たちが次々と紹介されていく。結婚式を間近に控えた富豪令嬢、遅れに苛立つ紳士二人組、訳ありげなカップル、人のよさそうなオバサン、風変わりで図々しいがスマートな青年…

一夜明けて、令嬢アイリス(マーガレット・ロックウッド)は駅で頭を打ち少々具合が悪いところを家庭教師のミス・フロイ(デイム・メイ・ウィッティ)に介護されつつ乗車する。が、うたたねの後気づくと彼女はどこにもいない。それどころか他の乗客たちも食堂車のボーイも、ミス・フロイなど見ていないと主張する。乗り合わせた医師(ポール・ルーカス)も"頭の負傷のための錯覚・幻覚でしょう"と一蹴するが、納得できない彼女は、昨夜ケンカしたギルバート(マイケル・レッドグレーブ)と共に車内の捜索に乗り出す。
なぜミス・フロイは消えたのか、それを隠すのは何故なのか。
それが判明する頃には、英国人たちは力を合わせて国外脱出のため戦わねばならなくなる。
コメディ・タッチのスパイ・サスペンス/アドヴェンチャー。

ヒッチコック作品の中では明るく曇りの少ない作品だと思う。渡米前の作品なのでキャスティングは地味めだし、英国魂マンセーな筋立てだが、登場人物の個性描写や伏線が丁寧に散りばめられていて感じよく仕上がっている。
謀略に加担して嘘をつく人物もいれば、たまたま自分たちの都合に合致して「知らない」と突き放す人物もいて納得の展開。「誰に聞いても"知らない"と返ってくる」状況というのは近年にも「フライトプラン」があるが、アレは、犯人以外の人々まで"知らない"と答えているのをきちんと説明付けないまま最後まで突っ走るのでちょっと呆れた。
まあ、この「バルカン超特急」にも、終盤あと一人車内にザコ敵が残ってたのにどうなったんだー、てな省略?があるけれど、こちらはまだ些細なことと言える。

日本公開までも半世紀かかった作品だが、その時以来ン十年ぶりの再見である。実はこの映画が見たいというよりは(私はあまりヒッチコック好きではない)、クリケットマニアの二人組紳士を再見したかったのだった。なぜかって?最近、「ミュンヘンへの夜行列車」なる、同じ脚本家の手によるサスペンス映画の日本版DVDが出たからだ。
ロンドンでの試合に間に合いたくて帰国を急いでいたこの二人組(役名はチャータース&カルディコット)、よほど観客にウケたらしく、なんと、「ミュンヘン…」の中にも同じ二人組が登場するそうなのだ(笑)

クリケット命のバカ二人と思いきや、意外に危機に際しては"使える"彼ら、土壇場で肝の据わった所を見せる彼らは、頼もしきジョン・ブル魂の具現でもあろう。ウケたというのもわからんでもない…いい味だしてましたよ、ノーントン・ウェイン&ベイジル・ラドフォード。
ちなみにこの二人組、Imdbで見てみると、驚いたことに他にも2本の映画に同じキャストで登場しているらしい。"Millions Like Us"とか"Crook’s Tour"とか、日本未公開くさいですが(前者のみシドニー・ギリアット監督作品。だが後者では二人組が主役らしい)。ラジオドラマにも登場したり、あろうことか、80年代にはズバリ"Charters & Caldicott"というTVシリーズまで作られた模様。さすがにコレは別の人が演じてるようですが、すごいなあ…

凄腕スパイが一見おっとり人のよさげなオバサン、てのもイギリス的でイイ感じ。
ヒロインはキリっとした美人さんで、ヒーロー・レッドグレーブは口ひげが何だかちょっとエロール・フリンを連想する。図々しいめのヤンチャ青年ぶりが連想させるのかなあ。フリンだとさらにいいかもなあ(取っ組み合いシーンでアッサリ相手をのしてしまってサスペンス映画がアクション映画になってしまいそうですが)。

「バルカン超特急」の明るい楽しさは、ヒッチ先生より案外脚本シドニー・ギリアットの力によるものなのかもしれない(なにせ私はあまりヒッチ…以下略)。

「ミュンヘン…」の監督は、これも名匠キャロル・リード。それよりなにより主演がレックス・ハリスン。もうすぐ届く予定なんですが、楽しみです…☆

ボックス!

