【文楽】通し狂言・菅原伝授手習鑑 第二部
【文楽】通し狂言・菅原伝授手習鑑 第二部
満を持しての、とは言い難いが(結局昨日もズルズル、寝たのは2時だった)、久しぶりに時間休もらってシゴト早めに抜けて、文楽第二部へ。
引退を表明した住大夫さんの出番ありということで最近は珍しくも人形でなく住大夫さん写真入りチラシも出回っている…

急に体調を崩して休んだ人もいたので、午前中は大混乱だったが午後はまずまず、で、予定通りに出る。但し私の体力は混乱でいっそうぐだぐだに。ちょっとだけ時間の余裕があったので、職員の休憩室の畳でヒソカに20分だけ(タイマーかけて)横になる…ちゃんと意識飛びました(笑)
20分でも寝ると違うね。いやー、こんなとこでちゃんと寝れるんだね自分。さすがだ(違)

というわけで、昨日同様5時間近い観劇が、ぜんぜん寝落ちなしにばっちりじっくり、堪能しました~!昨日より大仕掛けな場面、大泣き場面など、やはり後半の方が派手だったしね。
このぶんでいくと、そのうちいつかは、一日でちゃんと「通し」を見れるようになるんじゃないかいな。
元々私は、このトシでまだ腰をヤったことはない。ラッキー。

今日のおはなしは、昨日第一部で筑紫に流されることになってしまった菅公と、それぞれ主人に従い運命の転変に翻弄される三つ子のその後。
菅原道真、ライバルの藤原時平、道真の養女と恋仲の親王(このスキャンダルで時平が道真を陥れるきっかけを掴む)と、それぞれ対立する三者を主に持ち、立場上対立しあうことになる三つ子の松王丸、梅王丸、桜丸。彼らは父親の長寿の祝いに集まることになるのだが…
このおとっつぁんが朗らかで愛嬌のある老人で、嫁たちとも仲良しでイイ感じ、の祝いの席から一転して…の桜丸切腹の段。住大夫さんはココ。明るい調子の前半から、突然桜丸が奥から姿を見せると、老爺は実は懊悩を隠して明るく振舞っていたとわかり、一気に涙腺を緩まされる。誰かが書いてたけど、やっぱり住大夫さんに「なんまいだ」言わせると、もうなんちゅうか誰も勝てないですね。そしてここの桜丸は珍しく蓑助さんが遣ってた(他の段は清十郎さんだったと思うが)。ヨメの八重もこのへん文雀さんに変わってた。人間国宝大盤振る舞い…
文楽鑑賞歴まだ2年いってない私としては、蓑助さんの男役初めて見た気がします。まあ桜丸は兄たちに似ず線の細い美青年なので、ほとばしる薄倖感がよろしかったですが…
ほろりとしたところで、筑紫へ行った菅公と梅にまつわるあれこれ、雷公になるあれこれが。うわーすごい、凄い迫力、火を噴いてるし…
そしてラストの寺子屋。
忠義のためにと子を犠牲にする親の姿は、現代では「もってのほか」としかいいようもないだろうが、価値観は時代により変わるもの、時代の価値観に追いつめられて何よりも大切な家族を犠牲にする夫婦の悲しみには、やはり涙を誘われる。嶋太夫さんの語りもどーんと胸に響いておなかいっぱい。

今日後半はバリバリに勘十郎さん(=松王丸)の目立ちまくる内容で満足でした。
しかし松王丸、舎人にすぎないと思うのに、話が進むにつれてどんどん、なんかすごく派手に…(チラシ画像参照)
首実検の場なんか何者?というくらいキンキラの衣装にしかも「病気だ」って駕籠に乗ってやってきて刀を杖替わりにしている。何が何だかよくわからない。
文楽の筋って、なんだか、「こーゆー見せ場を作ってみたい」と考えた作者が、転を真っ先に考えてから、後付でいろんな理屈や原因や伏線を強引に付け加えて作ってるとしか思えないところがありますね。はらはら泣きつつそんなことも考える。場内けっこうハナをすする音があちこちで。ちなみに欧米人は鼻をかむのはOKだけど鼻をすするのはNGだと聞いたことがあります…文楽って、かならず外人さんも聞きに来てるの見るけど今日は特に多いような気がしましたが、みなさん如何。

たんのうしまくって、ぶらぶらと階段を下りてゆく。数メートル先に職場の知り合いに似た後姿をみかけて目で探しつつ、西側出口へさしかかって、目を疑った。

出口のすぐ外、マフラーまいて(いや今日は割と寒さが戻っていたが)、出てくる人待ち顔でさりげなく立ってるの、えええ?玉女さんいや襲名なさったから玉男さん!!!???

こんなところになんで今日の菅公がーーー!?
(最後の「寺入り」「寺子屋」の二つの段には菅原道真は出てこないので、見間違いとかいうのはあっても、時間的には無問題!)

「えっ、たまめ(お)さんっ?」と口の中でつぶやきつつ反射的に会釈(今日の感謝のこもった)をすると、なんと軽く会釈を(誰かわからないなりに)返してくださいました。
まあ舞台に立つお仕事をしてたら、知らない人から会釈とか挨拶とかかけられるなど、いくらも経験おありでしょう。

うわーうわーうわー、目が合っちゃったー、会釈まで…すごくトクした気分。
私服(洋服)でも同じように謹厳誠実な雰囲気です。

しかしみんな気が付いていなかったような。それともプライベートを大事にするがゆえ、みな気が付かないフリをしていたのか(無粋ですいません)。

ああ、いい一日だったなあ…
ミーハーな私です…(^^;)

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索