1954年、エドワード・ドミトリク監督作品。カラー。
西部劇ですが、濃厚な家庭悲劇ともいうべきメロドラマ。末息子のみを溺愛した頭取一家の崩壊を描いた現代劇「他人の家」のリメイクだそうです。そっちは見てないけど。
輸入盤に手を出したあとリクエスト・ライブラリーでの国内盤発売が決まったりで、かなり長く寝かせていたのだが、来月いよいよRWFCでの課題図書もとい課題DVDなので久々に視聴(大昔TV放映を一度見たきり)。
この作品には色々複雑な思い(笑)があるので、まともな判断はできないと思いますがヨロシク。以下、ストーリーなど。 ネタバレ気味です。ご注意。
三年の刑期を終え、出獄した主人公ジョー(ロバート・ワグナー)を待っていたのは、三人の異母兄たちだった。長兄ベン(リチャード・ウィドマーク)は「金をやるから6時の列車でよそへ行け」と言うが、ジョーは拒絶し、昔住んでいた屋敷跡へと向かう。(ジョーが札束を痰壺に投げ入れて去った後、パチリと指を鳴らして「拾っておけ」と弟たちに命じる冷酷王ウィドマーク様。シビれます(笑))
彼ら兄弟の因縁はこのあと、回想形式で語られてゆく。
一代で大帝国を築きあげた大牧場主マット・デヴロー(スペンサー・トレイシー)には、先妻との間に三人、そして先住民(インディアン)の後妻との間に一人、計四人の息子がいた。が、彼は「出来がいい」と末息子ジョーのみを可愛がり、他の三人は雇い人並にこきつかうばかりだった。当然、ジョーは父に愛を返すが、兄たちは父へおそれと反感を抱き、特に次男(ヒュー・オブライエン)と三男(アール・ホリマン)は自牧場の牛を盗んで売ろうとするなど盛大にダメ人間ぶりを発揮していた。(まあ、愛されてのびのび育てばその分出来がよくなるのは当り前だろうし、その逆も真なりである)
そんなある日、近くの銅精錬所から廃水が流れ込んだため、牧場の牛が何十頭も死ぬ。法に訴えた方がというベンの意見を退け、マットは精錬所に乗り込むが、こじれて裁判沙汰になる。これまで法でなく力で自分の信じる正義を貫いてきたマットだが、時代は変わりつつあった。父の窮地を救うべく、ジョーは自ら罪をかぶって「短期間の」服役を買って出るが、父と兄たちの確執の中、刑期は予想外に長いものとなり、その間にマットは健康を害し悶死に至る。葬儀に参加を許されたジョーは、兄たちの前で大地に槍を突き立てる。それは先住民の「復讐を誓う」儀式だった。
そんなジョーに対し、「憎しみは捨て、愛する者と自分の道を行け」と母は諭すが…
昔気質の大立者を演じて貫禄十分のスペンサー・トレイシー。
そして泥沼化する骨肉の争い、先住民差別の問題(混血のジョーは知事の娘との仲を裂かれかける)、変わり行く時代(法の権威上昇や工場廃水問題や)など盛りだくさんなシナリオと、見所は多い。
頑固一徹、傲慢で誇り高く、先住民への偏見を持たないまっすぐな人物でありながら、他人の心を平気で踏みにじる無頓着さ冷酷さも備えたカリスマ。憎まれ役でもある筈なのだが流石はトレイシー、実に風格たっぷりである。相争う兄弟の名前がジョーとベン、というのも、旧約聖書起源なノリであるが、物語に漂う神話性もトレイシーあればこそだ。
ただ…魅力のある物語なのだが、傑作と呼ぶには、バランスが、ちょっと…
主人公が、サワヤカ男前なだけの若造ロバート・ワグナーじゃなー…
父トレイシーと、やはり達者な兄ウィドマークに挟まれては、どうしても少々見劣りする。
先妻の子らの中でも、長兄ベンだけはそれなりに能力がある。なのに父に認められない彼はかなり気の毒な人物でもある。鬱屈を漂わせつつも常に父に従い働いていたベンは、ジョーの収監後突如反乱を起こし大牧場の実権を奪い取る。その彼をマットが説得しようとするがこれがまた実に、痛い。