2011年1月15日 読書
百田尚樹著。

スポーツ小説週間継続中です。
大阪のとある高校のボクシング部。
才能のままに勝ちまくる、やんちゃな悪童・鏑矢。その幼馴染で「強くなりたい」と突然ボクシング部入りを決意したおとなしい優等生・木樽。

主として、顧問の若い女教師高津(ボクシングには素人)と初心者の木樽、この二人の視点を行き来しながら話が進む。鏑矢はライバルの"超高校級"ボクサー稲村を倒せるのか?そして木樽は本当に「強く」なれるのか…

文章はあまりうまくない気がする。が、愚直なまでの努力を重ねていく木樽や、試合の場面などにはその朴訥さがむしろ良い感じ。あさのあつこあたりの対極で、…しかし、男の子はむしろこちらのほうがリアルなんだろうな(もちろんあさのあつこには別のよさがあるが…)。

また、美人女教師の描き方はイマイチ魅力的でない。いかにもオッサンが書いた美人女教師、なような…だが、それ以外のキャラクター、特にボクシングにかかわる大人の男性たちはいい。監督たちもだし、ジムの経営者曾我部の辛味の効いた描写は印象的。ボクシングという「スポーツ」に見え隠れする狂気にたいして著者のアンビバレンツな視線が感じられて、青春小説というよりは大人の味わい?
バカであぶなっかしい鏑矢の魅力はむしろ終盤に味が出てくるので、物語のメインはキマジメな木樽か。だが、対照的な性格の二人の友情は大変にすがすがしい。
エピローグも、私は好きだ。納得の流れだし、考え抜かれたバランス?のイイ結末。

百田尚樹、アラはあるが読ませます。売れっ子なだけはあるな。
佐々原史緒著。
やや珍しい、ラクロスを扱ったスポーツ小説。

女子校で長年優等生の猫をかぶってきた広海。つむじ風のような転校生千果に強引に誘われて、消滅寸前のラクロス部(もはや同好会に格落ちしている)に引きずり込まれる…

けっこうイイ感じにまとまってる。千果と、彼女が集めた新部員たちは皆面白おかしく描けているし、主人公にも、心に引っかかってきたトゲを克服して一歩前進、のここちよい構成。軽いけどけっこー満足。ただ、部員数がまだ完全には足りていないので、…続きはないのかな?

いやぁ、拾い物でしたねえ(笑)
海堂尊著。

「螺鈿迷宮」から直につながっているだけあってか?またまた、リアリティよりロマンチック優先のショタラヴ話~(逝)

いや、結構好きなんですけどね、こういうの。でも、そんなんできるの?な事態も多いし、名前の分からない医務官のことが気になるのがちょっと残念。それとも何かほかの話にバッチリ登場してる誰かさんなんでしょうか、このヒト…。

でも読んでる間は楽しかったので、★三つを下らせるわけにはいかないなあ。心情的には四つ。

友を選ばば

2011年1月11日 読書
荒山 徹著。

タイトルを見ればピンとくる人はピンとくる。「三銃士」のダルタニャンがなんと、東洋の隻眼剣士ウィロウリヴィングと…
はぁ?ウィロウリヴィング?(笑)
この人初読みなんですが、この著者にとっても初の外国もの(欧米モノ。朝鮮がらみの時代モノは色々書いているような?)らしいです。

そのせいかどうなのかエドマンド・ポーツネル男爵(ポーの一族かよ?エドガーじゃないにしろ)とか、ビャン・ピエール・メルビル(映画監督?)とか、看守のルレタビーユ(探偵じゃないのか?)とか、スカーレット・ルピナス団とか(スカーレット・ピンパネルか??)ってのも含めて、時々ネーミングで「えーと…」とよろけそうになっちゃったりするのですが、できるだけ無視して気楽に読めれば、それなりに楽しめる欧州伝奇冒険譚なようです。…多分…

なんか、ジュブナイルみたいな軽い話でした。ネタは派手、波乱万丈なんだけど。
1940年、アルフレッド・ヒッチコック監督作品。モノクロ。BS録画で視聴。

米国の新聞記者ジョーンズ(ジョエル・マクリー)は、海外特派員として戦争の気配漂う欧州へ派遣される。まずはロンドンで、"世界平和党"の党首フィッシャー(ハーバート・マーシャル)のパーティでオランダの外交官ヴァン・メーア(アルバート・バッサーマン)の取材を試みるが、彼はどこかに消えてしまう。アムステルダムで再度のチャンス、と思いきや、ジョーンズの目の前で暗殺者に撃たれるヴァン・メーア…が、実は暗殺は見せ掛けで、彼は外交上の機密情報を求める謎の組織に拉致されていた。フィッシャーの娘キャロル(ラレイン・デイ)に助けられつつ、ジョーンズは、身の危険にも臆せず陰謀の真相に迫るが…。

