締切に追われる脚本家ウィリアム・ホールデンが、パリで雇ったタイピスト・オードリー・ヘップバーンの魅力に触発され、一気に書き進めるシナリオがそのまま映画内映画となって二人の恋にだぶる…という、ロマンチック・コメディ。
なにはともあれパリでオードリー、というだけで一定のオシャレ感はある。ホールデンもちょい草臥れかけとはいえ頑張って軽快さを出してる。
シナリオ的にはそんなに凝ったことはやっていないのだが(トボけた味は出しているが伏線や小道具の処理などには大した工夫はないと思う)、主題歌はシナトラかな、と脚本家が呟けばシナトラの歌が流れ、カメオ出演にディートリッヒ、と呟くとディートリッヒ本人が一瞬の出演、という、贅沢っぽいつくりも楽しめる(特に前半は)。アステアのレコードも流れるし(「プロデューサーズ」の"That Face"という同名の歌とヤケに似ている。こっちの方が先なんだけど)、トニー・カーティスなんか、何故ノンクレジットで…と思うくらい作中「端役」呼ばわりされつつ頑張っていて驚きだ(笑)
ただ、脚本を書きあげた時点で、ホールデンが急にヘナヘナ…となってしまい、主役二人の恋愛はストレートには成就しないのだが、このラストのひとひねりがちょっと唐突でどうも。気を取り直してハッピーエンドには持ち込むのだが、それならそれで、ここでもう一発、グンとぶっ飛んだ盛り上げ方をしてくれればよかったのになあ。ちょい失速感があり残念でした。
書きあげたシナリオの結末までも変えてくれたらよかったのに。
「新作でリベンジ」なんてのではなく(^^;)
それにしても、やたらヌーヴェル・ヴァーグを揶揄するセリフがあったのに今回気付いて驚いた。そんなに気にしてたんですかハリウッドのみなさん？
Tweet
| 
コメント
オードリー主演作では最低の出来でしょう。
そもそもリチャード・クワインはキム・ノヴァクと結婚したので私としては許せないのですが中途半端な監督ですね。
何よりもいけないのはテンポが悪い。
そもそもオードリーとホールデンのテンポが合わないわけでそこを上手く調整するのが監督の役割なのにそれを果たしていないですね。
ふふふ、やはりたけだ様が(笑)
>そもそもオードリーとホールデンのテンポが合わないわけでそこを上手く調整するのが監督の役割なのにそれを果たしていないですね。
オードリーに寄りかかってる(＝あまり何もしてない)ようなところはありますね。
妙に豪華なのでそれでも前半は飽きませんが、後半ちょっと…
キム・ノヴァクは私も好きな女優さんですが、「媚薬」なんかはどうですか？クワイン監督作品ですが(笑)、あの作品の彼女は凄く魅力的だったと思います。
クワインとノヴァクは結婚はしていませんでした。
でも『媚薬』では二人は出来ていたんですね。
『媚薬』は、観ていませんがその理由の一つは、一番嫌いな時期のジャックレモンが出ているからです。
1954年の『殺人者はバッジをつけていた』で既に二人は出会っています。
そんなわけで画面には艶が出ますよ。
ノヴァクが好みということは、オードリーはクワインのタイプではないわけで演出にも力が入らないでしょう。
フランス映画『アンリエットの巴里祭』のリメイクですが制作した理由がよくわかりませんね。
何か軽いものを一本撮っておくか？というノリでしょうか。
>ノヴァクが好みということは、オードリーはクワインのタイプではないわけで演出にも力が入らないでしょう。
凄く説得力ありますね、それ。
話を戻すと「媚薬」では、ノヴァクの弟役のレモンはすっかりワキに徹していたので、私の目から見れば、たけだ様の気にされる「臭み」も割と大丈夫かなぁと思いますが、こういうのは他人にはわからないんでしょうね。
何と言うこともない、さしてひねりもないファンタジックラブコメなんですが、何でだか妙に好きでして(大昔TVで見ました)、サントラまで買ってもってたりする作品です。
『媚薬』レンタルしました。
断片は見ていて、この作品のノヴァクが非常に綺麗なのは知っています。
『めまい』とは違った美しさですね。
同じクワイン監督、カーク・ダグラス共演の『逢う時はいつも他人』もなかなか良い映画です。
ノヴァクとの最初の出会いは、「風が怖いの」が印象的な『愛情物語』です。
>『めまい』とは違った美しさですね。
エンディングがハッピー、アンハッピー対極です。でも、私は何か通じるものを感じます。
何はともあれ、レモンに邪魔されず楽しめるよう祈ってます(笑)
最近発見した「映画パンフレット研究所」というサイトにウィドマークの記事が有ります（もちろん誉めています）。
すでにご存知でしたらご放念ください。
主として「訃報」のところでしょうか。検索窓はあるものの全体は少しわかりにくいです。