初めてお前に「頼む」のだから、と話を始めるのだが、「何が気に入らない、ジョーのほうが有能なのが憎いのか?」とか、いきなり何ケンカを売ってるんですかこの親父は?、てな展開。ベンが長年溜めこんだ思いをぶつけてみても、「気に入らないなら何故出て行かなかった?」と見当違いな言葉しか返ってこない。背くことで漸く正面から向かい合えた父であるのに、話せば話すほどベンの傷と絶望は深まる。
回想場面のウィドマークは、かなり抑えた演技で、セリフも多くはないのだが、巨大な父の圧力に否応もなくその人間性を潰されてゆく長男の悲哀を抜かりなく表現している。聖書のヨセフ(=ジョーゼフ)とその兄弟たちの物語は和解で終わるが、エコヒイキな絶対神に罪へと追いつめられるカインの物語もこの映画の裏には見え隠れする。
意外なことに、回想の中のベンは本人も言うように、必ずしもジョーを憎んでいるようには見えない…(キサマもたまには苦労しろ、くらい勿論思ってますが)
だが、父の死と、突き立てられた槍が、彼の中の何かを完全に壊してしまう。
…てなふうに、ついベンの方に気がいってしまうのは、私がウィドマーク様ファンだからなだけではないと思うのだがいかがなものだろうか。まあ反射的に贔屓も入ってしまうのだが。
ちなみに、偏見なくジョーを愛する勝ち気でけなげなヒロインはジーン・ピータース。悪くはないのだが、ここでもキャスティングのバランスの悪さが私の邪魔をする。だって彼女、つい先年「拾った女」で、めっちゃ熱くてスリリングなラブシーンをウィドマーク様と繰り広げたぱかりではないですか!そのウィドマーク様が同じ画面内をウロついてるとゆーのに、ワグナー君なんかじゃ物足りなくないですか、とか言いたくなる。勿論、双方ぜんっぜん違う役柄と演技なんですけども、ねえ…
私好みな様々な要素を含みつつ(なのでかえって評価難しい)、傑作になりそこねた一作と感じました。(で、★3か4か激しく迷ったけどやっぱ4に変更)
ただまあ、そういう映画って後をひくんですよね。自分ならこんな風に話を作るし~、どんでん返し入れちゃうし~、等と、色々妄想のふくらむモトになってその楽しさで忘れがたい作品になったりする。邪道な楽しみですけれど…(でもいろんな映画でやってる(笑))。
とにかく「10歳で一日16時間働かされてた」ってかなり酷いと思うな。
「10歳?…萌え~」とか思うのは間違っていると自分でも分かっているが(爆)
西部劇ですが、濃厚な家庭悲劇ともいうべきメロドラマ。末息子のみを溺愛した頭取一家の崩壊を描いた現代劇「他人の家」のリメイクだそうです。そっちは見てないけど。
輸入盤に手を出したあとリクエスト・ライブラリーでの国内盤発売が決まったりで、かなり長く寝かせていたのだが、来月いよいよRWFCでの課題図書もとい課題DVDなので久々に視聴(大昔TV放映を一度見たきり)。
この作品には色々複雑な思い(笑)があるので、まともな判断はできないと思いますがヨロシク。以下、ストーリーなど。 ネタバレ気味です。ご注意。
三年の刑期を終え、出獄した主人公ジョー(ロバート・ワグナー)を待っていたのは、三人の異母兄たちだった。長兄ベン(リチャード・ウィドマーク)は「金をやるから6時の列車でよそへ行け」と言うが、ジョーは拒絶し、昔住んでいた屋敷跡へと向かう。(ジョーが札束を痰壺に投げ入れて去った後、パチリと指を鳴らして「拾っておけ」と弟たちに命じる冷酷王ウィドマーク様。シビれます(笑))
彼ら兄弟の因縁はこのあと、回想形式で語られてゆく。
一代で大帝国を築きあげた大牧場主マット・デヴロー(スペンサー・トレイシー)には、先妻との間に三人、そして先住民(インディアン)の後妻との間に一人、計四人の息子がいた。が、彼は「出来がいい」と末息子ジョーのみを可愛がり、他の三人は雇い人並にこきつかうばかりだった。当然、ジョーは父に愛を返すが、兄たちは父へおそれと反感を抱き、特に次男(ヒュー・オブライエン)と三男(アール・ホリマン)は自牧場の牛を盗んで売ろうとするなど盛大にダメ人間ぶりを発揮していた。(まあ、愛されてのびのび育てばその分出来がよくなるのは当り前だろうし、その逆も真なりである)