小雨の中、傘の海を押し分けての暗殺者追跡、カーチェイス、風車小屋でのかくれんぼ…最後は撃ち落とされた飛行機が着水、と、様々に趣向を凝らしたアクションシーンのつまった、派手目のスパイ・サスペンス。時局的エンディングのせいか、世界的大人気なヒッチコック作品の中ではトップクラスの評価とまではいかないようだが、私は好きだ。いや、ヒッチ作品もで一番好きな部類に入る(実はそんなに好きなわけではないの…ヒッチコックは)。

神格化されてるヒッチのどこが気に入らないと言われても説明は難しいのだが、どこか暗くてねちっとしたところがあるから…とでも言えばいいだろうか(勿論、ユーモラスな演出、小ネタを挙げるには事欠かないのだが…)。学生時代にある程度は積極的に見たのだが、そしてその時は楽しく見たような気がするのだが、今になってみると何故かヒッチコック映画というと気が進まない自分がいる。なぜかなあ…

だが、「海外特派員」に限っては、先に書いたようなアクション場面の華やかさと、キャストの良さでもって、今に至っても好感度が高いのだ(それに明るい…ご都合主義のおかげもあるだろうが)。
ジョエル・マクリーは、学者や事情通でなく「一般人の視点」を買われて選ばれたのに相応しい素朴で腕っ節もつよそうな二枚目ということで適役。だが、恋したヒロイン(ラレイン・デイ、適当にキリッと知的で可愛い)の父が実は…、という設定は重すぎて、真実を追うヒーローとしての彼には終盤ブレーキがかかってしまう。
そこで飛び出すのが記者仲間フォリオット役のジョージ・サンダース。主人公とは別方面から独自の推理で黒幕の正体に迫り、時にはペテンをかまして黒幕と駆け引き、時には熱血とアクション、そのバックには実は華麗な人脈(笑)…というフォリオットは儲け役で実にカッコイイ!
映画の後半は完全に彼がさらってしまう(私にとっては)。抜け目がなくて大胆で、重ったるい不思議な軽妙さを閃かせるジョージ・サンダースに、私、この映画で惚れました(^^;)
学生時代に見た時から、です。どこか胡散臭さがつきまとい、悪役も多い人ですが、「セイント」とか、キザで斜に構えたヒーローもいい味出してると思ってます~☆

あと、常にほのかなエレガンスを漂わせるハーバート・マーシャル。実はWW1の戦傷のため義足なのだそうだが、それでもふしぎと優雅さの漂う身のこなしがなかなか。コメディ・リリーフなもう一人の記者仲間ロバート・ベンチリーも手堅く可笑しいし、一見好人物な殺し屋エドマンド・グエンの味わい深い演技も忘れられない。

ヒッチ作品では「レベッカ」にも出ているサンダース。あの名作(一応オスカー取ってるし)で、一番印象深く覚えているシーンが、チキンを勝手に取って食べながらジョーン・フォンティンをからかうサンダースっていう私ってバカ?いや、ミーハーです。
もう一度、ジョージ・サンダースのカッコイイとこ「海外特派員」で見たい…!と、思ってたんですよね。ダビング有難うございました、なにわすずめ様!(私信モード)

あーっ、やっぱり!楽しかったです(*^^*)
えーっ、ヨコザワさん亡くなったんですか。
ひょうきん族は録画してまで見ていたのに!(といっても最初からではなくさんまがブラックデビルで定着してからですが)
最近スカパーでやってたひょうきん族もまた録画して見たりしていたのに!

