The West Point Story
2010年5月8日 映画 コメント (10)
1950年、ロイ・デル・ルース監督作品。モノクロ。
演出家兼ダンサーのジェームズ・キャグニーが、ウェスト・ポイント士官学校へ士官候補生たちの卒業記念ショーの上演を指導しに出掛けるというミュージカル。
共演がヴァージニア・メイヨ、ドリス・デイ、ゴードン・マクレー、ジーン・ネルソンとそれなりに豪華(最後の三人は「二人でお茶を」のトリオそのままだ)。日本未公開で当然日本ではDVDなど出てないので、英国盤DVDにて鑑賞。
ビックス(キャグニー)はブロードウェイの天才児と呼ばれたこともあるが、喧嘩っ早さと競馬好きが過ぎてロクな仕事にありつけずにいる。アシスタント兼恋人のイヴ(メイヨ)にも見放されかけて困った彼は、普段は不仲なプロデューサーの「ウェスト・ポイントのショーに主演する甥トム(マクレー)の指導をしてほしい、ついでに彼を、軍でなくショービジネスに進むよう説得してほしい」という依頼を受ける。
出向いてみると、トムは見事な美声の持ち主。ビックスは「叔父さんより自分と組まないか?」と彼を口説くが、トムは「自分は本気で軍人になりたいのだ」と謝絶する。
そこでビックスは、ショービジネスへのトムの熱意を高めるべく、ショーのヒロインにと旧知の映画スター・ジャン(デイ)を連れてくる。思惑通りに二人は恋に落ちるが、スタジオから帰還を命じられたジャンを追ってトムが無断外出騒ぎを起こしたためショーは中止に。深く反省したビックスは他の候補生たちと上演に向けて奔走するが…
ビョンビョンつま先で飛び跳ねまくるキャグニーにまずは満足ですが(なんつーか空中滞留時間が…)、いやー、ヴァージニア・メイヨって踊れる人だったんですね(爆)
私このヒト「艦長ホレーショ」くらいしか見てなかったもんで気が付いてませんでしたが、キャグニーとピリッとしたダンスを繰り広げてくれます♪マクレーの友人役のネルソンは、よく踊ってるんだけどなんか個性が物足りない。「二人でお茶を」でも思ったけど、なんでかなー。すらっと長身でスマート、運動神経よさげな好青年だけど、アクロバティックさはジーン・ケリー程にはゆかない、スマートさもアステア迄にはゆかない。彼なりの色が薄いので、多分ダンスの「幅」は狭いのだけど強烈に独自のスタイルを感じさせるキャグニーにとても及ばない。ある種の頼りなさを「味」にしてのけているドナルド・オコナーにも至らない。残念な人だ。
ビックスは指導がしやすいよう"士官候補生扱い"で暫くウェスト・ポイントで生活することになる。ガタイのいい青年たちにまじって、小柄でもういいトシのキャグニーがビシっと着こなす制服姿が見ものだが、物語自体は後半ちょっと失速する。理想と誇りをもって士官学校の規律に身をささげる真面目な青年たちに、スレたブロードウェイ演出家が次第にほだされ回心するのだが、「回心」前の粋な皮肉屋ダメ男の方がハッキリいって魅力的。自分でデイとマクレーをくっつけておいて、急転直下「軍人としてちゃんと卒業しなきゃだめだ」と引き離そうとするってどうなの?「俺は今、猛烈に感動しているッ!」なほだされ演技は、上手いのは上手いんですけどねえ。
映画の中の歌や踊り、punch-happyなキャグニーは大いに楽しませてくれるのだが、全体の完成度はちょっと残念。愛国心高揚、士官学校ヨイショな部分はさておくとしても…いや、そういう部分に力を入れ始めたとたんにシナリオがグタグダになり始めたというべきかな?
でもまあ踊るキャグニーは一見の価値あり。フットライト・パレードも見たいなあ。
演出家兼ダンサーのジェームズ・キャグニーが、ウェスト・ポイント士官学校へ士官候補生たちの卒業記念ショーの上演を指導しに出掛けるというミュージカル。
共演がヴァージニア・メイヨ、ドリス・デイ、ゴードン・マクレー、ジーン・ネルソンとそれなりに豪華(最後の三人は「二人でお茶を」のトリオそのままだ)。日本未公開で当然日本ではDVDなど出てないので、英国盤DVDにて鑑賞。
ビックス(キャグニー)はブロードウェイの天才児と呼ばれたこともあるが、喧嘩っ早さと競馬好きが過ぎてロクな仕事にありつけずにいる。アシスタント兼恋人のイヴ(メイヨ)にも見放されかけて困った彼は、普段は不仲なプロデューサーの「ウェスト・ポイントのショーに主演する甥トム(マクレー)の指導をしてほしい、ついでに彼を、軍でなくショービジネスに進むよう説得してほしい」という依頼を受ける。
出向いてみると、トムは見事な美声の持ち主。ビックスは「叔父さんより自分と組まないか?」と彼を口説くが、トムは「自分は本気で軍人になりたいのだ」と謝絶する。
そこでビックスは、ショービジネスへのトムの熱意を高めるべく、ショーのヒロインにと旧知の映画スター・ジャン(デイ)を連れてくる。思惑通りに二人は恋に落ちるが、スタジオから帰還を命じられたジャンを追ってトムが無断外出騒ぎを起こしたためショーは中止に。深く反省したビックスは他の候補生たちと上演に向けて奔走するが…
ビョンビョンつま先で飛び跳ねまくるキャグニーにまずは満足ですが(なんつーか空中滞留時間が…)、いやー、ヴァージニア・メイヨって踊れる人だったんですね(爆)
