1950年、ジョン・フォード監督作品。モノクロ。

先日スカパーでタイマー録画したものを見ていたら、なんと家族がデッキをいじくったらしく、あと20分てところで切れていた(怒)。いい感じだったので悔しかったが、TVで見れた筈のものを買うのもシャクでしばらく置いていた…が、ワンコインDVDが中古書店で210円で並んでたのを見かけて購入。ケチな話である。

騎兵隊三部作、と言われてるらしいが、たぶん一番ホームドラマ的な要素が強い。そして歌の比重も高い。

物語は…ヨーク中佐(ジョン・ウェイン)が指揮官をつとめる砦に、新兵の一群が配属される。タイリー(ペン・ジョンソン)、サンディ(ハリー・ケリー・Jr)、そしてなんとその中には、十何年会っていなかった中佐の息子、まだ十代のジェフ(クロード・ジャーマン・Jr)がいた。やがてジェフを連れ戻そうと、やはり十何年ぶりのヨーク夫人キャスリーン(モーリン・オハラ)もやってくる。実は南北戦争時、彼女が生まれ育った農園に夫の部隊が火をつける不幸なめぐりあわせとなったことが、一家をばらばらに引き裂いたのだった…

インディアンとの激しい攻防を繰り返す前線の砦で、一度は離れた夫婦が再び心を通わせるようになるまでが、きかん気で頼もしい新兵たちと可笑しみたっぷりの古参軍曹(ヴィクター・マクラグレン)のやりとりを交えつつ描かれる。ベン・ジョンソンらの曲乗り(これは凄い!)など明るく愉快な前半、サンズ・オブ・パイオニアーズの美麗なコーラスに乗せしんみりと人情の機微を描く中盤、戦闘とアクションの終盤。どうということないといえばない話なのだけれど、騎兵隊の人々の生活をじっくりと描いて飽きさせない。特にコーラスは反則?というくらい強引にこちらの気持ちをノックアウト。ケン・カーティスの美声にはホントにうっとりです。

特に中佐夫人と同名の『I’ll take you home again、Kathleen』は主題歌扱い。夫婦がこの歌を聴きながらそれぞれに心を揺さぶられるさまなど印象的ですが、戦闘シーンでもこれの変奏がインストルメンタルでちらちら聞こえる。この他にもアイルランドの歌が多いのはフォードの趣味でしょうな。
ある意味ミュージカル的な魅力のある人情西部劇。モーリン・オハラは綺麗だし、ウェインも抑え気味の演技がGood。…大活躍するのはむしろベン・ジョンソンだったりする(笑)
楽しめました。

コメント

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たけだ
2010年4月5日21:45

完全鑑賞できて良かったですね。

私は最近『騎兵隊』を観ました。
昔テレビで見ていますが、フラーの『裸のキッス』『ショック集団』のコンスタンス・タワーズってどこに出てたっけ、と思ってみたら何と主役でウェインと惹かれ合う役でした。全く忘れていました。
この作品にも過去の作品で使われた音楽が色々使用されていて、ちょっとうるさいぐらいです。

ボースン
2010年4月5日22:23

ありがとうございます。
コンスタンス・タワーズって意外にフォード作品に出てるみたいですね。データでしか知らないけど「バファロー大隊」とかも?

>この作品にも過去の作品で使われた音楽が色々使用されていて、ちょっとうるさいぐらいです。

フォードってセリフでなく映像でドラマを伝えるべく小ワザをかけまくる人なので、そのぶん音楽が凄く効果的に響くのですが、一歩間違うと音楽が煩くなっちゃう危険もあるんでしょうね。(『騎兵隊』は未見ですが)
「リオ・グランデの砦」では私の趣味には「盛りだくさん」と聞こえて「煩い」とまではいかなかったので幸いでした。

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たけだ
2010年4月5日22:43

『バファロー大隊』も観ています。ここではジェフリー・ハンターの恋人役ですがこれまた良く憶えていません。
男優でも女優でも垂れ目(白人はそもそも垂れ目気味ですが)の役者は基本的に好きではないので忘れてしまったのかも。あるいはフラーの2作の彼女が余りにも強烈なので(映画を見た順番もフラーの作品の方が現在に近いので)タワーズと言えばこの二本の出演場面を連想してしまいます。

