1965年、ブレイク・エドワーズ監督作品。
スカパー(イマジカBS)で視聴。
映画ファンになったかならなかったか…な中学生の頃、TV放映の記事を読んで、見たいな~と思って以来、ようやくようやくようやく見るチャンスが巡ってきました!!年度末最後の大仕事(大袈裟)がひとつ終わったのでお祝いのようなもん。自分的には「ついに!」感満載。
まあ、本気で調べりゃVHSでもDVDでも出たことはあった筈なんですけどそこまで本気出してなかったのは…いやね、ブレイク・エドワーズですからね。オシャレなコメディが得意という事になってますが、案外ハズしちゃうことも多い地雷カントクですからね(^^;)
そう、わかってたんです。たぶん結構泥臭いんじゃないかって。キャストも、強力だけど、特別好きなスターが出てるって程でもない。
ただ主題歌“The Sweet-heart Tree”はノスタルジック&ロマンチックで大変結構。エドワーズのオシャレ感って、9割方はほとんどコンビ状態の作曲家ヘンリー・マンシーニによるものなんじゃないかってくらいで。これもラジオでカセットテープに録音したものを繰り返し聞いたもんでした。この曲はイイです。マンシーニにしちゃ素朴な所もイイ♪
20世紀初頭のアメリカ。レスリー(トニー・カーティス)は人気沸騰中のモテモテ冒険家(兼奇術師?)。スピード記録に挑んだり、危険な脱出劇をこなしたりと様々な興業を成功させ、そして今度は自動車会社をスポンサーに頼んでNY~パリ長距離自動車レースに挑もうとしていた。彼にライバル意識をもやす発明家のフェイト教授(ジャック・レモン)も、助手のマックス(ピーター・フォーク)と共に、自作のスーパーカー(妙な機能や武器てんこもり!)でレースに出場し、次々卑怯な手を繰り出してはレスリーを陥れようとする。
一方、NYのセンチネル新聞社には、初の女性記者としての採用を求めるマギー(ナタリー・ウッド)が押しかけていた。マギーは特派員としてレースを取材するため、自分も自動車レースに参加する。彼女の車は早々にポシャるが、抜け目のない彼女は策を弄してレスリー達についてくる。百戦錬磨のレスリーの口説きにも落ちない彼女は、レスリーVS教授の一騎打ち状態となったレースの中で、ジョーカー的存在でもあった…
まず、オープニングのタイトルバックが楽しい。イラストはあくまでお洒落。かなり昔の映画上映のように、時々画面がズレたり燃えたりとユーモアもたっぷり。
本編が始まってからは、さすがに冒頭「ローレル&ハーディに捧ぐ」と出るだけあって(サイレントからトーキーにかけて活躍していたドタバタ喜劇のコンビである、念のため)、失敗ばかりの悪役二人組の描写にちょっとしらじらしいほどのドタバタが続いて、ヌル~い目で「おやおや?」とか呟きつつ付き合うことになるが、そのうちだんだん慣れてきて、時々は笑えるようになってくる(パイ投げなんか今どき笑えないが、体を張ったギャグが綺麗にタイミングよく決まった時や、意外なタイミングで笑いを取りに来た時など)。
なんか「粋」ではなく「力技」で押し切られたような感じだが、ゴージャス感は間違いなくあるので、のんびりノスタルジック気分を楽しみつつ見るには悪くない。NYから西部、アラスカ、ベーリング海経由でヨーロッパへと抜ける道中の、あちこちで大騒ぎが発生し、ナンセンス・コメディを見る位の姿勢で丁度良い。
常に純白の衣装でヒーローぶりをアピールするカーティスは、十八番のC調プレイボーイ役で危なげない。アクションも多々あり、剣戟シーンのサービスまであり。笑うと瞳や白い歯がキラーン、とか、演出の方もふざけまくっている。悪役二人組は基本黒衣で腹黒さをアピール。レモンは二役もやって大奮闘だが、けたたましさにちょっと引く(笑)“ドタバタだけさせておくのも勿体ない”感がにじむし…
意外といい味出しているのがピーター・フォーク。刑事コロンボにはほど遠い時代、寡黙なオバカ助手をひたすら淡々と演じて、レモンと好対照。中盤で発揮される、教授への忠誠の深さには感じ入るし、思わぬ大活躍には拍手したくなった。
カーティスの助手役キーナン・ウィンもいかにも手堅い。
そしてヒロインのナタリー・ウッド!女性の権利や社会参加を求めて戦う闘士でありつつ、女の武器もさりげに利用しちゃう、したたかでチャッカリしたお洒落なヒロイン像が魅力的。本社に記事を送るため、伝書鳩を飛ばす姿なんかなんとも可愛い。20世紀初頭の婦人参政権運動の高まりを物語のアクセントに使って(前半では新聞社の編集長の奥さんもデモってたりする)、強い女の登場するコメディが増え始めた60年代らしいヒロイン像だ。