そんなある日、近くの銅精錬所から廃水が流れ込んだため、牧場の牛が何十頭も死ぬ。法に訴えた方がというベンの意見を退け、マットは精錬所に乗り込むが、こじれて裁判沙汰になる。これまで法でなく力で自分の信じる正義を貫いてきたマットだが、時代は変わりつつあった。父の窮地を救うべく、ジョーは自ら罪をかぶって「短期間の」服役を買って出るが、父と兄たちの確執の中、刑期は予想外に長いものとなり、その間にマットは健康を害し悶死に至る。葬儀に参加を許されたジョーは、兄たちの前で大地に槍を突き立てる。それは先住民の「復讐を誓う」儀式だった。
そんなジョーに対し、「憎しみは捨て、愛する者と自分の道を行け」と母は諭すが…
昔気質の大立者を演じて貫禄十分のスペンサー・トレイシー。
そして泥沼化する骨肉の争い、先住民差別の問題(混血のジョーは知事の娘との仲を裂かれかける)、変わり行く時代(法の権威上昇や工場廃水問題や)など盛りだくさんなシナリオと、見所は多い。
頑固一徹、傲慢で誇り高く、先住民への偏見を持たないまっすぐな人物でありながら、他人の心を平気で踏みにじる無頓着さ冷酷さも備えたカリスマ。憎まれ役でもある筈なのだが流石はトレイシー、実に風格たっぷりである。相争う兄弟の名前がジョーとベン、というのも、旧約聖書起源なノリであるが、物語に漂う神話性もトレイシーあればこそだ。
ただ…魅力のある物語なのだが、傑作と呼ぶには、バランスが、ちょっと…
主人公が、サワヤカ男前なだけの若造ロバート・ワグナーじゃなー…
父トレイシーと、やはり達者な兄ウィドマークに挟まれては、どうしても少々見劣りする。
先妻の子らの中でも、長兄ベンだけはそれなりに能力がある。なのに父に認められない彼はかなり気の毒な人物でもある。鬱屈を漂わせつつも常に父に従い働いていたベンは、ジョーの収監後突如反乱を起こし大牧場の実権を奪い取る。その彼をマットが説得しようとするがこれがまた実に、痛い。
初めてお前に「頼む」のだから、と話を始めるのだが、「何が気に入らない、ジョーのほうが有能なのが憎いのか?」とか、いきなり何ケンカを売ってるんですかこの親父は?、てな展開。ベンが長年溜めこんだ思いをぶつけてみても、「気に入らないなら何故出て行かなかった?」と見当違いな言葉しか返ってこない。背くことで漸く正面から向かい合えた父であるのに、話せば話すほどベンの傷と絶望は深まる。
回想場面のウィドマークは、かなり抑えた演技で、セリフも多くはないのだが、巨大な父の圧力に否応もなくその人間性を潰されてゆく長男の悲哀を抜かりなく表現している。聖書のヨセフ(=ジョーゼフ)とその兄弟たちの物語は和解で終わるが、エコヒイキな絶対神に罪へと追いつめられるカインの物語もこの映画の裏には見え隠れする。
意外なことに、回想の中のベンは本人も言うように、必ずしもジョーを憎んでいるようには見えない…(キサマもたまには苦労しろ、くらい勿論思ってますが)
だが、父の死と、突き立てられた槍が、彼の中の何かを完全に壊してしまう。
…てなふうに、ついベンの方に気がいってしまうのは、私がウィドマーク様ファンだからなだけではないと思うのだがいかがなものだろうか。まあ反射的に贔屓も入ってしまうのだが。
ちなみに、偏見なくジョーを愛する勝ち気でけなげなヒロインはジーン・ピータース。悪くはないのだが、ここでもキャスティングのバランスの悪さが私の邪魔をする。だって彼女、つい先年「拾った女」で、めっちゃ熱くてスリリングなラブシーンをウィドマーク様と繰り広げたぱかりではないですか!そのウィドマーク様が同じ画面内をウロついてるとゆーのに、ワグナー君なんかじゃ物足りなくないですか、とか言いたくなる。勿論、双方ぜんっぜん違う役柄と演技なんですけども、ねえ…