ウィリアム・ホールデンは、他の作品と違って、この作品では「こすっからい」ところが全くない観客が共感しやすい役柄です。

ボースン
2010年4月6日0:10

>白人はそもそも垂れ目気味ですが

あはは(笑)
目がでかいですしね。重さに耐えきれないのでしょうか。

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たけだ
2010年5月2日12:56

こんにちは。
最近スタジオクラシックシリーズの『荒野の決闘2枚組』が半額セールコーナーに有ったので思わず買ってしまいました。
このDVDの肝は、公開試写版が特典になっていることで、ザナックがどのように手を入れたかがよくわかります。
最後のアープがクレメンタインに軽くキスする場面が典型ですがともかく「ドラマチック」になるように手を加えており、フォードが音楽を付けなかった場面に音楽を追加したり、静かな音楽を派手な音楽に変更したりです。

音楽を煩く感じたフォード作品の全ての製作がザナックかどうかは確認していませんが、煩くしたのはフォードではなくプロデューサーである可能性は大いにありますね。
多分しんみり場面はフォードの音楽が残り、戦闘場面や駅馬車が到着するような場面はプロデューサーがいじったケースが多いのかなあと思います。

ボースン
2010年5月3日1:05

公開試写版が!うーんそれは映画を分析するには興味深い特典ですね。
それにしてもフィルムクラシックス、ほんとにめったにめったに新譜が出ないくて哀しいです。
リクエスト・ライブラリー出しただけで、フィルムクラシックスはもう要らないとか思ってるのでしょうかFoxjapan…(泣)

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たけだ
2010年8月27日13:32

久しぶりにDVDで鑑賞。

ご存知かもしれませんがこの作品は『静かなる男』映画化の条件としてプロデューサーに半ば強要されて作った作品なので、騎兵隊3部作というのはたまたまの結果であって計画された物ではなかった訳ですね。

この作品に限らずフォードの騎兵隊士官は白い帽子を被っていますが正しい交渉をすると紺色なので、これもフォードの演出の一部だと解ります。

ご指摘の通りテーマは家族愛でありそのテーマを騎兵隊ものというジャンル映画で描いています。

歌の機能はいろいろ有りますが最も重要な機能は、ウェインの本音(センチメンタルな部分)を語ることですね。歌を含め音楽の役割が実に豊かな作品だと思います。

しかしモーリン・オハラは、良いなあ。
あの瞳で見つめられたら・・・・・。

ボースン
2010年8月27日19:59

かなりセンチメンタルな描かれ方をしていますよね、冒頭からウェインは。久々に息子と再会してクールにあしらったと思ったら、テントから息子が出たとたんに、息子の立ってた位置を調べて身長を測ろうとしてみたり。

モーリン・オハラは綺麗でした。こんな奥さんを10年以上もほっとけるとは凄い主人公です(笑)

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たけだ
2010年8月27日20:10

ボースン様

普通は、インディアンとの戦いの顛末というメインストーリーに家族が絡むのですが、この映画は家族愛がメインストーリーでそれにインディアンとの戦いが絡むという風に逆転していますね。
今回見直して『捜索者』の為の習作という印象を持ちました。

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さがみひいす
2012年4月3日23:58

こんばんは。
いやー嬉しかったです。やっと観れました。パソコンでの視聴です。録画状態もあまりよくないのですが、初めて「リオグランデの砦」観賞することができました。結構楽しめました。
好きでない映画は条件良くてもダメですが、いい映画は条件が悪くてもいいものですね。

アラモで、二人の大佐に花を持たせがちなクロケットことウェインも好きですが、こちらの親父&夫、リーダーの役ウェインもかなり良いです。
ジョンウェインは日本人好みの雰囲気?

