2016年、デイミアン・チャゼル監督作品。

とても良かった。私のようなオールドシネマ好きには・・・・
とりあえずサウンドトラックのurl。家に帰って何度も聞いてしまいました(笑)

https://www.youtube.com/watch?v=8C2MAUeNFz4

オープニングは、ハリウッドへ向かう高速道路の大渋滞風景。動かなくなった車列から、鬱陶しげにひとりが降り立ち、歌い始める。周囲は誰もかれもが夢を抱いてハリウッドへ向かうものばかり。故郷を、恋人を置いてひたすらに夢の都へ邁進する男女の歌と群舞。
そんな車列の中に主人公たちもいる。女優志願のミア(エマ・ストーン)と、ジャズピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)。
ちっともロマンティックでない出会い方の二人が、やがて恋に落ち、夢に向かう互いを励まし合う。だが、夢をかなえるまでの道が平坦なわけはない。互いを思うが故の言葉がすれ違いも生む。

(あんなに素敵なサプライズを用意してくれていたのに、それがあんな展開を呼ぶとは・・・)・

リアリズムだ・・・・

夢を追う二人の恋物語はオシャレで楽しく、けれどもリアリズムの苦さを備えている。
そこへミュージカルの手法をうまく組み入れて、楽しさと切なさの両方をパワーアップ。
特にラストの走馬燈なシークェンスはみごと。昔の色々なミュージカルの思い出がこれでもかというほど詰め込まれてクラクラするようにできている。
ぐぐぐっと涙を誘われながら、あ、あれ絶対「パリの恋人」だよ!とか小さくガッツポーズをしていた自分・・・・昔の色々なミュージカルへのオマージュを期待して行ったんだけど、その点でも満足しました。
ダンスは基本長回しで、全身入れる感じで撮っている。アステア・ミュージカル、MGMュージカルの時代を思わせる撮り方で、落ち着いて見られるのが嬉しい。
そして、すごくたくさんあるんだけれどもパクリと感じさせず、「連想させる」にとどめる引用の仕方が心憎い。
監督の並々ならぬセンスに脱帽。

それにしても、セブの大事にしてる椅子がいきなりホーギー・カーマイケルだもんなあ。
(セブは昔ながらのフリージャズを愛して、「自分の好きなジャズ」の店を持ちたいと思っているのだ)
デートの映画が「理由なき反抗」だもんなあ。
(ミアは女優だったおばと古い映画をよく見ていたことがあるらしい。「汚名」とか)
若い人はいきなり言われてもわからないだろうなあ。
ミュージカル以外でも、やたら昔のものへの愛着が物語の中に出てくる。

それだけに、オールドファンほど行ってトクした気分になると思う。
何書いてもそのへんネタバレになるので・・・・あえて書かない。

新しいものじゃなきゃ見る価値がないと思っている人には向かないかもしれないが、・・・・久々に映画館へ駆けつけてみて、ほんとによかった。大満足でした。

コメント

nophoto
ヤマ
2020年8月23日11:44

ボースンさん、こんにちは。
 先の拙サイトの更新で、こちらの頁を例の直リンクに拝借したので、報告とお礼に参上しました。
 けっこう毀誉褒貶いちじるしい作品だったように思いますが、「パクリと感じさせず、「連想させる」にとどめる引用の仕方が心憎い」とお書きのセンスの良さを僕も感じました。特に後半が良かったです。お書きのように「オールドファンほど行ってトクした気分になる」のかもしれませんね(笑)。
 どうもありがとうございました。

ボースン
2020年8月24日3:44

こんばんわ、ヤマ 様♪
リンクとお知らせありがとうございます~m(__)m
ラ・ラ・ランド、私大好きなのですが、確かに好き嫌いは分かれそうな作品ではありますね。
ミュージカルですしね~(日本人はミュージカルアレルギーのある人が一定数ある模様)
それも昔風ミュージカル要素の玉手箱ですしね~(汗)
でも、そこがいい(笑)
主役二人そんなに歌と踊りのレベル高くなくても、雰囲気は監督がうまく整えてるし。

なにより昔のシネ・ミュージカルのポップな人工的キラキラ感が、儚い恋の“if”の幻にぴったりで泣かせます(私的には)

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