高熱隧道

2009年11月19日 読書
吉村昭著。

八甲田山以来の…
凄い迫力の実録小説であった。登場人物は創作だそうだけれど。
(きちんとした記録がなく主に関係者の記憶に頼って書くしかなかったからなのだそうだ)

昭和11年より開始された黒部第四ダムの工事は、世界でも屈指の難工事であったという。ここは人間が足を踏み入れることも全くなかった中央アルプスの深奥部、しかも日本最大級の豪雪地帯である。桟道の整備や工事用物資の運搬などの準備作業だけでも転落事故が頻発した。
しかもトンネルを掘り始めてみると、思いがけない程に高温の温泉湧出地帯であると判明。掘削作業を進めるうち、岩盤温度はなんと100度を遥かに超えて上昇してゆく!が、泥沼化する中国大陸の情勢は、電力の確保を至上命令として無理な環境下の工事を止めることを許さない。工事は厳寒の季節にも継続されるが。

…いや、参りました。半ば呆然としながら、一気に読破。
いったいここで何百人が死んだのだろうか。人間って、自然って…

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索