謎の下宿人
謎の下宿人
謎の下宿人
1944年、ジョン・ブラーム監督作品。モノクロ。
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。

19世紀末ロンドン。街は “ジャック・ザ・リッパー”による連続殺人の話題でもちきりだ。ある夜、あからさまに怪しげな一人の紳士(レアード・クリーガー)が、下宿人の募集を始めたばかりの老夫婦(サー・セドリック・ハードウィック&サラ・オールグッド)の家に「広告を見た、部屋を借りたい」とやってくる。スレードと名乗った彼は、「深夜に出かけることもあるが気にしないでほしい」と、神経質そうに目を泳がせ、ぼそぼそ声で老夫婦にことわりを言う。(メイドもおり、中流家庭のけっこう立派な家である)。
老夫婦の姪キティ(マール・オベロン)は、売り出し中の女優。明るい性格の彼女は妙な雰囲気のスレードにも「是非私のショーを見に来てね」と誘う。老夫婦は次第にスレードの行動を怪しみ、キティの楽屋に来た直後に切り裂き魔に殺された女について調べに来たウォリック警部(ジョージ・サンダース)に相談する。切り裂き魔が襲うのは、なぜか女優や過去に舞台に出たことのある女ばかりなのだ。次に狙われるのはキティかもしれない!
スレードは本当に切り裂き魔なのか、そして切り裂き魔の動機とは?

ホラーというよりノスタルジック風味のサイコ・サスペンス。霧にけぶるロンドンは勿論セットだが、濡れた石畳も、迷路のような横町も、場末の居酒屋も、賑やかなミュージックホールも(オベロンは二曲歌い踊る)、陰翳に満ちた画面は雰囲気たっぷり。バスと言っても乗合馬車(オムニバス)だが、馬に引かれてた時代からロンドンのバスは二階建てなんだな~(*^^*)

ただ、「女優か舞台関係者ばかり」というのは史実とちょっと違うけどね。確か娼婦ばかりだったはず。ヘイズ・コードのせいですかねえ。

レアード・クレーガーの「一見弱々しいけど怖い」演技がイイ。クライマックスの豹変ぷりとみごとな対照だ。マール・オベロンも舞台ではコケティッシュ、普段は上品なお嬢さん、の堂々たるヒロインぶり。作品はあまり見ていないが(「嵐が丘」くらいか?)、横顔の方が綺麗かな。
もちろん私の最大のお目当ては、今回珍しく?正義の人、スコットランド・ヤードの警部を演じるジョージ・サンダース!警察官といえど世紀末の警察官はファッション的にもカッコいいです。制服姿もあるが、劇場にはりゅうとした燕尾服と白タイでキメて現れる。一癖あるキャラを演じることが多い人だけど、いつもより誠実な眼つき、いつも通り知的なオデコ(知的な人が好きなので、私の好みの人の大半はデコが広い)。沢山の部下をビシッと指揮しているのだが、捜査の合間にネコなで声で、ちゃっかりマール・オベロンを口説いてるのが笑える。クレーガーほどのインパクトは発していないが、緊迫感あふれる映画の中で、むしろ癒し系な存在?(笑)
満足です。(^-^)v

思わず、特典映像のメイキングもすぐ続けて見てしまった。
ロビーカードの付録がついてたり(生憎サンダースは写ってないけど)、なかなか充実したつくりのDVDボックスでした。

コメント

nophoto
たけだ
2011年9月28日0:11

ボースン様

ヒチコックの『下宿人』(1927)の2回目のリメイクのようですね。
3回目のリメイクがMan in Atticでジャック・パランス主演ですが、日本未公開。
次が2009年ですが、これも日本未公開。

1913年に出版された原作も1954年に!早川から翻訳が出されていたようですが、原作では被害者の女性の職業がどうなっていたかまでは調べきれませんでした。

ボースン
2011年9月28日8:05

ヒッチコックのと関係があるのかなどうかなとうっすら考えていましたが、リメイクだったんですね!ありがとうございます。

被害者女性の職業については、女優のほうがビジュアル的に華やかになるということもあるでしょうね。ヘイズコード関係ないヒッチコック版でも女優になっていたのかしらん。

nophoto
ごみつ
2011年9月29日20:59

今晩は。☆

早速1本ご覧になったんですね!
ジャック・ザ・リッパーか~、面白そう~~。白黒ならではの陰影のある映像を楽しめそうですね。
しかもサンダース氏はスコットランドヤードって美味しい役どころですね~。(笑)萌えそうですね。(笑)

ヒッチコックの「フレンジー」の中で、「人々がロンドンに求めるものは、深い霧と切り裂きジャックに殺された娼婦だ。」っていうセリフがあってけっこう印象的だったのですが、確かに女優の方が映画のビジュアルとして華やかになりますよね。

でも、切り裂きジャックって怖いね。(T_T)

前回ご紹介いただいた「暗黒街に明日はない」はツタヤにありませんでした~。残念です。

ボースン
2011年9月30日0:29

えっへっへー。よかったですよ~☆
「海外特派員」のサンダース氏に萌えた人(笑)なら、美味しくいただける作品だと思います♪
写真も一枚差し替えしてみました(*^^*)

謎の下宿人を演じるレアード・クレーガーも、ポスターからわかるように眼ヂカラが凄くて、BOXにもう一作あるクレーガー&サンダース作品「旋律の調べ (Hangover Square)」も期待大。見たらまた感想上げますね。
「暗黒街に明日はない」は、なかったですか…だんだんVHSおいてる店が減っちゃってますもんね。意外な作品がVHS化されてる(そのくせDVDにはなってない)時があるんですが、残念なことです。(;-;)

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