私好みな様々な要素を含みつつ(なのでかえって評価難しい)、傑作になりそこねた一作と感じました。(で、★3か4か激しく迷ったけどやっぱ4に変更)
ただまあ、そういう映画って後をひくんですよね。自分ならこんな風に話を作るし~、どんでん返し入れちゃうし~、等と、色々妄想のふくらむモトになってその楽しさで忘れがたい作品になったりする。邪道な楽しみですけれど…(でもいろんな映画でやってる(笑))。
とにかく「10歳で一日16時間働かされてた」ってかなり酷いと思うな。
「10歳?…萌え~」とか思うのは間違っていると自分でも分かっているが(爆)
コメント
RWFCの「今月の一作」は、公開年順です(本国での)。IMDbの作品リストを見れば先々まで確認できますよ。最初に他の意見も出たけど、とりあえず始めやすく続けやすい「公開年順」になりました。来月が「黄金の賞品」、「蜘蛛の巣」はさ来月ですね。ヒアリング…がんばりましょうお互いに(^^;)
しかし、こじれた人間ドラマは英語字幕のほうがいいと感じる時もありますね。「折れた槍」は日本語字幕があると楽、と思い重ねて買ってしまいましたが、時々止めて英語字幕で聞き直していました。何やってるんだろう私(笑)
うーーーん・・・・・。根っからの悪人は一人もいないのに、こじれていってしまったそれぞれの想い・・・。
たしかにスペンサー・トレーシー演じるワンマンな父がその原因かもしれないけれども、この父の言い分も納得できる部分は多いです。身一つでここまでやってきた苦労は並大抵のものではなかったろうし・・・。
一番不幸だったのは、幼い息子を3人も残して母親が早くに亡くなってしまったことですよね。長男ベンが時折述べる思い出や、父にぶつけた言葉には、胸がつぶれる思いがしました。母親の愛情が最も必要なときに死に別れ、学校を辞めさせられてまで弟たちの世話と労働にこきつかわれてたら、たいがいひねくれるだろうに。よく我慢してたなあ・・・なんで出て行かなかったんだろう・・・と、私もちょっと思いました。(10歳で16時間労働は虐待だよ・・・確かに、ウィドマーク様がそういうせりふを言うとついつい、想像してしまいますが。10歳のベン少年。)
やっぱり、長男の自覚があったからなのか・・どこかで父親に愛されたい思いを抱えながらここまで耐えてきたのか・・・・そして、あっけなく迎える最後があまりにも気の毒でした。本気で弟を殺すつもりはなかったような気もする。
そもそも復讐の槍をジョーが突き立てなければ、こういう展開になっていなかっただろうけれども。父を死なせたのは兄が原因と思ってのことでしょうが、なんかここらの描写がいまひとつ弱かった気もします。ワグナーの演技がいまひとつ説得性に欠けたかも・・
ジーン・ピータースは、容姿に似合わない独特の個性的な逞しい声質なので、あの声を聞いてしまうと私としては「キャンデイ」がすぐに甦ってきます。
なので、キャンデイがこの役をやってるように見えてしまいました。
ウィドマーク様のすごいところは、役になりきってるせいか、他の作品の誰かにだぶるということがないですね。贔屓目ではなく、ほんとに毎回、ちゃんと別人に見えますもの
ええと・・・そういえば、ボースン様のリンク様のサイトで検索ランキング1位「リチャード・ウイドマーク」という表示がでてましたけど、あれって、あのサイトを訪れたヒトのサイト内での検索履歴なんでしょうか。・・・(It’s a miracle)
>やっぱり、長男の自覚があったからなのか・・どこかで父親に愛されたい思いを抱えながらここまで耐えてきたのか・・・・そして、あっけなく迎える最後があまりにも気の毒でした。
