岡田暁生著。

楽器の中でも、一人オーケストラもどきといいますか、独自の目立ちっぷりを見せるピアノ。しかし「ピアニスト」という職業は18世紀にはほぼ存在しなかった。一気にメジャーになるのは19世紀…だが、"ロマン派"の時代だというのに、楽器の中でも抜きんでてキカイっぽいピアノは、妙な手指の矯正器具や、音楽性と切り離された指トレーニングとともに大衆の中へと広まっていったという。世は分業制の時代、マニュアル化の時代、産業革命の時代でもあったのだ。指トレ信仰はもちろんその後もしつこく残っている。
「オル窓」のイザークだってほら、あたら才能がありながら、重いめに調整した鍵盤でもって指痛めちゃったじゃないですか?!

音楽史というか、ピアノ練習法史というか。フシギで興味深い読み物だ。

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