合掌。

蒼穹のカルマ5

2011年1月8日 読書
橘公司著。

デビュー作はずいぶん辛かったのだが(日本語が。大胆なストーリー構成の可笑しさには見るものがあった)、意外や?三巻くらいからハズレがなくなってきた。
さすがに学習はするということか、一巻目で編集者がサボったってのか、日本語は割と普通になり、思いっ切り構造的に定石をハズしてくるテクが、ようやくすすみ始めた伏線回収とも連携しつつうまく転がりだしたというところ。

二巻目は世界設定の強化(キャラクター増強)+スポ根で、まだフツーだったが、三巻目学園モノ、四巻目RPG(裏RPG?)、五巻目なんと魔法少女と来ました。
最愛の姪っ子以外に超無愛想なカルマに魔女っ子?…いや、そこがなかなかうまいこと、追い込まれていくように出来てるんですね(笑)
ますます壊れていくヒロイン・カルマとヌイグルミ魔王との掛け合いがまた素晴らしい。魔王、いい味出してるぞ!
笑わせてもらいました。

タップのゆめ

2011年1月7日 読書
アンマサコ著。

アクセス解析見てると、この「タップのゆめ」検索してウチ回ってきてくれた人がいたようです。
へぇぇぇーーーっ。
…ところが取り上げていないんだなこの絵本、ウチではまだ。
タップダンスの話とかミュージカルの話とかで誤って検索にひっかかったんですね。

ところがどっこい、実は私もこの絵本は一応チェック済なのでした(笑)
あと出しサービス♪

手の込んだ、スーパーナチュラル調の絵(というか、小物を自作して写真+加工している様子)は、凄過ぎてちょっと内心引いてしまう所も。ただし、この絵本の主人公は一足のこわれかけのタップシューズ!!…タップ好きにとっては心に引っかかるネタであります。
ちなみにタップシューズ君にはちゃんと金具がついている!(当たり前なんだけど)、それがまた妙に嬉しいのでした。

しかし「タップシューズが自分らしく生きるために!絶望しかけた一足のタップシューズが、自分の本分をとりもどし、ふたたび輝きを得るまでの物語。」というAmazonのあらすじ紹介は恥ずかしいのでちょっとやめて欲しいと思う…
色んな靴たちが夢を語ったりする場面がありますが、みんな靴屋さんに修繕してもらって、持ち主に迎えに来てもらって…なだけといえばだけな話ですから(^^;)

タップダンス好き以外は感動とかしなくてもいいと思うのは、私の照れでしょうか。
でも、タップダンス好きにはプッシュしちゃうぞ(笑)

なぜかアマゾンのリンク画像を引っ張ってこれないので、楽天ブックスで(笑)
那須正幹著。

いやー、三人組それぞれの結婚がなにげに突っ込んで描かれているのに驚愕(笑)
あのモーちゃんにも修羅場があった!?

いや、本筋は「ズッコケ山賊修行中」のその後、むかし彼らが拉致られた山賊の隠れ里探しの話だったりするんですけどね。
なんだかだいっても読まされます。那須さんの筆力はやはり手堅いな。
1962年、ノーマン・パナマ監督作品。
ビング・クロスビー&ボブ・ホープ「珍道中(Road to~)」シリーズ最終作。

長い長い腐れ縁の二人組ハリー(クロスビー)とチェスター(ホープ)は、近頃ではアジアで怪しい商売を繰り広げていたが、偶然に機密情報を入手してしまい、香港を根城にする秘密組織(ボスはいかにもなロバート・モーレイ)のスパイ戦に巻き込まれる。米ソの宇宙開発競争時代を背景に、テスト中の宇宙ロケットにまで乗せられて…。

実際には「ミサイル」じゃなく「ロケット」ですね。
無責任でナンセンスで、楽屋落ち満載というカラーは、最後まで「お約束だから」でちゃんと守ってますね(モノクロだけど)。恒例の"セッセッセ"もあるし、恋のさや当てでは常にクロスビーやや有利という路線も例のごとし。さすがに今作ではちょっとクロスビーの老けが目立って苦しい気もしますけど(^^;)
ヒロインは、最後には二人組に同情して寝返ってくれる女スパイのジョーン・コリンズ。でも終盤、これまた「お約束」のドロシー・ラムーアも出てきて一曲歌ってくれる。二人組のデュエットも二曲、クロスビーのソロ一曲、やっぱり歌曲入りの方がコメディは楽しいなあ☆

前半は「たいしたことないなあ」と思っていたけど、生きた魚を一杯服に詰め込んだままラムーアの舞台に…のあたりから、えらく楽しくなってきて笑いこけてしまいました。ラストもシリーズ屈指の無責任さ?…と思いきや…ま、いいか(苦笑)

珍道中シリーズは、結局半分くらいしか私は見れていない。特に評価が高いと思われる「アラスカ珍道中」は昔TVで見た。「バリ島珍道中」は知る人ぞ知るであろう水野晴夫解説ガムつきDVD(350円也)で持っている。あらためて調べると、全部じゃないけど他にもレンタルDVDになっているものがありそうなので、今度借りてみようっと。
どうせボブ・ホープの方が負けるんだろうけどなあ毎回(クロスビーよりホープが贔屓です私)。

