シャーロック・ホームズの素敵な挑戦
2012年6月14日 映画 コメント (8)
1977年、ハーバート・ロス監督作品。
大昔、映画館で見た。見て、あわてて、都合をやりくりして数日後(あと一週間しか上映予定がなかった)、再度映画館へとかけつけた。二本立て名画座だったから…(って、若い人にはワカランか)
ホームズ、英国、世紀末はもともと好みの要素だったが、予想以上に私のハートにジャストミート★だったからだ。
輸入盤ショップで、サウンドトラック版(LPレコード)も買い込んだ。
原作「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険」は多分先に読んでたと思うが、雰囲気のある素敵な映画に仕上がっていて、原作を上回る(脚本は原作者のニコラス・メイヤーが書いたのだが)、ホームズ映画の隠れた佳作だったと思う。
内容はというと、「例の」ホームズ三年間の失踪時期を扱ったパスティーシュ。
悪癖のコカイン使用が度を越し始めたホームズ(ニコール・ウィリアムソン)の健康を心配した親友ワトスン医師(ロバート・デュヴァル)は、ホームズの兄と共に一計を案じ、ホームズを騙してウィーンに連れ出し、麻薬中毒治療の権威フロイト博士(アラン・アーキン)に引き合わせる。治療は辛く厳しいものだったが、光明が見えてきた頃、彼らはフロイトの患者でもある美しい歌姫ローラ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)誘拐事件に遭遇する。
ホームズにとっては、事件こそ強壮剤のようなもの。ちょっぴりフラつきながらのホームズの推理に導かれ、三人は冒険の旅へと…
…そして、フロイトの催眠術によるホームズ過去への旅。そこには“宿敵”モリアーティ教授とホームズとの、意外な因縁が隠されていた。
ノスタルジックな世紀末ロンドンから、更に爛熟の美があふれる世紀末ウィーンへ。
生活のスミズミまで装飾的な時代のうえ、ジョン・アディスンの音楽も素晴らしいので、もう全編ウットリである。ポスターだってロコツにミューシャ風。
後半の冒険は、ホームズもリハビリ中とあって、無粋な車だのヤクザ者だのでなく、荒れ狂う白馬(なんでや?)に襲われたり、百合の花の追跡、SL大追跡&剣戟アクションと、謎ときの困難さよりも、ロマンチックの積み重ねに特化しているが、物憂げなワルツ、せつなげなヴァイオリン独奏、追跡場面はハンガリー舞曲のよう…と、映像と音楽が渾然一体、ぼーっとかけていても飽きることがない。
ニコル・ウィリアムソンは、いかにも英国的でよろしい。髪色は明るすぎるし鷲鼻ではないが、長身面長で雰囲気はちゃんと出てる♪知性とユーモアに「意外な弱点」のブレンドで魅力的なホームズをつくりだしてる。
アメリカ男優組のロバート・デュヴァル&アラン・アーキンは、意外なキャスティングだがこれも結構イケてる。控えめながら的確なデュヴァルは想定内としても、初めて見た時驚いたのは、アラン・アーキンだった。
背も高くないし地味な癖に濃くてしんきくさい、いかにもユダヤ系男優、といったイメージだったのだが(すいません名優に対して)、この映画で(だけ)は、ウェーブした前髪にアゴヒゲがロマンチック!物静かな中に勇気を秘めた、知的なヨーロピアン・ヒーローを演じのけてる。まあフロイトもユダヤ系なのだが…
こんなビジュアル「カッコイイ」アーキン、見たことない…うーん…役者やなあ…
ヒロイン・レッドグレーヴはお飾り、お姫様的な扱いだが、とても綺麗。
英国女優の美はやはり鼻筋にありと見た。
ワトスン夫人役のサマンタ・エッガーも懐かしかった。まだ結構可愛いよ~
