またまた行って来ました、国立文楽劇場。
今回も3列目だが、1/7に比べると数席ぶん端の方に寄ってたので前ほどイイ席とはいえない。家族三人分とったから、一人分でとろうとするよりイイ席とるのは難しい(^^;)
まあそれでも、このくらいの列だと、オペラグラスなしでも結構OKなのがよろしい。
しかしいつか、中央のシマの5列以内に座って見て見たいものだ…
多分それがベストなのではないでしょうか。
中央列の最前列、となると、字幕は見にくいかもしれんので最前列にはこだわらず。

最初は、短い「団子売」。
お臼(うす)、杵造(きねぞう)という夫婦者が団子を作って売り歩き、めでたい歌詞で踊る。
そのまんまやん!という名前だが、意外にもお若いイケメンカップルだったので驚いた。
めでたいが、ちょっとエロい歌詞なような気も…夫婦円満とかもテーマなのねきっと。

次が「ひらかな盛衰記」より"松右衛門内の段""逆櫓の段"。
…盛衰記とは源平盛衰記。これも初めて見る演目です。前半は、巡礼の旅に出た先で捕物騒ぎに巻き込まれ、幼い孫槌松を他人の子と取り違えたまま連れて帰宅せざるを得なかった老船頭権四郎と娘のところへ、「うちの若君(実は故・木曽義仲の子だった)を連れ戻しに来ました」と一人のお女中が訪ねてきて…という話。老人の話はくどくどしいし、序盤はあまり盛り上がらなく感じたが、孫は若君と間違われて死んだと知らされて(しかも割と気づかいなしな態度で)、悲しみと怒りを爆発させるあたりで目がさめました。
…これはクレーム対応研修にもなるような案件でありますな。老人の話がくどいのはリアリズムかもしれん。
しかし、そのあと急に出てきた入り婿(但し死んだ子は前夫の息子で血の繋がりはなし)が、「実は、我こそ義仲の家来・樋口次郎兼光!槌松は我が忠義のために立派に死んだのだ!」と叫ぶと、権四郎も「知らない間に武士の親になっていたのなら、忠義のためで仕方がない」と、納得して気持ちを押さえてしまうのには呆然としました。えー江戸時代の人ってそれでいいの!?

後半では、義仲を討った義経の乗る軍船の船頭に化けて主君の仇をと目論んでいた樋口と、阻もうとする梶原景時の対決で、勇壮な船漕ぎあり、船頭たちの大乱闘あり、とダイナミックなアクションや舞台作りが面白く、加えてラストでは、権四郎の機転で若君は逃げのびるが、樋口は若君の件では安堵しつつも捕縛される、という、ある意味納得の落とし所で満足して終了。
…しかし、3人の人形が大きな櫂をふりかぶって打ち合うのって、背後で人形遣いさんたちが9人も必死で動き回っているんだなあ。コンビネーションの凄さに感動します…

最後は「本朝廿四孝」より"十種香の段""奥庭狐火の段"。
これは三浦しをんさんが「華やかで初心者に超オススメ」と書いていたので、今回一番の期待作でした。
幕が開いた時点で、文字通りとても華やかな"上杉家のお姫様の住むお屋敷"の舞台美術にまずウットリ。夏の「曽根崎心中」のあとは「仮名手本忠臣蔵」、新春公演第一部は「義経千本桜」のすし屋と「増補大江山」の戻り橋の先の小屋、そしてさっきは船頭の家、と、割と地味系の建物が続いたからなあ。
その中央にデーンと立ってる美青年、蓑作こと勝頼がまた浅葱にサーモンピンクと銀、という何ともラブリーファンシーな綺麗な色目、左隣の部屋の越元濡衣も、黒衣ながらゴールドが入って華がある、右の部屋では派手な朱色のうちかけに多段構えのキラキラ簪の八重垣姫。

…うーん、もはや少女漫画の世界ですわ、この華やかさ。(左右対称の舞台は、今回の席からでは遠い方の部屋がちょっと見えにくくて残念でしたが…)
というわけで、最初からノリノリな気分で見てしまいました。恋にとても前向きな八重垣姫、若さ(幼さ)と無垢な色っぽさがムチャクチャ可愛いですし。「可憐」という言葉がピッタリ。死んだと聞かされた婚約者にソックリな蓑作(実は本人)を見て浮足立ち、バタバタしている癖して品はあるし。ああもぅ、キャラクターまでかなり少女漫画。後半では諏訪明神のお使い・白狐が大活躍。この狐がまたなかなか可愛い。八重垣姫は窮地にある恋人を追って、白狐に憑かれることで人には不可能な凍結諏訪湖渡りを果たすのでした。

一瞬で白い衣装に変身し、狐っぽい所作で飛びまわる後半(次の段)の姫は、前半の吉田蓑助さんでなく王子様、いやさ蓑作を遣っていた桐竹勘十郎さんがこなしていましたが、スピード勝負なので少しお若い勘十郎さんに代わったということなのかな?
勘十郎さん、白狐をものすごい速さで跳ねまわらせていましたし、人形遣いさんて凄いなあ…

場内は、入った時はあれれ、7割くらいしか入ってない??といぶかしんだのに、「本朝廿四孝」の時には9割埋まっていたような。配役表を見ると、蓑助さん、三味線の鶴澤清治さんと、この演目に人間国宝が二人集中して入っていたからそのせいかもですね。4時から入るのは無理だけど、最後の「本朝…」だけでも観るから席抑えとこう、とか考えるファンもいるのかも。住大夫さんはこの"第二部"の演目には出てないし…。

なんだか、ちょっとずつ人形遣いさんたちの顔、覚え始めました。楽しくなって来ました。
(なんだか左寄りの席ばかりとれるので、語りや三味線の大夫さんはまだまだです)

物語については、並行してまた橋本治「浄瑠璃を読もう」を読んでいたので、舞台にない部分についても知識を得て、思う事は多かったです。
「ひらかな…」も「本朝…」も、特に後者の、上演されてない他の段を知っていれば分かるあまりに複雑な設定には笑ってしまいました。「浄瑠璃を…」は初心者にもかなり面白く興味深く読める名著。オススメ!ミーハーな表現をちょこっと混ぜてとっつきやすくしながら、かなり突っ込んだ分析も楽しめる逸品です。さすがは橋本さん…


終わってからは、なんばパークスの中の店で御馳走たべて帰りました。
バースデー・イヴだったから(*^^*)
しゃーわせ…

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