ちなみにこの「ミサイル珍道中」はコーナンのDVD投げ売りコーナーでまたまた千円未満で売られていたのでつい買っちゃいました。カメオでデヴィッド・ニーヴン様が出てるとも書いてあったので(笑)
ほんとに一瞬しか出なかったなあ(ニヤリとさせてくれたけど)。あと、ピーター・セラーズがインド人役で出てたがあんまり面白いと思わなかった。他にシナトラやディーン・マーティンや、カメオ出演者はそれなりににぎやかです。
2009年、J・J・エイブラムス監督作品。

…スター・トレック。
「宇宙大作戦」の頃からなじんできた身としては、映画館へ行く程でなくともやはり機会があれば話のタネに見ておこうかと思ったりもして、スカパーでやったのを録画しており、それを旅先までもってって2日3日で半分ずつ見た。

マニアってわけでもないし(同人誌も二、三冊しか持ってない)、初代シリーズも再放送から見たクチだが、それだけに見てもそのスタンスが冷やかし半分、テレビドラマ視聴ノリになってしまうのも仕方あるまい。なので採点はナシ。

シナリオは結構アナだらけだと思うが、最初のTVシリーズで探検航海に出るカーク・スポック・マッコイの時代の前史、という作り自体は初めての視点だし楽しめる。このキャラ、こんなじゃないだろう!というツッコミも原典からこれだけ時間がたっていて、私の方にそんなに要求が高くないので、「そう来たか」と素直に面白がれるのだった(笑)

お約束のタイム・パラドックス要素を組み込んでいるおかげで(あまり消化はうまくないと思うが)、主要キャラが多少シャトナーだのニモイだのの演じた原典と違っていてもある意味言い訳がたっちゃうのは上手いテかも。いや、結構違うんですよー。みんなまだ艦長や副長やじゃなくて、士官候補生かそれに毛が生えたくらいの存在だし。
荒れた青少年時代を送るカーク、ここまでやるか、のスポック、出来たばかりの友人にここまでするか(スポックとは違う意味で)、のマッコイ。意外な?相手にラブラブアピールのウーラ(笑)や、どこから来たんだ?のスコティ。
そしてなにしろ「宇宙大作戦」のメンツって、TVと映画とで何回タイムトラベルしてるんだか数え切れないほどなので、もー好きなだけ時間行き来しちゃってねお約束だから、となま温かい目、いやむしろ好意的な目?で見る私。

一応レナード・ニモイが出演してるのも嬉しいですが、ひょっとしたら一番ニヤリとできたのは、クルーたちの制服かも。なんとTV版のダサいデザインを復活させてきたんですよねー☆
そして、ラストで提督あたりの着てる服には20世紀に作られた映画版スター・トレックのデザインをちょっぴり反映している。うーむ、納得だ。

若い俳優さんたちゼンゼンわからないし、これといって気に入ってどうこうというのもないんだけど、とりあえずお気楽に楽しんだのは楽しんだのでヨシ。
「宇宙大作戦」をお気楽に楽しんだことのある人なら楽しめるハズ。
それ以外の人については知りませんが(^^;)
ぷちドライブ旅行で家族で淡路島に泊まってます。
いざなぎ神社で初詣と思ったら意外なほど道が混んでて1時間くらい渋滞してたので疲れました。淡路島中の人が来ていたのか?

ホテルはたぶんむかし淡路花博にきたとき泊まったのと同じじゃないかと思うのだけど、ン年ぶりに来たらさすがに?部屋のテーブルにインターネット用のジャックが生えていました。さすが!

TVもそれなりのちゃんとした液晶TVなので、持ってきていたポータブルDVDプレイヤーつないで映画を見たり(ドライブだと荷物の量気にしなくていいからいいな)。いやー、時代変わってますね(笑)
映画についてはまたのちほど。
例によって、実家行ってきます。それからミニ旅行、いやマイクロ旅行かな。

なんか昨年度中にカウンタが200000超えててビックリ(笑)
偏りマイペース日記ですが、まあ今年もよろしくおねがいしますです~
休み中に映画見れるといいなー…

総括すると

2010年12月31日 日常
総括すると
総括すると
2010年も、もう終了。
去年に引き続き、新しいことばっか(特に仕事方面)続けて走って(走らされて)きた感じですが、それでも結局、今年の最大のポイントは…
やっぱ、タップダンスの体験レッスンに行ってみたことでしょうか。そして、しかも、続けてる、ということ。

