1954年、ヘンリー・ハサウェイ監督作品。
中南米が舞台の、ちょっと変則なカラー西部劇。
金と美女につられて、インディアンの跳梁する危険な奥地へと踏み込む男たちの物語には、多少ノワールっぽい雰囲気もある。ヒロインの扱いは所謂“ファム・ファタール”そのものである。
バーナード・ハーマンの、やっぱりハーマン節だなあ(苦笑)としか思えぬサスペンスフルで個性的な音楽も、西部劇的な爽快感とは相容れない。
メキシコ?のしょぼい港町。乗っていた船のエンジン不調で足止めを食った男たちに、「大金を払うから、鉱山の事故にあった夫を救出に行くのを手伝って」と、見るからに勝気そうな赤毛美人リー(スーザン・ヘイワード)が声をかける。
何週間も船を待つよりはと、元保安官のフッカー(ゲイリー・クーパー)、ギャンブラーのフィスク(リチャード・ウィドマーク)、賞金稼ぎデイリー(キャメロン・ミッチェル)、そして地元の荒くれ者ビンセンテ(ヴィクトル・マヌエル・メンドーサ)がこれに応じ、彼女の道案内で出発する。トラブルを経ながらも何日もかけて辿り着いた金鉱で、彼らはリーの夫フラー(ヒュー・マーロウ)を救出し、デイリーとビセンテはついでに金も掘り出して帰るぞ♪とご機嫌だが、攻撃的なインディアンたちはすぐそばに迫っていた。
金鉱は誰も近づきたがらない火山地帯にある。悪の花園、というが厳密には「悪霊たちの庭」とインディアンたちが呼ぶ場所で、道中も大自然の作る奇観や崩れかけた教会など、なかなか目に楽しい背景がカラーで楽しめるが、人間関係は美しくない。否応なく男たちを惹きつけるリーの魅力がトラブルを呼ぶのだ。せっかく助けに来た夫にまで何だかムチャクチャ言われてる彼女は、“改心した悪女”なのか。
そんな中ではあくまで彼女を「夫を助けようとする、ちゃんとした女性」として扱うフッカーが、積極的に出るわけではないが最後にリーとくっつくのは目に見えている(^^;)
ただ、スーザン・ヘイワードがそこまで悪魔的なオーラを発しているかというと微妙かなあ。決して嫌いじゃないんだけど、むしろキリっとして好みの容貌だけど、私には、あまり底知れなさは感じさせないんだなぁ彼女。
では映画のどこが魅力かというと、男どもの中で人間的に(そしてギャラ的に(笑))上位の、不言実行タイプの優等生フッカーと、斜に構えた皮肉屋だが芯は一本筋の通ったフィスクの男の意地と友情のドラマ。この映画、やたらとキザな台詞が多いのだが、その大半を担当するウィドマーク様が相当目立っていて嬉しい♪なにしろ、“ギャンプラー兼詩人”を自称してますからこのキャラ。
三つ揃いをビシリと着こなした洒落者ぶりは「廃墟の群盗」にも通じるが、しかし今回はヒーロー側。前半のアクション場面(とヒロイン)は大先輩クーパーに譲りつつ、インディアンたちの猛攻に次々と仲間が倒れてゆくなか、主役二人を逃がすため死地に赴く、美味しいクライマックスが☆
そして、リーを安全地帯まで送ってからとんぼ返りしてきたフッカーとの最後の会話場面がまた、なかなか。瀕死のフィスクが吐き続けるキザ台詞を、「あんたは何でも知ってる(フィスク談)」なフッカーがここだけは、どう声をかければいいんだ、というような動揺を押し隠した表情で受ける様が、盛り上げます。
私、クーパーあまり好きではなく苦手感あったのですが(彼の若い時もオジサンになってからも)、なんだか初めて「クーパーもちゃんと締めるところは締めるんだな」と納得。
まあとにかく、一枚看板で主役を張ってる作品ではないものの、ウィドマーク・ファンはやはり押さえててヨシ!な映画でした。(*^^*)
実はもう少しすれば米国盤DVDが届くので、図書館の日本語字幕版VHSで予習(笑)…といっても、ほんとはずーーーっと前にTVで一度は見てる筈なので、復習か。
米国盤は英語字幕のみだからねぇ。でもVHSは予想通り画像悪し。
FOXのスタジオ・クラシックスあたりで出ないかなぁとグズグズしていたが、もう諦めた…(この三枚組、ジャケットのうち真ん中の作品「拳銃王」だけは出てるのだが。ちぇ)
最近ちっとも新譜出ないねスタジオ・クラシックス…(涙)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0014BQR1A?tag=boatswascot-22&;;;;;;;;camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=B0014BQR1A&adid=0N516NTJE1FD0AM8Z24Z&
