オクラホマ・キッド
オクラホマ・キッド
1939年、ロイド・ベーコン監督作品。モノクロ。
1/13に見たけどもう一度ちょろちょろっと見た。

大晦日にTVでやってたのの録画。
いやーNHKBS、やるではないの。
このクラスのクラシック作品はむしろレアだよー♪
(大作だ名作だと語り継がれるほどでもない。ただし実力あるキャストが固めたA級の正統派西部劇だ)

1893年米国。クリーブランド大統領は民意?に負けてオハイオ州チェロキー・ストリップ一帯の土地を開拓民に開放することとし(先住民には保証金を与えて追い出す)、夢にあふれた白人開拓者たちが(もちろん悪党たちも)続々と押し寄せ、解禁の日を待つ。開拓地は広いが、当日は決まった時間にダッシュでそれぞれ目指す場所に一番乗りしたものがそこの土地をゲット、というルールだった。

チェロキーには保証金の入った袋も届く。それを悪党マッコード(ハンフリー・ボガート)一味が襲うが、更に横合いからそれを強奪したのが無法者「オクラホマ・キッド」(ジェームズ・キャグニー)だった。キッドは開拓者グループの中心人物らに軽く(好意的な?)チョッカイを出してから姿を消す。
やがて開拓地は大きく発展するが、賭場・酒場の顔役として町の暗部に食い込んだマッコードは、公正な市長・判事ら邪魔者の排除に動き出す。実は市長の息子だったキッドは、父を救うため戻ってくるが…

1時間半くらいの中に、西部劇に必須な案件さまざま=駅馬車強盗に撃ち合い、陰謀にリンチ騒ぎに復讐に、と盛りだくさんな流れがテンポよく語られる。
キャグニーVSボガート、というギャング映画ぽいキャスティングにも関わらず、キャグニーの飄々と明るいキャラクターで楽しいシーンも多くて飽きさせない。ミュージカルもできる人ですからね。
開拓ダッシュ前夜のキャンプファイアーで踊る人の輪にとびこんで、兄貴のガールフレンド・ジェーン(ローズマリー・レイン)の手をとるキャグニー、酒場のピアノに合わせてひとふし歌うキャグニー、赤ん坊のお守りをさせらせるキャグニー!彼にはレアな西部劇スタイルなのも併せて、キャグニー好きにはこたえられません(≧▽≦)
小柄だけどたくましくて(猪首)腕っぷし強そう。でも無骨じゃなくて愛嬌あって頭の回転早そう。こんなチンクシャ顔なのにスターになっちゃうのも、仕方がないよね(笑)

ラストは陽の当たる世界に戻ってきてしまいますが、父親の代表する正義正論の中の矛盾に倦んで家を出た、国だの社会だの自分は関わりたくない(今度の開拓だって形ばかりの保証金で先住民の土地を奪ってるだけ)、と嘯くキッドのキャラクターもいいよね。おおスザンナに合わせて楽しく踊りまくる開拓者たちに、すぐノセられて気分が楽しくもりあがってしまうのですが(西部劇ならではのイイ音楽シーンです)、ひとりくらいちゃんと考えてる人がいるのは良い。無法者だけど。だから別に奪った保証金を先住民にあげたりとかもしないけど(笑)

そんなこんなで、短い作品なのですが、いろいろ満足でした。
これって、現代人にも素直に楽しみやすいクラシック西部劇なのではないでしょうか。(1939年作だよこれ!)
あとジェーンの父の公正な判事がドナルド・クリスプ。うんうん、この人が出ているだけで大抵の映画の☆がひとつランクアップしそうですよ。
マッコード一味の下っ端にどっかで見た…と思えばワード・ボンドもいてた。

なわけでユーモアもしっかり入って大衆娯楽活劇の見本みたいな感じでした♪

コメント

M中
2022年1月19日19:51

 初コメ失礼します。

>一番乗りしたものがそこの土地をゲット

 同年代の映画では『シマロン』でも出てきましたね。勇壮な出来事として描くのは、ポリコレの時代となってはもう無理でしょうが。

ボースン
2022年1月19日21:20

こんにちわ、M中さま。
映画はほぼ古いものしか見ないので、ポリコレ的にはあぶない映画ばかりですが、お許しください(笑)

農耕民族となって久しい米国人(欧州移民含む)からすると、狩猟採集の先住民生活スタイルを理解せず「怠け者が放置した土地を有効活用してやるんだ」と自己正当化できたんでしょうね。しかも異教徒ですしね。無知と欲のタッグは強いですね。狩猟採集には当然農耕よりはるかに広い土地が必要らしいですが、こうした酷い歴史的事実の中では昨今の西部劇が苦味の多いモノになりがちなのは無理もないと思います…(昨今てかニューシネマくらいからずっと苦い)

この土地獲得競争でズルをしたマッコード一味が町の指導者層に「一等地を譲ってやるから賭場酒場の利権をよこせ」と、創立当初に妥協を強いるのですよ。妥協した方はエデンの園を作るつもりで(前提も間違ってるのですが)自ら蛇も呼び込んでるってものです。
そんなところも今見てスッキリ感じました(^^)←個人の感想です(笑)

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