いやーやっぱり、長男として弟たちを守ってというのと、父親に愛されたい、愛されないまでも少しは認められたい思いと二本立てでしょう。
牛泥棒はあまり強くはかばわないベンですが(実際ジョーでないとマットの怒りは翻せなかったでしょう)、狼を撃とうとした三男をマットが「いつも言ってるだろうが!」と怒鳴りつける時、「狼はコヨーテを追い払ってくれるだろ?」と理詰めでそっと割って入る。
マットはフン、ていう顔で意外とすぐ引きます。たぶんよくある流れなんですよ。
ベンがついに父に反旗を翻した時は勿論ですが、父の死から三年、華麗なる指パッチンの暴君(笑)になり果てているベンにも、次男と三男は意外と素直です。きっと長い長い積み重ねがあったんですよ。10歳から…ああ、ドリーム入りそうです(^^;)
クーデターを成功させても、マットが死んでも、ベンに勝ち誇った様子はないし。彼が一番欲しかったのは他のものですよね。牧場掌握後マットと庭先で話をする時の、息を詰め身構えた感じの演技が泣かせます。でもマットは最後まで「自分に似ているから衝突するのだと思っていた」とか、頭からベンを見ようともしていない(実際にはジョーもちゃんと見てはいないのだと思います。「自分に似てるから可愛い」とか言っていますが、ジョーはベンの理性的な意見も素直に認めるし、安定した温厚な人格。兄弟で唯一父に立ち向かえるのも愛されてる自信があるからなだけと見えます。ワグナーの演技力不足で似てない、という可能性もありますが(笑))。
マットがベンをムチで打ち据えるシーンも、ベンが驚かないどころか、いい大人なのにまともに逃げようとしてない所に慄然とします。明らかに、長年ムチでぶたれ慣れてるんですね…。「ムチが出たら逃げても仕方ない」刷り込みがされてるとしか。そういう育て方しといて「出て行けばよかった」はナイと思いますな私は…
んなわけで悪の根源はやはり父親、と個人的には思いますが、それほど酷い父でありながら、周囲に有無を言わせぬ風格を発散するトレイシーはほんと凄い。彼が物語の格調をグンと引き上げてる立役者なのは確かですよね。
>父を死なせたのは兄が原因と思ってのことでしょうが、なんかここらの描写がいまひとつ弱かった気もします。ワグナーの演技がいまひとつ説得性に欠けたかも・・
葬式で「こんなことになって残念だ」と手を差し出すベンはおそらく、ジョーを介して父との和解を果たしたかったのでしょう。ジョーが怒るのも無理はないけど、これだけの父と兄のドラマの前では、ちょっと軽さを感じちゃいますよね。回想前半で父と末っ子だけの絆の強さとか類似性とかをもっと描けてれば違ったかな…と思いますが、一家の良心を後妻(カティ・フラド)にゆだねてしまった時点で、末っ子の造形が浅くなったかも。彼女はずっと夫に「上の三人も愛してやって、理解してやって」と言い続けてましたね。
「他人の家」はこのへんどんな風に描いてたんでしょうねぇ。とても見てみたいです。
>なので、キャンデイがこの役をやってるように見えてしまいました。
>ウィドマーク様のすごいところは、役になりきってるせいか、他の作品の誰かにだぶるということがないですね。贔屓目ではなく、ほんとに毎回、ちゃんと別
>人に見えますもの
これ、ほんとにそうですね!身のこなしや喋り方や毎回結構変えてきてます。日本ではなぜか個性派名優、と呼ばれることが多いですが、個性でこなしてるんじゃなくて、演技派なだけじゃん、と思うな。
>ええと・・・そういえば、ボースン様のリンク様のサイトで検索ランキング1位「リチャード・ウイドマーク」という表示がでてましたけど
あはは、これはわかりません。サイト主さまに聞いていただくしか…(^^;)