<追記>忘れたころにリクエスト・ライブラリーで出すFoxのバカ…
中南米が舞台の、ちょっと変則なカラー西部劇。
金と美女につられて、インディアンの跳梁する危険な奥地へと踏み込む男たちの物語には、多少ノワールっぽい雰囲気もある。ヒロインの扱いは所謂“ファム・ファタール”そのものである。
バーナード・ハーマンの、やっぱりハーマン節だなあ(苦笑)としか思えぬサスペンスフルで個性的な音楽も、西部劇的な爽快感とは相容れない。
メキシコ?のしょぼい港町。乗っていた船のエンジン不調で足止めを食った男たちに、「大金を払うから、鉱山の事故にあった夫を救出に行くのを手伝って」と、見るからに勝気そうな赤毛美人リー(スーザン・ヘイワード)が声をかける。
何週間も船を待つよりはと、元保安官のフッカー(ゲイリー・クーパー)、ギャンブラーのフィスク(リチャード・ウィドマーク)、賞金稼ぎデイリー(キャメロン・ミッチェル)、そして地元の荒くれ者ビンセンテ(ヴィクトル・マヌエル・メンドーサ)がこれに応じ、彼女の道案内で出発する。トラブルを経ながらも何日もかけて辿り着いた金鉱で、彼らはリーの夫フラー(ヒュー・マーロウ)を救出し、デイリーとビセンテはついでに金も掘り出して帰るぞ♪とご機嫌だが、攻撃的なインディアンたちはすぐそばに迫っていた。
金鉱は誰も近づきたがらない火山地帯にある。悪の花園、というが厳密には「悪霊たちの庭」とインディアンたちが呼ぶ場所で、道中も大自然の作る奇観や崩れかけた教会など、なかなか目に楽しい背景がカラーで楽しめるが、人間関係は美しくない。否応なく男たちを惹きつけるリーの魅力がトラブルを呼ぶのだ。せっかく助けに来た夫にまで何だかムチャクチャ言われてる彼女は、“改心した悪女”なのか。
そんな中ではあくまで彼女を「夫を助けようとする、ちゃんとした女性」として扱うフッカーが、積極的に出るわけではないが最後にリーとくっつくのは目に見えている(^^;)
ただ、スーザン・ヘイワードがそこまで悪魔的なオーラを発しているかというと微妙かなあ。決して嫌いじゃないんだけど、むしろキリっとして好みの容貌だけど、私には、あまり底知れなさは感じさせないんだなぁ彼女。
では映画のどこが魅力かというと、男どもの中で人間的に(そしてギャラ的に(笑))上位の、不言実行タイプの優等生フッカーと、斜に構えた皮肉屋だが芯は一本筋の通ったフィスクの男の意地と友情のドラマ。この映画、やたらとキザな台詞が多いのだが、その大半を担当するウィドマーク様が相当目立っていて嬉しい♪なにしろ、“ギャンプラー兼詩人”を自称してますからこのキャラ。
三つ揃いをビシリと着こなした洒落者ぶりは「廃墟の群盗」にも通じるが、しかし今回はヒーロー側。前半のアクション場面(とヒロイン)は大先輩クーパーに譲りつつ、インディアンたちの猛攻に次々と仲間が倒れてゆくなか、主役二人を逃がすため死地に赴く、美味しいクライマックスが☆
そして、リーを安全地帯まで送ってからとんぼ返りしてきたフッカーとの最後の会話場面がまた、なかなか。瀕死のフィスクが吐き続けるキザ台詞を、「あんたは何でも知ってる(フィスク談)」なフッカーがここだけは、どう声をかければいいんだ、というような動揺を押し隠した表情で受ける様が、盛り上げます。
私、クーパーあまり好きではなく苦手感あったのですが(彼の若い時もオジサンになってからも)、なんだか初めて「クーパーもちゃんと締めるところは締めるんだな」と納得。
まあとにかく、一枚看板で主役を張ってる作品ではないものの、ウィドマーク・ファンはやはり押さえててヨシ!な映画でした。(*^^*)
実はもう少しすれば米国盤DVDが届くので、図書館の日本語字幕版VHSで予習(笑)…といっても、ほんとはずーーーっと前にTVで一度は見てる筈なので、復習か。
米国盤は英語字幕のみだからねぇ。でもVHSは予想通り画像悪し。
FOXのスタジオ・クラシックスあたりで出ないかなぁとグズグズしていたが、もう諦めた…(この三枚組、ジャケットのうち真ん中の作品「拳銃王」だけは出てるのだが。ちぇ)
