子供の頃、親が宝塚歌劇の招待券をもらってきたので何度か見に行ったことはある。(ある意味もったいない話かも)
そこから計算するとまことにン十年ぶりだが、スカパーでやってたので見た。
…DVDも売ってるんですねえ(画像リンク参照)。
宝塚どころか舞台も見慣れてない人間の感想なんであてにせず読むべし。

なぜ急にって? …もちろん、ネルソン&エマ話だからだ。
(帆船モノだとたしか青池保子さん原作の「エル・アルコン」も、宝塚はやったと思うが未見)


オープニングだけ見て、…ふーん…と思ってしばらく放っていた。
オープニング曲の「Victory」が、主役ネルソンの人があまりうまくない気がしたから。(ナポレオン(蘭寿とむ)の方が文句なくうまかった)

ただ、しばらくたって見直したら、なんか一気に見てしまったよ!
寝る前の歯磨きしながらちょっと再生スイッチを入れてみたら、一時間近く歯ブラシくわえてた(馬鹿)。
「Victory」はその後も何度か歌われるが、オープニング以外は、ネルソンいい感じで歌えてたしね。あと愛のテーマな「ぬくもりがどーたら」という歌も。

ビジュアルは全般的に、予想以上にいい感じ。ネルソン-ナポレオン時代の軍服いいなー。
しかも、女性(男役)が着てもかなりしっくり格好良い。たぶん胸元ががっちり平面的に飾る巨大なえりの折り返しとか華麗に張り渡される金色の飾り紐とか、派手な肩章とか、そしてしぼったウェストラインや、前だけブリーチ(半ズボン)がしっかり見え腰の後ろ側は裾が長めにカバーする独特のシルエットが、体型の男女差をめだたなくしてくれる。
昔より、若い人たちが全般的に背が高くなってるのもいいんだろうね。
…ネルソンとナポレオンはそう大きくなかったけど。(だが、それがいい。←史実だし)

女性陣のドレスもよかったけど、ナイルからのネルソン凱旋を迎える市民の踊りの所だけ時代考証変だったのが残念。18世紀末なのにメリー・ポピンズみたいな格好やめてほしい。


脚本は意外にフツーにネルソン伝だった。歴史的背景も歌と踊りの中、強引に解説が歌詞に入ってた。あれは元々世界史好きでないとちょっとつらいかもだが。ツーロンでネルソンの名を知るとか、バラスを放逐し第一執政の座に着く場面とか、ナポレオン側の描写が時々はさまるのもふーんなるほど、だった(元々世界史好きでないと…以下略)。
ネルソンとエマだけだと不倫話だけになっちゃうしまあこれでよかったんでは。

さて、不倫話だからとかいいつつも、恋愛描写も一応納得のデキと思う。ネルソン(大空祐飛)は冒頭の、不器用で堅い感じの「英雄的艦長」から恋を通じて乱れたり悟ったりと人間的な変化を見せる。天然なようでそれだけでもないエマ(野々すみ花)は歌の安定感も含めてちょっと子供っぽいけど良かった。ツンケンしたネルソン夫人(花影アリス)がちらりと心の揺らぎを見せるのも、エマと気持ちの齟齬はあるがソフトで優雅な感じのサー・ウィリアム・ハミルトン(北翔海莉)も、四角関係のアンサンブルはきちんといけてた。
それにしても、もはや宝塚って、ヒゲいくらでもOKな時代なんだねえ。ハミルトンのほか何人かヒゲオジサマがいた。
あと、ネルソンの右腕ハーディ役(悠未ひろ)も、長身で適当にコミカルな息抜き的存在を好演し印象に残る。kiss me はなかったが。

フランス側では、ナポレオンは別格として、ちょっと出てやられるだけだがバラス役の人が印象的だった(鳳樹いち)。女性がやるだけに、総ての登場人物がそこそこイケメン(ハミルトン卿まで)という世界になるのだが、うさんくさいカッコよさが表現されてた!
弟リュシアン(春風弥里)は黒幕的でおいしい役なはずだがちょっと地味だったかも。

ネルソンとナポレオンが直接会わないため、舞台美術はシンプルで象徴的なものが多く興味深かった。私がミュージカル映画好きな為かもしれないが、結構楽しめたです。
「西洋史」をちゃんと意識したつくりだけど、ネルソンだから見る、という人は、ドラマにからめるためにネルソンの怪我などについて史実と多少変えているのは我慢しましょう。でも、「英国は…」の信号旗を『Z旗』と呼ぶのはやめて欲しかったぞ。

ついでにasahi.comニュースのリンクつけときます(写真とかあるし)。

http://www.asahi.com/showbiz/stage/spotlight/OSK201007160138.html

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