1957年、オットー・プレミンジャー監督作品。パートカラー。
WOWWOW録画で視聴。
フランソワーズ・サガンの有名な処女小説の映画化。
モノクロではじまり、ジュリエット・グレコのメランコリックな主題歌を経て、去年の「幸せだった夏」の回想へ移る。
プレイボーイの父親(デヴィッド・ニーヴン)とその若い愛人(ミレーユ・ドモンジョ)まで一緒に、南仏の別荘で気楽なバカンスを過ごす17歳の娘セシール(ジーン・セバーグ)。
背伸びしたい年頃の娘にとっては、父の遊び人ぶりまでもが魅力なのだが、亡き母の旧友で周囲で唯一「常識人のオトナ」なアンヌ(デボラ・カー)に父が求婚したところから、人間関係にきしみが生じる。美しいが真面目なアンヌに生活態度を注意され、「父も自分も彼女に変えられていく」ことに反発したセシールは、彼女と父親の仲を裂こうと画策するが、そのために悲しい事件が…
ベリーショートのセバーグは勿論この映画で一躍有名に。キュートで残酷さと子供っぽさを同居させてイメージ通り。周囲もみな見事にイメージ通りである。ニーヴンはお手の物のお洒落なプレイボーイ中年役にちらりと弱さをブレンドして完璧な「ちょっと困った、魅力的な父親」だし、お気楽でセシールと親友気分のドモンジョも嫌味がなくていい感じ(「オトモダチ」できているのも、アンヌに比べればてんで『敵じゃない』と思われているからなのだが)。それに比べるとカーはさすがにオバサンぽいがまだまだ美しい。オトナなようでいて(そのぶん父娘に過大評価され甘えられてしまったのがいけなかったのかもしれない)、意外と激しくまた不器用なところがあるのは、別荘に現われた初日にも暗示されるが、物語はどうしてもセシール視点になるので、できればあと少し、彼女の側の気持ちも描いていておいてくれたらよかったかな。
どう考えても勉強もそっちのけで恋愛遊戯中のセシールは、ただのワガママ娘なのだが、よかれと思ってだがアンヌが色々言っても、あまりうまくは伝わらない(不器用なんだね。途中で自分でも迷ったり反省したりしているが)。セシールフィルターを通すためとしても、ちょっと高圧的に見えてしまい、微妙にギスギスした後味が残る。
そして振り払おうとしても振り払えない暗い想いを、投げやりな遊蕩で紛らわそうとする「現在」の父と娘。父はまあ大人だからとおいとくとして、セシールはちゃんと試験に受かったんでしょうかね?(ちょっと気になる)
とかなんとかいいながらも、雰囲気よくまとまっていた映画。
学生時分にTVで見た時以上に、登場人物たちにちょっと批判的な気分にはなったが…(小姑化(笑))
WOWWOW録画で視聴。
フランソワーズ・サガンの有名な処女小説の映画化。
モノクロではじまり、ジュリエット・グレコのメランコリックな主題歌を経て、去年の「幸せだった夏」の回想へ移る。
プレイボーイの父親(デヴィッド・ニーヴン)とその若い愛人(ミレーユ・ドモンジョ)まで一緒に、南仏の別荘で気楽なバカンスを過ごす17歳の娘セシール(ジーン・セバーグ)。
背伸びしたい年頃の娘にとっては、父の遊び人ぶりまでもが魅力なのだが、亡き母の旧友で周囲で唯一「常識人のオトナ」なアンヌ(デボラ・カー)に父が求婚したところから、人間関係にきしみが生じる。美しいが真面目なアンヌに生活態度を注意され、「父も自分も彼女に変えられていく」ことに反発したセシールは、彼女と父親の仲を裂こうと画策するが、そのために悲しい事件が…
ベリーショートのセバーグは勿論この映画で一躍有名に。キュートで残酷さと子供っぽさを同居させてイメージ通り。周囲もみな見事にイメージ通りである。ニーヴンはお手の物のお洒落なプレイボーイ中年役にちらりと弱さをブレンドして完璧な「ちょっと困った、魅力的な父親」だし、お気楽でセシールと親友気分のドモンジョも嫌味がなくていい感じ(「オトモダチ」できているのも、アンヌに比べればてんで『敵じゃない』と思われているからなのだが)。それに比べるとカーはさすがにオバサンぽいがまだまだ美しい。オトナなようでいて(そのぶん父娘に過大評価され甘えられてしまったのがいけなかったのかもしれない)、意外と激しくまた不器用なところがあるのは、別荘に現われた初日にも暗示されるが、物語はどうしてもセシール視点になるので、できればあと少し、彼女の側の気持ちも描いていておいてくれたらよかったかな。
どう考えても勉強もそっちのけで恋愛遊戯中のセシールは、ただのワガママ娘なのだが、よかれと思ってだがアンヌが色々言っても、あまりうまくは伝わらない(不器用なんだね。途中で自分でも迷ったり反省したりしているが)。セシールフィルターを通すためとしても、ちょっと高圧的に見えてしまい、微妙にギスギスした後味が残る。
そして振り払おうとしても振り払えない暗い想いを、投げやりな遊蕩で紛らわそうとする「現在」の父と娘。父はまあ大人だからとおいとくとして、セシールはちゃんと試験に受かったんでしょうかね?(ちょっと気になる)
とかなんとかいいながらも、雰囲気よくまとまっていた映画。
学生時分にTVで見た時以上に、登場人物たちにちょっと批判的な気分にはなったが…(小姑化(笑))
コメント