私もあの、鞭打ちシーンには唖然としました。周りの誰もがあまり驚かず、いつものことのように受け止めているあたりが・・・。あのシーンでのベンを見ていると、急に少年に戻ったように見えました。父の前では無力な少年に・・・。
ボースン様のおっしゃるように「刷り込み」だとしたら、わが子を家畜同然に扱い育てた親父ですね。ひど・・・。ただ、スペンサー・トレーシーがそこまでの人非人に見えないのが不思議で、結構、妻や若い娘の前では好々爺にも見えてしまうから油断するんですね。
それと、結構裕福な暮らしぶりでしたね。正装してディナーのシーンとか見ていると息子たちの育ちが決して悪いようには見えないところも油断させるんですよ。
西部劇の形を借りていますが、派手なシーンがない分、想像をかきたてられる部分が多かったですね。確かに後を引きました。
でも、一番妄想してしまうのは、けなげな幼いベン少年がここに至るまでの姿ですね・・・・。そして、妙に存在感の薄い弟2人。3番目のほえーとした弟が結構印象強いですが。(ベンは、あの弟がかわいかったんでしょうね)
ボースン様のコメントを拝読してますます作品理解を深めた(つもりの)なにわすずめでした。めばちこ快方に向かっていますか?お大事になさってくださいね。
なんだか昔見たときよりもっと、再見して「こうだったんだ!」とか心に落ちた部分が多くて興奮させられたんですよね(笑)
もともと家族間の、骨肉の争いとかは好きなテーマなんです。私自身は一人っ子で甘やかされて育ってるから逆に他人事として無責任に興味わかしちゃうのかもしれませんが。ここまで苛烈な親じゃないけど「白昼の決闘」の兄弟対決なんてのも結構好きですよ。
>ただ、スペンサー・トレーシーがそこまでの人非人に見えないのが不思議で、結構、妻や若い娘の前では好々爺にも見えてしまうから油断するんですね。
裁判見てると家の外でも昔は相当強引なことやりまくってたらしいのに、妻の前では好々爺にしか見えませんよね(妻の意見は全然聞かないけど)。人間存在の不思議さをよく表現してると思いました。
ワンコインのボケ映像でもいいから一度見てみたいなあ「他人の家」。E.G.ロビンソンですからトレイシーと見比べても遜色ない演技が期待できそうです。主演のリチャード・コンテは一度も映画で見てない人ですが…
「折れた槍」はひと昔前までは、中古LDが並んでいるところでは必ず見掛けていたんですが、最近は中古LDの販売風景そのものをあまり見なくなり、探していたんです。廉価じゃない国内盤DVDは、ウィドマーク主演じゃないので無理して買うのもどうかと思っていたし。
それにしても本作のウィドマークさん、ひたすら可哀想でした。
父親には愛されず、弟には逆恨みされ、しかも西部劇として見せ場をつくりたかったからなのか脚本家には殺され(最後に弟を殺そうとするところまでは、いわゆる悪役ではなかったのに、クライマックスで急に悪役になってましたからね)、なんかもう・・・(涙)。
でも、ボースンさまも指摘されていた指パッチンのシーンはカッコ良かったです。それと、銅山に親子5人で乗り込んでいくシーンで、奥さんを侮辱されたスペンサー・トレーシーがカッとなって殴りかかりますね。ロバート・ワグナーも自分の母親のことなので頭に血がのぼって「てめえ、脳天たたきわるぞ」みたいな(ちょっと違いますか)ことをわめく時、ウィドマークさん1人だけすでに銃を抜いてるんですよね。あの素早さもカッコ良かったです。
しかし、スペンサー・トレーシーは「招かれざる客」の印象が強いので、こういうアクの強い役はちょっと驚きです。「ニュールンベルグ裁判」も早く見たいです。
常に冷静だし理論派だし、それなのに認めてくれない父親がゼンブ悪いんですよ、うん。
今日、見つけ、今日ゲットでございます(嬉)。
出番は多くないのに、可哀想なキャラクターなのに(?)、ウィドマークさんの見せ場は多かったと感じました。