この話のポイントとなるモリアーティの「解釈」、教授ファンは怒るかもしれないが(いるのか?…いや、いるんだろうな多少は)、ローレンス・オリヴィエ御大に演らせてるのだから立派なモノです(笑)
とにかく、ホームズとその時代への愛があふれてる佳作。
クレジットタイトルの背景からしてシドニー・パジェット絵(しかも注釈つき)だもんね。
ビリー・ワイルダーの「シャーロック・ホームズの冒険」もロマンチック主体のイイ映画だったが、それを上回るほどよくまとまっていると思う。
(まあワイルダーの映画は、だいぶ切り刻まれたそうですから割引く必要あるかもだが)
DVDのつくりは、ちょっとビミョーかな。
デジタルリマスターと銘打たれてる割にはなんか粒子の粗さをソフトフォーカスで誤魔化してるようなきらいもある映像だが、ノスタルジック風味を全面に押し出したオハナシなので、まあ救いはある。もともとソフトフォーカス調だったかも。
発売元スティングレイから直でないと買うのは難しく、ちょっとお高い値段だが、作品自体はやはり魅力的だったので、最終的には後悔はなかった。絶対レンタルに出まいし。
あ、あと、この値段なら、英語字幕もつけてほしかったよ~。
「日本語字幕」「吹替え用日本語字幕」「字幕なし」ってそのメニュー構成はちょっと…
個人的には、吹替えより英語字幕が欲しかった。だってこういうお話だから、台詞が凝ってるに決まってる。イギリス英語ってなんか結構聞き取りにくいんだ。ホームズ早口だし。
http://www.allcinema.net/dvd/holmes.html
それでも、うん、やっぱ、買ってよかったです(*^^*)
大昔、映画館で見た。見て、あわてて、都合をやりくりして数日後(あと一週間しか上映予定がなかった)、再度映画館へとかけつけた。二本立て名画座だったから…(って、若い人にはワカランか)
ホームズ、英国、世紀末はもともと好みの要素だったが、予想以上に私のハートにジャストミート★だったからだ。
輸入盤ショップで、サウンドトラック版(LPレコード)も買い込んだ。
原作「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険」は多分先に読んでたと思うが、雰囲気のある素敵な映画に仕上がっていて、原作を上回る(脚本は原作者のニコラス・メイヤーが書いたのだが)、ホームズ映画の隠れた佳作だったと思う。
内容はというと、「例の」ホームズ三年間の失踪時期を扱ったパスティーシュ。
悪癖のコカイン使用が度を越し始めたホームズ(ニコール・ウィリアムソン)の健康を心配した親友ワトスン医師(ロバート・デュヴァル)は、ホームズの兄と共に一計を案じ、ホームズを騙してウィーンに連れ出し、麻薬中毒治療の権威フロイト博士(アラン・アーキン)に引き合わせる。治療は辛く厳しいものだったが、光明が見えてきた頃、彼らはフロイトの患者でもある美しい歌姫ローラ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)誘拐事件に遭遇する。
ホームズにとっては、事件こそ強壮剤のようなもの。ちょっぴりフラつきながらのホームズの推理に導かれ、三人は冒険の旅へと…
…そして、フロイトの催眠術によるホームズ過去への旅。そこには“宿敵”モリアーティ教授とホームズとの、意外な因縁が隠されていた。
ノスタルジックな世紀末ロンドンから、更に爛熟の美があふれる世紀末ウィーンへ。
生活のスミズミまで装飾的な時代のうえ、ジョン・アディスンの音楽も素晴らしいので、もう全編ウットリである。ポスターだってロコツにミューシャ風。
