1976年、ロバート・ムーア監督作品。
スカパー録画で視聴。
大昔に映画館でみたなあ。デヴィッド・ニーヴンが出てるから。だいぶ老けてきてるけど。…でもやっぱりスマート。
謎の富豪(トルーマン・カポーティ)が、世界的名探偵5人(5組)を招いて彼らに「挑戦」する。この週末、ここで謎の殺人がおこる。謎を解いたものに100万ドルをさしあげよう…と。
招かれたのはハワイ警察の東洋系名探偵ワン(ピーター・セラーズ)とその養子兼助手、上流カップルのおしゃれ探偵ディック(デヴィッド・ニーヴン)&ドラ(マギー・スミス)、立派な口髭の美食家探偵ペリエ(ジェームズ・ココ)と運転手、おばちゃま探偵ミス・マーブルズ(エルザ・ランチェスター)と看護婦、そしてトレンチコートのハードボイルド探偵サム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)と秘書(アイリーン・ブレナン)。
もちろん、チャーリー・チャン、ニック&ノラ(ハメット原作だがウィリアム・パウエル&マーナ・ロイの映画版が有名)、エルキュール・ポワロにミス・マープルにサム・スペードだ。
彼らを館に迎え入れるのは、盲目の執事ペンソンマム(アレック・ギネス)。そこへ派遣会社からやってきた新しいコック(ナンシー・ウォーカー)は耳と口が不自由なので、名探偵たちはなかなかディナーにありつけない…
脚本はニール・サイモンで、ひたすらギャグ優先のつくり。遊び心いっぱいなのは良いのだが、最後には富豪が「最後の五分で初登場する真犯人!どんでんがえしと称してコケにされっぱなしの、100万ミステリー読者の怒りを見よ!」とか言ってるあたりに、昔も思ったが、ミステリー読者として違和感をおぼえた。
…それ、怒ってないから。言うほどには、怒ってないから。
騙されたくて読んでるんだから、ミステリー好きって。
騙し方のうまいヘタで文句はつけるが…
意外な展開てんこもり、どんでんがえしのためのどんでんがえし(を重ねすぎて何が何だかに陥る)、の終盤はミステリー・パロには必須だしムダほどあってくれて構わないが、最終的に結局何がどうだったのかよーわからんラストシーンにしちゃうのはどうなんですかね。ぐちゃぐちゃにしまくった最後に、一応の筋のとおる「ウラ」を設定しておく必要があるんじゃないですか。ご都合主義や牽強付会、登場人物の「趣味だから!」でもいいから。「パロだから」といっても、あまりにも説明されないまま放りだされるのは気持ちがスッキリしません。ミステリーファンというのは、それなりの着地を待っている、というか求めて読んでいるんです。
まあそんな不満を抱えつつも、今回も一応最後まで見ちゃったのは、遊び心を支える豪華キャストのため。日本盤DVDはヘンにピーター・フォークばかりアップにしているが(コロンボ効果?)、ピーセラ、ニーヴン、ギネス、ランチェスター、マギー・スミスってあたりだけでもかなり凄いんですけどねえ。
ニーヴン&スミスは、英国的エレガンスとユーモアのブレンドがいつもどおり決まってる。ピーセラのカタコト東洋人扮装は名探偵とあって彼にしては抑え気味でよいのでは(個人的にはクドくて好みではないが、いつもよりはイイ)。チャールズ・ロートン夫人のランチェスターは「情婦」などミステリ映画のアイコンでもあるよね。あそこで看護婦だった彼女が今回は名探偵として看護婦を連れてる。この看護婦エステル・ウィンウッドもちょっとおかしくて、お気に入り。ドレスアップして車いすにのってミス・マーブルズがそれを押してるので皆が最初看護婦が名探偵と勘違いする入場から、ディナーで隣席のフォークにちょっかい出したりとエロカワだかキモカワだか…(笑)
どっかで見たようなと思ったら1968年版の「プロデューサーズ」(メル・ブルックス監督)で、“Hold Me Touch Me”のおばーちゃんを演ってた。今回もその路線なんだ…(笑)
素人のはずの作家カポーティも異相を生かして雰囲気出してるが、アレック・ギネスがやはり圧巻。サーの筈だが変な役を嬉々として演じてる。終盤の二転三転七変化はやっぱりギネスあってこそ。
全体に英国的、ヨーロッパ的(演じるのがアメリカ人俳優な場合でも)な雰囲気の中で、下町アメリカ臭ぷんぷんのフォークと秘書アイリーン・ブレナンも頑張ってはいる。一組だけカラーが違うぶん目立つのは確か。
富豪の館は、使用人設定を除いても、豪華な上ムダにいろんな仕掛けがあって笑わせる。
と、肉付けは良いが屋台骨はぐらついてる「名探偵登場」館を、とりあえず最後まで持たせたのは、やっぱりオールスター名優陣のカリスマと頑張りでした。間をおかず何度も見る気にはなれないけどね(ラストで複雑な気分になるから)。
スカパー録画で視聴。
