ボックス!

2011年1月15日 読書
百田尚樹著。

スポーツ小説週間継続中です。
大阪のとある高校のボクシング部。
才能のままに勝ちまくる、やんちゃな悪童・鏑矢。その幼馴染で「強くなりたい」と突然ボクシング部入りを決意したおとなしい優等生・木樽。

主として、顧問の若い女教師高津(ボクシングには素人)と初心者の木樽、この二人の視点を行き来しながら話が進む。鏑矢はライバルの"超高校級"ボクサー稲村を倒せるのか?そして木樽は本当に「強く」なれるのか…

文章はあまりうまくない気がする。が、愚直なまでの努力を重ねていく木樽や、試合の場面などにはその朴訥さがむしろ良い感じ。あさのあつこあたりの対極で、…しかし、男の子はむしろこちらのほうがリアルなんだろうな(もちろんあさのあつこには別のよさがあるが…)。

また、美人女教師の描き方はイマイチ魅力的でない。いかにもオッサンが書いた美人女教師、なような…だが、それ以外のキャラクター、特にボクシングにかかわる大人の男性たちはいい。監督たちもだし、ジムの経営者曾我部の辛味の効いた描写は印象的。ボクシングという「スポーツ」に見え隠れする狂気にたいして著者のアンビバレンツな視線が感じられて、青春小説というよりは大人の味わい?
バカであぶなっかしい鏑矢の魅力はむしろ終盤に味が出てくるので、物語のメインはキマジメな木樽か。だが、対照的な性格の二人の友情は大変にすがすがしい。
エピローグも、私は好きだ。納得の流れだし、考え抜かれたバランス?のイイ結末。

百田尚樹、アラはあるが読ませます。売れっ子なだけはあるな。

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