後半の冒険は、ホームズもリハビリ中とあって、無粋な車だのヤクザ者だのでなく、荒れ狂う白馬(なんでや?)に襲われたり、百合の花の追跡、SL大追跡&剣戟アクションと、謎ときの困難さよりも、ロマンチックの積み重ねに特化しているが、物憂げなワルツ、せつなげなヴァイオリン独奏、追跡場面はハンガリー舞曲のよう…と、映像と音楽が渾然一体、ぼーっとかけていても飽きることがない。
ニコル・ウィリアムソンは、いかにも英国的でよろしい。髪色は明るすぎるし鷲鼻ではないが、長身面長で雰囲気はちゃんと出てる♪知性とユーモアに「意外な弱点」のブレンドで魅力的なホームズをつくりだしてる。
アメリカ男優組のロバート・デュヴァル&アラン・アーキンは、意外なキャスティングだがこれも結構イケてる。控えめながら的確なデュヴァルは想定内としても、初めて見た時驚いたのは、アラン・アーキンだった。
背も高くないし地味な癖に濃くてしんきくさい、いかにもユダヤ系男優、といったイメージだったのだが(すいません名優に対して)、この映画で(だけ)は、ウェーブした前髪にアゴヒゲがロマンチック!物静かな中に勇気を秘めた、知的なヨーロピアン・ヒーローを演じのけてる。まあフロイトもユダヤ系なのだが…
こんなビジュアル「カッコイイ」アーキン、見たことない…うーん…役者やなあ…
ヒロイン・レッドグレーヴはお飾り、お姫様的な扱いだが、とても綺麗。
英国女優の美はやはり鼻筋にありと見た。
ワトスン夫人役のサマンタ・エッガーも懐かしかった。まだ結構可愛いよ~
この話のポイントとなるモリアーティの「解釈」、教授ファンは怒るかもしれないが(いるのか?…いや、いるんだろうな多少は)、ローレンス・オリヴィエ御大に演らせてるのだから立派なモノです(笑)
とにかく、ホームズとその時代への愛があふれてる佳作。
クレジットタイトルの背景からしてシドニー・パジェット絵(しかも注釈つき)だもんね。
ビリー・ワイルダーの「シャーロック・ホームズの冒険」もロマンチック主体のイイ映画だったが、それを上回るほどよくまとまっていると思う。
(まあワイルダーの映画は、だいぶ切り刻まれたそうですから割引く必要あるかもだが)
DVDのつくりは、ちょっとビミョーかな。
デジタルリマスターと銘打たれてる割にはなんか粒子の粗さをソフトフォーカスで誤魔化してるようなきらいもある映像だが、ノスタルジック風味を全面に押し出したオハナシなので、まあ救いはある。もともとソフトフォーカス調だったかも。
発売元スティングレイから直でないと買うのは難しく、ちょっとお高い値段だが、作品自体はやはり魅力的だったので、最終的には後悔はなかった。絶対レンタルに出まいし。
あ、あと、この値段なら、英語字幕もつけてほしかったよ~。
「日本語字幕」「吹替え用日本語字幕」「字幕なし」ってそのメニュー構成はちょっと…
個人的には、吹替えより英語字幕が欲しかった。だってこういうお話だから、台詞が凝ってるに決まってる。イギリス英語ってなんか結構聞き取りにくいんだ。ホームズ早口だし。
http://www.allcinema.net/dvd/holmes.html
それでも、うん、やっぱ、買ってよかったです(*^^*)
コメント
そうか~、こんなストーリーだったけ~と、かすかな記憶をたどりよせながら、楽しく読ませていただきました。
昔、これ、私はテレビで見ました。日本語吹き替えだったと思う、確か・・。
キャストがホント渋いですよね。R・デュバルのワトソンとかどんなだったか是非見たい。で、彼はちゃんとブリティッシュ・イングリッシュを喋ってるの?