そう、物語としては父親がゼンブ悪いんです。映画としてはワグナーがやはり適任じゃないんです。
先日は「長い船団」を再見しました。先月か先々月くらいに最初に見て、そのときにはウィドマークとしては珍しい役柄とは思いつつ、正直言って、あまり面白いと思わなかったのですが、つい先日見た時はその似合わなさ加減が妙に心に響き、ウィドマークさんの演技に釘付けになってしまいました。さらにボースン様の解説を読むと、見どころがいろいろと分かって、作品鑑賞の楽しさ倍増です(感謝)。中でも私には、最初ポワチエに捕まり、いろいろ言い訳をまくし立てるコミカルな演技が忘れがたいです。
言いえて妙です!「長い船団」、いいですよね~☆
バイキングとしてはイマイチありえない、しかしありえないからこそのカッコよさと可笑しさ満載で。私は帰郷した時のお父さんと大げんか、というよりお父さんに山ほど食器を投げつけられる場面が大好きです。あと、イスラムの都で「文明国さ」と知的かつシニカルに吐き捨てる場面が超カッコイイですね。
80年代末頃から10年以上映画という趣味から離れていた私を呼び戻したのはこの映画だったかもしれません。古い日記を読み返していて発見しました。2004年にこの映画を再見してウィドマーク様熱が再燃し、おりよく発売された「拾った女」DVDを購入してクラシック映画ファンに逆戻り、です。この年には「マスター・アンド・コマンダー」にも燃えて何度も映画館にも行きましたが(私は帆船ファンなので)、新作映画に行く習慣は復活しませんでした(爆)
「文明国さ」のとこ、カッコ良いです!
黄金の鐘が崖から落ち、「手間が省けた」みたいなことを言うところも好きです。何か、ウィドマーク作品のまだ一部しか見てないですが、「長い船団」は結構上位に入ってきます。
ちなみにタイに出張してた友人が先日グッドタイミングで帰国したので、「六番目の男」「馬上の二人」、ついでにジェラール・ドパルデューの「SINGER」ってDVDをアマゾン英国に注文してもらいました・・・が、今週再びタイに旅立ち、次の帰国は年末になるようで、注文したDVDを手にできるのもまだ先になってしまいました。
「馬上の二人」はちょっと苦い映画ですが、ウィドマーク&ジェームズ・スチュアートとの掛け合いは素晴らしく楽しい出来でしたよ。
明日、エジプトに再赴任します。
向こうに持っていくDVDを探しにヤマダ電器に行ったら『折れた槍』と『ワーロック』が安く売られていたので即購入しました。
『ジャガー・ノート』も。
どうぞお気をつけて!
リクエスト・ライブラリーも、どのくらい売れているのか心配ですが。第3弾はあるのか?
第3弾あります。『地獄と高潮』が4月22日に発売です。
全部で11作品あるようですが、何と言ってもこれが最も重要でしょう。
Foxのプレミアムクラブとやらに登録してあるのですが、情報全然来ないのには笑うしかないです。
しかし…せっかくの『地獄と高潮』に、収録特典なしと公式サイトに書いてあるのはショックでした。買わないかもしれません。
私が持ってる米盤は(ジャケットまで同じくせに…)、リチャード・ウィドマーク・バイオグラフィつきなのに。3990円で特典なしというのは酷い。吹替ついてるくらいでは許せないですね。『悪の花園』には、米盤にあった特典映像がちゃんと入っていたのになあ。
たけださま、いつも情報キャッチが早いです!
しかしなあ・・・・「地獄と高潮」に、バイオグラフィ抜けたら、価値半減ですねえ。というよりは、米版がかなりあの値段で大盤振る舞いというべきでしょうか。
あのバイオグラフィは、おそらく米国のTV番組か何かの企画っぽいので、版権の問題とかあるのかなあ??
ウーーーン、あのバイオグラフィこそ、字幕つきで見たかったのになあ!!!
