ロバート・ネイサン著。
図書館ですぐさま借りてきてン十年ぶり?に再読。児童向け含めて結構色々な版があるのが凄い。
映画以上に抑えた、地味な小説なのに…。
映画と見比べると、映画のイーベンの方がより主体的に、ジェニイを探そうとしたり助けそうとしたりしている(映画という媒体を考えると、悪い判断ではないし、納得のいく程度の改変になっている)。原作小説のイーベンは、「現在は画家として認められている」ことをチラチラにおわせつつ“思い出”としてジェニーと共有した時間を語るので、時間的な距離感が心持ち遠くて、より渋くて地味なトーンの物語になっている。また、友人としてタクシー運転手だけでなく個性的な画家も出てきて、“芸術家とは”というテーマがより鮮明(映画では運ちゃんがハープを弾いたりちょっとだけ芸術的だったような…)。
不思議な恋の物語とともに、自分の才能や作品について心揺れる若い芸術家の心情が切なく伝わってくる。
これは中編といってよいほどの、わりと短めの小説で、創元推理文庫版だと同著者の「それゆえに愛はもどる」という中編が一緒に収録されている。
海辺の家に住む童話作家の男と子どもたちのところに、亡き妻に雰囲気の似た不思議な女性が訪れる話。女性が謎めいており、とても癒されるのになんだかとどめておけそうにない気配なあたりは共通した雰囲気があるので、「ジェニー」が気に入った人はするするっと読めることでしょう。
https://amzn.to/3jYYjAg
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映画以上に抑えた、地味な小説なのに…。
映画と見比べると、映画のイーベンの方がより主体的に、ジェニイを探そうとしたり助けそうとしたりしている(映画という媒体を考えると、悪い判断ではないし、納得のいく程度の改変になっている)。原作小説のイーベンは、「現在は画家として認められている」ことをチラチラにおわせつつ“思い出”としてジェニーと共有した時間を語るので、時間的な距離感が心持ち遠くて、より渋くて地味なトーンの物語になっている。また、友人としてタクシー運転手だけでなく個性的な画家も出てきて、“芸術家とは”というテーマがより鮮明(映画では運ちゃんがハープを弾いたりちょっとだけ芸術的だったような…)。
不思議な恋の物語とともに、自分の才能や作品について心揺れる若い芸術家の心情が切なく伝わってくる。
これは中編といってよいほどの、わりと短めの小説で、創元推理文庫版だと同著者の「それゆえに愛はもどる」という中編が一緒に収録されている。
海辺の家に住む童話作家の男と子どもたちのところに、亡き妻に雰囲気の似た不思議な女性が訪れる話。女性が謎めいており、とても癒されるのになんだかとどめておけそうにない気配なあたりは共通した雰囲気があるので、「ジェニー」が気に入った人はするするっと読めることでしょう。
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コメント
そうだ。アメリカのディキンソンという詩人は亡くなるまで無名だったそうです。作品の発表はほとんどなく、せっかくつくったのに密かに保管していた。死後遺族がそれを見つけ、発表して有名になったわけです。美談ですがディキンソンさん自身は発表を望んでいなかったのでは。
わたしらが見ている芸術作品、氷山の一角かもしれません。
このネイサンはどこまでも男性画家目線ですし、謎は謎のまま、少女は消えてしまうのですが、萩尾望都もこれを裏返しにしたような印象的な作品を描いていて、かつ女性の方の思いに切り込んでいたのが印象的でした。
そして白状すると「あの萩尾センセの作品はなんて題名だったかしら…」ともやぁっと悩みながら読んでいた私でした(笑)
今日あらためてぐぐってみると、簡単に題名は確認できましたが…
やはり女は女の子の心情がどうだったのか気になるってことかな。そのぶん、芸術というテーマからは離れて、とことん恋の物語になっていました。
高畑京一郎の
「タイム・リープ」
は御存じですか。コメディですが
「テルマエ・ロマエ」
も一族かもしれません。
おすすめですか?だったら読んでみようかな。
わたしは、山本弘という人のSF小説紹介本でこの作品を知りました。この紹介本なんとも珍妙でした。しかしたのしかった。熱気が凄くてね。ウム、ひろしくんは(山本先生だとしっくりこないです)心の底からSFが好きなんだね?
私自身もSF好きだから、ハミルトンとか取り上げてくれるとホントなつかしくて良かったですけどね。