A・アーキンは役柄上アメリカ英語でもOKだろうけど。
ニコール・ウィリアムソン、他に何で観たっけって思ってたら、そうだ!「エクスカリバー」のマーリンだ!(笑)
何とか私も再見したいものです。いつかBSとかで放映してくれると良いな~。確かにレンタルにはでそうにもないですよね。
英字字幕がなかったり、画質も上質ではなかったみたいだけど、作品を楽しめてなによりでしたね!(^^♪
これ、大好きな作品です。劇場でご覧になったとはうらやましいです。ティーンエイジャーだった当時、劇場に見に行ったからだったか記憶があいまいですが、兄がポスターを、自室ではなく、なぜか階段のところに貼っていました。
で、私はホームズものは大好きでして、中でもこれはお気に入りです。本当は「実はモリアーティは、ホームズが学生時代から知り合いだった」みたいな話は、ちょっと苦手なのですが、これは別格。最初に見たのはテレビ放映吹替え版でしたが、かなり傑作な吹替えです。一度、ご覧下さい。
ちなみにワイルダーの「シャーロック・ホームズの冒険」も大昔に一度見てるのですが、ほとんど覚えていません(実はDVDももっているのですが、見てないのです)。
いかにも神経質そうな二コル・ウィリアムソンは、まさにホームズって感じですし、ロバート・デュバルのワトソンは元軍医らしさがよく出ててハマっていました。アラン・アーキンも知的な医者の感じと、テニスの場面のスポーツマンぶりがこれまた見事でしたね。
ニコラス・メイヤーはこの後の監督作品「タイムアフタータイム」「スタートレック2 カーンの逆襲」も大好きな作品です。
>ごみつさま、
いやー良かったですよ~
ワトソン=デュヴァルは頑張ってイギリス英語をしゃべってたみたいです。ただ、出来栄えについてはネイティブでない私にはじぇんじぇん判定できません(^^;)
しかも、嫌いでもないけど興味もない、というランクの人でしたので普段どんな喋り方をしていたかぜーんぜん記憶にない。ウィドマーク様とかサンダース様とかアステア様とか、ファンとはいかなくてもジョン・ウェインとか一発で声がわかるスターはそれなりにいますが、みんな昔の人ばかり(笑)
アーキンは、たぶん「ウィーン訛りの英語」にチャレンジしてたのでは…。英語は一番ゆっくりでわかりやすかったです。
やっぱりオススメです、この映画!
>オベリックスさま
ホームズ映画は数あれど、これはトップクラスですよね。
映画化される時点で、たいていは結構原作を離れてパスティーシュ化してますが、原典を踏まえたうえで色々新機軸を入れてくこのお話は、ホームズ好きには凄く受けるはず!と思います。
そのかわり、ホームズを読んだことがない(一般的なイメージでしか知らない)人には、必ずしも受けないのかも。Imdbの評価は結構割れてるんですが、絶賛する人もいる一方「ホームズがコカイン中毒になるなんて、説得力なし」なんてレビューに書いてる人までいます。
…そりゃあなた、ホームズ読んだことないんだね?…って、脱力します(^^;)
フロイトまで若い頃コカイン打ってたって、映画見るまで知らなかったけど、これも史実らしいですね。世紀末の室内テニスも、ちょっとルール違うみたいで面白かった。
「タイムアフタータイム」も、気になりつつも未見です。面白いですか?そのうち見て見るかなあ…
音楽も素晴らしいですねえ。映像とピッタシ合ってますよね。ラストも粋です。
「タイムアフタータイム」はマルコム・マクダウェルがきっちり英国紳士を演じているってところが見どころです。マルコムさんの主演作ではこれが一番好きです。ミクロス・ローザの大げさな音楽が、また素晴らしい。「ベンハー」で有名な作曲家ですから。テレビでの日本語吹替えでは、マルコムさんの声を野沢那智さんがアテていて、結構ロマンティックなキャラクターに仕上げていてこれまた傑作です。
クリストファー・リーは、長身細面で、確かにホームズに合いそうですね(未見ですが)。
>ミクロス・ローザの大げさな音楽が、また素晴らしい。「ベンハー」で有名な作曲家ですから。
吹きました。やっぱりちょっと興味そそられるな~(笑)
SF小説読みなんですが、SF映画はあまり見ないのですね、特撮は興味ないし、文章だったらどうとでも誤魔化せるものを自然な感じに映像化するのって難しかったりするしで。
なので、センスよくまとまっているSFファンタジー映画なら貴重です。
>だぶるえんだーさま
ホームズって長年愛されちゃってるから、パスティーシュ本当にいっぱいいっぱいありますよね~。パスティーシュばかりのアンソロジーも色々出てるし。モノ凄くいろんなものと対決してたり、正体がとんでもなかったり。クリストファー・リーの名が出て思い出しましたが、なんか吸血鬼と対決してるのもあったと思います。
ホームズ役者さんが主役の話って、私も読んだような気がしますが、具体的にはどんな話だったか、全然思い出せない…(爆)
「シャーロック・ホームズの決闘」
という本があったら読んでみてください。ホームズを柔術家として描いているのです。軽い作品ですが、たのしいですよ。