カーティスといがみ合っても、どうせ最後にくっつくのは目に見えているが、こういうお気楽ラブコメはやっぱりいいねえ、のどかで。ラブシーンの描写にはまだまだ節度を保ってる…ラブシーンはあってもベッドシーンはろくにない時代。その分逆に工夫もあるし(笑)
最後の壮大?なオチまで、のんびりと楽しみました。
2時間半余のちょっと長めのオハナシですが、退屈はしないです。多分(笑)
トレイラーはこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=cuxL4WW97Io
ついでにオープニングのクレジット・タイトルも↓
http://www.youtube.com/watch?v=qO9k60u46xU
スカパー(イマジカBS)で視聴。
映画ファンになったかならなかったか…な中学生の頃、TV放映の記事を読んで、見たいな~と思って以来、ようやくようやくようやく見るチャンスが巡ってきました!!年度末最後の大仕事(大袈裟)がひとつ終わったのでお祝いのようなもん。自分的には「ついに!」感満載。
まあ、本気で調べりゃVHSでもDVDでも出たことはあった筈なんですけどそこまで本気出してなかったのは…いやね、ブレイク・エドワーズですからね。オシャレなコメディが得意という事になってますが、案外ハズしちゃうことも多い地雷カントクですからね(^^;)
そう、わかってたんです。たぶん結構泥臭いんじゃないかって。キャストも、強力だけど、特別好きなスターが出てるって程でもない。
ただ主題歌“The Sweet-heart Tree”はノスタルジック&ロマンチックで大変結構。エドワーズのオシャレ感って、9割方はほとんどコンビ状態の作曲家ヘンリー・マンシーニによるものなんじゃないかってくらいで。これもラジオでカセットテープに録音したものを繰り返し聞いたもんでした。この曲はイイです。マンシーニにしちゃ素朴な所もイイ♪
20世紀初頭のアメリカ。レスリー(トニー・カーティス)は人気沸騰中のモテモテ冒険家(兼奇術師?)。スピード記録に挑んだり、危険な脱出劇をこなしたりと様々な興業を成功させ、そして今度は自動車会社をスポンサーに頼んでNY~パリ長距離自動車レースに挑もうとしていた。彼にライバル意識をもやす発明家のフェイト教授(ジャック・レモン)も、助手のマックス(ピーター・フォーク)と共に、自作のスーパーカー(妙な機能や武器てんこもり!)でレースに出場し、次々卑怯な手を繰り出してはレスリーを陥れようとする。
一方、NYのセンチネル新聞社には、初の女性記者としての採用を求めるマギー(ナタリー・ウッド)が押しかけていた。マギーは特派員としてレースを取材するため、自分も自動車レースに参加する。彼女の車は早々にポシャるが、抜け目のない彼女は策を弄してレスリー達についてくる。百戦錬磨のレスリーの口説きにも落ちない彼女は、レスリーVS教授の一騎打ち状態となったレースの中で、ジョーカー的存在でもあった…
まず、オープニングのタイトルバックが楽しい。イラストはあくまでお洒落。かなり昔の映画上映のように、時々画面がズレたり燃えたりとユーモアもたっぷり。
本編が始まってからは、さすがに冒頭「ローレル&ハーディに捧ぐ」と出るだけあって(サイレントからトーキーにかけて活躍していたドタバタ喜劇のコンビである、念のため)、失敗ばかりの悪役二人組の描写にちょっとしらじらしいほどのドタバタが続いて、ヌル~い目で「おやおや?」とか呟きつつ付き合うことになるが、そのうちだんだん慣れてきて、時々は笑えるようになってくる(パイ投げなんか今どき笑えないが、体を張ったギャグが綺麗にタイミングよく決まった時や、意外なタイミングで笑いを取りに来た時など)。
なんか「粋」ではなく「力技」で押し切られたような感じだが、ゴージャス感は間違いなくあるので、のんびりノスタルジック気分を楽しみつつ見るには悪くない。NYから西部、アラスカ、ベーリング海経由でヨーロッパへと抜ける道中の、あちこちで大騒ぎが発生し、ナンセンス・コメディを見る位の姿勢で丁度良い。
