「仮名手本忠臣蔵 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 (1))」
これも、読んでみようかなあ。

…えー、国立文楽劇場での「仮名手本忠臣蔵」、第一部だけ行って来ました。
「通し」で一度に一部二部両方だと10時間はあるのでさすがにソレは怖かった。
だってまだサマーレイトショーの2時間少々の興行しか見たことないんだもん。
休憩時間抜いて正味5時間、てだけでも十分レベルアップしてるし。

でも、大丈夫。5時間飽きずに楽しめちゃいました(おひとりさま観賞ですが)。
最後の方は多少お尻が痛くなりそうになっていたけど。まあ「なりそう」どまりなので余裕か?

文楽劇場にいくら字幕があるといっても、予習がないとわからなさすぎるだろうしとあらすじは予習し、しかし、予習しすぎてもつまらんだろうと、ナナメ読みして舞台にのぞむ。
多分一番正解だろう。字幕があるから、イヤホンガイドはなし。

なので、へー兜の数まで47個なのか、へーどっかで聞いたアノせりふ、この忠臣蔵だったのかとか、どうでもいい新発見もあるし。からまりあった伏線の中、登場人物がどこでどう心情を吐露するのか正確なタイミングは知らずに緊張感を持って見れるし。人形のする所作を見て、何をしてるのかなと考えて、分かった気がすると嬉しいし(城明け渡しの段で、提灯にナイフ、いや刀を入れて切り取ったモノを懐に仕舞ってた由良之助。ああ、提灯から家紋を切り取って、失われる塩谷家を偲んでいたのだと思った。…そうだよねたぶん)。
見るからにタイコモチ顔の高師直の家来伴内や、名前の通りちょっと軽めなノリノリカップルおかる&勘平(の前半)など、結構笑える演技演出があったのもへぇぇー、だったし。
前回の、短くまとまったメロドラマ「曽根崎心中」とは、見ている気分はだいぶ違ったが、これはこれで興味深く面白かった。
「曽根崎」は美男美女のメロドラマで「うーん、いいなぁ、うるうるうる…」だったけど、今回はいわゆる「時代物」(というらしい)、骨太な人間模様と事件とを楽しむモノ。そのまんまではお上をはばかり使いにくい赤穂浪士ネタをどう料理したかが、で、感心する。誰がキレて抜刀するのか、二段構えにしたあたりが心憎い。意地や矜持で歯を食いしばって自刃する男たちと彼らを追い詰める運命の糸のからまり具合にはほろりとさせられ目はウルむが、理性の勝った楽しみ方となった。

二段構えで、凶事を防げた主従と防げなかった主従を並べる。こうすりゃよかったか、と、より身近になるわね。
「主の命も金で買う」。防げなかった家臣団の一人も、ケチったからいけなかったのだ、「金で面をはたいておけば」とまで言う。
町人階級から生まれた芝居ならではなのだろう。だが同時に町人階級の中にもある、忠や義のため全てを投げ出す武士道への憧れが逆説的に迫っても来る。
「忠義のためなら妻でも売るってどうなの」と思うが(江戸時代の感覚だと許容範囲らしい!!おかるの一家の、身売りにまつわるトンデモ展開は凄すぎる)、そのあたりの重層構造が、今見るとよけいに興味深いし、程度はどうあれその二律背反こそ、今の人間にも共感できよう。忠臣蔵、忠義マンセーのみの単純話ではなかったのだった。
なるほど、よくできている話だ。
決められる政治とか言うのが流行ってるが、簡単に決められないのが実は人間の魅力なんだよなぁ…。

また、席の違いもあるだろう。
今回は端席だった前回のリベンジ!と根性で最前列をゲットした。ただし真ん中ではない。端っことまではいわぬがどっちかというと端の方。でも、人形の動きによっては私のまん前で演技してくれてドキドキ!オペラグラスもあまり使わなかった♪
そのぶん、高い位置にある字幕が少し見にくくなったので、私にとって本当にいい席とは、真ん中辺で、前から5列目くらいなのかなあ…映画館で見る時と同じだな(笑)

続きの第二部は、夫が「一緒に見てみたい(しかし週末しかムリ)」と言ったので二人分のチケットとっといた。今週末に二人で行きます。コレは真ん中よりほんの少し後ろ、中央とは言い難いが端っこというほどでもないかなあという所。オペラグラスは必須かもね。

コメント

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たけだ
2012年11月17日8:34

ボースン様

私は毎週は、見れていませんが、いまNHKで『薄桜記』というドラマを放映しています。

市川雷蔵主演の同名の傑作時代劇を見ている者には、何とも甘ったるいのですが堀部安兵衛と丹下典膳(架空の人物)の友情と対決・・・・・といったストーリー。
映画よりは多分こちらのほうが原作に忠実なのでしょう。

「忠臣蔵外伝」といった感じなのでお時間があればどうぞ。

ボースン
2012年11月17日11:10

こんにちわ!

実を言うと、ドラマなどで見る「忠臣蔵」本体(?)については、忠義で仇討ったって…と、あまり好きではなかったので私はあまり見ていないのですが、「仮名手本…」は武家視点と違ったりモデルの事件のいじり方が面白くて楽しめました。

そういう意味では忠臣蔵では、忠臣蔵としては評判がイマイチだったらしい大河ドラマの「峠の群像」が好きだったです。あれも町人の視点、現代的な感覚を取り入れるのがウリでしたね(近松も登場していたような…)。
親が見ていたもっと古いTVドラマ版をひとつふたつ見ている筈ですが、時代劇映画はほとんど見ていませんで…(^^;)

外伝的なもののほうが、私には向きそうな気はしますね。

nophoto
たけだ
2012年11月17日14:39

『峠の群像』は、堺屋太一原作なので、経済的な視点で物語が語られていましたね。
そこが新鮮といえば新鮮でした。

近松や井原西鶴は、もちろんですが、江戸落語も元は上方落語の噺が多く、江戸時代の大衆文化は、西高東低だったですよね。



ボースン
2012年11月17日23:05

そう、堺屋太一だったんですよねー。
…今じゃ維新であんなんですが…

nophoto
さがみひいす
2012年11月19日19:10

こんばんは!

>…今じゃ維新であんなんですが…

リーダーの想像力は人々の生活へ注げ(-_-;) ですよね!多分。

ボースン
2012年11月19日21:52

江戸時代の大坂、町人階級の経済的な成長のなかで、文化の華が開花したわけですが、今の大阪維新は経済的視点だけで、ちーとも…ね…

経済的視点は必要ですが、コストカットがちゃんと人々の生活のためのものかというと、さて。

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