私このヒト「艦長ホレーショ」くらいしか見てなかったもんで気が付いてませんでしたが、キャグニーとピリッとしたダンスを繰り広げてくれます♪マクレーの友人役のネルソンは、よく踊ってるんだけどなんか個性が物足りない。「二人でお茶を」でも思ったけど、なんでかなー。すらっと長身でスマート、運動神経よさげな好青年だけど、アクロバティックさはジーン・ケリー程にはゆかない、スマートさもアステア迄にはゆかない。彼なりの色が薄いので、多分ダンスの「幅」は狭いのだけど強烈に独自のスタイルを感じさせるキャグニーにとても及ばない。ある種の頼りなさを「味」にしてのけているドナルド・オコナーにも至らない。残念な人だ。
ビックスは指導がしやすいよう"士官候補生扱い"で暫くウェスト・ポイントで生活することになる。ガタイのいい青年たちにまじって、小柄でもういいトシのキャグニーがビシっと着こなす制服姿が見ものだが、物語自体は後半ちょっと失速する。理想と誇りをもって士官学校の規律に身をささげる真面目な青年たちに、スレたブロードウェイ演出家が次第にほだされ回心するのだが、「回心」前の粋な皮肉屋ダメ男の方がハッキリいって魅力的。自分でデイとマクレーをくっつけておいて、急転直下「軍人としてちゃんと卒業しなきゃだめだ」と引き離そうとするってどうなの?「俺は今、猛烈に感動しているッ!」なほだされ演技は、上手いのは上手いんですけどねえ。
映画の中の歌や踊り、punch-happyなキャグニーは大いに楽しませてくれるのだが、全体の完成度はちょっと残念。愛国心高揚、士官学校ヨイショな部分はさておくとしても…いや、そういう部分に力を入れ始めたとたんにシナリオがグタグダになり始めたというべきかな?
でもまあ踊るキャグニーは一見の価値あり。フットライト・パレードも見たいなあ。
コメント
メイヨは、ダニー・ケイとの共演で売り出したわけですから歌って踊れる女優ですね(この映画でもでも美脚を見せていますね)。
私はケイがどうも好きになれないので二人の共演作は1本くらいしか見ていません。
キャグニーと共演した『白熱』の彼女の方が印象は強いです。
『獅子王リチャード』(ジョージ・サンダースがリチャード、レックス・ハリスンがサラディーン役!)のお姫様も印象に残っています。
叫ぶほどの映画じゃない気がしますが、実は好きでTV録画を何度も見ましたし、近年GyaOでノーカットでやってくれた時には大喜びでした。
…しかし、多分メイヨ嬢はあまり目に入ってなかったんでしょうね(^^;)
(ハリスンとサンダース、どっちも結構好きなんです)
ダニー・ケイ映画もなんだかあまり見ていませんでしたから、私の印象に残るメイヨはコスチューム・プレイばっかりだったわけなんですね。
そ、そうなんですか?何があってもハリウッドでは…なんでしょうかね…
両刀な人も多いのかな。そういや「獅子王リチャード」に出てたローレンス・ハーヴェイもバイだったと最近聞きビックリしました。「アラモ」ロケではウェインを追いかけていたとか…(ウィドマーク様を、でなくて良かったです(^^;))。
俳優に限らず芸術関連は多いですね。
歌手のダスティ・スプリングフィールドもレズである事で随分悩んだようです(BBCのドキュメントで知りました)。
ジェイムズ・ディーン、サル・ミネオなども仲間ですね。
ランドルフ・スコットも怪しいと思います。
最近の人だけでなく昔のスターについても、いくらでも見つかるので、あまり気にしないようにしています。
結局、銀幕内で魅力的であれば、十二分にごヒイキ対象です(笑)
イイ男とみれば片っ端からゲイ、とかいうのは、女ゴコロとしては何か悔しい気もしますけど…。
ところで、フランス語をしゃべる場面がありますが、あれはどう言う場面なんでしょう?
フランス大使館にでも行ったのでしょうか?
あの場面、キャグニーと仲間たちがウォルドーフ・アストリア・ホテルに行って訪米中のフランスの総理大臣(将軍?)に会い、ウェストポイントへ来て士官候補生たちのレビューを所望してくれと頼むところですね。大物ゲストが視察に来たらレビューを見せて歓待する慣習があるので、そうなれば恩赦(笑)が受けられるだろう、という思いつきから、各人のコネを頼りにあちこち電話し調べた末に、ホテルへ押しかけていったというわけです。
そしてキャグニーは大戦中フランス戦線で活躍してフランスの勲章まで貰っていたものですから、それを見せて何とか説得に成功し(フランスのために頑張ってくれた英雄の頼みだから、ということで)、無事ラストのレビュー場面にたどりつきました。めでたしめでたし、です。
なるほど、そういう流れなんですね。
ありがとうございました。
1950年と言えば朝鮮戦争の真っ最中ですが、多分そういう歴史的文脈とは関係ない作品なのでしょうね。
>1950年と言えば朝鮮戦争の真っ最中ですが、多分そういう歴史的文脈とは関係ない作品なのでしょうね。
ストーリーにはまったく関係なしですね。でも、軍隊賛美ムードは朝鮮戦争のなせるわざかもしれません。いや多分、そうなのでしょう。