ジェニイの肖像
1948年、ウィリアム・ディターレ監督作品。
(Amazonのプライムビデオで見てみました。…一時よりは、クラシック映画が増えたみたいで嬉しい)

1938年冬のニューヨーク。売れない貧しい画家イーベン(ジョセフ・コットン)は、公園で不思議な少女ジェニイ(ジェニファー・ジョーンズ)に出会う。ちょっと昔風の服装で、人懐っこさと謎めいた表情を交互に見せる彼女に惹かれたイーベンは、彼女の絵を描き始め、それが画家として認められる契機にもなる。だが、奇妙なことに、出会うたびに彼女は、一年も二年も離れていたかのように、あり得ない早さで成長していた。美しい若い娘に成長したジェニイと恋に落ちたイーベンは、「時間」に隔てられているがごとき彼女を探しだそうとするのだが…

ロバート・ネイサンの原作は学生時代に読んだことがある(細部は忘れているが)。夢幻的な、ロマンチックな恋物語。
不思議な少女に振り回される貧乏画家を、(私的には美男じゃないと思うんだけど)紳士的な物静かな佇まいで1940~50年代人気があったコットンが演じ、子供から二十代前半までのジェニイをジョーンズがふわふわと演じている。必ずしも好きなスター同士ではないので見そびれていたが、なかなかいい感じだった。

風景を、キャンバス地を透かしてみるような演出が時々はいり、たっぷりのナレーションを入れながら物語が進む。ジェニイがどこから来るのか全然わからずもどかしい展開に、昔の白黒映画ならではのさびしくてゆったりしたテンポがよく合っていた。

音楽も、ドビュッシーが使われているとの記載とともに、バーナード・ハーマンの名があった。ハーマン、どうしてこんなにも、夢幻的な、時には妄執的な、普通でないロマンチックな恋愛にむちゃくちゃはまるんだろう…ウルウル
もっと後だけど「めまい」とか「愛のメモリー」とか…

今となっては、時間をからめた恋愛ファンタジイは色々出ているけれど、この物語こそ元祖だと思うし、やっぱりいいなあ。

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コメント

nophoto
ホーリー
2020年11月1日9:22

おはようございます(^-^)
「ジェニーの肖像」は昔観て、最近アマプラで再鑑賞したばかりです。
「わが青春のマリアンヌ」や「想い出のマーニー」のような不思議な作品でした。
ジェニファー・ジョーンズの演技力は観るものに大変共感を与えると思いました。幽霊でも怖くないし、可哀想な私、的にならない感情表現。。
だから好きです。
ジョセフ・コットンもいわゆる「普通の男」を演じるとリアルで良いですね。
クラシック映画には文学の香りがするけれど、人間ドラマが今より凝縮され古さを感じません。
感性が潤う…

そういえば、ウィドマークを好きになった理由の一つに“悪役でも、その裏にある人間の悲しさや怒り”が感じられるから。
「イエロースカイ」や「復讐鬼」など、ちょっとしたセリフにそれが滲むのでグイグイ引き込まれました。

ボースン
2020年11月2日0:52

こんばんわ!
今の若い人だと白黒でなんて考えられないかもしれないけど、昔のモノクロ時代の名画は、演出といい、雰囲気といい、一味違った魅力がありましたね。
もちろん、特に出来の良いものが生き残っているというのはあるでしょうが…

モノクロだからというわけでもないけど、ついつい、最近の映画より、半世紀も前の映画を追いかけがちな私です(笑)
(ウィドマーク様の映画は、綺麗な金髪が味わえるのでカラーも大歓迎ですが♪)

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