1978年、ブライアン・デ・パルマ監督作品。BSで録画してたのを思い出して視聴。サイキック・スパイ・サスペンスとでもいうか…?
健全?なスパイ・アクションと、デ・パルマ流のロマンティック超能力スプラッタのせめぎ合う独特の雰囲気のある作品。
私スプラッタは嫌いだけど、デ・パルマはちょっと例外。
元諜報員ピーター(カーク・ダグラス)の十代の息子ロビン(アンドリュー・スティーヴンス)は、超能力を持っていたため、それを利用しようと考えたスパイ組織のボス・チルドレス(ジョン・カサベテス)に誘拐される。組織の息のかかった超能力研究所に勤めるヘスター(キャリー・スノッドグレス)や、超能力の萌芽に悩んで研究所を訪れた少女ジリアン(エイミー・アーヴィング)の助けを借りて、ピーターは救出計画を実行するが、組織に薬漬けにされたロビンの精神は既に壊れかけていた…
デ・パルマだし、流血とサイコとスプラッタは仕方がない、と思いながら見るわけですが、さすがは御大カーク・ダグラス。60代に入ったばかりでまだ結構元気でムキムキで、アクションのついでに結構なユーモアも振りまきます。パンツ一丁で隠れ家の窓から逃亡したり、飛び込んだよその家のおばあちゃんと意気投合したり…かなりイイです。この健全さは、デ・パルマから予想するサイコやスプラッタや心の闇とかとミスマッチで、この映画の前半の好きなところです。
とはいえ、ちょっと過剰なくらいの息子愛。冒頭シーンからしてビーチで息子といちゃいちゃ三昧。そして、そりゃもうすべてを犠牲にする勢いで救出へと向かうのですが、犠牲にしちゃうとなると、元々は健全な人ですから、その衝撃と心の痛みにドカーンと打ち据えられるところが、(デ・パルマ定評のあるところの)超長回しスローモーションの中でせつせつと、ひたすら無言の中で、これでもかとばかりに描かれます。ここが何度見てもむちゃくちゃ好き。
デ・パルマはヒッチコックと引き比べて語られることが多いようだけど、ヒッチよりよっぽど抒情的でウェットでメロメロに甘いと思うなあ。ほんと、そこが好きで、流血におびえつつも見てしまう。
まあ、この父性的でマッチョでユーモアのセンスすらあるカーク・ダグラスですら、結局デ・パルマ的暗い流血の世界には勝てないんですが…(ノд-。)クスン
ネットで見てると、「フューリー」は(同じデ・パルマの超能力スプラッタの「キャリー」と比べつつ)何このむちゃくちゃなストーリー!という声が多いようですが、私にとっては少なくとも途中部分は結構明るいアクションやサスペンスもあり~の、ウェットな(主に父性)愛の描写あり~の、結構気の利いた超能力演出シーンあり~の、で、個人的には美味しく感じる要素が色々あり、いまいち説明がすっ飛ばされてる部分は、それはそれで自分で妄想して楽しめてしまう、という、『ダメな子でも愛しい』というタイプの作品でした。
エイミー・アーヴィングの猫系美少女っぷりや、いっとき目立ってたチャールズ・ダーニングの研究所長も時代感あってイイです。
昔映画館で見た後、何度かTVの録画で見直したりしてる映画です。虚実日誌にもとっくに書いてると思ったのに、さっき索引見たら無かった。意外。
たぶんまた何年かして、機会があったら、「フューリー」はまた見てしまうんじゃないかと思います。「キャリー」はもういいけど(一応見てますよ、こっちもね)。
それにしてもカーク・ダグラス。
ほんとに今年の二月までご存命だったんですよね(享年103歳)。
特別好きなスターというほどではなかったものの、特別好きな時代のスターでした。
(遅ればせですが)合掌。
https://amzn.to/2AmnlYP
健全?なスパイ・アクションと、デ・パルマ流のロマンティック超能力スプラッタのせめぎ合う独特の雰囲気のある作品。
私スプラッタは嫌いだけど、デ・パルマはちょっと例外。
元諜報員ピーター(カーク・ダグラス)の十代の息子ロビン(アンドリュー・スティーヴンス)は、超能力を持っていたため、それを利用しようと考えたスパイ組織のボス・チルドレス(ジョン・カサベテス)に誘拐される。組織の息のかかった超能力研究所に勤めるヘスター(キャリー・スノッドグレス)や、超能力の萌芽に悩んで研究所を訪れた少女ジリアン(エイミー・アーヴィング)の助けを借りて、ピーターは救出計画を実行するが、組織に薬漬けにされたロビンの精神は既に壊れかけていた…
デ・パルマだし、流血とサイコとスプラッタは仕方がない、と思いながら見るわけですが、さすがは御大カーク・ダグラス。60代に入ったばかりでまだ結構元気でムキムキで、アクションのついでに結構なユーモアも振りまきます。パンツ一丁で隠れ家の窓から逃亡したり、飛び込んだよその家のおばあちゃんと意気投合したり…かなりイイです。この健全さは、デ・パルマから予想するサイコやスプラッタや心の闇とかとミスマッチで、この映画の前半の好きなところです。
とはいえ、ちょっと過剰なくらいの息子愛。冒頭シーンからしてビーチで息子といちゃいちゃ三昧。そして、そりゃもうすべてを犠牲にする勢いで救出へと向かうのですが、犠牲にしちゃうとなると、元々は健全な人ですから、その衝撃と心の痛みにドカーンと打ち据えられるところが、(デ・パルマ定評のあるところの)超長回しスローモーションの中でせつせつと、ひたすら無言の中で、これでもかとばかりに描かれます。ここが何度見てもむちゃくちゃ好き。
デ・パルマはヒッチコックと引き比べて語られることが多いようだけど、ヒッチよりよっぽど抒情的でウェットでメロメロに甘いと思うなあ。ほんと、そこが好きで、流血におびえつつも見てしまう。
まあ、この父性的でマッチョでユーモアのセンスすらあるカーク・ダグラスですら、結局デ・パルマ的暗い流血の世界には勝てないんですが…(ノд-。)クスン
ネットで見てると、「フューリー」は(同じデ・パルマの超能力スプラッタの「キャリー」と比べつつ)何このむちゃくちゃなストーリー!という声が多いようですが、私にとっては少なくとも途中部分は結構明るいアクションやサスペンスもあり~の、ウェットな(主に父性)愛の描写あり~の、結構気の利いた超能力演出シーンあり~の、で、個人的には美味しく感じる要素が色々あり、いまいち説明がすっ飛ばされてる部分は、それはそれで自分で妄想して楽しめてしまう、という、『ダメな子でも愛しい』というタイプの作品でした。
エイミー・アーヴィングの猫系美少女っぷりや、いっとき目立ってたチャールズ・ダーニングの研究所長も時代感あってイイです。
昔映画館で見た後、何度かTVの録画で見直したりしてる映画です。虚実日誌にもとっくに書いてると思ったのに、さっき索引見たら無かった。意外。
たぶんまた何年かして、機会があったら、「フューリー」はまた見てしまうんじゃないかと思います。「キャリー」はもういいけど(一応見てますよ、こっちもね)。
それにしてもカーク・ダグラス。
ほんとに今年の二月までご存命だったんですよね(享年103歳)。
特別好きなスターというほどではなかったものの、特別好きな時代のスターでした。
(遅ればせですが)合掌。
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