ジェローム・ロビンスが死んだ~ミュージカルと赤狩り
2010年5月14日 読書 コメント (4)
津野海太郎著。
ロビンスと赤狩りの時代を描いて面白い。「かつてミュージカルの底抜けの明るさが好きだったから」というスタンスで書き始めてるんでとっつきやすい。「踊る大紐育」に始まり「ウェスト・サイド物語」で著者のミュージカル熱は収束したそうで、そこはわかる気がする…私もそのへんが分水嶺。
どっちもロビンス(「踊る大紐育」も原案となる舞台版は彼の作)だが、「ウェスト・サイド物語」はミュージカル映画が変わってゆく時代の代表みたいなもんだしねえ。
ロビンスと赤狩りの時代を描いて面白い。「かつてミュージカルの底抜けの明るさが好きだったから」というスタンスで書き始めてるんでとっつきやすい。「踊る大紐育」に始まり「ウェスト・サイド物語」で著者のミュージカル熱は収束したそうで、そこはわかる気がする…私もそのへんが分水嶺。
どっちもロビンス(「踊る大紐育」も原案となる舞台版は彼の作)だが、「ウェスト・サイド物語」はミュージカル映画が変わってゆく時代の代表みたいなもんだしねえ。
コメント
私も気になっている本ですがまだ読んでいません。
HUACでのロビンスの証言が、脅かされて行われたのかどうか、と言う点がこの本の一つの中心だと思うのですが・・・。
副読本として、この本とは正反対の硬い本ですが私が10年以上待ち望んだNAMING NAMESの翻訳である『ハリウッドの密告者』論創社をお薦めします。
脅かされてなのか、というよりむしろ、「意外と簡単に屈してしまったようだけれど、その背景にあったものは何か」という感じで、ロビンスの若いころからの時代の風潮や精神的な背景(マイノリティの二世、ゲイ、「ヨーロッパの模倣でなくアメリカらしさを持つ芸術」を嘱望する社会的な動きなど)についてあれこれ考察しています。この本を見ると、大恐慌&ニューディール時代というのは、思っていた以上に左寄りな時代だったのですねえ。その反動のように、戦後激しい赤狩りが。
カザンやジョン・ガーフィールドなど、屈したもの屈しなかったもの両方の地獄についても触れていますが、ロビンスとともに舞台版の「踊る大紐育」にかかわったバーンスタインやカムデン&グリーン、ジーン・ケリーなどの動きも追っています。
naming namesそのもの以上に、アメリカショービジネス史(40年代)の意外な側面や人々のつながりという部分が面白く読めました。逆に言うとたけださまには物足りないかも?
ニューデール政策を理由に、ルーズベルト大統領を共産主義者と呼んだアメリカ人もいたぐらいです。
映画関連で言えば、製作/配給/興行を映画会社が支配する体制が独占禁止法違反であるという判断が1930年頃に出ているにも関わらず「社会的影響が大きい」という理由で「産業復興法」を適用してスタジオ・システムを崩壊から救ったのはルーズベルトだったわけですね。
ルーズベルトに恩があるハリウッドは、その後アメリカが対ファシズムの戦いに参戦すると戦意高揚映画を作ったり、映画人が軍に参加したりと協力しました。
皮肉な事にそんなファシズムと闘った(どちらかと言うと左寄りの)多くの映画人が赤狩りという別のファシズムの犠牲になってしまいました。