この映画は40年ほど前に一度見たきりなので感想は書けないのですが、ゴダールがその処女作にセバーグを起用したのはこの映画の影響だったと記憶しています。
プレミンジャーは『栄光への脱出』以降、つまらなくなりましたね。
セバーグの情緒不安定な魅力が最大に引き出されたのは、ロバート・ロッセン(『ハスラー』など)の遺作『リリス』ではないかとおもいます。
楽しい映画では有りませんが未見でしたら是非ご覧になってください。
ベルモンドとは『黄金の男』で再共演していますね。
私もかなり久しぶりの、再見でした。「悲しみよこんにちは」。
>楽しい映画では有りませんが未見でしたら是非ご覧になってください。
うーん、おどかされると、結局チャンスがあっても見れないかも(笑)
じつは「ハスラー」も、映画の出来とかはさておき、嫌いなんですよね(^^;)
>ベルモンドとは『黄金の男』で再共演していますね。
「勝手にしやがれ」もいまだにまだ未見ですが、「黄金の男」のほうが多少は明るい話なのでしょうか(ってへっぴり腰だな~(笑))。
『黄金の男』は、コミカルな犯罪活劇です。
邦題は、『リオの男』などを配給した東和が勝手に決めたものです。
監督もブロカではありません。
原題を直訳すると「自由な排気」。
マフラーを外した排気という意味としっぺ返し、裏目といった意味の両方があります。
Youtubeで原題で検索すれば断片を見る事ができます。
『リリス』は、オイゲン・シュフタンの見事な撮影とウォーレン・ベイティ、ジーン・セバーグ、ピーター・フォンダ、キム・ハンター、ジェシカ・ウォルター、ジーン・ハックマンの競演が見所だと思います。
この映画も、かなり前にテレビで見たきりだわ~。
ほとんど覚えてないんだけど、デボラ・カーが可愛そうすぎ!この父娘、ひどすぎるだろう!っていう印象だけが残ってます。
きっと今見たら違う感想が持てそうだから再見したいな~。
「悲しみよこんにちは・・」っていうオープニングはモノクロなんですよね。2枚目の写真素敵だな~。
この映画、やっぱりフランスで撮るべきだったんじゃない?って気も。
コミカルな犯罪活劇なんですね!よかった、それならチャンスがあれば見てみましょう。
ベルモンドは好きだし(笑)
「リリス」はオススメされたことをとりあえず覚えておくとして…(^^;)。
>ごみつ様
うんうん、可愛そうすぎです!デボラ・カー。
父娘はめっちゃ別世界ですよねー、感覚が。浮気がバレたあとも、とりあえず二人仲好く浮気を詫びるお手紙書いてたりして呑気なものです…
ニーヴン大好きなので少し甘いですが私(笑)
回想形式の映画ですが、現在の描写に何度か戻るたびにモノクロになります。モノクロの、アンニュイ感あふれるなセバーグのほうが、より魅力があるかもですね☆
サガンの脚本のフランス映画『別離』は、ドヌーブが奇麗なだけのつまらない作品でした(脚本が悪かったりして)。
「さよならをもう一度」(=「ブラームスはお好き?」)も有名ですが、こちらはいかがでしょうか?
話が飛びますが、大昔、少女マンガ誌「りぼん」で、一条ゆかりがサガンの「優しい関係」を描いたことがありました。
後年何かの機会に読み返すと、40代だったヒロインが29才とか書かれていて、あー当時の少女漫画には29才が限界だったのね、と可笑しくなりましたが、今も世情はそんなには変わっていないかもしれません。マンガはまだしも日本のアニメの登場人物ってなんであんなに若いんだろう…
アンソニー・パーキンスが一番いいころかな?
なんだか、年上美女キラーな感じのスターでしたねえ。フシギな個性の人でした。
この映画のプラームスはよかったです。(映画でなく他で聞いていますが(爆))
『さよならをもう一度』は、パーキンス、モンタン、バーグマンという顔ぶれで、監督がアナトール・リトヴァク。
『悲しみよ』の思春期のヒリヒリした感覚はありません。
中年にさしかかった女性の心理の彩を描いています。
私は、このころのバーグマンが余り好きではないので・・・・・・。
『死んでもいい』は、パーキンスの相手が濃いい、メルナ・メルクーリ。
メルクーリの夫がラフ・ヴァローネでしたか。こちらも濃い顔です。
監督は旦那のダッシン。ギリシア悲劇『フェードラ』の翻案です。
ちょっと観ているのがしんどかった記憶が有ります。
若い女性にリードされるとちょっと情けないけど年上女性にならまだ自然にうつる?(笑)
ユージン・オニール原作の「楡の木陰の欲望」もだっけ、と思ったものの、確認するとソフィア・ローレンとは同年代だったんですね。…信じられん(笑)役柄は義母と息子だけど。
ローレンの迫力とボリューム凄い。
ちなみに「楡の木陰の欲望」には、小学生の頃、ご予算一人100円のプレゼント交換つきクリスマス会か何かがあって、誰かが自分にあたったプレゼントを明けたら岩波文庫の「楡の…」が出てきた、というみょーな思い出が。もちろん当時から本の虫だった私は、自分にあたったどーでもいい雑貨と岩波文庫を交換してもらって、とりあえず読んでみたものです。
大昔は一冊100円だったんだよね、一番薄いタイプの岩波文庫って!(年がバレバレ!)