犬飼六岐著。
慶安の変(由比正雪の乱)を新解釈を混ぜつつ取り上げた長編。
尾羽打ち枯らした気弱な浪人熊谷三郎兵衛は、どうしたはずみか、浪人救済の世直しを求めて運動する張孔堂の面々に仲間に誘われ、断り切れずにずるずると仲間に引き入れられるが…
なんでか、きっと面白い、と読む前から確信していた。
これまで「筋違い半介」とか「吉岡清三郎腕貸し帳」など、むしろ反骨の男、つむじまがりで個性爆裂な男を描くのが得意だった著者が、腕にも頭脳にも覚えがなく(得手は提灯や傘張りの内職テクと、ちょっと足が速いことのみ)、小心翼々、ひたすらうつむいて生きているような小男を主人公としたのにはちょっと驚いたが、そんな彼が、流されるままなようでいて、いつしか小さな声でも「自分の意見」を持てるようになってゆくさまがじんわりと胸を打つ。時勢はあまりにも厳しいのだが。
豪快な変人のおかしさでなく、小人の、でも実に愛すべきおかしみと悲哀、そして人の心の奥深さ。
犬飼六岐、一皮むけたんじゃないですかホントに(先にあげた二冊も面白かったが)。
慶安の変(由比正雪の乱)を新解釈を混ぜつつ取り上げた長編。
尾羽打ち枯らした気弱な浪人熊谷三郎兵衛は、どうしたはずみか、浪人救済の世直しを求めて運動する張孔堂の面々に仲間に誘われ、断り切れずにずるずると仲間に引き入れられるが…
なんでか、きっと面白い、と読む前から確信していた。
これまで「筋違い半介」とか「吉岡清三郎腕貸し帳」など、むしろ反骨の男、つむじまがりで個性爆裂な男を描くのが得意だった著者が、腕にも頭脳にも覚えがなく(得手は提灯や傘張りの内職テクと、ちょっと足が速いことのみ)、小心翼々、ひたすらうつむいて生きているような小男を主人公としたのにはちょっと驚いたが、そんな彼が、流されるままなようでいて、いつしか小さな声でも「自分の意見」を持てるようになってゆくさまがじんわりと胸を打つ。時勢はあまりにも厳しいのだが。
豪快な変人のおかしさでなく、小人の、でも実に愛すべきおかしみと悲哀、そして人の心の奥深さ。
犬飼六岐、一皮むけたんじゃないですかホントに(先にあげた二冊も面白かったが)。
コメント