常に純白の衣装でヒーローぶりをアピールするカーティスは、十八番のC調プレイボーイ役で危なげない。アクションも多々あり、剣戟シーンのサービスまであり。笑うと瞳や白い歯がキラーン、とか、演出の方もふざけまくっている。悪役二人組は基本黒衣で腹黒さをアピール。レモンは二役もやって大奮闘だが、けたたましさにちょっと引く(笑)“ドタバタだけさせておくのも勿体ない”感がにじむし…
意外といい味出しているのがピーター・フォーク。刑事コロンボにはほど遠い時代、寡黙なオバカ助手をひたすら淡々と演じて、レモンと好対照。中盤で発揮される、教授への忠誠の深さには感じ入るし、思わぬ大活躍には拍手したくなった。
カーティスの助手役キーナン・ウィンもいかにも手堅い。
そしてヒロインのナタリー・ウッド!女性の権利や社会参加を求めて戦う闘士でありつつ、女の武器もさりげに利用しちゃう、したたかでチャッカリしたお洒落なヒロイン像が魅力的。本社に記事を送るため、伝書鳩を飛ばす姿なんかなんとも可愛い。20世紀初頭の婦人参政権運動の高まりを物語のアクセントに使って(前半では新聞社の編集長の奥さんもデモってたりする)、強い女の登場するコメディが増え始めた60年代らしいヒロイン像だ。
カーティスといがみ合っても、どうせ最後にくっつくのは目に見えているが、こういうお気楽ラブコメはやっぱりいいねえ、のどかで。ラブシーンの描写にはまだまだ節度を保ってる…ラブシーンはあってもベッドシーンはろくにない時代。その分逆に工夫もあるし(笑)
最後の壮大?なオチまで、のんびりと楽しみました。
2時間半余のちょっと長めのオハナシですが、退屈はしないです。多分(笑)
トレイラーはこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=cuxL4WW97Io
ついでにオープニングのクレジット・タイトルも↓
http://www.youtube.com/watch?v=qO9k60u46xU
コメント
私は若い頃のジャック・レモンが嫌いですが、この映画のレモンは結構好きです。
この作品は、私が当時住んでいた関西の小都市の映画館で1966年に観ています。
まだあまり映画を観ていなかった少年には十分面白い映画でした。
日本ではどうだったか記憶していませんが、オリジナルの70mmで観たかったです。
あと、ナタリー・ウッドってどうもいけずな感じがしてあまりすきじゃないです。
話は全く変わりますが、今朝の読売新聞に佐藤允の追悼記事がありまして、そこに「佐藤允はジャン・ギャバンの大ファンだった」とありました・・・・・・。
ちなみに私にとっては、まだ映画を見ていなかった小学生の頃見た映画、初体験的な印象の映画というと、よく「グレートレース」と並び称される「素晴らしきヒコーキ野郎」です。
>あと、ナタリー・ウッドってどうもいけずな感じがしてあまりすきじゃないです。
あはは、この映画のウッドは強気も強気ですから、少年時代に刷りこまれてしまったのでしょうか?
彼女は「求婚専科」でも、トニー・カーティスとにぎやかにやりあっていましたよね。でもフィルモグラフィを見直してみたら、意外とそういう60年代的ロマコメ(「求婚専科」はもう少し艶笑喜劇っぽかったかもですが…)は他にほとんどなくって少々びっくりしました。
そしてカーティス、別に全然好きではないんですが、彼がこのようなC調プレイボーイ役を演じるコメディ映画を見ると、何とも懐かしくて嬉しくなってしまうのでした。広川太一郎吹替えがぴったりの、あんなノリって今はないですよねえ(笑)
先ず最初に見たのがTVでした。広川太一郎と愛川欽也の吹き替えが大爆笑で、ナタリーウッドも(小原乃梨子だったと思いますが)吹き替えのおかげですごく素敵に見えましたネ。
渋谷の名画座で「フラバー」と2本立てでかかっていた時も2度観に行っちゃいました・・・・私、ジャック・レモンが好きなんです。
で、この映画、ボースン様の仰る通り、音楽が素晴らしいです。
当時小学生でしたが、サントラLPを買っちゃいました。なかでもドロシー・プロヴァインが歌う、昔の西部のバラッド風のHe Shouldn’t-A, Hadn’t-A, Oughtn’t-A Swang On Me がお気に入りでした。
エドワーズの映画にはマンシーニの音楽と、ジョーニー・マーサーの詞が絶対必要ですね~。
ところでエドワーズ&マンシーニと言えば、ピンクの豹のこの歌もお気に入りですMeglio Stasera
またこれからサントラ聴きます!
