アラン・シリトー著。
画像はないけどアマゾンから古書は探せそうです。

アメリカ映画「誇り高き戦場」、坂田靖子さんの「誇り高き戦場」の原作として一部に有名な「将軍」。
とうに絶版だけどよく探すとヨソの図書館にあったので借りてみた。

ううーむ。
映画と、またマンガと、全然違うぢゃないか。
マンガの原作は映画だな、あくまでも。
将軍がハゲの小男でも、見かけだけの問題なら別にいいのだが…キャラが違う。

戦場で、慰問にきた交響楽団と指揮者が敵軍の捕虜になるのは、もちろん同じ。
だが、架空の国の軍隊である(共産圏ぽい)。
指揮者は世界的に有名だなんてことは書いてないし、将軍は特に貴族的・芸術愛好家的だったりはしない。ただ、捕まえてみたら、なんだか「交響楽団員を殺すのはイマイチ」な気がしてきて、「シンフォニーを聞いてみたい」気がしてきただけである。ただ、この気持ちは次第にエスカレートして指揮者と楽団員をぜひ逃がしたい!という思いにまで発展するのだが。
指揮者だって、演奏して、と言われたら別にさからわない。そもそも戦争というものに懐疑的で敵軍をも自軍をも信じていない。銃なんか間違っても手にしない…
乞われたら自然に歌い出す、小鳥のように力弱い存在でもある。
だがそのか弱さゆえに、将軍を破滅させることにもなるわけだが…

最初のうちこそディレッタントな口調で互いを探りあい皮肉をぶつけたりしているが、個人としてのふたりは、映画と違ってびっくりするほど簡単に近づく。

うーーーーーーむ。

「誇り高き戦場」のシナリオ(とヘストンの好戦的なキャラ作り)を私は酷評したが(http://13374.diarynote.jp/200909080047383316/)、小説から映画への脚色自体は、実はかなりお見事なのではないか。
私や坂田センセの萌え心?をそそった要素は、アレもコレも映画オリジナルだったのね…
ファッショナブルなナチスドイツの軍服。独軍内のナチスと国防軍の対立、意地をはる「世界的」指揮者、お貴族的芸術的な将軍!
えー加減な脱走計画も、悪くはない。
あとあんなにヘストンが嬉々として銃を取ることさえ止めてくれたらかなりなモノだ♪

やっぱり何でも、実際に確かめてみないと、わからないものである…

とそれしか読後の感想がないというのもどうだかとは思うが(笑)
なんか地味な小説だったんだよね。

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