いやぁ、まさかそんな!っていうほど、ハマリましたね。
レッスン料とか靴とかお高価いのが全く気にならないのはさておき、どんだけ毎日タップのことを考えているかって、「ハマリ」としか言いようがありません。今年の後半はそのぶんゲームする時間が完全に消えてしまいました(がーん…)。
いくらミュージカル好きだったからって、トシもトシ体重も体重、スポーツなんか皆無生活を十年以上送ってきたというに…

何とか家の中でも練習したくて、いろいろ頭をひねりました(人目にはつきたくない)。
素足でも練習に全くならないわけではないけど、音が出るタップシューズの方が楽しい。
でも金具つきの靴なので、家の床を傷つけないよう工夫が必要。
ネットで見ると専門店で練習用の「板」を売っているようですが、ン万円!?却下。

百均で、40cm四方厚さ5mm程度の木工用合板(一枚200円)を発見し、四枚買ってきました。2枚ずつ裏をガムテープで張って、折り畳み式40×80cmのボードを2個作成。
並べて80cm四方の練習用ボードです。このサイズがギリギリって感じ。市販のは90cm四方。
前後左右に動くの一歩ずつなら余裕ですが、二歩は厳しいですね。
予備で20×60cmの板も一枚買ってますが三枚並べることはあまりないです…

ホームセンターで数百円で売ってるフロアマットの切れ端(90×180cmを半分に切った。クッション兼音も少しは抑止してくれるかな?)を敷き、そこに百均ボード二枚を置いて練習スペースの出来上がり。洋服ダンスの扉をあければ何とか足まで鏡で見れる位置に並べます。試行錯誤の上なのでかなりいい感じ。普段は畳んで押入に入れられるのもナイス!
安物でも、板だと、タップ音がとてもキモチがいいんですよ。半時間くらいすぐたっちゃいます。
iPodで音楽とかメトロノームとかかけてやるとなおのことです。
余り厚くないほうが扱いやすいと思うけど、ホームセンターでも板きれ売ってるみたい…

もちろん、大満足!なのも永遠ではなく、最初は問題なかったけど最近は前より多少激しく動くようになってきたため、二枚の板がだんだんズレることもあって、どういう仕掛けをすると動かないように出来るか、百均に出かけては頭をひねる毎日です。折りたためるのがポイント高いので、二枚を繋いでしまうのはイヤ。でも、なまじ薄めの板なので、板の裏面や横だけで平らなまま固定する取り外し可能な仕掛けって、どうするといいかしら。マグネット?マジックテープ?←ケチるから難しくなるのだが、ケチりながらいいテを思いつくと二倍嬉しいのが関西人。


もちろん、日常に弊害は出ています。

①普段から(普通の靴をはいてる時に)、つい習った足さばきを試したくなってしまって…コレ絶対靴底の減りが激しいですね。

②そして、街中で踊る(自分でもセーブはしているので踊り未満状態ですが)ような人は、世間の目には変人でしかない(「街中で突然歌って踊るなんて信じられない」からミュージカルなんて嫌いだ、という日本人は結構多いらしいですし)。

③一戸建てだから…と思ってるけど、どの程度外へ音がモレてるかは怖いので考えないようにしています。

④もしかしたらそのうち、膝とかどこか故障するかもしれない…若い頃、コンクリ床で職場の昼休みに毎日卓球やってて少し膝をいためたことあったし。トシとともに骨量も軟骨成分(コラーゲンとか)も減るはず。…美容の為にコラーゲンを摂ろうと考えたことはなかったが、まだ問題が出ていない膝のためにコラーゲンのサプリに手が伸びる私の性格は少し変かもしれない。特に女捨ててるってわけではないのだが。

やれやれ…


まあ、とりあえず幸せのモトのようなので良いとしましょう。最近は、教わった数少ないステップをどう組み合わせると振付ぽくなるかを考えるとコレがまた楽しいのに気がつきました。なんと身の程知らずな…
でも、もう少し時間があって、ゲームもできるといいな2011年は(無理)。


さて、…この日記を通りかかる皆さまがたにもご挨拶をしておかねば…
直接言葉をかわす人も、かわさぬまま通り過ぎてゆかれる人も、色々お世話になりました。
2011年も、よろしくお願いいたします!m(__)m

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