大昔に映画館でみたなあ。デヴィッド・ニーヴンが出てるから。だいぶ老けてきてるけど。…でもやっぱりスマート。
謎の富豪(トルーマン・カポーティ)が、世界的名探偵5人(5組)を招いて彼らに「挑戦」する。この週末、ここで謎の殺人がおこる。謎を解いたものに100万ドルをさしあげよう…と。
招かれたのはハワイ警察の東洋系名探偵ワン(ピーター・セラーズ)とその養子兼助手、上流カップルのおしゃれ探偵ディック(デヴィッド・ニーヴン)&ドラ(マギー・スミス)、立派な口髭の美食家探偵ペリエ(ジェームズ・ココ)と運転手、おばちゃま探偵ミス・マーブルズ(エルザ・ランチェスター)と看護婦、そしてトレンチコートのハードボイルド探偵サム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)と秘書(アイリーン・ブレナン)。
もちろん、チャーリー・チャン、ニック&ノラ(ハメット原作だがウィリアム・パウエル&マーナ・ロイの映画版が有名)、エルキュール・ポワロにミス・マープルにサム・スペードだ。
彼らを館に迎え入れるのは、盲目の執事ペンソンマム(アレック・ギネス)。そこへ派遣会社からやってきた新しいコック(ナンシー・ウォーカー)は耳と口が不自由なので、名探偵たちはなかなかディナーにありつけない…
脚本はニール・サイモンで、ひたすらギャグ優先のつくり。遊び心いっぱいなのは良いのだが、最後には富豪が「最後の五分で初登場する真犯人!どんでんがえしと称してコケにされっぱなしの、100万ミステリー読者の怒りを見よ!」とか言ってるあたりに、昔も思ったが、ミステリー読者として違和感をおぼえた。
…それ、怒ってないから。言うほどには、怒ってないから。
騙されたくて読んでるんだから、ミステリー好きって。
騙し方のうまいヘタで文句はつけるが…
意外な展開てんこもり、どんでんがえしのためのどんでんがえし(を重ねすぎて何が何だかに陥る)、の終盤はミステリー・パロには必須だしムダほどあってくれて構わないが、最終的に結局何がどうだったのかよーわからんラストシーンにしちゃうのはどうなんですかね。ぐちゃぐちゃにしまくった最後に、一応の筋のとおる「ウラ」を設定しておく必要があるんじゃないですか。ご都合主義や牽強付会、登場人物の「趣味だから!」でもいいから。「パロだから」といっても、あまりにも説明されないまま放りだされるのは気持ちがスッキリしません。ミステリーファンというのは、それなりの着地を待っている、というか求めて読んでいるんです。
まあそんな不満を抱えつつも、今回も一応最後まで見ちゃったのは、遊び心を支える豪華キャストのため。日本盤DVDはヘンにピーター・フォークばかりアップにしているが(コロンボ効果?)、ピーセラ、ニーヴン、ギネス、ランチェスター、マギー・スミスってあたりだけでもかなり凄いんですけどねえ。
ニーヴン&スミスは、英国的エレガンスとユーモアのブレンドがいつもどおり決まってる。ピーセラのカタコト東洋人扮装は名探偵とあって彼にしては抑え気味でよいのでは(個人的にはクドくて好みではないが、いつもよりはイイ)。チャールズ・ロートン夫人のランチェスターは「情婦」などミステリ映画のアイコンでもあるよね。あそこで看護婦だった彼女が今回は名探偵として看護婦を連れてる。この看護婦エステル・ウィンウッドもちょっとおかしくて、お気に入り。ドレスアップして車いすにのってミス・マーブルズがそれを押してるので皆が最初看護婦が名探偵と勘違いする入場から、ディナーで隣席のフォークにちょっかい出したりとエロカワだかキモカワだか…(笑)
どっかで見たようなと思ったら1968年版の「プロデューサーズ」(メル・ブルックス監督)で、“Hold Me Touch Me”のおばーちゃんを演ってた。今回もその路線なんだ…(笑)
素人のはずの作家カポーティも異相を生かして雰囲気出してるが、アレック・ギネスがやはり圧巻。サーの筈だが変な役を嬉々として演じてる。終盤の二転三転七変化はやっぱりギネスあってこそ。
全体に英国的、ヨーロッパ的(演じるのがアメリカ人俳優な場合でも)な雰囲気の中で、下町アメリカ臭ぷんぷんのフォークと秘書アイリーン・ブレナンも頑張ってはいる。一組だけカラーが違うぶん目立つのは確か。
富豪の館は、使用人設定を除いても、豪華な上ムダにいろんな仕掛けがあって笑わせる。
と、肉付けは良いが屋台骨はぐらついてる「名探偵登場」館を、とりあえず最後まで持たせたのは、やっぱりオールスター名優陣のカリスマと頑張りでした。間をおかず何度も見る気にはなれないけどね(ラストで複雑な気分になるから)。
コメント
ノベライズは知りませんでした。もう少し説明があるのかな。図書館で探してみましょう!