ま、本編も日本語字幕がないよりはあったほうがいいけど、本編だけだとたしかに
購買気力半減です。
たけださま、これからエジプトはどういうふうになっていくんでしょうね。
昔から、行って見たい国なんですが・・・・。
どうぞ、今後も、お気をつけて現地入りしてください。
なにわすずめ様
日本のDVDは、特典がしょぼいことが多いですね。
リクエストライブラリーは、廉価版ではないのでしっかりした特典を付けてもらいたいですねえ。
エジプトは、沈静化したとはいえ、国立銀行のストもあるようですし、タガが外れた状態だと思いますから混乱はまだまだ続くと思います。
特典満載二枚組だったアレは特に大盤振る舞いな特別版だったのかもしれませんが、「地獄と高潮」なんかは本編もあんま長くないですし、物理的にはDVD一枚に放り込めるはずです。まあ版権とか余分にかかるお金と手間とかあるんでしょうが、あの値段なんだからつけてくれればいいのにー…
>エジプトは、沈静化したとはいえ、国立銀行のストもあるようですし、タガが外れた状態だと思いますから混乱はまだまだ続くと思います。
そうですね、油断できませんよね。はやく、国情が落ち着いてくれるといいのですが。
馬鹿のひとつ覚え見たいに、他に役立つことも言えませんが、本当にどうぞお気をつけて。
確か、この「地獄と高潮」の中には、「インナー・サンクタム」という、わかる人しかわからんお茶目なせりふが出てきましたよね。米版オリジナルが、何でこの作品にわざわざバイオグラフィの特典をつけたのか、わかる気がします。
だって、バイオグラフィーの中に出てくるんだもん、「インナー・サンクタム」!
さあ、日本語字幕、ここをどう訳すんだろうな。
サラリと逃げてるのかな?
あかんやン、フォックス・ジャパン!
ホラー系のラジオ番組としては有名なものでしょうから、アチラの人はすぐわかるせりふなのかもしれませんが。
確か、ウィドマーク様演じるアダムスが、日本に呼び出され、わけわかんないままタクシーで着いた場所があやしげな波止場の倉庫みたいな場所。
こわごわ入り口の戸を叩いてみたら、不気味な東洋人が目だけ覗かせて、中に招かれ、ようやく、モンテル博士に出会ってから、ウィドマーク様が「まるでインナーサンクタムみたいだ」とか言ってませんでしたっけ?
ウーム、私もうろ覚えかな?
そういやそういう場面があったかな、と「言われてみると」状態です。もいちど見てみようかな。
西部劇というよりは西部劇を借りた家族劇。ちょっと『大いなる西部』を連想しました。
ロバート・ワグナーをもり立てるという目的だったのでしょうか、トレイシーもウィドマークも押さえ気味の演技ですね。押さえ気味だけれど二人ともキッチリ仕事はこなしているという感じです。
ワグナーは、ちょっとにやけた二枚目という印象が強いかもしれませんがこの作品や同じ時期の『ならずもの部隊』という戦争映画では、真摯な若者を演じて結構好感が持てます。
本作では、顎を引き気味の良い芝居をしていると思います。
ウィドマークがこの作品に出演したのはトレイシーと共演したかったからなのでしょうか?
それにしてもジョー・マクドナルドの撮影は見事ですね。
台詞より雄弁な構図。
監督のドミトリクは、ずいぶん助かったのでは?
『ワーロック』でもドミトリクは、マクドナルドにお世話になっています。
「折れた槍」楽しまれたようでなによりです。
再赴任地、その後も、映画も無事楽しんでいられる余裕ある状況でありますように。
>西部劇というよりは西部劇を借りた家族劇。ちょっと『大いなる西部』を連想しました。
兄弟の確執とかもあるので、「白昼の決闘」も連想しませんか?あそこでのライオネル・バリモアも頑固な老牧場主を堂々の風格で演じていました。
>ウィドマークがこの作品に出演したのはトレイシーと共演したかったからなのでしょうか?
そう思います。トレイシーはウィドマークの最も崇拝する役者だったそうなので…
ビリングとか、えらく扱いが悪いんですけどねえ(FOXを離れると決まっていたからか)。
『地獄と高潮』のdvd発売は中止になったようです。
バイオグラフィがないからあかんゆうてこきおろしたせいやろか・・・・・
最初に第三弾の情報が出たあと、『島の女』と『世界が燃えつきる日』が中止になったとは聞いていましたが、『地獄と高潮』『男の出発』も更に中止って、いったいぜんたい何やってんだか…