1936年、フランク・キャプラ監督作品。モノクロ。
スカパーでやってたので録画視聴。
田舎で小さな工場を経営するかたわらちょこっと絵葉書用の詩を書く青年ディーズ(ゲーリー・クーパー)に、突然大富豪だった伯父の遺産が転がり込む。
いたって素朴で善人な彼は「面倒だな」と思いつつ伯父の財団のスタッフとともに上京するが、受け取った資産に群がる関係者やマスコミや野次馬に傷つけられ、遺産を社会福祉に使って田舎に引っ込もうと考えたとたんに親族や弁護士から「頭がおかしい、財産管理能力なし」と告訴されて…
都会の金の亡者たちvs田舎出の善人、というわかりやすい構図で現代社会を批判するコメディ。主人公は純朴だが、欲深い周囲が期待するほど騙されやすいというわけではない。「自分で判断する」ことの大事さが身についている上、信念をもって正論を堂々と口にする主人公は強い。時々ポカリと手が出るのは余計だろうが、降りかかる火の粉はどんどん払ってしまう。時々妙に子供じみた振る舞いをする(広大な屋敷内で木霊を楽しんだり、階段の手すりをすべりおりるとか。…そういや「我が家の楽園」のジーン・アーサーも滑り降りていたなあ…)、まごうかたなき変人だが、NOと言える善人、知性も十分。堂々たるものだ。
彼が追い詰められるのは、自分をとりまく人々に絶望し自衛の気力をなくした時だけ。
希望を取り戻したとたんに無敵になる終盤がおかしい。
特ダネ狙いで身元を隠して近づき、様々な逸話をおもしろおかしく新聞に載せた美人記者ベイブ(ジーン・アーサー)も、やがて彼のまともさ加減に己を恥じ、彼を愛するようになる。が、自分から真実を打ち明けようとした寸前に彼にバレ、彼を絶望のどん底に叩き込むことに。ここのジーン・アーサーはちゃきちゃき、キリッとした都会的な色気を見せて魅力的。二人のデート、彼女が自分の田舎や家族の話をして、チューバ好きの彼と「スワニー河」のジャムセッションになるところなどとても良い。素朴な合奏には二人の間に通い始めた真情がにじみ、でもその後ろには秘密が…。うーむ切ない。
あーあ、クーパーがもう少し私の好みのタイプならいいんだけどなあ(爆)
とはいえ、特に後半はちょっとベタだけど、つい最後まで一気に見てしまいました。
キャプラ映画には市井のヘンな人、カワイイ人、が、いっぱいいるのは楽しめるところ。世話をさせてくれない新たなご主人に困りつつも、だんだんその魅力に惹かれてゆくお屋敷の召使たちも、田舎のヘンで内気な老嬢姉妹も、農場計画に応募してきてクーパーとサンドイッチを分け合うオジサンもよかった。
てなわけで、古いなりにそこそこ面白い。古いからこそか?
それにしてもこの邦題は何を考えてつけたんだろうなあ(原題は“Mr. Deeds Goes to Town”)
スカパーでやってたので録画視聴。
田舎で小さな工場を経営するかたわらちょこっと絵葉書用の詩を書く青年ディーズ(ゲーリー・クーパー)に、突然大富豪だった伯父の遺産が転がり込む。
いたって素朴で善人な彼は「面倒だな」と思いつつ伯父の財団のスタッフとともに上京するが、受け取った資産に群がる関係者やマスコミや野次馬に傷つけられ、遺産を社会福祉に使って田舎に引っ込もうと考えたとたんに親族や弁護士から「頭がおかしい、財産管理能力なし」と告訴されて…
都会の金の亡者たちvs田舎出の善人、というわかりやすい構図で現代社会を批判するコメディ。主人公は純朴だが、欲深い周囲が期待するほど騙されやすいというわけではない。「自分で判断する」ことの大事さが身についている上、信念をもって正論を堂々と口にする主人公は強い。時々ポカリと手が出るのは余計だろうが、降りかかる火の粉はどんどん払ってしまう。時々妙に子供じみた振る舞いをする(広大な屋敷内で木霊を楽しんだり、階段の手すりをすべりおりるとか。…そういや「我が家の楽園」のジーン・アーサーも滑り降りていたなあ…)、まごうかたなき変人だが、NOと言える善人、知性も十分。堂々たるものだ。
彼が追い詰められるのは、自分をとりまく人々に絶望し自衛の気力をなくした時だけ。
希望を取り戻したとたんに無敵になる終盤がおかしい。
特ダネ狙いで身元を隠して近づき、様々な逸話をおもしろおかしく新聞に載せた美人記者ベイブ(ジーン・アーサー)も、やがて彼のまともさ加減に己を恥じ、彼を愛するようになる。が、自分から真実を打ち明けようとした寸前に彼にバレ、彼を絶望のどん底に叩き込むことに。ここのジーン・アーサーはちゃきちゃき、キリッとした都会的な色気を見せて魅力的。二人のデート、彼女が自分の田舎や家族の話をして、チューバ好きの彼と「スワニー河」のジャムセッションになるところなどとても良い。素朴な合奏には二人の間に通い始めた真情がにじみ、でもその後ろには秘密が…。うーむ切ない。
あーあ、クーパーがもう少し私の好みのタイプならいいんだけどなあ(爆)
とはいえ、特に後半はちょっとベタだけど、つい最後まで一気に見てしまいました。
キャプラ映画には市井のヘンな人、カワイイ人、が、いっぱいいるのは楽しめるところ。世話をさせてくれない新たなご主人に困りつつも、だんだんその魅力に惹かれてゆくお屋敷の召使たちも、田舎のヘンで内気な老嬢姉妹も、農場計画に応募してきてクーパーとサンドイッチを分け合うオジサンもよかった。
てなわけで、古いなりにそこそこ面白い。古いからこそか?
それにしてもこの邦題は何を考えてつけたんだろうなあ(原題は“Mr. Deeds Goes to Town”)
コメント
あ、やっと見終わったのですね。(笑)
私、これ見たのがかなり前で、あんまりピンとこなかった作品な
もんでほとんどのシーンを忘れちゃってますが、記事を読んで、ああ、
そうそうと幾つか思い出しました。
ボースンさん、クーパー苦手なんですね~。私はかなりファンなんですが、
「モロッコ」とかはどうですか?まあ、あれディートリッヒの映画だけど。
「真昼の決闘」とかは?「打撃王」とか。って、うるさいか。(笑)
映画のタイトルは「スミス都へ行く」とダブっちゃう感じがあったからかもね。
(*^^)v
クーパーは苦手、といっても、マーロン・ブランドとかピーター・オトゥールのネットリした所が生理的に苦手でイヤとかいうのと比べるとずっとマシです。
ただ、単に顔の造作が趣味じゃないってだけで、えーと…「興ざめ」とでも言いますか。どこがかなあ、彼の場合は説明しにくいんですが、多分顔の下半分です。
たとえばグレン・フォードの鼻の穴が興ざめなように…(爆)
クーパーで見ている主なものは「ボー・ジェスト」「生活の設計」「昼下がりの情事」「悪の花園」などです。「真昼…」は話が、なんか好きじゃなくて「モロッコ」と「打撃王」は未見です(^^;)
>映画のタイトルは「スミス都へ行く」とダブっちゃう感じがあったからかもね。
あっ、なるほどー!…帽子は出てこないけどオペラは出てくるな(笑)