名探偵たちが館を出るまでのところはまあいいとして、最後の顔ベリ(かつ説明なし)が蛇足感爆裂でね~(-”-;)
キャスティングがそうとう力入ってるだけに、つい、残念残念って繰り返しちゃうんですよ(笑)
若い頃見た時より、今見たほうが更に豪華さには感じ入りました。
こちらの経験値も多少は増えたか。
私も運良く劇場でも見ました。やはりキャスティングの豪華さが魅力的でしたねえ。ニール・サイモンのことはこれで覚えたような気もします。
小説では、当然ですが、人物描写が細かくなるので、その分、細かいギャグが増えていたように思います。例えばサム・ダイヤモンドはしゃべる時に必ず「固く閉じた唇の透き間から」話すんですよね。それにラストも変えられていました。ことの顛末の具体的な説明は無いんですが、それでも映画よりは分かりやすかったと思います。
ちなみに「続名探偵登場」は「名探偵登場」ほど楽しめませんでした。こちらの小説も読みましたが、映画同様でした。
フォーク主演の出てた続編というか姉妹編のハードボイルド・パロディ「名探偵再登場」。これも昔見ました。これも劇場で見れたと思います。この頃は「スクリーン」だか「ロードショー」だかを買ったりもしてました。
キャスティングは第一弾の「登場」ほど派手ではなくなって、その分出来は軽く感じましたが、ハードボイルドはあんまりちゃんと事件が解決しなくても全然おかしくないので、そういう意味ではこちらのほうが困惑せずに見れました(笑)
パロディは品が欠けてると成立しない典型例のような気がします。
スティーブ・マーティンの「四つ数えろ」は始まって5分で見るのを止めました。
ニール・サイモンは「おかしな二人」とか「裸足で散歩」とか「グッバイガール」とか・・・良い作品がある人ですが、この映画は私の思い入れ故、×でしたね~
ピーター・フォークに頼りすぎたのも良くなかったカナ?
G3さまはハードボイルドに結構こだわりがありそうですね!
ミッチャムのマーロウは結構お好きな方が多いようですね。たぶんボギーのマーロウは、あまりチャンドラー的でないのでは…。一つ二つ読んでみたもののチャンドラーには意外と惹かれなかった私としては、「三つ数えろ」は結構好きな映画です。一方「さらば…」は見そびれています。
「四つ数えろ」も見そびれていますが、ハードボイルドの、あるいはハンフリー・ボガートのパロというと「ボギー!俺も男だ」が気になっています。これも面白いのかしら…
(ウディ・アレンはイマイチ受けない私だったので、やっぱり無理かな)
「ボギー俺も男だ」は、随分昔に見た映画でして、大して面白くなかったような気がします。
アイディアは良いと思うのですが・・・・・ボギーのソックリさんが出てきて演技する感じが・・・なんかイカシテなかったように思います。
ウッディ・アレンはこののちの「カイロの紫のバラ」はヨカッタけれど・・・やはり彼の映画は好きになれませんでした。
で、パロディーとかパスティーシュと言うのは、先ずは雰囲気を作らなければ成立が難しいと思います。
つまり、登場人物もさることながら、その周りの時間・風景・出来事・・・・そのような舞台が整ってから、登場人物のお出ましにならなければシラケテしまうように思います。
ハードボイルドだけでなく、ミステリー全般は好きな私には、名探偵登場は期待が大きかっただけにつまらなく感じたのだと思います。
そういう意味で言えば、近頃のBBCの現代版「シャーロック・ホームズ」は好感が持てます。
また「ホームズ・素敵な冒険」・・・だったかな?結構好きな映画でありました。
で、なんと言ってもメル・ブルックスの「高所恐怖症」は大好きな映画であります。
あ~・・・久しぶりにヒッチ・コックが見たくなりました(^^
やっぱり「ボギー!俺も男だ」も見てらっしゃいましたか。たぶん私も同じような感じになりそうなので、無理に追いかけるのはやめておくことにしましょう。
メル・ブルックスや「素敵な挑戦(原作の邦訳だと冒険)」に評価が高い当たり、私と感じ方が似ていそうな気がします。
パロディ、パスティーシュは、やっぱり愛!愛を感じるのが大事ですよね。ブルックスは品がイイとは思えないけど、愛のあふれる映画を作ってくれる人だと思ってます。
バーゲン価格につられてブルックスBD-BOX(海外盤ですが)を注文してしまったので、そのうちHigh Anxietyも再見しようっと。超ロングからぐうううーっと寄っていくキャメラが窓をぶちわる迷場面ふたたび!(笑)