この放送を見たずっと後、「刑事コロンボ」でピーター・フォークという俳優を認識し、「グレートレース」に出てたんだ、気づかなかった、と驚いたもんです。
ちなみにこのジャック・レモンとピーター・フォークのコンビぶりが、「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王とケンケンのモデルになった…と勝手に思っています。
トニー・カーティスとジャック・レモンはやっぱり、広川太一郎さんと愛川欽也さんが鉄板ですよねー!
>ところでエドワーズ&マンシーニと言えば、ピンクの豹のこの歌もお気に入りですMeglio Stasera
「ピンクの豹」は、マンシーニの中でもとびきり都会的な魅力の名作ですね。ピーセラのクルーゾー警部もちょっと泥臭いと思うのですが、ピンクパンサーのテーマやMeglio Staseraが、びんびんに引き立ててくれています(*^^*)
>ちなみにこのジャック・レモンとピーター・フォークのコンビぶりが、「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王とケンケンのモデルになった…と勝手に思っています。
まさに忠犬(忠ケンケン?)マックスですね。
消えたご主人様を探し出そうと、中盤で突如たのもしくなっちゃうフォーク!でもひょっとしたら放っておいたほうが、レースで優勝できたかも…なのがやっぱりマックスクォリティ。
今、急に、何かあるとジャック・レモンが「マーックスー!」と叫ぶ、というギャグを思い出しました。親分が子分の名前を思い切り叫ぶって、その後もほかの映画で見たりしていますが、私にとっては「グレートレース」が原体験かもしれません。ほかの映画って、今は「スーパーマン」でジーン・ハックマンが小池朝雄の声で「ミス・ティッシュマーカー!」って叫ぶとこしか思い出せませんが(このティッシュマーカーって名前もうろ覚え)。
ところでブレイク・エドワーズ監督って、ギャグがくどくて泥臭いと指摘されているのを読んだことがあります。「スイッチ」って作品のLDの解説だったと思うのですが。ボースン様のおっしゃる通り、エドワーズ監督の「洗練されている」ってイメージは音楽の力が大きいのでしょうね。いえ、私は泥臭いエドワーズ監督のコメディは泥臭いから好きなんですけど。
悪のボスって、よく叫びますね。よく「そういう場面」を見た気が私もするのですが、でも、やっぱり私も具体的には思い出せません(笑)
>ところでブレイク・エドワーズ監督って、ギャグがくどくて泥臭いと指摘されているのを読んだことがあります。
ピンクパンサーで組んだピーセラが泥臭いような気がする…
まあそれはともかく、泥臭いからといって必ずしもダメなわけじゃないですよね。結局は「好み」でしょう。
特にメル・ブルックス、彼もよく泥臭いとか言われてるし私もそれは認めますが、ブルックスは大好きです。泥臭さに力強い映画愛パワーを感じます…♪
今日はお休みなので家でまったり過ごしてます!
コメント遅くなりましたが「グレートレース」懐かしいな~。昔、よくテレビで放映されてましたよね。
あの頃の映画って、子供時代のすりこみのせいか、やっぱり吹き替えで見たくなりますよね。広川太一郎とか。(笑)
「素晴らしきヒコーキ野郎」は、私、「グレートレース」より好きかもです!
何だかまた見たくなってきた~。
最近、ハンナ・バーバラプロのアニメについてちょと調べる機会があったのですが、オベリックスさんが指摘されてる通り、「チキチキマシン~」は「グレートレース」のイメージからの派生作品なんだそうですよ。
ブラック魔王とケンケンね。(笑)
こちら関西では、いつもテレビ東京のラインナップに指をくわえていたものでした。関東でしか放映されないのに、メジャーな映画雑誌にデカデカと予定がのるんですもん。キー。
ヒコーキ野郎の方は、結構何度もTVで見れたんですけどね。
話は「素晴らしきヒコーキ野郎」の方が出来がいいかもと思います。主題曲もノリがよく楽しかったですね。普通に冒険映画としてのデキの良さですね。ただ、キャスティングの華やかさはやはり「グレート」!(*^^*)