哄う合戦屋

2011年1月19日 読書
北沢秋著。

槍をとっては並ぶものなき武勇の豪傑として名をなしながら、実はその武勇を上回る軍才を持ち、それを生かして天下を取る、いや「見込んだ主に天下を取らせる」ことが夢という信濃の浪人、石堂一徹。だがこの天才は、人心を引き寄せることだけは徹底的に不得手だった。
これぞと見込んだ温厚で人望厚い小領主も、彼にぐいぐいと引き上げられてゆくうち、逆に生理的な嫌悪感すら抱くようになる。確かに、"人の為に"軍才を発揮しているように見せても、己の大きな夢のために主を振り回している(勝ち戦続きであるとはいえ)のは否めない。時代を先取りした理性的な軍略は並の武将には理解され難いが、それだけでないのだ。

そんな中で、唯一人彼の繊細な一面を感じ取り、素直な好意を寄せてくれるのは、主が溺愛する愛娘・若葉だったが…

新人さんのネオ歴史小説。機略縦横、一徹の力で遠藤家がとんとん拍子?に勝ち進む前半は特に面白い。後半はなかなか幸せになれそうにない二人の愛のゆくえ、これもじんわりくる。

ただ、ちょっとだけマンガチックかなー。
ちょっとダーク系入ったヒーローはまあよいとして、ちょっとヒロインが…天然なんだけど、実は演技も入ってるという"器の大きすぎるくらいのヒロイン"という描写が少しクドい(笑)
歴史小説らしい文章はまあまあ出来てるんだけどね、まあ、筆が滑ったというのだろうか。
★4に近い3かな。惜しかった。次回作には期待できます☆

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