最近ちっとも新譜出ないねスタジオ・クラシックス…(涙)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0014BQR1A?tag=boatswascot-22&;;;;;;;;camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=B0014BQR1A&adid=0N516NTJE1FD0AM8Z24Z&
<追記>忘れたころにリクエスト・ライブラリーで出すFoxのバカ…
コメント
ウィドマークさんがカッコ良かった~! 実は、なぜか、ウィドマークさんは悪役だとばかり思ってたんですが、違ってたんですねえ(ゲーリー・クーパーが主役だし、ストーリー的にもそのクーパーと敵対するのだとばかり)。「ゴーストタウンの決闘」みたいな配役を予想してたんですね、多分。ボースン様の日記にはちゃんと「善側」と書いてあったのに、思い込みって怖いです。
とにかく、クープと並ぶと妙に小柄に見えてしまうウィドマークさん、ホームズとワトソンみたいで、ポジションはクープの相棒なわけですね。クープは、よく言えば寡黙、でも悪く言うと“何考えてんだが分からん奴”なので、ファンのひいき目もあるのかもしれませんが、やはりウィドマークさんのほうが目立ち、輝きます! 粋なせりふを吐きまくりますが「女の言葉は信用できんが、女の歌は信用できる」が面白かったです。
それと、メキシコ人にカードをちぎられてくさるウィドマークさんが、なんかおかしかったです。ホント、ウィドマーク・ファンは押さえるべき1本でした。
景色も美しく、音楽も抜群で、「襲われた幌馬車」同様、ぜひ大劇場で見たいものです。
けど、やはり1枚看板でウィドマークさんが主役作品をもっと見たくなりました。
実は先日、なにげにユーチューブで「太陽に向かって走れ」(日本語吹替え)分割のPART2(PART1は出番が少ないので)を見始めたら、急にちゃんとDVDがほしくなりました。「太陽に向かって走れ」は以前、このユーチューブで全部見てて、ウィドマークさんがカッコいいとは思いつつ、「これで見たからDVDまで買わなくてもいいか」と思っていたのですが、アクションヒーローなウィドマークさんに飢えてたところにチラリと見てしまったので、“買いたい”衝動に襲われてしまいました。
「ワーロック」は好演だけどちょっと痛ましいですから(それにこれも一枚看板じゃないし)。
「太陽に向って走れ」DVDは、ドイツ盤をオススメしときます。今出てる中では英語字幕がついてしPCでも見れますので…
「ワーロック」は昔テレビで見たことがあって、何かヘンリー・フォンダのほうが目立ってた印象だった、ということも後回しにした理由の一つです。
しかし「悪の花園」のウィドマークさんはカッコ良いですね。最後、崖の上でカードを切りながらインディアンの襲撃を待つ佇まいとか、絶品です!
「太陽に向かって走れ」は英語字幕は確かにありがたいですが、アマゾン独への注文はハードルが高すぎなので、DVDファンタジウムでも買えるUK盤を狙っております。昨夜も「コールミーマダム」「パイレーツゴールデンエイジ」ボックスとともに、あわや注文しかけました(汗)が、年末は何かと物入りなくせに収入減が予想されるので、とりあえず自粛。
なんかとてもよくわかります。
私もちょくちょく注文しかけては、「いや、買いすぎでないかい?」と踏みとどまったりしていますね。海外盤はいつ届くか不明なのがまた、ある種のギャンブル心を刺激、というかビックリ箱の楽しさがありますし。現在、海外注文したものがすべて到着してしまったので、また、なんだかうずうずしています。買ったり録ったりでまた見てないものが結構残ってるのに!
あまり期待はしていませんでしたが、やはり大した作品ではありませんでした。
ウィドマークが出演していなければほぼ全く面白くない映画になったでしょうね。
ストーリーも演技も表面的で紋切り型。
深みはあまりありません。
映画冒頭に出てくる若き日のリタ・モレノは、数少ない見所の一つですね。
まあ、この映画はやはり、50年代の雰囲気とスターを楽しむ、というものですよね。特段人に勧めるほどではないですが、山ほどのキザ台詞を振り当てられてるウィドマーク様が見られるので、ファンとしてはそれほど文句はありません(爆)
マニア向けというよりはミーハーファン向けか(^^;