職場の欠員が、埋まった反動かもしれない。5~6月にあげた映画レビューの数はうなぎのぼり。こんなに映画ばっか見ていてよいのか自分。
とりあえずストレスは解消できているが…(職場から、労働安全衛生テーマの研修へのお誘いが来るたび内心ムカつく私。だって二回に一回はテーマが「ストレス解消法」なんだもん。研修など受けずとも自力で絶賛解消中!ストレスよりも仕事の方がスグ溜まるんだから、お仕事の時間減らさないで欲しいよ、もう)

…遅番出勤の前に、今日もまた一本見てしまった。


1952年、ロバート・シオドマク監督作品。カラー。

「真紅の盗賊」これは学生時代、妙に何度も何度もTV放映を見た思い出が。
バート・ランカスターはあまり好きではないけれど(マッチョは嫌いだ)、ひょっとしたら私が最初に出会った海賊映画かもしれない。コメディ・タッチで結構楽しい作品だったのも確か。懐かしい気がして廉価版(画像のとは違う、900円程度のもの)を買ってしまったのだが、しばらく見ずに放っていた。だってランカスター以下略(笑)。

さて、舞台は18世紀のカリブ海。海賊の頭目バロ(ランカスター)はスペイン船を拿捕するが、積まれていたのは金銀財宝ではなく、大量の武器と外交官のグルーダ男爵(レスリー・ブラッドリー)だった。スペインの圧制に反抗する民衆を弾圧するための武器だったのだが、欲に目がくらんだバロは、武器を反乱軍に売りさばき、更に反乱軍の首魁エル・リブレをグルーダに売って更に金を得ようと考える。
腹心オーホ(ニック・クラヴァット)と共に、一足先に上陸したバロは、軍隊相手に騒ぎを起こして反乱軍(といっても普通の庶民たち)への渡りをつける。が、反乱軍もさるもの、逆にバロたちを捕らえて現在収牢中のエル・リブレの救出を手伝わせようとする。
その中心はエル・リブレの勝気で美しい娘コンスエロ(エヴァ・バートック)。彼女に惹かれたバロは、いつしか損得抜きで救出に協力する気になる。グルーダに化けて監獄島へ潜入し、エル・リブレとその盟友の科学者プルーデンス教授(ジェームズ・ヘイター)を命がけで救い出すが、この「海賊らしからぬ」行動に憤慨した部下たちとグルーダが一時的に手を組んだため、父娘は捕まり、バロ・オーホ・教授は手枷をつけられ、小舟で海に流される破目になる。

それでも教授の大胆な工夫(笑)により何とか島に戻ったバロたちは、反乱軍に合流し、彼の「新技術の活用」でもって圧制者の大軍を打ち破り、コンスエロを取り戻す作戦を立てる。まずは変装したバロたち(なんと女装!)が、貢物を載せた山車の下に新兵器を隠して総督たちへ接近、襲い掛かる段取りだ。気球や新型爆薬、火炎放射器などの発明品で劣勢を補い、ついに逃げ出したグルーダの船を追うバロ。結局グルーダに裏切られた部下たちは、再びバロに従い、果敢に敵船に斬り込んでゆくのだった。


てなわけでかなり、コメディ調が強い作品。
特に「あの」ランカスターの女装は、ン十年間忘れられませんでした、凄すぎで(爆)。
サーカスのアクロバットでコンビを組んでいたというクラヴァットと共に繰り広げるアクションも迫力。二人で呼吸を合わせて飛んだりはねたり宙返りを入れたりの前半の「軍隊いびり」は、とても面白い。反面そのコミカルさがミュージカルの振付のようで、リアルさはちょっと薄いとも言えるかも。とはいえ終盤の、帆船上の大乱戦の方は、さすがによりパワフルな迫力があるので満足できる。しいていえば、最後までバロが鉄拳主体で全く剣を使わないのが、私としてはちょっと物足りなかったかな。筋肉とアクロバットを見せればもういいって判断だったんでしょうかランカスター。

相棒クラヴァットは全く口をきかず、すべてマイムで会話。うまいものだ。その分コメディ度も更に上がってる。また、終盤は教授が「新発明品オンパレード」で非常にイイ味出してる。フツーのオッサンなんですけどね。あと、グルーダの部下にクリストファー・リーがいたような。

