森雅裕著。
「家康に、過ぎたるもの」とまで言われた武将本多平八郎忠勝の娘、稲姫。彼女が真田信之(真田昌幸の息子、幸村の兄、徳川方についた)との婚礼の引出物にと望んだものは、忠勝の名槍「蜻蛉切り」の写しであったが…
関が原、そして大阪の陣は戦国の終焉を告げる最後の戦。武将の時代は文官の時代へと変わって行く。武器でしかなかった刀剣も、仰々しい格付けがなされ、政争の道具へ転じる。一族を二分してまで生き延びた真田家も、平和の時代を生き延びるためのより厳しい戦いに直面せざるをえない。
文武両道、少女のような闊達さと人の上にたつ器量を兼ね備えたヒロインはいつも通り魅力的、その兄弟たちも、婚家真田の男たちも、みな清々しくも鮮やかなサムライなのだが。
刀剣にかかわるさまざまな薀蓄と、節目の時代の人間模様をからませ、潔さとユーモア、ほのかな哀感をこめて描く歴史小説。長編というよりは連作短編の趣の、抑えた筆致がまたおくゆかしい。
「家康に、過ぎたるもの」とまで言われた武将本多平八郎忠勝の娘、稲姫。彼女が真田信之(真田昌幸の息子、幸村の兄、徳川方についた)との婚礼の引出物にと望んだものは、忠勝の名槍「蜻蛉切り」の写しであったが…
関が原、そして大阪の陣は戦国の終焉を告げる最後の戦。武将の時代は文官の時代へと変わって行く。武器でしかなかった刀剣も、仰々しい格付けがなされ、政争の道具へ転じる。一族を二分してまで生き延びた真田家も、平和の時代を生き延びるためのより厳しい戦いに直面せざるをえない。
文武両道、少女のような闊達さと人の上にたつ器量を兼ね備えたヒロインはいつも通り魅力的、その兄弟たちも、婚家真田の男たちも、みな清々しくも鮮やかなサムライなのだが。
刀剣にかかわるさまざまな薀蓄と、節目の時代の人間模様をからませ、潔さとユーモア、ほのかな哀感をこめて描く歴史小説。長編というよりは連作短編の趣の、抑えた筆致がまたおくゆかしい。
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