魅惑の巴里
魅惑の巴里
魅惑の巴里
1957年、ジョージ・キューカー監督作品。カラー。

かつてバリー・ニコルズ(ジーン・ケリー)率いる一座は、三人の踊り子ジョイ(ミッツィ・ゲイナー)、シビル(ケイ・ケンドール)、アンジェル(ティナ・エルグ)を中心に、パリを拠点に欧州巡業を行っていた。が、今では貴族夫人のシビルが書いた回想録が、やはり結婚したアンジェルから名誉棄損だと訴えられる。法廷に立った彼女らの証言は真っ向から対立する。バリーとの恋のもつれで自殺未遂を起こしたのは、本当はどちらだったのか?
そして"三人目の証人"が出廷すると、「真相」にはまた新たな光が…

ジーン・ケリーMGMでの最後のミュージカル。コール・ポーターの曲は美しくにぎやかだけど案外ケリーはめだたない。
「証言」はそれぞれひとつづきの回想シーンでまとめられているが、シビルとアンジェルが、それぞれ自分の証言(回想)の中では楚々とした常識人・優等生美女なのが、相手の回想の中では色ボケ能天気だったり酒乱だったり別人のようなのが笑わせる。演じるほう演出する方もソコが力のいれどこなんだろう。

特にケイ・ケンドール、一番背が高くて格好いいオトナ美女(英国型美女はやっぱりしゃっきり伸びた首筋がポイントよね★シンプルなシャツブラウス姿が絶品)が中盤であそこまで崩すか?とビックリ仰天(笑)
期待のミッツィ・ゲーナーは振り幅が大きい二人の影でちょっと損をしてる感じだが、ダンス自体はやっぱり一番上手いかな。今回の髪型はもっちゃり見えるので、もっと短いほうがいいと思う…(あと二人が短い目なので長くしたのかもしれないが)。

凝ったストーリーは、つじつまが合うような合わないような(むしろ合わない?)、必ずしもキッチリおさまってくれない。そこが狙いなんだろうけれど(全員自分の都合のいいようにしか言ってないんじゃないか、という皮肉なオチ)、ちょっと中途半端な感じでもある。
まあ、、米英仏三人娘のにぎやかなレビュー&演技合戦を楽しむ小品てところでしょうか。
ケリーってば元気すぎてちょっと、と思う私でも、もう少し元気ないのかなって思いました(爆)
同じ年にアステアは「絹の靴下」を撮っているのに。こちらもMGMミュージカル最終作、てな作品ですが、ケリーよりむしろ元気だったぞ…

「ジェローム・ロビンスが死んだ~ミュージカルと赤狩り」を読んだ直後なので、さすがのジーン・ケリーも疲れてたのかなー、とも思わぬでもないですが。

コメント

nophoto
たけだ
2010年5月17日10:02

ボースン様

ケリーが余り元気でなかったのは、当初予定されていたシド・チャリッスとレスリー・キャロンが降板したからではないでしょうか。

実際に出演した3女優で踊れるのはゲイナーだけで、後の二人はミュージカル女優ではありませんから。

ミュージカル映画としてはちょっと落ちますがキューカーの華麗な映画術を楽しむ作品ですね。構成も1本の映画というよりはオムニバスですね。
後年キューカーは、『チャップマン報告』という完全なオムニバス映画をクレア・ブルーム、ジェーン・フォンダ、シェリー・ウィンタース主演で撮っています。
内容は暗いですが傑作です。

ボースン
2010年5月17日23:27

シドとレスリーが…それは、元気もなくなるでしょうね。なるほど。
しかし、踊りの面は強化されたでしょうがドラマとしてはどうなのかしら(^^;)
二人は踊りのエキスパートですが、個人的にはいまのままでいいような気もします…ジーン・ケリーには悪いけど(笑)

nophoto
たけだ
2010年5月17日23:55

キューカーは、『スター誕生』も『マイ・フェア・レディ』もドラマが中心でしたよね。この映画の脚本は映画の為のオリジナルのようなので出演者の顔ぶれによってある程度変更は出来たと思います。
でも、今となっては主演女優3人のこんな組合せはちょっとないでしょうから私もこれはこれで良いのではないかとおもいます。
というよりキャロンは、この映画には相応しくないとすら思います。

ボースン
2010年5月18日9:04

確かに。
レスリー・キャロンを入れていたら特に、こういうオトナの味の映画にはできなかったろうと思えますね。「恋の手ほどき」だの「足長おじさん」だので少女っぽさで売ってましたし(60年代に入るとそうも言ってられないでしょうが)。

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