ジョンフォード映画は「騎兵隊」以後がとくに好きですが…。「バッファロー大隊」は観てませんけど。
この映画は良かった!!音楽オンパレードですね(*^_^*)

ボースン
2012年4月4日8:08

こんにちわ。
観れましたか、よかったですね!
この映画のウェインは押しつけがましすぎず(…しくないとまでは言わないが)、渋めでいい感じです。

>この映画は良かった!!音楽オンパレードですね(*^_^*)

「リオ・グランデの砦」は、音楽映画みたいなとこがありましたね♪

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さがみひいす
2012年4月11日0:46

こんばんは!ボースン様。
こちらにおじゃまさせていただきます!今度は「アパッチ砦」です。

フォード最後の西部劇「シャイアン」の下書きといえますねー。
アーチャー大尉的心情がこの映画でも!なのです!フォードの騎兵隊映画の芯の芯ですねー!(^^)!

騎兵魂を美化しつつ、勇壮なラストの行進シーンも…
その後ベトナムヘ、イラクヘ駆り出せれた米兵たちの悲劇を裏腹に暗示しているように思うのは穿ちすぎでしょうか?

灰色の空、故郷を目指す「シャイアン」の旅、着かず離れず追う騎兵隊の物悲しい映像が思いだされます!!

いやはやお邪魔いたしました(^O^)

ボースン
2012年4月11日23:41

こんばんわ、さがみひいす様。
「アパッチ砦」はあいにくと未見です。私はやはり50年代までのジョン・フォードの方が好きなのですが、見てないのはフォンダがそれほど好きではないからかな?

フォード、どーして50年代のうちからウィドマーク様を主役に起用してくれなかったんだぁぁぁぁ!
「シャイアン」「馬上の二人」はあるけれど…なんかとても残念を通り越して痛恨…

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さがみひいす
2012年4月13日0:45

こんばんは。
ボースん様は特に50年代のウィドマーク様がすきですか?
だとすれば、痛恨…はなおさらですね。

僕的にはウィドマーク様が主役でフォード西部劇が終わりに辿りついた事実。
フォード監督が締めくくった事実。そこを歓んでがまんしてます(>_

ボースン
2012年4月13日7:56

>ボースん様は特に50年代のウィドマーク様がすきですか?

ハイッ!♪

やっぱりウィドマーク様が一番、どセクシーだったのは50年代だと思います。
「拾った女」や「襲われた幌馬車」は何度見てもウットリ…
もちろん、60年代以降も輝いておられますけどね(^^;)

フォード監督が「締め」に彼を選んだ事実も、もちろんとてもうれしいですけどね。(*^^*)

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さがみひいす
2012年4月13日23:50

「拾った女」「襲われた幌馬車」…わかります!わかりますよ(^_-)-☆

ところでウィドマーク様の素は「地獄の戦場」の教師役が近いような気がしませんか?…その先生の明朗なお人柄役に当時は驚いた(歓びつつ)覚えがございます
!(^^)!

例の「馬上…」で、駐屯地から埃だらけになって、眩しそうなお顔をしたリチャード・ウィドマーク様がやって来ました。コワそー!なんか優しそう?男らしいとこあるぞ!でも皺が多いな。目は大きいがすぐ眩しそうな顔になる人だ。でも彼女を見つめるときイイ男になるな…(^O^) 

以来ファンとしてスタートでございます。フォードよありがとう!その後はどんな役をされても観ているこっちが眩しくて大変だ(*^^*)

ボースン
2012年4月14日23:58

フォード二作と並んで、「地獄の戦場」のサワヤカさんぶりは凄かったですね(*^^*)
私も初めて「地獄…」を見たときには激しい衝撃を受けました。もちろん嬉しい衝撃ですが。

ただ、素は、「ジョン・フォードの旗の下に」を読んでから、もう少し『俺様』なんではと思うようになりました。カワイイというか味のある俺様ですが。ハリー・ケリー・ジュニアが書いてるんですが、この本お勧めですよ~☆
ウィドマーク様の素顔ってあまり紹介されてないですしね。訳文はなんか微妙なので、Amazon.comのマーケットプレイスに安く出てれば、原書を買ってみてもいいかなと思ったりしています(でもたいてい高価)。

nophoto
さがみひいす
2012年4月15日22:03

持ってます。はい!「微妙」な方です。
でもあの2作品の項を先に読んで、「その他」は未読がほとんどです(>_

ボースン
2012年4月15日22:43

おぅ、失礼しました。やっぱ微妙ですよね!!
でも、他の章も結構面白いですよ。いいネタ抱えてますハリー・ケリー・Jr。

nophoto
さがみひいす
2012年4月16日15:32

追伸です。 昨日コメントの後半が消えて「行っちゃった」ので(なぜかな?)

