暖簾 (新潮文庫)

2010年11月1日 読書
山崎豊子著。

「沈まぬ太陽」の二巻を、半分読んだところで職場に忘れてきてしまったので、予備に借りてきていたこちらを読む。
船場商人、二代にわたる奮闘と、暖簾にかける心意気。長さも手頃で一気に読んだ。

処女長編だけに?むしろ裸一貫から根性と工夫でガーーーーッと大きくなる痛快さがあって読まされる。何度も人災天災に叩きのめされるが(戦争は人災かな)、くじけず立ち上がろうというところと、「暖簾に恥ずかしくない商売を」という矜持がいい。それでも、大阪である。時代とともに東京に引き離される苦さがほんのり、リアルさを増している(なのでなかなか「大好きな作家」にはならなさそうな気が…)。
文章も、「沈まぬ太陽」で余りのシンプルさにアレ?と思ったのにくらべれば文芸的に凝ったところがある。

戦前や戦時中の描写は、図書館の郷土資料コーナーにある昔の写真とか思い出しつつ読んでいた。まあ、本来私は大阪じゃなくて阪神間、西宮の産だしね。

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