比較的若い頃なので、ランカスターにしては細く感じます。髪もいつもより明るいめ?。しかし恋のために正道に戻っちゃうなんてのは、あまり似合わないですねえ。グレゴリー・ペックとかならともかく(ex.「廃墟の群盗」)。
お約束をちょっとひねった新兵器大作戦も含め、娯楽作品としてはカラフルでよく出来ている(ちょっとコドモ向けぽいかもだが)。海賊映画の何がいいって、衣装が派手なことですね♪
監督ロバート・シオドマクは確か、むしろダークなノワールやサスペンスで知られた人のはずだなのが、ここではやたらと軽くて明るい。映画中何度でもおきる正規兵とのおっかけっこはちょっと引っ張りすぎ?な時すらあるが。

アクション・コメディ、それもコスチュームものが好きな人なら、まぁ見てソンはない映画。

コメント

nophoto
たけだ
2010年6月30日8:46

おはようさん、

これは観てガッカリした作品ですねえ。
同じシオドマクの『殺人者』から6年後のランカスターの主演作ですがのりが軽すぎます。まあ、後年の『エルマー・ガントリー』などに通じる「調子のいいやつ」ぶりは遺憾なく発揮されています。

長年の疑問は邦題がなぜ『深紅の海賊』でないのかです。
ランカスターのイメージは盗賊なんでしょうか?

ノワール系が有名ですが、シオドマクは、結構色んなジャンルを撮っています。
COBRA WOMANなんていう楽しいテクニカラー冒険映画もありました(マリア・モンテス!!)。


ボースン
2010年6月30日22:06

こんばんわ、
たけだ様だと確かにガッカリしそうな作品です(笑)
ものすごく軽いノリですもんね。この作品の魅力でもあり、弱点でもあるのかもしれません。

>長年の疑問は邦題がなぜ『深紅の海賊』でないのかです。
>ランカスターのイメージは盗賊なんでしょうか?

原題が The Crimson Pirate なので海賊と呼んであげたいのは私も同感です。ただ、どうも日本の映画関係者は(観客も、なのかもしれません)、海洋モノに冷たいと思っています。軍人なら「艦長」と呼ぶべきというところで無造作に「船長」と吹き替えたり字幕出したりがザラ(スター・トレック=宇宙大作戦もそうでした)。
どうせそういう無造作な気持ちで「盗賊のほうがゴロがいいんじゃないか」と誰かが言ってそうなっちゃったんではないかと思っています(フテすぎ?)。

nophoto
オベリックス
2010年10月18日11:48

こんにちわ。
中学生くらいのころ、テレビで、ゴールデンタイムの放送で見て以来、久々に最近見ました。最初に見た時もとても楽しい娯楽活劇だと思いましたが、見直してそれを再認識。何か、昭和30年前後の東映明朗時代劇のような雰囲気がとても好きです。
バート・ランカスターというと「OK牧場の決闘」も好きな作品ですが、この海賊役もまさにハマり役だと思いました。いつも「二カッ」とした笑顔で跳んだり跳ねたりするランカスターが本当に様になっています。改めて見ると、ランカスターのアクションの美しさに引き込まれました。
大好きなクリストファー・リーの若き日の姿が見れたのも嬉しかったです。

そうそう「ザッツエンターテイメント3」確認しました。オコナーさん、チラッとしか映りませんでしたね。「2」も見つかったのですが、解説にはオコナーさんの名前は見当たらず。でも、このLDが久々に見つかって良かったです。

ボースン
2010年10月18日14:15

こんにちわ、オベリックス様。
「I love Melvin」はYouTubeにもトレイラーがあったと思いますよ。「ザッツエンタテインメント」は「2」にも「雨に唄えば」を入れてるので、三作ともオコナー登場シーンがあると言えばあるのですが。

nophoto
オベリックス
2010年10月18日15:44

「I love Melvin」はユーチューブでドナルド・オコナーを検索してて、デビー・レイノルズと一緒のシーンを見たので、おそらくそれじゃないかと。Donald O’Connor - Debbie Reynolds song & dance というタイトルの映像でしたけど。
やはりオコナーさんの軽やかさはいいですねえ。似てないですけど、「真紅の盗賊」もその軽やかなところが好きです。

ボースン
2010年10月18日18:03

theatrical trailerはタイトル「I love Melvin」で検索したほうがいいのかも。ご覧になられた、オコナーが写真を撮りながらレイノルズと踊る動画(これですよね)とは別のものですが、映画全体の雰囲気が分かるのでなかなかソソられますよ。「真紅の盗賊」からは離れっぱなしですが(^^;)

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