1937年、ウィリアム・K・ハワード監督作品。モノクロ。

戦前の英国製なので、思いっきり国威発揚的英国魂高揚的歴史映画。
スペイン無敵艦隊を破ったエリザベス一世(フローラ・ロブソン)を描く宮廷スペクタクル(海戦スペクタクルじゃなくて)。いや、厳密にはスペインの異端審問で父親を殺され、スペインの脅威を憎むローレンス・オリヴィエがスパイとしてスペインに潜入し、そんな危ないことしないでとすがる恋人(女王の侍女のひとり)ヴィヴィアン・リーとロマンスとアクションとを繰り広げる話なんでしょうが、なんといってもここは、100%、ロブソンでしょう!

どうみてもコドモじみて性急で思慮あさげな若いカップルよりも、威風堂々の風格と君主らしい計算高さ(いや知性)と、若く美しい二人を見ては失われた己の若さにちょっと心揺れたりのイロイロ人間性がないまぜの女王陛下を見ているだけでとりあえずモトはとったという気が。ロブスン、「シー・ホーク」でも素敵なエリザベス女王を演じていましたがここではほとんど主役だし。
そして、超大国スペインの王フェリペを、何ともいえないクールさで対照的に演じるレイモンド・マッセイも素晴らしい。女王と同じように既に青春の盛りは遠く過ぎ、それでも女王への愛着と忠誠をモタモタしつつも発揮する寵臣レスター(レスリー・バンクス)も悪くないかな…が、若い連中は基本エリザベスとフェリペの引き立て役ですわね。ベティ・デイヴィスもエリザベス、美しくも若くもないエリザベス女王を演じていたけど、馬顔ロブスンのエリザベスのほうがヒネクレ度が軽くて私は好きかな…とはいえだいぶ昔にTVで見たきりの記憶。実はDVD買ったまま積ン見なのでそろそろ見ようかな(エロール・フリン・ボックスだ)。

だいたい、誰もかれも(女王様まで含め)がローレンス・オリヴィエにウットリするのがなんだかしょうもないです(笑)…たんに私がオリヴィエが好みでないだけかもですが。かなり若いオリヴィエ、アクションも頑張ってるみたいだけど、エロール・フリン(「シー・ホーク」の)みたいな爽快感がなくて、いま一歩。
帆船ファンなので「無敵艦隊」見てみました~な私には、帆船アクション、海戦シーンの出来もちょっと残念でした。焼き打ち船で勝ったというより、確か神風が吹いて勝った(無敵艦隊かなり嵐でやられた)ってところが大きかったんですよねアルマダ海戦は…
(でもロブソンは!以下略♪)

コメント

nophoto
たけだ
2011年2月10日19:50

ボースン様

この映画のヴィヴィアン・リーの美しさを観て後年彼女が精神を病んだのも無理はないと思いました。

一種異様な、半分この世の物ではないような美しさですね。

こういう美しさを持つ女性は、幸福になるのは難しいかもしれません。

『美女ありき』とか・・・・・。

だから『風と共に去りぬ』のラストでずっこけるのです。

ボースン
2011年2月10日23:00

>一種異様な、半分この世の物ではないような美しさですね。

コスチューム・プレイが似合うのは、そのせいかもしれませんね。
まあそれでも、ここでの彼女は若過ぎて「美女ありき」などの方がより美しいと思いました。

>だから『風と共に去りぬ』のラストでずっこけるのです。

…ずっこけるんですか?(^^;)
まあ「風」も幸福(本人の思う幸福)にはまだ辿りついていませんが。「風」のリーも、はかなさと逞しさのブレンドがえも言われなくて私は好きです。

nophoto
たけだ
2011年2月10日23:13

ボースン様

『美女ありき』などは、この世のというか、地上の美しさであり、観ていても不安になりませんね。
『風』のオハラの最後の台詞’Tomorrow is another day.......’は、私が観たヴァージョンでは『明日は明日の風が吹く』といった字幕で、それまでリーが演じてきたキャラとはかけ離れた訳だったのでずっこけたのです。



ボースン
2011年2月10日23:42

>’Tomorrow is another day.......’は、私が観たヴァージョンでは『明日は明日の風が吹く』といった字幕で、

うーん、もう少し粘り腰なセリフな気がしますよね。うまく訳せと言われたら黙り込んじゃいますが。
半分この世のものではないような美しさ、というとあと「哀愁」とかでしょうか。「茶碗の中の嵐」は可愛かったですが地に足はついていました。

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