>ただ、素は、「ジョン・フォードの旗の下に」を読んでから、もう少し『俺様』なんではと思うようになりました。カワイイというか味のある俺様ですが。

同感です。あの個性的なマスクからすれば当然といえば当然ですね、やっぱそこがまた~らしくて◎ですね。

実はウィドマーク様が亡くなるまで、ずっと長い間80年代の氏をみていなかった様な気が(ファン失格!)。ニュースを知って、慌ててて検索しだし、こちらにお邪魔させていただいたり、「cold sussy tree」「Mr.Horn」…みつけ想像どおりカッコ良く歳をとっていて感激したり、感涙したり、熱があがりました!(^^)!

2008年の「キネマ旬報」あたりにいろいろ出てるようですね。図書館へいけばみれるのでしょうか?

ボースン
2012年4月16日17:18

>2008年の「キネマ旬報」あたりにいろいろ出てるようですね。図書館へいけばみれるのでしょうか?

「キネ旬」バックナンバーも、ある程度の規模の図書館にはあると思います。私の行きつけ(笑)にもあります。ネットで蔵書検索できる時代なので、お近くの図書館の状況を確認してから行かれれば万全かと。私、インタビューとかコピーとってます。

追悼特集は2008年6月号記事ですね(CiNiiの雑誌論文記事検索で確認)。インタビューは2002年9月にあるものの再録だった筈なので、2002年のぶんは見なくてOKです。

ボースン
2012年4月16日18:30

あ、いや、2008-06と表示されているけど、旬報だから2008年の6号(三月下旬号くらい)?ただ、三月下旬に死去されているので三月下旬号は変かなあ。要確認。

nophoto
なにわすずめ
2012年4月16日19:57

こんばんは。
ウィドマークさまの追悼企画は2008年6月下旬特別号(No.1509)です。
表紙は三谷幸喜監督。手元に持ってるので、確かです(笑)
チャールトン・へストンも同時に追悼号ですが。
この本で役立ったのは、ウィドマーク様のフィルモグラフィーでした。

nophoto
さがみひいす
2012年4月17日9:09

ボースン様

>私、インタビューとかコピーとってます。

あっ、やっぱり。
羨ましいです。こちらはずぼらで、自業自得なのですが~。
アドバイスありがとうございました。もうじきGWだから、今度はちゃんとやります~。

なにわすずめ様

はじめまして!(ずっと前からウィドマーク様への「思い」拝見してます!!)

>ウィドマークさまの追悼企画は2008年6月下旬特別号(No.1509)です。

ありがとうございます( ..)φメモメモ
…今後ともどうぞよろしくお願いいたします(^O^)

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なにわすずめ
2012年4月18日19:20

さがみひいす様

はじめまして。
私も、ボースン様の日記を拝読することがなければ、きっとひとりで心細く(笑)隠れファンをやっていたと思います。
ですので、ボースン様の日記に出会えたことはとてもうれしかったです。
こんなに熱くしかもミーハーに(爆)ウィドマーク様のことを語り合えるお仲間が(かなり近所に^^;)にいらしたとは。

こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ボースン
2012年4月18日22:55

>なにわすずめ様

巻号確認ありがとうございます!
私のもってるインタビュー記事コピーは、なぜか2002年分からコピったもので…(笑)

>さがみひいす様

とりあえず、これでいつでも図書館になだれこめますね。よかったよかった。

nophoto
さがみひいす
2012年4月27日0:40

ボースン様 

こんばんは。本日はいい日!(^^)!
「キネマ旬報」アマゾンで入手できました。
内容も!(^^)!
ありがとうございました。

なにはすずめ様

こんばんは。僕も手元に!

初めてボースン様のブログでウィドマーク様を見つけた時はもっと!(^^)!でしたね(笑)

ありがとうございました。

ボースン
2012年4月27日21:18

キネ旬ゲット、おめでとうございます♪
まるごともっておければ一番安心ですね(*^^*)

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